神世界に対する損害賠償訴訟

第一次訴訟から第四次訴訟までの請求額等は下表の通りです(2011.9.14現在)。
神世界等に対する損害賠償訴訟一覧
訴訟区分 提訴日 訴額 原告
人数
被告人数
第一次訴訟 平成21年5月25日 1億7313万0463円
17人 神世界含む被告25人
第二次訴訟 平成21年12月25日 7426万5792円
24人 神世界含む被告25人
第三次訴訟 平成22年12月17日 1419万0195円
1人 神世界含む被告25人
第四次訴訟 平成23年9月14日 2097万6248円
6人 神世界含む被告25人

2億8256万2698円
48人 神世界含む被告25人






■はじめに (2009年5月25日)
 2009年5月25日(月)、神世界事件被害者17名(原告)は(有)神世界等に対する損害賠償訴訟の訴状を東京地裁に提出し受理された。
 提訴後、同日午後1:30から原告2名を含む神世界被害対策弁護団は東京霞ケ関の弁護士会館にて共同記者会見を行った。

 この第1回損害賠償訴訟は被害者17名が(有)神世界ほか関連会社を含む法人8社及び神世界関係者個人17名に対して原告等が受けた損害を賠償するよう訴えたもので、被害請求総額は1億6875万円となっている(後に、1億7313万円に修正)。
 上記請求金額は慰謝料等も含めて請求しているが、神世界によって原告等が受けた精神的被害は甚大なものがあることから、通常の民事訴訟では被害額の1割程度とされている慰謝料が今回の訴訟では被害額の2割に相当する慰謝料を請求している。
 カルト宗教類似の自己啓発セミナーに対する損害賠償請求事件において、慰謝料が約17%認められた東京高裁判決があり、弁護団としては健康被害も生じさせている極めて悪質な神世界による被害については、慰謝料は2割程度は認められる可能性があると考えている。
 この慰謝料については記者会見の席上弁護士が、「今回の訴訟では被害額の2割に相当する金額を慰謝料として請求している。一般的にこうした損害賠償訴訟では被害額の1割程度の慰謝料請求を行う場合が多いが、神世界から被害者が受けた精神的、肉体的な様々な被害を考えれば被害額を上回る慰謝料を請求したいのが本当のところである。しかし、過去の判例や請求額が膨大になることによる印紙代の増大などを考え合わせ2割の慰謝料とした」と述べたのが印象的だった。



1、被告(法人8社、個人17名)
 今回の訴訟で被告となった25名(法人8社、個人17名)は下記の神世界関係者だ。下表では、個人、法人を整理して列挙した。

No. 個人被告氏名 会社名
1 齊藤 亨 有限会社神世界
2 日原 易子 有限会社神世界
3 齊藤 葉子 有限会社神世界
4 飯窪参希江 有限会社神世界
5 和田 美和 有限会社びびっととうきょう
6 和田 健史 有限会社びびっととうきょう
7 杉本 明枝 有限会社E2
8 淺原 史利 有限会社えんとらんすアカサカ
9 栗山 悦子 有限会社えんとらんすわーるどヒルズ
10 淺原 嘉子 有限会社えんとらんすスリートゥー1
11 佐野 孝 有限会社えんとらんすスリートゥー1他
12 佐野 りら (えんとらんす統括室)
13 遠藤 真弓 有限会社えんとらんすアカサカ他
14 宮入 英実 有限会社みろく
15 宮入 英彰 有限会社みろく
16 加藤 京子 有限会社プラス花
17 加藤 久喜 有限会社プラス花
(番号は便宜上つけた番号であり、正式な被告番号ではない)


 訴状に記載された被告17名の氏名を公開したが、「ヒーリングサロン告発掲示板」での実名記載は遠慮願いたい。
 それは実名使用が一人歩きし、収集がつかなくなる危険性を排除するためである。

 今回の損害賠償訴訟の原告の人数は個人の被告の人数と同じ17名であるがこれは単なる偶然である。原告の氏名などはプライバシー保護の観点から公開しないので了解いただきたい。
 今後裁判が始まった時点では、裁判での被告・原告のやり取りを紹介していく予定であるが、個人のプライバシーに係わる部分は割愛させていただく。
 裁判を傍聴する際はできるだけメモを取っていただくようにお願いしたい。当方もできるだけ詳細な記録を取る予定であるが、万一聞き漏らした際には皆さんに情報提供をお願いすることもあると思われるのでよろしくお願いしたい。なお、6月10日現在、口頭弁論の日程はまだ決まっていない。日程が決まり次第このページや掲示板等でお知らせするので傍聴が可能な方はぜひ裁判の傍聴をお願いしたい(6/22になって第1回口頭弁論が7/22午前10時10分からと決定した)



2、訴訟に至る経過
 2009年5月25日の第一次損害賠償訴訟提訴に至る経過を明らかにしておきたい。
 被害対策弁護団は第一次(2008.2.26)から第四次(2008.9.24)の4度にわたり神世界に返金請求を行ってきた(集団請求前を含めると5度)。


返金請求請求人数請求金額
集団請求前5人31,341,360円
第一次請求25人59,892,078円
第二次請求23人65,962,470円
第三次請求19人56,007,865円
第四次請求15人32,832,499円
以上合計87人246,036,272円


 今回の訴訟で原告となった17名は上記87名中の17名である。比較的被害額が大きな被害者17名が今回の原告となっているため17名の被害額及び慰謝料等を含めた金額は1億6875万円となっている。

 上記87名が起こした返金請求交渉は神世界側弁護士と被害対策弁護団の間で行われ、返金金額についてある程度の進展をみたが、交渉の途中でそれまで交渉に当たってきた神世界代理人の鈴木秀男弁護士が2008年10月1日付けで辞任した。辞任した弁護士に代わって新たに笠原静夫弁護士が神世界の代理人となったが、被害対策弁護団からの再三の呼びかけに対しても神世界側からの応答はなく、それ以後の交渉は途絶えたままとなった。こうした状況から、神世界側には返金に応ずる意志がないとみなした弁護団は今回の訴訟に踏み切ることとした。
 第一次訴訟に続き準備が整い次第更なる訴訟も起こしていく予定だ。
 これまで何度も述べてきたことであるが、神世界側にとって返金交渉の段階で被害金額を支払うのと、こうして訴訟になって被害金額等を支払うのとでは大きく請求金額が違い、損害賠償訴訟では損害金額の上に慰謝料や弁護士費用も含めた金額を賠償金額として請求しているので神世界側が支払わねばならない金額は加算されている。
 神世界事件と似たような過去の事例について少し研究すれば、今回の民事訴訟で神世界側に勝ち目がないことは明らかである。
 神世界側にも弁護士がついているにも係わらず、返金請求の段階で問題解決を図ろうとせず、訴訟を起こされるまで問題解決を先延ばしにする神世界側の対応は非常に不可解だ。
 神世界はこれまで自らが雇った弁護士を次々と交代させてきた。その背景には、霊感商法を行う側に都合の良い(被害に無理解と思われる)弁護士を探し求めてきた神世界経営者の思惑が見え隠れする。



3、第1回口頭弁論(2009.07.22)
警視庁前から見た東京地裁
 東京地裁の裁判部には支部を含め54の民事部があるが、今回の神世界に対する損害賠償訴訟は民事第50部が担当することになった。裁判の正式な事件名は、損害賠償 平成21年(ワ)第17050号だ。
 第1回口頭弁論は多数の傍聴希望者があると裁判所が判断したため抽選によって傍聴者を決める方式がとられた。傍聴希望者は東京地裁正門玄関2番交付所で抽選券を受け取り9時50分の抽選結果発表を待った。
 2番交付所で抽選券を受け取った人達は係官に誘導されて「抽選待機所」のような「囲い」の中で待たされる。赤いテープで仕切られた囲いの中で待っている人達は全員が神世界の第1回口頭弁論を傍聴に来た人であることが明白だ。しかし他の人がどのような関係者であるかが不明なため、互いに不安な表情で抽選時間が来るのを待っていた。
 626号法廷は傍聴席数が44席の法廷だが、十数席が記者席として確保されるため今回一般傍聴者に割り当てられた座席数は30席だった。割り当て数以上の傍聴希望者があった場合はパソコンによる抽選が行われ、当選番号が白板に掲示され、当選した人には抽選券と引き替えに傍聴券が配布されることになっていた。しかし今回は締め切り時間までに抽選券を受け取った人数が30人に満たなかったため、パソコンによる抽選は行われず、抽選待機所に集まった全員が傍聴券をもらうことができた。



これが抽選券。10番だった

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傍聴券がもらえた。12番だった
東京地裁626号法廷

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 この日は日本で46年ぶりの皆既日食が見られる日で、東京でも約7.5割が欠けた太陽が見られるはずだったが、東京地方はあいにくの曇天で地上からの日食観測はできなかった。肉眼で欠けた太陽の観測はできなかったが、太陽神を御霊光の根源とする神世界に対する裁判(口頭弁論)が大きく欠けた太陽の下で行われたのは何かの因縁なのだろうか?(笑)

 裁判所入口で飛行機の搭乗口と同じ身体検査、持ち物検査を受けた後、エレベーターで6階まで上がり626号法廷に入った。当然と言えば当然であるが、法廷の様子はテレビドラマでよく見る法廷そのものだった(笑)。
 被告側(神世界側)の代理人席は3名分のイスが用意されているだけだったが原告側代理人の座席は随分たくさん用意されていた。開始時刻が近づくにつれて原告側代理人席の人数が増えていき、原告側は原告、弁護士合わせて総勢18名が着席した(とても狭そうだった)。
 傍聴席には「報道」と書かれた席が十数席あり、報道の腕章をしたマスコミ関係者も数名着席していた。開始時刻が近づくにつれて傍聴席の人数が増えていき、口頭弁論が始まる頃には傍聴席はほぼ満席となった。
 被告側の代理人席に着席したのは神世界側弁護士2名だけで、予想通り神世界関係者の出廷はなかった。


 裁判官3名が入廷し、第1回口頭弁論は定刻を3分ほど過ぎた午前10時13分から始まった。地方裁判所における民事訴訟では1名の裁判官が審理する場合が多いが今回の口頭弁論は3名の裁判官による合議体で審理することになった。抽選による傍聴や3名の裁判官による合議体での審理など、裁判所がこの事件を重要な事件と見ていることが感じられた。
 書記官の、「平成21年(ワ)17050号」という裁判名宣言に続き、裁判長が被告側の状況について確認していたようだったが声が小さくよく聞き取れなかった。後のマスコミ報道によると被告側は請求棄却を求める答弁書を裁判所に提出し全面的に争う姿勢を示したとのことであり、裁判長はその確認をしていたようだ。
原告による意見陳述内容

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 続けて裁判長は、「原告側から意見陳述の申し立てがありますが被告側はよろしいですね?」と問いかけ、被告側弁護士2名(笠原静夫弁護士、門西栄一弁護士)も特に異議を申し立てなかったので原告による意見陳述が行われた。
 意見陳述を行ったのは原告の一人、Aさんだった。右記がその意見陳述の内容だ(個人特定される可能性がある部分は伏せ字に変更)。

 Aさんが意見書を読み上げている間、裁判長はじっとAさんの発言に耳を傾け、陳述内容を真剣に聞いている姿が印象的だった。

 意見書の陳述が終わり、裁判長は、「被告側から訴状に対する認否反論をいただいていないので次回は提出するように」と指示した。
 続けて裁判長は次回期日として9/9午前もしくは9/16午前を原告、被告双方に打診したが被告側弁護士より、「訴状の認否の判断をするためには2〜3カ月間の余裕がほしい」と発言があった。
 それを聞いた裁判長は、「え〜?」という表情になり、「そんなにかかりますか?」と疑問を呈した。
 被告側弁護士は、「訴状の総論部分が相当膨大なので反論も含めて3カ月の猶予を頂きたい」と述べた。
 原告側弁護士から、「訴状は5月25日にすでに提出されており、今日までにも検討する時間はあった。訴状の認否に今後更に3カ月もの期間は必要はないだろう(以上要旨)」と発言があった。
 更に原告側紀藤弁護士から、「被告側代理人・笠原静夫弁護士は刑事弁護から神世界事件を担当しており、そんなに時間がかかるのはおかしい(以上要旨)」との意見が出された。
 笠原弁護士はやや興奮した様子で、「私は関わっていない。一方的にあなたが電話してきただけだ」と紀藤弁護士に向かって声を荒げて発言した。
 それを受けて原告側の別の弁護士からは、「(あなたは)私と話していますよ」という発言があった。更に続けて原告側弁護士は、「総論の認否が今からまた3カ月かかるとは到底思えない。個別の部分がすぐできると言っていたが私はむしろそちらの方が大変だと思う(以上要旨)」と発言した。
 これに対して被告側の笠原弁護士から、「総論の認否には神書が重要な小道具だ。神書の内容は膨大であり、これを全部分析しなければ総論部分の認否はできない(以上要旨)」との発言があった。
 原告側弁護士から、「神書に対する分析は刑事事件でも民事事件でも共通なはずだ。神書の分析ができていないというのはおかしい。我々は神書を全部読んだ。単なる手抜きだと思う(以上要旨)」とするやり取りが続いた。

 議論が堂々巡りとなったため裁判長は、「裁判所としては次回期日は9/16にしたいと思いますがいいですね」と割り込み、被告側弁護士もそれ以上反論しなかったので次回期日は2009年9月16日(水)午前10:10から同じ626号法廷で行われることが決定した。
 裁判長から被告側弁護士に対して第2回期日の一週間前までに準備書面を提出するようにと伝えられた。

 神世界側は請求棄却を求める答弁書を提出し全面的に争う姿勢を見せておきながら、第1回口頭弁論では訴状の認否を一切行わなかった。

 民事訴訟での第1回口頭弁論は準備書面の確認だけでごく短時間で終わってしまう場合が多いと聞いていたが、今回の口頭弁論の所要時間は12分6秒あり、思っていたより色々な展開を見ることができて傍聴に来た甲斐があったと感じた。

 閉廷後、裁判所内の別室にて原告側弁護士及び原告等が集まり、本日の裁判についての報告や今後の裁判に関する見通しなどが述べられた。
 第2回口頭弁論からは書面のやり取りだけでなく被告側代理人等も出廷するので、仕事の都合がつく方はぜひ引き続き傍聴をお願いしたい。多くの被害者が注目している事件であることを裁判所に理解してもらうためにも友人などにも呼びかけて傍聴に来てほしいとのことだった。

 以上により、第2回口頭弁論の日程は2009年9月16日(水)10時10分から、場所は今回と同じ626号法廷と決定した。

第1回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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4、第2回口頭弁論(2009.09.16)
9/16の国会前。報道関係者などで混雑していた
 2009年8月30日に行われた総選挙で”歴史的敗北”を期した自民党に代わって308議席という衆議院始まって以来の圧倒的議席数を獲得した民主党・鳩山新内閣発足の日、それが今日2009年9月16日だった。
 このため国会議事堂周辺は警察車両、マスコミ関係者等であふれかえった状態になっていた。せっかくの機会なので野次馬根性を出して議事堂前まで行き、写真を写してから第2回口頭弁論が行われる霞ヶ関の東京地裁に足を運んだ。

 神世界などに対する損害賠償訴訟の第2回口頭弁論は2009年9月16日(水)、東京地裁626号法廷で開催された。
 開廷時刻は10時10分とされていたが定刻になっても裁判官は現れず、傍聴にきていた人達は何度も時計を確認していた。広谷章雄裁判長と裁判官2名が入廷して口頭弁論が始まったのは定刻を8分過ぎた10時18分だった。神世界側の一部の者(びびっと)の準備書面が口頭弁論当日の開廷直前に出されたことが後に分かった。この確認を裁判官らがしていたために開廷が遅れたのかもしれない。
 被告側は代理人や被告本人など7名が出廷した。なお被告側代理人は下記の通りであるが、この日行われた第2回口頭弁論にはE2の被告は出廷していなかった。原告側は原告、弁護士総勢12名が出廷した。

被告代理人等
有限会社神世界、斉藤亨、斉藤葉子、日原易子、飯窪参希江 笠原静夫(笠原法律事務所)
尾崎幸廣(菊水法律事務所)
有限会社みろく、宮入英實、宮入英彰大森一志(大森法律事務所)
有限会社えんとらんすアカサカ、えんとらんすスリートゥー1、えんとらんすワールドヒルズ、佐野孝、佐野りら、淺原史利、淺原嘉子、栗山悦子、遠藤真弓 市河真吾、中島徹也(赤坂見附総合法律会計事務所)
びびっととうきょう、和田美和、和田健史門西栄一(門西栄一法律事務所)(2011年11月辞任)
有限会社プラス花、加藤京子、加藤久喜代理人が付かず、本人訴訟
有限会社E2、杉本明枝清澤清一郎(清澤法律事務所)

