神世界事件の刑事裁判(佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨の公判記録)
(最終更新日時:2012年5月1日 23:00)
1、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子初公判
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3名の初公判が行われた横浜地裁405号法廷 (写真は別の日のもの) |
2011年5月30日から6月20日にかけて逮捕された、えんとらんすアカサカ関係者3名(佐野孝、淺原史利、淺原嘉子)に対する初公判が、2011年9月22日(木)、横浜地裁で行われた。
前日、9/21の東京や横浜は、台風15号が近づいたため夕刻から交通機関の大半がストップし、多くの帰宅困難者が出るなど大変な状況だったが、翌日の9/22は台風も過ぎ去り、天候は回復していた。傍聴希望者の中には、遠方から横浜まで出向いた人も多かったが、前日の台風で交通機関がストップしていたため、この日の新幹線などは超満員の状態であり、関西方面から来た人は、2時間以上立ったままだった人もいたようだ。
この日の裁判が行われる横浜地裁405号法廷は、7/14に吉田(杉本)明枝の初公判が行われたのと同じ法廷だ。傍聴席の数は40席程度だが、一般傍聴者の席はもっと少なくなる。傍聴券を獲得するためには、”くじ運”の良さが試されることになるが、3名の被告を同時に間近で観察できる機会はそう滅多にあるものではなく、”ダメ元”で横浜地裁に足を運んだ。やはり、是が非でも傍聴したいと思った人は多かったようで、傍聴抽選券配布締め切り時間までに列に並んだ人には一連番号が記載されたカードが配布されるが、今回、カードを受け取った人は101名だった。この日の一般傍聴席の数は26席とのこと。当選確率は25.7%、4人に1人しか傍聴できないという狭き門となった。
傍聴希望者は地裁ロビーに3列に並び、13時10分からの抽選を待った。列に並んだ人の中には、被害者の人数以上に、”現役神世界関係者”の人数が多く、被害者と現役関係者とは互いに直視を避けながら微妙な緊張感を持って列に並んでいた。
抽選が始まった。列が徐々に前に進む。抽選器?の前まで進むと、太さ3mm程度、長さが50cmほどの細い棒がたくさん入っている筒から、自分の手で1本だけ棒を引き抜く。棒の先に「黒色」の着色があった場合は「当り」、先に色がついていない場合は「外れ」だ。
さあ、私のくじ運は如何に? 筒の中央付近から引き抜いた棒の先には色がついておらず、やはり25%の確率は厳しかった。残念だが仕方ないと思っていたところ、ある関係者が傍聴券を融通してくれることになり、念願が叶い、3名の初公判を傍聴できることになった。やはり神様は、いるのかもしれない(笑)
横浜地方裁判所刑事第5部
合議C係 405号法廷
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平成23年(わ)第972号等 詐欺
被告人 橘遼加こと淺原嘉子
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平成23年(わ)第972号等 詐欺
被告人 天野響こと淺原史利
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平成23年(わ)第972号等 詐欺
被告人 佐野太加氏こと佐野孝
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平成23年9月22日 13:30〜15:30
裁判長 朝山芳史
裁判官 杉山正明
裁判官 山本美緒
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地裁ロビーに掲示された、本日の裁判一覧表に表示されていた神世界関係者3名の裁判に関する内容は左記のような内容だった。裁判官の氏名は3名とも吉田(杉本)の時と同じであり、今後も神世界事件関係の裁判は刑事第5部扱いとなるであろうから、裁判官も同じ顔ぶれになるのかもしれない。
開廷時刻が近づいてきたので、傍聴券を受け取った人達は、エレベーターで5階まで移動した。405号法廷前の廊下では、裁判所係官が傍聴者を列に並ばせていた。被告弁護人らは顔パスで法廷内に入っていくが、傍聴者はしばらく入室を待たされた。裁判所係官は盛んにドアに取り付けられた20cmほどの小窓を開けて法廷内の様子を確認している。おそらく、手錠・腰縄姿で入廷した被告人が、法廷内で手錠と腰縄を外されるのを確認しているのだろう。開廷時刻の5分くらい前になって、係官はやっと傍聴者を室内に入れた。傍聴席に入って法廷内を見ると、すでに被告3名は法廷内に着席しており、手錠等は外されていた。被告の横には刑務官が着席しており、淺原夫妻の間にも男性刑務官が座っているので、淺原夫妻が直接話しができる状態ではなかった。
私(fujiya)は、今回の被告3名については、これまでたくさんの情報を得ており、彼らの生いたちや、極めてプライベイトな内容も情報としては知っている。彼らが活動していた時の写真やビデオも見て、顔もよく知っているが、”実物”を目にするのは今回が初めてだった。彼らが客に語った様々な内容から推測すれば、彼らはよほど”霊験あらたかな人物”かと思っていたが、いま目の前にいる3人の姿は、どこにでもいる感じのただの「おじさん」と「おばさん」でしかなく、彼らはどこをどう間違えて、このような法廷に被告として立つことになったのか、むしろ不思議な感じがした。
13:30開廷
裁判官3名、検事及び被告弁護人(吉田被告の裁判とほぼ同じ顔ぶれ)も席についており、傍聴者全員が着席すると同時くらいに定刻の13:30となり、「起立」のかけ声もなく、朝山裁判長は裁判を開始した。
人定質問
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初公判時の法定内の人物配置 (クリックすると大きくなります) |
裁判長:それでは、被告人3名は前へ出て下さい。
(被告3名は起立し、一歩前へ出る)
裁判長:まず、佐野被告。
佐野被告:はい。
裁判長:名前はなんといいますか?
佐野被告:佐野孝(さのたかし)です。
裁判長:生年月日を言ってくれますか?
佐野被告:昭和44年○月○日です。
裁判長:本籍はどこですか?
佐野被告:山梨県中巨摩郡・・・・・・です。
裁判長:現住所はどこですか?
佐野被告:東京都新宿区・・・・・・です。
裁判長:仕事は何をしていますか?
佐野被告:会社役員または宗教家です。
裁判長:会社役員でいいですか?
佐野被告:はい。
裁判長:それでは、淺原被告。
淺原被告:はい。
裁判長:名前はなんといいますか?
淺原被告:淺原史利(あさはらふみとし)です。
裁判長:天野響(あまのひびき)と名乗ったことはありますか?
淺原被告:はい。
裁判長:生年月日はいつですか?
淺原被告:昭和38年○月○日です。
裁判長:本籍はどちらですか?
淺原被告:山梨県南巨摩郡・・・・・・です。
裁判長:現住所はどこですか?
淺原被告:山梨県甲斐市竜王・・・・です。
裁判長:仕事は何をしていますか?
佐野被告:会社役員です。
裁判長:淺原嘉子被告。
嘉子被告:はい
裁判長:橘遼加(たちばなはるか)と名乗ったことはありますか?
嘉子被告:はいあります。
裁判長:生年月日はいつですか?
嘉子被告:昭和38年○月○日です。
裁判長:本籍はどちらですか?
嘉子被告:山梨県南巨摩郡・・・・・・です。
裁判長:現住所はどこですか?
嘉子被告:東京都港区赤坂・・・・です。
裁判長:仕事は何をしていますか?
嘉子被告:会社役員です。
裁判長:それでは、あながた3名の事件についてこれから審議します。まず、検察官に起訴状を読んでもらいますから、そこで聞いていてください。
(3名は起立したまま、検察官の起訴状朗読に移る)
起訴状朗読
平成23年6月20日付け公訴事実。
被告人・佐野太加氏こと佐野孝は、(有)えんとらんすアカサカ他2法人からなるえんとらんすグループの業務全般を統括していたもの。
被告人・天野響こと淺原史利、及び、被告人・橘遼加こと淺原嘉子は、いずれも(有)えんとらんすアカサカ代表取締役として同社の業務全般を統括するとともに、「神霊鑑定師」と称して神霊鑑定及び祈願等を行っていたものであるが、被告人3名は同社従業員Cらと共謀の上、子宮筋腫に悩んでいた同社の顧客Dから金員を詐取しようと企て、被告人等には顧客Dの子宮筋腫の原因を的確に特定して、その疾病を確実に治癒させる能力などないのにこれがあるように装い、平成18年5月21日頃、東京都港区港南2丁目16-8ストーリア品川2801号室の同社店舗において、被告人・淺原史利が顧客Dに対し、「あなたは子供の頃から、医者に処方された薬を飲み続けていましたね。それが影響しているんです。その薬の毒素で肝臓と腎臓の解毒作用が弱まって、その影響が子宮に出た。毒素が子宮筋腫となって現れたんですよ。だいぶ大きいんじゃないですか。御祈願してください。良くなります。小さくさせましょう。消滅させましょう。C先生のカウンセリングを受けなさい。金額はあなたがカウンセリングを受けてC先生から聞きなさい」等と嘘を言い、更に同月24日頃、東京都港区港南2丁目16番7号品川Vタワー3104号室の同社店舗において、前記Cが、前記Dに対し、「子宮筋腫はお薬の毒素が原因ですね。腎臓と肝臓が弱まって毒素が溜まって腫瘍になったのです。御祈願をしてください。手術を受けなくて済みます。小さくなります、良くなりますよ。100万円です」等と嘘を言い、前記Dに対して子宮筋腫の原因は薬の毒素であり、祈願をすれば子宮筋腫が治癒するなどと誤信させ、同月22日頃、東京都千代田区永田町2丁目13番14号プルデンシャルタワーレジデンス3705号室の同社店舗において、前記Dから祈願の名目で現金100万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させたものである。
罪名及び罰条。詐欺。刑法第246条第1項。第60条。
では続いて、平成23年7月11日付け公訴事実を述べます。
公訴事実。被告人・佐野太加氏こと佐野孝は、(有)えんとらんすアカサカ他2法人からなるえんとらんすグループを総括していたもの。被告人・橘遼加こと淺原嘉子はいずれもえんとらんすアカサカの代表取締役として同社の業務全般を統括するとともに、神霊鑑定師と称して顧客に対する神霊鑑定及び祈願等を行っていたものであるが、被告人3名は同社従業員らと共謀の上、生理不順等に悩んでいた同社顧客Eから金員を詐取しようと企て、被告人等には前記Eの生理不順等の悩みの原因を的確に特定して、これを確実に治癒、改善させる能力等ないのにこれをあるように装い、平成18年8月22日頃、東京都千代田区永田町2丁目13番14号プルデンシャルタワーレジデンス3705号室の同社店舗において、被告人淺原史利らは、航空会社の客室乗務員として働いていた前記Eに対し、「Eさんの子宮は縮んでいます。子宮の壁に厚いところと薄いところがある。右前が厚くて左後ろが薄いです。こういう厚みの差があるとひどい生理痛になる。子宮は気圧の変化の影響を受けやすいんだけど、Eさんの場合は普通の人よりもその影響を受けやすいようです。子宮が気圧の変化に影響されるということはもう証明されています。Eさんの子宮の状態はいまとても悪いのです。だからすぐにでも子宮の状態が早く良くなるように御祈願を20万円でした方がいい」等と偽り、前記Eをして生理不順等の悩みの原因は気圧の変化の影響であり、祈願を受ければ生理不順等がすぐ改善する等と誤信させ、そして同月22日頃、東京都港区港南2丁目16番8号ストーリア品川2801号室の同社店舗内において、前記Eから祈願の名目で現金20万円の交付を受けた。
同月30日頃、前記ストーリア品川2801号室の同社店舗において、被告人・淺原史利が前期Eに対し、「先祖の念がEさんの体に入り込んで、これで悪い影響がつくる。これがEさんの子宮の状態が悪くなる根本的な原因になっているんですよ。だからできるだけ早くお墓をお清めして先祖の念がEさんの体の中に入り込まないようにしないといけない。お墓のお清めができないのであれば、Eさんの体に先祖の霊の念が入り込まないようにするために、一切合切祈願をやった方がいい。今度、御魂祈願祭があって、そのときは御霊光が特に強いので、そのときに一切合切祈願をしたらどうですか。祈願代金30万円です」等と嘘を言い、前記Eをして、生理不順等の悩みの原因は先祖の霊であり、祈願をすれば先祖の霊の念を取り除くことができる。生理不順等がすぐ改善する等と誤信させることによって、同年9月16日頃、前記プルデンシャルタワーレジデンス3705号室の同社店舗において、前記Eから祈願名目で30万円の交付を受け、もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させたものである。
罪名及び罰条。詐欺。刑法第246条第1項。第60条。
黙秘権告知
続いて裁判長より、被告3名に対して黙秘権告知が行われた。
「これから、今朗読された事実についての審理を行いますが、審理に先立ち被告人に注意しておきます。被告人には黙秘権があります。従って、被告人は答えたくない質問に対しては答えを拒むことができるし、また、初めから終わりまで黙っていることもできます。もちろん、質問に答えたいときには答えても構いませんが、被告人がこの法廷で述べたことは、被告人に有利・不利を問わず証拠として用いられることがありますので、それを念頭に置いて答えて下さい」。
罪状認否
裁判長:それではまず佐野孝被告、どうですか?
佐野被告:私は詐欺をしていません。共謀もしていません。無罪です。
裁判長:いずれの事実についても無罪ということですね。
佐野被告:はい。
裁判長:次に天野響こと淺原史利被告、どうですか?
淺原被告:Dさん、Eさんを騙してはいません。共謀もしておりません。無罪です。
裁判長:淺原嘉子被告はどうですか?
嘉子被告:詐欺も共謀もしておりません。無罪です。
裁判長:いずれの事実についても無罪ということですね。
嘉子被告:はい。
裁判長:それでは被告人は元の席に座ってください。
裁判長:それでは弁護人のご意見を伺います。
市河弁護人:被告人らは詐欺をした事実も共謀した事実もなく、いずれも無罪です。
冒頭陳述
続いて、検察官による冒頭陳述が行われた。検察側冒頭陳述の内容は、下記枠内に検察側冒頭陳述概要として掲載したので、かなりの長文になりますが、頑張ってお読みいただきたい。
証拠確認等
検察側から証拠として提出された甲号証(甲1号から甲25号証まで)、弁護側から証拠として提出された乙号証(乙1号証、乙2号証)について、証拠採用するか否かについてのやりとりが行われた。詳細は後日。
今後の進め方など
証人尋問の範囲、時期などについて話し合いがされた。詳細は後日。
14:16閉廷
裁判が終わり、被告らが立ち上がった際、淺原史利が傍聴席の方を振り向き、数名の傍聴者に向けて笑顔を作りながら、「うんうん」という感じで顔を軽く上下に動かしていた。”支援者”が”応援”にきてくれたことに対する返礼のつもりだったのだろうが、それを見ていた民事訴訟の原告らは、この期に及んで、まだ結束を強めようとする淺原被告と支援者達の行動に唖然とする思いだった。
淺原嘉子は一度たりとも傍聴席に顔を向けることはなく、傍聴席から彼女の表情を伺うことはできなかった。佐野孝は弁護人席の前に着席していたので、彼の表情は終始、傍聴席からよく見えた。私も速記に忙しくて、あまり表情を伺う余裕はなかったが、検事が冒頭陳述をしている途中では、佐野は目を閉じて陳述を聞いているようだった。佐野は目を開いている時も表情に変化がなく、終始、”無表情”を突き通そうとしているように見えた。裁判の間中、3名は姿勢を正し、毅然とした態度を装っているように見えたが、逮捕された後で、今更虚勢を張っても仕方のないことだ。彼らは法廷で姿勢を正すことで自身の正当性を裁判官や傍聴者に訴えようとしているのかもしれないが、ひょっとすると、自分自身に対しても、そうした態度をとることによって、”自分は正しい”と言い聞かせようとしているようにも見えた。
裁判が終了し、傍聴者は退室を促されたが、傍聴者が全員退室する前から、刑務官が3名の被告に手錠・腰縄を付け始めたので、荷物の整理に手間取っていた私は、その様子をしっかり観察することができた。
佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3名は、神世界事件の中でも多くの被害者を生んだ、えんとらんす系列の中枢であり、被害者から見れば憎むべき者たちなのだが、目の前で手錠をかけられ、腰縄をつけられる被告らの姿を目の当たりにすると、自業自得とは言え、同じ人間として見たときには、哀れさも感じた。彼らはいったいどこで道を踏み外したのだろうか。正業に就いていれば、大金は稼げなくても、彼らも真っ当な暮らしができていただろうにと思わずにはいられなかった。
検察側冒頭陳述概要
(平成23年[わ]第972号等 2011.9.22 横浜地裁405号法廷)
大久保検事:それでは検察官が証拠によって証明しようとする事実について述べます。
■被告人の身上経歴
(佐野孝被告)
まず被告人・佐野について述べる。
被告人・佐野には元妻である葉子との間に3人の男子があり、平成15年2月8日に葉子と離婚後、同月16日に現在の妻であるりらと婚姻している。なお元妻の葉子は(有)神世界の取締役として活動していたものであり、代表取締役である日原の娘である。(葉子は)神世界グループ最高責任者である斉藤亨と平成15年8月8日に婚姻して現在に至る。前科前歴はない。
(淺原史利、淺原嘉子被告)
被告人・淺原史利及び嘉子について。
被告人・淺原史利と嘉子は夫婦であり、両者とも前科前歴はない。
■活動の概要
えんとらんすグループを拠点とした被告等の活動の内容について述べる。
被告人・佐野は平成13年5月に神世界との契約に基づいて同様の活動を行う等日頃売り上げの一部を上納する関係にある参加団体として、(有)えんとらんすアカサカを設立して代表取締役に就任し、平成18年3月に設立した(有)えんとらんすわーるどヒルズ、えんとらんすスリーツー1を含めた3社で、いわゆるえんとらんすグループの最高責任者としてその業務を総括している。なお、妻りらは同グループの統括室長等の働きを有している。
被告人・史利及び嘉子が、アカサカの設立に関して取締役に就任し、本件当時は両名ともアカサカの代表取締役被告人・佐野の指示に基づいて同社の業務全般を統括するなど、えんとらんすグループの幹部として被告人・佐野を補佐して活動している。本件当時、被告人・嘉子は「橘遼加」を、被告人・史利は「天野響」をそれぞれ名乗っていた。
被告人等は、少なくとも御霊光の取り次ぎと称する行為によって確実に病気を予防したり治癒したりすることができる訳ではないことや、御霊光の取り次ぎを受けた後の御霊光の改善効果である排泄なる現象と結びつけることができないことを認識しておりましたし、また少なくとも「神霊鑑定」と証する行為によって、他人の悩みの原因を的確に特定し、これを確実に改善する方策を決めることなどできないということを、いずれも認識していた。
えんとらんすグループでは、被告人・佐野、史利、嘉子らが出席するミーティングが定期的に行われ、被告人・佐野は史利等に対して必ず達成すべきノルマとして具体的な売上金額等を指示し、また、その達成方法として、多くの新規顧客を獲得することや、勧誘の方法、新規の顧客が継続的にサロンに通ってヒーリングを受けるなどするよう同意をさせることやその方法、顧客を強引にでも祈願等に誘導することやその方法、顧客に繰り返し御祈願等をさせることや、その方法等について具体的な指示をしており、被告人・史利や嘉子は、その指示を「スタッフ」と呼ばれる従業員等に伝え、日常的に活動することによって売上目標を至達するよう命じている。
■指示に基づいた活動の流れ
被告人等の今述べたような指示に基づき、えんとらんすグループでは、スタッフによる街頭での声掛けや、雑誌への宣伝記事の掲載等の方法により、20代から40代の女性を中心に次々と勧誘を行い、新顧客の獲得に努めています。その際、自らの活動については、「宗教ではない。宗教は信じてすがるものだが、アカサカは取り引きをして結果をいただく会社です」などと説明した上、宗教を連想させる用語の使用を避け、例えば御霊光の取り引きのことを「ヒーリング」、神霊鑑定を「カウンセリング」と称するなどしていた。そして活動拠点であるサロンについては、品川の”ストーリア品川”や”品川Vタワー”、永田町の、”プルデンシャルタワーレジデンス”等の高級マンションの1室を賃借して豪華に装い、こまめに模様替えをすることで女性客に好印象を持たせることを狙っていた。
従業員は、「ヒーリングは間を空けずに継続的に受けてこそ効果が出るんですよ。間を空けると効果が目減りしますよ」と言ったり、ヒーリングを受けるなどして良い結果が出たという内容の体験談を「奇跡の話」等として顧客に紹介するなどして、まずは安価なヒーリングを目的として顧客が継続的にサロンに通うように仕向け、これを定着するよう目論んだ。
更に従業員はサロンで顧客と積極的に会話をするなどして、顧客の悩み事を聞き出し、「悩み事の原因や解決方法が分かるすごい先生がいる。先生のカウンセリングを受ければ、悩み事の原因が分かり、解決方法も示される」等と言って、顧客を被告人・史利らによる神霊鑑定に誘導している。そして神霊鑑定の予約が入ると、神霊鑑定までの間に、事前に個人的な情報を聞き出したり、家系図や家の間取り等を客に書かせるなどし、これらの情報を被告人・史利ら神霊鑑定を行う者が知ることができるようにしいる。そして神霊鑑定においては被告人・史利等神霊鑑定師が「神霊鑑定」と称して顧客と面接した上、「神霊鑑定の結果」と称して、あたかも顧客の悩みの原因を特定しえたかのように装って断言し、その解決のためには、御祈願等の被告人等の提示する方法による他ない旨信用させて、悩み事を確実に解決する手段である御祈願等の対価として、顧客に高額な金員を支払わさせることを繰り返していた。
なお、従業員は被告人・史利らの神霊鑑定を受けた顧客に対して、「カウンセリングで示された通り、すぐ実行されるといいですよ」等といって、顧客を御祈願に誘導するなどして、また従業員は常日頃、顧客に対して、「雰囲気が良くなりましたね、明るくなりましたね。それは奇跡をいただいているんですよ。すごいですね」等と言い、「それに見合うお礼をされるいいですね」等と言って、その後も継続的に様々な名目で金員を支払うように誘導した。
■平成23年6月20日付けの公訴事実。
平成23年6月20日付け公訴事実について、犯行に至る経緯及び犯行動機等について述べる。
被害者は平成10年秋頃、子宮筋腫に罹患し、一度は手術を受けたものの筋腫の全てを摘出することはできず、その後も激しい腹痛を投薬治療で耐えるなどしていましたが、平成17年頃には、激しい腹痛等の症状を完治させるには子宮全摘手術によるほかない旨、医師から告げられるに至った。また被害者は平成16年夏頃から勤務先の人間関係や待遇についても悩むようになっておりました。
平成17年11月上旬頃、被害者は知人から、「運気が上がるサロンに通ってヒーリングを受けたら売上が倍になった。子供の悩みも解決した」とか、「そのサロンに通い始めて契約のプレゼンがうまく行くようになった」等と言われて、ストーリア品川のサロンを紹介された。
被害者は早速その翌日にそのサロンを訪れてヒーリングを受け、従業員から「続ければ効果が感じられるようになります」等と言われて引き続きヒーリングに通うことにしたところ、何回目かのヒーリングの翌日頃、突然手足に湿疹が出るという経験をし、これについてサロンの従業員から、「それはヒーリングを受けて毒素が出ているんですよ。湿疹は毒素の排泄なんです。サロンでヒーリングを受け続けると体の中に溜まった毒素が排出されて健康な体になるんですよ」等と言われたため、ヒーリングに一定の効果があると信じるようになりました。
被害者は同月中旬頃、当時アカサカの神霊鑑定師として活動していたK山E子のカウンセリングを受けましたが、事前に従業員等から、「何でも言い当てられるすごい先生である」と聞いていたことに加え、K山E子の堂々とした態度や、「会社を辞めて独立すれば必ず成功する」等の断定的な発言により、K山E子には問題の原因やその解決方法が分かる特別な能力があると信じ、K山E子に言われるまま10万円で祈願を行うなどした。
その後もDは、サロンに通って全ての良い出来事をヒーリングの効果であるかのように話す従業員の態度に接したり、ヒーリングのおかげで良いことがあったとする奇跡の話を読む等しているうちに、ヒーリングを受け続けることで必ず自分にも良いことが起こるものと信ずるようになりました。なお被害者はK山E子やその他の従業員から「アカサカは宗教ではない」との説明を繰り返し受け、これを信じておりました。
K山E子の神霊鑑定を受けて会社からの独立を具体的に考えるようになった被害者は、平成18年はじめ頃、独立後の会社名や事務所を置く場所等についてアドバイスを受けるためにカウンセリングを申し込み、実家の間取りや家系図等を事前に提出する等した上で、ストーリア品川のサロンにおいて、被告人・史利によるカウンセリングを受けた。その際、被告人・史利が、「お稲荷さんが見える。今もありますか?井戸を潰したんですね。整地してすぐにコンクリートを流しましたね」とか、「お祖母さんの霊はお墓に入っていない。今も来てますよ」等と言ったのを聞いて、被告人・史利が本来なら知るはずがないことを特殊な能力によって言い当てたと思った。そして被害者は被告人・史利から、「全て清めて軽くならないと商売がうまく行きません。お清めをしないとお父さんのアルツハイマーはお父さんの死後、お兄さんの首から上に影響します。合計百万円くらい必要だ」と言われ、平成18年4月1日頃、100万円を支払って被告人・史利による実家の井戸等の清めを行った。
被害者は平成18年5月頃、久しぶりに婦人科の医師の診察を受けたところ、子宮筋腫が大きくなっている旨、医師から告げられた。しかし被害者は子宮の摘出手術を受けるのも、薬物治療を受けるのも嫌だったため、何とかして手術も薬物治療も受けずに病気を治せないかと思い詰めました。そこで被害者は同月21日頃、ストーリア品川のサロンで、被告人・史利のヒーリングを受けた際、同人に子宮筋腫のことを相談したところ、同人は、指先を被害者の腹部に向けてしばらく目を閉じてから、公訴事実記載の通り、「あなたは子供の頃から医者に処方されていた薬を飲み続けていましたね」等と、Dの子宮筋腫の原因について、子供の頃から飲み続けていた薬の毒素によって、肝臓と腎臓の解毒作用が弱まり、その毒素が子宮筋腫となって現れた等と嘘を言った。
