神世界関係者逮捕

はじめに
2011年3月10日(木)に逮捕された5名

杉本 明枝(47) [E2経営者]
松本結美子(34) [E2元スタッフ]
大平富士子(35) [E2元スタッフ]
郡司 麻美(43) [E2元スタッフ]
安田 美香(46) [E2元スタッフ]

 2011年3月10日(木)、神奈川県警神世界事件捜査本部は神世界関係者5名を逮捕した(内1名の被疑者は3/11午前中に逮捕)。
 今回逮捕されたのは一部の神世界経営者とその配下の者でしかない。3/10の逮捕を突破口にして神世界各社に対する徹底捜査を行い、他の神世界サロン経営者等、事件に関与した全ての者が逮捕されることを切望する。
 3/10の逮捕は、神世界事件解明の入口でしかない。神世界事件の全貌が明らかになるまで、検察・警察は徹底した捜査をしていただきたい。
 3/10の逮捕は、2007年12月20日の強制捜査から約3年3カ月、1176日目の逮捕だった。北海道から沖縄まで、日本全国の神世界サロン等で被害を受けた数多くの神世界被害者は一日千秋の思いでこの日を待ち望んでいた。しかし、まだ「本星」は挙がっていない。(2011年3月11日記述)


1、E2関係者逮捕の意味
連行される杉本被疑者と松本被疑者
 今回(2011/3/10)の逮捕は、ある意味、「意外」だった。それは5名の逮捕者中、経営者は杉本明枝1名だけであり、残る4名はスタッフであった点だ。「今回の逮捕予定者は5名らしい」ということは、逮捕に至る少し前から言われていた。私の推測では、その内訳は経営者クラスの者が5名かと思っていた。ところが逮捕されたメンバーの多くはスタッフであった。
 逮捕予定者に当然含まれているであろうと思われていた、えんとらんすアカサカ経営者夫妻が逮捕されなかったことは意外であったが、よく考えてみればそれは次回に回せばよいことであり、今回は時効が迫っているE2関係者の逮捕を優先させたのではないかと思う。ただしこれは私の勝手な推測であり、捜査当局は別の考えを持っているのかもしれない。
 逮捕者にスタッフが4名も含まれていたことの意味は大きい。2007年12月の強制捜査後、多くの客やスタッフは神世界を止めたが、頑強に神世界を信じて神世界に残留した者も少なからずいた。神世界等に対する損害賠償の裁判が始まると、神世界は「神世界新聞」なるものを発行し、その中で盛んに神世界の正当性を訴え、残っている客やスタッフを鼓舞して組織の存続と拡大を図ってきた。神世界顧問弁護士は、「神世界は宗教行為を行ってきたのであり、間違ったことはしていない。関係者が逮捕されることなどあり得ない」との主張を繰り返してきた。
 神世界内部に残っていた客やスタッフはすっかりその言葉を信じて神世界と行動を共にしてきたのであろう。しかしここに来て状況は変わった。経営者だけでなく、”スタッフも逮捕される”のである。今なお神世界に通い続けている客やスタッフは、今回の逮捕で女性刑事に付き添われて連行される松本結美子被疑者の写真を見て、「今度は自分もあのようにして連行されるのでは?」と考えただろうか。
 帽子を目深に被り、コートで顔を隠し、下を向いて連行されていく姿はどう見ても「悪いことをした者の姿」でしかない。
 「自分たちは正当な宗教行為を行ってきた。被害対策弁護団や警察が言うような霊感商法詐欺などしていない」という自負があるならば、顔を隠す必要などない。
 一般的には警察に逮捕された被疑者は、連行されるときに顔を隠したり下を向いたままうつむいて連行される者が多い。そうした被疑者は、逮捕された段階ですでに自分が警察に捕まるような悪いことをした自覚があるから下を向き、顔を隠すのだ。
 連行される神世界関係者の姿を親や兄妹、友人がテレビで見たとき、どのように感じるか考えてみるべきだ。


2、スタッフ経験者など
 今回の逮捕をニュースで知り、自分も過去に神世界のスタッフ等をしていた経験がある方も不安になったのではないだろうか。「自分も逮捕されるのだろうか?」と考えると夜も寝られなくなってしまうことだろう。
 しかし、「逮捕」というのはどのような時に行われるものなのか考えてみよう。逮捕とは、「被疑者が逃亡または罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為」なのである。今回逮捕された者達は、このまま放置しておくとそのような行為を行いかねなかったので逮捕された。  これを逆に考えれば、「逃亡または罪証隠滅を行う可能性がない者」は逮捕されないということになる。捜査当局が、「この者は逃亡または罪証隠滅を行う可能性がない」と判断するためには、その者が進んで警察の捜査に協力すればよいことになる。

家宅捜索を受ける神世界本部
(2011/3/11)
 実は、神世界でスタッフや先生として働いていた経験を持つ多くの人が、強制捜査前後から今日までの長期間にわたって警察の捜査に協力してきた。今回、神世界関係者の逮捕が可能になった背景には、多くの元神世界スタッフの捜査協力があったからこそ逮捕が可能になったとも言える。客として神世界に係わっただけであれば警察の調書は「被害者調書」であるが、スタッフや先生として係わってきた人の中には、「被疑者調書」にサインをした人も多い。一般的には「被疑者調書」にサインをすることは大きな抵抗感を持つものだ。しかし、自分が被疑者調書にサインをすることで事件の解明が進むのであればと思い、サインをした人が多い。
 被疑者調書にサインをした人を警察が逮捕したり、送検したりすることはあり得るだろうか? もちろん法的にはそれは可能なことだが、自ら進んで警察の捜査に協力している被疑者と、ひたすら隠れて逃げ回っている被疑者を比較したとき、警察はどちらを厳しく対処するかは自ずとしれたことだ。

 日本の刑事訴訟法にはアメリカのような司法取引制度はないが、状況によっては、”微罪処分”といって、警察の裁量で送検せずに済ませることが認められている。  私は警察官ではないので断定はできないが、捜査協力してくれている被疑者を警察が逮捕したり、送検することはないと信じている。


●今回の報道を見て不安に思っている方へ
 いまなお客やスタッフとして神世界を信じて通い続けていた人の中には、本日の逮捕が大きく報道されたことで、不安や動揺が広がっている人もいると思います。
 どうかこの機会に、「神世界は本当に正しい団体だったのか?」を問い直していただきたいと思います。
 今回逮捕されたのは経営者だけでなく、スタッフとして働いていた者も逮捕の対象になっています。「私はスタッフだから大丈夫」は通用しないことを悟ってください。このページの最上部に表示した女性刑事に伴われて連行される女性の姿は明日のあなたの姿かもしれません。写真がなぜ画像処理(モザイク)されているかは言うまでもありません。
 どのような質問にも必ず答えさせていただきますので、不安を抱えている方は私までメールをお寄せください。私のメールアドレスは、 anti_cult2004@yahoo.co.jp です。

●神世界事件を正しく伝えるために力をお貸しください
 神世界事件の実態を世間に正しく知ってもらうことは、こうした事件の再発を防止するための有効な手段となります。そのためにはマスコミの力を借りるのが効果的です。
 今後もこうした節目ではマスコミ各社から取材要請があります。神世界被害者の方、家族が神世界に嵌っているご家族の方、関係者が逮捕されたのを機会に神世界から離れることを決意した方などで、「マスコミの取材に応じてもよい」という方がございましたら私(fujiya)までメールにてご連絡をお願い致します。

●産経新聞社には協力しません
 マスコミにもいろいろあります。2/11(金)に神世界事件に関する捜査情報を”前打ち”し、神世界側に証拠隠しの時間を与えたばかりか、被害者との約束を破り、取材に応じた被害者が個人特定されるおそれがある報道をした産経新聞社の取材には、私は一切協力しません。
 産経新聞が2/11に前打ちした件については、私や複数の被害者が産経新聞社に抗議しています。詳しい経過については「前打ち」と題してまとめましたので、時間のある時にご覧下さい。



家宅捜索を受ける神世界幹部のマンション
2011/3/11 世田谷区砧(きぬた)
神世界関係者逮捕を受けて記者会見する弁護団
2011/3/10 霞が関の司法記者クラブ


3、逮捕後の流れ
 神奈川県警と山梨県警の神世界事件合同捜査本部によって3/10(木)に逮捕された杉本明枝等、神世界事件の被疑者5名は、3/12(土)に送検された。
 刑事訴訟法によって、逮捕から送検までの時間は48時間以内と定められており、12日の送検は予定通りの動きだ。送検された被疑者5名は地検で24時間身柄を拘束されて取り調べを受ける。ここまでの合計72時間(3日間)で検察官は身柄拘束を続ける必要があるかを判断する。
 今回逮捕された5名は、予め逮捕状が出ている状態で逮捕されており(通常逮捕)、検察官が「逮捕して取り調べる必要あり」と判断して逮捕状を発行したのだから、「逮捕したけど勾留する必要はない」等と検察官が判断することはまずない。
 3/10夕刻に逮捕された神世界関係者5名は、3/13(日)夕刻で72時間を迎えた訳であるが、その間に検察官は「10日間の勾留が必要」と認め、更に勾留は10日間の延長が認められているので、最長20日間の勾留が続く。つまり、今回逮捕された5名の神世界関係者は、送検された3/12から20日後の4/1(金)まで勾留が続く可能性がある。このように、逮捕されると23日間の勾留が続くのが一般的な流れだ。下図は検察庁のHPで公開されている逮捕後の流れを図解したものだ。

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 この23日の間、逮捕された5名の被疑者はどのような扱いを受けるか? 逮捕された者は、通常は留置所(警察の施設)に留め置かれて取り調べを受ける。留置所は「代用監獄」と呼ばれる場合もある。
 留置所に勾留されている被疑者への面会や差し入れは出来る場合と出来ない場合がある。証拠隠滅の可能性があると検察官が判断した場合は弁護士以外の面会が禁止されることがある。今回逮捕された5名は詐欺容疑での逮捕であり、なおかつ本人が逮捕容疑を認めていないので、家族であっても面会や差し入れができない可能性もある。
 上記23日間の勾留期間の最終日までに検察官は、どのような処分をするのか決める。処分には、@起訴、A起訴猶予、B略式命令の三種類がある。起訴後であれば、一定の条件を満たしている場合は「保釈保証金」を預けることで保釈が認められる場合もある。なお、日本では起訴後の保釈はあるが、起訴前には保釈される制度はないので、今回逮捕された5名は4/1までは保釈されないことになる。保釈保証金とは、身柄を釈放する代わりに、公判への出頭等を確保するために預けさせる金銭のことである。
 逮捕翌日に発生した東日本大震災によって警察・検察関係者も大変な状況とは思うが、逮捕された5名の起訴と、まだ逮捕されていない神世界関係者の逮捕に向けて警察・検察関係者は最大限の努力を続けていただきたい(2011.3.19)。


4、新たな疑問

訂正

杉本が住んでいた「永田町2」のマンションが、プレデンシャルタワーではないかとする内容を一時掲載していましたが、その後の調査で杉本がいたのはすぐ近くにある14階建ての別のマンションであったことが判明しました。
 今回逮捕された5名の住所を見て、いくつかの疑問を感じた。疑問の一つは杉本明枝被疑者の住所だ。報道によると、逮捕された杉本の住所は東京都千代田区永田町2となっている。「永田町」と言えば、国会議事堂など日本の政治の中枢が位置する場所だ。国会議事堂の住所は東京都千代田区永田町1で、杉本の住所は東京都千代田区永田町2だ。つまり杉本は国会議事堂に極めて近い、いわゆる一等地のマンションに住んでいた訳だ。このことは逮捕前から囁かれており、私がマスコミ関係者から得ていた情報でも、「杉本は都内の一等地に建つ高級マンションに吉田元警視と一緒に住んでいる」と言われていた。
 「千代田区永田町2の高級マンション」と言われて思い出すのは、えんとらんすアカサカの浅原嘉子が住んでいた東京都千代田区永田町2丁目13-14にあるプルデンシャルタワーレジデンス(プルデンシャルタワー)だ。私も「永田町2」という住所から、杉本がいたマンションはそこではないかと一時思ったが、後に得た情報では、杉本がいたマンションはすぐ近くの14階建ての別のマンションだった。しかし永田町2という一等地の高級マンションであり、家賃は30万円弱だった。
 杉本は2007年12月の強制捜査時はE2(イースクエア)の代表取締役であったが、港区赤坂のAXIA青山にあったE2の本店は強制捜査後閉鎖され(契約違反で追い出された)、その後、杉本が”活躍”する場は失われていた。強制捜査から3年が経過し、E2はびびっとに吸収されたという話が伝えられている。収入源を断たれた筈の杉本が、なぜ永田町の高級マンションに住み続けることができていたのか? 誰が高額な家賃を払っていたのか大きな疑問であるが、こうした疑問も今後の警察の捜査によって解明されていくことだろう。
 なお、訴状によると杉本の住所は渋谷区神宮前一丁目とされていたが、動向を探られるのを嫌ってコソコソと転居していたようだ。

1名のスタッフが連行された砧(きぬた)のマンション「グランドテラス」
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 もう一つの疑問は世田谷区砧(きぬた)の斉藤御殿「グランドテラス」から連行された人物が誰だったのかだ。マスコミの報道によると、「10日午後3時すぎ、グループ幹部が借りている東京都世田谷区のマンションに捜査員が捜索に入った。約15分後、捜査員がうつむき加減に歩く関係者を伴って捜査車両に乗り込んだ」とされている。
 つまり、今回逮捕された5名の中に、逮捕当日、砧の「グランドテラス」にいた者が含まれているということだ。この5階建ての超高級マンション「グランドテラス」は、最盛期には斉藤亨を始めとして、日原や飯窪など神世界の主要メンバーが居住していた。ここには居住者だけが出入りしていた訳ではなく、先生クラスの者や斉藤一族の身の回りの世話を命じられていた者も出入りしていたので、今回このマンションから連行された者もそうした者だったのかもしれないが、そうだとすると逮捕された4名が「元スタッフ」とされていたのは間違いで、現役スタッフだった者も含まれていることになる。


5、神世界の子供たち
 今回家宅捜索を受けた神世界関連施設には、神世界幹部の子供達が一緒に住んでいた時期もある。神世界に対してはこれまで何度も警察の強制捜査が入っており、今回の逮捕に当たっても10箇所以上の神世界関連施設で家宅捜索が行われている。
 警察の家宅捜索と併せてマスコミが多数取材に訪れ、新聞やテレビのニュースでも繰り返し神世界関係者の逮捕が報道されているので、神世界幹部の子供達も神世界を取り巻く状況の変化や、マスコミの報道は見えているだろう。
 親は自分の子供達に今回のことをどのように伝えているのだろう?ここまできても、「自分たちは間違っていない。悪いことはしていない」と言い続けているのだろうか。
 神世界幹部の子供達も中学生、高校生になっている者がいる。子供達がパソコンや携帯で、「神世界」「御霊光」を検索をしてみれば、出てくる情報は全て神世界を否定的に捉えた内容ばかりだ。どんなに鈍感な子供でも、溢れんばかりの神世界批判を目の当たりにしたとき、親の言い分が正しいのか、ネット上で詳細に報じられている神世界に関する情報が正しいのか、自分で判断できるだろう。
 神世界幹部は客を騙すだけでなく、自分たちの子供にも嘘を突き通すつもりなのか。そのような親を持った子供は、どれだけ心を踏みにじられているか分かっているのか。


6、再逮捕
起訴された杉本明枝被告(47)
 神奈川県警と山梨県警の神世界事件合同捜査本部は、2011年3月31日(木)、杉本明枝(47)、安田美香(46)、大平富士子(35)の3名を詐欺容疑で逮捕した。今回の逮捕は、3/10に逮捕した容疑とは別の詐欺容疑での逮捕だ。捜査本部が行方を追っていた元スタッフ・原 良枝(44)も、4/1(金)に逮捕した。
 マスコミの報道では、3/31に逮捕した3名については「再逮捕」となっている。「再逮捕」で思い出すのは、神世界とは関係ないが、複数の男性を次々と殺害した疑いで逮捕された木嶋佳苗被告だ。木嶋被告は、東京都千代田区、東京都青梅市、千葉県野田市等で交際中の男性を殺害した容疑で複数回逮捕された。
 今回再逮捕された杉本明枝被疑者等も、Aさん、Bさん、Cさん・・と多くの被害者を誤信させ多額の金を奪ってきた”実績”があるので、木嶋被告のように何度でも逮捕され、徹底追及されて然るべきだ。なお、同一の被疑事実での再逮捕は、「一罪一逮捕一勾留の原則」との関係で問題があるとされる場合があるが、今回の杉本らの逮捕はそれぞれ別の被害者に対する犯罪事実に基づく逮捕であるので問題ない。厳密には「再逮捕」ではなく、それぞれ別の逮捕である。