 開廷後、被告側が提出した準備書面に関する内容でやり取りがあったが、その大半は被告側準備書面が抽象的であるため裁判所として何が争点であるかが判定できないことに起因するものだった(詳細は下記レポート参照)。
 本日のやり取りの中で、「求釈明」という言葉が繰り返し述べられていた。「求釈明」は一般人にはあまりなじみのない言葉であるが、求釈明とは原告が被告が有利になるような証拠を持っているときにそれを提出させるなど、相手方にこちらに側に有利な事実の陳述や証拠の提出をさせるために行うものだ。分かりやすい表現で言えば、「もうちょっと説明してくれ」と言うようなことだ。
 ただし今回の事案では被告側代理人は神世界の前代理人・鈴木弁護士等が取り扱っていた神世界に対する損害賠償請求に関するデータ等を引き継いでいるはずであり、また被告本人から直接聴取するなどして積極的に調べようとする姿勢が被告側代理人にあればいちいち原告側が説明するまでもないことばかりである。原告側からは被害状況を詳細に記載した訴状が5月段階で提出されており、被告側代理人は訴状に記載された内容を調査・確認する時間は十分あったはずだ。
 本日の被告側代理人の弁論を聞いていると、代理人自らが努力して事件の真実を調べ事件を早期に解決しようとする姿勢は全くうかがえなかった。他の傍聴者も述べているが、被告側代理人は事件の解決を遅らせるために”牛歩戦術”でも取っているかと思わせるような弁論であった。

 次回期日の打ち合わせに於いても裁判長が、「これでは永久に決まらないですねぇ」とぼやきを述べるほど日程調整が難航した。
 結局10月は期日を入れることができず、第3回、第4回期日を下記に決定して10時48分に閉廷した。

・第3回口頭弁論 2009年11月12日(木)10時10分 626号法廷
・第4回口頭弁論 2009年12月16日(水)10時10分 626号法廷


第2回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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5、第3回口頭弁論(2009.11.12)

EXILEの祝賀曲に拍手を送られる天皇、皇后両陛下
 第3回口頭弁論の日である2009.11.12(木)は天皇陛下即位20年記念式典が皇居前等で行われる日でもあったため霞ヶ関周辺には多数の警察官の姿があり、東京地裁周辺にも警察官の姿が目立った。
 神世界に対する損害賠償訴訟の第3回口頭弁論は予定通り東京地裁626号法廷10時10分から行われたが、開始時にちょっとしたハプニングがあった。
 同じ626号法廷では神世界関係の口頭弁論の直前に武富士がらみの口頭弁論が予定されていたようだ。ところが当事者が誰も出廷していなかったようで、それを待つため10時10分になるまでは神世界事件関係者は法廷に入ることができず弁護士も含めた全員が傍聴席で待機する形になった。10時10分になって裁判長等が入廷し全員起立して裁判が始まったが冒頭で武富士関係者の所在が再確認され、その不在が確認されてからやっと神世界被害対策弁護団や原告が法廷内に入ることができた。
 原告側には神世界被害対策弁護団の弁護士11名と原告が着席した。原告側弁護士がずらっと並んだ様子はなかなか壮観で、傍聴席から見ていた被害者の一人は心の中で「皆様いつもご尽力を有り難うございます」と頭を下げていたとのことだ。
 傍聴席は16名ほどが着席していた。その中には数社の新聞記者の他、警察関係者?と思われる人もいた。
 被告側は被告代理人弁護士6名とプラス花の被告2名が着席していた。第1回口頭弁論の時と同じように3名の司法修習生も着席していた。

 この日の口頭弁論では開廷後すぐにEスクエア杉本被告の名前を裁判所側が呼んだ。しかし杉本被告は出廷しておらず、被告Eスクエア及び被告杉本の欠席を確認して口頭弁論が開始された。

 まず準備書面の確認が行われ、準備書面一部差し替えの報告等があった。準備書面による陳述確認は10分間ほどかけて行われたが、「Eスクエアは来ていないので陳述できない」と裁判長が述べた。被告Eスクエア及び被告杉本からは前回期日前に準備書面が提出されていたが、前回期日は欠席し、今回も欠席でしたので同書面は未だに本件の訴訟手続では陳述した扱いとはされていないことになる(同書面に記載した内容について主張した扱いとはされていない)。

 原告側弁護士から書記官を通して裁判長に「神書」が渡された。裁判長が神書を読んでどのような感想を抱くのか楽しみだ。
 プラス花が提出した準備書面に10ヵ所程コピーが薄くて判読できないものがあり、これを受け取った原告側弁護士が裁判長と確認作業をしなくてはならない場面もあった。これについてはちゃんと内容が見られるようにコピーし直して裁判所に送るよう裁判長が加藤被告に指示し、加藤被告は、「はい」と答えていた。

 「双方から準備書面が出ているのでそれぞれ対応していくことになりますが…」と裁判長が先へ進め、「どの原告がどの被告に請求するのか明確にして欲しい」との指摘に対し原告側弁護士は、「今準備中である」と返答した。
 データがないという前回の被告側弁護士の主張に対して裁判長が振ると、えんとらんすの弁護士が、「コピーを頂いて照合中。今回の原告がまぎれているのは確か。早い段階で可能な限り認否しようと思う」と述べた。


 第3回口頭弁論では、「神世界は宗教なのか?」という点についてやり取りがなされた。
 「ここは宗教ではない」発言について、原告側弁護士が、「ここは宗教ではないと言った事実も否認するのか」と質問したのに対し、

●神世界代理人
どのように説明してあったか把握していないが、「宗教ではない」という説明があったとしたならば、「今までの宗教とは全く異なる次元のものだ」と説明したことが考えられる。ここ(書面?)にもあるとおり、原告の「ここは有限会社です」と言われたのと併せて神様とか観音画を見せているのだから、宗教と全く離れた概念で言ったとは考えられない。

●えんとらんす代理人
各スタッフ(どういう発言をしたか)についてはわかりません。「宗教ではない」ということに関しては、少なくとも佐野さんの関係では言ってないとのことです。

●びびっと代理人
「宗教」に関しては不知。改めて検討して答える。

●みろく代理人
個々の方にどういう説明をしたか不明だが、(ここは)宗教であるという前提で話をした。

 以上のように被告側弁護士の返答は質問の趣旨とかみ合わない論点ずらしの返答に終始した。
 裁判長も「神世界は一般的に宗教ではないと説明していたか、原告に宗教と言っていたのか」という問いを被告側に発したが、それに対しても「個々のスタッフについては分からない」という無責任な回答だった。

 このやり取りの直後、被告側弁護士の一人が唐突に、「原告は宗教とはどう考えているんですか?」と質問した。これに対し原告側弁護士は、「宗教の定義が問題なのではなく、スタッフがお客さんに対して”ここは宗教ではない”と言って勧誘した事実の有無を聞いているのです」と断じた。これに関しては「口頭弁論での認否」に詳しい解説があるのでご覧ください。

 次回の第4回口頭弁論は2009年12月16日(水)午前10時10分開廷がすでに決まっていたが、本日は第5回口頭弁論の日程も決められ、2010年2月3日(水)13時30分開廷と決まった。以上で本日の口頭弁論は終了し、10:49に閉廷した。

落ち葉が舞う東京地裁前の通り
 この日の口頭弁論を傍聴していた被害者の一人は、「私たちはサロンで何度も「神世界は宗教ではない。会社だ」と聞かされてきた。当時は客である私達に警戒心を持たせないように『宗教ではない』と言っていたのに神世界側弁護士は的外れなことを言っている」と思いながら聞いていた。特に、被告側代理人が述べた”今までの宗教とは全く次元の異なる宗教”という発言には傍聴していた多くの人が強い違和感を感じた。
 ある被害者は、「神世界側弁護士はスタッフのヒアリングすら行っていない状態のまま出廷してきたことが判明した。一カ月以上の時間が与えられていたにもかかわらず、『分からない、それは不明です』と答える様子を見て、この弁護士達は神世界とこの間どう関わってきたのか更に疑問が湧いた」と感想を述べている。

 口頭弁論終了後、別室にて神世界被害対策弁護団から本日の口頭弁論でのやりとりの説明があり、今後の見通しも示された。
 傍聴した被害者の中には口頭弁論終了後にマスコミの記者の方から取材を受けた人もいた。神世界に対する損害賠償訴訟訴訟を初回の口頭弁論から継続して傍聴しているある記者は、神世界のやり方や被告側弁護人の体たらくに憤慨していたそうだ。


第3回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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6、第4回口頭弁論(2009.12.16)

丸の内のイルミネーション
 神世界に対する損害賠償訴訟の第4回口頭弁論は2009年も残すところあと半月ほどになった12月16日(水)に行われた。前日の夜、丸の内周辺を歩いてみると街路樹に無数のイルミネーションが点灯しており、幻想的な雰囲気が醸し出されていた。

 今回も626号法廷では前回と同様午前10時から別事件(SFコーポレーションという金融業に関するもの)での口頭弁論があったので、神世界関連の人達はそれが終わるまで傍聴席で待機していた。そちらの件は書記官と代理人と思われる人のやりとりがあり簡単に終わったようだった。その後、神世界事件関係の原告、被告側代理人らが法廷内に着席し神世界に対する損害賠償訴訟の第4回口頭弁論はほぼ定刻の10:10に開始した。

 原告側代理人は紀藤、江川、荻上弁護士が前列に座り、その後ろに原告や被害対策弁護団の弁護士など計13名が着席した。
 被告側代理人は、尾崎、市河、門西、新たに参加したE2代理人が座り、その後ろに加藤被告夫妻と大森、笠原弁護士の計8名が着席した。E2代理人として新たに加った弁護士については詳細な書類がまだ届いておらず氏名等は不明とのことだ。
 傍聴席には報道関係者、警察関係者、原告、代理人など約18名ほどが着席していた。

 口頭弁論の内容は準備書面の確認等が主たるものでさしたる展開はなかった。裁判長の、「準備書面の他に口頭で出したいことがありますか?」との問いに答えて、原告側弁護士が、「今回の準備書面の内容を見るときちんとした答えがいただけていない。『宗教でないとは言ってない』と主張されるとは予想もしていなかったので、よくもまあ抜け抜けと、という感じだ」と発言した。それに対して神世界側は一言も反論せず沈黙していた。
 この様子を見ていたある原告は、「この段階でしっかり釘を刺す発言をしていただけたのは嬉しかった」と語っている。
 裁判長の、「売上データの準備はいつ出来るか」との問いに、えんとらんす代理人は、「警察から原本の返却があったので年明けには準備したい」と述べ、他の系列代理人も同様に早く進めていくと述べた。E2の代理人は、「新任されたばかりなので見通しがたっていない」とのことだったが口頭弁論に臨む弁護士の態度としてこれはいかがなものだろうか。
 神世界被害対策弁護団では現在争われている第一次訴訟に続けて第二次訴訟提訴の準備も進めている。この日のやり取りの中で裁判長に対し原告弁護団長はこの第二次訴訟についても予備的な話を裁判長にしていたようだ。

 最後に裁判長から、「次回までに原告側は個々の原告が受けた不法行為の実態をまとめる作業を終わらせてほしい」、「神世界側は認否を終了しておいてほしい」、「書面は一週間前までには出してほしい」などの方針が示され、次々回の口頭弁論期日(第6回)を決定して開廷から約15分ほどで閉廷した。


 当日の口頭弁論を傍聴していた原告の一人は、「いよいよ来年から神世界が行ってきた悪行の核心部分が暴かれていくものと思われます。取り組んで下さっている原告側の弁護士さんは、毎回オフィス総出と思えるような大勢の皆様が出席して下さっていて弁護団の強い意気込みが伝わってきております。きっと来年はいい展開になると期待し確信しております」と語っていた。

 なお、被告の「プラス花(元、美っとスティジ)」の読み方は、「プラスはな」だと思っていたが実は、「プラスと読むのが正しいらしい。裁判長も「プラスと言っていた。”物事が良い方向に変化する”という意味で「プラス化(花)」という名称にしたようだ。「プラス化」という言葉は神世界の他の系列でも御霊光の効能を説明する際などに使われていたようで、その言葉をそのままサロン名にしたようだ。ただし「化」では印象が悪いので「花」の文字に置き換えたのだろう。
 初めて聞く者にとって神世界の各系列組織名は上記のように意味不明?なものが多いが、今回、裁判長も、「みろく」を読み間違えて「みうらく」と発言した場面があり、今回もしっかり笑いをとっていた(笑)



7、第二次損害賠償訴訟提訴(2009.12.25)


第二次訴訟を報じた新聞記事
 2009年12月25日(金)のクリスマスに神世界被害者24名は「神世界」ほか25名に対し7426万5792円の支払いを求める損害賠償訴訟を東京地裁に提訴した。新たに提訴したのは10都道県の30〜60歳代の女性23人と50歳代の男性1人。
 これにより現在係争中の損害賠償訴訟と合わせた原告の人数は41名、訴額合計は2億4301万8108円となった。

第一次訴訟 平成21年5月25日
訴額 1億6875万2316円(内実損額1億2228万4290円)
原告17人 神世界含む被告25人

第二次訴訟 平成21年12月25日
訴額 7426万5792円(内実損額5381万5794円)
原告24人 神世界含む被告25人

 原告側は訴状で、「宗教性を感じさせないサロンに原告らを勧誘した」とした上で、「悩みを悪用して詐欺や恐喝的な文言で怖がらせ、多額の金を出させた」、「御霊光を受けなければアトピーが治らないなどと不安をあおり、高額の祈願料を支払わせていた」、「御祈願しなければがんが治らないなどと原告らをだまして脅迫し、多額の金銭を違法に収奪した」などと主張している。第二次訴訟の原告となった人達の訴額は人によって違うが一人約45万〜1500万円となっている。

 12月25日、東京・霞が関の弁護士会館で記者会見した被害対策弁護団長の紀藤正樹弁護士「この2年で組織の実態が解明でき、違法性が立証可能と判断した。神奈川県警には、刑事事件としても立件できるよう頑張ってもらいたい」と話した。
 被害対策弁護団は東京地裁に対して5月に提訴した第一次訴訟との併合審理を求めている。




8、第5回口頭弁論(2010.2.3)

2月3日は節分。「神書」には豆ま
きについて間違った記述がある。
 神世界に対する損害賠償訴訟の第5回口頭弁論は節分に当たる2月3日(水)の午後から行われた。前回までの口頭弁論は午前中だったが今回だけは午後の時間帯となった。
 法廷はいつもの626号法廷。原告側弁護団は15名がずらりと並び、被告側弁護士は8名が出廷していた。傍聴席の人数は前回よりやや多い感じで約20名程の人達が傍聴しており、男性が多かった。一目で警察関係者?と分かる人物は見あたらなかったが、ひょっとするとラフな格好の男性傍聴者の中に混じっていたのかもしれない。マスコミも数社の記者が来ていた。

 本日の口頭弁論はほぼ定刻どおり午後1時30分に開廷した。まず裁判長から訴訟の進め方について説明があり、今回からは昨年末に提訴された第二次訴訟(原告24名)とこれまでの訴訟(原告17名)を併合審議して行くことが示された。これにより神世界等に対する損害賠償訴訟は原告41名、訴額合計は2億4301万8108円となった。

 本日の口頭弁論では、原告側からは被害金額変更者等の準備書面の一部取り下げがあった。原告個々の具体的主張(不法行為の実態)についてはまだ調整中であり、本日までには間に合わなかったとのことだった。
 えんとらんすアカサカは一部原告の損害について認否を行い、警察に押収されていた書類が還付されたので今後実態を調べて分かる範囲で認否をしてゆくことを約束した。びびっとは、「もうすぐ押収されていた物が還付される模様だが、段ボール200箱分を調べるには相当の時間が必要」と主張した。神世界、Eスクエアからは準備書面の提出はなかった。
 審議をスムーズに行うためか、裁判長が「原告は(被害状況の)表を作成し、各被告はそれを埋めること」といった提案をした。