被害者はかねてから被告人・史利に特別な能力があると信じていた上、実母が医師であった関係から幼少期から薬を飲み続けていたこともあって、被告人・史利の言葉を信じた。
被告人・史利は更に筋腫の大きさを手で触って確かめるような仕草をしながら、「だいぶ大きいね。何とかしないとね。どうしたいですか?」等と問いかけた上、被害者が手術も薬も使いたくない旨希望を述べたのに対し、「手術は体に悪いよね。御祈願を受けた方がいいですね」等と言って祈願を受けるように促した。そして被害者が、「治るんですか?」と尋ねたのに対し、被告人・史利は公訴事実記載の通り、「御祈願してください。良くなります。小さくさせましょう。消滅させましょう」等と嘘を言い、被害者は祈願をすれば子宮筋腫が消滅するものと信じた。
被告人・史利は、あわせて当時アカサカの神霊鑑定師であった従業員Cのカウンセリングを受けて祈願の金額を教えてもらうよう被害者に指示したので、被害者は従業員Cのカウンセリングを申し込んだ。その頃、被告人・史利は従業員Cに対して被害者からの相談の経緯、自らが被害者の病気を原因として話した内容を伝えるとともに、高額の祈願を担当する被告人・嘉子による祈願に誘導するよう指示しました。同月24日頃、従業員Cは品川Vタワーのサロンにおいてカウンセリングと称して被害者に面談し、被告人・史利の指示に基づき、Dに対し公訴事実記載の通り、「子宮筋腫は薬の毒素が原因であり、祈願をすれば手術を受けたり薬物治療を受けたりしなくて済む」等と言うなどとした上、「祈願の代金として100万円です。それが無理ならば御祈願50万円を提出しなさい」と言うなどした。その結果、被害者は祈願を受ければ手術や薬物治療を受けずに子宮筋腫は完治するものと誤信し、100万円を支払って祈願を受けることにしました。そして同月29日頃、被告人・嘉子らは、永田町プルデンシャルタワーレジデンスのサロンにおいて、祈願名目で被害者から100万円を受領し、被告人・嘉子が、「特別祈願」と称して祝詞を読み上げるなどした。
被告人・嘉子は祝詞を読み上げた後、被害者に対して、「おめでとうございます。7人の神様が天から降りてきてみんなでバックアップしてくれました」等と言うなどしたので、被害者は祈願が成功し、手術を受けたりしなくても子宮筋腫は完治するものと思い、更にお礼として3000円を支払った。被害者はその後も子宮筋腫がより早く消滅すると信じてヒーリングを受け続けたり、御霊光が入っていると称する水を飲んだり、御霊光が出ていると称する額を購入したりした。
そうするうちに被害者は被告人・佐野から新規顧客を開拓するためのパーティーを開くよう指示され、その負担が過大であるとは思いはしたものの、被告人・史利から、「お礼をしなかったり、サロンの手伝いをしなかったりするとサロンにくる前の暗い状態に戻ってしまう」等と言われていたため、仕方なく指示に従ってパーティーを開催するなどした。
ところが被害者は、神世界の主催する「大祭」と称するイベントに参加したことをきっかけに、アカサカの行っていることは宗教なのではないかと疑問に思うようになり、あくまでも宗教ではないと否定する被告人・史利やその他の従業員に対しても、不信感を抱くようになりましたが、サロンと縁を切ることによって病気が悪化したり、仕事が決定的にうまく行かなくなるのではないかといった不安との狭間に思い悩み、精神的に不安定になるなどしたあげく、最終的には思い切ってサロンに行くのをやめた。
その後、被害者は婦人科を受診し、医師から、「子宮筋腫は小さくなっていない」等と告げられたことなどから、”騙された”とはっきり分かった。
被害者は平成19年12月頃、子宮を全摘出する手術を受けた。
■平成平成23年7月11日付けの公訴事実。
次に平成23年7月11日付け公訴事実について、犯行に至る経緯及び犯行動機等について述べる。
被害者は平成17年6月頃、書店で立ち読みをしていた後に街頭でアカサカの従業員から声を掛けられ、「癒し系のサロンなんですけど、ヒーリングとかしているので一度どうですか?」等と勧誘を受けた。
被害者は航空会社の客室乗務員として勤務上の不規則な生活による疲労があったことや、祖父が亡くなって気分的に落ち込んでいたことなどから、同年7月上旬頃、ストーリア品川のサロンに赴いてヒーリングを受けた。その際、被害者はサロンの従業員からヒーリングについて、「自然界からのパワーで気功のようなものですよ」とか、「受け続けると効果が出ますよ。運気が上がってタイミングも良くなるし、アトピーとかの病気だって良くなるんです」等の説明を聞いた上でヒーリングを受けたところ、何となく体が温まってスッキリし、疲れが取れたように感じたことや、客の体験記と称してサロンに置かれていたファイルを読むなどして、ヒーリングにはアトピーを改善するなどの効果があるものと信ずるようになった。
こうして被害者は時々サロンに通ってヒーリングを受けるようになりましたが、その際従業員から、「ここは宗教じゃないんです。ヒーリングを商品として扱っているちゃんとした会社です。ここのサロンの神様は本物で、信ずるものではなくて、神様と取り引きをしてちゃんと結果がいただけるところです」等と説明を受けました。またヒーリングの前後に従業員と話をしているうちに、よいことは全てヒーリングのおかげであると思い込むようになり、またプライベイトなことを何でも従業員に話すようになっていきました。
被害者は平成18年3月中旬に退職して同年5月に挙式の予定であったが、退職の直前になって結婚は一旦取りやめになり、上司に懇願してようやく条件付きで勤務の継続を認めてもらうなど、肉体的、精神的に疲労困ぱいした状態になりました。そこで被害者はアカサカの神霊鑑定師であったH向A子(K塚M衣子)のカウンセリングを受け、結婚が取りやめになったことや、勤務時間が不規則であること、生理不順や生理痛に悩んでいることなどについて相談したところ、H向から、「子宮が冷えていますね。このまま今の仕事を続けていると、子宮の具合が悪くなって子供が授かれない体になってしまう場合がありますよ」等と言われたため、生理不順等に悩んでいた被害者は自らの子宮の状態について不安を抱き、被害者は解決方法をH向に尋ねましたが明確な回答を得ることはできず、「天野先生であれば、整理不順や生理痛の根本的原因も分かるでしょうし、将来Eさんが進むべき道も分かりますから、天野先生のカウンセリングを受けるといいですよ」等と、当時、「天野」を名乗っていた被告人・史利のカウンセリングを受けるよう促されました。
被害者はかねてより、従業員から被告人・史利について、「神様からのメッセージを受け取る特別の神霊能力がある。何でも当たる。根本的な原因が分かる。解決策を教えてくれる。天野先生の言うとおりやっていれば、何でも良くなる」等と聞いていたことや、H向のカウンセリングの後も従業員から繰り返し進められていたことなどから、被告人・史利のカウンセリングを受ければ確実な解決策を教えてもらえると思いました。そこで被害者は被告人・史利のカウンセリングを申し込み、事前に相談内容や詳しい家系図、これまでの住居の間取り図等を提出するなどしました。
被告人・史利は、平成18年8月22日頃、永田町のプルデンシャルタワーレジデンスのサロンにおいて、”カウンセリング”と称して被害者と面談し、公訴事実記載の通り、「子宮は縮んでいます。子宮の壁に厚いところと薄いところがあります」等と述べたほか、実際にはその当時、気圧の変化の影響で子宮の壁の厚みに差ができているような事実はなく、また、「子宮が気圧の変化に影響されることが婦人科で証明されている」等という時事もなかったのに、あたかも子宮が気圧の変化に影響されるということは婦人科で証明されており、被害者は普通の人よりも影響を受けやすい体質であるとか、客室乗務員の仕事に伴う気圧の変化のせいで子宮の壁に厚いところと薄いところができて生理痛の原因になっているとか、結婚して子供を産みたければ、そろそろ客室乗務員の仕事を辞める方がいいかのような嘘を言った上、「子宮の状態は今とても悪いんです。だからすぐにでも子宮の状態が早く良くなるように御祈願を20万円でした方がいい」等といいました。そして被害者が、「御祈願をすれば子宮の状態は良くなるんですね?」と述べたのに対し、被告人・史利は、「そうです。よくなります」と嘘を言ったため、被害者は祈願をすればそれまでの気圧の影響によって悪くなった子宮の状態が改善されると誤信した。更に被告人・史利は被害者が提出した家系図を見た上、「Eさんのお母さん方の先祖の霊がシグナルを送っています。お祖母さんの家系を調べてください。先祖の霊の念が子宮に入り込み、それが子宮の状態が悪くなっている根本的原因になっているのです」等と、あたかも子宮の調子が悪い根本的原因は先祖の霊にあり、このままでは子供が産めないかのような嘘を言った。
被害者はまず気圧の変化が原因であると言われたことから、子宮の悪い状態を改善するための祈願を受けることとし、20万円の祈願を予約しました。被害者は祈願の前日である平成18年8月28日頃、念のため婦人科の医師の診察を受けましたが、その日のうちには血液検査の結果が出なかったことなどから、生理不順等の原因を直ちに知ることができず、そのことによりむしろ被告人・史利らに対する方針を強めました。そして翌日29日頃、被害者はストーリア品川のサロンで祈願名目で20万円を支払い、祈願を受けました。
被害者は被告人・史利の指示で母方の先祖のことを調べましたが、具体的なことが分からないまま、翌30日頃、ストーリア品川のサロンで被告人・史利のヒーリングを受けました。その際、被告人・史利は被害者に対して、まず、「子宮の状態は少し良くなりましたね」と、前日の祈願に具体的な効果があったかのような嘘を言った上、改めて、公訴事実記載の通り、「先祖の念がEさんの体に入り込んで、それで悪い影響がきています。それが子宮の状態が悪くなる根本的な原因になっているんですよ」等と嘘を言い、できるだけ早くお墓をお清めするよう促した。そして被告人・史利は被害者から母方のお墓の状態は分からないことや、公訴事実記載の通り、「お墓のお清めができないのであれば、”一切合切祈願”をするといいですよ」等と、あたかも”一切合切祈願”を行えば子宮の状態が悪い根本的な原因を解決することができるかのような嘘を言ったことから、被害者は一切合切祈願をすれば、子宮の問題を根本的に解決することができ、生理不順や生理痛から解放されると誤信しました。そして平成18年9月26日頃、被害者はストーリア品川のサロンにおいて指定された金額である30万円を祈願名目で支払い、祈願を受けました。
被害者は祈願直後の頃に生理痛を比較的感じるなどしたことから、御礼として更に金員を支払うなどした上、更に運気を上げる等の目的でヒーリングを受けるなどしましたが、望んだ効果が得られなかったことなどから、ヒーリングや祈願の効果に疑問を抱くようになりました。そして平成19年5月頃、前年8月以来初めて婦人科の診察を受けたところ、生理不順は多嚢胞性卵巣症候群を原因とするもので、投薬治療によって体質改善を図るなどしなければ症状が改善することはないということを知り、騙されたことにはっきり気づいた。
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2、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第2回公判
(以下の第2回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)
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神世界事件捜査本部がある神奈川県警加賀町署。横浜地裁までは徒歩数分の距離だ。
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逮捕された神世界関係者が署内に連行されていく場面でおなじみの加賀町署通用口。
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1 日時:平成23年10月14日(金)午前10時〜午後4時
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等(詐欺)
4 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子
5 内容:証人E(被害者)への尋問(午前主尋問、午後反対尋問)
加賀町署
前回の初公判は午後からだったが、この日行われた第2回公判は午前10時からだったので、遠方から傍聴に来た人は前日から横浜周辺のホテルなどに宿泊した人が多かったようだ。傍聴抽選券の配布時刻までにはまだ時間があったので、神世界事件捜査本部がある神奈川県警加賀町署に行ってみた。加賀町署は中華街のすぐ隣にあり、逮捕された神世界関係者が車で連行されてきて、署内に連行されていく姿は何度となくテレビで見ているが、実際に見るのはこれが初めてだった。行ってみると加賀町署は7階建ての随分大きな建物だった。正面玄関がテレビに写ることはあまりないが、裏の通用口の方へ回ってみると、テレビで何度となく見慣れた加賀町署の風景があった(右記下段の写真)。
地裁ロビー
地裁ロビーには傍聴券を求めてたくさんの人が来ていた。締め切り時刻までに列に並んだ人は76名で、初公判よりは若干少なかったが、今回もえんとらんす関係者と思われる者が多数来ていた。9/22に行われた初公判後、9/26には日原易子が新たに逮捕されたが、誰が逮捕されようが自分たちには関係ないと彼女らは思っているようで、今回も多数の、”えんとらんす応援団”が詰めかけていた。佐野孝被告の妻・りらや、数名のびびっと関係者の姿もあった。警察関係者とみられる者も数名来ていたようだ。ロビーに掲示された裁判情報は前回と同じで、裁判官などにも変更はないようだった。
法廷の概要
法廷は初公判と同じ、405号法廷だった。傍聴者が傍聴席に入ると3名の被告はすでに入廷しており、佐野孝被告と淺原史利被告は白のシャツ姿、淺原嘉子被告は前回と同じような紺色のニットに黒色のズボン姿だった。被告弁護団もいつもと同じ顔ぶれが並んでおり、前列に笠原、市河、尾崎、後列に笠原事務所の女性弁護士、門西、清澤、大森の各弁護士が着席していた。検察官の奥に司法修習生と思われる男女2人が傍聴席側を向くように座っていた。書記官の横(弁護士側)に裁判所書記官の女性が着席しており、3、4人が40〜45分程の時間で交代しながら裁判記録を速記していた。
この日、証言台に立ったE証人は、被害に遭った当時、航空会社の客室乗務員をしていた人で、法廷の張り詰めた雰囲気の中でも物怖じせず、堂々と受け答えしていたのが印象的だった。
公判中、3名の被告の様子を観察してみた。淺原史利被告は裁判の間、時折体を動かし、3名の中では一番落ち着きのない感じだった。史利被告は以前から顔や髪を触る癖があったが、この日の公判中にも、またその癖が出ていた。一説によると、髪の毛や顔を頻繁に触るのはウソをつくときなど、心に不安を抱えているときだと言われている。史利被告の心中を考えれば、被告となった我が身に対する”焦り”もあることだろうし、そうした不安な気持ちがあのような態度となって出たのかもしれない。しかし、史利被告は検事が述べた内容に対して、ニヤッと笑いを浮かべた時もあり、開き直っているように見えた瞬間もあった。
各被告の前には学校の机のようなものが用意され、1枚のA4メモ用紙とボールペン1本が置いてあった。佐野被告は、ほとんど目をつむっていたが、時折何かをそのメモ用紙に書き出したりしていた。傍聴席には妻・りらの姿もあった。
嘉子被告の表情は着席した位置の関係もあってほとんど見えなかった。彼女は公判中、ほとんど身じろぎせず、じっとしていた。彼女のあの様子からは、精神的に参っているのか、それとも関係ないとでも思っているのか、よく分からない態度だった。嘉子被告は、二度ほどメモでもしたのか、机に腕を乗せる場面があった。
傍聴者はえんとらんす関係者が多かったが、それに混じって数名のびびっと関係者の顔もあった。前回もびびっと関係者が来ており、今後びびっと関係者が逮捕されたときに備えて今から裁判の流れを把握しようとしているのだろうか。
公判中、傍聴席から被告に向けて”取り次ぎ”をしていると思われる動作をしている女性の姿が見受けられ、あっけに取られてしまった。裁判所の法廷という公的な場所であのような行為をする者がいるとは驚きであり、見ていて気分が悪くなった。次回からは事前に裁判所側から、「法廷内では怪しげな行為をしないでください」と注意をしてもらいたいところだ。
●午前の部
●10:00開廷
本日の公判も、傍聴者が法廷に入る前に裁判官らはすでに入廷しており、裁判官同士で何やら打ち合わせをしていた。傍聴者が入り終わると、起立などの場面はなく、そのまま裁判が始まった。
証言を行う、えんとらんす被害者のEさんが傍聴席側から法廷内に入り、そのまま証言台の前に立ち、「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います」と書かれた宣誓書を読み上げた。
検察官の主尋問(に対する証人Eの証言など)
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第2回公判時の法定内の人物配置 (クリックすると大きくなります) |
(1)サロンに通うきっかけ
証人E:平成17年7月、サロンに通うようになる。本屋でT(1)さんという女性に勧誘された。「ヒーリング」、「癒しサロン」、「疲れがとれる。肩こりや腰痛に効く」等の説明があった。イメージとしてはエステのような癒しサロン。
吉野検事:1ヵ月後くらいから通いましたよね?
証人E:ちょうど(仕事で)疲れがたまっていたのと、その年5月に祖父を亡くしていたので癒されたいと思っていた。
吉野検事:友人とのトラブルもあったんですよね?
証人E:そうです。
(2)ヒーリングとは
証人E:ヒーリングとは女性の方が目の前、正面に立って手をかざす。
吉野検事:どう感じたか。
証人E:なんとなく体があたたかくなったような気がした。
吉野検事:スタッフの手から何か飛んでくるわけではないですよね?
証人E:自然界からのパワーだとかエネルギーだと言われた。
吉野検事:その自然界からのパワーだとかエネルギーを受けることで何が起こるのか説明があったか。
証人E:マイナスがプラスに変えられる。
吉野検事:マイナスがプラスに変えられるとどういう効果があるのか説明があったか。
証人E:疲れがとれる、人間関係(が改善されるというような言葉)
吉野検事:説明を受けてどう感じたか。
証人E:疲れがとれて癒されるのだったらいいかなと思った。
吉野検事:その後、通い続ける中でヒーリングとは何か、こう呼ぶと説明があったか。
証人E:御霊光という名前を聞いた。
吉野検事:どこから来ると思ったか。
証人E:神様からの御霊光。
吉野検事:宗教と思わなかったか。
証人E:かなり不安だった。嵌って抜け出せなくなってしまうのではないかと思ったが、宗教ではないと言っていた。ヒーリングを商品として扱っている会社。信じる必要がないと説明を受けた。
吉野検事:信じる必要のない神様とどういう関係・・・
証人E:神様とお取引してよくなる。
吉野検事:・・・・(たぶん、誰からそれを聞いたかみたいな質問)
証人E:スタッフや客と日常の話をする機会があった。
吉野検事:日常の話とは?
証人E:たわいもない話。いいことがあったなど。
吉野検事:ヒーリングとの関係を話したことがあったか。
証人E:電車の乗換えがスムーズだったとか。
⇒この間、史利被告だけが動きが多く、検察官と証人のやりとりを見ながら、頬杖をついたり、髪をいじったりしていた。佐野被告は目をつむり、嘉子被告はじっと動かずに同じ姿勢でいた。
(3)カウンセリング
証人E:結婚の話をしたときにカウンセリングを勧められた。C先生から結婚しない方がいい、相手と合わないと言われ、どうしようと思ったが、結婚するつもりでいた。ところが退職直前に相手が離職していることが分かったので結婚をやめた。退職願いの取り下げなど心身ともに大変な状況となり、体調変化が起こった。吐き気、不眠、食事は流動食しか食べられず体重が落ち、婦人科系トラブルが起きた。最終的に退職願いを取り下げてもらうことはできたが、つらい立場であった。
証人E:平成18年6月頃、H先生のカウンセリングを受けた。これまでのことを話し、号泣した。今後の仕事や恋愛について尋ねた。生理不順がひどいことも話した。H先生から「子宮が冷えている。子宮の状態がよくないので仕事を続けない方がいい」と言われた。子宮の問題を指摘されたのは初めてのことで悲しいことだと思った。立場上、仕事は辞められる状態ではなかった。H先生から天野先生のカウンセリングを勧められた。天野先生のカウンセリングを受ければ、子宮の問題について根本的な理由が分かると言われた。「天野先生は他の方にはない特別な能力がある、結果が出るのが早い、根本的な原因解決になる」と説明を受けた。
⇒史利被告は何かメモをしていた。「H先生」の話のときに突然、佐野被告もメモをし始めた。
(4)天野先生のカウンセリング
証人E:天野先生のカウンセリングはすぐには受けなかった。すべて見られそうな気がして嫌だった。自分の魂を根こそぎ見られるような気がして。
吉野検事:将来を知らされるのが怖かったですか?
証人E:はい。
証人E:H先生に言われた「子宮が冷えている」ということを思い出し、体調の悪さが気になり、仕事に対する不安もあり、天野先生のカウンセリングを受けることにした。
証人E:天野先生に特別な能力があると思ったのは、通っている際にスタッフや客から「天野先生はすごい。言われた通りにやったらうまくいった」といつも聞いていたから。「神様からのメッセージを受け取れる特別な能力がある」と言われていた。
⇒サロンへ事前提出した相談内容(甲44号証)を記憶喚起のため提示(モニターに映し出される)。
証人E:子宮に関する相談内容が書いていないのは、相手が男性なので書面に残したくない、そのときに話せばいいと思ったから。
証人E:天野先生のカウンセリングで、「立てないくらいの生理痛がある」と相談。「職業柄、子宮が気圧の変化を受けている。医学的にも証明されている。子宮が縮んでいる。子宮の壁が薄いところと厚いところがある。このままだと子供が産めなくなるので今の仕事を辞めた方がいい。貴金属の仕事やお金・話す・食べるに関する仕事に変えた方がいい。非常によくないので状態がよくなるよう御祈願をするといい」と言われた。20万円。御祈願してもよくならないことがあるとは言われていない。神様頼みだけで自分でも努力しなければだめとは言われていない。天野先生のそのときの話し方は、間をおきながら、遠くを見る視線をしていた。御祈願については、ヒーリングよりももっと効果が強いものと聞いていた。
⇒サロンへ提出した家系図(甲46号証)を提示。モニターの調子が悪く、市河弁護士が出てきて書面を直接確認。
証人E:母方の祖母の名前がピンク色で囲んであるのはカウンセリングの書記の人が囲んだ。
⇒同じく家系図(甲47号証)を提示。
証人E:筆ペンで書き込みがあるのは天野先生がカウンセリング中に書いたもの。
証人E:「母方祖母○代〜○代の家系に問題がある。養子で家系をつないだので血統が途切れた。途切れた先祖から合図出ている。先祖が助けてほしいと合図。合図とは先祖の霊の念。先祖の霊の念が祖母、母を超えて私の方にきている。私の子宮にきている。このままだと子供が生まれなくなる」と言われ、名前を思い出せないが御祈願を勧められた。
⇒史利被告、ニヤリとする。
証人E:「母方の祖母の家系を調べた方がいい。お墓の場所を調べ、分かればお墓のお浄めをするといい」と言われた。
証人E:「家系図余白に書き込みしたのは、子宮の状態。壁の薄い厚い。逆三角形は、家系が繁栄していくものと衰退していくものとその他を示している。矢印は先祖の念が私の方へ向かってくると示している。名前の枠の中まで線が書き入れた意味は、先祖のものが私の中まで入っている」と説明され、すごく怖いと思った。
⇒「枠の中まで線が書き入れた意味」と検事が言った瞬間、史利被告はニヤッと笑った。家系図の話をしている間、唇を引っ張って落ち着きがなかったが、笑った瞬間を見て、“そんなの何の意味もないよ”と嘲笑しているかのように見えた。
(5)御祈願
証人E:子宮が悪い状態になっていると理解したのは、仕事柄の気圧の変化と、先祖からの念。生理不順に関係していると思った。子宮の改善のためには御祈願をするといいと思い、8月29日の祭典の日に行った。祭典の日は普通の日より強い御霊光が受けられると言われていた。
証人E:前日、婦人科を受診。念のため、医療関係の意見を聞きに言った。検査結果は後日とのことで、結果を見てみないと分からないが、恐らくホルモンバランスが原因で、体質改善するためには漢方を1日3回服用。かなり時間がかかると言われた。医師の診察結果を聞き、早くよくなりたかったので御祈願をした方がいいと思った。
証人E:御祈願当日の朝、生理がきた。排卵の兆候がないと言われていたのに意味が分からないと思ったが、生理がきてホッとした。サロンとの関係において、「決めたら動く」とスタッフから言われていたので、自分が動いた(=行動した)から生理がきたと思った。いいことがあるないに関わらず、物事が動くということを言われていた。⇒笠原弁護士が大きく頷いていた。
⇒御礼文(添付資料写し6)を書いた。記憶喚起、同一性確認のため提示。
証人E:薬を服用せずにいられたことへの御礼。薬毒の話を聞いていたので躊躇していた。
⇒特別御祈願の文面提示。
証人E:子宮の状態を最大限よくしてほしいという文を書いた。
証人E:御祈願をした先生は思い出せない。立っていたか座っていたかも思い出せない。
証人E:「これでよくなります」と言っていた。子宮の状態が改善されると思った。
(6)一切合切
証人E:母親と祖母に3〜5代前の先祖のお墓の場所を聞いたが分からなかった。
証人E:御祈願の翌日に天野先生のヒーリングを受けるよう言われていたのでそのときに相談。
証人E:8月30日、御祈願の後の子宮の状況をみるために天野先生のヒーリングを受ける。
証人E:「よくなってきていますね」と言われ、御祈願してよかったと感じた。
証人E:だが、「子宮に先祖の念が入っているので子宮の根本的原因が解決されていない」と言われ、お墓のお浄めを勧められる。場所が分からないと言うと、「一切合切をするといい。先祖すべてを供養できるので、先祖の念がとれ、子宮が改善される」と勧められる。
証人E:一切合切をしないと元に戻ると感じた。30万円は高いと感じた。高いと思いつつ、一切合切をしたのは、仕事を続けていくには子宮の状態をよくしなければならないと思ったため。9月26日、光魂祈願祭の日に行った。すっきりし、よくなると思った。
証人E:生理痛が軽くなり、周期が改善されたとそのときは思ったが、結局、周期は治らなかった。御祈願に効果がないと思った。
(7)サロンへの不信感、通うのをやめた経緯
■裁判長:疑問を感じたのはいつ頃?