 逮捕された被疑者にとって、厳しい取り調べが続く拘置所での23日間は辛い。やっと勾留期限が切れ、「ひょっとしたら釈放されるかもしれない」と思っているところで再び逮捕されるのは精神的に相当きついものがあるだろう。しかし彼女等の行為によって大きな被害を被った被害者の辛さを考えれば、拘置所での数十日の辛さなど、取るに足らないものだ。
 3/10に逮捕された後、横浜地検による取り調べを受けていた神世界関連会社(E2)元経営者・杉本明枝は勾留期限の切れる3/31、横浜地検によって詐欺罪で起訴された。
 逮捕前の映像を見ると、最近の杉本被告は3年前に比べて少々栄養過多に見えた。今後も長く続く拘置所暮らしは体のためには良いかもしれない。堀江貴文被告(当時)は、94日の東京拘置所暮らしの間、麦3米7の割合のご飯を中心とした1日約2200キロカロリーの食事を続けた結果、約8sのダイエットに「成功」したと報じられている。

 3/31に再逮捕された3名に次いで、4/1には新たなスタッフ1名が逮捕された。これからもE2に対する捜査は続行されることが予想されるので、E2関係者は、「次は自分の番か?」と胃が痛くなるような日々を送っていることだろう。神奈川県警は経営者だけでなくスタッフも含めた関係者を逮捕するとともに、被疑者らが係わった複数の事件について連続的に逮捕を行うなど、徹底的に犯罪事実を解明しようとしている。こうした捜査本部の積極的な姿勢には拍手を送りたい。今後行われるであろうE2以外の系列会社への捜査にも大きな期待が持てそうだ。
 3/10に杉本らと同時に逮捕された松本結美子被疑者と郡司麻美被疑者は処分保留で3/31に釈放された。「処分保留」とは、「起訴猶予」や、犯罪の疑いが薄いと判断して起訴を見送る「嫌疑不十分」といった不起訴処分とは違う。今後の捜査によって容疑が固まれば、両被疑者が起訴される可能性はある。


 E2関係者が、「供養をしないから先祖が怒っている。御祈願したら体調が良くなる」などとウソを言って不安をあおり、「祈願料」名目で現金をだまし取った疑いで逮捕されている事実から考えれば、下記のような言葉で被害者を誤信させ不安を煽って金を巻き上げた他の神世界関係者達も逮捕されて当然だ。

神世界関係者が客(被害者)に対して述べた言葉

宮入英実(みろく)
 「ご主人の病気をよくするために遠隔スーパーヒーリングをしたほうがよい。ヒーリングを受けることで毒素が排出されます。ご主人の頭の病気は毒素が頭に溜まっているからです。普通のヒーリングではなく、スーパーヒーリングでなければいけません。」、「毎日を受けたほうがよい。遠隔であれば毎日できます。」
 「あなたの家系には、重たいものがある。あなたの妹の病気は、家族の中の誰かが池を埋めたのが原因ではないか。」、「また、無縁仏もいる。このままでは、家系に非常に重たいものがある。妹にも御霊光の話をして、サロンに連れてきたほうがいい。膠原病で、喉が蛙のようにぱんぱんに膨らみ、救急車で運ばれたような人も、御霊光によって命が救われた。」、「ほかの人にもサロンの話をして、連れてきたほうがよい。そのことによって、あなた自身の運気が非常に上昇してくる。」


和田美和(びびっと)
 「あなたには、これから胸に後遺症が出てきますね。」、「将来的に肺の病気になる可能性があるので注意が必要です。」、「お取り次ぎをしたところ、右腰、右肩に痛みがありました。」、「長期間にわたって患う病気がある名前です。名前をもうひとつ持った方がいいです。」
 「その(ほくろを取るために受けた)レーザー(手術)により、体の中に毒が入っているのですね。これ(毒)を取り除かなければあなたの子宮は子宮外妊娠するおそれがありますね。」


K山Y希子(びびっと)
 「あなたには蛇霊がついていますね。」「水の蛇霊は血液に良くありません。リウマチや膠原病の原因になります。」「木の蛇霊は木から落ちてくるものです。木を伐採したりした時に憑きます。家の主や子孫、体が弱い人に憑きやすいのです。憑かれると、よく怪我をするようになり、疲れやすく、すぐくじけ、死にたくなります。」「御祈願をすれば神様が蛇霊をとってくれます。一人で進んでいけるようになります。肉体の破壊が止まり、危険が回避されます。」

M橋H水(びびっと)
 「あなたはご先祖に選ばれてしまったんです。○○さんが苦しんでいるのは、人を信じて傷つき、苦しむようなご先祖がいたから、そのご先祖が同じ運命を子孫に負わせようとして、子孫の中から○○さんを選んだんですよ。」、「このご先祖を供養しないとご先祖と同じ運命をたどり、いつまでも苦しむことになりますよ。」、「自分のご先祖だけだと5万円以上、ご主人のご先祖と併せて両家の御祈願を行う一切合切祈願だと30万円以上必要です。」
 「土用殺の時期に旅行に行くと、後々お子さんに災いが起きます。」、「御祈願をしなければ、将来、お子さんが病気になったり、家庭不和が起きたり、仕事に就けなくなったり、子孫が出来なくなったりします。」、「近場であっても御祈願をしなければいけません。」


淺原史利(えんとらんすアカサカ)
 「あなたの家は問題があります。」、「屋敷神が良くない。狐の霊が家に取り憑いていたずらをし、家族に良くないことがおきます。お祓いするのに40万円かかります。」、「井戸に蛇がいて家族に良くないことがおきます。」、「廊下が家の中央にあるのは子供の背骨を踏んでいるのと同じことです。ご祈願が必要です。」、「子供が9歳になる頃に命に関わるようなことがおきます。ご祈願が必要です。」
 「あなたの家系は非常に重く、それを良くするための金額を出せないほどだが、お墓のお浄めと、御祈願をして、自分の魂の位置を上げて、悪いものの影響を受けないようにしたほうが良い。金額は30万円。」


淺原嘉子(えんとらんすアカサカ)
 「体から冷えが出てきています。」、「肩もこっています。」、「右の腎臓が固くて調子が悪いですね。ヒーリングを受ければよくなっていきますよ。」、「このヒーリングを受けることで身体にも自分の周辺にも結果をいただけます。」、「ライセンスをいただくと、ヒーリングをご自分に対しても出来ますし、家族にすることができるのですよ。」、「よく勘違いをされて困ってしまうのですが、ここは会社です。私も、スタッフには宗教と間違えられないように厳しく指導をしています。」

栗山悦子(えんとらんすわーるどヒルズ)
 「あなたは本当に重たい人間。」、「あなたは、サロンに来なければ大変なことになってましたよ。放っておけば死んでました。今、生きていることが奇跡。」、「○○に合格できたのは、非常に奇跡であり、サロンでの御霊光や御祈願のおかげであるが、もちろんそれだけではない。そのため、今後、その奇跡を『神様』にお返ししていかなくてはいけない。今後は、御霊光を頻繁に受けるのはもちろん、この素晴らしさを人に伝えて、サロンにお連れしなくてはいけない。」、「ライセンスを取得しなさい。このライセンスはとてもいいものです。サロンに御霊光を受けに来るのもいいですが、このライセンスを持っていると、ほかの人にも御霊光を行うことができます。霊線でつながっている家族に御霊光を送ることもできます。持っているだけで基礎運もあがります。いわゆるお守りの代わりにもなり、まさに『お守り様』となってくれるのです。」、「この神書は、読むだけで目から御霊光が入ってくる素晴らしいものです。」、「あなたもこの神書を買わないといけません。」、「この額は神書を書かれた方のお肉筆で、書かれたときには、すでに行き場所が決まっていて、ひとつひとつ全然違う。この額からも御霊光が出ています。家に飾っておくと御霊光の力で空気が澄んできます。」

佐野孝(神世界)
 「あなたは生まれた土地が悪い。土地を清める祈願をしなければいけない。」、「あなたの先祖で気管支炎で死んだ人がいる。その人が成仏できていない。その先祖を成仏させるために祈願をしなければいけない。」、「この2つが今のあなたに不幸をもたらしている。」
 「あなた、このままだと恨み殺されますよ。」、「まずは運気を上げなさい。」、「運気を上げていけば、2年後には上に立てます。」
 「神様、神書を書かれた方に感謝をしなさい。」、「スピードが大事。」、「神霊祭に参加でできるということは物凄く良いことなのです。あなた方の先祖が神様に毎日お願いをして神様からお許しをいただいた方だからです。みなさんは、先祖の代表でもあるのです。ですから、必死になって御神業をしなくてはいけません。」



 上記は神世界関係者が客(被害者)に向かって述べた言葉のほんの一部分でしかない。こうした言葉で被害者を誤信させ、不安を煽り、多額の金を巻き上げてきた行為は霊感商法詐欺以外の何ものでもない。こうした行為を行ってきた者達が詐欺容疑で逮捕されることはしごく当然のことだが、一連の行為を系列会社に競わせ、収益を吸い上げてきた神世界トップの責任が厳しく追及されねばならないのは言うまでもない。神世界事件の元凶は神世界トップ・斉藤亨であり、「トカゲの尻尾切り」で捜査を終わらせてはならない。

 東日本大震災の影響で神奈川県警神世界事件捜査本部も何かと大変とは思うが、今後も神世界事件を徹底捜査し、神世界事件という新手の霊感商法事件に係わった者を確実に検挙し、霊感商法は割に合わない犯罪であることを彼らに、そして同じような悪徳商法を目論んでいる者達に思い知らせることが大切だ。神世界事件を解明・解決することは、神奈川県警に科せられた命題であり、県警が神世界事件を解明・解決することができた暁には、県警に対する世間の評価は一段と高まることだろう。がんばろう日本がんばろう神奈川県警



7、逮捕される者とされない者

職場のAさん

(写真はイメージです)
 ある日突然、職場のAさん(34)が警察に逮捕された。彼女がなぜ逮捕されたのか、最初は誰も知らなかったが、ニュースを見た職員が、「あ、Aさんが連行されている!」と叫んだ。「え?神世界ってなに? 彼女は以前そこに関係していたの?」となり、誰かがインターネットで「神世界」を検索してみると、そこには「霊感商法」の文字と、神世界事件に関するたくさんの情報が並んでいた。翌日の新聞各紙にはAさんの名前や経歴、同時に逮捕された者の氏名や容疑の内容が詳しく書かれていた。悪質な霊感商法に係わった疑いで逮捕され、手錠をかけられて連行されたAさんのことは同僚達の間で大きな話題となり、その後数日間の昼休みの話題はその話で持ちきりとなった。
 逮捕されたAさんはその後、検察庁に送検された。ところが送検から20日後、Aさんは「処分保留」で釈放され、再び職場に戻ってきた。しかし、処分保留というのは不起訴とは違う。今後、嫌疑が深まれば起訴される可能性がある状態だ。職場の就業規則には職員が刑事事件の被疑者となり、処分保留になった場合の扱いについて定めた規定はなく、所属長もAさんをどう扱うべきか迷っていた。
 一旦は職場復帰したAさんだったが、同僚達のAさんに対する態度は以前とは全く変わっており、Aさんと目を合わせるのさえ避ける雰囲気があった。結局、Aさんはそうした職場の空気にいたたまれず、自ら職場を去ることになった。
 実名が報道されたことで、Aさんが住んでいる地域でも彼女が霊感商法に係わっていたらしいということが話題となり、新しい職を探すためにハローワークに通うにも、近所の人の目を避けて伏し目がちに歩くAさんの姿がしばらく間見られた。しかし、いつの間にかAさん一家は人目を避けるようにどこかに引っ越して行った。


 上記はある事件をヒントにして私が創作したものであり、事実ではありません。しかし、なんとなくこうしたことは実際に起きそうな気がします。
 警察による「逮捕」や「送検」はまだ”疑い”の段階であり、検察が下した判断も「処分保留」なのですから、決してまだ有罪判決を受けた訳ではないのですが、その疑いを持たれた事案が”霊感商法”という事実は動かしがたく、霊感商法に係わった疑いで逮捕された被疑者が「処分保留」になったからと言って、そのまま職場に留まることは難しいのが日本社会の現実です。ことの善悪は別にして、それが現実です。
 日本社会に於いて、「霊感商法の被疑者として逮捕された」というレッテルを貼られることは、有罪判決を待たずして、社会的に大きなダメージを受けるのが現実です。一度逮捕されれば、職場で、地域で、家族の中でも自分の居場所がなくなることを覚悟する必要があります。ですから、絶対に自分が逮捕されるような状況に自分を追い込んではならないのです。

●逮捕される者
 先日逮捕され、女性刑事に伴われて神奈川県警加賀町署に連行される元E2(イースクエア)スタッフの姿は多くの神世界関係者に大きな衝撃を与えたようです。あの報道を見た多くの人から不安を訴えるメールが届きました。「自分もスタッフをしていた経験がある。自分もあのように逮捕されるのだろうか?」と夜も寝られないほど不安になった人も多いようです。
 私はこの段落の記事タイトルを、「逮捕される者とされない者」としましたが、それは、同じような”活躍”をしてきた元スタッフであっても、人によって逮捕される場合とされない場合があるからです。
 元経営者の杉本明枝が逮捕されたのは当然であり、彼女はどうあがいても逮捕を免れなかったものと思われます。経営者であった者の責任は非常に重く、今後も各系列の経営者に対しては厳しい対応がなされるものと思います。しかし、経営者のことは一般の皆さんには関係ないので、ここでは触れないでおきます。問題はスタッフ経験のある人です。
 先日逮捕された5名の元スタッフはなぜ逮捕されたのでしょう。それは逮捕がどのような時に行われるものであるかを調べてみるとすぐ分かります。逮捕は、「逃亡および罪証隠滅のおそれがある場合に行われる」のであり、逆に言えばそれがなければ被疑者を逮捕する必要はない訳です。あの5名はこれまで警察の捜査に非協力的であったから逮捕されたのです。
 つまり、あの逮捕された5名がもっと早くに神世界の欺瞞に気づき、自ら積極的に警察の捜査に協力していれば、あのような姿を世間に晒すことにはなっていなかった可能性があります。逮捕された者は、これまで何度もそうしたチャンスがあったにも係わらず、正しい情報から目をそらし、神世界という欺瞞組織を信じ続けた結果、逮捕されたのです。

●逮捕されない者
 神世界でスタッフ経験があるからと言って、全ての者が逮捕される訳ではありません。神世界による霊感商法事件の捜査では、数百人に及ぶ被害者からの事情聴取が行われたようです。しかし被害者調書だけでは関係者を逮捕・起訴し、公判維持を確実に行うだけの証拠を得るのは難しいのが実際のところです。霊感商法事件を確実に立件し、関係者を有罪にするためには、どうしても内部事情に詳しい者の供述、つまり被疑者調書が必要です。
 まだ捜査は続行中ですので、ここであまり詳しく書くことはできませんが、神世界事件が解明されていく過程では、多くの元スタッフや元先生クラスの人達の捜査協力がありました。神世界事件を警察が解明するためには、被害者からのみ事情聴取をしていたのでは、なかなか関係者の逮捕までたどり着けなかったのではないかと思います。元スタッフや元先生クラスの人は、客として通っていた人とは比べようもないほど多くの内部情報を持っています。
 今は新しい仕事に就いてバリバリ働いている元神世界スタッフの中にも、もし捜査協力していなければ逮捕される運命にあったであろう人もいます。神世界事件の場合、スタッフ経験者が逮捕されるかされないかは、ある意味「紙一重である」とも言えます。ある程度サロンの営業に関与した人が、あのE2スタッフのように逮捕されたくなければ、今すぐに警察の事情聴取に応じることです。


●不安を訴えるメール
 3/10に神世界関係者が逮捕された後、たくさんの人から不安を訴えるメールが私のところに届きました。メールの内容は、「私もスタッフ経験がある。私も逮捕されるのだろうか?」というものでした。私はそうした不安を訴えてきた人達に対して二通りの返事を書きました。