 次々回の日にちを決めようとした時に、「プラス花」の加藤被告(女性)が手を挙げて裁判長に意見を述べた。
 加藤被告は、「この裁判で私共は書面できちんとお答えして、認否も主張もしっかりしてきているので、他を待たずに神世界とは別に裁判をしてもらいたい」と主張した。
 これに対して裁判長は「原告の主張が出揃っておらず、判決を出すまでには煮詰まっていない。要望としては承っておくが今の時点では時期が早い」と述べた。
 他の被告側代理人がのらりくらりとした対応をしている中で、”裁判をもっと迅速に進めて早く判決を出したいという前向きな姿勢には拍手を送りたい気持になった”という傍聴者もいた。”このやり取りが今日一番のハイライトだった”と感じた人もいた。

 この後、今後の進め方についての話があり、次回4月21日(水)の第6回口頭弁論は10時10分から約20分間口頭弁論を行った後、11時まで準備室にて裁判官と両弁護士とで今後の進め方について進行協議を行うことになった。
 第7回口頭弁論の日程についても調整が行われ、次々回は6月9日(水)の10時30分からとなった。

 最後に裁判長が、「次回でひとつの区切りができて、被告側の認否反論となるように」と述べた。

 傍聴していた原告の一人は、「今日は双方の応酬があったわけでもなく、裁判長が淡々と今後の進め方を説明するという流れでしたが、少しずつ前進しているのは事実です。私達のような被害者を二度と出さない為に、今年も裁判をしっかり見守っていきたいと思います」と述べていた。
 口頭弁論終了後に別室で行われた説明の中で被害対策弁護団の弁護士は、「被害者の皆さんからすると進展がないと思われるでしょうが、実はいろいろやっています」との説明があった。
 原告の一人は、「時間はかかりますが、確実に進んでいますよ!皆さん!!」と述べている。




9、第6回口頭弁論(2010.4.21)

改修工事中の東京駅丸の内駅舎
この日の東京地方は25度まで気温が上がった。
 2010年春の天候は不順で、野菜等の値段が高騰したり、いつまでもコートが手放せない状態が続いていた。しかし第6回口頭弁論が行われた4/21(水)の東京の天気は快晴となり、最高気温は前日より9度も高い25度まで上がった。翌日(22日)は強い雨模様の天気となり、11度も気温が下がるとの予測も出されており、神世界に対する口頭弁論が行われた21日だけがきわめて良い天気に恵まれたことになる。21日の青く晴れ渡った東京の空は、あたかも今後の口頭弁論が原告にとって良い結果となっていくことを象徴しているかのように感じた。
 口頭弁論終了後、東京駅まで移動すると丸の内駅舎の見慣れた赤レンガの建物は工事中で建物全体が作業テントで覆われていた。丸の内駅舎は創建当時の姿(3階部分にドームがあった)への復元を行う工事が行われているとのことで、完成予定時期は2010年度末とされている。東京駅丸の内駅舎に3階ドームの姿が復元される頃には神世界に対する損害賠償訴訟も大きな進展があるのではないだろうか。


 626号法廷では10時過ぎから他の事件の口頭弁論が行われていた。事件内容がどのようなものかよく分からなかったが、原告側、被告側から提出された準備書面の確認作業が淡々と行われ、実質的な審議はほとんどないまま10:10直前に終了し、その後慌ただしく神世界事件関係の代理人などが法定内に入った。
原告17名が受けた被害を詳細に綴った準備書面
ページ数281ページ、厚さ3cmに及ぶ(写真はイメージ)
 神世界関係の口頭弁論が始まる前、原告側スタッフが大きく重そうなキャリアバックを引いて傍聴席に座って準備をしていた。「裁判が終わったらどこかに旅行にでも行くのかな?」と思って見ていると、女性スタッフがチャックを開けたのでバックの中味が見えた。バックの中には数十冊もの裁判資料が隙間なくぎっしりと詰まっており、女性スタッフはその資料を次々と取り出して原告側代理人に渡していた。この膨大な資料は裁判長にも渡されていたが、その中には平成21年5月25日付訴状記載の原告17名が受けた損害を克明にまとめた準備書面も含まれていたようだ。弁護団の説明によると原告17名の被害状況をまとめた準備書面は、A4用紙281ページ、厚さ約3cmにも及ぶ膨大な書面とのことだ。


第6回口頭弁論が行われた法廷

 第6回口頭弁論では、まず最初に裁判長から今回から裁判官の一部が入れ替わっている旨の説明があった。
 口頭弁論の冒頭部分では、準備書面の確認や求釈明についての確認が行われたが、被告側求釈明の内容について裁判長が、「法律構成要件についての求釈明なのか、具体的事実についての求釈明なのか?」と問いかけたのに対して被告側代理人は、「法律構成要件についての求釈明である」と答えた。
 これに対して原告側代理人からは、「従前の求釈明に対して被告側はきちんと答えていない。原告側が提出した書面では、(原告らが受けた)具体的事実に基づき述べている。被告側も神世界の取締役からどのような指示が出されていたか等を明らかにするとともに、認否をする際も具体的事実について認否してほしい」と被告側に注文をつきつけた。  これを受けて裁判長は、「事実関係を明らかにする方がよい。今回の被告側認否は積極的認否ではない」と被告側の姿勢が消極的であることを指摘する発言があった。

 具体的認否を得る方法として原告側から提案があり、Excelで一覧表形式の認否確認表を作成し、○(認める)、×(否認)、△(不知)と印を付けていく方法はどうかという案が出され、被告側も取り敢えずそれでやってみて、結果を見て最終的にどうするかを判断したいと同意した。裁判長も、「そういう形でやりましょう」と同意した。

原告17名が受けた被害

ここをクリックすると第6回口頭弁論にて原告・被告双方から裁判所に提出された準備書面の内容についてまとめた、「原告17名が受けた被害」の記事があります。

 原告側から二種類の神書が裁判長に提出された。これに対し裁判長から、なぜ同じ神書が二つ提出されたのかとの問いがあり、原告側から「奥書に書かれた発行者名が変化しているので二種類提出した」と説明があった。
 また神書について、慶応大学の准教授が書いた意見書も証拠として提出したことが報告された。
 原告側は証拠として各サロンが発行していたチラシ類も裁判所に提出した。チラシの内容は、系列が違っても記載内容には共通点が多く、いずれもが宗教性を秘匿した内容となっている点について説明が付け加えられた。
 えんとらんすの淺原がスタッフに対して、「8割以上の客を”リピーター”として再度サロンに足を運ばせるように」と指示したことを示す文書も証拠として提出された。

 この後、裁判長から次々回(第8回)の日程について打診があり、7月21日(水)の午前10時10分からと決定した。なお第7回の口頭弁論期日は6月9日(水)の午前10時30分からとすでに決まっている。

 原告側代理人から、「(齊藤亨)が会主から教主になった時期について「不知」となっているが、被告側は最近では自らを宗教だと言っており、組織のトップが教主になった時期が分からないのはおかしい。このようなことまで「不知」とするのは避けてほしい」と発言があった。
 これに対してアカサカ代理人は、「私たちが聞き取った範囲ではよく分からなかった」と述べた。
 原告側代理人は、「末端のスタッフなどが知らないというのであればそういうこともあるかもしれないが、佐野や和田までもが知らないというあり得ない」と指摘した。
 アカサカ代理人は、「佐野はアメリカに行っていた時期があり、その間は組織内部のことについて知らないこともある」と発言した。

 こうした一連のやり取りを見ていた裁判長から、「当然知っているであろうことを『不知』とした場合、『否認』ではないのでその内容について認めたものとみなすことになる」と発言があった。被告側代理人があまりにも真実を明らかにしようとする姿勢に欠けていることに裁判長も呆れているように見えた。
 この日は口頭弁論の後、裁判所と双方の代理人による「進行協議」が予定されていたため、10:30頃に口頭弁論は終了した。
進行協議とは、民事訴訟規則第95条に、「進行協議期日」として定められた裁判手法の一つだ。


民事訴訟規則第95条
裁判所は、口頭弁論の期日外において、その審理を充実させることを目的として、当事者双方が立ち会うことができる進行協議期日を指定することができる。この期日においては、裁判所及び当事者は、口頭弁論における証拠調べと争点との関係の確認その他訴訟の進行に関し必要な事項についての協議を行うものとする。



 進行協議に対する一つの見方として、「当事者の目が届かないところで実質的な処理が進んでしまう危険性がある」と否定的に捉える人もあるが、神世界被害対策弁護団としては神世界事件のように被害者が多く、社会的影響も大きく、マスコミも注目している事件の審理は口頭弁論という公開の場で審議を進めるのが最善と考えている。
 21日の口頭弁論後に原告代理人、被告代理人、裁判所の3者で行われた進行協議の内容は、次回や次々回の口頭弁論までに原告側、被告側がどのような書類を提出するかなどの段取を調整し、今後の口頭弁論の実効が上がるように裁判所が”交通整理”を行ったのが進行協議の内容であり、審議はあくまでも公開の場で行うとのことだ。

第6回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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10、第7回口頭弁論(2010.6.9)

東京メトロ霞ヶ関駅構内の地下鉄サリン事件
追悼碑
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 神世界等に対する損害賠償訴訟の第7回口頭弁論が2010年6月9日に東京地裁で行われた。この日の口頭弁論はいつもより開始時刻が少し遅かったので、地裁に向かう前に東京メトロ霞ヶ関駅構内にある「地下鉄サリン事件追悼碑」を参拝した。
 今年は地下鉄サリン事件が起きてから15年の節目の年に当たる。神世界はサリンこそまかなかったが、神様を騙り、多くの犠牲者を出した点ではオウム真理教の悪質さに負けていない。追悼碑の前で犠牲になった方に黙祷を捧げてから東京地裁に向かった。

 雨の中、東京地裁に着いた。前回、裁判官が1名交代したとの報告があったが氏名などの確認ができていなかったので、法廷に入る前に1階ロービーに置かれている当日の裁判一覧表を閲覧した。
 その結果、民事部第50部(626号法廷)の裁判を担当する者として、裁判長・廣谷章雄、裁判官・和久田道雄、裁判官・原田佳那子、書記官・森川博之の氏名が書かれており、和久田裁判官が新たな裁判官であることが確認できた。
 神世界等に対する損害賠償訴訟は、第一次訴訟が、「平成21年(ワ)17050号」であったが、第二次訴訟の方は、「平成21年(ワ)47212号」という裁判名になっていた。前回からこの二つは併合審議となったので、10:30からの裁判名には両方の番号が記載されていた。第一次訴訟の原告は16名、第二次訴訟の原告は23名、計39名の原告が被告・(有)神世界外24名を訴えているのがこの訴訟だ。

 この日、午前10時から626号法廷では別の事件の口頭弁論が行われていたが、傍聴は誰でも自由にできるので参考までに傍聴した。係争の内容は損害賠償訴訟のようであったが、やり取りの中で興味深い内容があった。準備書面の中には、原告・被告間で交わされた会話の内容を収めたボイスレコーダーの記録があったとする内容が書かれていたようだ。裁判長がその所在を被告に尋ねたところ、被告は、「そのときは、このような裁判になるとは思っていなかったので消してしまいました」と答えると、廣谷裁判長は「エーー!」という顔で、「え!消してしまったの?残念だなぁ・・・。それがあればいい証拠になったんだけどねぇ・・」と述懐した。
 神世界に今でも通っている人がこの記事を見ていたら、是非サロン内での会話をボイスレコーダーに録っておくことをお勧めする。将来、自分が原告になった際には、それが大いに役立つかもしれない(笑)
 この裁判は10分ほどで終わったので、神世界関連裁判まで20分ほど待つことになった。

 10:30が近づくに連れて神世界側、原告側の人達が続々と入廷してきた。法定内の人数や人物配置は前回とほぼ同様で、原告側は紀藤弁護士を初めとして16名ほど、被告側は8名の被告及び被告代理人が着席した。被告側で被告本人が出廷したのはこれまでと同じくプラス花の被告夫妻だけで、それ以外は代理人が出廷していた。傍聴席は今回もほぼ満席に近い状態となり、警察関係者も傍聴していたようだ。

 開廷前に、「今朝届いた書類です」と言いながら書面が慌ただしく原告代理人に配布された。被告側は、またしても、「遅くとも一週間前には準備書面を届けるように」との裁判長の指示を無視し、当日になって準備書面を出してきたのだ。
全部△が付けられた準備書面(4)
(イメージ)
 ほぼ定刻の10:31になって裁判長らが入廷し、全員起立の後、口頭弁論が開始された。まず双方から提出された準備書面の確認が行われたが、廣谷裁判長は、「被告・(有)神世界から全部に△をつけた準備書面(4)が出された。これは被告・(有)神世界としては現場は分からないということですね?」と改めて被告代理人に尋ねた。これに対して被告代理人は「はい」と答えた。感情表現が豊かな廣谷裁判長は、思わず、「まぁ〜・・・」と声を出し、このとんでもない準備書面の内容に呆れ果てたという仕草を見せた。
 みろくは原告の金銭支払い認否については「まだ検討中」との返答だったが、「すでに資料は警察から還付されていますよね?」との問いに、「すでに還付はされていますが確認には1カ月半くらいはかかりそうだ」と回答。
 E2は原告の金銭支払い認否について、「4トントラック2台分の資料が警察に押収されており、資料の還付がまだなので確認できない。資料が戻り次第確認したい」との回答だったが、E2の杉本被告は現在の住居が狭く、トラック2台分の資料を警察から返されても保管する場所がないので還付を受けることができない状況にあるとのことだった。
 アカサカは原告の金銭支払い認否について、「第一次訴訟分については現在分析中なので次回には認否ができそうだ。第二次訴訟分についても現在調査中だ」と答えた。
 びびっとは原告の金銭支払い認否について、「他と同様だ。全てを認否できるようにしたい」と答えたに留まった。
 プラス花は原告の金銭支払い認否が具体的かつ詳細に行われているとのことだ。原告代理人はプラス花の対応について、「金銭支払いを認めるにしても、否認するにしても付随する情報を提示しているので日時の誤りや項目の誤りなどがあった場合にも原告・被告間で調整が可能だ。他のところも原告に関する収支資料を提示して認否をしてほしい」と申し入れていた。
 こうした中で、尾崎幸廣弁護士が、「原告は、これだけの支払いをしたと主張しているのだから領収書を受け取っている筈だ。それを出せばいい」と主張した。私はこの発言を聞いて、尾崎弁護士はひょっとすると神世界がどのようなところか全く知らないのではないか?と思った。神世界のサロンでは客から金を受け取っても領収書は発行しないのが常の姿であり、一部の客が領収書の発行を強行に求めた際も、「それを何に使うのか」などと言って領収書の発行を渋ってきた団体だ。領収書がないために原告は被害実態をまとめるに当たり非常に苦労している。
 尾崎弁護士が神世界では領収書を発行していなかったことを知っていながら上記の発言をしたのであれば原告に対する新たな挑戦であるし、知らずに発言をしたのだとすれば被告代理人として極めて調査がお粗末であることを露呈したに過ぎない。尾崎弁護士のこの発言を聞いていた他の被告側代理人も、さすがにこの発言を援護する者はいなかった。

 最後に、廣谷裁判長は、「まず、認否を先行させましょう」と述べ、再度被告代理人に対して、「当日に準備書面を出したりせず、少なくても一週間前までには書面を出すようにして下さい」と伝えた。
 次回期日(第8回)はすでに7月15日(水)と決まっていたので、次々回期日の設定が行われ、次々回(第9回)は夏休み期間中を外して9月21日(水)の午後3時からと決まった。
 10:57閉廷。

 口頭弁論終了後、別室にて被害対策弁護団から本日の口頭弁論の内容等について説明があり、今後の口頭弁論の進め方についても概要が説明された。
 神奈川県警に提出した刑事告訴の件については現在進行形の事案であるため詳細を述べることはできないが、「動いている」とのことだった。



11、第8回口頭弁論(2010.7.21)

合同庁舎6号館にある公安調査庁
 神世界等に対する損害賠償訴訟の第8回口頭弁論が2010年7月21日、午前10時10分より東京地裁で行われた。この日の東京は都心でも気温が36.3度まで上がり、2008年8月以来2年ぶりの猛暑日が記録された。非常に暑い中であるにも係わらず、たくさんの方が傍聴に来てくれていた。