証人E:2006年(E証人は西暦で経過を記憶)の寒い時期です。
証人E:よくなっているのかもしれないけれど、状況は変わらず、意味があったのか?と疑問を持ちながら、続けた方がいい結果をもらえるのかなと思い、サロンへ通うのはやめなかった。
証人E:サロンに不信感を抱いたのは、平成19年3月3日の大祭に参加したとき。集まっている人の雰囲気が暗く、おかしいと思った。もっとワクワクする場所と思っていた。
証人E:その後、1ヶ月サロンへ通うのをやめ、変化があるか試してみることにした。
証人E:嫌なことが起きるかと思ったが何も変わらなかった。
証人E:仕事のプレゼンがうまくいくよう遠隔を依頼してみたが、プレゼンは散々な結果だった。騙されたと確信した。
証人E:平成19年4〜5月頃、婦人科を受診し、多嚢胞性卵巣症候群と診断される。薬を飲まないと改善されないと医師から言われた。
⇒史利被告は病名を口パクで復唱。その後、ふと我に返ったのか傍聴席の様子を一瞬、目だけ動かしてチラリと確認する。嘉子被告も病名をメモしたのか、少しだけ手を動かした。
次に大久保検事による尋問
初めて天野先生のカウンセリングを受けたときの内容を再確認。
証人E:「科学的根拠がある」との話だった。「医学会では、気圧の変化が子宮の壁に影響を与えると証明されている」と。
大久保検事:壁の薄い厚いについて、具体的な部位は示されなかったか。
証人E:思い出せない。
大久保検事:天野先生とあなた以外に誰かいたか。
証人E:T(2)さんという人が書記をしていた。
⇒8月22日のカウンセリング内容の記録(甲?号証)を提示。
⇒この他、「先祖霊の合図」、「助けてもらいたい理由」、「供養してもらいたい」などについて尋問があったがメモしきれなかった。とにかく早く外の空気を吸いたくて、午前の部が終了すると同時に法廷の外へ出た。
●11:50午前の部終了(13:15まで昼休み)
●午後の部
●13:15再開
笠原弁護士の反対尋問(に対する証人Eの証言など)
(1)告訴について
笠原弁護人:合計50万の祈願料に関して告訴をしているか。
証人E:告訴とは?
笠原弁護人:捜査機関に申し立てをしたのかということ。
証人E:もうちょっと分かりやすく言って下さい。
■裁判長:警察に書面で出したかどうかということ。
証人E:はい。
笠原弁護人:いつ頃?
証人E:4〜6月のいつか。
笠原弁護人:平成21年(2009年)5月、県警にスケジュール帳を提出したのを覚えているか。
証人E:2,3年前に提出しました。
笠原弁護人:経緯は?県警があなたのところへ尋ねてきたのか、あなたの方から出向いたのか。
証人E:県警から。
笠原弁護人:2006年の6・8月の件ふたつだけなのか、それ以外にも告訴したのか。
証人E:それ以外は刑事としてはない。
笠原弁護人:2,3年前に県警が事情を聞きたいと尋ねてきて供述調書を作成されたのか。
証人E:していると思います。
笠原弁護人:事情を聞かれて何通くらいの調書を作成されたか。
証人E:分かりません。
笠原弁護人:1回なのか、もっと多いのか。
証人E:2009年と今年に聴取を受けた。
笠原弁護人:被害の内容について検察官にどういう形で述べたか。
証人E:おっしゃっている意味が分かりません。
笠原弁護人:180万騙し取られたと供述調書にサインをしているが、そういう認識か。2006年6月29日頃、特別光魂祈願を受けていないか。
証人E:受けたと思う。
笠原弁護人:いくらの御玉串だったか。
証人E:けっこう大金だった。はっきりとした数は思い出せない。
笠原弁護人:支払い一覧表(弁1号証)2枚目67番。30万の御玉串をあげているが、この事実については告訴はしなかったのか。
証人E:はい。すべてを詐欺で告訴するという考えがなかったから。子宮が悪くなっているということに関しての詐欺と認識している。
(2)スピリチュアルについて
笠原弁護人:話を変えましょうかね。あなたはスピコンに行ったことあるのか。スピコンとは何のことか。
証人E:スピチュアル・コンベンション。タロットやオーラソーマなどのブースがあってお試しをする形態のもの。
笠原弁護人:何回か出たことあるのか。
証人E:1回だけ。
笠原弁護人:時期的には?
証人E:6年前くらい。2005年より前。
笠原弁護人:アカサカに行く前?
証人E:はい。
笠原弁護人:スピリチュアルとは何?
証人E:目に見えない魂みたいなもの。
笠原弁護人:あなたは存在すると思っていたのか。
証人E:はい。
笠原弁護人:オーラの写真をとったことあるか。
証人E:はい。
笠原弁護人:オーラとは?
証人E:人それぞれ持っている色を示しているもの。
笠原弁護人:目に見えるものなのか。
証人E:通常、見えません。
笠原弁護人:写真に写ったのか?
証人E:はい。
笠原弁護人:実在すると信じたのか。
証人E:興味で撮った。
笠原弁護人:写真に写ったものがオーラという認識?科学的に証明されていないものに興味があったのか。
証人E:ありました。
笠原弁護人:そういうものが実在するという考えがあったということですね。
(3)勧誘の経緯と通い始めた頃の様子について
笠原弁護人:Tさんに声をかけられたということだったが、ヒーリングとはどういうものかと説明したか。
証人E:いつの段階のことですか。
笠原弁護人:声をかけてきたとき。
証人E:ないです。
笠原弁護人:どんなことをするのか、どういう効果が得られるのか説明がなかったのか。
証人E:癒し系のサロンという説明だった。
笠原弁護人:Tさん自身の経験談だとか・・・話したことなかったか。
証人E:あった。激務で肉体的疲労感を感じていたが、そういうものにも効果があるとの説明だったと思う。
笠原弁護人:どういうメカニズムで癒されるのかは説明なかったのか。
証人E:なかった。
笠原弁護人:説明を持って・・・・(すぐにサロンに行かなかったのかというような質問だと思う)ということですかね。
証人E:はい。そのときは仕事が立て込んでいたので紙(=チラシ)を手帳に挟んでそのまま。
笠原弁護人:1ヶ月経ったところで品川のサロンを訪ねたということですね。
証人E:はい。
笠原弁護人:2005年7月頃のことのようだが、このとき既に生理痛とか生理不順を感じていたのか。
証人E:若干あった。
笠原弁護人:サロンに通うきっかけは、仕事による疲労、祖父が亡くなった精神的疲労、友人とのトラブルで癒されたいと思った、でよろしいですね。
証人E:はい。
笠原弁護人:応対に出たスタッフはどなただったか覚えているか。
証人E:おそらくTさん。
笠原弁護人:何人かのスタッフがいたのか、それともひとりだったのか。
証人E:何人かいた。
笠原弁護人:Tさん以外に覚えている人はいるか。
証人E:Iさん。
笠原弁護人:ヒーリングとはどういうものか説明してくれたか。
証人E:受けた後かどうか覚えていないが、あった。
笠原弁護人:マイナスをプラスに変えると聞いて意味が分かったか。
証人E:悪いものを出していいものを・・・。
笠原弁護人:初めて品川のサロンへ行ってヒーリングを受けて体があたたまるような感じを受けた、ヒーリングを受けて現象を感じたということですね。
証人E:はい。
笠原弁護人:手をかざしたことによってどうして体があたたかくなったと理解したか。スタッフに尋ねなかったのか。
証人E:覚えていない。
笠原弁護人:サロンに出入りする会員が感想を記載するファイルを見たことがあるか。
証人E:ある。
笠原弁護人:どんなことが書かれていたか。
証人E:体調、仕事、人間関係などについてです。
笠原弁護人:受けてよかったという感想か。
証人E:はい。
笠原弁護人:書いたことはあるか。
証人E:あります。
笠原弁護人:何回くらい?
証人E:一度はあるが、何回かは分からない。
笠原弁護人:ヒーリングを受けてか、御祈願か?
証人E:たぶん、御祈願。
笠原弁護人:どんなこと?
証人E:・・・
笠原弁護人:ファイルに書くということは、サロンに通う人が読むのが前提ということでしょ?
証人E:たぶん。
笠原弁護人:2005年7月に何回ヒーリング受けたか覚えているか。
証人E:・・・
⇒支払い一覧表をモニターに提示。
笠原弁護人:4回受けている。それだけ通っているということになりますね。お水も買っているということになりますね。思い出しましたね?
笠原弁護人:なんらかの効果を感じて通ったということか?
証人E:体が疲れていたので通っていた。
笠原弁護人:効果を感じたので通ったのですね?
証人E:そうですね。
(4)許可証について
笠原弁護人:8月31日、許可証購入、覚えているか。これは何の許可証か。
証人E:自分でも受けられる許可証。
笠原弁護人:サロンに通わなくても受けられるということか。
証人E:はい。
笠原弁護人:購入の際、儀式めいたものは行われていたか。
証人E:記憶がはっきりしない。
笠原弁護人:拝受式行われていなかったか。品川サロンの特別室で行われたのではなかったか。
証人E:いくつか部屋があって、それが何という部屋なのかまで知らない。
笠原弁護人:祭壇のことは何と呼んでいたか。
証人E:スタッフが祭壇と言えば、祭壇と言っていた。
笠原弁護人:「御神台」と呼んでいなかったか。
証人E:聞いたことない。
笠原弁護人:掛け軸の部屋はあったか。
証人E:文字が書いてあった。
笠原弁護人:何ていう文字?
証人E:覚えていません。
笠原弁護人:祭壇の上に許可証があったのでは?
証人E:・・・
笠原弁護人:お金を自分でお玉串袋に入れたのではないか?
証人E:・・・
笠原弁護人:訴えているのに通っていたときのことを思い出そうとしなかったのか。
証人E:・・・
⇒史利被告、首をかしげる
笠原弁護人:許可証がどういうものであるか注意事項についてスタッフからきかなかったか。
証人E:説明文を見た。
⇒御守り拝受の説明文(弁2号証)をモニターで提示
笠原弁護人:これと同じものを見たのか。
証人E:・・・。項目の5,6を見たような覚えがある。
笠原弁護人:これは、御守りと書かれている、あなたのときは許可証と言われていた。
笠原弁護人:これは現在の物。
⇒ひっかけたつもりなのか得意気に言い、イヤラシイ感じがした
⇒5項の神様から御霊光を頂くという文面を読み始める
⇒宗教性をアピールしたいのか、意味不明の行為に法廷内はシラーッとした雰囲気に。
⇒佐野被告は相変わらず目をつむり、史利被告はモニターを見ることもなく、証人とのやりとりを見ている
笠原弁護人:許可証買ってから落としてお浄め受けたことは?
証人E:一度はある。
⇒支払い一覧表(弁1号証)をモニターで提示
笠原弁護人:9月以降、1年で4回お浄めしているようだが?
証人E:・・・
笠原弁護人:(許可証を)大切に扱っていたことになりますね。
笠原弁護人:母親に取次ぎをしたようだが、何か言ってからやったのか。
証人E:何も言わずに黙ってやった。
笠原弁護人:講習会には何回出たか。
証人E:・・・
笠原弁護人:買った日も受けているようですね。
笠原弁護人:どうやって自分に受けるか(等、ごちゃごちゃ・・・?)
証人E:・・・だけだったと思う。
⇒史利被告、首を振る。
笠原弁護人:サロンに行くときは祭壇に御玉串あげていなかったか。
証人E:初めのころはスタッフに渡していた。
笠原弁護人:取次ぎ御礼をしている。
(5)神書について
笠原弁護人:神書は購入したのか。
証人E:講習会か許可証を頂いたときに一緒に頂いた。
笠原弁護人:何回か読んだか。
証人E:・・・
笠原弁護人:通読はしたか。
証人E:通読は1回もしていない。読みたいところを読んだ。パッと開いたところ ⇒サロンで勧められていた読み方。
笠原弁護人:理解し、納得できたか。
証人E:・・・
笠原弁護人:反発覚えたことは?
証人E:お酒を飲んではいけない、肉を食べてはいけないとか・・・。
⇒史利被告は「お酒 ? !」と口パク。「そんなのあったか?」というような反応。
笠原弁護人:御霊光や霊に関しての反発は?
証人E:納得というか、「ふーん」という感じ。
笠原弁護人:反発があったらサロンやめるのでは?
証人E:・・・
笠原弁護人:「宗教だと嫌だ、嵌っちゃって抜けられなくなるのでは」という証言があったが、宗教とはどういうものを想定して言ったのか。
証人E:イメージとしてオウムみたいなもの。
笠原弁護人:検察官調書に・・・、どこかに本物の神様がいるのかなと思っていたわけですよね?
証人E:・・・
笠原弁護人:他を省みずに宗教に埋没するのが嫌だったということですね?
証人E:・・・
笠原弁護人:えんとらんすは本物の神様が存在する、御霊光の効果を信じる人の集まりだと当時考えていたが、神様との取引をどういうふうに理解していたのか。
証人E:・・・。(取引とは)気持ち的にも支払い的にも両方。
笠原弁護人:「何らかの効果を得られる」と、そういう印象でよいか。
証人E:いい方向に向かっていくという感じ。
(6)従業員Cについて
笠原弁護人:どこでいつ頃会ったか。
証人E:2005年の夏、品川のサロンです。
笠原弁護人:サロンでどういう立場だったか。
証人E:先生と呼ばれていた。
笠原弁護人:先生とはどういう立場か。
証人E:分かりません。
笠原弁護人:カウンセリングを行っていたが、どういう方がカウンセリングを担当していたか。
証人E:・・・
笠原弁護人:Cさんも神霊能力をお持ちの方だと紹介されたことがなかったか。
証人E:ない。
笠原弁護人:2006年に結婚しない方がいいと言われ、従うつもりはなかったが、別の理由でやめたということですよね?Cさんが言った通りに結果としてなったが・・・。
⇒(弁護人の質問に対して突っ込みいれたくなってしまい、その後を聞きそびれた)「結果としてそうなったことをどう思うか」等と聞いたと思われる。
笠原弁護人:先生とスタッフと何か違うものあったか。
証人E:どういう位置づけか分からない。
⇒スタッフの写真帳(弁1号証資料2)の写しをモニターで提示。
⇒コピーのため写りが悪くて分かりづらかったが、えんとらんすのスタッフが掲載されているページが写された。
笠原弁護人:写真帳にあなたが書き込んだことありますよね?
笠原弁護人:〜さん、〜様、〜先生と書いたのは?
証人E:・・・(スタッフや他の客が呼んでいたからというような返答をしたと思う)
(7)御祈願・祝詞・また神書・・・
笠原弁護人:特別御祈願を光魂祈願以外に何回か受けているが、あなたの方から申し出てやったものか。
証人E:・・・
笠原弁護人:祈願とは、誰が誰に対して何を言うのか。
証人E:(意味が分からないというような返答をしたと思う)
笠原弁護人:お願いする相手は誰?
証人E:神様?
笠原弁護人:その場所には掛け軸があるのですね?
証人E:・・・
笠原弁護人:2006年5月頃に3種類の祝詞を求めているのを覚えているか。
笠原弁護人:何のために購入したのか。家で祝詞をあげていたのか。
証人E:(忙しくてほとんど家にいない生活をしていたので、あげたことはほとんどないというような返答)
笠原弁護人:警察に提出していないのか。
証人E:(見せたことはあるが提出はしていないというような返答)
⇒実物の祝詞を提示。
笠原弁護人:(祝詞をよみあげていたのではないか?、効果を感じていたのではないか?と言った質問がされていたと思うが記録できず)
⇒実物の神書赤版を提示。
証人E:これは持っていない。文庫本サイズのもの(を購入した)。
笠原弁護人:ほぅ、文庫本サイズのものね。それを持ち歩いていたのか。
笠原弁護人:祭典に出席するときは祝詞を持参したのか。
証人E:していない。
笠原弁護人:祝詞を唱和したことはあるでしょ?
証人E:唱和?(先生が読み上げていたというような返答)。
(8)H先生のカウンセリングについて
笠原弁護人:どういう能力があると紹介されていたか。神霊能力があると説明を受けたことがなかったか。
証人E:・・・。
笠原弁護人:(どんなことを言われたかというような質問だったと思うがメモできず)。
証人E:御肉筆コースを勧められた。
■裁判長:何?おにくひつ?どういう字?
証人E:お肉に筆です。・・・どういうものかを説明、御肉筆(神書を書かれた方の書いた文字)の額のある部屋でカウンセリングを受けるといった意味合いだったと思われる)。
笠原弁護人:どんなことを相談したか。仕事と体調?
証人E:いいえ、仕事と恋愛です。
⇒カウンセリングの記録(資料3)を提示。
⇒担当したHが書いた引継ぎメモを確認。
笠原弁護人:Hに特別な能力あるいは・・・言葉のやりとりだけで、子宮が冷えていると言われて疑問を持たなかったのか。
証人E:つながった。Hの言う通りと思った。
笠原弁護人:特別御祈願を受けることになった経緯は?
証人E:紹介された。
笠原弁護人:それはスタッフか?
証人E:・・・。自分のステップアップになると勧められた。
⇒ここで検察官より「時間超過している」と指摘が入った。
⇒裁判長が、「あとどれくらい?」と確認。「あと少し・・・」と笠原弁護人。
⇒裁判長より、ここで一旦休憩の指示。
●14:35〜30分間休憩
●15:05再開
傍聴席着席し、すぐに再開。
(9)wish/願について
⇒支払い一覧表をモニターに提示しながら質問。
笠原弁護人:この「wish/願」とはどういう願いごとか。具体的な内容は?
証人E:おそらく、自分のステップアップのためのもの。
笠原弁護人:調書に書かれているが覚えていないのか。
証人E:・・・。
⇒笠原が内容を読み上げると証人、思い出す。仕事に関する内容のことだった。
笠原弁護人:職場関係がよくなったのではないの?刑事に話したのではないの?
証人E:はい。
笠原弁護人:結果に満足していたわけでしょ?
証人E:(しばらく迷いながら、「はい」というような趣旨の返答)。
笠原弁護人:誰からそういう結果を頂いたと思っていたか?
証人E:・・・(「神様」と答えたのかもしれないが確認できず)。
(10)天野先生のカウンセリングについて
笠原弁護人:天野先生自身から、「私は特別な能力がある」と説明を受けたことがあるのか。
証人E:ない。
笠原弁護人:では、誰から言われたのか。
証人E:・・・。
笠原弁護人:通っている人の中でインチキだと言ったりしている人はいたか。
証人E:(「いない」といった趣旨の返答)。
笠原弁護人:皆さん、能力あると信じていた訳ですね?
証人E:何か見える方だなという認識でした。
笠原弁護人:人から聞いて・・・、信じるに至った根拠は?
証人E:客が奇跡の話をしていた。
笠原弁護人:奇跡とは?
証人E:病気が治ったり、人間関係がよくなったとか。
笠原弁護人:天野先生のカウンセリングは永田町のサロンか?
証人E:はい。
笠原弁護人:全部の部屋に入ったことがあるのか、いくつくらいの部屋に入ったのか、特別室に入ったことはあるのか。
証人E:・・・(図を見れば示すことができるが、特別室というものがどこなのか分からないといった趣旨の返答)。
笠原弁護人:カウンセリングを受けた部屋には祭壇があったか。
証人E:覚えていない。
笠原弁護人:掛け軸のようなものは?
証人E:・・・。
笠原弁護人:「力」とか「大神力」とかは?
証人E:・・・。
■裁判長:「大神力」ってどういう字を書くの?
???:(誰かが大神力の字解をしたが、証人だったかは記録がとれておらず)。
笠原弁護人:「大神力様」ってお呼びしていなかった?
笠原弁護人:御神体って言葉を聞いたことなかった?
笠原弁護人:カウンセリングを受ける際、1礼3拍手をしなかった?
笠原弁護人:天野先生の見解は、医学とは無関係だと思ったのか。医者の資格あると思ったのか。
証人E:天野先生に医者の資格があるのかどうか私は知りません。
笠原弁護人:カウンセリングの際に、医学的な検査を行っていないですよね?
⇒市河弁護士がニヤニヤしている。
笠原弁護人:調書では・・・、医学的外の見解という認識でいたからでしょ?
笠原弁護人:2006年8月26日に受診したのは医学的所見を知りたくて行ったのでしょ?
笠原弁護人:医師から排卵していないと言われたが、排卵していないから生理がこないと受け止めたんでしょ?
笠原弁護人:医師の診察を受けて、(その後)29日に特別御祈願を受けることにしたんですね?
笠原弁護人:検査結果は1週間後に判明すると言われて1週間後に行ったのか。
証人E:行っていない。
笠原弁護人:なぜ?
証人E:仕事の関係で忙しくて。
笠原弁護人:10日後は?
証人E:行っていない。
笠原弁護人:調書に書かれているように医師を信頼していなかったということか。
証人E:医師の話とサロンで言われていたことを天秤にかけていたと思う。
笠原弁護人:感謝祭の後、特別御祈願をした品川のサロンの部屋というのは、御霊光を受ける部屋と同じか、違うか。
■裁判長:受けた部屋はいくつかあるのですか?
証人E:はい。
質問者不詳:それと同じ、祈願を受けた部屋ということですか。
質問者不詳:御祈願の際は、1礼3拍手をしていたか等・・・。
証人E:・・・、壁にした。
⇒淺原が笑う。
笠原弁護人:対象はどこかと聞いている。
証人E:対象?
⇒「質問の意味を理解できない」といったやりとりがしばしあった。
笠原弁護人:そちら(何のことか不明)の方は向いているか。
証人E:そういった意識はない。これからお願いするために・・・。
笠原弁護人:誰に向かって?
証人E:・・・神様?
笠原弁護人:祝詞はどこへ向かって奏上していたのか。
証人E:どこへ向かって?