二種類の返事

  • 返事1

    ○○さんへ
     「あなたはスタッフとして活躍してしまった時期があり、どちらかと言えば加害者側ということになります。しかしあなたはこれまで警察の事情聴取に応じたり、資料提供をするなど、捜査に積極的に協力してきました。あなたが逃亡したり、証拠隠滅を図ることがないことは警察もよく分かっています。私は警察官ではありませんが、あなたが逮捕される可能性は非常に少ないと思います。どうか安心してください。
     あなたが早期に神世界と決別し、警察の捜査にこれまで協力してきたことは、とても正しい判断でした。できればこれからも警察の捜査に協力していただけると助かります。

  • 返事2

    □□さんへ
     メールをありがとうございます。私にメールを送るだけでも随分迷われたことと思います。でも思い切ってメールをお寄せいただいて本当に良かったと思います。皆さん最初に私にメールを送るときには、大変悩まれるようですが、これまで連絡をいただいた方は、皆さんすぐに、「あのときメールを送って良かった」と思っていただいております。
     先日の元神世界スタッフの逮捕をご覧になり、大変ご心配なことと思います。自分もあのように逮捕されるのかと思うと、夜も寝られないのではないでしょうか。あなたが逮捕されるか否かは、スタッフ当時の”活躍”の度合いや、受けていた給料にもよります。できればもう少し詳しく、あなたの状況を私にお知らせください。
     なお、スタッフ経験があるからと言って、全員が逮捕される訳ではありません。実は多くの元スタッフが警察の捜査に協力してくれており、その人達が逮捕される可能性は非常に少ないのが現状です。
     「何度もメールなどしている暇はない。私は絶対に逮捕されたくない」と思われる場合は、今すぐに神世界事件捜査本部に電話をして事情をお話しいただくのが最善の方法です。電話番号は、045-641-0110(神奈川県警加賀町警察署・神世界事件捜査本部)です。



●スタッフも被害者
 スタッフ経験などなく、純然たる客として神世界から被害を受けた人からすれば、「自分を騙したスタッフや先生も加害者」にしか見えないと思います。それは致し方のないことなのですが、では、逮捕されたスタッフ達は、自分がやっていることが詐欺罪で逮捕されるような悪いことだと知ってやっていたのでしょうか? それはスタッフにもよると思いますが、多くの場合は上から言われたままをそのまま実行していたのが実態ではなかったかと思います。彼女たちは神世界幹部達の巧みな話術と脅しによってうまく”手先”として使われてきただけであり、本当は彼女たちスタッフも被害者なのです。客として被害を受けた人以上の被害を受けているのが、実はスタッフだった人達だということも言えると思います。
 神世界のやり方は、客を徐々に深く引きずり込み、客の中からスタッフや先生を仕立て上げては、また次のターゲットを狙わせる手法で組織を大きくしてきました。神世界の核となる者は、斉藤亨を頂点とするほんの一握りの経営者連中だけであり、大半のスタッフや先生は、都合よく、こき使われてきただけです。

●組織犯罪
 平成22年11月17日(水)に東京地裁で行われた神世界等に対する損害賠償訴訟第10回口頭弁論で原告側が陳述した準備書面(5)という書面があります。
 この準備書面(5)は、各原告(被害者)が被告・神世界から受けた違法行為を態様別に分類し、被告が違っても原告が受けた被害には高度の共通性が認められることを検証し、それをまとめた103ページに及ぶ膨大な書面になっています。
 これを読むと、神世界による違法行為は、びびっと、アカサカ、みろく等と会社が違ってもそこで行われていた内容は極めて類似性が高く、一連の犯行が神世界によって組織的になされていたものであることが明らかにされています。
 組織的に行われた神世界の詐欺事犯に対しては、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」を適用し、加重処罰犯罪収益等の没収・追徴が行われるべきです。そのためには、スタッフ経験者など、神世界内部の事情を知っている人の協力が欠かせません。

●トカゲの尾
 先日来、神世界関係者が逮捕されていますが、現在逮捕されている者の多くは「トカゲの尾」でしかありません。トカゲの尾は何度切ってもまた生えてきます。トカゲを退治するにはトカゲの頭を押さえなければなりません。
 元スタッフの大半は神世界から見ればトカゲの尾でしかありませんが、その人たちにも人生があります。一旦逮捕されてしまえば、先に述べたように自分の人生はそこで大きく変化することになります。元スタッフの皆さんが沈黙を続けることは、トカゲ本体を擁護することにしかなりません。トカゲ本体はどんなにたくさんの尾が切り取られても、また新たな尾を再生すればいいだけなので平気です。トカゲの頭は、「詐欺容疑となるような事案は”尾”が勝手にやったこと」と素知らぬ顔をして、事件の責任はすべて”尾”に押し付け、自分たちは豪勢な暮らしを続けています。泣くのは「尾」とその家族だけでいいのでしょうか。

 神世界事件の捜査が、3年以上という非常に長い年月を要して、やっと実を結び始めました。現在はE2に対する捜査が優先されていますが、E2に対する捜査が一段落すれば次のターゲットに対する捜査が急ピッチで行われるでしょう。E2以外の系列でスタッフ経験をお持ちの方が一人でも多くこの記事を見て救われることを望みます。どうか逮捕という最悪の結果に自分を追い込まないようにしてください。




8、逮捕は見えず
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 2011年3月10日から3月31日にかけて複数名の神世界関係者が逮捕された。そのニュースはマスコミ各社が一斉に報じたが、その中でもユニークなタイトルを付けて報じたのが日刊スポーツ(右記)だった。そのタイトルとは、

逮捕は見えず…霊感商法の女 詐欺で再逮捕

というもので、最初にちらっと見たときは私も意味がよく分からず、え?「逮捕は見えず」って何のことだ?と思ってしまった。しかし、意味が分かった後は思わず笑ってしまった。
 「ここは昔首切り場だった」とか、「このままではあなたは大変な病気になる」などと、昔のことでも未来のことでも、”何でも見通せる霊感を持っている筈の女”が、”自分が逮捕されることは見通せなかった”ことを、「逮捕は見えず・・」と皮肉っていたのだ。

 詐欺罪で逮捕され、その後起訴された杉本被告は、2007年12月23日に青山のE2で行った”クリスマス会見”の席上、あたかも自分には霊感があるかのような話をしていたが、神世界の”主要商品”である御霊光に関しても、実は全く何も見えていなかったことが、元E2スタッフの証言で明らかになっている(下記)。

御霊光が強くなった?

 これは、まだE2が活発に活動していた当時の話。
 E2のスタッフだった近藤さん(26才・仮名)は、うっかりして首にかけていたライセンス(お守り)をトイレの床に落としてしまった。ライセンスが床に落ちると御霊光が弱まったり、邪気が入るとも散々言われていたので、近藤さんは心臓が止まる思いだった。本来であれば、すぐにそのことを上の者に報告し「お詫び」もしなければならないのであるが、元来探求心旺盛な近藤さんは大胆にも、ある「実験」をしてみることにした。「私がこれを落とした事は誰も知らない。このまま取り次ぎをしたらどうなるんだろう?」と思い、それを試してみることにしたのだ。
 数日後、近藤さんはなんと杉本に対して「取り次ぎ」を行うことになった。相手が素人ならともかく、サロン内では最も霊感があるとされている杉本に対して、「トイレの床に落としたライセンス」を使って御霊光を送るのだから、近藤さんは内心びくびくしながら御霊光を送った。
 終わった直後、杉本から返ってきた言葉は意外なものだった。

 「近藤さん、御霊光が前より強くなったねー!すごい!!」。

 それを聞いた近藤さんは、「エーー!、この人、本当は何も見えていないんだー!!」と思った。


●インターネットの力を予見できず
 チュジニア、エジプトに起こった政変はカダフィ大佐率いるリビアにも及び、中東一帯では大きな変革が起きている。一連の変革は、”フェイスブック革命”とも呼ばれており、インターネットによる自由な情報交換が可能であったからこそ成し得た革命であったと言える。「情報を制する者は国をも制する」と言われるように、現代は情報が大きな力となる。
 神世界事件がインターネットのない時代に起きていれば、被害は遥かに大きなものになっていただろう。神世界による犯罪行為を摘発するに当たっては、インターネットによる情報交換、情報発信が非常に大きな力となった。
 しかし、神世界の「神」は、インターネットに疎かったのか、神書の内容やインチキ御神体、神世界による被害実態などがネット上で公開されることなど思いもよらなかったのであろう。インターネットや携帯による情報交換の発達を予見できなかった神世界は、すでにその時点で今日の凋落が確定していたと言える。

●fujiyaが見えない神世界
 fujiyaなる人物の評価を誤ったことも、神世界にとって大きなミスであったと言える。神世界は私がどこかの宗教団体の回し者で、神世界が急成長するのを妬んで破壊工作をしていると吹聴していたが、残念ながらその読みは100%間違っていた。私はどこの宗教も信じていない。私が神世界を批判しているのは、神世界が人の道から外れた行為を繰り返してきたからであり、私は神世界に対して強烈な嫌悪感は持っているが、妬みなど微塵もない。
 fujiyaの存在は神世界にとって疫病神のようなものであろうが、神世界の「神」には、私の姿が全く見えていないようだ。

●警察の動きが読めない神世界
 神奈川県警がどのような捜査を進めているかについても、神世界の「神」は全く見えていなかった。某顧問弁護士の見当違いの判断を信じ、「警察はもう関係者の逮捕などできない」と思い込み、神世界新聞を発行するなどして、のうのうと活動を続けていた。  2011年2月11日にS新聞社が、”霊感商法 「神世界」詐欺容疑で近く立件へ 神奈川県警”と題して警察の捜査を暴露する前打ち記事を出したときは私も一瞬慌てたが、他のマスコミ各社は冷静に対応してくれ、S新聞社の後追いをすることなく沈黙を保ってくれた。私も掲示板等には一切その件は掲載せず、S新聞社の報道を黙殺した。こうした極めて簡単なカモフラージュ策であったにも係わらず、神世界側はものの見事にひっかかり、「捜査当局がそのような調査方針を決定したのであれば、S新聞社一社の報道で終わるわけがありません」との判断を示した。私はこれを見たとき、「詐欺師を騙した私はクロサギか?」と思った(笑)。
 彼らが持つ神霊能力が本物であれば、こんな簡単なカモフラージュなどいともたやすく見抜いていたであろうが、悲しいかな神世界の神霊能力は「看板に偽りあり」でしかないので何も見えていなかった。

●杉本被告の神霊能力
私はお金に関する神霊能力
専門なので他の分野は・・?
 3/31に起訴された杉本被告の公判は横浜地裁の第5刑事部扱いで行われることが決まっているが、公判期日は4/8現在まだ決まっていない。期日が決定すればすぐに掲示板でお知らせする予定だ。
 杉本被告の第一回公判は傍聴希望者が殺到するのではないだろうか。杉本被告は何かと話題の人物である。「夫」を演じてきた吉田元警視も変装して傍聴に来るのだろうか?
 証言台で杉本被告は自分の霊感についてどのように答えるのだろう。クリスマス会見で記者に述べたように、「祈祷の金額は神霊が決め、自分はそれを伝えるだけ」と、自分には神霊の声を聞く能力があると相変わらず述べるのだろうか。
 「今回あなたが逮捕されることについて、神霊はあなたに何も教えてくれなかったのですか?」とツッコミを入れてほしいところだが、検事もバカバカしくてそのような質問はしないだろう(笑)。杉本に確かな神霊能力があるのなら、判決を待たずして自分が有罪になることを悟って、いさぎよく全てを白状するのが懸命な判断だ。そうすれば、少しは罪が軽くなるかもしれない。しかし、彼女の神霊能力はトイレで落としたライセンスもかぎ分けられないものでしかないので、自分の行く末を予見することはできず、罪状認否では容疑を否認する愚行に出るのだろう。(2011.4.9)




9、起訴

 このページの冒頭で紹介した通り、2011年5月3日現在、これまでに逮捕された神世界関係者は7名であるが、複数回逮捕された者もいるので、逮捕状が執行された人数は、延べ11名になっている。元経営者の杉本明枝被告はこれまでに3回逮捕され、3/31に詐欺罪で起訴、更に4/21と5/2にも同罪で追起訴されている。その一方で、これまでに逮捕された元スタッフは、いずれも処分保留で釈放された。
 これまでの一連の動きを見ていると、捜査当局の狙いがどこにあるのか推測ができそうだ。事件を主導した疑いで逮捕した元経営者を起訴し、確実に有罪にするためには元スタッフを厳しく取り調べる必要があったのだろう。逮捕された元スタッフなどに対しては、逮捕前にも任意での事情聴取が行われていたが、任意での聴取には限界があり、聴取に対して反抗的態度を取る者や、呼び出しに応じない者もあったようだ。逮捕状を取り、身柄を拘束して20日間の取り調べを行うことで、捜査関係者は元経営者を確実に有罪にできるだけの証拠を確保しようとしたのではないかと思われる。しかし、釈放された元スタッフ達は「処分保留」であり、「不起訴処分」ではないので、捜査当局の狙いはまた別にあるかもしれない。

 逮捕された元E2スタッフ達は、氏名がマスコミで晒され、手錠をかけられ腰縄をつけられて連行される姿が新聞やテレビで報道された(手錠・腰縄はモザイク処理)。自業自得とは言え、「逮捕された」という事実は、逮捕された者の生活を一変させるだけの重さがある。確かに法的には「逮捕」はまだ疑いの段階でしかなく、起訴され、裁判で有罪が確定して初めて罪となるのであるが、日本社会に於いては、「詐欺容疑で被疑者として逮捕された」という事実は、有罪判決を待たずして、公私にわたる社会制裁を受ける結果となるのが現実だ。以前の記事でも述べたが、逮捕されること自体が一つの社会的制裁になっている現実がある。事の善悪は別にしてそれが現実だ。逮捕された後、「起訴されなかった」、「処分保留で釈放された」からと言って、逮捕される前と同じ生活ができる可能性はほとんどないのが現実なのだ。

 元スタッフを逮捕すれば、その者の人生を大きく変えてしまうであろうことが捜査関係者も分かっているだけに、元スタッフを逮捕すべきか否か、関係者も随分逡巡したと思われるが、神世界事件という卑劣な犯罪を解明するためには、スタッフ逮捕もやむなしとの結論に至ったものと思われる。「スタッフも逮捕」という捜査方針が一旦決まれば、今後もその方向で突き進むのは当然のことだ。
 今回のE2に対する捜査方針は、今後行われるであろう、えんとらんすアカサカびびっととうきょうえんとらんすわーるどヒルズなど、他の系列会社への捜査に於いても同じ方針で臨むことは想像に難くない。メインターゲットである経営者を有罪にするために、経営者は勿論、サロンでスタッフとして働いていた者達が、元E2スタッフと同じように次々と逮捕される日はそれほど遠くないだろう。
 私がこれまで何度も警告している通り、自分があのE2スタッフ達のように逮捕されたくなければ、自ら進んで警察の捜査に協力することが、自分と自分の家族を守る最善の道であることを悟るべきだ。「神様ありがとう」等と歌ったり踊ったりしている暇があるのなら、自分の身の振り方を考えることの方が先決だ。
 神世界を止めて、「観音会」なる組織に移籍してみたところで、何ら状況は変わらない。現在の捜査は過去に行われた事件について行われているのであり、現在どこの組織に属しているか等は全く関係のないことだ。

 杉本明枝被告の公判日程がなかなか決定されない状況が続いているが、これは杉本被告が追起訴される状況にあるため、裁判を併合審理で行うことが検討されているのかもしれない。最近の裁判で併合審理となった例としては、首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人罪等で複数の起訴をされた木嶋佳苗被告(36)に対する裁判がある。




2011年5月30日(月)に逮捕された4名

佐野 孝(42) [大神霊教会会主]
佐野りら(27) [えんとらんすグループ統括室室長]
浅原史利(48) [えんとらんすアカサカ代表取締役]
浅原嘉子(47) [えんとらんすアカサカ取締役]

10、佐野孝、佐野りら、淺原史利、淺原嘉子を逮捕

佐野 孝 被疑者 佐野りら 被疑者 淺原史利 被疑者
淺原嘉子 被疑者
2011年5月30日(月)深夜に逮捕され、31日(火)午前1時頃、横浜・加賀町警察署に連行される4名のえんとらんす関係者