 7月21日は、「公安調査庁設置記念日」でもある。公安調査庁は東京地裁のすぐ裏手にある中央合同庁舎6号館にあるので裁判終了後に行ってみたが、入口には警備員が常時詰めており、建物の中に入ることはできなかった。
 公安調査庁は、オウム真理教(現アレフ)の施設に定期的に立ち入り調査を行ったり、北朝鮮の動向調査、極左・極右団体の監視、共産党の動向監視などを主な任務としており、体制擁護のための諜報活動を行っている国の機関だ。「公安警察」と「公安調査庁」とは別の組織であり、公安警察は捜査機関、公安調査庁は情報機関に分類されている。
 神世界と公安調査庁とのつながりと言えば、びびっととうきょうが等々力でサロンとして使っていた建物の所有者が緒方重威・元公安調査庁長官であった件が思い出される。緒方元長官の住居は目黒区柿の木坂にあったエレヴァシオンというサロンのすぐ裏にあり、緒方元長官と神世界との間には密接な関係があったのではないかと推測されたが、真相は闇の中に埋もれたままだ。
 緒方重威・元公安調査庁長官は現職時代に自分が監視する相手であった朝鮮総連本部ビル売却に関する詐欺容疑で、2007年6月28日に東京地検特捜部に逮捕され、後に起訴された。


裁判所1階での確認
 裁判所1階に置いてある本日の裁判一覧表を確認してみたところ、裁判官がとして新たに布施雄士、書記官として石原晶美の2名が追加されていた(しかし裁判が始まってみると裁判官はこれまでの3名、書記官はこれまでと同じ男性書記官1名だった)。

開廷前の法定内
 当日の626号法廷は、10時10分以前には裁判がなかったので、626号法廷は午前10時を過ぎてもまだ鍵がかったままだった。10時5分頃になって書記官が法廷の扉を開き中に入ることができた。
 今回も原告側弁護団の女性係員が運んできた大きなキャリーバックの中にはぎっしりと準備書面などが詰め込まれおり、次々と原告側弁護団に書面が配布されていた。被告側弁護団からは、これまで何度も裁判長から注意がされていたにも係わらず、開廷直前に新たな準備書面が裁判所に提出されていた。
 原告団は法定内に15名、傍聴席に2名の計17名、被告側はプラス花の被告2名とその他被告の代理人名5名の計7名が出廷。傍聴席は8割程度が埋まった状態で、傍聴席には警察関係者の姿もあった。

10時15分開廷
 定刻を少し過ぎた10時15分になって裁判長らが入廷し、口頭弁論が開始された。まず廣谷章雄裁判長が双方から提出された準備書面や陳述書の確認を下記のように行った。
 ●原告側から準備書面(「個別論ですね」と裁判長)
 ●みろくから準備書面7
 ●いま出されたのがE2の陳述書
 ●えんとらんすの準備書面6(「これは損害の認否ですね」と裁判長)
 ●プラス花の準備書面5
 ●プラス花から書証が出ていますね(乙号証Hの13、14)
 ●「びびっとは?」との裁判長からの問いかけに、「準備中」、「次回までには」と門西代理人
 ●「(有)神世界は個別の認否についてはよくわからないということですね」と裁判長が念押し

 こうした準備書面などの確認の中で、えんとらんす代理人及びE2代理人は、「かなり整理できてきた。次回までには個別の被害状況認否はできる予定だ」と回答した。えんとらんすは個別の被害状況について○(認める)としたものもあるが、回数の違いや年度の違いなどがあり「一部を認める」としたものもあると回答した。
 原告側代理人は、「幹部として働いていた者の証言なども得ており、(神世界と各社の)団体性についても今後主張して行きたい」と述べた。
 裁判長から、「個別の被害状況については徐々に見えてきたようだ。原告側として何を捉えて『不法』とするのかを具体的に出してほしい。できれば簡潔にまとめてほしい」という言葉があった。
 この後、裁判の進め方について原告、被告、裁判長の間で若干のやり取りがあり、進行協議は設けずにこのまま口頭弁論を進めて行くことが確認された。

 次々回以降の日程調整になったが、みろく代理人が水曜日の午前中は都合が悪いとのことで今後の日程はいずれも水曜日の午後3時からとなった。口頭弁論の日程や時間は代理人の都合によって決せられるようだが、遠方から参加している原告や傍聴者は午後3時からの開廷では非常に参加しにくいという声が多くあった。口頭弁論の主体である原告の都合にも配慮した時間設定ができないものだろうか。

 ■第9回口頭弁論 平成22年9月15日(水)15:00より
 ■第10回口頭弁論 平成22年11月17日(水)15:00より(後に16:30に変更)
 ■第11回口頭弁論 平成22年12月22日(水)15:00より(後に16:00に変更)

 閉廷直前に廣谷裁判長から、「準備書面は当日出すことのないように(一週間前までには出せという意味)」と再度の注文が出された。被告側代理人はこれまで何度も同じ注意を受けており、被告側代理人の「行儀の悪さ」には、裁判長も辟易しているようだ。
 以上で第8回口頭弁論は終了した。
10時35分閉廷


 口頭弁論終了後、地裁内の別の場所にて原告団弁護士から本日の口頭弁論の内容についての説明や今後の進め方についての説明や質疑応答が行われたので、その内容を簡潔にまとめてみた。

  1. 第8回口頭弁論では原告側は新たに110ページほどの準備書面を提出した。原告が主張している被害状況の被告側認否も徐々に出てきているが、かなり食い違っている部分もあり、今後更に詰めていく必要がある。

  2. 刑事告訴について水面下での動きはあるが、まだ大きな動きにはなっていない。あれだけ悪いことをしておきながら何も立件されないようなことになれば、「あそこまではやっても大丈夫」というおかしな基準が作られてしまい、社会に与える影響は非常に大きい。原告側としては何としてもこの事件を立件させ、このような事件が割に合わないものであることを知らしめていきたい。

  3. 警察という組織は、元々宗教がらみの詐欺事件をあまり積極的に取り扱おうとしない組織だ。刑事告訴はまだ正式に受理されてはいないが横浜地検も内容は把握している。現時点では横浜地検に被害者の声を集中させることも効果的だ。

  4. 事件発生から年数が経過しており、時効が近づいている案件もある。時効についても考慮しながら作業を進めている。

  5. 口頭弁論は時間がかかるものだが、被害者の皆さんがたくさん傍聴に来てくれることで裁判所にも被害者の思いが伝わるものだ。何かと大変だと思うが、できるだけ多くの方に傍聴をお願いしたい。


 以上のように、この裁判(口頭弁論)を原告勝訴に導くためには、被害者の皆さんが主体的に動くことが重要です。自分にできることは何かを考え、それぞれの立場で最大限の活動をしていきましょう。


第8回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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12、第9回口頭弁論(2010.9.15)

2010年9月15日の東京地裁
猛暑も去り、地裁にも秋の気配が
 東京地裁では前日まで元俳優・押尾学に対する公判が開かれており、連日傍聴を求める人の長い列ができていた。しかし、神世界等に対する損害賠償訴訟の第9回口頭弁論が行われた9/15の東京地裁前はそうした混雑もなく、少し秋めいてきた涼しい気候の中で午後3時から、いつも通り第626号法定で口頭弁論が行われた。

 今回の口頭弁論の陣容は、原告側代理人14名、被告側代理人8名で、傍聴席は開廷前は13名だったが、その後増えた可能性がある。

15:03開廷

 まず、廣谷裁判長が、

 ●びびっとの準備書面6の陳述
 ●みろくらの準備書面8の陳述
 ●E2の準備書面2の陳述
 ●えんとらんすアカサカらの準備書面7の陳述

と、被告側から提出された準備書面の確認が行われた。続いて裁判長は前回指示した団体性(の違法性)に関する書類が原告側からまだ出ていないことについて指摘があった。これに対して原告団の弁護士が、「まだ準備中であり、今回は間に合わなかった。個別の主張に関する認否によって内容が変わってくるので…云々」との返答があり、続いて原告側弁護団長から、「今、並行して準備中だ。被告の認否と違法性は個々の主張に関わってくるので被告の認否が終わらないと…云々」などの説明があった。

 続いてえんとらんす代理人の市河弁護士が発言した。
 「今日までに間に合わなくて〇○さん(原告の名前)分しか(認否が)出来なかった。他の原告(△△さん、□□さん)に関しては次回までに認否したい」などと発言した。一応作業をやっているという表明をしたのはえんとらんす代理人のみで他は無言だった。被告側代理人は何をどこまでやっているのかさっぱり分からない状態だった。

 原告側弁護団長から、「認否表に関して照合表を今作っているが、その作業が大変…」と発言があり、裁判長も、「そうしてもらえると助かる」と述べた。

 そして、ここで廣谷裁判長が重要な発言をした。
 被告側は次回までに認否をしていただいて、今後のスケジュールとして…、裁判所としては平成24年1月には判決を出したい(ここで原告側・被告側ともにどよめきが起きた)。そうすると(口頭弁論の)終結は平成23年10月になる。
 今回、一期日分主張が遅れたので、予定していたスケジュールと一期日ずつずれる。平成23年10月に終結するとすると、6月までに主張整理、書面の提出は4月までに終えてもらいたい。もうこれ以上は遅れられないので、次回は必ず提出するようにしてください。準備書面を当日に出されるのは困るので期日を守ってほしい。


 以上のように廣谷裁判長は述べ、平成24年1月に判決を出す予定であることを初めて明らかにした。平成23年ではなく、平成24年1月なので、判決までにはまだ1年以上かかる訳だが、原告団の弁護士によると、これでも早い方とのことだ。今後の口頭弁論では人証を行うなどして、訴状の内容について審議が行われていくようだ。

 続いて次回以降の日程確認が行われ、次回の第10回口頭弁論は、これまでの予定では平成21年11月17日(水)15:00からの予定であったが、裁判長らが証拠調べの時間を確保したいとのことで、16時30分開廷に変更された。平成21年12月22日(水)15:00から予定されていた第11回口頭弁論も16:00からに変更された。

 これで終わるかと思っていたところ、プラス花の被告(女)から発言があった。
 「2/3に要望として、団体神世界から離れて裁判をしたいと申し出たが、再度お願いしたい。既に神世界からは離脱しており、独自に書類提出を済ませているが、他の書類提出が遅れていることで一緒に遅らされてしまうことが納得出来ない」と不機嫌気味に訴えた。これを聞いていた他の被告側代理人は無言だった。
 これに対し裁判長は、「将来的には考えるが、今は難しい。確かに他の被告とは一線を画しているところがあるので、その点を踏まえて考えていきましょう」という趣旨のことを原告代理人の方に向かって述べた。

15:15閉廷

 口頭弁論終了後、別室にて原告らに原告団弁護士から今後のことなどについて話があった。来年7月頃になると思われる当事者尋問は原告の人数が多いため、多少の人数調整があったとしても連日、当事者尋問が行われる可能性もありそうだ。

 弁護団からの説明に出てきた、「人証(にんしょう)」という言葉は聞き慣れない言葉だが、人証とは証拠の種類の一種を指す裁判用語だ。訴訟では証拠を「紙に書かれたもの」、「人によるもの」と分け、紙に書かれた証拠を「書証(しょしょう)」証拠が人の場合を「人証」という。
 証拠が人の場合は、「証人尋問」と「当事者尋問」の2種類の尋問があり、当事者というのは訴訟の原告や被告、証人というのは当事者以外の人のことだ。


 上記の通り、次回及び次々回の口頭弁論予定時刻が変更になったので下記が次回以降の予定だ。第12回口頭弁論の日程については今日は設定されなかった。

 ■第10回口頭弁論 平成22年11月17日(水)16:30より
 ■第11回口頭弁論 平成22年12月22日(水)16:00より


第9回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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13、第10回口頭弁論(2010.11.17)

11/17、小雨の日比谷公園
松本桜近くの紅葉した木々
 平成22年11月17日(水)に行われた神世界に対する損害賠償訴訟・第10回口頭弁論の開始時刻は午後4時30分からというこれまでになく遅い時間からとなった。午後1時過ぎに地裁に着くとカメラを携えた報道関係者の姿が目立った。この日午後からは、「1票の格差」が最大5.00倍になった今年7月の参院選は「憲法違反だ」として訴えた裁判の東京高裁判決があったので、マスコミはこの裁判の取材に来ていたのかもしれない。
 またこの日午後からは、ある傷害事件の裁判もあった。強盗に入った複数の暴力団組員が被害者を脅し傷害を負わせて金を奪った事件の裁判(平成20年合(わ)第584号)だが、この裁判では被害者8名が改正暴対法に基づき、実行犯3名に対してだけでなく、服役中の山口組組長に「使用者責任」があるとして1500万円の損害賠償を求めている。
 神世界事件の構図も暴力団犯罪と似た”組織性”があり、組織のトップは直接犯罪行為に手を出していなくても、配下の者を使って一連の行為を行ってきた。神世界事件に於いても手先となって”活躍”した者だけでなく、神世界トップの責任を厳しく追及する必要がある。

16:33開廷

 今回はいつもの男性書記官と違って女性の書記官が法廷内の対応をしていた。これまでになく遅い時間からの開廷ということもあってか、傍聴席はまばらだったが、被害者はその展開をしっかり見ており、法廷内のやり取りはこうしてネットで公開されていることを神世界関係者も忘れてはならない。
 今回の口頭弁論を傍聴した人は、これまでとは違った面白いものを見たかもしれない(笑)。今回の口頭弁論では今までになくエキサイトする場面がちらほらと見られた。例えていうと、神世界新聞のアホらしさと同様のものが法廷でも展開されたとも言え、”これが神世界なんだ”という姿が改めて浮き彫りとなった感があった。

 流れとしては、いつものようにまずは下記のような書面の確認が行われた。
 ●原告から求釈明申立書3・4、準備書面5の陳述
 ●被告びびっととうきょうの準備書面7陳述
 ●E2らの準備書面陳述
 ●みろくらの準備書面陳述
 ●神世界らの釈明書陳述
 ●えんとらんすアカサカ -> 代理人が書面を持ってくるのを忘れた

 今回は、原告から団体性についての主張が出た。「同じ手口で組織的にやっている」という主張。
 「被告は個別的な認否はしないということか」という廣谷裁判長の問いに対し、びびっと代理人が「できないということです」と返答。
 E2代理人は「今回は間に合わなかったので次回出す」。
 えんとらんす代理人は「聞き取りは終わっているので、今週中には書面を出す」と返答した。

 原告側代理人が「総括表の抜け落ちているところの○付けを終わるようにしてほしい。総括で出ているのであれば個別でも分かるのではないか? 結論として、すべてのグループにおいて手口は同じで、それを組織的に行っている。昨年11月9日付の書面で組織性について主張したが、えんとらんすとみろく以外認否が出されていないので早く出してほしい。もう一年経つので認否はできるだろう。えんとらんすとみろくも、より具体的な認否をしてほしい。“宗教的な儀式”とかでなく、祭典内容を具体的に説明してほしい」と述べた。

 それに対し、えんとらんす代理人が「具体的な儀式の説明ということでしょうか」と質問した。

 原告代理人は「参加者はこちらで分かる範囲で出しています。日も決めて定期的に開かれている会、系列の代表者が集まって行われているので忘れているということはない」と述べると、”そんなの分からないよ”と言わんばかりの被告側代理人の反応。失笑まじりのやりとりがしばらく続き、次回、被告が関係する限りで分かる範囲で出すということになった。

 更に原告側代理人は鋭く主張していく。
 上申書3枚目の証拠提出について、「プラス花以外、証拠を出していない。認否する際は否認の根拠を示してほしい」。
 それに対し、E2代理人が「言葉のやりとりが多くて現時点でお出しできる証拠を出すのは難しい。どういったもののことなのか伺いたい」と質問。
 原告側代理人が、「祭典時の言動等を示してほしい。否認されるのであればその根拠を出してほしい」と返答すると、そこへ神世界代理人が主張し出した。

 「これは不法行為による損害賠償請求ですよね。不法行為に相当するような発言があったと言うのか。詐欺をしてでも集めろ、脅してでも集めろというような発言があったのか。不法行為にどう結びつくのか我々としては解せない」と興奮気味に訴えた。
 それに対し、原告側代理人が「平成21年11月9日付の書面を認否してから言って下さい。プラス花は具体的にどう話していたか書いてある。そのことさえ認否していない」と反論すると、神世界代理人が何かまた言おうとしたところへ裁判長が、「ちょっと待って下さい」と制止する。「原告が言われているのは準備書面1ですね?これについて認否されていないじゃないかと言うことですね」と言い、書面の綴ってあるファイルをそれぞれが確認する。
 神世界代理人が「売り上げを増やせとか言うことが詐欺と結びつくものではない。被告は書面を出していないと言うが原告も同じではないか。証拠は神書しか出していないではないか」と主張してくるのに対し、「甲15号証まで出している」と原告側代理人が反論するなど、しばらくの間、今までになかった緊迫したやりとりが展開された。