笠原弁護人:誰に対して奏上していると思ったか。
証人E:・・・。
⇒御礼文(甲23号証?)を提示。
笠原弁護人:素直にあなたは効果を得たと書いたのか。
大久保検事:資料5,7です。(証人に)示していないです。
⇒指摘の証拠資料を証人へ提示。
笠原弁護人:8月29日に御祈願をして満足したのか。
証人E:効果は感じた。
笠原弁護人:御礼をしたことはあるか。
証人E:・・・。
笠原弁護人:大祭に参加したことはあるか。時期は?
証人E:・・・。
笠原弁護人:平成18年9月3日浦安ベイホテル。いつ頃、参加の申し込みをしたか。
笠原弁護人:手帳に記載してありますよね?警察に提出した資料にありますね。
笠原弁護人:一切合切とはどういうものか。文書で見せられたことはあるか。
証人E:口頭だと思う。
笠原弁護人:紙を見せられた覚えがないですか。それでは記憶喚起のために資料提示を・・・。
■裁判長:もうそろそろおやめ頂けますか。
⇒15:50になっていた。
市河弁護人:一点だけ。甲24号証添付資料、御礼文について・・・。
市河弁護人:一切合切は先祖の供養のための祈願という認識があったのか、説明受けたのか。
証人E:・・・。
⇒後は、裁判長から今後の進行について話があり、次回はDさんの被害者尋問。Hの尋問も予定しているとのこと。
●16:00終了
午前10時から始まった本日の公判がやっと終わった。傍聴者も裁判官達も疲れ果てていた。
地検が訴因変更請求
横浜地検は、これまで詐欺罪(刑法246条)で起訴されていた佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3被告を、詐欺罪よりも刑罰が重い、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)(平成11年法律第136号第2章第3条13)に訴因変更するよう横浜地裁に申請した。
3被告は斉藤亨の指揮の下、組織的に一連の詐欺行為を働いてきたのであるから、単なる詐欺罪で裁かれるべきではなく、地検が訴因変更請求を行ったのは極めて妥当な判断と思われる。この訴因変更請求は2011年10月5日付けて行われ、同じく詐欺罪で公判中の、杉本(吉田)明枝被告についても同様の訴因変更請求がなされた。
横浜地検の堀嗣亜貴次席検事は「事案の実態に即して罪名を変更した」と説明している。
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3、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第3回公判
(以下の第3回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)
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訴因変更が認められたことを報じた 神奈川新聞(2011.11.10) |
1 日時:平成23年11月10日(木)午前10時〜午後3時45分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子
6 内容1:証人D(被害者)の証人尋問(午前主尋問、午後反対尋問)
内容2:訴因変更に関する冒頭陳述等
法廷の様子
今日は書記官が女性だった。検察側はいつもの検事が3名。被告弁護人は、前列が裁判官側から市河、尾崎、笠原。後列が大森、若い男(門西の代わりか?)、清澤、谷地向(女)が並んでいた。
被告3名の並びもこれまでと同じだった。これまでの公判では淺原嘉子被告の表情を見ることが難しかったが、今回報告者が座った場所からはほんのわずかだが、嘉子被告の横顔が見えた。嘉子被告に関する内容が報告された際、モニターに写された内容を見ようと嘉子被告が顔を横に向けた場面があり、傍聴席から嘉子被告の横顔が見えた。被告の横顔は痩せこけた感じで、彼女はめがねを掛けていた。史利被告は、前回の傍聴記で落ち着きのない態度を指摘されたことが耳に入ったのか、今回はあまり目立つ挙動をすることはなかった。佐野被告は、終始目をつむっていた。
佐野孝の妻、りらも公判の傍聴に来ていた。彼女が持っていたバッグは、しっかりとブランド物だった。
●午前の部
予定の10時を少し過ぎて開廷。証人が入廷し、宣誓を述べた後、検察官による尋問が開始される。
●大久保検事による主尋問(要約)
(1)サロンに通うきっかけ
【主な質問内容】
・証人の職業、客として関わった状況の確認
・被告3人の名前を挙げ、知っているかどうか、なんと呼んでいたかの確認
・えんとらんすを知った経緯の確認
・えんとらんすを紹介した友人の名前・職業・どう説明されたかの確認
証人D:会主様、天野先生、橘教会長と呼んでいた
証人D:友人2人から食事に誘われた席で紹介された
証人D:運気が上がって肩こりや冷え性が治る、自分がカウンセリングに入ったら大事なプレゼンがうまくいくようになったなどと言われた
・カウンセリングに入ると何がどうなると言われたか(思ったか)、興味を持ったか
・どのような人がカウンセリングをすると説明されたか
・何というサロンか、友人からそれを聞いたのはいつのことか、どこにあったか
・サロンの印象は?印象はよかったか
・すごい先生のカウンセリングはすぐ受けたのか
証人D:体のこと、会社の上司との関係など悩みがあり、出口を探していた
証人D:何でもアドバイスしてくれるすごい先生がいると言われた
証人D:リュミエール。話を聞いたのは平成17年11月4日。翌日、訪ねてみた。
⇒駅からの経路を説明。ストーリア14階
証人D:イメージ的には白。パステル調で豪華。印象はよかった
証人D:受けられなかった。まずはヒーリングに入ってからと説明を受けた
(2)ヒーリング
【主な質問内容】
・ヒーリングとは?
・一番最初はどれくらい受けたのか
・具体的に効果を感じたか
・その後の確認。受けた数日後、何か起こらなかったか
証人D:手のひら・指先をこちらに向けるようにし、3mくらい離れたところから何か送ってくれるような感じ
証人D:10分のコース
証人D:何も感じなかった。続ければ効果が出ると言われた
証人D:次に行ったときは28階。同じヒーリングを受けた。そのときも何も感じなかった。手足に発疹が出た。それまで出たことがなかったので、病院に行き、ステロイド剤が処方になった
・皮膚科に行き、症状はどうなったか
・誰かにそのことを話したか。何か言われたか
証人D:症状は治まった
証人D:サロンを紹介した友人に話した。
証人D:排泄かもしれない。詳しくはスタッフに聞いた方がいい。ヒーリングのおかげで毒素が出た。薬は飲まない方がいい。毒素である薬を飲んだり塗ったりしてはいけないと言われた。同じことをスタッフからも言われた
(3)カウンセリング
【主な質問内容】
・元々の目的であったカウンセリングを受けたのはいつか。場所は?
・誰から受けたか。どんな人だと思ったか
・相談内容は?何と言われたか
・何のための御祈願と言われたか。金額は?
・御祈願という言葉を聞いて何か思ったか
証人D:平成17年12月13日です。あ、11月13日です。場所はストーリア28階
証人D:K山先生。すごい先生だと理解した
証人D:社長と合わないといった仕事の相談をした。独立しなさい。成功する。そのために御祈願をしなさいと言われた
証人D:なりたいような自分になるための御祈願。10万と言われた
証人D:宗教的なものが含まれているのではないかと思った
(4)宗教ではない
【主な質問内容】
・宗教なのか尋ねたことはあるか
・宗教ではないと言われ、信じたのか。宗教とはどういうものだと思ったか
・もし、宗教だと思ったら通わなかったということか
証人D:K山先生に尋ねたら、「ここは宗教ではない。会社です」と言われた。
証人D:4、5人に聞いたら同じような答えだった
証人D:宗教ではないと言われ、信じた。宗教というと、自由を奪われ、信じるものにひれ伏すイメージがあった
証人D:はい
⇒佐野被告と嘉子被告はじっと座っている。史利被告は少し俯き加減にしていたが、宗教の話になったところでメモを取り始める
(5)ヒーリングの効果
【主な質問内容】
・ヒーリングの前後には何かすることがあるのか
・ヒーリングの効果に関する確認
・会社であるという話を複数回聞いたかの確認
証人D:お茶を出されてスタッフから、「何かいいことはあったか」と聞かれた。
大久保検事:どんなこと?
証人D:間がよくなった。電車やバスの乗り継ぎがよくなった、くじに当たったなど
証人D:「それはヒーリングの効果が出ていますね。よかったですね」と言われた
大久保検事:ヒーリングの効果でよくなったのではないと言われたことはあるか
証人D:言われたことはない
大久保検事:他には?
証人D:奇跡の結果のファイルがあった。いいことだけが書いてあった
大久保検事:その中に、効果が出なかったというのはあったか
証人D:なかった
大久保検事:効果があると思うようになったか
証人D:発疹が出たことによってよくなったと思った
大久保検事:会社であるということを何度か聞いたことがあるか
証人D:客に聞いたことがある
(6)カウンセリング
【主な質問内容】
・最初にK山先生のカウンセリングを受けたときに独立するといいと言われて実際に何かしたか
・会社成立に関してアドバイスを受けたことがあるか
・2度目のカウンセリングに関する確認〜内容確認の際、証人が返答に詰まり、少々混乱する場面あり
証人D:独立した
証人D:有限会社にするかどうか、社名をどうする等を相談したいと思った
大久保検事:2度目のカウンセリングを受けたのは?
証人D:平成18年1月29日。リュミエール28階
大久保検事:カウンセリングをしたのはK山先生か
証人D:いえ、違った。K山先生だと思ったら、天野先生だった
大久保検事:驚きはあったか
証人D:はい
大久保検事:天野先生に相談をしたね
証人D:はい
大久保検事:カウンセリングで体調についても相談しなかったか
証人D:2、3年前から耳鳴りが止まらなかったので原因を聞いた
大久保検事:カウンセリングで天野先生はどのような行動をしたか
証人D:こういうものが見えると言って、お稲荷さんを描いた。目を閉じて何かを聞いているような感じ
大久保検事:目を閉じたまま答えるのか
証人D:目をあけてから答える
証人D:お稲荷さんと言われて実家にあったお稲荷さんを思い出した。以前、家を改築するときにつぶした
大久保検事:今あるかどうか尋ねたか。天野先生に言われてどう思ったか
証人D:尋ねた。何か見えたのかと思った
大久保検事:他に何か言われたか
証人D:井戸のことや祖母が階段から落ちて亡くなったのでそのことを言われた。井戸や池をつぶすと水の流れが止まって、水が腐るとだめになる…
大久保検事:あなたが説明しないのに「井戸をつぶしましたね」と言われなかったか
証人D:はい
大久保検事:あなたから井戸があったと話したのか
証人D:井戸をつぶしたかと言われた
大久保検事:会話のテンポは?
証人D:間をあけ、何かを聞くような…、その後に顔を上げて、何かスピリチュアル的なものを感じ取っていると思った
大久保検事:井戸や池をつぶしたことによってどういう状態だと言われたか
証人D:水の流れを止めると蛇の霊が憑くと言われた
裁判長:そのときに天野先生が言った言葉を覚えているか
証人D:駐車場にしていたのだが、コンクリートを流すことはよくない。お浄めをした方がいいと言われた
大久保検事:お浄めしなければならないのは、実家がどうなっているからと言われたか。お稲荷さんをつぶしたので狐の霊が憑いていると言われなかったか
証人D:はい
■裁判長:誘導ばかりなので証人に言わせて下さい
大久保検事:他にもお祖母さんのこと言われたね?
証人D:階段から落ちたとき、霊が成仏されていないと言われた。耳鳴りの話をしたときに左後ろを見て、お祖母さんの霊が来ていると言われた
大久保検事:どう思ったか
証人D:耳鳴りの原因はそれかと思った
大久保検事:お祖母さんの霊はどういう対処が必要と言われたか
証人D:霊のお迎え、お浄めをするように言われた
大久保検事:それをしないとどうなると言われたか
証人D:自分の事業や兄が首から上に影響が出る…
大久保検事:何かの力で言い当てたと思ったか
証人D:はい
大久保検事:今、考えるとそう思うか
証人D:思いません。カウンセリングの前に実家の家系図、間取り図を提出した
大久保検事:それはスタッフから提出するよう言われたのか
証人D:はい。カウンセリングの1週間前に提出した
大久保検事:仕事の相談第一だったので家系図のこと念頭になかったということだね
証人D:はい
大久保検事:提出した書面を見れば分かるようなことだったが、すごい能力を持っていると思ったのだね
証人D:はい
・お浄めの金額、行った日、なぜその頃なのかの確認
証人D:105万。平成18年4月1日。自分の誕生日が4月なのでそれまでに済ませたいと思った。6日に会社設立を予定していたので誕生日を迎える前に心機一転したいと思った
(7)次なる問題と天野先生のヒーリング
【主な質問内容】
・子宮筋腫に関する確認
・天野先生のヒーリングを受けた際の確認
大久保検事:サロンを知った頃からお浄めした頃の問題点といえば仕事のことだったよね。独立して解決したかと思ったら、さておいた問題が出たのでは?
証人D:持病の子宮筋腫の手術をしたが、心配は持っていた。手術で解決せず、様子をみていた。貧血や腹痛があった
大久保検事:薬での治療を試みたことは?
証人D:平成17年春から夏にかけて、筋腫が大きくならないようにする薬を飲んでいた
大久保検事:副作用は?
証人D:マイナス思考になった
証人D:手術して全摘の方法は、同じところを切るのと2回目は負担が大きいと聞いていたのでしたくないと思っていた
大久保検事:病院には行っていたのか
証人D:平成18年5月20日。しばらくぶりに行った。診断結果があまりよくなかった。薬物治療を止めていたので筋腫が大きくなっていた。自分にとって深刻な問題だった
大久保検事:通院した翌日、天野先生のヒーリングを受けたね
証人D:はい。病気について天野先生に打ち明けたら、ヒーリングしていた手を下腹部に向けて、「子供の頃から薬を飲んでいた毒素が解毒作用を弱まらせ、筋腫を作っている」と言われ、ドキッとした。実母が医者だったので薬を飲み続けていたため、言い当てられたと思った
大久保検事:事前に出した書面に母親のことは書いていたか
証人D:はい
大久保検事:そのとき天野先生は何をしていたか
証人D:下腹部に向けた手を半開したり、ボールを握るような、何かに触るような動きをした。何かを感じ取っているのだと思った
⇒史利被告はA4の紙びっしりになるほどメモをしており、隣の刑務官がその様子を見ていた
証人D:手術をしたくないと言うと御祈願を勧められた。子宮筋腫が良くなる、縮小されると言われた
大久保検事:そのときの天野先生の様子は?
証人D:厳かな感じでひとことずつ区切ってはっきりと言っていた
大久保検事:どうなると思った?
証人D:良くなる、治ると思った
大久保検事:金額は?
証人D:聞いたが答えてもらえなかった。しばらくして従業員Cのカウンセリングを受けてそこで聞くよう言われた
大久保検事:従業員Cという人について何か聞いたことは?
証人D:腸が解ける病気がサロンに来るようになって治ったと聞いた
大久保検事:誰から?
証人D:本人から
大久保検事:従業員Cについて特別な能力があると認識していたか
証人D:はい
(8)従業員Cのカウンセリング
【主な質問内容】
・カウンセリング内容の確認
・御祈願をすると決めた経緯、証人の心情の確認
大久保検事:従業員Cのカウンセリングは、どれくらい後に受けたか。場所は?
証人D:5月24日。Vタワー31階
⇒甲?号証添付資料1をモニターに映し、提示資料を確認。
佐野被告は顔を上げ、モニターを見る。史利被告はモニターを見ようとせず、口に手を 当ててみたり、書いたメモを見て何か書き加えたりしている。自分の考えに没頭してい るようだ
大久保検事:資料下の文言“特別御祈願100万 5/29 @永田町”と書いてあるものは?
証人D:私が書いたものではありません
大久保検事:従業員Cのカウンセリングに入り、金額を確定してもらったのだね
証人D:はい
⇒ここで大久保検事のリズムが少し乱れ、質問内容を撤回すると述べる場面があったが、 その際、史利被告が顔を上げ、検事を見る
証人D:御祈願がいくらか聞くと100万円と言われた
大久保検事:あなたの様子を見るような動作はなかったか
証人D:あった。天野先生のように目をつぶってしばらく黙って、「重いですね」と言われた。その後に100万と言われた
大久保検事:原因は聞かされなかったか
証人D:聞いた。「腎臓と肝臓の解毒作用が悪くなり、重いですね。手術は体に良くない。麻酔を体に入れることは良くない」と言われた
⇒史利被告、顔に触るしぐさあり。まるで、スタッフに責任転嫁することでも考えているかのように見えた。その後、またメモを取る
大久保検事:御祈願したら治ると言われたか
証人D:私が聞いた
大久保検事:その前に聞いたことがあるか
証人D:忘れた。天野先生からは「筋腫が小さくなる、良くなる。自分が思っているような状態になる」と言われた
大久保検事:従業員Cからは?
証人D:「御祈願すると毒素が体から出る」と言われた
大久保検事:御祈願した後、薬を使う必要があるか言われなかったか
証人D:・・・(メモとれず)
大久保検事:すぐに金額を言われたのか
証人D:すぐではない
⇒この後、質問に対する解釈に食い違いがあり、少々、流れが止まる。
大久保検事が「ちょっと混乱していますね」と証人に声をかけると、史利被告は検事を 見る
大久保検事:従業員Cからは御祈願を勧められたか
証人D:「手術しなくて済む、薬を体に入れなくて済む。筋腫が小さくなる、良くなる、消滅させましょう」と言われた
大久保検事:どう思ったか
証人D:天野先生からも同じようなことを言われ、それしかないのかなと思った
証人D:その後、金額について言われ、高くないかと聞いたら、「金額の問題ではない。このままだと会社を立ち上げたのに休まなければならなくなる」などと言われた
証人D:「100万が払えなければ、50万支払い、20人を連れてくるように」と言われ、御祈願以外に方法がないのか聞いたら、「御祈願するしかないですね」と言われた
大久保検事:あなたが100万を選んだ理由は?
証人D:人に話すのが苦手なので…
大久保検事:100万は容易だったか
証人D:いいえ。簡保から貸し入れした
大久保検事:御祈願するとどうなると思ったか
証人D:筋腫が溶けて出て行くと思った
(9)教会長による御祈願
【主な質問内容】
・御祈願を行った日・場所・人・内容の確認
証人D:平成18年5月29日。Vタワー37階
⇒甲18号証添付資料2をモニターに映し、提示資料を確認。
御祈願のときに書く祈願文が映し出される。
佐野被告、史利被告、モニターの方を見る
大久保検事:左下に100万と書いてあるが、あなたが書いたのか
証人D:いいえ
大久保検事:御祈願を行ったのは誰か?
証人D:橘教会長
大久保検事:どういう人か聞いたことはあるか
証人D:すごい先生と聞いていた
大久保検事:地位は?
証人D:めったに会えない方
大久保検事:天野先生との上下関係は?
証人D:天野先生より立場が上だと聞いていた
証人D:金額が高いので上の先生がやるのかと思った
大久保検事:祝詞を読み上げた後の教会長は何か言ったか
証人D:「おめでとうございます。今、浮きましたね」と言われた。どういう意味か分からなかった。「7人の神様が出てきて皆がバックアップしてくれる」と言われた
大久保検事:そのときの教会長の様子は?
証人D:明るく、ちょっと興奮状態だった
証人D:御祈願が成功したと思った
大久保検事:他にこういうことをするようにと条件をつけられなかったか
証人D:ヒーリングを受け続けるように言われた
大久保検事:あなたは他に特別な水も飲んでいたよね
証人D:はい。筋腫が溶けて体から出て行くと思って…
(10)パーティーの開催
【主な質問内容】
・会主からの指示の確認
・教会長、天野先生から言われた内容の確認
・パーティー開催に関する証人の取り組みや心情の確認
大久保検事:佐野被告に会ったことはあるか
証人D:ある。特別ヒーリングを受けた
大久保検事:そのとき、何か言われたか
証人D:「あなたの先祖は神様に御仕えしていた人です。あなたの代でもう一度、仕えるようにパーティーを開きなさい」と言われた。
大久保検事:どこで?
証人D:永田町の部屋
証人D:週に30人くらい集めるよう言われた。知人やサロンに通っていない人
大久保検事:サロンを広めるようにだね?
証人D:はい
証人D:ひとりでやるのか聞いたら、サロンを紹介した友人とやるよう言われた
証人D:最初はできないと思った。人を集めるのが苦痛だと思って橘教会長に相談した。「すごい役を頂いた、喜ばしいことだ」と言われ、開くことにした
⇒史利被告、少し顔に触る。パーティーのことを思い出しているのか?
証人D:買出し、料理などを自分がし、人を集めるのは友人がした。皆が団欒しているときに天野先生が登場という進行を考えた。手順の了解は主にH先生
証人D:パーティーを開くことは苦痛だった。頑張って開いた。やめたいと天野先生に相談したら、「嫌々やったらだめじゃないですか。パーティーの開催をやめたら、元の状態戻ります」と言われた
大久保検事:元の状態とは?
証人D:悩みがある、体調が悪い状態
(11)サロンへの疑念、やめた経緯
【主な質問内容】
・サロンへ疑念を抱いた出来事、時期、証人の心情の確認
・サロンへ通うのをやめたきっかけ、時期、証人の心情の確認
大久保検事:サロンに疑念を抱くことがなかったか
証人D:大祭に出たとき。平成18年9月3日。すごい人数が集まり、馴染みのないサロン名があった。頭を皆で下げていることが宗教的イメージがあり、おかしいと思った
大久保検事:誰かにそれを伝えたか
証人D:天野先生に伝えたら、「宗教ではない」と言われた
⇒史利被告、机に前のめりになってメモを取る
大久保検事:それであなたはすぐやめたのか
証人D:やめたら転がり落ちる、今まで払ってきたものが無駄になると思ってすぐにはやめなかった。予定していたパーティーがまだ残っていたこともあり、不信感は大きくなっていったがすぐにはやめられなかった
証人D:不安定になり、体に症状が出た。手の震え、不眠など
大久保検事:医師の診断は?
証人D:うつ状態だと言われた。もう(サロンには)戻りたくない、自分がダメになると思って離れた。持病の診察を受けたら、筋腫が変わりなかった。良くなっていなかった。平成18年10月半ばくらい。騙されたと思った
11時28分頃、午前の部終了
●午後の部
予定の13時15分を少し過ぎて開廷。
●市河弁護人による反対尋問(要約)
・サロンに通い始めた日と最後の日の日付を確認
・友人に誘われ、一緒に通っていたことの確認
・初めて行ったサロンの名前の確認
・初めて受けたのはヒーリングでよいか、値段の確認
証人D:回数券を勧められた。5枚綴りで7,500円。初回は10分
市河弁護人:効果を感じなかったと言っていたが、ヒーリングを継続したのか
証人D:はい
市河弁護人:効果を感じられるようになったか
証人D:2回目以降、発疹が出て…
市河弁護人:それ以外で効果感じたことは?
証人D:特になかった
市河弁護人:カウンセリングは受けたいと思ったか
証人D:・・・
市河弁護人:友人から具体的にどう説明を受けたか
証人D:自分の体験談を聞いた
市河弁護人:どういう?
証人D:仕事の業績が伸び悩んでいたが、カウンセリングを受けて業績が伸びた
市河弁護人:最初の悩み事は会社の人間関係ということだったが、子宮筋腫の悩みを相談しようと思わなかったのか
証人D:会社の人間関係の方が大変だった。持病の方は薬で保留状態だったので検診に通って様子をみていた
市河弁護人:病院にはどれくらい通っていたのか
証人D:3,4ヶ月に1回
市河弁護人:ヒーリング受けてから検診に行ったのはいつか
証人D:夏
市河弁護人:サロンに通うのをやめるまで病院には何回行ったか
証人D:5月21日、1回のみ
市河弁護人:その間、体調は悪くならなかったのか
証人D:生理痛は昔からなので…
市河弁護人:薬は服用していたか
証人D:服用期間が決められた薬だったので、普段の生活には必要なかった。最後に飲んだのは8月
市河弁護人:それ以降、どうして飲まなかったのか
証人D:必要なかったので。半年あけてまた飲む薬
市河弁護人:病院に行かなかった理由は?
証人D:?(聞き取れず)が特に際立って感じなかった
市河弁護人:平成17年11月13日、最初のカウンセリングはK山先生でよろしい?
証人D:はい
市河弁護人:相談内容を事前に提出したのか
証人D:はい
市河弁護人:中身はどういうもの?
証人D:仕事に関すること
市河弁護人:会社独立のアドバイスを受けたのか
証人D:はい
市河弁護人:御祈願するよう言われたか
証人D:・・・
市河弁護人:ここで初めて聞いたのか
証人D:・・・
市河弁護人:なりたいような自分になれますよと言われたのか
証人D:言われた
市河弁護人:10万で御祈願するように言われて、どういうことをすればいいか聞かなかったのか
証人D:後からスタッフに聞いた。祈願文を書いてお金を払うという内容だった
市河弁護人:それで、御祈願をすると決心したのか
証人D:はい
市河弁護人:御祈願をしたのか
証人D:はい
市河弁護人:決めてからどれくらいで御祈願をしたのか
証人D:1週間以内だったと思う
市河弁護人:金額は?