神世界幹部4名逮捕
 2011年5月30日(月)の深夜、(有)神世界の傘下にある、えんとらんすグループ関係者等4名が逮捕された。今回逮捕された4名は、いずれも神世界幹部であることが特に注目される。
 2011年3月に、E2の杉本明枝被告ら7名が逮捕されたときには、”神世界関係者の初逮捕”ということで、それなりに注目を集めたが、今回のえんとらんす関係者の逮捕に比べると、E2関係者の逮捕は「前振り」でしかなかったかのように見える。杉本明枝は、”雇われ経営者”でしかなかったが、今回逮捕された4名は、神世界を取り仕切ってきた中心的幹部だ。被害対策弁護団の荻上弁護士は、佐野孝を「神世界の実質的ナンバー2だ」と述べている。

えんとらんすアカサカの顧客数約4,300名
 えんとらんす系の被害者数はE2とは比べものにならないほど多い。佐野孝は、(有)えんとらんすアカサカ、(有)えんとらんすわーるどヒルズ、(有)えんとらんすスリーツー1(ワン)の、えんとらんすグループ3社を統括する立場にあった。2001年から2008年にかけて、このグループ3社の収益は約39億円に及んでいる。3社の中でも際だって被害者数が多いのが、えんとらんすアカサカ(甲斐市竜王)だ。(有)えんとらんすアカサカは、今回逮捕された淺原史利・淺原嘉子が統括してきた会社であり、およそ4,300人が顧客として登録されている。上記グループ収益39億円中、約29億円の収益をえんとらんすアカサカ1社が上げていた。
 えんとらんすグループの売上げは、その約4割を(有)神世界に上納していたとされており、今後の捜査では、資金の流れからも、(有)神世界及び代表者斉藤亨の事件への関与を追及していくことになるだろう。
 今回逮捕された4名の逮捕容疑は、2006年5月頃、浅原被疑者夫妻が役員を務める甲斐市の「えんとらんすアカサカ」が運営する都内のサロンで、子宮筋腫に悩む会社員女性に、「子どものころから医者に処方された薬の毒素で病気になった。御祈願を受ければ良くなる」などとうそを言い、祈願料名目で100万円を詐取した疑いが持たれているが、これらと同様の行為が神世界内部で日常的に繰り返されてきたことは、現在係争中の民事訴訟の訴状を見れば一目瞭然であり、今後、他の神世界グループ関係者にも司直の手が下されることは明らかだ。

トカゲの頭をおさえるまで捜査は続く
 前回、E2関係者の逮捕が行われた際には、杉本明枝を逮捕・送検し、”トカゲの尻尾切り”で事件捜査を終わらせるのではないかとする悲観的観測もあった。しかし、今回、神世界幹部4名が逮捕されたことによって、それは杞憂であったことが明確となった。
 今回の神世界幹部4名の逮捕内容を精査すると、他の神世界幹部に対しても同様の理由で逮捕が可能であることは明白である。今回の逮捕は、今後、えんとらんすわーるどヒルズ関係者、みろく関係者、びびっと関係者等に対しても同様の捜査が及ぶことを示唆していると思われる。そして最終的には、「組織の頂点」である、神世界トップ・斉藤亨逮捕に至る道筋が見えてきたのが今回の逮捕だ。
 前回のE2関係者逮捕は神世界事件解決に向けた、”小さな一歩”だったが、今回の神世界幹部4名の逮捕は、”大きな一歩”と言える。
 これまで何度も警告をしているが、神世界に対する捜査は今後も続けられていく。未だに神世界系列サロンで働いている者、未だにサロンに客として通っている者は、今回、神世界幹部が逮捕されたことの意味をよく考え、自分の身の振り方を熟考すべきだ。

顔を上げて連行された被疑者
加賀町署に連行される4人の被疑者
 今回の逮捕を報じたニュース映像を見て、私は笑ってしまった。それは、逮捕された者の中に顔を隠さずに連行されていった者がいたからだ。今回の逮捕の8日前(5/22)の掲示板[7185]に私が、「まだ逮捕されていない神世界関係者へ」と題して、「”自分たちは悪いことをしていない”という自負があるならば、逮捕された際には、堂々と顔を上げて連行されるべきだ。今からその覚悟を固めておこう。」と書いたのを見て、早速実践したのかもしれない。おかげで私は逮捕された関係者の顔をよく見ることができた。
 佐野夫妻は顔を隠す動作をしなかったが、淺原史利は下を向き、カメラから顔を背けて歩いていた。そこには、「天野先生」としてスタッフの前で威勢よく檄を飛ばしていた当時の姿はなかった。淺原史利が下を向いて連行される姿を見て、「顔を上げろ」と言っていた本人自ら、下を向いていたことは、それが答えだ。伏し目がちなあの男の姿を見て、これまで必死にA先生を演じてきたんだろうなぁと妙な気持ちになった。」HAPPY FLAVOR SENSEに書かれている。
 妻の淺原嘉子は夫以上に体を深く前に倒し、終始顔を下に向けたままだったので、表情をうかがい知ることはできなかった。深夜の逮捕であったため、嘉子は化粧を落としていたので素顔をカメラに晒すのが耐えられなかったのだろうか? それとも罪の重さを感じて顔を上げることができなかったのだろうか?

身体検査
 逮捕された者が拘置所の居室に入れられる際には「身体検査」がある。男性の被疑者であっても刑務官監視下で全身の身体検査を受けるのは屈辱と感じるものだが、被疑者が若い女性であれば、その屈辱感は耐え難いものがあるだろう。今回逮捕された4名の被疑者も、あの連行後、身体検査を受け収監された。
 収監される際の身体検査の内容について、具体的に述べるのは少々はばかられるので、その内容が書かれているページへのリンクを示す。参考:逮捕後の身体検査

神世界からは一切のコメントなし
 今回、幹部4名が逮捕されても、相変わらず(有)神世界からは何のコメントも出されていない。逮捕された4名の被疑者は、「詐欺はしていない」などと、いずれも容疑を否認している。「詐欺はしていない」と否認するだけで済むのであれば警察はいらない。「火のないところに煙はたたない」のだ。杉本明枝が逮捕され、更に起訴もされているのに、今回逮捕された者が起訴されずに無罪放免されることなどあり得ないことは、子供でも分かることだ。この期に及んでまだ一言のコメントも発しない神世界という団体は、日本一とんでもない団体なのだろう。「社会的責任」という言葉は、彼らの辞書には載っていないようだ。
 組織の中枢が逮捕されたえんとらんすグループが、今後どのような動きをとるかに注目していきたい。逮捕直後の6/1(水)の月例祭典は行われたのだろうか。甲斐市竜王のえんとらんすアカサカ本部には、5/31には数名の女性が出入りしていたが、記者の問いかけに対して「取材には答えられない」と述べた。
 組織の中枢が逮捕されても目が覚めない者がいることは驚異であるが、それがこうした霊感商法の怖さでもあるのだろう。今回の逮捕を受けて、えんとらんす系列から観音会に移籍する者も出てくるものと思われるので、観音会の動向にも注意して行きたい。
 E2関係者の逮捕が3/10。えんとらんす関係者の逮捕が5/30。この間2カ月と10日であった。次に神世界関係者が逮捕されるまでには、やはり同じ程度の日数を要するとすれば、次回の神世界関係者逮捕は8/10頃か? 次に逮捕されるのは誰なのか、推測してみるのも一興かもしれない。


(参考)2011.5.30に逮捕された神世界幹部4名に関する補足情報

佐野夫妻
 (有)えんとらんすアカサカは、佐野孝が2001年に創業し、その後、浅原史利に経営を引き継いだ会社だ。(有)えんとらんすアカサカはその後分社化し、新たに(有)えんとらんすわーるどヒルズと、(有)えんとらんすスリーツー1(ワン)という会社が作られ、えんとらんすグループ会社は3社となった。佐野孝被疑者は現在でも、これら3社を統括する立場にある。その後更に分社化は進められ、(株)京、(株)都、(株)宮などの会社が作られたが、そのいずれにも佐野孝が取締役として就任している。
神世界の祭典で話をする佐野孝
 佐野孝は神世界の中でも3名しかいない「会主」という肩書きを持った男だ。神世界で年に2回行われてきた祭典では、佐野孝は壇上から「講話」を行うなど、教祖・斉藤亨に代わって組織運営をしてきた男だ。

 佐野孝は、えんとらんすグループを各社を統括するセクションとして、「統括室」なるものを作り、その「室長」に自分の妻である佐野りらを就任させた。りらが室長に納まった後、えんとらんす内部では、こまごまとした指導、指摘、改変がされるようになった。その頃、インターネット上では神世界に対する批判が相次いでおり、りらはそうした批判をかわすための”指導”もしていたようだ。
 佐野りらは、2006.12.12に上記分社化により設立された、(株)都の代表取締役にもなっている。佐野りらを知る、ある元神世界関係者は、「あの娘は、なんというか男好きのする雰囲気バリバリでしたよ。私服のときはなんというか、ピンクのふりふり系なんだけど、清楚という感じではなくて、欲しいものは何でも手に入れたがるわがままお嬢、同姓からはモロ嫌われるタイプでした(笑)」と酷評する者もいる。
 佐野孝と佐野りらは名前からも分かる通り夫婦だ。”佐野りら”の旧姓は「栗山」といい、りらの母親は、えんとらんすグループ企業の、”(有)えんとらんすわーるどヒルズ”経営者の栗山E子だ。佐野孝は、自分より2才年上の元妻・葉子と離婚した11日後に、14才年下のりらと結婚した。佐野孝と別れた葉子は、その6カ月後、神世界教祖斉藤亨の妻となっている。「神世界は宗教だ」と言っている割には、ドロドロした男女関係も垣間見えてくる。

淺原夫妻
 淺原嘉子(当時は別姓)は姉が看護師として働いていた山梨県韮崎市の病院に勤務していた。病院勤務といっても看護師等だったのではなく、嘉子は受付のようなところで働いていた。同じ病院に淺原史利が理学療法士として働いていた。この職場で二人は知り合い、1990年3月9日に結婚した。
 淺原嘉子が神世界(当時は千手観音教会)に通うことになったのは次のような経過だった。知人女性から千手観音教会に誘われた淺原嘉子は当初は千手観音教会に興味を示さず、再三の誘いを断わっていた。しかしその後、1997年10月になって淺原嘉子が千手観音教会に行ってみようと思ったのは、色々な体調不良が原因だった。1年前と同じ日に再び体調不良に見舞われるなどの事象が続いたので、「これは何かあるのではないか」と思い、それがきっかけで彼女は千手観音教会を訪れた。その当時、彼女は他の病気にも苦しんでいた。
 千手観音教会で告げられた言葉によって、自分の周りで起こっていることが先祖の因縁である、現代医学では自分は助からない等と言われ、自分が助かるのはここしかないと思い込んだようである。嘉子は千手観音教会の中でお手伝いとしてしばらく働き、その後、スタッフになった。嘉子は教主(当時。現在は教祖)の食事係などもしていたこともある。彼女が直接指導を受けたのが佐野孝(会主)で、教会内で毎日佐野に怒鳴られ、泣きながら仕事をしていた。
えんとらんすアカサカ(竜王)
の祭典で話をする淺原史利
 ある日、教主(斉藤亨)が一斉に多くのスタッフを辞めさせ、スタッフの総入れ替えをした時期があったが、嘉子はスタッフとして残り、その後、徐々に頭角を現していった。
 神世界の前身は千手観音教会であり、当初は山梨県内で細々と営業している小さな団体だった。しかし「神世界」と名前を変えた後、営業方針を大きく変え、積極的勧誘を行うなどして徐々に規模の拡大を図っていた。神世界トップ・斉藤亨の命により、神世界は東京に進出することとなり、佐野会主(佐野孝)が東京進出の責任者となった。佐野の東京行きに併せて、淺原夫妻も東京へ行くことになった。そして佐野会主がニューヨークに行く際に、淺原史利は経営者の立場を譲り受けた。

 淺原嘉子は、当初の佐野会主の指示では”永田町計画”(永田町計画とは、「天野先生の特別なサロン」を都内一等地の豪華なマンションでオープンさせる計画)には入っておらず、それまで担当していた柿の木坂のエレヴァシオンを担当することになっていた。ところが淺原嘉子は佐野会主に泣きつき、柿の木坂のエレヴァシオンを他の者に押しつけ、永田町計画に割り込んだ。
 当時、「永田町計画」に使用する物件がすでに決まりかけていたが、淺原嘉子は、”昔テレビで見たドラマであの部屋が使われており、ずっと住みたかった”という理由で、独断であのプルデンシャルタワーレジデンスの部屋に決めた。内部の家具も小物も全て、「教会長がお選びになった」ものに入れ替えさせ、ワガママを押し通した。当時の様子を知る者は、「彼女は自分の”お城”を築きたかったのだろう」と言っている。
 こうして永田町サロン(プルデンシャルタワーレジデンス)は、「えんとらんすアカサカの象徴的サロン」とし、「教会長がいらっしゃる特別な場所」になった。淺原嘉子は柿の木坂からごく一部の客とスタッフを引き連れて永田町サロンに移った。
 2007年9月頃から、”淺原史利は山梨”、”淺原嘉子は東京”という流れになり、淺原史利が9割方山梨勤務となったため、「月額100万円以上」と言われるプルデンシャルタワーレジデンス3705号室は、その後半年間は実質、嘉子一人が寝泊まりする場所になっていた。しかし、この永田町サロンは事件報道後の2008年2月15日契約違反により強制退去させられた。

2人で4つの名前を持つ夫婦
 神世界内部では、「神霊能力開発講座」というものが2002年12月から始まり、淺原史利がその講師をしていた。「神霊能力開発講座」はたった3回の講習だが、受講料は30万円と高額だった。この講座を受講した者は、受講料とは別に、”謝礼”を支払わねばならないように迫られ、250万円の謝礼を支払った者もいた。淺原が着物を着るようになったのはその講座のときからで、2003年秋頃からは、それまでの”淺原先生”から、”天野響”と名乗るようになった。それ以後、淺原史利は組織内では、「天野先生」と呼ばれるようになり、佐野会主からの指示で、高額の鑑定などもするようになった。
 妻の淺原嘉子も神世界内部では橘遼加(たちばなはるか)と名乗っており、客からは「教会長」と呼ばれていた。今回の逮捕報道を見た神世界関係者の中には、淺原史利が天野先生、浅原嘉子が教会長であることに気づいていない者もいるかもしれない。念のために再度整理すると、下記の通り、この夫婦は2人で4つの名前を持っているのだ。

淺原史利(あさはらふみとし)=天野 響(あまのひびき)=天野先生
淺原嘉子(あさはらよしこ) =橘 遼加(たちばなはるか)=教会長


自らをCEO、COOと主張
 淺原夫妻は、スタッフらに対して自ら「私はCEOよ」とか「私はCOOだ」と主張し、「私は偉いのだ。だから私に従え」という空気を漂わせていた。事件が明らかになった今、その言葉通り、しっかり責任をとってもらうことを期待しよう。決してスタッフに罪をなすりつけたりはしないように。

●最高経営責任者 (CEO) Chief Executive Officer
 淺原嘉子(橘遼加)

●最高執行責任者 (COO) Chief Operating Officer
 淺原史利(天野響)

 淺原の経歴や千手観音教会のことを詳しく知る人物は、「淺原氏は大した修行もせずにいとも簡単に”先生”になってしまった。彼が先生になってから3万円を払って彼の”ご相談”を受けてみたが、言われたことはごくありきたりのことでしかなく、中身のないものだった。これではこの団体も大したことはないなと思った」と述懐している。

淺原史利の逮捕時の姿(左)と祭典時(2007年頃)の姿。
スタッフにはいつも、「顔を上げろ!」と檄を飛ばしていたが・・
淺原嘉子の逮捕時の姿(左)と祭典時(2007年頃)の姿。
逮捕時には、終始、深く顔を隠したまま連行されていった。