 最後は廣谷裁判長が、「脅迫じみたことをしてどんどん買わせて、それが組織的なものだと原告側が主張することに対し、(被告側が)“どうしてそれが不法行為だ”と言うなら、それを認否反論していただけばいい。裏づけの資料を出せば被告にとって有利になる、且つ、否認してその根拠となるものを出してもらうのは通常のことかなと思う。否認もなく、証拠もないなら被告にとって有利にならない、かな」とまとめた。

 原告側代理人が、被告びびっとら代理人に対し、これ以上認否しないという趣旨かどうか確認したところ、今度はびびっと代理人が「何月何日にヒーリングを受けて何を言ったのか、金を取るための文言を発せられているのか」と論点を逸らすような発言をまた始めた。認否をするのかしないのかと問われると、「現時点ではしない」と返答したため、裁判長が「びびっとはこれ以上のことはしないということですか?」と確認すると、びびっと代理人は「はい」と明言した。

 次に、廣谷裁判長が次回期日などについて確認していった。
 原告側代理人が準備書面5と準備書面1をまとめた書面を出す予定と発言。
 被告側代理人に裁判長が次回のことを促すと、びびっと代理人は「平成21年11月9日付の書面に認否できるものがあれば対応する」と返答。続けて、今回の原告の主張に対してはどうかと問われると「検討します」と返答した。

 次回、第11回口頭弁論の日程は平成22年12月22日(水)16:00よりとすでに決まっているが、来年(H23年)の期日を裁判所、原告、被告で検討した結果、下記の日程が決定した。

■第12回口頭弁論 2011年2月16日(水)午後4時00分より
■第13回口頭弁論 2011年3月23日(水)午前11時00分より

 裁判所の予定としては、「主張のまとめは4月」と廣谷裁判長が念を押した。
 その次は原告から陳述書が出てくるという話になると、原告側代理人から「その関係があるからとにかく認否を出してほしい。プラス花が出した書面を確認していただいて認否を」と再度、主張した。すると、E2代理人がその(プラス花の)準備書面を持っていないという話になり、さらには他の代理人も(プラス花の準備書面は)知らないということが判明した。被告側代理人の間では情報の共有が全く行われていないようだ。その結果、プラス花の準備書面は原告側が提示することになった。

17:07頃閉廷


この日行われた第10回口頭弁論の様子は、Happy Flavor Senseにも関係する記事が掲載されています(11/17付け記事)。





14、第11回口頭弁論(2010.12.22)

早期解決を願う切実な心を癒してくれ
た銀座のイルミネーション。
 平成22年12月22日(水)に行われた神世界等に対する損害賠償訴訟第11回口頭弁論の開始時刻は午後4時からだった。12/22は冬至でもあり、昼間の時間が一年の中で最も短い。口頭弁論が終わってから銀座へ出ると辺りはすっかり夜になっていた。クリスマスが近いこともあって都内の至る所にイルミネーションが光り輝いていたが、神世界被害者の心に明るい光が灯るのはもう少し先になりそうだ。

 神世界関係の口頭弁論開始前に別件の口頭弁論があり、ギリギリまで皆、廊下で待って入室した。
 今回は15名くらいの傍聴者と法廷内に入りきれない原告弁護団の面々が傍聴席に座ったが、男性がほとんどだった。
 神世界事件は女性の被害者が多いのだが、法廷へ足を運ぶことに関しては男性の方が関心が強いようだ。マスコミ関係者もまた注目し始めている様子がうかがえた。

 開始前になって原告・被告側とも準備書面を提出したため、そのやりとりに時間がかかり、書記官より注意があった。
 書類の確認でざわざわとしている中、えんとらんす代理人の姿が見えなかった。えんとらんす代理人が欠席のまま口頭弁論が行われるのかと思っていると、書記官がえんとらんす代理人の事務所へ電話を入れた。その結果、代理人はこちらへ向かってはいるようだと裁判長へ伝えられ、少し待つことになったがなかなか代理人は到着せず、16:13頃、いつもの静粛な雰囲気とは違う形で廣谷裁判長が話し始め、口頭弁論が始まった。

 1名の方が被告全員相手に損害賠償を18部に提訴し、併合して審議していくことになったとの報告があった。これまで係争中の損害賠償訴訟の原告41名に今回1名の原告が追加されたので、原告の人数は総勢42名になった。
 続いて、準備書面の確認が行われた。
 ●みろくらの準備書面10の陳述
 ●びびっととうきょうの準備書面8の陳述
 ●プラス花の準備書面6(?)の陳述
 ●E2未提出→諸々の関係で他のところに書類があるのが分かり、今回は間に合わなかったので次回までには必ず提出するとE2代理人
 ●神世界は準備書面1の認否については?→次回にまとめて提出すると代理人

 この時点でも、まだえんとらんす代理人は来ない。

 ●原告からは準備書面6と証拠を提出。原本のファイルをその場で裁判長に提出し、被告側も中を確認。やりとりの最中に「新聞ですね」という言葉が聞かれたので証拠の一つとして、あの神世界新聞も入っているようである。
 廣谷裁判長より「次回までに積み残しの作業を行って下さい。次は2月なので、ちょっと時間があるのでそれまでに6まで全部反論して下さい」と被告側へ向けて指示が出された。

 16:20 えんとらんす代理人が到着。
 ●アカサカらの準備書面がその場で提出され、原告側が受け取りのサインをし、裁判長へ提出。
 裁判長より「アカサカらの準備書面7ですね。個別の不法行為についてはこれで終わりですか?」とえんとらんす代理人へ確認。
 「細かいことについてまだあるので追加を年内中に出します」とえんとらんす代理人。
 損害項目一覧表の○×は終わっていると言うえんとらんす代理人に対し、原告側代理人がまだ揃っていないと反論。
 えんとらんす代理人はそれについても年内に出すと返答したがあてにはならない。今回提出したものは、前回、持ってくるのを忘れたので今週中には出すと言っていた準備書面である。9月のときに次回までに出すと言っていた他の原告についての認否は未だ提出されていない。
 遅刻もそうだが、約束事を守れない、自分で言ったことを実行しない、そんな弁護士は自分の不誠実さを自分自身で表現していることに気づいているのだろうか。ちなみに今回遅刻してきたえんとらんす代理人の弁護士は、緩んだ襟元のまま法廷内に入ってきた。これまでの口頭弁論でも、被告側代理人席では後ろの席で代理人同士がいつもこそこそと話をしているし、まったく品性を疑う人たちばかりである。

 そして、プラス花の被告より再度、神世界と切り離して裁判を進めてほしいとの要望が出された。早く真実を主張したいと切々と訴える被告に対し、廣谷裁判長が丁寧に裁判の流れを説明した。
 「裁判とは主張を双方出し合って、どこが違うのか見極めるもの。主張の書面の整理ができた後に本人尋問や証人尋問になる。ただ、多くの人数の訴訟だから尋問にもそれほどたくさんの時間はとれない。尋問を補うものとして陳述書を提出する」。

 プラス花の被告は、原告弁護団とのこれまでのやりとりの中で食い違いがあると訴えるが、お互い話している事実関係も違うと原告側代理人。
 真剣に真実を主張したい、いっぱいいっぱいの気持ちで年月を過ごしていると言う被告には、それは原告当事者たちも同じであると言いたい。
 裁判長はプラス花の訴えは訴えとして聞き、それに対する明確なまとめはせず、次へ進んだ。

 原告は今日の準備書面6で完結でいいのかとの問いに、一応これで終了だが、被告の主張にもよると原告側代理人が返答。
 また、これまでの要約の書面も出してほしいとの要望に、「考えます」と原告側代理人が返答。

 廣谷裁判長から、「来年の10月を終結と頭において活動してほしい、連休(=GW)前までに主張が終了のイメージで」と伝えられ、4月の口頭弁論期日を27日に決めた。
 続いて廣谷裁判長から、「実は私が1月に他の部に移ることになったため、次回から違う裁判長になる」との発表があった。これまでの要約の書面の依頼はそのためでもあるようだ。

 第12回と第13回の口頭弁論期日はすでに決まっていたので、今回決定した第14回口頭弁論期日を含めると今後の口頭弁論期日は下記の通りだ。ぜひ多くの方に傍聴していただきたい。

■第12回口頭弁論 2011年2月16日(水)午後4時00分より
■第13回口頭弁論 2011年3月23日(水)午前11時00分より
■第14回口頭弁論 2011年4月27日(水)午後3時30分より

16:41頃閉廷


第11回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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15、第12回口頭弁論(2011.2.16)

 本日は原告や被害者の他、多数の記者に紛れて神世界関係者かと思われるような人もいて、実ににぎやかな法廷だった。
 弁護士や傍聴者が揃う前の15:58には裁判官たちが入廷した。裁判官二人は今までと同じだが裁判長だけが新しい人に変わった。新しい裁判長は深山卓也(みやまたくや)という人で、深山卓也氏はこれまで各地の裁判所で判事をしていた経歴がある他、平成8年から平成22年までは検事でもあった人だ。深山卓也氏は会社更生法や民事再生法に関する著作も多数執筆している。

 まず、裁判官の構成が変わったことの説明が深山裁判長からあり、3次で原告一人の追加が決定したことの報告後、いつも通り準備書面の確認が行われた。

 原告側からなんらかの申し出がされたようだったがよく聞き取れなかった。終了後の説明では、アカサカが認否をすぐ提出すると2回続けて言いながら、未だ提出していないことに対する求釈明であったことが分かった。

●被告側、神世界より準備書面陳述。
●びびっと追加の書面陳述。
●E2らの準備書面陳述。
●プラス花の準備書面陳述。
●えんとらんすとみろくらはまだですかと指摘すると、両代理人とも「次回までに」といつもの返答。
●原告側代理人より、証拠品の現物を提出。

 裁判長と裁判官がライセンスや神書の携帯版、天空の御詞などを手にとって確認していた。
 「力」と書かれたライセンスの中身を広げて、「こんなに小さいんだ」と意外そうな言葉を漏らしていた。10万円もするのだからもっと大きな物だと思っていたのだろう。写真では実際の大きさが分からないため、現物を提出したとのことだ。
 深山裁判長が被告側代理人に「見ますか?」と確認したところ、前列の代理人たちが「結構です」と即答…。ちゃんと確認する気はないらしい。

 その後、裁判長よりみろく代理人に何か確認し、アカサカの認否が一番遅れているようなので、次回までに提出するよう念を押していた。
 えんとらんす代理人は「すみません…。人が多くて云々…と言った後、私自身の遅れで…」と一応は認めていた。
 続けて、E2代理人が「不法行為に対する認否が遅れています」と認めた。
 すかさず深山裁判長が「プラス花とみろく以外は(5)と(6)について認否を宜しく」と指摘した。
 続けて裁判長は、「急ぐのはアカサカとE2の個別の認否。それ前提で原告側は追加をして下さい。一度では大変なので、出来るところから次回以降、何点か出して下さい」と述べた。

 次々回まで日程が決まっているので、それ以降の予定は次回に決めるとし、閉廷になりかけたところで、プラス花の被告がまた「裁判長」と手を上げた。
 プラス花の加藤被告はこれまでと同じ訴えを繰り返し、「自分は誤信させたり、脅し、陥れるなんてしていない。私の真実の主張を見極めてほしい」と言った。
 深山裁判長はこれまでの経緯をきちんと把握している様子で、加藤被告の訴えに対し、「いくら私に訴えられても、原告が訴えてきていることなので裁判所が取り下げられることではない。訴訟は原告が起こしているもの」と返答した。

 原告側代理人は、プラス花の前身である美っとスティジが平成18年月30日現在の経営者リストに入っているという証拠を甲43号証として提出し、「いくら別だと言っても、切り離して考えるのは難しい」と返答した。
 加藤被告はそれでもまだ納得せず、「取り下げるよう原告側が言ってきた。原告側が私を陥れた」等と訴え続けた。それを受けて原告側代理人は「こちらの見解と違う」と異議を唱えた。

 堂々巡りの事態をおさめるべく、裁判長が訴えの根拠や経過を書面に書いて下さいと加藤被告に指示し、16:16に今回の口頭弁論は終了した。


 新しい裁判長となって今後どうなるのか少しの不安があったが、深山裁判長がきっぱり明確な指示や返答をする今日の様子をみて、いい緊張感の中で進められていくのだろうと安堵した。
 加藤被告は連続で必死に訴えているが、自分の正当性を訴えるのはこれから尋問の際にすべきことではないのだろうか。
 裁判に時間と労力を要することに苛立ちを覚えるのはあなただけではない。別に審議を進めてほしいと訴えるより、一刻も早く、被告側代理人に認否を提出して頂き、尋問で主張できるようにしていくことこそ本筋です。

第12回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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16、第13回口頭弁論(2011.3.23)

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方に深い哀悼の意をささげるとともに、被災された地域の皆様に対し、心よりお見舞いを申しあげます。

 平成23年3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、大津波を発生させ、未曾有の大災害となった。東京電力の福島第一原子力発電所や数カ所の火力発電所も地震や大津波で破壊されたため、関東地方などでは連日計画停電が実施されていた。そのため、電車の運行状況が不安定な状態になっており、霞ヶ関の東京地裁まで傍聴に行くのもなかなか大変な状況だった。特に遠方から傍聴に来る人達は、交通が混乱するのを警戒して今回の傍聴を見送った人も多かった。
 そのような状況下で神世界等に対する損害賠償訴訟の第13回口頭弁論が東京地裁で行われた。

午前11時00分開廷
 これまでの口頭弁論では傍聴席の7割から8割程度は埋まっていることが多かったが、さすがに今回は計画停電の影響か、傍聴者の人数がこれまでになく少なく、傍聴席に着席していたのは5名ほどだった。
 法定内は原告及び原告代理人が計18名、被告及び被告側代理人が計8名(被告本人は加藤被告1名のみ)で、いつもとほぼ同じ陣容だった。書面などのやり取りは、

原告提出書面

  1. 求釈明申立書(被告に対し認否及び原告の金員拠出の根拠となる資料(領収書等)の提出を促すもの)
  2. 証拠 甲44号証〜甲52号証(「写真撮影報告書」の差し替え)及び証拠説明書(甲44〜甲52部分の差し替え)
被告えんとらんすアカサカ関係からの提出書面
  1. 準備書面(10)(内容は原告5人の個別主張に対する認否。なお損害一覧表に対する認否「○×表」は提出せず。)

 今回の口頭弁論は、3/10にE2関係者5名が逮捕された後、初めての口頭弁論だったが、E2代理人は、「現在杉本が勾留中で十分な打ち合わせができないため、この度認否はできませんでした」と今回書面を出さなかった理由を述べるに留まった。
 今回の口頭弁論は、お互い様子を見合う形で静かに終わったようで、原告側、被告側ともに、刑事事件の成り行きを見定めながら今後の対応を考えて行くのかもしれない。
 半ば恒例化しているプラス花の加藤被告からの弁論分離の申し出も本日はなく、開始からおよそ10分足らずで今回の口頭弁論は終わった。
午前11時10分閉廷




17、第14回口頭弁論(2011.4.27)
午前中に行われた「陸山会」関係の裁判の様子(NTV)
 2011年4月27日(水)の午前中、東京地裁では、小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体、「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人に対する第10回公判が午前中に行われた。この日の法廷には、「水谷建設」の川村尚・元社長(53)が証人として出廷したので、注目を集めた。川村元社長は石川被告らに手渡したとされる小沢事務所への裏金1億円について、「衆院議員会館の小沢先生の部屋で大久保隆規被告(49)から要求された。その後、お支払いした」などと証言し、裏金の提供を行ったことを明言したことが、この日のニュースで大きく報じられた。
 午前中に上記裁判などが行われた4/27(水)の15:30より、東京地裁の626号法廷では、神世界等に対する損害賠償訴訟の第14回口頭弁論が行われた。

午後3時30分開廷
 2011年3月11日に発生した東日本大震災の余震活動は1カ月半ほど経っても未だに治まらず、東京でも連日のように余震が続いていた。その関係もあってか、傍聴者の人数は今回も少なく、傍聴席には8名ほどの傍聴者と5名の原告代理人が着席していた。
 法廷内は原告側には原告4名、原告代理人13名の計17名が着席。被告側には被告1名(加藤被告)、被告側代理人6名の計7名が着席していた。書面などのやり取りは、