証人D:10万
市河弁護人:御祈願文には何と書いたか
証人D:独立するにあたってうまく誘導してもらえますように
市河弁護人:御祈願の際、あなたは具体的に何をしたか。お祈りをしたのか
証人D:頭を下げ、スタッフの指示に従った。祈願文と一緒にお金を上げた
市河弁護人:お金はどこへ上げたのか。台はあったか
証人D:台の上に上げた
市河弁護人:他に掛け軸や額はなかったか
証人D:台の上に額があった
市河弁護人:お金をお上げしてどういうことをしたか
証人D:頭を下げた
市河弁護人:祝詞は上げなかったか
証人D:上げなかったと思う
⇒史利被告、証人の方を見て含み笑いをする
市河弁護人:その後、ヒーリングを受け続けたということでよいか
証人D:はい
市河弁護人:発疹が出た以外に何か変化があったか
証人D:具体的に口に出して言うほどのことはなかった
市河弁護人:では、どうして受け続けたのか
証人D:会社設立をしようと思っていたので、何かしら影響を受けられると思ったから
市河弁護人:友人からはどんな変化があったと聞いたか(というような質問)
証人D:子供の家庭内暴力が落ち着いた、アドバイスを受けていると聞いた
市河弁護人:カウンセリング、御祈願と続けて、御礼をしたか
証人D:スタッフに言われてするようになった
市河弁護人:御礼とは?
証人D:自分の気持ちと一緒にお金を入れてお上げする
市河弁護人:いいことがあったか
証人D:事務所を立ち上げて間が良くなった。つながったのかなと思った
市河弁護人:最後に御礼を上げたのは?
証人D:平成18年9月半ばまでくらいだったと思う
市河弁護人:平成21年7月20日に警察の事情聴取を受けて、サロンに通っていたときの支払い表を見せられ、記憶喚起したと思うが、これを見れば思い出せるか?
⇒弁?号証添付資料をモニターに映し、提示資料を確認。
史利被告、モニターに目を向けず、頬杖をついている
市河弁護人:平成17年11月5日、初回ヒーリング1,500円と書いてある
証人D:はい
最後は平成18年9月18日、御礼。これが最後で間違いはないか
証人D:はい
市河弁護人:何かいいことがあったから御礼をしたのではないのか
証人D:いいことがあったとかないとかではなく、苦痛だったパーティーが無事に終わったことへの御礼。苦痛を負わされていたこと、やり遂げることへの責任感などから開放され、無事終わったことに対する御礼
市河弁護人:もう1回初回ヒーリングに戻りますが…
⇒ヒーリングやカウンセリングの鑑定料をくどくど確認する。
その後も細かい質問が続く
・カウンセリングの際、事前に見取り図、家系図を提出していたのか
・コピーなど控えはとっていたか
・警察の聴取のときに見せられたのか
・見取り図は昔のと現在のとふたつあるのか。井戸や池が描いてあったのか
・家系図には、両親、先祖とか書いてあったか。職業も書いてあったのか
証人D:スタッフから細かく書くように言われていた
市河弁護人:母親の職業は何と書いたのか
証人D:医者です
市河弁護人:カウンセリングのとき、その図を机の上に置いて話していたか
証人D:自分が座っていたところからは見えなかった
市河弁護人:どういう位置だったか
証人D:ふたつ机があって高さが違った。こちらからは何も見えない
市河弁護人:天野先生との間は、何か遮るようなものがあったか
証人D:・・・
・耳鳴りのことは尋ねたか
・霊によるものと天野先生は答えたか
・霊とは何か聞かなかったのか
証人D:どういうことか聞いた。祖母が今もここにいると言われた
⇒史利被告、首を振る
証人D:家系図に死亡年月日も書くよう言われた
市河弁護人:お浄めとは?
証人D:霊を浄めること
市河弁護人:霊のお迎えとは?
証人D:成仏できていない霊をお墓に連れて行くこと
⇒しばらく、お浄めなどのやりとりが続く。お浄めには何かがないといった返答を証人がした際に史利被告、首を振る
証人D:お浄めをやるかどうかは即決しなかった
市河弁護人:誰かに相談したか
証人D:兄に相談した
市河弁護人:何と言われたか
証人D:騙されているんじゃないのかと言われ、事情を説明した。金額が100万と言ったら反対した
市河弁護人:それでもなぜやったのか
証人D:しないと、父親のアルツハイマーの影響が兄の首から上に出てくると言われたので…
市河弁護人:天野先生が来てやったのか
証人D:はい
市河弁護人:池、井戸、お墓か
証人D:あと、お稲荷さんです
市河弁護人:池のお浄めで用意したものは?どんなことをしたのか
⇒史利被告、メモを取る
証人D:バケツに水を溜め、蛇の霊を入れ、うずらの卵を流して…
市河弁護人:天野先生の祝詞と儀式的行為があったか
証人D:・・・
証人D:午後から天野先生が来た
市河弁護人:午前中は?
証人D::Nさんという男性が対応した
市河弁護人:その方は先生?
証人D:いえ、スタッフ
市河弁護人:その人は何かしたのか
証人D:池と井戸のお浄めをした。お稲荷さん、霊のお迎えは天野先生
市河弁護人:霊のお迎えはどういうことをするのか
証人D:白い菊の花を上げて、霊を乗り移らせ、お墓まで運ぶ儀式
市河弁護人:時間はどれくらいかかるのか
証人D:1時間くらい。お墓までの距離による
市河弁護人:お浄め、霊のお迎えについて御礼はしているか
証人D:はい
市河弁護人:それはいいことがあったからなのか
証人D:いえ。習慣的にスタッフからするといいと言われていた
市河弁護人:いいこと起きなくてもやったのか
証人D:何かこじつけてやるようになった
市河弁護人:平成18年5月、天野先生のカウンセリングのときに筋腫の話はしたのか
証人D:カウンセリングでなく、ヒーリングのときです
市河弁護人:天野先生が実際に言った言葉を端的に述べて下さい
証人D:「腎臓と肝臓が子供の頃から飲んでいる薬のせいで毒素になっていますね。大きいですね。どうしますか。御祈願して下さい」と言われた
市河弁護人:御祈願するとどうなると言われたか
証人D:筋腫が小さくなる、消滅する
市河弁護人:御祈願は誰に対してすると思ったか
証人D:御祈願をする先生に対して
市河弁護人:神書に神様と出てきたが?
証人D:自分の意識では神様なのか天野先生なのか分からない
市河弁護人:神書は購入したか
証人D:はい
市河弁護人:いつ?
証人D:お浄めの前に
市河弁護人:携帯版か?
証人D:はい
市河弁護人:読んだか?
証人D:読んだが頭に入ってこない。神書の会に参加するように言われて何回か出席した
市河弁護人:神書の会とはどういうものか
証人D:神書を分かりやすいよう説明する。ホワイトボードを使ったり、天野先生の体験談を話したりする
市河弁護人:神様、御霊光という言葉は出てきたか
証人D:はい
市河弁護人:お浄めのときに神様という言葉を聞いたか
証人D:・・・
市河弁護人:神様との取引とは何か聞いたか
証人D:はい。神書を買う前は、神様と取引できる会社、買った後は、天秤の法則で神様によくしてもらったらお金を支払うといったようなもの
市河弁護人:お浄めのとき、天秤の法則を知っていたか。天秤の法則とは?
証人D:願いに対する対価
市河弁護人:100万を天秤の法則で説明できるか
証人D:釣り合い取れていない、高いと思った
市河弁護人:釣り合い取れていないと思ったのになぜやったのか
証人D:追い詰められたから。それしかないという状況だった
⇒この一連のやりとりの際、史利被告は証人の方をじっと見ている
市河弁護人:御祈願をする決心をしたのは?
証人D:手術か薬か御祈願しかなかった
・天野先生は御祈願の金額を言わなかったのか
・従業員Cのカウンセリングで聞くよう言われたのか
・相談内容を事前に提出したか。その際、経歴を細かく記載したか
・従業員Cのカウンセリングでは、まず金額が出たのか、体に関する話が出たのか、何を言われたか。解毒作用が弱くなっていると言われたか
⇒主尋問と同じような質問を繰り返す
証人D:先程は混乱していました。「消滅させましょう」と言ったのは天野先生でした
⇒史利被告、証人をじっと見る
・御祈願はそこから1週間後くらいか
・誰かに相談したか
・平成18年5月29日、御祈願をしたのは教会長か
・教会長とはそのとき初めて会ったのか
⇒明細書を見て場所が分かればいつ初めて会ったか分かるとのことでモニターに明細書を映す。このとき、嘉子被告が初めてしっかり顔を横に向け、モニターを見る。痩せこけて生気がないように見えた。眼鏡をかけていることに初めて気づいた。
この後、Vタワーで教会長と話をしたときの部屋の様子や話の内容などのやりとりがあり、教会長から言葉を頂いて歓喜した際の御礼に関する確認、その他明細書にある低額の祈願までも確認を続ける。焦点がどんどんずれていき、法廷の緊張感が薄らいでいく
・パーティーに関しても主尋問で確認されたことを再度繰り返し、質問する
市河弁護人:友人をパーティーに誘ったということだが、他に勧誘行為をしたことは?
証人D:ないです
⇒史利被告、不満気で何か言いたげな表情をする
市河弁護人:山梨に行ったことあるか。誰が行こうと誘ったのか
証人D:友人が山梨に縁があったので一緒に行ったという趣旨の返答
市河弁護人:それは佐野会主から言われたことか
証人D:いえ
市河弁護人:大祭以外の祭典、山梨の祭典に参加したことがあるのか
証人D:はい
⇒祭典の金額、神真意願いや光魂祈願祭、感謝祭、天宮祭、大祭の前夜祭・講習会などについて再度、モニターを使ってひとつひとつ確認していくやりとりが続く
市河弁護人:平成18年10月に病院に行かれた?体の具合が悪かったのか
証人D:サロンを去った後、筋腫の状況を確認しに行った
市河弁護人:じゃあ、やめた後か
証人D:はい
市河弁護人:1年間、手術を伸ばしていた理由は?
証人D:生活の安定が優先。サロンに多額のお金を支払っていたことと精神安定するまでと思った
市河弁護人:薬は使い始めたのか
証人D:お腹に注射になった
市河弁護人:副作用は起きなかったか
証人D:はい。会社の忙しさ、人間関係のよさで紛れた
市河弁護人:産婦人科(婦人科が正しいが)に行ってはいけないと天野先生から言われたか
証人D:そのときは言っていない
●尾崎弁護人による反対尋問(要約)
尾崎弁護人:平成18年1月29日、天野先生と最初に会ったのはカウンセリングかヒーリングか。特定できる根拠はあるのか
証人D:・・・
尾崎弁護人:民事も起こしているが、損害一覧表には1月29日のカウンセリング書いたか
証人D:はい、書いたと思います
尾崎弁護人:載っていない。後で確かめて下さい
証人D:はい
尾崎弁護人:見取り図、家系図をその場では見ていなかったととれる証言だったか
証人D:そう証言した覚えはない。見てるかどうかは分からない
尾崎弁護人:家系図見ながらやったと警察に言ったか
証人D:・・・
尾崎弁護人:今の記憶は?
証人D:見ていたと察せられる
尾崎弁護人:撤回ということになるか
証人D:いえ
尾崎弁護人:池、お墓、祖母の話は天野先生が自分で考えた話か、神様からのメッセージとしてとらえたか
証人D:天野先生の言葉として捉えた
尾崎弁護人:検察にはどう説明したのか。検事調書では神様のメッセージで受けたと書いてあるが?
証人D:そういう説明を受けたということ
尾崎弁護人:△#□%×・・・
大久保検事:何をですか?
■裁判長:あの、それは、天野先生がどう言ったのかということと、証人がどう取ったかは違うから
証人D:…お稲荷さんのことを言われ、見えているのかなと思った。そういう疑問はずっと続いていた
⇒裁判長、頷く
■裁判長:どういうふうに聞いた?
証人D:見えるんですかと聞いた。感じるとか…
尾崎弁護人:他のスタッフからどう説明を受けたか
証人D:何でも言い当てることができるすごい先生。神様からの伝言を…
証人D:祖母が亡くなった階段の場所がはっきりせず、兄とふたりでここらへんと思っていたところから1,2m離れた所を「ここだ」と言い当てて気持ち悪くなった
尾崎弁護人:感じるとは神様をか?
証人D:霊を感じるという意味
尾崎弁護人:筋腫のことは5月21日、天野先生のヒーリングのときに初めて話したのか
証人D:そうです
尾崎弁護人:そのとき、天野先生は知っていたような感じだったか
証人D:まぁ、初耳という感じ
尾崎弁護人:誰が筋腫を消滅させてくれると思ったか
証人D:言葉を発した天野先生がしてくれると思った
尾崎弁護人:神様ではなくて?
証人D:天野先生と神様の関係性は分からない。商品として売っている会社と言われていたので、そうだと思っていた
尾崎弁護人:実際に直すのは神様と思っていなかったか
証人D:よくなるという言葉を信じるしかなかった。言葉を発する天野先生を信じた
⇒神様を強調、「神様を信じていた」と言わせたい弁護人のしつこさに、法廷内は”見えないため息”で溢れ、嫌気がさした
■裁判長:もう繰り返しになるからおやめ下さい
⇒裁判長から制止されたにも係わらず、尾崎弁護人は同じような尋問を続ける・・・
尾崎弁護人:筋腫を溶かして体から出すというということをしてくれるのは誰か
証人D:橘先生
尾崎弁護人:神様ではなくて?
証人D:それは本人に聞いてもらえば分かると思うが?私は橘先生を信じた
尾崎弁護人:パーティーの買出し費用はどうしたのか
証人D:サロンで頂いた。領収書をつけて報告した
尾崎弁護人:では、金銭的な負担はなかったのか
証人D:タッパーとかは自分で購入した
尾崎弁護人:池や井戸のお浄めは平成18年4月1日に100万を払ったというわけか。3月31日に合計105万とあるが?
証人D:払ってからでないとお浄めしてもらえないので前日に支払った
尾崎弁護人:刑事では105万になっていないが?
証人D:池の分を入れていない
尾崎弁護人:今の考えは詐欺となると思うか
証人D:はい
尾崎弁護人:会社独立してうれしかったと言っているが、そのときはそういう気持ちだったのか
証人D:はい
尾崎弁護人:サロンに来る客に話すよう言われたか
証人D:はい。スタッフからも天野先生からも言われた
尾崎弁護人:症例にされていたということか
証人D:はい
●大久保検事による再主尋問(要約)
大久保検事:ヒーリングの途中で天野先生に病院に行ってはいけないと言われてはいないという証言だったが、「どうされたいか」と言われて「手術はしたくない」と答えていたね。それに対し、天野先生から何か言われなかったか
証人D:手術は体に良くない、麻酔を体に入れるのは良くないと言われた
大久保検事:それで御祈願をしたということだね
証人D:はい
大久保検事:家系図見ていると察するというのは今になってあんなに当てられたのは…ということか。他に何かあったか。目の動きとか
証人D:見てたかどうか分からないが、見ていたと察するという感じ。ずっと観察していた訳ではないので分からない
●市河弁護人による再尋問(要約)
市河弁護人:筋腫の話だが、病院に行ってはいけないとは言っていない、手術はしたくないと言ったことに対して手術は良くないという評価をしたということか
証人D:・・・
市河弁護人:絶対、手術はしたくないと言ったのか
証人D:言っていない
市河弁護人:1回手術したことがあると言ったことはあるか
証人D:ある
証人D:手術はしたくないとはっきりは言った
●裁判長による尋問
■裁判長:橘先生は天野先生より立場上、上と思ったのはなぜか
証人D:スタッフから言われた
■裁判長:あなた自身はどう思ったか
証人D:受ける場所が違うので、立場が上かと思った
■裁判長:ヒーリングのやり方で違いを感じたか
証人D:天野先生は目をつむってじっとしていた。目を開けるときもあった。橘先生はにこやかに話しかけてくる
■裁判長:佐野会主に会った機会は?
証人D:リュミエールの神真意願いの後、今日は特別な人が来ていると言われ、呼ばれた。そのときに会った
■裁判長:一般の客は会えるのか
証人D:会えないと聞いていた
■裁判長:ヒーリングを受けたことはあるか
証人D:ある
証人D退室
20分ほど休憩した後、被害者2名についての医師の供述調書朗読(?)と、訴因変更にともなう罪状認否と検察側冒頭陳述が行われる
裁判長が41号証、47号証について意見を問う。
処分取り下げ。弁1(?)号証、7号証、同意。取調べ次回。
医者の供述調書弁20、2?、25号証
●大久保検事による医師の供述調書朗読(要約)
20号証。証人Dの子宮筋腫の原因、手かざしで治癒するとは医学的根拠なし。30年以上医師として働いてきたが、全くそんなことは聞いたことがない。
2?号証。同じく証人Dの抑うつ状態について、怪しい宗教にお金を払い込んでいることが憶測された。サロンに通うのをやめた後、サロンの悩みを抱えていたことが分かる
25号証。証人Eに関して、「子宮が冷える」という表現はあり得ない。特定の臓器だけ冷えることはあり得ない。子宮の壁の厚みの差があることによる痛みではない。証人Eの子宮の壁の厚みは均一であり、生理痛の原因とは関係ない。子宮が気圧の影響を受けることはない
●その他
従業員Cを証人採用。次回、取調べるということにします。
*もう一名名前が挙がったが誰のことか分からず。
詐欺罪から組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪への訴因変更にともなう罪状認否及び冒頭陳述
■裁判長:検察官からの10月5日付訴因変更請求について、弁護人、ご意見は?
市河弁護人:然るべく(「特に異議はありません」の意味と思われる)
起訴状朗読
大久保検事:佐野孝はえんとらんす統括、淺原史利・嘉子はえんとらんす代表、神霊鑑定師と称し、斉藤亨の指揮に基づいて、共謀の上、勧誘・鑑定・祈願料搾取・・・。
罪名及び罰条。組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)。刑法第・・・
■裁判長:被告人3人前へ。詐欺という罪名から「組織的詐欺」として審議を受けることになります。
罪状認否
佐野孝被告:保留にします
淺原史利被告:証拠(記録?)を見ていないので保留にします
淺原嘉子被告:保留にします
冒頭陳述(要約)
大久保検事より、訴因変更による追加の冒頭陳述が行われた。
売上上納金の増加、千手観音教会時代から近年に及ぶ死亡事案の数々、これらの事実を隠蔽して多額の売り上げにつながることから鑑定を中心とし、組織を拡大させてきたことを述べた。神霊能力に関しては、「長年の修行によって佐野孝被告は鑑定ができに至った」から始まり、「突然授かる」と変えた後、「講座を受講すれば授かる」と変成している。杉本被告に関しては平成15年に「講座受講にて神霊能力を授かった」としている。斉藤亨の指揮の下、傘下会社と共謀し、悩みが確実に解決する機関と誤信させ、犯行に至った、という趣旨のことを述べた
■裁判長:証拠請求(確認?)について弁護人、ご意見は?
市河弁護人:まだ検討できていないので留保します
■裁判長:では次回までに。次回は12月8日(木)、10時から
15:43頃、終了
4、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第4回公判
(以下の第4回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)
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3被告が起訴事実を認めたことを報じた 毎日新聞(2011.12.9) |
1 日時:平成23年12月8日(木)午前10時〜午後3時45分頃
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子
6 内容1:従業員C の証人尋問(午前主尋問、午後反対尋問)
内容2:訴因変更に関する罪状認否
本日は、被害者D、被害者Eのカウンセリングを担当した従業員Cへの証人尋問が行われた。主に、平成23年6月20日付け公訴事実の以下に関することと、組織的詐欺に関する証言を求められた。
<平成23年6月20日付け公訴事実の該当部分>
1、被告人・史利は、当時アカサカの神霊鑑定師であった従業員Cのカウンセリングを受けて祈願の金額を教えてもらうよう被害者に指示し、被害者は従業員Cのカウンセリングを申し込んだ。
2、被告人・史利は、従業員Cに対して被害者からの相談の経緯、自らが被害者の病気を原因として話した内容を伝えるとともに、高額の祈願を担当する被告人・嘉子による祈願に誘導するよう指示した。
3、同月24日頃、従業員Cは品川Vタワーのサロンにおいてカウンセリングと称して被害者に面談し、被告人・史利の指示に基づき、Dに対し公訴事実記載の通り、「子宮筋腫は薬の毒素が原因であり、祈願をすれば手術を受けたり薬物治療を受けたりしなくて済む」等と言うなどとした上、「祈願の代金として100万円です。それが無理ならば御祈願50万円を提出しなさい」と言うなどした。その結果、被害者は祈願を受ければ手術や薬物治療を受けずに子宮筋腫は完治するものと誤信し、100万円を支払って祈願を受けることにした。
4、同月29日頃、被告人・嘉子らは、永田町プルデンシャルタワーレジデンスのサロンにおいて、祈願名目で被害者から100万円を受領し、被告人・嘉子が、「特別祈願」と称して祝詞を読み上げるなどした。
法廷の様子
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横浜地裁西口の銘板 |
検察側は大久保・吉野検事。被告弁護人は、市河・尾崎・高池弁護士の3名で、”弁護人ご一行様”の数が、以前よりかなり縮小されていた。
被告3名の並びもこれまでと同じで、刑務官に囲まれて座っている姿は、やはり物々しい。佐野は黒のジャケット、嘉子はグレーのジャケット、汗かきの史利は白シャツ。ジャケットを着ていても、ブランド物で装っていた頃とは全く違う、よれよれ感と悲壮感が滲み出ていた。拘置所暮らしはやはり相当こたえるのだろう。神様とつながっているようにはとても見えない。負けず嫌いの史利だけは、“天野先生”の顔を保ってはいた。3名とも無造作に伸びきった髪で、佐野は髪にベッタリ感があり余計にそう見えるのか、髪の量が薄くなっていた。入浴日がまだなのだろう。嘉子は横の髪を後ろに結っていたが、白髪がかなり増えていた。史利は体質的なものだと思うが、髪の毛が真っ黒で、くりんくりん感が増え、自分でもうざったいのか、何度か髪を触る場面があった。反省しているふりをするなら、坊主にしてみろと言いたかった。
今回は105人が傍聴券抽選に並び、うち2名が辞退で103名の抽選となった。よほど今日の証人が何を言うか気になったのか、えんとらんすアカサカ以外の逮捕を逃れた重要人物たちがこぞって傍聴していた。これまでも来ていて、こちら側が気づかなかっただけかもしれないが、それもまた、御霊光の偽りを物語っていることになる。御霊光による輝きなど持ち合わせることもなく、持っているのは俗物的なブランド物がいいところである。
●午前の部
予定の10時を少し過ぎて開廷。証人が入廷し、宣誓を述べた後、検察官による尋問が開始される。
●吉野検事による主尋問(要約)
(1)被害者Dのカウンセリングに関わった経緯
【主な質問内容】
・証人がカウンセリングを担当する前から被害者Dと面識があったかどうか
・史利被告から証人へどのような指示があったのか
・自身の神霊能力について
・ミーティングでの指示内容について
・カウンセリングを行うための指導について
・カウンセリング時の発言・心情、被害者Dの反応などの様子について
・神霊能力を授かったとされる経緯、指導内容について
証人C:Dさんのことは見たことはあったが、何度も接客しなかった
吉野検事:カウンセリングの担当を天野先生(=史利被告)から指示されたのは、カウンセリングの日を基準としてどれくらい前か
証人C:2、3日前
吉野検事:どのように?
証人C:電話で「Dさんのことをご存知ですよね?子宮筋腫のことを知っている?」と聞かれ、「知っている」と答えた。今日、取次ぎに入ったが、筋腫が大きくなってると言っていた
⇒史利被告、メモを取り始める
吉野検事:それで?
証人C:「私(天野)からもDさんには御祈願を勧めましたから。本人は悩んでいて手術したくないって言ってる。・・・いいですか?私があなたのカウンセリングをとったんですからね」と、天野先生は「私があなたの予約を入れた」と強調した。「しっかり出すように。Dさんは相当重たいから大変だからね。御祈願を教会長にしてもらえるといいですね。筋腫の原因は、薬の毒素です」
吉野検事:なぜそう言える?
証人C:「子供のころから薬を飲んでいるので完全に薬毒です。腎臓と肝臓が毒素でいっぱいになって子宮に筋腫を作ってる。」と言っていた
⇒史利被告、ときどき証人と検事の方をチラッと見ながら、証言を聞いている
吉野検事:証人が行ったカウンセリングは、御祈願の代金を神霊に聞いてお客さんに伝えるというものですね。証人は神霊能力があるとされていたか?
証人C:はい
吉野検事:備わっている実感は?
証人C:なかった
吉野検事:Dさんに伝えた見込み額は?