11、スタッフに罪をなすりつける神世界

勾留理由開示を伝えた神奈川新聞

 2011年5月30日(月)深夜に逮捕され、31日(火)午前1時頃、横浜・加賀町警察署に連行された佐野孝、佐野りら、淺原史利、淺原嘉子の4名のえんとらんす関係者は、横浜県警で取り調べを受けた後、横浜地検に身柄送検された。
 4名に対する勾留理由開示手続きが6月9日(木)、横浜地裁であり、4名はいずれも「(逮捕容疑の)詐欺をしたことはない」と意見陳述したが、木田佳央人裁判官は「証拠隠滅や逃亡の恐れがある」と勾留理由を説明し、4名を引き続き勾留し、取り調べを続けることを告げた。
 この件について神奈川新聞から取材を受けた弁護士は、「被害者をだますという詐欺の実行行為をしたスタッフ女性が逮捕されず、共犯とされる4人が逮捕されるのは不当」と述べた。
 逮捕された者が、「詐欺をしたことがない」等としらを切るのはよくあることなのでさほど驚くほどのことはないが、佐野孝ら4名についている弁護士が、上記のような発言をしたことは本当に呆れてしまう。
 まだ神世界に残っているスタッフは、この現実をしっかり見届けておかねばならない。上記発言は逮捕された4名の代理人となっている弁護士が述べた言葉であるが、代理人はクライアント(顧客)の意向に沿って発言する。代理人弁護士の発言は、逮捕された4名に代わって言葉を発しているのであり、上記発言は神世界経営者達の意向を代弁したものだ。あなたたちの経営者は、このようにして罪をスタッフに押し付け、自分たちは素知らぬ顔をする経営者たちなのだ。
 神世界で行われてきた金銭収受や一連の行為は、全て上からの指示に基づいて行われてきたことであり、スタッフが独自に判断して実行したものではない。先日行われた口頭弁論で、「元スタッフを訴訟告知する」と述べたのと軸は同じで、神世界経営者は自らの責任を全く顧みず、「悪いことをしたのはスタッフ。我々経営者は詐欺などしていない」として、全ての責任を末端のスタッフに押し付けようとしている。もちろんこのようなバカげた主張が通ることはあり得ず、裁判官は「証拠隠滅や逃亡の恐れがある」として勾留を続ける理由を説明した。

 神世界のやり方を見ていると、暴力団幹部が末端組員に指示して犯罪行為を行わせ、幹部は手を汚さずに甘い汁を吸い上げ、警察に捕まるのは末端組員だけという構図がそのまま当てはまりそうだ。しかし、こうした神世界のやり方はすでに解明されており、捜査当局の目は神世界幹部に向けられている。

 しかしこの弁護士、何を血迷ったか、「被害者をだますという詐欺の実行行為をした」と述べており、神世界において「被害者をだます詐欺の実行行為があった」ことを認めているようだ。更に、「共犯とされる4人」とも述べており、逮捕された4名が詐欺の共犯であることを認めるような発言をしている。きっと、つい本音が出てしまったのだろう。ついでに、4名は「共犯」で、「主犯」は斉藤亨だと言ってくれると更に分かり安いのだが・・。

 口頭弁論での発言や勾留開示をめぐる発言を見ていると、神世界の実態がいよいよはっきりしてきたようだ。




2011年6月20日(月)逮捕

小塚麻衣子(35)[元スタッフ]

12、えんとらんすスタッフも逮捕

6/20に逮捕された
小塚麻衣子被疑者

 2011年6月20日(月)、(有)神世界による霊感商法事件を捜査している神奈川県警神世界事件捜査本部は、いずれも神世界幹部の佐野孝(42)、佐野りら(27)、淺原史利(48)、淺原嘉子(47)の4被疑者、及びえんとらんすアカサカスタッフの小塚麻衣子被疑者(35)[川崎市中原区中丸子]の5名を詐欺容疑で逮捕した。3/10に逮捕された杉本明枝から数えて、これまでに逮捕された神世界関係者の延べ人数は20名となった。
 この日逮捕された小塚被疑者は、サロン内では「日向晶子(ひゅうがあきこ)」と名乗っていた。これまでえんとらんすグループでは経営者のみが逮捕されており、えんとらんすスタッフが逮捕されたのは、小塚被疑者が最初である。
 県警の調べでは、5人は共謀し、平成18年6〜9月、都内のサロンで、病気に悩む都内に住む女性会社員(35)に、「体が相当悪くなっている。状態が良くなるようにご祈願したほうが良い」などと虚偽の説明をし、祈願料名目で現金計50万円をだまし取った疑いが持たれている。
 横浜地検は、2011年5月30日に逮捕され、取り調べを続けていた佐野孝・佐野りら・淺原史利・淺原嘉子の4名のうち、佐野孝・淺原史利・淺原嘉子の3名を6/20に詐欺容疑で起訴、佐野りら被疑者については処分保留で釈放した。佐野りら被疑者は、釈放後直ちに別の詐欺容疑で、他の3名とともに再び逮捕された。

延べ20名の逮捕者
 自社関係者が詐欺容疑で延べ20名も逮捕された会社など、私の記憶にはついぞない。これだけ”未曾有”の大量逮捕者を出しても、(有)神世界からは一言のコメントも出てこない。神世界傘下企業で最も規模が大きい、(有)びびっととうきょうの代表者も、一切のコメントを出そうとはしない。(有)みろくもしかり。
 E2関係者の逮捕・起訴に続き、えんとらんす関係者も逮捕・起訴が繰り返されている。えんとらんす関係は被害者も多いので、警察が逮捕しようとさえ思えば、何度でも逮捕できるだけの被害者調書は揃っていることだろう。一連の逮捕・起訴の動きがここで止まることなど、どう考えてもあり得ないことであり、神世界関係者の逮捕は更に拡大していくであろう。
 会員向けに発行している神世界新聞の紙面では、あれだけ、”勝手なこと”を書いているのだから、物をいう術を持ち合わせていない訳ではあるまい。彼らがどれだけ力になるかは不明だが、神世界は”一応”弁護士もつけているのだから、こうした場面で企業がどのように振る舞うべきであるか、助言を受けることも可能であろう。

 逮捕が不当だと思うのであれば、20名もの者が逮捕されたことに対して神世界は抗議声明を出すべきであろうし、「火のない所に煙は立たない」という意識が少しでもあるなら、社会に対して何らかのコメントを発すべきだ。
 神世界新聞の紙面や祭典時の会主講話では、村木厚子さん(当時厚生労働省企画課長)に対する冤罪事件を引き合いにだし、現在逮捕されている神世界関係者も、村木さんのように無罪が確定し釈放されるだろうとの”希望的観測”を述べているようだが、それはあまりにも世間知らずの発言でしかない。そうした発言を会員向けには自信たっぷりにしている割には、世間に対しては沈黙を続けている。これではまるで、サル山の”お山の大将”でしかない。
 神世界はすでに、”年貢の納め時”を迎えていることを、斉藤亨に言い渡すことができる者は誰もいないのか?


(参考)2011.6.20に逮捕された小塚麻衣子(日向晶子)に関する補足情報

小塚麻衣子(日向晶子)
 小塚麻衣子は、えんとらんすグループが東京に店舗を広げ始めた頃に入ってきたスタッフだった。性格がきつく、きついことでは定評があったK地M和代理でさえも、「小塚はきつい」と言っていた。小塚は、神世界に来る前は、何かの営業かマーケティングをしていたそうだ。

 小塚は淺原嘉子(橘遼加)の腰巾着で、淺原嘉子は常に小塚を自分の目の届くところにおいていた。小塚は淺原嘉子と二人で名古屋のホテルに出張してヒーリングをしていた時期がある。小塚は名古屋の立ち上げから中心メンバーとして関わり、名古屋周辺に勢力を広げたが、かなり強引なやり方だったため、小塚に対して不満をもった客はは多い。
 その後は東京で苦情対応などの業務についていたようで、JR荻窪駅前シンフォニーアンダンテ9階にあったサロンで一人暮らしをしていた時期もあった。

 名古屋ヴェリテは、2004年10月にオープンし、小塚麻衣子マネージャー(その後改名して日向晶子先生)が一人でやっており、お客が多い日は東京からお手伝いが来たり、サロンに来たお客さんに声をかけて手伝って貰ったりしていた。
 2005年の4月に、名古屋は店舗が2つになり、ヴェリテ1stと2ndになった。大神力の御軸も入り(名古屋の感謝祭は、御軸が入った日の14日)スタッフも増えたが、お客さんはそれほど増えずに、それまでは月に何回か来ていた淺原嘉子は来なくなった。
 その後、小塚マネージャーは先生になり、「首都圏店舗拡大の役目」といって転勤し、その後には栗山悦子(現えんとらんすわーるどヒルズ経営者)が来た。
 2007年3月の大祭の準備では、小塚がホテルとの交渉役をやっていた。小塚は、えんとらんすアカサカの情報を知りすぎているので、神世界幹部は小塚を決して手放さないだろうと言われていた。






13、佐野孝ら追起訴
 2011年7月11日(月)、横浜地検は、(有)神世界による霊感商法事件で逮捕され、取り調べを続けていた神世界幹部の佐野孝(42)、淺原史利(48)、淺原嘉子(47)の3名を詐欺罪で横浜地裁に起訴した。同じく詐欺容疑で逮捕され、取り調べを受けていた、神世界幹部の佐野りら(27)と、えんとらんすアカサカスタッフの小塚麻衣子(35)の両名は処分保留で釈放された。  佐野孝(42)、淺原史利(48)、淺原嘉子(47)の3名は、すでに6/20にも詐欺罪で起訴されており、3名ともこれが二度目の起訴となった。先に3件の詐欺罪で起訴されている元E2経営者の杉本明枝の初公判は2011年7月14日(木)、午後2時から横浜地裁にて行われる。



14、杉本明枝の初公判
 ページ容量が肥大化するのを防止するため、神世界事件に関する刑事裁判の記録は、別ページにまとめました。神世界事件関連の刑事裁判については、神世界事件の刑事裁判をご覧下さい。




15、教祖ら4名に逮捕状
2011年8月17日(水)に
逮捕状が出た4名


斉藤 亨(53) [教祖」
日原易子(70) [代表取締役]
斉藤葉子(44) [取締役]
宮入参希江(49) [取締役]

 2011年8月17日(水)、神奈川県警神世界事件捜査本部は、(有)神世界幹部の教祖・斉藤亨(53)、代表取締役・日原易子(70)、取締役・斉藤葉子(44)、取締役・宮入参希江(49)の4名に対し、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕状を取った。
 しかし、今回逮捕状が出た4名は、逮捕状が出てから数日経っても逮捕されておらず、マスコミの報道によると4名の所在が特定できていないようである。これまで多くの神世界関係者が逮捕されており、遠からず自分たちも逮捕されるであろうことはこの4名も予測できていたであろうに、この期に及んで身を隠し、逮捕を免れようとする姿勢は、いみじくも神世界という団体がどのような団体であるかを物語っている。なにもやましいところがないのであれば逃げ隠れする必要はなく、堂々と顔を上げて逮捕され、裁判によって決着をつけたらいいだけである。いい歳をしてコソコソと逃げ回っているのは、みじめ以外のなにものでもない。
 神世界に雇われている弁護士は、逮捕状が出ているにも係わらず出頭しない4名の被疑者に対して適切なアドバイスはしているのか。企業に雇われた弁護士と言えども、法律を守る義務まで忘れた訳ではあるまい。
 未だ神世界に残っている客や神世界関係者は、逮捕状が出ているにも係わらず、いさぎよく出頭しない神世界幹部4名に対して、何を感ずるのか。あなたたちはこのように怪しげな者を教祖として崇めてきたことを恥ずかしいとは思わないのか。

●逮捕状が出されている4名の概要
 登記簿上では、(有)神世界の代表取締役は日原易子(70)となっているが、実質的にこの組織を取り仕切っているのは教祖・斉藤亨である。斉藤亨の父親は、神世界の本部近くで「観音会」という宗教団体の代表をしている。彼らは以前、(宗)世界救世教の信者であったが、その後独立し、山梨県甲斐市に「千手観音教会」という組織を立ち上げた。2002年になって斉藤亨は父親から独立し、(有)神世界を立ち上げた。それとほぼ同時に斉藤亨は山梨から東京に進出し、東京で組織を拡大した。その後、神世界は全国に組織を拡大して行き、神世界による霊感商法被害は全国各地に拡がった。神世界の教典である「神書」を書いたのもこの斉藤亨いうことになっているが、真相は不明だ。

 代表取締役の日原易子(70)は、神世界の中では陽龍(ひりょう)と呼ばれており、この団体の象徴的な存在として扱われていた。日原易子は、”陽神祭(ようしんさい)”と呼ばれる祭典を行うなど具体的活動も行っており、代表取締役という肩書きからしても一連の事件の責任を厳しく問われるべき存在だ。日原易子が神世界の代表取締役になったのは、「教祖を守るため」であると自らかって語っており、自分から進んで神世界の活動に参画していた。日原とともに今回逮捕状が出された教祖・斉藤亨の妻、斉藤葉子は日原易子の実の娘だ。つまり、教祖・斉藤亨の義母が(有)神世界の代表取締役をしている訳だ。斉藤葉子は教祖・斉藤亨と結婚する前は、先に逮捕された佐野孝(42)と婚姻関係にあったが、佐野と離婚した後、教祖・斉藤亨と結婚した。

 取締役・宮入参希江は、神世界関連会社の一つである、(有)みろくの代表者、宮入英実(会主)の夫、M入H彰の実姉である。宮入英実の実姉が(有)びびっととうきょう代表の和田美和であり、宮入参希江と宮入英実、和田美和らは親族関係に当たる。宮入参希江の夫も神世界に係わっていたが、平成21年5月13日に38才の若さで死亡している。死因は癌だった。神世界幹部の親族等には他にも病気で医者にかかっている者が複数名あり、御霊光に最も近い位置にいながら、それら家族の病気は御霊光では全く治らず、医者にかかっている姿には、御霊光の本当の姿がよく表れている。

 このように、今回逮捕状が出た4名は互いに親族関係にある者同士であり、神世界幹部の主立った者は血縁関係によって結ばれている者が多い。先に逮捕され、処分保留で釈放された佐野りら(27)は、神世界関連会社の一つである(有)えんとらんすわーるどヒルズ代表・栗山悦子の娘である。

●組織犯罪処罰法を適用
 今回逮捕状が出ている4名は、これまでに逮捕された神世界関係者の詐欺容疑とは違い、”組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑”で逮捕状が出された。これは私も以前から主張していたことであり、神世界による犯罪は個人レベルの犯罪というより組織的に行われてきた要素が強く、神世界事件を組織犯罪処罰法違反で捜査することは誠に的を射たものである。
 組織犯罪処罰法は、正式名称を”組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律”という。この法律は、巧妙化する組織的な犯罪行為に対して加重処罰規定を盛り込むことや、犯罪グループの解体をするために資金源に対して、没収及び追徴などを行うことができる法律だ。この法律を適用して神世界による犯罪を徹底的に解明し、二度とこの組織が息を吹き返すことのないように壊滅させることは非常に重要だ。
 現時点では(有)びびっととうきょう、(有)みろく、(有)えんとらんすわーるどヒルズの関係者はまだ逮捕されていないが、これらの者を逮捕せずに残しておくことは、神世界に生き延びる道を与えるだけにしかならない。必ずこれらの者も逮捕し、神世界を根絶やしにすることが、この種犯罪の再発防止には欠かせない要件だ。決して”残党”を残してはならない。

 一般的な詐欺罪での罰則は「10年以下の懲役」しか課すことができないが、組織犯罪処罰法の適用を受けると、懲役1年以上15年までとすることができる。そして、犯罪組織が不法な方法で集めた不法収益を没収及び追徴することができる。また犯罪が行われていることを知りながら意図的に隠そうとした者も処罰することができる。資金の流れを明確にするために、金融機関に対して「疑わしい取引」に関する資料の届出義務を課すこともできる。

●逃亡と刑事訴訟法 (2011.8.26 update)
 逮捕状を取ったことが報道された8/17から10日後の8/26になっても、教祖ら4名はまだ逮捕されていない。逃亡中の4名は、逃げ通せば時効になって逮捕されなくなると思っているのかもしれないが、それは違う。
 2007年4月に、前橋地検が健康食品販売会社「日本ヘルシー産業」(破産)の元社長友松克夫容疑者(59)を法人税法違反(脱税)の罪で前橋地裁に起訴した事案があった。この元社長は逮捕状が出た後、逃亡を続けたため、前橋地検は1999年以降、所在不明のまま42回起訴を繰り返していた。これは時効を停止させるために検察が取った処置だった。
 刑事訴訟法では、起訴によって時効の進行は停止するが、起訴状の未送達状態が2カ月続くと公訴が棄却される。このため、前橋地検は1999年以降、所在不明のまま42回起訴を繰り返し、時効を停止させながら容疑者の行方を追っていた。友松容疑者はこの間、群馬、長野、埼玉各県内に潜伏していたが、2006年3月27日、高崎市内で逮捕された。
 今回逮捕状が出ている教祖ら4名の被疑者に対しても同様の処置が可能であり、被疑者が特定されている事件では、どんなに逃げ回っても時効によって逮捕を免れることはできない。