提出書面など
●原告提出書面 報告書(現在のE2関係者で逮捕及び起訴された者等、捜査の進捗状況に関するもの)
●被告提出書面 被告アカサカより、準備書面(10)(実質的には前回の期日で提出されていたものの形式的には提出が留保されていたため、本日提出されたこととなった。)
●被告プラス花より 準備書面(9)

被告代理人の発言を調書に
 原告提出の準備書面(5)及び(6)に対する被告らからの反論が一切ないことについて、裁判所が被告らに対しその理由を尋ねたところ、被告E2は「杉本の身柄が拘束されており、打ち合わせができない。」と理由を述べた。
 さらに、被告(有)神世界までもが「警察の捜査が続いており、また、被告らで統一的反論をするために時間がかかっている。」と理由を述べた。
 こうした、被告(有)神世界(代理人)の発言は原告にとって有利なものなので、すかさず原告代理人がこうした発言を調書(注1)にとることを求め、被告神世界代理人の発言は調書にとられることとなった。

(注1)
 法廷内での重要な発言は、「書記官」によって「調書」として記録されている(民事訴訟法160条1項)。この調書は期日毎(口頭弁論毎)に作成されている。
 もっとも、調書には特に重要な事項については記載が義務付けられているものの(民事訴訟規則67条参照)、その他のやり取りについては記載が義務付けられているわけでなく、全てのできごとや発言について必ずしも調書に記載されるとは限らない。
 そこで、原告代理人は、大事だと考えた被告代理人の本日の発言について、調書をとるように裁判所に求めたのが今回のやり取りだ。


今後の口頭弁論日程
 次回の第15回口頭弁論日程は2011年6月8日(水)午前11時00分から626号法定で開催されることが決まっていたが、この日は次々回の第16回口頭弁論日程が決められた。  調整の結果、第16回口頭弁論は2011年7月26日(火)15:30から東京地裁第631号法廷で行われることとなった。この日だけは法廷がいつもと違う場所なので間違えないようにしていただきたい。

午後3時40分閉廷


往生際の悪い神世界

 民事事件として2億6158万6450円もの損害賠償訴訟を起こされ、刑事事件として多数の神世界関係者が逮捕され、逮捕された一部の者はすでに起訴もされるに至っていながら、「被告らで統一的反論をするために時間がかかっている」と被告代理人は発言した。

 いま、神世界がどれだけ不利な状況に置かれているか、被告代理人には見えていないのか? それは「見えていない」のではなく、「見ようとしていない」のではないか。何が何でも原告の訴えを100%はね返さねば被告代理人としての務めが果たせないものではない。被告代理人は被告が置かれている状況を冷静に分析し、被告に対して適切なアドバイスを行うのが有能な代理人の務めなのではないか。

 それにしても、「統一的反論」とはよく言ったものだ。
 (有)神世界が平成19年12月20日にマスコミ各社に送った文書では、「弊社と契約しております各会社が契約に基づき各社それぞれ独自の方針で活動しております。ですから一般の方に対する活動は、それぞれの会社に聞いて頂かないとわかりません。一般の方に対する活動は、それぞれ各社で個性がありますから、各社がどのような活動を行っているかは把握しておりません。ついては各社で活動しているので、そちらでお聞きしてください。」と述べており、あたかも(有)神世界と各サロンは直接的な関係がないかのごとく装っていた。しかし、4/27の口頭弁論で「統一的反論」と述べたことは、(有)神世界と各系列会社とが一体的に運用されてきたことを被告自らが裁判所で認めたことになる。

2011.4.28 fujiya







18、第15回口頭弁論(2011.6.8)

節電で薄暗い地裁のエレベーターホール。あまり人が通らない所(画面手前)はびっくりするほど暗い。
 この日、6月8日(水)の東京は曇り空で、時折小雨がぱらつく状態だった。霞ヶ関の駅に着くと、通路の照明や看板の照明は半数ほどが消されており、やや薄暗く感じたが、この程度であれば駅として利用するにはさほど不自由を感ずるほどではなかった。3/11に発生した東日本大震災から約3カ月が過ぎ、電車の運行も安定してきており、余震の発生もかなり沈静化してきたので、傍聴に来る人も今回は増えるのではないかとい思いながら地裁に入った。
 地裁の1階ロビーに置いてある裁判目録で確認してみたところ、本日の626号法定では、10:00から鈴木宗男が原告となっている裁判が行われていた。鈴木宗男被告は他の事件ですでに収監されているが、この裁判は鈴木被告が収監される前に元林野庁長官だった人物を相手に起こした裁判だった。原告がすでに他の事件で刑務所に収監されているのに、原告不在のまま裁判が進行しているのはなんとも不思議である。
 626号法定では、10:20からは労働争議の裁判も行われていた。11:00から行われる神世界の裁判も含めて、いずれの裁判も裁判官の顔ぶれは全員同じだった(裁判長:深山卓也、裁判官:和久田道雄、裁判官:原田佳那子、書記官:北本信夫)。裁判官も複数の裁判を連続して審議しなければならないとは、さぞかし大変だろうと思った。
 6階の法廷に移動しようとしてエレベーターホールに行くと、半数程度のエレベータには「運行中止」の張り紙がしてあり、節電のために運行するエレベーターの数を制限してあった。エレベーターホールの照明も通常の半分程度しか点灯しておらず、やや暗く感じたが、ホールから少し離れたトイレへ向かう通路は本当に暗く、壁に設置されている銘板も読みにくいほど照明が落とされていた。更に驚いたことには、エレベーターの動きが異常に遅い。エレベーターを高速で動かすと余分の電気を消費するので、超低速で動かしているようで、ボタンを押してもなかなかエレベーターが来ない。なかなかエレベーターが来ないので、やっとエレベーターが来たときにはたくさんの人が”溜まって”おり、とても一度では乗れず、多くの人が積み残された。節電のためやむを得ないことであるが、これまで何も考えずに電気を使いたいだけ使ってきたことを思い知らされた。
 何とかエレベーターに乗ることができ、626号法廷にたどり着いた。本日の神世界に対する口頭弁論は、えんとらんすグループ幹部4名が逮捕された5月30日から9日しか経っておらず、マスコミ関係者や捜査当局者も傍聴するのではないかと予測された。開廷時刻が近づくに連れて626号法廷の傍聴席は埋まって行き、開廷時には8割程度の席が埋まっていた。やはり神世界関係者逮捕の影響で神世界事件に対する関心は高くなっているようだ 。

11:04開廷

 深山裁判長など3名の裁判官は開廷時刻の少し前から入廷していたが、開廷予定時刻になっても原告側代理人も被告側代理人も出席予定の人数が揃わず、裁判長は、「節電でエレベーターが混んでいるので、もう少し待ちましょう」と言って開廷を少し遅らせた。次回から地裁に行かれる方は、早めに所定の階に上がっておくことをお勧めする。少し遅れて代理人や傍聴者が入廷してきたので深山裁判長は審理を開始した。
 被告側代理人、原告側代理人の机の上には、多数のカラー刷り「神世界新聞」が置かれていた。この神世界新聞は原告側が証拠として提出したもので、要所要所には蛍光ペンでマーカーが引かれていた。

■準備書面陳述
 被告えんとらんす側から準備書面(11)の陳述があり、一部の原告に対する損害認否(○、×、△)と、一部被告の位置づけに対する反論がなされた。続けて、えんとらんす代理人が、「Aさんに訴訟告知の申し立てをする予定である」と発言した(準備書面11にもその旨の記載あり)。
 準備書面の確認を行った後、深山裁判長が「被告関係者が逮捕されている。E2やアカサカの認否が遅れているが、刑事事件の影響はありますか?」と尋ねた。これに対してえんとらんす代理人が、「6月1日に(被告の)勾留が決定した。そのため作業が遅れている」と答えた。
 原告側が第13回口頭弁論(2011.03.23)で提出した求釈明申立書(被告に対し認否及び原告の金員拠出の根拠となる資料(領収書等)の提出を促すもの)に対して未だに被告側が回答していない点について質したところ、深山裁判長は被告らに対して提出を再度促し、次回までに回答が示されない場合は強く求めることになるかもしれないと述べた。
 今回被告側から提出された準備書面(11)によっても、まだ認否が行われていない原告が4名あるところから、至急に被告側に認否を求める求釈明申立書(7)が原告側より裁判所に翌日(6/10)提出された。

■刑事事件との関係
 裁判長は原告側に対しても刑事事件との関係を質したが、原告側はまだ刑事事件の詳細が分かっていないので、どのような影響があるかはまだ分からないと答えた。原告側としては、7月に始まる予定になっている刑事裁判とのすりあわせもしていきたいと裁判長に伝えた。それを受けて、深山裁判長も刑事事件の推移には関心を寄せているという趣旨の発言があり、この民事訴訟は神世界関係者に対する刑事裁判の推移を見守りながら進行していく気配を感じた。
 原告としては早期に民事訴訟の結論を得たいところだが、刑事裁判の成り行きを無視して解決を急ぐのは得策ではないのかもしれない。

■プラス花
 プラス花の加藤被告(女)が挙手して発言を求めた。加藤被告は裁判長に対して、「私のところではすでに認否に関する書面も提出済みだ。私は以前からこの裁判とは切り離しての審議をお願いしてきた。私のところとは直接関係のないこうしたやり取りにこれからも付き合って行かねばならないのか。私の希望は叶えられないのか。」といった趣旨の発言をした。これに対して深山裁判長は、「あなたの希望は聞いている。しかし現状ではあなただけ特別扱いはできない。法律的には分けることも可能であり、将来はそうした場面も出てくるかもしれないが、当面は同時並行的に進めていく予定だ」と回答し、加藤被告も「よく分かりました」と答えた。

■杉本明枝被告の初公判
 神世界関係者の中では最初に逮捕され、詐欺罪で3度にわたって起訴されている杉本明枝の裁判日程がこの日の裁判の中で明らかになった。杉本明枝被告の初公判は7月14日(木)、午後2時から横浜地裁で行われる。神世界事件では最初の刑事裁判であり、多くの傍聴希望者が殺到することが予測される。傍聴は抽選になると思われるので、E2に係わる原告の方で傍聴を希望される方は原告団まで早めに連絡してほしいとのことだ。あまり多数は無理だが、ある程度の人数枠は確保できるかもしれないとのことだ。

11:17閉廷

 口頭弁論終了後、別室にて報告会が行われ、今後の訴訟の進め方などについて話があった。

今後の訴訟日程など
■杉本明枝初公判 2011年7月14日(木)午後2時00分開廷(横浜地裁)
■第16回口頭弁論 2011年7月26日(火)午後3時30分開廷(東京地裁631号法廷)
■第17回口頭弁論 2011年9月20日(火)午前11時00分開廷(東京地裁631号法廷)



訴訟告知
 この日の口頭弁論で被告側から出された「訴訟告知」とはどのようなものなのだろう? Aさんとは、元えんとらんすスタッフだった人で、強制捜査直前に自分の意志で神世界を脱出し、気持ちの整理がついてからは、事件解決に向けて精力的に警察・検察に対して捜査協力してきた人だ。
 Aさんはえんとらんすや神世界の内部事情に精通しており、神世界事件の解明にはAさんの証言が大きく役立つことは間違いない。このAさんを訴訟告知するということは、えんとらんす側はAさんにこれ以上、えんとらんすの内情、神世界の内情を暴露されたくないと考え、Aさんを「口封じ」する目的でこうした戦法に出てきたのだろう。えんとらんすでスタッフとして働いてきた者は多数いるにも係わらず、ここにきてAさん一人を訴訟告知するのはいかにも唐突かつ不自然であり、今回の訴訟告知は訴訟告知という手段を使った嫌がらせではないだろうか。
 えんとらんすグループ代理人の市河真吾弁護士が所属する赤坂見附総合法律会計事務所のホームページには、「当事務所は、弁護士の使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現であることを認識しつつ・・」と書かれているが、今回の”訴訟告知作戦”のどこが社会正義なのか甚だ疑問だ。


訴訟告知作戦(えんとらんすグループ&神世界)

1、Aさんへ。我が社(E社)はいま訴訟をおこされています。
2、Aさんは昔一緒にE社で働いていたよね。
3、それなのにAさんは、今ではE社が不利になるような言動をしているらしいね。
4、E社の内情に詳しいAさんにそんな動きをされたらE社は大変!
5、そこで、E社は勝手にAさんを「被告仲間」にするために「訴訟告知」させてもらったよ。
6、これでAさんも「被告仲間」だから、もしE社が訴訟に負けたときはAさんも一緒に責任とってね。
7、なので、AさんもE社が訴訟に負けるような言動はこれ以上しない方がいいよーん。


 以上が、今回の「訴訟告知」の狙いではないだろうか。被害者の中には不本意ながら一時期神世界で働かされていた人もあり、被害者がこのような形で、「口封じ」を狙って訴訟告知をされた場合はどように対処すべきかについて、「訴訟告知・二つのシナリオ」としてまとめてみたので、参考にご覧いただきたい。(2011.6.10 fujiya)



■神奈川新聞(カナロコ)の記事
2011/5/31(火)の神奈川新聞
 神奈川新聞(カナロコ)の5/31版に、この訴訟に関する記事が掲載されていた。記事の中で、
 同グループの被告8団体・17人はそれぞれの代理人を通じて請求棄却を主張。準備書面で一部原告について「顧客勧誘の経緯は知らず、詐取は否認する」と反論している。原告側は裁判長期化について神世界側を批判しているが、グループ中核の「有限会社神世界」の代理人弁護士は「すべて否認すると主張しているので原告側に証明責任がある。裁判が終結しないのは神世界側の落ち度ではない」と述べている。
と、被告側代理人の発言を掲載しているが、裁判が終結しないのは、原告側が求めている認否を被告側がいつまでも提出しないことが主たる要因であり、原告側に問題がある訳ではない。この訴訟は原告の人数も多く、被告も多数であり、時間がかかることは最初から想定済みのことだ。
 被告が逮捕されたことで、今まで以上に”原告有利”の方向に状況は変化してきている。今後の進め方としては、刑事裁判の状況を見ながら民事訴訟が進んでいくことになるので、多少時間はかかるかもしれない。しかし状況は原告有利であり、神奈川新聞の見出しは、「集団訴訟は結審めど立たず」となっているが、原告側としては「結審めど立たず」などと悲観したりは全くしていないので、心配ご無用だ。

 5/30に逮捕されたえんとらんすグループの4名に対する裁判もそのうち始まることになる。今後他の神世界関係者も逮捕・起訴されることが予想されるので、現在係争中の損害賠償訴訟と合わせて数件の神世界関連裁判が同時進行していくことになりそうだ。どの裁判も傍聴したいところだが、全ての裁判を傍聴するだけの時間がとれるかどうか・・・。




19、第16回口頭弁論(2011.7.26)

法廷前の廊下にある掲示板
 今回の口頭弁論はいつもの626号法廷とは違い、631号法廷で行われた。631号法廷は626号法廷より狭く、参加した原告全員が原告席に着くのは困難だったので、数名の原告は傍聴席に着席していた。傍聴席には警察関係者、マスコミ関係者、先日逮捕され処分保留で釈放された者、家族がまだ通っているという人など、十数名が着席していた。家族がまだ通っているという人は、随分遠方から来ていたようだ。その方は、「ヒーリングサロンによる被害」のホームページを見てくれているようだが、”情報量が多過ぎて”読み解くのに苦労しているとのことだった。この話を聞いて、神世界関係会社数の多さ、事件に関係した人数が非常に多い神世界事件の複雑な構図を、できるだけ分かり安く説明することの難しさを痛感した。

15:30開廷
 口頭弁論は、ほぼ定刻に開始された。法廷は変更になっても裁判官はこれまでと同じで深山裁判長及び2名の裁判官が担当し、書記官だけが新しい人に代わっていた。
 原告側は原告代理人11名が着席。被告側はいつもと同じで、【前列】尾崎(神世界)、市河(アカサカ)、門西(びびっと)、【後列】加藤京子(プラス花)、加藤久喜(プラス花)、清澤(E2)、大森(みろく)、笠原(神世界) の計7名の代理人及び被告が着席していた。

■準備書面陳述
 ●原告側からの提出書面
 甲56号証から甲59号証(神世界新聞[56]と被告杉本の刑事事件の起訴状[57]及び追起訴状[58、59])
 ●被告側からの提出書面
 えんとらんすアカサカより、準備書面(12)(残っていた原告の損害一覧に対する認否)、Aさんに対する訴訟告知書
 E2より準備書面(4)(原告の個別被害に対する認否を行う内容のもの)
 ●「えんとらんすとE2は、準備書面5、6の団体性についての認否がまだ残っているので次回にお願いします」と裁判長。