証人C:100万
吉野検事:なぜ?
証人C:教会長(=嘉子被告)の御祈願をするといいと言われたので。少し前に佐野から「これから教会長の御祈願は100万と言うんですよ」と言われていた
吉野検事:何か書きとめていたか
証人C:はい
⇒甲39号証。同一性の確認、記憶喚起としてノートをモニターに提示。
佐野被告は目をやるが、史利被告と嘉子被告は見ようとせず
吉野検事:このメモはどのような場所で書かれたものか
証人C:週に3、4回、品川サロンで行われていたミーティングでのもの
吉野検事:そのミーティングには誰が参加していたか
証人C:時期によって違う。平成17年春以降、佐野、りら、KR山、天野。平成17年12月以降、橘(=嘉子被告)、平成18年春からKR山が外れた(注・”KR山”とは、えんとらんすわーるどヒルズ代表のKR山E子のことである)
吉野検事:従業員数からみると限られた人数ですが?
証人C:はい。指示を私も従業員に伝えた
吉野検事:このピラミッドの図の意味は?
証人C:このピラミッドはえんとらんすです。
証人C:(佐野から)「このピラミッドの更に上にいるのはもちろん私(会主)ですが…。これからは、教会長を頂点として、Vタワーを教会長と従業員Cがやる。リュミエールを天野先生、従業員M井、北青山は入口サロン、H向先生が担当、上へつないでいくように。『教会長というすごい人がいるんですよ』と客に伝え、教会長に入るよう勧めるように」と指示があった。
⇒このほか、100万以上の御祈願は教会長が行う。30万以上は永田町で行う等、書かれた内容の確認が行われる
吉野検事:天野先生の発言は、佐野の指示を言っていると思った?
証人C:はい
吉野検事:Dさんのカウンセリングをすることに自信はあったか
証人C:いいえ
吉野検事:神霊能力があることを知ったのは?
証人C:佐野から授かったと言われた
吉野検事:自分が授かったと思った心や体の変化はあったか
証人C:いいえ
吉野検事:カウンセリングのための指導を受けたことはあるか
証人C:佐野から受けた
吉野検事:神霊能力を授かった実感はあったか
証人C:いいえ
吉野検事:(カウンセリングの際、)Dさんに直接会ったね
証人C:はい
吉野検事:どのように伝えたか
証人C:雑談から入って子宮筋腫の話。薬の毒素によるものと言った
吉野検事:Dさんの反応は?
証人C:同じことを天野先生からも言われたと驚かれた
吉野検事:子宮筋腫の原因をなぜそう伝えたのか
証人C:天野から言われていたから
吉野検事:Dさんの反応を見てどう感じたか
証人C:Dさんは私が視えているのかと思って申し訳ないと罪悪感のようなものを感じた
吉野検事:御祈願についてはどのように伝えたか
証人C:子宮筋腫をよくするために御祈願を勧めた。体の中の毒素が抜けて薬を飲まなくてもよくなるし、手術しなくてもよくなると伝えた
吉野検事:御玉串の額を伝えたか
証人C:100と言わなくてはいけないと思って、しばらく考えてから100と伝えた
吉野検事:すぐには言い出せなかったのはどのような気持ちだったのか
証人C:言っていいのかどうか。御祈願をやらないと言われたらどうしよう。ちゃんとやれと言われていたプレッシャーもあった
証人C:自分がとめてしまうことは神様とつながろうという人の足を引っ張る、御神業の邪魔をすることになる
吉野検事:Dさんに金額を伝えて反応は?
証人C:驚かれた、そして、やっぱりと言っていた。手術の代金と比べると100万って高くないかと言った
吉野検事:それに対し、証人はなんと答えたか
証人C:御祈願すれば毒素が出て手術しなくていいと伝えた。手術すれば体を切ることになる、麻酔の毒素を入れることになると考えれば高くはないのではないかと伝えた
吉野検事:別の提案はしたか?
証人C:難しければ50万も可能。その場合、20人くらいの人を御案内するといいですねと伝えた
吉野検事:なぜ代替案を提案したのか
証人C:Dさんが御祈願をやめてしまっては大変だと思ったから
吉野検事:20人という数字はどうやって算出したのか
証人C:佐野から言われていたことを思い出した。4人×5で20人
吉野検事:Dさんの反応は?
証人C:ちょっと考えて100でやると答えた
吉野検事:誰かにカウンセリングの報告をしたか
証人C:橘と天野へ報告した
吉野検事:了解してくれたか
証人C:はい
吉野検事:高すぎるのではないかと言われたことは?
証人C:一切なかった
証人C:永田町で御祈願のお手伝いをした
吉野検事:祈願文を取り扱ったか
証人C:はい。書いた物を教会長に見せて確認してもらい、Dさんにお返しした
吉野検事:御祈願前の手続きということか
証人C:はい
吉野検事:その後、教会長が御祈願をしたということか
証人C:はい
吉野検事:神霊能力を授かったとされる前後のことを聞いていきます。それは突然言われたのか、それとも何か前ぶれのようなものがあったのか
証人C:平成18年4月末、佐野から講習で言われた
⇒甲35号証、添付資料1、2、3。同一性の確認、記憶喚起としてノートをモニターに提示。記載内容を確認していく。
佐野被告はモニターを見る。史利被告はメモしている。嘉子被告は下を向き、髪で顔が隠れていて表情が見えず
証人C:「天野が忙しくなってカウンセリングの件数が少なくなっている。これからは従業員CとH向先生が鑑定をやる。最初から天野のようにやろうとしてはだめ。悩みの原因は、@本人の毒素A先祖の因縁B方位姓名学などの環境、の3つのどれかに当てはまる。どれか考えてひとつをピシャッと言い当てるように。癌のような重い病気は@〜Bの全部が原因にて急いでやらなければならない。先祖の霊的なものが原因のものはそんなに上の代まで遡らなくていい。不幸は繰り返されているので。答えはたくさんある。外れたのではなく、それでいいのです」とノートに書かれていることを読み上げ、説明
吉野検事:H向先生とは、K塚M衣子のことですね?
証人C:そうです
吉野検事:そのような前ぶれのような指示指導があって、直後のミーティングで授かっていると言われ、佐野から何回か指導を受け、Dさんのカウンセリング担当という流れになっていくわけだね
証人C:はい
吉野検事:佐野の指導は1対1だったのか
証人C:ほとんど1対1。1回だけH向と2人だった
吉野検事:どんな指導だったか
証人C:思いついたことをどんどん言うように、ロールプレイのような形で言われた
吉野検事:どのような質問?
証人C:「私は一週間前に何を食べたか。何でもいい、思いついたことを言って下さい」と言われた。焼肉とかラーメンはないだろうと思って、「湯豆腐」と答えた
吉野検事:そしたら?
証人C:「あぁ、好きですよ」と答えた
吉野検事:他には?
証人C:「体の不調なところを答えて下さい」と言われ、会主様に不調なところなどあるのだろうかと思った。自分の胃の辺りが重かったので、「胃」と答えた
吉野検事:それで、佐野からどういう指導があった?
証人C:「胃のどの辺りが痛いか」と聞かれ、「上の辺り」と答えた
吉野検事:他は?
証人C:「私の先祖で不幸な亡くなり方をしたがいるが、父方か母方か」と聞かれ、「父方」と答えると、「いいですよ」と言われた。「何代前か」と聞かれ、「7代か8代前」と答えた
吉野検事:それはどんな発想で?
証人C:2代、3代前だと普通過ぎるので
吉野検事:佐野の反応は?
証人C:「そんな前に遡らなくていい」と言われた
吉野検事:つまり、佐野は、答えが合っているかどうかについては一切答えなかったのですね?
証人C:はい
吉野検事:神霊能力を授かった感じがあったか
証人C:いいえ
⇒甲37号証、添付資料1、2、3。記憶喚起としてノートをモニターに提示。
史利被告、顔を触り、何を考えているやら
吉野検事:資料1。Dさんのカウンセリングを行う前に佐野からどのような指導を受けたか
証人C:「もう授かっているのだから自信持って話すように。いいんだろうかと思うこと自体、神様に対して失礼。思い切って言わないと客に伝わらない。どんどん思い切ったこと言って。御祈願を勧めてカウンセリングをまとめていきなさい。他のスタッフはカウンセリングはできないので、あなたがしっかり金額を出すように」
吉野検事:Dさんの名前が書いてあるが、二重線で消してあるのは?
証人C:佐野と1対1の指導で言われて書いたら、「個人名はやめましょう」と言われてすぐ消した
以下、ノートの記載内容を確認していく
証人C:子宮が悪いと言われたことを書いた。右の肩、背中、腰、頭と書いたものは毒素がたまっているという意味。「サロンに来ていなかったら10年後、自殺している。ということは、この人の30年後なんてないですよね。今、サロンに来ているけど、ペースゆっくりだから、10年後に摘出しなければならない。30年後は腸に癒着しちゃって、苦痛で最終的に自殺してしまう。どんどん活躍すれば薬なんかいらなくなる。常に、もしこうだったらと比較して客に伝えるように。サロンに来ていたら、来ていなかったら。命があるかないか。自殺するかどうか、薬入れなくて済むかどうか」と言われたことを書いた。
吉野検事:客が自分で気づいていない将来の運命を伝えるという意味だね
証人C:はい。「すべての人は神様とつながる線が切れているので、サロンに来て神様とつながる。絶対に不幸になるしかない運命の客にちゃんとスタッフが伝えれば・・・」と言われたのを書いた
吉野検事:資料2、3。佐野から鑑定内容を客にこういうように伝えるよう言われたか
証人C:はい。「不幸の原因は3つに分けることができる。狐の祠だいたい30万、壊した井戸のお浄め20万、お祖母さんの御祈願20万。みろくのM入先生のところでは、これを30万円と言っています。びびっとのW田会主様なんかは、300万とか、どんどん言っています」と言われた
吉野検事:証人は天野先生の鑑定に立ち会って話を聞いているね
証人C:はい
吉野検事:佐野の指導内容と天野の鑑定内容は同じだったか
証人C:はい
吉野検事:天野の鑑定に立ち会っていて金額がパターン化していると感じたことはあるか
証人C:はい。うつ病で悩みの客は狐霊が原因、家に祀りものがある、霊的なことのパターン・・・
吉野検事:天野が狐霊を指摘する前に、するだろうなと思ったことはあったか
証人C:はい
吉野検事:自分に神霊能力があると思ったか
証人C:いいえ。書記を何度もしていたので、そのうちにいつのまにか知識や経験として身についていったと思います
吉野検事:鑑定のとき、天野先生はどんな様子だったか。見ていておかしいと思ったことはないか
証人C:天野は本当に分かっているのか、演技しているのかなと何度も考えた。でも、疑うことは許されていなかった
吉野検事:天野先生ってすごいと思うことはあったか
証人C:ぴたりと当たっていると思うことが何度もあったので、すごいと思った
⇒史利被告、目をぱちくりしながら聞き入っている
甲36号証、添付資料4。記憶喚起としてノートをモニターに提示。
吉野検事:早く結果をもらいたいと書かれているのは?
証人C:客が抱えているものが分かれば、早く伝えなければ・・・。いきなり、30年後に何とかという言い方をしてはいけない。このままでいくと、この先、危険状態になりますと言うように指導があった
吉野検事:神霊能力はないからカウンセリングはできないと断ることはできなかったのか
証人C:できなかった
吉野検事:何か怖い話を聞いたことはないか
証人C:スタッフになりたての頃、北大准教授から、「関西で活躍していた女の先生が神霊能力を授かったのにいらないと断ったら病気が発生し亡くなった。断ったら死んじゃうんですよ」と聞いた。自分には分からないと思っちゃいけないんだと、ちょっとでも心の中で思ったらいけないと、心の中で不安を打ち消した
(2)サロンに通うきっかけ、先生になった経緯
【主な質問内容】
・初めてサロンに行ったときから通うようになった経緯について
・スタッフ、先生として活動していった経緯について
・担当していた業務について
吉野検事:証人が客だった頃のことを聞いていく。平成16年9月にあどばんす札幌に初めて行ったときはどんなことをしたか
証人C:アイディールヒーリングを送ってもらった
吉野検事:手かざしのことだね
証人C:はい
吉野検事:誰から?
証人C:KR山
吉野検事:つらい経験しましたね
証人C:サロンに行く直前の8月に流産した。サロンに通い始めた直後、当時結婚していた相手とはもうこれ以上結婚生活を続けていけないというようなことが次々と発覚した。10月、元夫が法を犯すようなことをしていたことがわかったので離婚した。とても辛くて、食事も取れず、起き上がれず、家にこもっていた
吉野検事:KR山と話したことは?
証人C:メールや電話がきて、サロンに来るといいと勧められた。つらい経験を話した
吉野検事:平成16年12月に従業員となったか
証人C:KR山の下で働いていた
吉野検事:サロンで働くことになったきっかけは?
証人C:佐野という何でも分かるすごい先生がいて、・・・「あなたは死ぬ運命。サロンに来て働くことで危険な状態が回避されるのでサロンに来なさい。自宅マンションの駐車場に人が待ち伏せしているかもしれない。10人の男に襲われる運命です」などと言われた
吉野検事:言われてどういう心境だったか
証人C:とても怖かった
吉野検事:サロンで働こうと思ったのは他にもあったか
証人C:あった
吉野検事:品川のサロンに転勤になったのは誰の指示か
証人C:天野の指示。先生として活動するように言われた
吉野検事:先生となってどんなことをしていたか
証人C:取次ぎや新規対応、カウンセリングの書記など
(3)サロンの組織
【主な質問内容】
・佐野被告からの指示内容について
・KR山、嘉子被告の言動について
・証人の体験談について
・宗教性について
吉野検事:カウンセリングとは天野がやっていた商品名だね
証人C:そうです
吉野検事:金額は?
証人C:1万がワンポイントアドバイス、3万,5万が御相談。神霊鑑定と後になって出てきた。10万もあった
吉野検事:サロンでは流れが出来上がっていたのか
証人C:はい
吉野検事:新規には次回の予約、御霊光のよさを分かって頂くと神書→カウンセリング→御祈願→また御霊光という流れがあった
吉野検事:佐野から指示を受けたか
証人C:営業のときの佐野の指示が書き留めてあった。20〜40代のきれいな女性がターゲット。仕事で活躍している女性、小さな子供のいる女性
吉野検事:なぜ?
証人C:女性はよくなりたい気持ちがあり、ちょっとやってみようと思う。働いている女性は自分に投資する。子供がいる女性は子供がよくなるためならお金を出す
吉野検事:他には?
証人C:北青山は洗練された街なので美意識、お金を持っている人が多い
吉野検事:商品を勧めるときの言葉遣いの指示は?
証人C:いきなり神様とか御霊光と言ってはいけない。宗教と思われるから。エネルギーとかエナジー、・・・、自然界からの力とか
吉野検事:サロンとして使う場所はどんな所?
証人C:「高級感のある所、非日常的な所、ここにずっといたいと思うような所。ヒーリングは目に見えないものなので目に見えるところで勝負しなければならない。みろくの紀尾井町のようなところをつくる」と言っていた。後で高級なサロンだと分かった
吉野検事:佐野の指示に従って・・・、高級な場所としてみつけた場所は?
証人C:プルデンシャルタワー37階。平成17年12月までサロンとして使用していた
吉野検事:最初からそこだったか
証人C:いいえ、最初は別の場所だった。決まりかけていた所があったが、教会長の一言でひっくり返ったと、KR山が愚痴のようなことを言っていた。昔、ドラマで見た同じ部屋だったのでここに住みたいと思っていたと・・・
吉野検事:ホテルニュージャパンの跡地で、ここは大惨事のあった場所であった。もし、客がここに住みたいと言ったら高額なお浄めが必要だね
証人C:KR山にお浄めしなくていいのか聞いたら、「神様のことだからいいのよ」と答え、教会長は「ここで取次ぎしたりして浄められるからいいんじゃないですか」と言った
吉野検事:宗教と疑問に感じた客はいたか
証人C:たくさんいた
吉野検事:あなたは?
証人C:疑問に思ったが、「ここは宗教ではない、取引する会社」と言われた
吉野検事:客への説明の指示は?
証人C:佐野達からここは取引する会社だと客にきちんと伝え、商品を勧めるのがスタッフの仕事だと言われた
吉野検事:千手観音の絵はどうするのか
証人C:御姿と言われていたものをお仕舞いするよう言われていた
吉野検事:神書や許可証を販売していくのは?
証人C:どこかのタイミングで・・・
吉野検事:指導内容は変わっていったか
証人C:そのときによって・・・
吉野検事:そのとき(=神書や許可証を出すとき)に宗教と言うのか
証人C:違います。「他に言いようがないので神様と言っているだけであって、・・・(宗教ではない)」と話す
吉野検事:千手観音の絵を見て、「やっぱり宗教ではないのか」と言う客はいたか
証人C:たくさんいた
証人C:「目の前の絵は宗教的な絵に見えるが、宗教ではない。神様が人間界に現れて人を救う。これを描いた方が神書を書かれた方で、絵は何でもいい。へのへのもへじでもいい。描いた方が大事。絵そのものが拝む対象ではない」と言うように指示されていた
⇒史利被告、じっと聞いているが、少し首をかしげる
吉野検事:御霊光の目に見えない効果を客に分からせるためにどうしなさいと指示があったか
証人C:変化をちゃんと客に伝えるよう言われた。明るく、わぁーっと盛り上げてここに来なきゃ損だと思う、そういう状態をつくるよう指示があった
吉野検事:自身の体験談を話すよう言われていたか
証人C:はい。主に病気のことを話した。潰瘍性大腸炎。未成年の頃、発症。治らないと言われていた。入退院繰り返していた。卒業は無理、通常の社会人の生活も無理と言われていた。ステロイド剤治療で平成12年始め頃まで薬を飲んでいたが、生活状況などの諸事情から飲まなくなった
吉野検事:飲まなくなってから体調はどうだった?
証人C:意外と平気だった
吉野検事:サロンに通う前から安定していた?
証人C:はい。安定し続けていた
吉野検事:それはどうしてだと思う?
証人C:薬をやめたり、考え方が変わったり、自然治癒力が高まったからだと思う
吉野検事:サロンの影響感じたか
証人C:そのときはサロンの影響と思ったが、食生活を改善したことが影響したと思う
吉野検事:客に話したか
証人C:難病を持っていたが、サロンに通ったことでよくなったと話した
吉野検事:KR山から怒られたことがあるか
証人C:「そんな言い方じゃ神様のおかげでよくなったと伝わっていない。神様のよさを客に伝えないと今のいい状況取られちゃいますよ」と言われた
吉野検事:KR山自身、奇跡として取り上げていたか
証人C:「サロンに来るまで苦しんでいた、サロンに来て安定した」と話していた。違うと思ったが、目の前に客がいたので違うと言えなかった
吉野検事:KR山に指導されてから言い方を変えたか
証人C:「ここに来てからよくなった」と話すように言われた
⇒甲33号証、添付資料7,8,9。ノートをモニターに提示。
佐野被告、モニターに目を向ける。嘉子被告はほとんど動くことなくじっとしている
ノート記載内容の確認:神様から頂いている結果を当たり前にしてはいけない。今の状況は、ダイヤモンドを扱っているのにガラスを扱っているようなもの。もっと、すごいですねぇ、不思議ですねぇとスタッフが伝えていかないといけない。御霊光を受け終わった後、姿勢や表情の変化を「変わりましたねぇ」と伝える。御霊光のおかげで変化があったと感動しているうちに巻き込むように。すごい奇跡ですねと時間がたたないうちに伝える。時間がたつと、それってそうだよなと常識的に考えてしまうので。あれって普通に考えたら奇跡ではなく、成るべくして成ったと人間的考え方する
吉野検事:人間、いつもハッピーじゃないよね
証人C:はい
吉野検事:「御霊光の効果ないですね」と言ったことはあるか
証人C:いいえ
吉野検事:嫌なことがあったという客にはなんて言うの?
証人C:「それで済んでよかったですね、それで済むようにして頂いたんですよ」と大難が小難になったという言い方をしていた
吉野検事:カウンセリングにつなげる大事さを佐野から言われていたか
証人C:はい
吉野検事:佐野から天野の鑑定につなげるよう指示あったのか
証人C:はい
吉野検事:具体的テクニックの指示あったか
証人C:はい。「悩みのある客にすごい先生がいるので、カウンセリングに入るよう話しなさい」と言われた
⇒甲34号証、添付資料1,6。ノートをモニターに提示。
ノート記載内容の確認:佐野の指示のメモ。
証人C:悩みごとがあると話したとき、よく話を聞いてカウンセリングに持っていく。悲しい、つらいですねと、その方が泣くまで話を持っていくよう指導があった
吉野検事:天野を客に紹介するときの指導はあったか
証人C:あった。とにかくすごい先生で、何でも視えて悩みの解決方法が分かる。カウンセリングと言っても心理カウンセリングではない。占いではない、とか
吉野検事:天野がどういう能力があるからすごいという指導?
証人C:神の声が直接聞こえる先生。メッセージとして伝えることのできる先生
吉野検事:「神様がすごい」ではなく、「天野がすごい」とアピールしていけという指導で間違いないか
証人C:はい。客はすぐにピンとこない。誤解する人もいるので天野をアピールするよう指示があった
証人C:客はカウンセリングに入りたいのに数が増えていないのはスタッフが悪い。カウンセリングにつなげるよう指示があった。スタッフが一方的に話すのではなく、客に話させるように。カウンセリングの価値高めるように、日常の会話で終わらせず、ちゃんとカウンセリングにつなげるようにと言われた
⇒資料4モニターに提示
ノート記載内容の確認:「人間○○(証人Cの名前)としてはこう思うが、神様としてはこう思うのではない」等、佐野の指示のメモ
吉野検事:「取らなきゃ次がない」とは?
証人C:「カウンセリングだけでなく、御祈願も取らなきゃ意味がない」という意味。カウンセリングをやっているだけではだめ、客から御祈願の予約を取っていくのもカウンセリングの仕事ですよ。御祈願は押さないと取れない。客にきちっと押さないとだめ」と指示があった
12時 午前の部終了
●午後の部
予定の13時30分を少し過ぎて開廷。すでに法廷内に入っていた証人C は、傍聴席に入ってくる人達の方にしっかり顔を向け、入ってくる人達を出迎えているかのようだった。
●吉野検事による主尋問の続き(要約)
吉野検事:カウンセリングは品川では天野が対応したか
証人C:はい
吉野検事:佐野から天野に指導することはあったか
証人C:あった
吉野検事:印象に残っていることがあるか
証人C:ふたつある。平成17年5月、夜遅いミーティングで佐野が天野に激怒することがあった。参加者は佐野、天野、KR山、りら、証人C。「天野先生は優しすぎる。もっとちゃんと言わなきゃだめ。そんな弱い言い方はだめ。なんでもっと押さない。強いこと言わないんだ!」と皆の前で怒鳴った。もうひとつは、平成17年12月、永田町サロンができてから品川サロンでのミーティング。天野は風邪で寝込んでいて不在。教会長は「実家に帰っちゃったんだよー」と佐野が言っていた。2人が不在の中、佐野は、「スピード遅い。あんなんじゃだめだ。山梨でカエルばっかり見てるからそんなんになっちゃうんだ!」と怒った。客をつなげるため、もっとちゃんとフォローするように指示があった
⇒佐野被告、じっと目を閉じている。この後もずっとそのまま。お〜い、あなたのことを話しているんですよー
証人C:「天野から言われたことはすぐにやってみるといいですよ。言われた通りにすると結果が速い」と客に言っていた。天野との役割分担で、金額少ないカウンセリングを担当。その後、天野につなげ、高額のカウンセリング(という流れ)
⇒甲40号証、添付資料1、2、3。ノートをモニターに提示。
ノート記載内容の確認:「高額取れない人、活躍できない人はH先生に入れる。天野先生に入れてはいけない。活躍しそうな客、お金使いそうな客は特急で天野先生に入れる」等、佐野から客層別の指示。
吉野検事:お金がありそうと思った客を実際に天野につなげたことがあるか
証人C:ある。北青山の客
吉野検事:天野の鑑定を勧めたことがあるか
証人C:はい
吉野検事:鑑定に入れて天野から文句言われたことがあるか
証人C:はい。「あの人何で私の鑑定に入れたんだ、お金持っていないよ!」と言われた
吉野検事:御祈願の後、御礼を勧めていたか
証人C:はい
吉野検事:佐野の指示か
証人C:はい
吉野検事:カウンセリング→御祈願→御礼の流れで終わりか
証人C:いいえ。神様とつながって受けていないと元に戻ってしまう、だから続けて繰り返していかなきゃいけないという指示があった
吉野検事:佐野の指示は1回だけか、繰り返されていたか
証人C:繰り返されていた
吉野検事:指示はミーティングに限られていたか
証人C:いいえ。突然、サロンに来て指示されたり、電話で指示されたりした
吉野検事:佐野から直接か
証人C:直接のときとそうでないときがあった。KR山、りらから電話がかかってきたことが多かった
吉野検事:他社の話や他社のやり方を気にしていると感じたか
証人C:感じた
吉野検事:他社の営業手法について学ぶべきと言ったか
証人C:はい
吉野検事:ノートに書いた?