 また上記とは別に、共犯者の起訴から結審まで、公訴時効を停止する(刑事訴訟法第254条2項)という法律もあり、佐野らを共犯者とすれば教祖ら4名の時効も佐野らの裁判が全て結審するまで停止させることができる。
組織犯罪処罰法違反容疑という、通常の詐欺容疑より悪質な犯罪で逃げている者が逃げおおせる余地はない。

●逃亡は損か得か (2011.8.29 update)
 逮捕状が出たことを知って、(有)神世界教祖・斉藤亨ら4名はいち早く逃亡した。警察は必死に彼らの行方を捜索中だが、まだ逮捕に至っていない。彼らを取り逃がしたことは誠に残念であり、できるだけ早期に逮捕してほしいが、このまま彼らが長期間にわたって逃亡を続けた場合、果たしてそれは彼らにとって「有益」なのだろうか。

 長期間にわたって逃亡していた被疑者が逮捕された際、「捕まってほっとした」と述懐する場合がよくある。捕まった者が思わずそうした述懐をしてしまうのは、自分に逮捕状が出されているのを知っていながら長期間逃げ回るのは、被疑者にとって大変辛い日々であるからだ。
 氏名や身分を偽り、カツラをつけたり眼鏡をかけて変装し、人の目線を避けるためにできるだけ外出を控え、四六時中追ってくる警察の影に怯え、文字通り”日陰者”の生活が長期間続くことになる。やむを得ず外出する際は、街角の防犯カメラを意識せねばならない。今はコンビニでも、ファミレスでも、クスリ屋でも、どこの店に入っても至る所に防犯カメラが設置されており、できるだけそれらの防犯カメラに写らないように神経を配らねばならない。
 残してきた子供達の様子を確かめたくなっても、電話をかけることもできない。公衆電話から電話をかけても警察はたちまち居所を割り出してしまう。自分の携帯電話はもちろん使えない。他人の携帯電話を借りて子供に電話やメールをしようにも、携帯番号やメアドは自分の携帯の電源を入れねば見ることができない。ほんの一瞬でも自分の携帯の電源を入れれば居所が割り出されてしまうことは、酒井法子が逃亡中に一瞬携帯の電源を入れただけで居所が判明したことからも明らかだ。警察は本人らだけでなく、被疑者に関係のある者の携帯についても通信記録をこっそり見ているかもしれないので、支援者の携帯であってもうかつに使うことはできない。かといって今からプリペイド式携帯電話を買いに行くことも危険でできない。
 クレジットカードを使えばたちまちに居所を突き止められてしまうのでカードは使えず、支払いは全て現金払いしかできない。所持金が少なくなってきても、ATMを利用すればたちまち居所が知られてしまうので銀行ATMで金を引き出すこともできない。郵便局にも警察の手は回っているだろうから使えない。
 ネットの情報を確認したいが、インターネットカフェを利用する際は身分証明書の提示を求められるので免許証を出すこともできない。レンタカーを借りようにも免許証を提示できないので借りられない。運転免許証の更新時期が来ても免許センターに行けばたちまち捕まってしまうので行けない。
 万一病気になっても医者にかかることもできない。長期間の逃亡生活による精神的ストレスは胃潰瘍の原因にもなる。父親と同じように胃潰瘍になり、病状が悪化しても医者に行くことはできない。虫歯が痛み出しても七転八倒するしかない。交通事故に遭っても素性がばれるので、走ってくる自転車に対しても気を配り、こちらから避けるように気をつけねばならない。
 かくまってくれている者がいる場合でも、あまり長期間になると、かくまうのが負担になり、その者が犯人蔵匿で逮捕されることを恐れ、こっそり警察に通報することになるかもしれない。組織犯罪処罰法違反に問われていることが報道されたので、犯罪収益は全て没収される可能性が高く、支援者や弁護士に払う金も早期に底をつく可能性が高い。
 逃げ続けることによって、そのうち罪が消えるのならともかく、すでに被疑者として特定されている以上は時効によって容疑が消えることはない。検察が起訴を繰り返せば何年間経っても時効にはならない。

 一時の損得勘定から、逃亡という卑劣な手段に走ってはみたものの、冷静に考えてみると、長期間にわたって上記のように多くの制約を受けながら逃亡生活を続けることに何の意味があるのだろう。人が人として生きていくためには、「自由」がなければ本当の意味で生きているとは言えない。逃亡者に一切の自由はない。逃亡者としての生活は、人として当然あるべき社会との関わりを一切断った生活を続けねばならない。常に逮捕されるかもしれないと怯えながら、ビクビクして暮らすことは、それは本当の意味で生きてるとは到底言えない。

 しかし、愚かな教祖らは、目先の逮捕を免れることだけに意識が集中してしまい、長期間の逃亡生活がどれだけつらいものであるかに思い至ることなく、今後も逃げ続けるのだろう。彼らの心が落ち着くことはついぞなく、つねに何かに怯えながら社会の片隅で逃亡者として薄氷を踏むような生活を今でも、そしてこれからも教祖らは続けていくのだろう。
 神世界被害者にとって、教祖らが逃亡したことは誠に残念であり、できるだけ早期に逮捕されることが望ましいと思っているのは当然だ。しかし、彼らがこの先、更に逃げ続けたとしても、それは逃亡者としての辛い状態が続くだけであり、逃亡生活の辛さを考えれば、教祖らに向かって、”ざまあみろ”と言って冷笑してやりたい気持ちになることもできる。逃亡することで身柄拘束から逃れることはできるが、教祖らの生活はこれまでの贅沢な暮らしとは全く違う。不自由で、警察に捕まることに怯えながら、コソコソと逃げ回っている姿は、見方を変えれば、すでに一種の”刑罰”を受けているようなものだ。大規模な霊感商法詐欺を働いた代償として、刑務所に入る前から逃亡者としてまず十分苦しんでもらい逮捕されてからは正式に犯罪者として刑務所の中で罪を償ってもらうのも一興かもしれない。
 教祖ら4名がそうした二重苦を味わねばならないのは、犯した罪の大きさから考えて、まことに釣り合いがとれたものであり、”天秤の法則”にかなっているのかもしれない。




2011年8月29日(月)逮捕

斉藤葉子(44)[取締役]

16、斉藤葉子(教祖の妻)を逮捕 (2011.8.30 update)
2011年8月29日(月)加賀町署に入る斉藤葉子
(ANNテレビニュースより)(動画ニュースはこちらです)
 2011年8月17日に逮捕状が出たことを察知した神世界教祖・斉藤亨ら4名は、いち早く姿をくらました。逃亡した4名の行方は、神奈川県警が必死に追っていたが、逃亡から一週間が過ぎても行方が知れず、逮捕までには時間がかかるかと思われたが、教祖の妻・斉藤葉子は8/29(月)の午後、神奈川県警加賀町署に出頭し、組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕された。出頭する際、弁護士らしき男が付き添っていたようだが、男はすぐに立ち去った。もたもたしていると犯人蔵匿で逮捕されることを恐れたのだろう。この付き添っていた弁護士らしき男とは、神世界の裁判で被告側代理人の席にいつも座っている”あの男”なのだろうか?
 斉藤葉子(44)は12日間の逃亡生活に疲れ果てたのか、加賀町署に連行される姿に精彩はなく、実際の年齢以上に見え、やつれきった様子だった。斉藤葉子は、教祖・斉藤亨の妻であると同時に、神世界内部では天水人巳(あめみずひとみ)、あるいは「天水先生」とも呼ばれており、組織内では教祖などと同じく、”高い位の者”と位置づけられていた。しかし、この日加賀町署に出頭し、顔を伏せて連行される葉子の姿からは、この女がかって神世界内部で「天水先生」として”活躍”していた当時の姿を想像することはできなかった。
 斉藤葉子は出頭の理由は説明せず、ほかに逮捕状が出ている教祖や幹部3名の所在については「知らない」と話しているようだ。組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕状が出されていることに関して斉藤葉子は、「逮捕事実に納得できない」と容疑を否認している。
 逮捕状が出され、一旦は逃亡した被疑者が自ら警察に出頭してくるのは、一般的には罪を認め、観念して出頭してくるものだ。しかし斉藤葉子は出頭した後、「逮捕事実に納得できない」と述べただけで、それ以外は黙秘しているという。逮捕事実に納得がいかないのであればノコノコ出頭せずに逃げ続けていれば良かったものを、そうしなかったのは、逃げ回るのに疲れたということなのだろう。そうなることは逃げる前から分かりきったことであり、前後の見境もなく逃亡した行為は、誠に愚かとしか言いようがない。所詮、その程度の判断能力しか持ち合わせていない者たちなのだろう。

 斉藤葉子には19才から5才まで5名の子供がいるので、警察に出頭する直前には、自分の子供達に電話をかけ、「別れの言葉」でも伝えてから出頭したのかもしれない。今後当分の間、彼女が娑婆に出てくることはできないだろう。
 もっと長期間、”逃亡者の辛さ”を味わってもらっても良かったのだが、意外に早く出てきたのは、所持金が残り少なくなってきたためかもしれない。逮捕されたとき、所持金は数万円になっており、所持品は着替えが入った手提げカバン一つだった。他の場所で逮捕された場合はそこから捜査本部のある加賀町警察署に連行され、警察署前でマスコミのカメラに晒されることになるので、敢えて自分から捜査本部がある加賀町署に出頭してきたのだろう。それも、民主党の党首選挙報道でマスコミが忙しくなるタイミングを見計らって出てきたのは、なかなか計算高く、この女のしたたかさを改めて感じさせた。
 しかし残念ながら葉子の計算通りにはならなかった。神奈川県警の粋な計らい?によって葉子が連行される姿はしっかりマスコミのカメラに晒されることとなり、マスコミ各紙、各局は葉子の逮捕を画像付きで一斉に報道した。

 まだ逃げ続けている斉藤葉子の母親、日原易子(陽龍)は、70歳という高齢であり、誰かがかくまっていなければ一人で長期間の逃亡は不可能だろう。宮入参希江は古くから日原易子や教祖・斉藤亨の「秘書」的存在であったので、宮入(飯窪)参希江と日原は行動を共にしている可能性が高い。街中で、70歳くらいの高齢者と中年女性の二人組が人目を避けるような怪しげな行動をしていたら、それはこの両名かもしれない(笑)。次に出頭してくるのは誰なのか、彼らがノコノコと出てくるタイミングも含めて誠に興味深い。


組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
容疑で送検される斉藤葉子被疑者
(2011.8.31 FNNニュースより)
●斉藤葉子被疑者を組織犯罪処罰法違反容疑で送検 (2011.9.1 update)
 (有)神世界グループの霊感商法事件で、神奈川県警は2011年8月31日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された(有)神世界役員で、教祖(教主)斉藤亨の妻、斉藤葉子被疑者(44)=東京都世田谷区砧4=を横浜地検に送検した。
 送検容疑は2004年5月〜2006年9月、すでに詐欺罪で起訴されている東京都内のサロン経営者らに指示し、祈願代名目などで顧客5人から計1340万円をだまし取ったとしている。(以上、毎日新聞神奈川版より)


●斉藤葉子被疑者を処分保留で釈放 (2011.9.21 update)
 ヒーリングサロンを装った有限会社「神世界」グループ(山梨県甲斐市)による霊感商法事件で、横浜地検は20日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検されていた同社取締役の女(44)を処分保留で釈放した。「教祖(教主)」と呼ばれる会社役員斉藤亨容疑者(53)=同容疑で送検=の妻。
 同地検は在宅に切り替えて捜査を続ける方針。処分保留の理由は明らかにしていない。
 女は、2004年5月ごろから06年9月ごろまでの間、傘下の3法人で構成するグループを統括する佐野孝被告(42)=詐欺罪で起訴=らと共謀し、東京都品川区の女性会社員ら計5人から、祈願料などの名目で現金計1340万円をだまし取ったとして、8月29日に逮捕された。「逮捕事実に納得できません」などと容疑を否認していた。(以上、神奈川新聞より)


●斉藤葉子被疑者を起訴猶予処分 (2011.11.1 update)
 横浜地検は2011年10月31日(月)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた、(有)神世界教祖・斉藤亨の妻、斉藤葉子(44)を起訴猶予処分にした。地検は処分理由を明らかにしていない。同じく組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた、日原易子(70)及び宮入参希江(49)も同日、起訴猶予処分にした。




2011年9月1日(木)逮捕

宮入(飯窪)参希江(49)[取締役]

17、宮入(飯窪)参希江を逮捕 (2011.9.1 update)
組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
で逮捕された宮入(飯窪)参希江
被疑者(49) [TBSニュース]
宮入被疑者がサロンで使っていた名
刺。肩書が、「支配人・飯窪参希江」
となっている。
 8/17に逮捕状が出て以来、逃亡を続けていた(有)神世界の取締役・宮入参希江(49)が9/1(木)の午後5時頃、弁護士を伴って捜査本部がある神奈川県警加賀町警察署に出頭した。神奈川県警・神世界事件捜査本部は宮入参希江を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で逮捕した。宮入被疑者は、「葉子さんが出頭したので自分も出頭しなければいけないと思った。神様を信じているので、人をだます気持ちは一切ありません」と供述しているという。逃亡していた4名のうち2名が逮捕されたので、現在も逃亡を続けているのは教祖・斉藤亨(53)と代表取締役・日原易子の2名となった。逮捕された宮入被疑者は、「教祖(教主)」と呼ばれる男(53)ら幹部2人の行方については「知らない」と話している。

 宮入被疑者はこれまで飯窪参希江(いいくぼみきえ)と名乗っていたが、本日の警察発表では宮入参希江(みやいりみきえ)となっており、平成21年5月に彼女の夫が38才の若さで死亡した後、結婚前の宮入姓に戻していたようだ。
 この日逮捕された宮入参希江は、東京都世田谷区砧(きぬた)にある高級マンション、グランドテラスに住居を構えていた。このグランドテラスには、現在逃亡中の神世界教祖・斉藤亨も住んでいた。宮入参希江は長年、教祖・斉藤亨や逃亡中の日原易子(70)の身の回りの面倒を見たりする秘書的な存在だった。宮入参希江は神世界の中で重要な位置を占めている女であり、宮入を厳しく追及することで、事件の真相が明らかになる可能性がある。

 宮入参希江被疑者は(有)神世界幹部であるが、客に直接話をすることもあり、「あなたの状況は非常に厳しい。この状況を変えるためには浴びるほど御霊光を受けなければならない」とか、「ご祈願をすると、ご霊光を何回も受けた以上の効果を短期間に得ることができます。あなたはその希望を叶えたいのね。願い事をかなえたい人は、御祈願を受けることができます。昇魂祈願は、今いる自分の位置から高い所に魂をあげることができるため、今現在無理なことでも、御祈願を受けることでそこに近づくことができます」等と述べ、御霊光や御祈願(昇魂祈願)を受けると願いが叶うかのように客を誤信させ、高額の金を繰り返し支払わせていた。こうした作業には、他の神世界関係者も加担することもあり、より強く客が誤信するように仕向けられていた。

 宮入参希江被疑者が砧のマンションからはかなり離れた錦糸町方面に住んでいた頃、宮入はほぼ毎日、深夜タクシーで砧から自宅まで帰宅していた。あるスタッフが、「タクシー代が大変じゃないんですか?」と聞いたところ、宮入は、「結構かかるけど、いいのよ〜、これくらい使っても!」と平然と答えた。これを聞いて、そのスタッフも「呆れてしまった」と述懐している。またそのスタッフは、「神世界で一番発言と行動に呆れたのは、私は飯窪(宮入)に対してだった」とも述べている。

 宮入参希江(S37.6.22生)は、神世界系列企業である「みろく」の会主・宮入英実の夫、M入H彰の実姉だ。びびっととうきょう会主・和田美和は宮入英実の実姉であり、この日逮捕された宮入参希江と宮入英実、和田美和の3名は親族関係に当たる。

●宮入参希江被疑者を処分保留で釈放 (2011.9.22 update)
 横浜地検は2011年9月22日(木)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕されていた宮入参希江被疑者(49)を処分保留で釈放した。地検は在宅に切り替え、捜査を続ける方針