■資料提出
 被告らが所持している原告らの金銭の出捐を裏付ける資料について、被告側から任意に提出するのか、原告側が文書提出命令をするのかについてやり取りが行われた。
 原告側が、「(前回被告側から出された)訴訟告知の件、原告側からも意見を出したいと思います。訴訟告知はいつ頃になるのか」と問いかけたところ、被告代理人(市河)は、ニヤニヤ笑って、「送るだけですから」と返答した。これに対して裁判長は「告知の対象になるかどうかまだ見ていないので...」と発言した。その後裁判長と原告側代理人との間で訴訟告知に関する意見提出時期についてやり取りがあり、一週間以内に意見を出すことになった。

■刑事事件との関係
 刑事事件との関係で、進行をどのようにするかについて裁判所から原告代理人に対し意見を求められたが、原告代理人は、刑事は刑事、民事は民事でそれぞれ進めて行くべきであり、基本的には刑事訴訟の結果を待たずに民事訴訟の手続きを進めていくよう求めた。

 次回の第17回口頭弁論の日程はすでに決まっていたが、新たに第18回口頭弁論の日程が下記の通り決定した。
■第17回口頭弁論 2011年9月20日(火)午前11時00分開廷(東京地裁631号法廷)
■第18回口頭弁論 2011年11月9日(水)午前10時20分開廷(東京地裁626号法廷)


15:50閉廷


■傍聴していた人の感想
 いつものことだが、被告側からは今回も直前になって書面が提出された。やっと、えんとらんすの認否一覧表(準備書面12)が提出された。
 裁判長が、「原告の3/6付の求釈明(損害一覧表の中には大祭など神世界側で分かるものがあるのではないか)というものがあったが、お分かりになるのでしょうか。 個別の団体を経由してだと思うが、神世界の行事では本部が神世界にあるのでは?」と神世界代理人に問いかけたところ、被告代理人らはしばしの沈黙の後、尾崎が後列の笠原の方をチラッと確認した後、「精査しているので次回までに」と、その場しのぎとしか思えない返答をしていた。
 資料提出を原告、被告のどちらが行うかのやり取りの中で、裁判長が「被告らの方で趣旨はお分かりだと思うので、出して頂きたい。漠然としているので、もっと具体的に言うと、内部の資料があるなら、提出してもらえないか」と述べたのに対して被告代理人(市河)からは、「原告Kさんについては、領収書をこちらで出したとか。領収書があれば、積極的にお出しして頂ければ」とか、「原告側に立証責任あるので、そちらに客観的証拠があるなら出して頂きたい」とニタニタ顔で発言したのは非常に被害者の感情を逆撫でした。
 これに対して弁護団長が、「領収書を出した方が提出すべきだ」という趣旨の発言をしたので、心の中で「その通りだ!」と思った。




20、第四次訴訟(2011.9.14)
齊藤亨逮捕を受けて記者会見をする被害対策弁護団(9/13)
(写真・読売新聞ニュースより)
 神世界教祖・齊藤亨が逮捕されたことを受け、神世界事件被害対策弁護団は9/13(火)、都内で記者会見を行った。
 会見で、紀藤正樹弁護団長は、「斉藤亨容疑者が逮捕されたことで、今後の捜査の進展と組織の全体像を解明することに大きく期待ができる。霊感商法システムそのものを解体してやめさせないと、また被害者が出てしまう。組織的詐欺として刑事事件になったのは社会的意義が大きく、今後もさらなる捜査を求めたい。組織的詐欺として立件されて有罪になれば、被害金額が少なくて被害回復を諦めていた人も、違法性を問える。被害者はさらに増えると思う」と話した。
 この席上、弁護団は下記の弁護団声明を発表するとともに、これまでの訴訟に追加して、新たに第四次訴訟として6名の被害者が損害賠償訴訟に加わることになったと発表した。新たな原告6名(30〜40代の男女)が神世界側に賠償を求めている金額は、計約2,100万円になっており、第一次から第四次までの損害賠償請求額総額は約2億8200万円になった(訴訟額一覧表)。6名は14日にも東京地裁に提訴する予定だ。


神世界事件に関する声明


平成23年9月13日

神世界被事対策弁護団
団長 弁護士 紀 藤 正 樹

お問い合わせ先
〒102−0083
東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
神世界被害対策弁護団
事務局長 弁護士 荻 上 守 生
03−3515−6681

1 平成23年9月12日、有限会社神世界を含む神世界グループのトップである斉藤亨が、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕されました。
2 当弁護団は、平成19年12月20日の、神奈川県警による有限会社神世界及び同関連団体(以下「神世界」とします。)に対する家宅捜索をきっかけに、神世界による霊感商法の被事者救済を目的として、全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属し、宗教法人世界基督教統」神霊協会(統一協会)が組織的に行う霊感商法問題に取り組んで来た弁護士を中心として結成した弁護団です。
 弁護団結成後、神世界から多額の金銭を騙し取られたという多くの被寄者の方々からの相談が寄せられました。
 多くの被害者の方々や神世界の元スタッフ、神霊能力があるとされていた神世界の元先生らからの情報提供によれば、神世界は、「癒し」、あるいは、「ヒーリング」という耳当たりのいい宣伝文句により一般市民を勧誘し、真実の目的が神世界が組織的に行っている資金獲得活動を目的としているにもかかわらず、殊更にこれを秘し、被害者の抱える悩みや問題点を言葉巧みに聞き出し、その原因が、体に貯まっている毒素や先祖の因縁であって、御霊光・御祈願によって病気がよくなる、などと虚偽事実を断定的に申し述べて被害者らの不安感・恐怖感を煽り、悩みや間題点を解決するためには御祈願や御礼など様々な名目で金銭を支払うしかないと畏怖・誤信させ、多額の金銭を支払わせてきた団体です。
 弁護団としては、神世界による「神事」「ライセンス」「お肉筆」等の物品販売や、「ヒーリング」「御霊光」「御祈願」を名目とする多額の金銭収奪行為は、いわゆる典型的な霊感商法であり、詐欺ないし組織的詐欺にあたるものと判断し、神奈川県警及び横浜地方検察庁に、詐欺ないし組織的詐欺での立件をお願いして参りました。  その結果、本年3月10日の杉本明枝(有限会社E2代表者)外4名の逮捕に始まり(その後、別の関係者2名も逮捕)、本年5月30日には、えんとらんすアカサカの会主佐野孝、佐野りら、淺原史利、淺原嘉子外1名も逮捕され、杉本明枝、佐野孝、淺原夫妻については詐欺容疑で起訴されました。
 そして、本年8月中旬、神世界の教祖である斉藤亨、有限会社神世界の代表取締役日原易子、同社取締役斉藤葉子、同宮入参希江に逮捕状が出され、斉藤葉子、宮入参希江に続き、遂に、本年9月12日、斉藤亨が組織犯罪処罰法の組織的詐欺容疑で逮捕されました。  現在、杉本明枝の公判が始まっておりますが、杉本明枝は、神世界は当初より宗教団体として活動していたのであり、被害者らの金銭支払は、神世界が宗教であることを知った上での、熱心な信者としての行動であるなどと弁解して、起訴事実を全面的に否認しています。
 しかし、杉本明枝の弁解が虚偽であることは明白です。多数の被害者らが、神世界から金銭を収奪される過程で「宗教ではない」と説明を受けたと述べていますし、神世界関係者は、平成19年12月の家宅捜索後、弁護団に対しても、「宗教ではない」と弁解を述べていました。
 横浜地検特別刑事部及び神奈川県警、山梨県警が、神世界の「宗教活動であって詐欺ではない」との弁解を乗り越え、被害者の悲痛な叫びに真摯に耳を傾け、3年以上の長期間に渡り、慎重に捜査を続け、神世界の典型的な霊感商法を詐欺ないし組織的詐欺で立件するに至ったこと、特に、斉藤亨をはじめとする首謀者らの立件にまでこぎ着けたことについて、弁護団としては、捜査関係者のご尽力に対し、最大限の敬意を表するとともに、今後更に、神世界による組織的な霊感商法の全容が解明されることを期待しております。  最後に、当弁護団には、被害者の方々から多数の被害相談が寄せられていますが、神世界の被害実態からすれば、被害者の大部分の方々が泣き寝入りしているものと思われます。
 また、今回の逮捕をきっかけに、神世界の欺瞞に気づかれる現役信者の方々も多いものと思われます。斉藤亨は、自らの逮捕も予見できなかったのですから、神霊能力などないことは明らかです。
 神世界による被害実態の解明のためにも、被事者の方々やこれから神世界を辞められる方々は、当弁護団宛てに、勇気を持ってご相談ください。

以上





21、第17回口頭弁論(2011.9.20)

(以下の内容は、第17回口頭弁論を傍聴した方のレポートに基づき作成しました)
 (有)神世界等に対する損害賠償訴訟の第17回口頭弁論が、2011年9月20日(火)、午前11時0分より東京地裁631号法廷で行われた。この日の裁判は、神世界教祖・斉藤亨が逮捕された後で行われる最初の裁判であり、神世界トップの逮捕を受けてどのようなやり取りが法廷で行われるのか関心が持たれた。
 この日、631号法廷では他の裁判が11時前から行われていたため、その裁判の時から神世界の口頭弁論を傍聴する目的の人たちも傍聴席に座っていた人も多かったようだ。裁判長らも、前の裁判から裁判官席に座ったままだったようで、開廷時の起立もないまま、定刻の午前11時から口頭弁論が開始された。原告席には原告及び代理人が16名ほど、傍聴席には11名ほどの人が着席していた。傍聴者の中には、杉本明枝の刑事裁判で被告代理人をしている人物の姿もあった。被告代理人の席には、いつもの顔ぶれ以外に、初めて見る顔の弁護士が1名着席していた。

午前11時0分開廷
 まず最初に、深山裁判長より訴訟告知の件で報告があった。被告側がAさんを訴訟告知したことを告げた後、裁判長は訴訟告知に関していろいろ説明をしていたが、かなり専門的な内容で、傍聴者には少々難解であった。この件については後日確認ができてから改めて報告したい。
 続いて深山裁判長が、「斉藤さんが逮捕され、組織的詐欺で・・・、他の被告も逮捕されて・・・」など、斉藤亨や他の被告が逮捕されたことに関して発言したが、すでに逮捕された斉藤亨を、「さん」付けで呼ぶことに少々驚いた。被害者感情としては、到底斉藤享を「さん」付けで呼ぼうとは思わないが、裁判所としてはまだ斉藤の刑が確定した訳ではないので、「さん」付けになるのだろう。裁判長は、第四次提訴の件にも触れ、裁判所としては第四次訴訟も含めた併合審理とする予定のようだ。
 深山裁判長が、「斉藤さんの逮捕に伴い、主張や立証の方針などに何らかの変更はありますか?」と尋ねたのに対し、原告側代理人は「ないです」と答えた。
 E2代理人が、「杉本の公判に入ったため、準備書面5、6の反論は間に合わなかった。次回には提出したいと思います」と述べた。このE2代理人の発言は、傍聴していた被害者や原告の耳には、刑事裁判を口実にして、準備書面提出を引き延ばしているようにしか聞こえなかった。
 続けて、えんとらんす代理人が、「佐野さん他2名の公判が予定されているので、組織性についての反論が間に合わなかった。刑事の開示証拠で関係あるものがあれば提示していく」と述べた。
 裁判長から、「原告側から甲60号証〜甲63号証提出」との発言があった。甲60〜63号証とは、@杉本の刑事事件の第1回公判調書、A検察官の冒頭陳述要旨、B証拠等関係カード、C神世界新聞第14号などである。裁判長から、「公判で供述されたら、(証拠として)利用出来る・・・」というような発言があったが、詳細は聞き取ることができなかった。
 裁判長が、「E2とえんとらんすは準備書面5、6の認否提出を・・」と述べた。
 原告側が、「組織性反論を・・・」といった発言をしたところ、えんとらんす代理人が「まだ釈明事項を明確に答えていなかったと思う。○○について出せるものがあれば出すつもりで検討中」と答えた。

 次々回の期日を決める際、杉本の公判日程について確認のやりとりがあり、刑事裁判との関係も見ながらこの損害賠償訴訟を進めていかざるを得ない状況であるようだ。原告側と被告側の代理人間のやりとりの中で、「難しい」という発言があったので、年内の結審は難しそうだと感じた。
 被告側代理人が出廷可能な日がなかなか見つからず、また、刑事裁判の進み具合等も観測しながら民事訴訟を進めた方が良いのではないかとの意向も働いているようで、結局次々回の期日は、年が変わった平成24年1月25日(水)午前11時からに決まった。法廷は以前よく使っていた626号法廷だ。
 最後に、被告代理人が、「追加(の提訴)はまだ予定されているのか?以前、もう追加はないと言っていたはずだが・・」と原告側代理人に質問した。それに対して原告代理人は、「場合によってはあるかもしれない」と答えた。
 閉廷時刻の確認ができなかったが、およその閉廷時刻は11時20分頃だったと思われる。



22、第18回口頭弁論(2011.11.9)

(以下の内容は、第18回口頭弁論を傍聴した方のレポートに基づき作成しました)
 (有)神世界等に対する損害賠償訴訟の第18回口頭弁論が、2011年11月9日(水)、午前10時20分より東京地裁626号法廷で行われた。傍聴者は24名(原告関係者を除く)だったが、その半数以上は現役会員など神世界関係者ではないかと思われた。

午前10時20分頃開廷
 本日の進行は、次のような内容だった。
@ 第4次請求が併合され、その訴状に対する神世界、びびっと以外からの答弁書が陳述された。
A原告が提出した証拠の番号について、振り直しをした。(証拠は提出済み)
Bその後、裁判官が、アカサカ及びE2に対し、原告提出の準備書面(5)(6)に対する反論の準備書面を求めたところ、市河弁護士から、「原告ら全員に対し、和解案を提示したい。和解案については、今日の午後にでも、原告に送付します。」などと和解の提案があった。
Cまた、期日前に、びびっと代理人である門西弁護士から辞任届が提出されており、びびっとの代表者も不在だったため、原告代理人がそのことを指摘すると、市河弁護士が起立し、「今後は便宜上、自分が窓口となります。」と答えた(今後、彼が代理人になるという趣旨かどうかは不明)。

午前10時35分頃閉廷

 神世界事件は、神世界関係者に対する刑事事件の裁判が現在進行中であり、その成り行きから考えて、神世界側としては民事事件を和解で解決することで刑事裁判の心証をよくしたいという意向が働いたのではないかと思われる。
 本日の法廷で述べられた和解に関しては、まだ正式な和解案の文書が弁護団に届いておらず、その内容を精査した上で、今度どのように対応するか弁護団等で検討されるものと思われる。



23、被告弁護人の暴挙(2011.11.10)
 2011年11月9日(水)に行われた第18回口頭弁論で、被告代理人は突然、「原告全員に和解案を提示したい」と発言したが、法廷で具体的な和解案が示されることはなかった。その翌日、被告代理人は原告代理人に一言の説明もないまま、原告全員(プラス花を除く)の自宅に「ご連絡」と題した配達証明付き郵便を送りつけてきた。
 「血迷った」という言葉があるが、今回、被告神世界代理人が行ったことは、まさに血迷ったとしか思えない行為だ。弁護士資格を有する者が、これほどまでに非常識な行動を取るなど、普通では到底考えられないことだ。

 私のところには、封書を受け取った多数の原告から、驚き、怒り、戸惑いの声が届けられている。突然、被告代理人から配達証明付き郵便が届けられただけでも驚きであるが、封書を開けて見て、その内容があまりにも一方的であること、原告全員の氏名や損害額まで明記されていることに戦慄を覚えた原告が大半だ。

 現在、東京地裁で係争中の神世界等に対する損害賠償訴訟は、原告、被告双方が代理人(弁護士)を立て、これまで18回の口頭弁論が行われている現在進行中の訴訟だ。それにも係わらず、被告代理人は原告代理人を飛び越え、直接原告の自宅に和解を申し入れる文書を送りつけてきた。
 このような行為は、常識で考えても尋常でないことは明白だが、弁護士職務基本規程第52条に反する行為であることも明らかだ。この規定の第52条には、

弁護士職務基本規程 第52条
弁護士は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接相手方と交渉してはならない。


と定められている。

 原告の中には、神世界事件の原告になっていることを家族に明かしていない者もおり、突然、弁護士事務所から配達証明付き郵便物が届けられたことで、自分が神世界事件に係わっていたことが家族に分かってしまい、家庭内で本人が困窮する状況に追い込まれた者もいる。原告弁護団は、そうした者には、原告になっていることが家族に分からないように、これまで細心の注意をしてきた。