証人C:はい
⇒甲34号証、添付資料2。ノートをモニターに提示。
ノート記載内容の確認:「vividふかさわ 潜り込む。スパイとして行かせろ。vividでどういう話し方しているか、いいところを盗んで来い」と佐野の指示のメモ
吉野検事:同じ商品を扱う会社ですよね?情報交換が許されていなかったのか
証人C:はい
吉野検事:教会長は神霊能力があるとされていたか
証人C:はい
吉野検事:鑑定を担当していたか
証人C:はい。平成17年夏、教会長が担当した鑑定にクレームがあった。ミーティングで問題になった。インターネットの2ちゃんねるに書き込みがあり、佐野が天野とKR山に「何とかしろ!」と言い、品川スタッフに指示が出た。「ネットカフェでも行ってその書き込みが分からなくなるよう書き込んで来い」というものだった
証人C:教会長は永田町にいるとき、「鑑定は天野先生がやるから私はやらない」と言っていた
吉野検事:犯人探しはした?
証人C:はい。サロンに天野やKR山は悪魔だと怪文書が送られてきたりもして、佐野は誰なのか分からないのかと天野やKR山に怒った
吉野検事:天野やKR山は分からなかったのか。神霊能力を使えば一発で分かるのでは?
証人C:KR山は、「そういうことに神霊能力を使ってはいけないのよ」と言っていた
吉野検事:斉藤が永田町に来たことはあるか
証人C:はい。平成17年12〜平成18年夏に数回。5回くらい。葉子、陽龍も来た
吉野検事:何をしてた?
証人C:ミーティング
吉野検事:食事やお茶はしたか
証人C:一番最初に一度。配膳係で手伝いしていた
吉野検事:誰がいたか
証人C:佐野、天野、教会長
吉野検事:証人はどこにいたか
証人C:キッチンの扉を閉めて中で待機
吉野検事:話の内容は聞こえたか
証人C:分からなかったが、斉藤と思われる声は聞こえた
吉野検事:天野や佐野の声ではなかった?
証人C:はい
証人C:売り上げやサロン運営の話をしていると思った。数字が並んだパソコンの画面を見たことがある。プリントアウトを頼まれた
吉野検事:誰に?
証人C:たぶん、教会長
証人C:表に数字がズラッと並んでいた。(プリントアウトの操作をしていると)教会長から「なるべくその画面見ないように」と言われた。また、6人が手元に持っていた資料をサッと隠したこともあった
証人C:佐野の話の中で、「さっき、教主様がこうおっしゃったように」とか言っていた
吉野検事:2回目以降も斉藤は話していたか
証人C:はい
証人C:「教主様がほめていましたよ。今日は神世界の皆様がとても喜ばれていました」と佐野から言われたことがある。教会長も「今日初めて教主様からほめてもらったの。昔から教主様に怒られてばかりで変わりましたね、やっと本当の経営者になりましたね」と洗物をしながら話していた。平成17年末、正反対にものすごく怒っていたことがあった。「ちょっと、こちらへ」と呼ばれ、わざわざ呼んだ上で佐野が教会長と天野を怒鳴りつけた。「天野先生も教会長も教主様から言われたこと全然分かっていない。○○(証人C)とH先生を使え。もっと泣くまでやれ!!」と厳しく追及していた。教会長と天野は下を向いてうなだれていた
吉野検事:「京都」と言って思いつくことはあるか
証人C:はい。毎月行っていた。そのことは「誰にも言うな、チケットの管理は私が全部やるからいい」と天野に言われた
吉野検事:天野が定期的に行っていた?
証人C:はい
吉野検事:教会長も?
証人C:ふたりで行っているんだなと思った
吉野検事:佐野は?
証人C:平成18年統括室にいたとき、いつも天野たちが京都に行く時期に佐野がいたので、佐野は行かないんだと思った
吉野検事:重大な組織改変は知らされた?
証人C:はい。3つの会社に分ける。アカサカの他にKR山代表のわーるどヒルズ、F先生代表のスリートゥー1。あくまでもアカサカはえんとらんすグループの頂点
吉野検事:3社バラバラではない?
証人C:そうです。拡大のスピードを上げ、47都道府県に進出するために担当を変えると言われた
吉野検事:Vタワーに転勤させられた?
証人C:はい。「永田町の売り上げが悪いのはあなたがラクをしているからだ。品川に戻って来てやれ。リュミエールの責任者としてやれ」と言われた。その頃、教会長から直接電話があり、「天野だとスピードが遅いので今日から私が指導します」と言われた
吉野検事:どんな指導?
証人C:「今日の予約は何人?1万の予約は?カウンセリングは?今週はカウンセリング何件?天野先生の鑑定とれていないのにどうやって御祈願につなげるの?売上どうするの!!」などと言われた
吉野検事:教会長自身、佐野から厳しい指導を受けていたか
証人C:はい。佐野が教会長に電話しているときに居合わせたことがある。「品川どうすんの!?全然だめ。だから天野じゃだめだって言ったんだ!!教会長、黙ってたってだめですよ、泣いたってだめですよ。なんでこんなことも分からないんだ、バカ!」と怒鳴っていた
吉野検事:平成19年11月、ひとことで言えば、こんなサロンではやっていけないと思ったわけだよね?
証人C:そうですね。自分の体調が悪くなったこと・・・、北青山のサロンで倒れたことがある。平成19年には立つことができなくなったり、下血したことがある
吉野検事:神様と必死につながっていると認識していた?
証人C:そうです
吉野検事:よくなるはずが真逆になっていた?
証人C:そうです
吉野検事:教会長や天野に不信感増大していった?
証人C:はい
吉野検事:本当に神霊能力があるのかと疑ったことはあるか
証人C:改名の際、教会長は名前を間違っていたが、「それもいいのよ」と言っていて、いい加減だと思った
⇒嘉子被告、メモする
吉野検事:最終的に永田町サロンから逃げ出したのか
証人C:教会長に辞めたいと話したら止められ、監視されているのが分かったので、早朝こっそり荷物まとめて逃げた
吉野検事:客だった頃から働いていた間、幹部や現役会員が御霊光を受けている間に死んだとか意識不明になったとか聞いたことはあったか
証人C:一切なかった
●市河弁護人による反対尋問(要約)
・神書、御守り様を購入したのはいつか
・客のときにヒーリングをしたことがあるか
・客の感想を聞いたか
・受けてあたたかいと言った客はどれくらいいたか
・自分が受けて何か感じたか
・家のお浄めについて
・神霊鑑定を受けたことはあるか
・用語についての質問
・一番高額の御礼はいくら出したか
市河弁護人:初めて札幌サロンに通い始めたのは?
証人C:平成16年9月
市河弁護人:きっかけは?誘われた?
証人C:そうです。紹介されて
市河弁護人:ヒーリング受けた?
証人C:はい
市河弁護人:何か感じた?
証人C:何も
市河弁護人:その後、通った?
証人C:はい
市河弁護人:何も感じなかったのに?
証人C:通い始めたとき、自分の身にいろいろ起こって・・・。KR山から「感じなくても意味がある」と言われた
⇒史利被告、ぼんやり喉元を触りながら証人の方をじっと見ている。この後も鼻を触ってみたり、しばらく落ち着きなし
市河弁護人:通っていた間、何か感じたことあったか
証人C:・・・
市河弁護人:受けていて変化なかったか
証人C:たまたま家族に関する悪いことが起きた
市河弁護人:ヒーリングを受けていたのに悪いことが生じた?
証人C:そうです
市河弁護人:家族に悪いことが生じたのになぜ継続したのか
証人C:KR山に聞いたら「悪いのではなく、よくなる排泄の途中」と言われた
市河弁護人:・・・(それでどう思ったのかという旨の質問)
証人C:そうなの?と思った
市河弁護人:疑問持ったにも関わらず、どうしてスタッフになったのか
証人C:「よくなるための経過、ここでやめるとよくない。元に戻る」と言われ、怖くなった
市河弁護人:御霊光の効果を札幌でスタッフのとき、感じたことあるか
証人C:いいことも悪いこともヒーリング受けたからだと思うことあった。引越し先を探していていい物件みつかったとか、サロンに就職する前に次の就職先決まっていたとか
市河弁護人:札幌のとき鑑定を受けたことがあるか
証人C:天野の鑑定を受けたことがある。5万。家系図や生まれ育った家の間取り図を出した
市河弁護人:天野から鑑定を受けてどういう回答だったか
証人C:重たくて大変。よくここまでやってきた。先祖救われていない・・・。やらなければいけないことがたくさんあり過ぎて、今は全部言えない。とにかく大変だ、と言われた
⇒史利被告、証人の返答ぶりを感心しているような表情で見ている
市河弁護人:誰から先生になれと言われたのか
証人C:札幌の祭典の最中、客の前で天野から言われた。東京の先生になると言われて驚いた
市河弁護人:初めて聞いた?
証人C:はい
市河弁護人:東京に行くのも天野の指示?
証人C:そうです
市河弁護人:リュミエールで先生として活動したということか
証人C:はい
市河弁護人:運命鑑定はご存知?担当していたか
証人C:方位鑑定、世間一般的に言う占いみたいなの。私は担当していなかった
市河弁護人:方位鑑定は?
証人C:のちに担当した
市河弁護人:カウンセリング始めたのは平成18年5月以降?
証人C:そうです
市河弁護人:それ以前は一日もやっていないということ?
証人C:そこが曖昧なところだが、ワンポイントアドバイスをやってと言われたことはある
市河弁護人:神霊鑑定とは違う?
証人C:そのときはワンポイントアドバイスという名称だった
市河弁護人:講習受けたことは?
証人C:覚えていない。佐野と1対1で指導を受けていた中であったかもしれない
市河弁護人:証人Eのカウンセリングをしていないか。神霊鑑定ではない?
証人C:記憶が定かでないがワンポイントアドバイスをやるよう言われた
市河弁護人:誰に?
証人C:KR山か天野
市河弁護人:内容は覚えているか
証人C:はい。お付き合いしている人との関係。分かる訳なかったので、佐野から天野に聞くよう言われていたので天野に聞いたら、自分で考えてみるよう言われた。結婚しない方がいいと伝えたと思う
市河弁護人:事前に天野と相談した?
証人C:事前に「この人と結婚したらだめだ」と言われた
市河弁護人:天野からですか?
証人C:そうです
市河弁護人:カウンセリングの事前に資料頂いたときに内容みたか
証人C:みた
市河弁護人:中身は詳細?
証人C:自分と相手の名前と・・・
市河弁護人:天野からも事前情報得たか
証人C:内容を見て天野と話した。どういう答えが正しいのか分からないと相談したら、まずは自分で考えるよう言われた。結婚するのであれば、こういう不運、・・・するといいと言ったら、天野から全然違うと言われた。自分にはできないと思った
証人C:天野から言われた、結婚しない方がいいということをと伝えた
市河弁護人:その結果、証人Eがどうなったか聞いているか
証人C:はい
市河弁護人:証人E以外に平成17年春以前に鑑定したことは?
証人C:KR山から「ちょっとこれやって」と言われたことある
市河弁護人:方位鑑定をやっていたと人から聞いたことがあったが、やったことあるか
■裁判長:主尋問と関係ない。やめるように
市河弁護人:証人Dの鑑定をするとき、筋腫で悩んでいること事前に天野から聞いていたか
証人C:はい
証人C:佐野から神霊鑑定をやれと言われたのに、急にやらなくていいと言われた。方位鑑定とかの方が多かった
市河弁護人:どうして証人Dの鑑定をやったのか
証人C:自分でも、なんで?と思った。佐野からの指示はいつもコロコロ変わって、朝言われたことが夜になって変わることなどはよくあったので言われた通りにした。神様スピードと言われていた
市河弁護人:神霊鑑定は他にもやっていたか
証人C:北青山サロンで何回か
市河弁護人:方位鑑定ではない?
証人C:方位ではない
市河弁護人:神霊鑑定という意味での鑑定は何件やった?
証人C:平成18年北青山のときは5〜10件。佐野からやるよう言われていた
市河弁護人:御祈願のお玉串料で一番高かったのは?
証人C:30〜50万
市河弁護人:100万超えるのはなかった?
証人C:なかった
市河弁護人:神霊鑑定によって30〜50万の御祈願になったのはあなたがやった?
証人C:天野の予約がいっぱいのときに「あなたがやれ」と言われていた
市河弁護人:最後に神霊鑑定をやったのはいつ?
証人C:平成18〜19年はカウンセリングはやらなかった。H先生がやっていた。方位は下請け的に回ってきた。立てなくなって事務所で寝泊りしていたとき
市河弁護人:方位鑑定はどうやって行っていた?
証人C:論理的に当てはめていた
市河弁護人:勉強していた?
証人C:天野による鑑定講習、勉強会に出席して天野から習った
市河弁護人:疑問に思わなかったの?
証人C:疑問ってどういう?
・・・:方位鑑定本当に当たっているのかな・・・
⇒史利被告、薄笑いを浮かべる
市河弁護人:必ず御祈願するよう言われた?
証人C:そうですね
市河弁護人:疑問に思っていた神霊鑑定をどうして続けたのか。どうして所属していたのか。辞められない理由が何かあったのか
証人C:辞めたら大変になると言われていた。仕事が嫌だという気持ちになったことはなかった。不信感を持ってはいけないと言われていたので、持ったら打ち消すようにしていた
市河弁護人:証人Dに100万の御祈願を勧めたのは、神様からのメッセージという意識?
証人C:自分が直接、神様からメッセージを受けたという認識もなかった
市河弁護人:天野から言われたメッセージをそのまま伝えたのか
証人C:そうです
市河弁護人:天野が、神様からのメッセージなんて受け取っていないんじゃないのかと思わなかったのか
証人C:そのときは思わなかった
市河弁護人:被疑者扱いされたこと覚えているか
証人C:はい警察官や検事から聞かれたとき
市河弁護人:どう答えた?
証人C:被害者だと思うと答えた
市河弁護人:加害者とは言わなかった?
証人C:はい。騙そうとは思っていなかった
市河弁護人:疑問持っていたんでしょ?
市河弁護人:これは全くのインチキだと思っていた?それとも、こういうのもあるのかもしれないと思っていた?
証人C:あるかもしれないと思っていた
⇒以後、用語についてなどの質問がまだ続き、史利被告も飽きてきたのか、顎の周りを触りながらやりとりを見ている。佐野被告は、午後はずっと目を閉じて、なぜか右斜めの姿勢。まるで難聴の人が耳を傾けて聞いているようなしぐさ
市河弁護人:・・・(最後に天野と話したのはいつかという趣旨の質問)
証人C:平成20年、「お金を返して下さい」と電話で言ったら「返せない」と言われた。そのときの対応がいい加減だったので、「騙したのではないか?」と聞いた。かなり頭に来ていたので、相当文句を言った。それでインチキだとわかった
市河弁護人:・・・(改名についての質問)
証人C:姓名学と同じようなもの。直接私は関わったことない
市河弁護人:2ちゃんねるで騒がれていたのは神霊鑑定のことか
証人C:教会長のカウンセリングのこと
●尾崎弁護人による反対尋問(要約)
・給料はいくらだったか
・支払った御玉串の合計額はいくらか
・調書をとられた場所はどこか
尾崎弁護人:ノートつけていたのは人から見られること予想していてつけたわけではない?
証人C:ノートは佐野から言われたことを忘れないように書き留めたもの
市河弁護人:仕事はうまくいったことはないのか
証人C:何をもってうまくいったということか?
市河弁護人:ノートには自分の思いを書いていたのではないか
証人C:ノートは自分の気持ちを書きとめるためではないので書いていない
市河弁護人:ロールプレイのときの佐野の顔は?
証人C:真面目な顔でシーンとした部屋で行われた
市河弁護人:自分は被害者だと言うのは聴取を受けたときか今か
証人C:取調べの中で私も騙されていたことに気づいた。辞めた時点では全くなかった
●裁判長からの尋問
■裁判長:主尋問の最後に教会長に対して不信感あったということで姓名鑑定(改名)で間違えたと言っていたが、佐野や天野に対してはどうか。何かエピソードがあるか
証人C:辞める数ヶ月前に鑑定に関することで問い合わせがあって、パタ−ン化していると思ったことがあった。鑑定の書記に入ったが、客が井戸、木、祠のお浄めをするときは別のスタッフが対応。そのときに「木のお浄めは20万だったっけ?」と天野から聞かれたことがあり、「いえ、(鑑定では)木は10万だった」と伝えたところ、「そうだよねえ〜、木で20はないよねえ〜」と言われたことがあった。対応した別のスタッフが間違っていたのだが、相場があって、それに基づいて言っているのかなと思った
■裁判長:佐野に対しては?
証人C:天野と私に何かあるのかと誤解していた。本当に能力あるのなら分かるのではないかと思った
■裁判長:神霊能力に関して不信感持ったことは?
証人C:教会長から「嘘を言っていると私には分かるのよ」と言われたが、本当に神霊能力があるなら、私が本当のことを言っているのが分かるはずなのにと思った
■裁判長:辞めるときは騙されていると思わなかったのか
証人C:そのときは思わなかった。あれ?どうなんだろうと思うことがあったが、私が本当のことを分からないだけかもと思った
■裁判長:斉藤のことはどう思っていたか。神霊能力があると思っていたのか
証人C:斉藤のこと、神様のことは「絶対」と思っていたが、この会社はどうだろうと思っていた。会社なので利益追求は当然。いいものを使っているので売上を上げなければ、と思っていた
■裁判長:神様なのに売上だなんて変じゃないかと思わなかったの?斉藤の神霊能力を信じていたのに・・・、宗教だと普通、思うのでは?
証人C:KR山たちにずっと(宗教ではないのかと)言い続けてきたが、「宗教ではない」と言われ、そうなのか…と思った
■裁判長:辞めた後は矛盾していると思わなかったのか
証人C:裁判(民事)が始まってから、(神世界側が)「宗教だ」と言い始めたのを聞いて、おかしいと思った
(以上で証人尋問終了)
⇒証人Cは、3名の被告の顔を一人ずつ、しっかり確認してから退廷。その間、被告たちが顔を上げることはなかった。
●訴因変更に伴う罪状認否(要約)
裁判長より、訴因変更された起訴事実について、再度、3名の被告に確認。
前回、「保留」としたが、今回意見を述べることがあるかを被告3名に問うた。
「はい」と答え、被告3名が前へ出る。
佐野被告:(起訴事実は)間違いありません。事実については認めます。ですが、私が長年行ってきた宗教活動は、すべてが詐欺ではありません
天野被告:(起訴事実は)間違いありません。事実については認めます。ですが、御神業、一般的な言い方をすると、“宗教活動”は、すべてが詐欺ではありません
嘉子被告::上記2名と同様の答え
市河弁護人の意見を聞いた後、検察側より本日付で追加の調書、弁護人側より公訴事実に対する意見の変更等のやりとりがしばらく続く。
最後に、再度被告3人を起立させ、次回公判は、2012年1月10日(火)午前10時から行う旨を伝えて終了。
5、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第5回公判
斉藤亨 第2回公判
(上記3被告と教祖・斉藤亨の公判は併合審議になった)
(以下の第5回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)
1 日時:平成24年1月10日(火)
午前10時〜午後4時22分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨
6 裁判長 朝山芳史
裁判官 杉山正明
裁判官 山本美緒
7 検事:大久保検事(手前)、前田検事(奥)
8 被告弁護人:尾崎弁護士、市河弁護士
9 内容1:検察官による証拠申請(午前)
内容2:佐野りら証人の情状証言及び尋問(午前)
内容3:淺原史利被告の被告人質問(午後)
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傍聴希望者
今回の公判から、佐野孝ら3名の公判と、教祖・斉藤享の公判が併合されて審議されることとなった。多数の被告の顔が一度に見られるとあって、9時40分の締め切り時間までに、198人が列に並んだ。
傍聴券を求めて列に並んだ人々の顔ぶれを見ると、今回も多くの神世界関係者や現役会員が列に並んでおり、神世界側は現役会員を大量動員して傍聴券の獲得をしようとしていた。列に並んだ現役会員等は、当選しても自分が傍聴席に入る訳ではなく、幹部連中に当選券を渡し、自分はすごすごと裁判所を後にしていた。
今回の公判は、えんとらんす関係者の裁判であるにも係わらず、列に並んでいたのは大半がびびっととみろくの関係者であり、そのミスマッチがなんとも奇妙であった。
笠原静夫弁護士は解任
この日の公判では、えんとらんす関係の被告に対する証人尋問と、被告・佐野孝の情状証人として佐野被告の妻・佐野りらが出廷し、証言を行う予定になっていた。
被告弁護人の一人であった笠原静夫弁護士は解任されたとのことで、出廷していなかった。神世界側の弁護士はコロコロとよく替わるが、神世界の内情を知れば知るほど、このような被告等の弁護をすることなど、バカらしくてやっていられないのかもしれない。
3被告は保釈されていた!
今回から、佐野等3名の公判と斉藤亨の公判が併合審議になったため、これまで佐野被告が座っていた席には、モスグリーンのジャケットを着た、薄毛でうつろな表情の斉藤被告が座っていた。佐野・史利・嘉子被告の3人が傍聴席に背を向けて並んでいたが、3人の間に刑務官がいないことや、史利・嘉子被告がこれまでと違う身なりをしていることに違和感を覚えた。そして、もしや…と思った嫌な予感が的中した。りらの情状証言の中で、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3被告が、すでに保釈されていたことが明らかになった。3名は前回の公判で罪状を認めた後、保釈申請を行い、相当額の保釈保証金を裁判所に預けて保釈されていたそうだ。漏れ伝わってきた情報では、保釈保証金の金額は1名につき、400〜700万円程度だったようだ。斉藤亨も保釈申請をしたものの、斉藤の保釈は認められず、斉藤亨は刑務官に付き添われて被告席に座っていた。
佐野孝被告は車椅子で
この日、傍聴席に入って最初に目が行ったのは、佐野孝が車椅子に座っている姿だった。教祖様じゃなくて。3被告は昨年12月中頃に保釈され、正月は自宅で過ごした訳だが、佐野孝は保釈された直後に足腰が立たなくなり、自分一人でトイレに行くこともできない状態になったとのことだ。足腰が立たなくなった理由は定かではないが、久しぶりに自宅に帰り、ハッスルし過ぎたのだろうか?御霊光をしっかり浴びれば足腰の痛みなどすぐ取れ、あのようにぶざまな姿を法廷内で晒すこともなかったと思われるが、車椅子に乗って出廷したのは、身体的障害があるように装い、実刑を免れようとする作戦に出たのかもしれない。しかし、その程度の病気で刑が軽減されることなどあり得ず、せいぜい医療刑務所に送られ、そこで仮病がばれて一般刑務所に収監されるだけのことだ。
淺原夫婦は、これまでとは違った服装で、嘉子被告は髪を染め、きれいに整えていた。史利被告は短髪にはしていたけれど、罪を悔い改めて丸坊主にするところまではいっていなかった。
被告や証人の証言内容に???