●宮入参希江被疑者を起訴猶予処分 (2011.11.1 update)
 横浜地検は2011年10月31日(月)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた、(有)神世界取締役・宮入参希江(49)を起訴猶予処分にした。地検は処分理由を明らかにしていない。同じく組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた、日原易子(70)及び斉藤葉子(44)も同日、起訴猶予処分にした。





2011年9月12日(水)逮捕

斉藤亨(53)[教祖]

18、教祖・斉藤亨逮捕 (2011.9.16 更新)
●逮捕までの動き
組織犯罪処罰法違反(組織的
詐欺)で逮捕された斉藤亨被
疑者(53) 加賀町署2011.9.13
(写真・毎日新聞)

斉藤亨被疑者(53)が逮捕さ
れた中央区のマンション
 神世界事件を捜査していた神奈川県警神世界事件捜査本部は、2011年8月17日(水)、(有)神世界教祖・斉藤亨(53)ら神世界幹部4名に対して組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕状を取り、逮捕する方針を決定した。斉藤ら4名(斉藤亨、斉藤葉子、日原易子、宮入参希江)は、自分達に逮捕状が出されたことを察知し、いち早く姿をくらました。4名は、てんでんこにヒントを得たのか、それぞれがバラバラに逃亡したようだ。
 逃亡した4名の中で最初に逮捕されたのは、教祖の妻であり(有)神世界取締役でもある斉藤葉子(44)だった。葉子は12日間の逃亡生活で所持金をほぼ使い果たしたためか、8/29(月)になって捜査本部のある加賀町署に出頭し逮捕された。
 葉子が逮捕されたことを知り、自分も潮時と思ったのか、(有)神世界の取締役・宮入参希江(49)が9/1(木)の午後5時頃、弁護士を伴って捜査本部に出頭し逮捕されたが、神世界の実質的トップである教祖・斉藤亨と(有)神世界代表取締役である日原易子は、その後も逃亡を続けていた。

●情報
 関西には神世界傘下のサロンが複数あり、斉藤被疑者も過去には毎週のように京都を訪れるなどしていた。関西方面や福岡方面には現在も”活躍中”の神世界関係者が多く、斉藤被疑者も関西地方にはある程度の土地勘があると思われたため、県警は関西方面にも捜査員を派遣して斉藤被疑者の行方を追っていた。9/11(日)の夜になってから、「神世界関係者が、大阪の短期賃貸マンションを9/12から借りる契約をした」との情報が捜査本部にもたらされた。
 この情報を受け、神奈川県警の捜査員6名が、翌9/12(火)午前中から、大阪市中央区島之内1丁目にある、短期契約マンション近くに張り込んだ。この短期契約マンションの一室は、ある神世界関係者が契約名義人となっており、この日から入居することになっていた。

●逮捕・移送
 すっかり辺りが暗くなった12日午後8時ごろ、グレーのズボン、紺地に白色の横縞模様のポロシャツを着た男がマンションの前に現れた。手には黒色のスポーツバック1個を持っていた。男は手配されている斉藤容疑者の風貌とよく似ていた。男と行動を共にしていると思われる者も数名いる。男と行動を共にしている者の顔をよく見ると、吉田元警視だった。男らはそのままマンションに入って行き、神世界関係者が契約した部屋に入っていった。後を追ってマンション内に入った捜査員が、部屋の外から呼びかけると、男はすぐにドアを開けた。「斉藤亨か?」との捜査員の問いかけに対して、男は本人であることを認めた。捜査員は吉田元警視からも事情を聴取しようとしたが、制止を振り切って男は逃亡した。捜査員が斉藤亨に逮捕容疑の要旨を告げると、「わかりません」と答えたが、複数名の捜査員に取り囲まれ観念したのか、特に抵抗することなく、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された。その後、警察の車両で新大阪駅まで移動し、新幹線で神奈川県まで移送された。
 新横浜駅からは県警の銀色のワゴン車に乗せられ、捜査本部がある神奈川県警加賀町警察署まで移送された。時間は日付の変わる午前0時頃になっていたが、加賀町署には、”斉藤被疑者逮捕”の情報を得て、多数の報道陣が待ち受けていた。県警の捜査車両が並ぶ場所でワゴン車から降ろされた斉藤亨被疑者の両手首には手錠がかけられていたが、手錠の上には捜査員が被せたと思われるグレーの布がかけられており、直接手錠は見えないようになっていた。斉藤被疑者は、周りを4名の捜査員に取り囲まれ、1名の捜査員が斉藤被疑者に取り付けられた腰縄を握りながら署内へと向かった。
 報道陣のカメラが斉藤被疑者に向けて無数のストロボを浴びせ、記者からは、「斉藤さーん、こっち向いてくださーい。教祖様〜」等という声もかけられたが、斉藤被疑者は特に表情を変えることもなく、無表情な面持ちで署内へと入っていった。斉藤被疑者が逃亡を始めてから、26日後の逮捕であった。

組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕され、加賀町署に連行される斉藤亨被疑者(2011.9.13 午前0時頃)
(静止画は47news、動画はTBSニュースより)

●スポーツバッグ
(写真はイメージ)
 逮捕時に斉藤被疑者が所持していたスポーツバッグには、銀行の帯封が付いた札束がぎっしり詰め込まれており、その金額は約1,200万円だった。現金の他には手帳一冊とマンションの契約書が入っていた。
 逃亡を始めた8/17から、この日に逮捕されるまでの間は、東京都内のホテルなどを転々としていたようだが、都内のホテルは捜査員に発見される可能性が高いことから、長期戦にも備えて大阪のマンションに隠れて暮らすことにしたのだろう。それにしても、現金で1,200万円もの大金を持ち歩いていたのは尋常ではない。異常に高額な現金を持ち歩いていたことから、「長期逃亡計画」をしっかり建てていたことが分かる。逃亡中に銀行のキャッシュカードやクレジットカードを使えば、たちまちにして居所が突き止められるので、カード類を使わずに長期間の逃亡生活ができるように、これだけ多額の現金を持ち歩いていたのだろう。”逃げる気満々”の斉藤被疑者に手を貸し、自分名義で短期契約マンションを契約した神世界関係者は、犯人蔵匿罪(刑法第103条)で処罰されて然るべきだ。
※犯人蔵匿罪:「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる(刑法第103条)」

●送検
 9/12に逮捕された斉藤亨被疑者は、2日後の9/14(水)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で横浜地検に送検された。
 送検された時の写真を見ると、逮捕時とは違って薄水色の長袖シャツを着ているが、なぜかシャツの一番上のボタンを止めている。逮捕時の写真を見てもポロシャツの一番上のボタンを止めていた。ボタンを止めようと外そうと個人の勝手ではあるが、私の周辺にいる人を見ると、一番上のボタンをいつも止めている人は、ちょっと変わった人が多い。

横浜地検に送検される斉藤亨被疑者(写真・共同通信社)


●巨額の金
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 斉藤亨が逮捕されたことで、これまで公にされていなかった事実が次々と明らかにされつつある。詳しくはマスコミ各社が報道した内容をご覧いただくと分かるが、斉藤亨が7年間に得ていた役員報酬は約15億円。斉藤葉子、日原易子、宮入参希江らが同時期に得ていた役員報酬はそれぞれ約1億円に上っていた。客が必死で「神様」に奉納したはずの金は、その多くが斉藤らの贅沢な生活に浪費されていた。
 ”斉藤御殿”とも呼ばれていた世田谷区砧(きぬた)の斉藤らが暮らしていたマンションには、外国製の高級家具が並び、調度品はブランド物で埋め尽くされていた。日原易子と斉藤葉子はいつも全身シャネル、斉藤亨は全身エルメスだった。斉藤亨は囲碁を趣味にしていたが、この男が大切にしていた碁盤は、それ一つで家が一軒買えるほど高価な碁盤だといわれていた。こうした斉藤らの贅沢をまねて、淺原嘉子や佐野りらもシャネルの靴やバッグなど持つようになった。結局、神世界という組織は、一部の者たちの私利私欲を満たすために、客を騙し、客を脅して金を巻き上げてきた組織だった。
 斉藤亨が逮捕されたことで、こうした情報が次々と明らかにされつつあるが、こうした報道が流れても、未だにサロンに残っている会員たちには、「マスコミの情報はどこまでが真実であるかは分からない。教祖様が逮捕された時に大金を持っていたのは、神世界を広める活動資金を持ち歩いていただけであり、何ら不自然ではない。教祖様が逮捕されても、二代目教主様がおられるので御霊光が止まってしまうことはない。国家権力に神世界が潰されないように、会員の皆さんは気持ちをしっかり持っていきましょう」などと声がかけられ、この期に及んでも、今なお必死になって会員の組織離れを食い止めようとしている。


2011年9月24日(水)逮捕

吉田澄雄(55) [元警視]

●吉田澄雄元警視を逮捕
 9/12(月)に大阪のマンションで斉藤亨が逮捕された際、斉藤と行動を共にしていた吉田澄雄元警視(55)は、斉藤亨の逃亡を助けていた疑いがあるため、9/22に神奈川県警は、”犯人隠避容疑”で吉田の逮捕状を取り、行方を追っていた。
 9/24(土)になって、吉田は捜査本部がある加賀町署に出頭してきたので、犯人隠避容疑で逮捕した。調べに対し、吉田被疑者は、「全ては裁判官の前で話します」と供述している。
 吉田被疑者は、当時神奈川県警に在職中であったにも係わらず、今年3月に詐欺罪で起訴された神世界グループの系列会社元経営者・杉本明枝(公判中)が運営するサロン、E2(イースクエア)で経理を担当していた。吉田被疑者はそれまで神奈川県警で警備課長などを歴任していたが、神世界事件に関与したことから2008年2月に懲戒免職になった。
 吉田被疑者は県警を懲戒免職になった後も、明枝と共に神世界の活動に係わり続けており、斉藤亨の父親が運営する、「観音会」の後継者候補として夫婦で行動していた。両名は千代田区永田町のマンションで同棲していたが、明枝は2011年3月11日に詐欺容疑で逮捕された。明枝は逮捕され、拘留中の身となったが、拘留中の同年4月に吉田澄雄は明枝と結婚した。これにより、杉本明枝は吉田明枝と改姓した。吉田澄雄被疑者は、現在横浜地裁で行われている、妻・明枝被告の公判傍聴にも姿を見せていた。


●吉田澄雄元警視を組織犯罪処罰法違反(犯人蔵匿)の罪で起訴(2011/10/15加筆)
 横浜地検特別刑事部は2011年10月14日(金)、組織犯罪処罰法違反(犯人蔵匿)の罪で、元神奈川県警警視の無職吉田澄雄容疑者(55)を起訴した。
 吉田被告は9/24(土)に、「犯人隠避」の疑いで県警に逮捕されたが、地検は、「組織的詐欺の疑いのある人物をかくまった」として、「犯人隠避」ではなく、「組織犯罪処罰法違反(犯人蔵匿)」の罪で吉田を起訴した。
 起訴状によると、吉田被告は、神世界関係者らと共謀し、神世界教祖・斉藤亨に逮捕状が出ているのを知りながら、8月18日から9月12日までの間、東京都台東区の旅館などに偽名を使って予約を入れ、男を宿泊させるなどしてかくまった、とされている。
 なお、「犯人隠避」(刑法第103条)の罰則は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金だが、「組織的な犯罪に係る犯人蔵匿」(平成11年法律第136号第2章第7条の1)で起訴された場合は「3年以下の懲役又は20万円以下の罰金」となる。
 懲役2年が懲役3年になっただけではないか、とする見方もあるかもしれないが、横浜地検が送検時より厳しい罪状で吉田被告を起訴したことに、私は神世界事件に対する”検察の意気込み”を感じた。横浜地検は今後も捜査を続行し、事件に関与した者を徹底して逮捕し、神世界を壊滅に追い込んでいただきたい。神世界や観音会にはまだ多くの残党が残っており、今なお活発な活動が繰り広げられている。社会の癌・神世界は、その細胞のすべてを消滅させなければ再び病巣を広げてくる。


●斉藤亨を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴(2011/10/15加筆)
 横浜地検は、2011年10月4日(火)、9/12に大阪市内で逮捕された(有)神世界教祖・斉藤亨(53)を織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴した。
 斉藤被告は、地検での取り調べに対し、雑談には応じているものの容疑については「全く身に覚えのないこと」などと否認している。逮捕状が出てから9/12に大阪市内で逮捕されるまでの約1カ月間の逃走経路も供述していない。
 これまでに起訴された神世界関係者の罪状は「詐欺」(刑法第246条)で、その罰則は「10年以下の懲役」に該当するものであったが、今回、斉藤亨が起訴された罪状は、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴された。組織犯罪処罰法違反に関する罪状を見ると、「1年以上の有期懲役」としか書かれておらず、「10年以下の懲役」とされている詐欺罪より罪状が緩くなっているように感ずるかもしれないがそうではない。ここで言う「1年以上の有期懲役」とは、1年以上15年以下の有期懲役」を科すことができることになっている。
 組織犯罪処罰法違反に問われた場合は懲役刑が重くなるだけではなく、「犯罪収益の没収(第13条)」が法的に可能とされている点の意義が大きい。組織犯罪処罰法に基づく犯罪収益の没収の詳細については、こちらの第2章第13条を参照願いたい。同法を厳しく適用し、神世界が被害者から奪ってきた犯罪収益をすべて没収し、二度とこの団体が再起できないように、関連組織も含めて壊滅させることが重要である。


(参考)神世界教祖・斉藤 亨に関する補足情報

斉藤 亨
 (有)神世界という組織は、登記簿上では下記のように日原易子が組織のトップであるかのように見えるが、”実権”を握っているのは教祖・斉藤亨であり、斉藤亨が神世界のトップと考えて間違いない。斉藤亨は、9/12に逮捕された直後の取り調べに対しても「自分が組織のトップだ」と自ら組織のトップであることを認める発言をしている。

 (有)神世界・役員構成
 ●代表取締役 日原易子(陽龍)
 ●取締役 斉藤亨
 ●取締役 宮入(飯窪)参希江
 ●取締役 斉藤葉子

1995年(H7年)に行われた千手観音教会の行事
に参加した斉藤亨(中央の白シャツ姿・当時38才)
(クリックすると大きくなります)
●略歴
 斉藤亨(53)は、S32.10.28に、父・S藤H保、母・S藤T子の間に生まれた。斉藤亨は、東京都内の大学を中退後、山梨県内にある知人が経営する食品会社に勤務していた。その当時、元山梨県警警察官の父親・S藤H保が、警察を退官後発足させた宗教団体・千手観音教会の信者になった。斉藤亨は2000年(H12年)2月に、父親の宗教団体から独立する形で、有限会社「千手観音教会事業部」を設立し、2002年(H14年)3月にその名称を有限会社「神世界」に変更した。
 斉藤亨は客やスタッフの前では、「動物性蛋白質は毒素である」等と神書の内容を肯定するような発言を繰り返しているが、斉藤の息子の発言では、「山梨に帰った際に一緒にすし屋に行った」という話も聞こえている。斉藤の身の回りの世話をしていたスタッフの証言でも、「ポケットから出てくるのは高級寿司屋のレシートばかりだ・・」という話も伝えられている。

●世界救世教
 この一家(父、母、亨)は、以前は世界救世教の信者だった。そのため彼らは岡田茂吉の影響を強く受けており、神世界のいわゆる”宗教グッズ”などには、その足跡を随所に見ることができる。神世界の「ご神体」は千手観音図だが、この観音図は岡田茂吉が描いたものだ。観音図に押印された岡田茂吉の落款(印)を勝手に書き換え、「教祖が描いた観音図だ」と言っているが、それは真っ赤な嘘である。詳細については「盗作」を参照されたい。彼らが世界救世教の信者であったことについては、「教主は元世界救世教信者」や、「参拝の栞」などの記事に記載してある。なお、神世界が世界救世教と関係があると言っても、それは斉藤らが勝手に世界救世教を真似ただけであり、直接的な両者のつながりはない。世界救世教にしてみれば、元信者がこのような霊感商法で社会を騒がせるような事件を引き起こし、さぞ苦々しく思っていることだろう。