 封書を開けて見て、更に原告は驚いた。そこには原告全員の氏名や損害額等がびっしりと明示されており、これまで互いに氏名も損害額も知らなかった他の原告の個人情報を知ってしまう結果となった。もちろん、自分の氏名や損害額も他の原告に知られた訳で、原告等が受けた精神的ショックは甚大なものがある。


 今回、被告代理人が行った行為は、弁護士としてあるまじき行為であり、然るべき機関において厳しく処分されなければならない。正当な弁護士業務を妨害された被害対策弁護団は、今後そうした作業に取りかかるであろう。

 被告代理人は、係争中の民事訴訟を和解することで、刑事裁判の判決における被告の刑罰軽減を図ろうとしたのであろうが、このような軽率なやり方は全くもって逆効果でしかない。原告の意思を確認もせずに、一方的に和解を持ち出したことは、被告等が自ら有罪であることを認めたのと同じであり、刑事裁判で裁判官は迷うことなく被告等に有罪の判決を下すことになるだろう。
 「民事を和解しておけば刑罰が軽くなる」と被告等は考えたのだろうが、今回のように不当な手段で和解を押し付けようとする被告等の姿勢は、原告の神経を逆なでするだけだ。和解案自体も極めて不十分なものでしかなく、このような状況で原告が和解に応ずることはない。原告が和解に応じない限り、被告の刑が軽減されることはない。

 いま被告代理人がしなければならないのは、今回の行為を真摯に反省し、原告等に対して謝罪することだ。その後、正式な手段方法で原告代理人と話し合い、原告等が納得する状態にならなければ、和解に至ることはあり得ない。





24、第19回口頭弁論(2012.1.25)

 2012年1月25日(水)に行われた神世界等に対する第19回口頭弁論は、これまでの口頭弁論とは、取り巻く状況が大きく変わった中で行われた。それは、神世界事件で逮捕された被告等が、横浜地裁で行われている刑事裁判で、”組織的詐欺”の起訴事実を認めた後、最初に行われた口頭弁論であったという点だ。
 神世界及び被告人等は、前回までは民事訴訟に於いても原告等から金員を詐取したことを認めていなかった。しかし、状況は大きく変わったことから、この日の口頭弁論では被告側がどのような態度を示すか関心が持たれた。

●11時00分開廷
 今回の法廷は、当初からよく使っている、東京地裁第626号法廷だった。原告代理人9名、被告及び被告代理人7名、傍聴人は7名ほどだった。

●口頭弁論の内容
 被告側(プラス花を除く)から、和解案が提出された。提出された和解案は、概ね、被告側(プラス花を除く)が、原告の請求額を全て支払うといった内容だった。

 今後の協議内容として、
 @秘匿条項(第三者に対する公開をどのように制限するか。)
 A懈怠条項(約束の金額を被告が支払わない場合、どのようなペナルティがあるか。)(注)
 B原告になっていない被害者の請求及び和解についてどのようにするか。

 などの点について検討を要するが、被告側代理人(市河弁護士)の意見では、@、Aについては、「原告の求めるような内容になるように努める」とのことだった。
 Bの、原告となっていない被害者の被害回復についても、3月末を目途に行い、和解をしたいとのことだった。

 (注)「懈怠」(かいたい)とは、法律において実施すべき行為を行わずに放置することを指します。

●今後の日程
 次回は平成24年1月30日(月)12:00から、東京地裁12階、民事第50部書記官室にて、非公開(原告を除く)で口頭弁論が行われることになった。原告になっている人は中には入れることになっているが、部屋が狭いので、あまり多数の原告は入ることができないようだ。

●11時20分頃閉廷

●感想
 本日の口頭弁論から感じられたことは、斉藤亨被告らが、”一応”自白に転じたことに伴い、被告側は、できる限り早く民事の和解をまとめたいと思っているように感じた。裁判所も、被告が原告の請求通り払うというのであれば、早いところ和解で終わらせたいという意向のように感じた。次回の口頭弁論を、裁判所の昼休み時間である12時から入れるということは、極めて異例のことであり、その点からも裁判所の和解に対する”やる気”を感じた。



第19回口頭弁論を傍聴して


 本日(2012年1月25日)、東京地裁で行われた、神世界等に対する損害賠償訴訟の第19回口頭弁論の傍聴に行って来ました。

 昨年11月に、神世界側から突然、「和解」の申し入れがあったのは、刑事事件の裁判での厳罰を逃れる為の手段と言われていますが、さもありなんと思わざるを得ません。
 これまで18回もの長きにわたって開かれてきた口頭弁論では、被告代理人の全く誠意を感じられない対応に怒りが増すばかりでした。厳粛な裁判で、こんないい加減がまかり通っていいのだろうかと、被告代理人等の誠意のない対応には、終始疑問だらけでした。
 学校でも社会でも、「期日までに仕上げる。期日を守る」というのは世界の常識と思っていました。ところが、被告代理人は訴訟のスタート直後から、「次回までにやる」と言った約束を守らずに、理解に苦しむ弁解を重ねながら今日まで来ました。
 2年8か月の歳月を費やしたのは、被告代理人の非協力的な態度が原因であり、膨大な電力の無駄づかい、貴重な人的資源の無駄づかいを猛省して頂きたいと思います。被告代理人として被告を弁護するのは当然ですが、無駄に審理を遅らせることは、真実解明が遅れ、原告・被告双方に不利益を与えるばかりです。早期に真実を明らかにしようとする姿勢を無くした弁護士は、弁護士バッチを外すべきです。
 被告代理人の皆さんは、弁護士の使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあるという、弁護士の基本をどこかに忘れてきたのではないですか。


 被告側態度の豹変は、神世界幹部から、「一刻も早く民事を終わらせたい」と指示があったのは歴然で、これまで訳の分からない態度を取り続けてきた被告代理人が、急に和解を申し入れてきたことは驚くばかりでした。これまで法廷でやる気のない対応を見てきた者にとって、態度豹変は失笑もので、神世界がいかに追い詰められているのか、馬脚をあらわした感が否めません。

 和解に向けて今後のスケジュールは、双方の代理人同士で詰めの話し合いを行い、和解成立後の詳細も決まるとのこと。民事が結審となっても、刑事裁判の方で神世界トップに厳罰が下ることを祈りながら、裁判の成り行きをしっかり見届けていきたいと思います。 原告代理人の皆様、一致団結した皆様の熱意に、いつも励まされてきました。長い間のご尽力に対して、心から御礼申し上げます。






25、第20回口頭弁論(和解期日)(2012.1.30)

2012年1月30日
和解成立

原告側の全面勝訴的和解
 2012年1月30日(月)に、東京地裁民事第50部書記官室で行われた第20回口頭弁論期日(和解期日)に於いて、神世界側と原告側の和解が成立した。
 和解内容は原告側の全面勝訴的和解だった。被害者の実損だけでなく、慰謝料、弁護士費用、遅延損害金まで支払うもので、請求の認諾(注)とほぼ同じ和解であった。
 (注)請求の認諾:被告が原告の主張する請求の内容を認め、裁判所に対しこの旨を申し出ることを「請求の認諾(にんだく)」といい、訴訟に負けたことを意味する。
 今回の訴訟で被告となった25名(法人8社、個人17名)の中では、”プラス花”の被告だけが他の系列とは違った陳述をしていたが、今回の和解では、プラス花の原告に対しても神世界側が賠償を行うことで合意した。
 また、民事訴訟の原告48名との和解だけでなく、被害対策弁護団を通して返金請求をしたものの、原告にはなっていなかった65名の被害者に対しても請求額を支払うことを神世界側に確約させ、原告団は和解に応じた。

 2008年2月26日に最初の返金請求を行ってから約4年、2009年5月25日の第一次損害賠償訴訟提起から2年8カ月を要したが、最終的には、原告側全面勝訴的和解に達することができた。原告及び返金請求者は計113名、賠償総額は、5億198万7446円であった。
 霊感商法事件を巡る訴訟としては画期的と言える全面勝訴的和解に至った背景には、被害者各位が長期間、あきらめずに戦ってきたことと、それを支えてきたリンク総合法律事務所を始めとした神世界被害対策弁護団の奮闘があったからにほかならない。
 泣き寝入りせずに戦いを続けてきた原告や被害者の皆さん、そして先頭に立って戦ってきた被害対策弁護団の皆さんに、敬意を表明させていただきたい。
 神世界側から一言ぐらいは謝罪の言葉がほしいところだが、今のところ、神世界側からは何のコメントも発せられていない。
 刑事裁判はまだ続いており、事件の真相を明らかにする戦いは、これからも続けられていく。

 下記の声明は、2012年1月30日の和解成立の翌日、東京地裁内の司法記者クラブ行われた記者会見の席上公表された、被害対策弁護団の和解成立についての声明である。

記者会見をする被害対策弁護団(TBSニュースより)
(2012年1月31日、司法記者クラブ)

神世界事件の和解成立についての声明

平成24年1月31日

関係各位


神世界被害対策弁護団団長 弁護士・紀藤正樹

お問い合わせ先

東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
神世界被害対策弁護団
事務局長 弁護士 荻上守生

TEL 03-3515-6681
FAX 03-3515-6682

1 神世界被害対策弁護団は、平成19年12月20日の、神奈川県警による有限会社神世界及び同関連団体(以下、「神世界」とします。)に対する家宅捜索をきっかけに、神世界による霊感商法の被害者救済を目的として、全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属し、宗教法人世界基督教統一神霊協会(統一協会)が組織的に行う霊感商法問題に取り組んで来た弁護士を中心として結成されました。

 弁護団結成後、神世界から多額の金銭を騙し取られたという多くの被害者の方々からの相談が寄せられました。

 多くの被害者の方々や神世界の元スタッフ、神霊能力があるとされていた神世界の元先生らからの情報提供によれば、神世界は、「癒し」、あるいは、「ヒーリング」という耳当たりのいい宣伝文句により一般市民を勧誘し、真実の目的が神世界が組織的に行っている資金獲得活動を目的としているにもかかわらず、殊更にこれを秘し、被害者の抱える悩みや問題点を言葉巧みに聞き出し、その原因が、体に貯まっている毒素や先祖の因縁であって、御霊光・御祈願によって病気がよくなる、などと虚偽事実を断定的に申し述べて被害者らの不安感・恐怖感を煽り、悩みや問題点を解決するためには御祈願や御礼など様々な名目で金銭を支払うしかないと畏怖・誤信させ、多額の金銭を支払わせてきた団体であることが分かりました。

2 弁護団としては、神世界による「神書」「ライセンス」「お肉筆」等の物品販売や、「ヒーリング」「御霊光」「御祈願」を名目とする多額の金銭収奪行為は、いわゆる典型的な霊感商法であり、詐欺ないし組織的詐欺にあたるものと判断し、被害者の方々の損害賠償請求及び神奈川県警及び横浜地方検察庁に、詐欺ないし組織的詐欺での告訴を行ってきました。

 被害者の方々の損害賠償請求につきましては、平成20年中に、被害者87名、被害総額2億4603万6272円の損害賠償請求の通知書を、順次4回送付しました。

 当初、神世界は、和解の意向を示していたものの、代理人に笠原静夫弁護士が就任すると、一転して賠償責任を否認したため、平成21年5月25日に第一次提訴(原告17名、訴額1億7313万463円)、平成21年12月25日に第二次提訴(原告24名、訴額7426万5792円)、平成22年12月17日に第三次提訴(原告1名、訴額1419万195円)、平成23年9月14日に第四次提訴(原告6名、訴額2097万6248円)を行いました。原告は、合計48名、請求金額は2億8256万2698円です。

 神世界は、民事訴訟において不法行為責任を全面的に争うだけでなく、その機関誌である神世界新聞で、弁護団を誹謗中傷するなどしておりましたが、平成23年9月12日、斉藤亨が組織犯罪処罰法の組織的詐欺容疑で逮捕され、その後起訴されたことをきっかけに、刑事事件で、神世界幹部らが全面否認していた組織的詐欺について認めるに至り、民事訴訟においても、平成23年11月9日の口頭弁論期日において、和解を申し入れてきました。

 神世界が申し入れた和解の内容は、民事訴訟の原告については、支払わされた金額、慰謝料、弁護士費用、遅延損害金のほぼ全額である合計3億5048万1718円を支払う内容であり、裁判外で請求をしている65名についても請求額の合計1億5150万5728円を支払う内容であり、請求を認諾するに等しい内容となりましたので、弁護団としても、和解を受諾することとし、昨日和解が成立しました。これをもって、当弁護団にご依頼いただいた被害者の被害回復については、全面的に解決する目途が立ちました。平成19年以来、神世界の問題を、社会問題として取り上げ続けていただいたマスコミ各位、粘り強く捜査を継続し、組織的詐欺による立件を実現した神奈川県警、横浜地検に対しては、重ねて感謝と敬意を表します。

3 もっとも、今回の和解により回復された被害は約5億円にすぎず、平成13年から平成19年までの間の神世界の売上げが、少なくとも189億円もあることからすれば、被害回復は、微々たるものに過ぎません。
 また、刑事事件においては、神世界において、適切な機会に医療を受けられなかったことなどにより子供を含む数人の死者が出ていたことも明らかになりました。
 今般、神世界が損害賠償責任を全面的に認めたため、和解となりましたが、刑事事件の被告人質問における杉本明枝、淺原史利は、未だに神霊能力があった、御霊光による奇跡はあるなどと供述しており、心からの反省の態度を示しているとは思われません。

 したがって、当弁護団としては、今後も、神世界の活動の動向については注視していく所存であり、被害者の救済に注力する所存です。

以上


●和解によって刑を減じてはならない
 神世界に対する民事訴訟は、”完全勝利”と言ってよい内容で和解に至った。
 賠償額の中には、原告の実損額はもちろん、慰謝料、弁護士費用、遅延損害金等も含まれている。一般的にこうした損害賠償訴訟では被害額の1割程度の慰謝料請求を行う場合が多いが、今回の訴訟では、被害者が受けた精神的、肉体的被害の深さから、被害額の2割に相当する慰謝料を請求していたが、これも請求通り支払われた。ここまで原告の主張が取り入れられた和解に至るのは、ごく希なことだ。併せて、原告以外の返金請求をしていた被害者にも請求額を支払わせたのは、一重に被害対策弁護団の手腕による。

 しかし、神世界側が全ての条件を飲んで和解に至ったのは、被害者に対する謝罪の気持ちからでは全くない。被害者に対してすまないという気持ちが少しでもあれば、もっと早くに和解に応ずるべきであったし、和解に応じた段階で「お詫びの言葉」の一つは発するであろう。神世界側は和解には応じたものの、被害者に対する謝罪の言葉は一言も発していない。神世界側が和解を急いだ理由は、「教祖の刑を軽くしたい」という一点でしかない。

 支払われた賠償金は、元々は被害者の金であり、返すのが当たり前の金だ。被害者が受けた精神的損害、肉体的損害、失った時間、失った信用、失った家族関係、失った友人、失った恋人、失った伴侶等々を考えれば、実損額を上回る慰謝料を神世界側に支払わせたいのが被害者の本音だ。

 神世界側はこの和解によって教祖等の刑が軽減されることを狙っているが、被害者の気持ちとしては、和解によって教祖等の刑を軽くしてもいいとは全く思っていない。むしろ、刑事裁判が結審する直前になって慌てて民事を和解するという見え透いた態度を示す被告等に対して、今まで以上に強い怒りを感じている。
 裁判所の方がこのHPを見ておられたら、今回の和解によって被告等の刑が軽減されることなど、被害者としては論外であり、このようなスタンドプレーに走る卑劣な被告等には、厳しい判決を言い渡していただきたいと思っていることを知っていただきたい。

 被告等は、口先では「被害者に詫びたい」などと言っているが、それは刑を軽くしてもらうための方便でしかない。彼らは裁判が終わってからも何ら反省することなく、”御霊光”を口実にした活動にいそしむことを裁判の中でも述べている。
 全国には、声を上げたくて諸般の事情で声を上げることができなかった多数の神世界被害者がいる。今回の和解によって全ての被害者が弁済を受けた訳では全くない。多くの被害者が持つ、被告等に対する激しい怒りを少しでも鎮めるためには、被告等に厳しい実刑を与え、被告等に鉄格子の中で贖罪の日々を送らせる以外に方法はない。
 民事が和解したからといって、被告等の刑を減じてはならない。



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