●「神書を書かれた方」
 神世界には、上記”参拝の栞”をベースにして書かれたと思われる、「神書」(しんしょ)と呼ばれる教典のような本があり、この神書を書いたのが斉藤亨だということになっている。このため、神世界内部では、斉藤亨のことを「親書を書かれた方」と呼称する場合が多い。斉藤亨の肩書きは、2010年末までは「教主」と呼ばれていたが、2011年1月1日に発行された神世界の機関紙「神世界新聞」紙上に、「御啓示によって私の子が二代目教主になります。私は教祖になります」という一文が掲載され、自分の息子を二代目教主に据え、自分は”教祖”になったことを会員に知らせた。斉藤亨は「教祖」になると同時に、自分に対して「創造者」という位置づけも行った。「教祖」や「創造者」など、きわめて宗教色が濃厚な名称を敢えて自分につけたのは、東京地裁で争われている損害賠償訴訟や横浜地裁で始まった刑事裁判に於いて、「神世界は宗教団体だ」とアピールするための思惑が働いているのだろう。

●日数が合わない・・
 2011年8月29日に逮捕された、斉藤亨の妻、葉子(S42.7.3生)は、斉藤と結婚する以前は会主・佐野孝(2011.5.30逮捕)の妻であった。斉藤亨は、H15年当時、佐野孝の妻であった葉子をH15.2.5に離婚させ、6カ月後のH15.8.8に斉藤亨と葉子は結婚の届けを出している。
 葉子は佐野との間に生まれた3名の子供を連れて斉藤と結婚し、結婚後新たに2名の子供が生まれているが、斉藤と結婚後に生まれた子供(男)の生年月日はH15.11.29であり、葉子がこの子供を妊娠した時期は、H15年1月中旬と推測できる。それはまだ、葉子が佐野の妻であったときだ。
 組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕状が出された後、1カ月にわたって逃亡を続けた、(有)神世界代表取締役・日原易子(陽龍)は妻・葉子の実母であり、斉藤亨の義母に当たる。

●組織の変遷
 斉藤亨の父・S藤H保は山梨県警の元警察官だった。この父親が神世界の前身にあたる、「千手観音教会」を設立した。千手観音教会事業部の設立は登記簿上、2000年2月だが実際に活動を開始していたのはもっと古く、約20年ほど前から地元の高齢者を中心に手かざしや瞑想のようなことを行っていた。その後、2002年になって「(有)神世界」と名称が変わった時点で父親から斉藤亨に組織が移譲されたようだ。
 多くの関係者は、「(有)神世界と名前が変わったころから雰囲気も変わった」と証言する。それまで地元の高齢者が中心だった会員に替わり、若い女性が急増し、月に二度ほど首都圏ナンバーの車で50〜100人ほどが集まり読経などを行うようになった。それまで一緒に活動していた斉藤亨の父・S藤H保は、1キロほど離れた自宅に「観音会仮本部」の看板を掲げ、別に活動を始めた。しばらくの間、観音会仮本部の看板を掲げていたが、2011年5月頃、すぐ近くに「観音会本殿」が作られ、新たな会報も発行するなど、観音会は神世界を止めた者の”受け皿組織”として、新たな活動を開始した。



教祖・斉藤亨の逮捕を受けて

実質的な神世界トップである、教祖・斉藤亨が逮捕されたことで、神世界事件は一つの山場を迎えたが、まだ多くの問題が残されている。

1、まだ逮捕されていない神世界経営者
 事件に深く関与した、(有)びびっととうきょう、(有)みろく、(有)えんとらんすわーるどヒルズ等の経営者は未だに逮捕されていない。警察は引き続きこれらの者に対する捜査を継続し、全ての関係者を逮捕することが絶対に必要だ。オウム事件でも明らかなように、こうした団体はトップが逮捕されても残された者が引き続き組織を存続させ、これまでと同様の活動を続けていく場合が多い。上記の未だ逮捕されていない経営者を逮捕せねば、これらの者がこれまでと同様の活動を行い、被害が拡大することは明白だ。

2、観音会という受け皿団体の存在
 神世界が遠からず消滅するであろうことを察知して、神世界の”受け皿組織”である観音会という団体がすでにできあがっており、神世界の会員を言葉巧みに観音会に誘い込んでいる。観音会は逮捕された斉藤亨の親族が代表の組織であり、やっていることは神世界と大同小異でしかない。観音会に対する監視を厳重に行わねば、再び神世界事件と同じことが繰り返される。

3、犯罪収益の完全没収
 斉藤亨の逮捕と同時に、彼らがどれだけ法外な役員報酬を得ていたかが明らかにされている。被害者から収奪した膨大な金額に上る犯罪収益を、組織犯罪処罰法によって根こそぎ没収し、被害者に返金することが重要だ。神世界が息を吹き返さないようにするためにも、不正な手段で蓄積した金は全て没収することが必要である。

2011.9.13 fujiya





2011年9月26日(月)逮捕

日原易子(70) [代表取締役]

19、代表取締役・日原易子逮捕 (2011.9.30 更新)
加賀町署に連行される日原易子被疑者
 神奈川県警は、2011年8月17日(水)、神世界幹部4名に対して逮捕状を取ったが、その直後から行方をくらましていた神世界幹部4名のうち、最後まで逃亡していた、(有)神世界代表取締役・日原易子(ひはらやすこ)(70)が、9/26(月)、逮捕状が出されてから40日ぶりに組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された。
 日原被疑者は26日午後9時20分頃、神世界事件捜査本部のある加賀町署(横浜市中区)に弁護士とともに出頭し逮捕された。日原被疑者は、「全く知らない。(逮捕されることには)納得いかない」と容疑を否認している。

 日原易子は、9/12(月)に斉藤亨が逮捕された後も、自分だけはそのまま逃亡を続けていた。逃亡を続けていた理由としては、「逮捕されたくなかったのだろう」と簡単に思われがちだが、神世界のことをよく知っている者にしてみれば、教祖が逮捕されているのに日原易子一人が逃亡を続けているのは非常に不可解なことであった。
 日原易子は、「私が(有)神世界の代表取締役になったのは、教主(教祖)を守るためである」と自ら語っていた。実の娘である斉藤葉子(44)はすでに逮捕され、側近だった宮入参希江(49)も逮捕され、自分が守ると公言していた教祖・斉藤亨も逮捕されるに至っては、日原易子一人が逃げ続けることには何の理由も成り立たないはずであった。
 日原易子は神世界の中では、陽龍様(ひりょうさま)と呼ばれ、陽神祭(ようしんさい)と呼ばれる祭典を行っていた。2007年12月末に神奈川県警が強制捜査を行うまでは、易子は祭典に出席するため毎月17日の夕方から18日午後までは山梨に行っていた。
 日原易子は神世界新聞の冒頭に、毎回、御霊光や神世界の神を礼賛する記事を書いており、教祖・斉藤亨と一体になって神世界の活動を推し進めてきた経過がある。斉藤亨が逮捕されたと聞けば、真っ先に警察署に駆けつけ、教祖を守る活動に専念せねば、これまで彼女が言ってきたことが全て嘘だったことになる。教祖が逮捕されたにも係わらず、自分だけが逃げ続けている行為は、彼女のこれまでの発言から言っても大きく矛盾する行為になる。
 斉藤亨が逮捕された後、私が、「日原易子よ、老いて醜態を晒すことなく、もういい加減でてきたらどうだ。代表取締役という肩書きは、何のために引き受けたのか、自分の胸に手を当ててよく考えろ」と呼びかけたのに応えたのか、日原は9/26の夜、捜査本部のある横浜・加賀町署に出頭し逮捕された。

逮捕された神世界幹部など
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 逮捕された日原易子は、S16.1.6生まれ、逮捕時の年齢は70才だ。易子は熊本のプロテスタント系の女子校を出て、S38.7.3に夫・H原H(S13.1.27生)と結婚した。H原Hと易子の間に、S42.7.3に生まれたのが葉子(斉藤葉子)である。この日原易子の娘・葉子は神世界会主・佐野孝と結婚し3人の子供がいたが、H15.2.5に佐野と離婚し、離婚から6カ月後のH15.8.8に教祖・斉藤亨と結婚した。葉子は佐野と離婚した時点で、すでに斉藤亨の子供を身ごもっていた。
 一般的に見れば、佐野孝は斉藤亨に妻・葉子を”寝取られた”形になるが、佐野は佐野で葉子と離婚した直後に、当時19才だった”りら”と結婚しており、年上の女房(葉子)を斉藤に押し付け、自分より14才も年下の若い女”りら”を後妻にしたので、決して貧乏くじを引いた訳ではなかったようだ。当時、佐野は33歳、葉子35歳、りら19歳であった。こうした”事情”があったせいか、佐野は元妻・葉子を寝取られた後も斉藤亨とは密接な関係を持ち続けていた。佐野に娘”りら”を差し出したのが、えんとらんすわーるどヒルズ代表の栗山悦子であり、自分の娘を神世界幹部と結婚させることで、自分も神世界の分け前にあずかろうと目論んだのではないかと思われる。
 神世界幹部の”人間模様”はきわめて複雑に入り組んでおり、言葉で説明しただけではなかなか分かりにくいので、右図を作成した。これを見れば分かる通り、”霊感商法詐欺団体・神世界”は、日原易子を頂点とした、”血の結束”で結びついた、おぞましい組織である。

 日原易子は70才と高齢ではあるが、「代表取締役」という肩書きに恥じぬよう、事件の責任もしっかり取ってもらわねばなるまい。


●観音会の動向に注意
 日原易子が逮捕された2011年9月27日(火)、神世界事件を巡ってまた新たな動きがあった。斉藤亨が逮捕された大阪市内のマンションの賃貸契約をした男を、神奈川県警は犯人隠避の疑いで同日書類送検したのだ。送検された男の年齢を聞いて驚いた。送検されたのは、山梨県笛吹市の73才の男だった。この73才の会社員と称する男は、吉田澄雄元警視の指示を受け、大阪市中央区島之内の短期契約マンションの賃貸契約をしていた。
 「73才」という高齢男性が、神世界の客や関係者の中にいたであろうか?少なくとも私が得ている情報では、そのような高齢男性が神世界にいたという情報はない。しかし、観音会の関係者であれば、そうした高齢者がいる可能性は非常に高い。この73才男性に指示を出していたのは吉田澄雄であり、吉田は観音会のS藤H保の後継者候補として杉本明枝とともに動いていた男だ。こうした事実を積み重ねて分析していくと、斉藤亨ら4名の逃亡劇の裏で暗躍していたのは、観音会関係者だったのではないかとする疑いも濃厚に感ずる。73才の男に指示を出し、斉藤亨の逃亡に手を貸していた吉田澄雄元警視も、同日、犯人隠避の疑いで横浜地検に送検された。(後日、この「笛吹市の男性(73)」は、斉藤亨の義父・H原H(S13.1.27生)であることが判明した)

 2011年3月10日に杉本明枝が逮捕されて以来、これまでに逮捕された神世界関係者の人数は17名、延べ人数では25名が逮捕されている。逮捕者が続出しても、神世界側は何ら反省するどころか、神世界新聞紙上で警察批判、検察批判を繰り返すなどしてきたが、ここにきて、えんとらんすアカサカ本社(竜王)を9月末で閉鎖することを決めたとの情報がもたらされた。
 神世界がえんとらんすアカサカの閉鎖を決定したことは、やっと現実が見えてきたことの表れなのかもしれないが、閉鎖は実は単なるカモフラージュでしかなく、閉鎖の裏では会員を大挙して観音会に移籍し、資産や資金も観音会に移動させるなど、組織犯罪処罰法違反で犯罪収益が没収されることに備えての準備行動なのかもしれない。今後も、神世界と観音会の動向について注意深く観察を続けることが必要だ。

(有)神世界代表取締役・日原易子(70) (左・逮捕時。右・神世界本殿での祭典時[右端の白装束])
(写真左:TBSニュースより。写真右:神世界新聞創刊号より。写真をクリックすると大きくなります)


●日原易子を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で送検
 2011年9月26日(月)に逮捕された神世界代表取締役・日原易子(70)は、9/29(木)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で横浜地検に身柄送検された。送検後、20日間は地検での取り調べが行われるので、10/19(水)には、同容疑で起訴されるものと思われる。



●斉藤亨の両親を犯人隠避容疑で書類送検
2011年10月3日(月)書類送検

斉藤亨容疑者の父親(86)
斉藤亨容疑者の母親(81)

 神奈川県警は2011年10月3日(月)、神世界教祖・斉藤亨被疑者(53)=組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕=の逃走を助けたとして、”犯人隠避”の疑いで、甲斐市に住む斉藤容疑者の父親(86)と母親(81)を書類送検した。  2人の送検容疑は、神奈川県警の元警視、吉田澄雄被疑者(55)=犯人隠避容疑で逮捕=らと共謀し、8/18から9/12ごろまでの間、斉藤被疑者に逮捕状が出ていることを知りながら逃走を手助けした疑い。  県警によると、9/12に斉藤被疑者が逮捕された大阪市内の短期賃貸マンションの手配について、吉田被疑者が中心となって山梨県内で相談した際、斉藤亨の両親も同席し、相談に加わっていた。斉藤の両親は容疑を認めている。


●日原易子を処分保留で釈放(2011.10.17)
 横浜地検は2011年10月17日(月)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された神世界代表取締役・日原易子(70)を処分保留で釈放した。
 また地検は17日、送検後に処分保留で釈放した神世界関係者9人を起訴猶予処分にした。地検はいずれも処分理由を明らかにしていない。
 「起訴猶予処分」とは、被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに検察官が行う処分だ(刑事訴訟法248条他)。
 簡単に言うと、起訴猶予処分とは、「起訴すれば有罪に持ち込むことが出来るが、今回は大目に見てやろう」という意味であり、”嫌疑がない”とか、”無実である”という意味ではない。今回、起訴猶予処分になった者は、その意味を十分理解しておくべきだ。


●日原易子を起訴猶予処分 (2011.11.1 update)
 横浜地検は2011年10月31日(月)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた、(有)神世界代表取締役・日原易子(70)を起訴猶予処分にした。地検は処分理由を明らかにしていない。同じく組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた、宮入参希江(49)及び斉藤葉子(44)も同日、起訴猶予処分にした。


●斉藤亨の両親等を起訴猶予処分(2011.10.26)
 横浜地検は2011年10月26日(水)、自分たちの息子である神世界教祖・斉藤亨の逃亡を助けたとして犯人隠避容疑で書類送検されていた斉藤亨被疑者の父親(86)と母親(81)及び同容疑で書類送検されていた笛吹市の男(73)の3名を起訴猶予処分とした。
 斉藤亨の両親が起訴猶予処分になるであろうことは、刑法第105条に「親族間の特例」が定められていることから、既に推測されていた。
 同じく、斉藤亨の逃亡に荷担したとして、9/27に犯人隠避容疑で書類送検された、「笛吹市の男」(73)も起訴猶予処分となったが、この73才の男は吉田の指示に従っただけであり、事件への関与の程度が低いとみなされたものと思われる。

刑法第105条(親族間の特例)
第103条、第104条(犯人蔵匿・隠避罪,証拠隠滅等罪)の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。


 世の中には「愚かな親族」も多いことから、刑法第105条が設けられたのかもしれないが、犯人(息子)を隠避したからといって本人の嫌疑が晴れる訳では全くなく、むしろ逃亡することによって嫌疑は深まり、逮捕された際の心証が悪化することを考えれば、息子の逃亡を親が助けるのは、甚だ思慮分別に欠けた浅はかな行為だ。「人類救済を目指して観音会を宗教法人にする」と言っている者が取るべき行動ではない。起訴猶予になったと言って安堵するのではなく、自分たちの行動は社会的に見れば甚だ稚拙であったと恥ずきである。
 ”自分の息子は無実である”との確信があるのなら、息子を逃亡させることはしないのが普通だ。しかし、息子は「無実」ではなく、逮捕されると有罪になることが確実な場合には、むざむざ逮捕される道を選択させるのではなく、逃亡を助ける親の割合は増えるであろう。今回、息子の逃亡に両親が手を貸したことは、”息子は無実ではない”と親は思っているというのに等しい行為だ。




●「笛吹市の73才男性」の正体
2011年9月27日に書類送検

日原易子の夫(73)

 斉藤亨の逃亡に荷担したとして、9/27に犯人隠避容疑で書類送検された、「笛吹市の男」(73)がいた。この男が誰であるのか、しばらく分からなかったが、後に行われた吉田澄雄の公判の中で、この73才の男は、斉藤亨の義父、つまり斉藤葉子の実父、日原易子の夫であったことが明らかになった。
 この男・H原H(73)は、吉田の指示に従っただけであり、事件への関与の程度が低いとみなされたためか、起訴猶予処分となった。
 しかしこれにより、日原家、斉藤家は一族郎党全てが神世界事件に関与していたことが明らかとなった。



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