詳細な公判内容は、下記を参照していただくと分かるが、今回の公判で史利被告が、「神世界からは離れるが、今も御守り様、お額、御神体は家にあるので取り次ぎはしている。最近も遠隔を受けている」と答えたのに対し、検事が、「じゃあ、お玉串はどうやって支払っているんだっ?!」と鋭く追及すると、史利被告はまともに答えられず、しどろもどろになって意味不明の言葉を吐いたり、その他の場面でも史利被告は何度も、検事や裁判長の質問に対して言いよどんだり意味不明の言葉を繰り返す場面が多々あり、裁判長も呆れていた。下記の公判記録中、○*△×%#*・・・のような記号が並んでいるところは、被告等が言葉を発してはいるものの、全く意味不明の内容である部分だ。
佐野孝の情状証人として、妻の佐野りらが証言台に立ったが、佐野孝とりらは、今後は神世界とは離れ、アトピーなどの人向けに自然食などを販売する事業の準備をしていると答えていた。自然食品販売を口実にした新たな詐欺商法を企んでいるのでは?と、つい疑ってしまった。
りらの証言は随所で破綻しており、傍聴席に座った被害者の間からは、「ウソー!」とか、「えーーーっ!あんたこう言ってたじゃない!」などの囁きが続発していた。
公判の中で、「エルメス」や「ブルガリ」の言葉を聞くとは思っていなかったが、検事は果敢にその部分についても追及した。りらの証言によると、エルメスやブルガリは、離婚して自己破産してカードを作れなかった母(KR山E子)に佐野がプレゼントしてやったとのことだが、自己破産した者に何故エルメスが必要なのか、傍聴席に座っている被害者には、全く理解できなかった。
なお、今回の第5回公判については、傍聴した被害者数名から詳細なインプレッションが送られてきたので、本編後半に、「被害者が感じたこと」と題して掲載した。被害者が感じた率直な感想が述べられているので、ぜひそちらもご覧いただきたい。
第5回公判の記事は、事件の真相を明らかにするために、できるだけ詳細に公判の様子を再現した。そのため非常に長大な記事となっているが、どうかしっかり目を通していただきたい。記事が長大であるので、下記の目次を設けた。
●午前の部
10:05開廷
■検察官による証拠申請
公判が今回から併合審理となったため、冒頭30分ほどは、検察官による証拠の説明が再度行われた。説明された内容は、これまでの公判で説明されたものと同じ部分が多かったが、102号証は斉藤亨宅を家宅捜索した際に押収された平成12年当時に斉藤被告が使用していた手帳の写しで、その内容の一部が検事によって読み上げられた(以下にその抜粋)。
●斉藤亨の手帳に記載された内容(部分)
平成12年2月11日
糖尿病を患っていて、後に御霊光を受けていた際に意識不明になって亡くなった方についての記載。
平成12年2月13日
和田(東京)、雨宮(関西)、加藤(埼玉)に上納程度についての説明と了解をしてもらった。
平成12年2月23日
佐野孝を神霊鑑定士としてデビューさせるのは4月1日で、神霊鑑定から御霊光につなげることでプラスとなり、高額商品となり、奇跡が現れ幸福になっていくのである。
平成12年2月26日
神霊鑑定士は大活躍だ。
平成12年2月29日
今月は約2900万円で、去年の2月より増収である。ご神体と26日分が入ると3000万円。
今月から地代・家賃等の賃料と報酬を受け取ることになって、とても楽しい。
平成12年3月8日
収入が増加し始めている。
平成12年3月9日
神様との取り引きは、99%お金しかない。
平成12年3月12日
今月は神霊鑑定により収入激増。
平成12年3月23日
神霊鑑定が軌道に乗ったようだ。世の中に出したい。これで大発展だ。
平成12年3月29日
今月は史上最高の収入があった月だ。3月は9000万円以上の収入だ。神霊鑑定による特別御祈願、特別ご供養、御礼が激増したことによる。これから更に新会員激増による増収となれば盤石だ。奇跡が売り物だ。
(以下、略)
●株取引の状況
(114及び115号証)
神書で禁止している株取引について、神世界名義及び斉藤亨名義での証券取引に関する報告書。
(有)神世界名義の取り引きで利益を得ていた反面、保有株式の中には上場廃止になっているものもあり、平成17年以降は評価損が出て、平成23年は時価評価が取得価格の半分以下になっている。
個人名義では斉藤亨被告、H原Y子、斉藤葉子名義での取り引きが行われており、売却益を得ている反面、保有株式の中には上場廃止となっているものもあり、平成21年以降の時価評価は購入時の50%以下に下がり、平成23年4月の時価は取得価格の約40%相当額に下落している。
●被告人等の報酬に関する内容(部分)
229から234号証は、それぞれの被告人に関する報酬状況の報告書だった。
229号証・佐野被告の報酬:2億4052万円。(H13.1〜H19.12の間)
230号証・佐野孝被告の報酬の使途に関する状況。ブルガリやシャネルなど、有名ブランド品や貴金属を購入している。
231号証・淺原史利被告の報酬:5千851万円。(H13.5〜H19.12の間)
232号証・淺原嘉子被告の高額商品の購入状況。シャネルやエルメス、ブルガリなどのブランド品を購入している。
233号証・淺原嘉子被告の報酬:6千82万円(H13〜H19の間)
234号証・斉藤亨被告の報酬:16億2980万円(13.1〜19.12の間)
上記、検察が提出した証拠は、被告及び代理人も承認したので、裁判の証拠として採用された。証拠調べが終わった後、佐野孝被告の情状証人として出廷した佐野孝の妻・佐野りら証人に対する尋問が開始された。
■佐野りら証人への尋問
●市河弁護人による尋問(要約)
市河弁護人:佐野孝の妻?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:結婚したのはいつ?
佐野りら証人:平成15年の2月
市河弁護人:えんとらんすアカサカの会員?
佐野りら証人:はい
【えんとらんすで「会員」なんて言葉使ったことありませんっっ】
市河弁護人:えんとらんすには、いつ頃から通うようになった?
佐野りら証人:平成13年11月頃から
市河弁護人:誰かの紹介?
佐野りら証人:母からの紹介で・・・○*△×%#*・・・(声が小さすぎて聞き取れず)
市河弁護人:初めてえんとらんすのサロンに行ったときに御霊光を受けた?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:誰から御霊光を受けた?
佐野りら証人:○*△×%#*、佐野孝さんから・・・
市河弁護人:受けたときに何か体感は?
佐野りら証人:受けたときと受けた後、体がポカポカして少し汗ばむような感じがあった
市河弁護人:体調不良だとか悩み事があった?
佐野りら証人:はい。当時、父が精神病を10年以上患っていて、○*△×%#*・・・精神的にも肉体的にも辛い状態だった
市河弁護人:それから通い続けた?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:平成13年から約1年半くらい通い続けたということ?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:あなたはスタッフにもなった?いつ頃?
佐野りら証人:平成14年の12月頃
市河弁護人:結婚したのは15年2月ということですが、平成15年に佐野孝さんはアメリカに行っていなかった?
佐野りら証人:はい、行った
市河弁護人:あなたも一緒に行った?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:その目的は?
佐野りら証人:主人の方からは、アメリカで3.11の悲劇が起き、悲しみの念が広がっているので、海外で布教活動をすると聞いていた
市河弁護人:アメリカに神世界の布教のために行ったわけ?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:どれくらいの期間行っていたのか?
佐野りら証人:半年くらい
市河弁護人:日本のサロンと同じようなことをしていたのか?会社も作ったのか?
佐野りら証人:はい、作りました
市河弁護人:客はたくさん来たのか?
佐野りら証人:理解されず、あまり来なかった
市河弁護人:その後、佐野孝さんは日本に戻っているが、あなたも戻ったのか?
佐野りら証人:片付けなどをしていたので、1カ月ほど遅れて戻ってきた。平成15年の11月頃に戻ってきた
佐野りら証人:佐野はそれより2カ月くらい早く帰ってきていた
市河弁護人:日本に戻ってきた佐野さんはなにをしていたのか?
佐野りら証人:山梨に○*△×%#*・・・しながら○*△×%#*・・・(声が小さく聞き取れず)
市河弁護人:取り次ぎなどはしていなかった?
佐野りら証人:私が知っている範囲ではしていなかった
市河弁護人:平成16年7月に五反田のマンションに佐野会主は引っ越した?
佐野りら証人:はいあります
市河弁護人:あなたも一緒に引っ越した?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:そこから先は佐野会主は何をしていた?
佐野りら証人:一部の人に対して○*△×%#*・・・をしていた
市河弁護人:そのときに今回問題になっている神霊鑑定は彼はしていた?
佐野りら証人:私が知っている範囲では主人はしていなかった
市河弁護人:平成16年に佐野会主は神世界に出入りしていたか?
佐野りら証人:その当時は、私が知っている範囲ではしていなかった
市河弁護人:あなたもその頃、平成16年当時、えんとらんすアカサカのサロンでスタッフとして働いていた?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:あなたはスタッフの中で主任という立場だった?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:神霊鑑定はあなたもした?
佐野りら証人:していません
市河弁護人:あなたも佐野会主の神霊鑑定を受けた?
佐野りら証人:1度か2度受けた
市河弁護人:アカサカで淺原史利が行っていた神霊鑑定講座を受けたことはあるか?
佐野りら証人:一度もない
市河弁護人:今回の事件があった、平成18年3月に分社化し、えんとらんすアカサカは、他に、えんとらんす3-2-1、わーるどヒルズの3社に分社化したが、その経緯について佐野さんから何か聞いているか?
佐野りら証人:はっきりとは覚えていないが、特に何か聞いたことはないと思う。
市河弁護人:平成18年6月頃からいわゆる推進室、統括室というのがあるが、そちらであなたは責任者をするように佐野さんから言われたか?
佐野りら証人:はいあります
市河弁護人:そこであなたは何をしていたのか?
佐野りら証人:観音祭の準備などをしていた
市河弁護人:推進室の他のメンバーは?
佐野りら証人:私の他には、Tさん(現・k山)、A葉さんがいた
市河弁護人:あなたはサロンのことを佐野さんに報告していたのか?
佐野りら証人:はい、各サロンを回り、時々気付いたことや状態などを報告するなどしていた
市河弁護人:ミーティングをしていたが、そこにはあなたも参加していたか?
佐野りら証人:はい、佐野と共にミーティングにも出席した。
市河弁護人:そこでは佐野さんは「売り上げが低い」とか言っていたか?
佐野りら証人:はい、佐野が売上について話したことは聞いている。佐野はミーティングで指示以外に、神様のこと、神書について、スタッフや客のこと、日々の改善点についてなど話していた。
市河弁護人:ミーティングの頻度は?
佐野りら証人:週1〜2回のときや、多いときは週に3回の時も・・
市河弁護人:ミーティングの時間は?
佐野りら証人:30分だったり1時間〜3時間のときもあった
市河弁護人:佐野孝さんの当時(H18)の活動は?
佐野りら証人:平成18年には、佐野はスタッフや客にも取次した。月の3分の1は出張。神様からの御歌の作成などを行っていた
市河弁護人:佐野さんは奇跡の話というのをたくさん集めて出すようにと指示をしていた?
佐野りら証人:奇跡の話は、客が積極的に書いていた。
市河弁護人:その際に、出された体験談に修正を加えることをしていたか?
佐野りら証人:奇跡をいただいたお客様が、興奮のあまり、「絶対御祈願すれば」とか、「絶対○○すれば」など、積極的に書いたものに対し、組織としてそれを容認することを懸念したものに関してや、「○○先生から」など客が勘違いしているものに関しては、本人の了承を得た上で修正したことがある。
市河弁護人:斉藤亨と佐野さんがミーティングをしていて、そこにあなたも参加したか?
佐野りら証人:いえ、それはない
市河弁護人:あなたはH18年当時、斉藤亨と話をしたことはあるか?
佐野りら証人:H18年の神世界大祭の前夜祭で初めて会ってご挨拶したことはある
市河弁護人:淺原史利(当時は天野先生)と彼の奥さん淺原嘉子(当時は橘とか協会長)と佐野さんはえんとらんすアカサカの経営に関するミーティングは行われていたが、そこに参加したことはあるか?
佐野りら証人:私は参加していない
市河弁護人:あなたは佐野さんの収入がいくらだったか覚えているか?
佐野りら証人:佐野の収入については、全てを把握していたわけではないのでよくわからない。
市河弁護人:佐野さんがカードでエルメスとかブルガリなどの買い物をしていたことはあるか?
佐野りら証人:はい
市河弁護人:その買い物の中身は?
佐野りら証人:佐野本人が身に付けるようなものではなかった。
佐野りら証人:母(KR山E子)が離婚したばかりで自己破産もしたため、クレジットカードが作れず、そのため母の活動に必要なものを購入するなどした。
佐野りら証人:また、自分達は2年近く一緒に住んでいなかったので、佐野が気を遣ってくれて、誕生日や結婚記念日にプレゼントをしてくれたことはある。
佐野りら証人:拠点内には色々な人が来るので、食器やティ−カップなどを購入した。
佐野りら証人:佐野が、所謂ブルガリやエルメスなどで購入した身に付けるものは、ネクタイや靴だけだ。
市河弁護人:神書の教えでは、肉を食べることは良くないとされていましたが、佐野さんは肉を食べたり牛乳を飲んだりしていたことはあったか?
佐野りら証人:(佐野は)基本的には所謂ベジタリアン、菜食。出先で付き合いの際に魚類などを食べることはあった。
市河弁護人:えんとらんすアカサカが3社に分社した際、それらの分社した会社にお金を貸し付けたことはあったか?
佐野りら証人:会社を立ち上げるために必要な資金を貸し付けたことはあった。
市河弁護人:平成19年12月の強制捜査後や、杉本明枝が逮捕された後、佐野さんから何か相談はあったか?
佐野りら証人:佐野は自分に相談したことがある。
佐野りら証人:平成20年頃、佐野はお金を返したい、返さないといけないというのが神様の御意志、すぐに自分もそのようにしたいが、そうではない意見があり悩んでいる、との相談があった。その相談の頻度はだんだん高まり、逮捕前には何度も強い言い方で言っていた。
市河弁護人:プライベートな旅行は?
佐野りら証人:佐野は、えんとらんすアカサカ活動に忙しく、プライベートな時間、旅行などする時間はなく、NYから戻った後に1〜2回、近場の海外に行ったことがあるだけ。場所は、アメリカ関係。
⇒このあたりから、「まあー、あのー」が非常に増える。
佐野りら証人:平成18年頃は、本当に24時間、自分のためやお酒、遊びなどなく、本当に24時間専業、全身全霊で活動していた。
市河弁護人:佐野さんが、神世界のナンバー2であるとの認識はあったか?
佐野りら証人:そのような認識はなかった
市河弁護人:佐野さんが神世界というところに属しているという説明はあったか?
佐野りら証人:説明があったかどうかは、よく覚えていない。そういう所に属しているとは聞いていた。
市河弁護人:今回、佐野さんが、組織的詐欺に訴因変更されたことを認めたことに関して、あなた自身は?
佐野りら証人:裁判を傍聴する中で、詐欺があったと自分も認めた。
市河弁護人:詐欺を行ったことを、あなたはどう感じている?
佐野りら証人:被害者に対しては、このような事態になってしまったことに対し、ご迷惑をおかけして申し訳ないと思っている。
佐野りら証人:妻という立場でも、統括室の責任者としてもお詫びしたい。
市河弁護人:佐野さんは、悩みをさらけ出すタイプ?
佐野りら証人:いえ、佐野は普段から話をしない、一人で悩みを抱えてしまうタイプ。本人(佐野)の話をもっとよく聞いてあげれば、と、私自身も反省している。
市河弁護人:今後、神世界との関係は?
佐野りら証人:今後は神世界と離れる。ご覧の通り、佐野が車椅子状態なので、まずは体調を整えてから・・。
佐野りら証人:今後は、アトピーやアレルギー、食事制限などをもつ人のために、動物性ではないものや大豆などを安く販売、美味しく楽しく、そういう会社をやっていく予定。もう準備もしている。
市河弁護人:佐野さんの状態は?
佐野りら証人:佐野は保釈された日の朝、動けなくなり、車椅子で警察を出た。
佐野りら証人:12月半ばに保釈後、自分一人ではトイレにも行けず、自分が付きっきり。筋力が低下してしまっている。
●尾崎弁護人による尋問(要約)
尾崎弁護人:平成15年にアメリカに行っているが、これはお金になったのか?
佐野りら証人:アメリカ滞在中は収入を得ていなかった。
尾崎弁護人:お金目的で行ったと言うことではない?
佐野りら証人:はい
尾崎弁護人:アメリカ布教の際、佐野はどのようなことをしていたのか?
佐野りら証人:佐野がしていたことは、9.11の件で神様からの御意志を受け取ったり、お祈りしたり、神様のお話をしたりなど。自分達は英語が話せず、佐野は特に話せなかったので、自分が辞書を引きながら、つたない英語で頑張った。
尾崎弁護人:検察によると、不幸な被害者の話があったが、その反面、感謝している客もいると話もあった。、代表的な例は?
佐野りら証人:代表的なのは、若い女性の癲癇(てんかん)が良くなったケース。3週に1度、時と場所を選ばない癲癇の発作に何年にもわたって何度も悩まされていたのに、御祈願後、全く起きなくなった人がいる。
尾崎弁護人:サロンには、「奇跡の体験談」が置かれていたか?
佐野りら証人:はい、奇跡の体験談は3冊に及び、60人位の体験談が綴られていた。
尾崎弁護人:佐野被告の性格について、具体的に聞かせてほしい。人に優しいところがあるか?
佐野りら証人:はい、優しいを通り越して、人にとにかく気を遣う。私利私欲がなく、趣味も読書くらい。全身全霊で御神業に取り組み、夜中に体調が悪い客がいれば寝ないで遠隔している姿も近くでずっと見てきた。
尾崎弁護人:佐野被告は、御霊光や御祈願の活動はいつまで行っていたか?
佐野りら証人:平成19年12月以降、この4年間は予約を一切受けていない。
尾崎弁護人:神霊鑑定“士”なのか、神霊鑑定“師”なのかどちらなのか?
(「証人に確認する内容ではない」と裁判長から注意を受けるが、尾崎弁護士は証人の意見を聞きたいと主張)
佐野りら証人:私は武士の「士」だと思う。
尾崎弁護人:弁護士の「士」ですね。
●前田検事による尋問(要約)
前田検事:あなたは、「このようになることは予測できたにも係わらず」と述べたが、それは佐野被告に言われたのか?
佐野りら証人:はい
前田検事:いつ言われたのか?
佐野りら証人:今回の事件後に言われた
前田検事:事件以前は?
佐野りら証人:言われていなかった
前田検事:あなた自身が、今回の事件を詐欺だと認めたのはいつか?
佐野りら証人:今回の裁判を通して、本人が詐欺だと認めた時点で私も詐欺だと認識した
前田検事:事件があった当時は、詐欺だとあなたは思っていなかったのか?
佐野りら証人:はいそうです
前田検事:あなたは神世界やえんとらんすという組織は宗教組織だと認識しているのか?
佐野りら証人:はい、認識しています
前田検事:客から宗教かどうかと聞かれたことは?
佐野りら証人:私の記憶では私自身が聞かれたことはなかったと思う
前田検事:えんとらんす内部では、宗教かどうかという認識について、一般的にどうだったのか?
佐野りら証人:内部でどうかという全体的な考えについては分からないが、当時の私の考えでは、既存の宗教とは違うと認識していた
前田検事:佐野被告からミーティングで「ここは宗教ではない」と言うよう指示があったことは知っているか?
佐野りら証人:…(しばし答えに詰まる)既存の宗教とは違うと話があったのは知っている
前田検事:えんとらんすの内部では、御霊光のことをヒーリングとかアイディールと言っていたね?
佐野りら証人:はい、そういうときもあった
前田検事:神霊鑑定についてはカウンセリングと言っていた?
佐野りら証人:神霊鑑定という言い方もしていた
前田検事:新規の人にも神霊鑑定と言っていたか?
佐野りら証人:言っていたときもあると思う
前田検事:新規の客を獲得するために、入りやすいように「ヒーリング」や「カウンセリング」と言うことはあったか?
佐野りら証人:そういうときもあった
前田検事:あなた自身には神霊能力はない?
佐野りら証人:はい
前田検事:あなたは、事件当時は佐野被告に神霊能力があると思ったのか?
佐野りら証人:あると思った
前田検事:淺原史利被告や淺原嘉子被告には?
佐野りら証人:あると思った
前田検事:あなたの認識では神霊能力とはどのようなものか?
佐野りら証人:神霊能力とは、神様からのメッセージを受け取れる能力。客の相談内容の答えを伝えるためのもの。そのような能力を授かることによって、カウンセリングの際に神様にお聞きして、相手に伝えるという・・・
前田検事:あなたに神霊能力はないにしても、見えないものが見えたり、未来が分かるなど霊に関する能力はあるか?
佐野りら証人:全くない。
前田検事:当時あなたは、スピコン(スピリチュアルコンベンション)で、「リズムバランス」という名前のものをしたことはないか?
佐野りら証人:あります
前田検事:それは、「当てもの」ということか?
佐野りら証人:うーん・・・・、当てものというのかどうか…
前田検事:具体的には、お客さんの痛みの部位を当てるということをしたのでは?
佐野りら証人:はい、やったかもしれない・・・
前田検事:Tさん、Kさんの供述調書には、あなたと一緒にやったと記載されている
佐野りら証人:よく覚えていないが、やったと思います
前田検事:Tさんの供述調書には、あなたが痛みの部位を特定したとあるが、あなたはどのようにして痛みの部位を特定したのか?
佐野りら証人:御霊光の取次を相手の方にしていく中で、相手の方が、頭が痛いとか肩が思いとか感じることがあったので、それを相手に伝えた
前田検事:御霊光を通じて感じたことを伝えたということか?
佐野りら証人:そうです
前田検事:初めて会う客に御霊光の前に当て物したのでは?
佐野りら証人:御霊光しながらしていた
前田検事:当てものの際、頭を空っぽにして頭に浮かんだことを書き込むよう話してていないか?
佐野りら証人:はい。取次ぎのときも○*△×%#*・・・
⇒史利被告がちらっと含み笑いをする
前田検事:頭空っぽにしてというのは、神霊能力では?
佐野りら証人:いえ、神霊能力ではない
前田検事:史利被告が神霊能力開発講座でそのような説明をしたが、あなたはそういう認識ではない?
佐野りら証人:全くない
前田検事:今後、えんとらんすの活動はしていかない?事務所はどうなっている?
佐野りら証人:はい。すべて知っているわけではないが、えんとらんすは解散・・・自主的に活動されている方が何かしているか分からないが・・○*△×%#*・・・
前田検事:スタッフは解雇?いつ頃?
佐野りら証人:はい。はっきり分からないが去年
前田検事:どうして解散?
佐野りら証人:このようなことになって被害者に迷惑おかけしたことと、逮捕拘留されていたので会社自体が回らないので
前田検事:解散を決めたのは佐野被告?
佐野りら証人:誰か分からない。弁護士と相談して決めたことと思う
前田検事:えんとらんすの人たちが裁判後、名称を変えるなどして活動することは?
佐野りら証人:(一瞬、答えに詰まる)主人はしないが、他の人たちに関しては分からない
前田検事:あなたのお母さんは活動を続ける?
佐野りら証人:母も神世界からは離れると決めている
●大久保検事による尋問(要約)
大久保検事:あなたのお母さんの立場などについて詳しく話してください。
佐野りら証人:母(KR山E子)は、平成11年に会員となり、スタッフ、先生を経て、平成18年3月の分社化で、わーるどヒルズの社長になった。
大久保検事:お母さんは、神霊能力があったのか?
佐野りら証人:はい
大久保検事:お母さんが離婚したのはいつ頃?
佐野りら証人:母が離婚した時期は、はっきり思い出せないが平成15年頃だと思う
大久保検事:活動を始めた後ですね?
佐野りら証人:はい
大久保検事:お母さんは自己破産したとのことだが、どのような立場のときに自己破産したのか?
佐野りら証人:スタッフのときだと思う
大久保検事:その当時は収入はなかったということ?
佐野りら証人:その当時、母が収入を得ていたのかどうかは、自分はアメリカに行っていたのでよくわからない。
大久保検事:一旦は自己破産したにしても、その後、スタッフ、先生、社長という立場になっていたということは、収入を得ていたのでは?
佐野りら証人:はい、そうした立場になってからは給料を得ていた。
大久保検事:あなたは先ほど、お母さんが自己破産したことと、佐野被告がお母さんにプレゼントをしたことを結びつけて説明したが、本当にそのような関係にあったのか?生活に困っているお母さんに、豪華な品をプレゼントしたということか?
佐野りら証人:生活に困っているということではなく、クレジットカードを作れない母に対し、わーるどヒルズ設立にお金を使った母に、佐野が気を遣って、買ってくれたと思う。
大久保検事:それが、エルメスやブルガリだったということですね。
佐野りら証人:はい
大久保検事:アメリカでの布教は半年で止めたということだね?
佐野りら証人:はい、そうでした
大久保検事:布教については、なかなか理解してもらえなかったということ?
佐野りら証人:半年で止めたのは、理解してもらえなかったというより、VISAが半年で切れたから。
大久保検事:神様からこうするべし、と言われたことが達成できていないということ?
佐野りら証人:達成したか否かは特に詳しく聞いていない。
大久保検事:神様から言われてアメリカに行ったという話でしたね?
佐野りら証人:そうです
大久保検事:それに対して、あなたは目標を達成できたかどうか未だに知らないということ?
佐野りら証人:目標を達成できたかどうかは○*△×%#*・・・だ。
大久保検事:いま、振り返ってみたら?
佐野りら証人:今振り返ると、海外への足がかりになった。一歩踏み出した意味があったと思う。
大久保検事:奇跡話の添削については、「先生に良くしていただいた」等を「神様に良くしていただいた」に直した以外では、どのような内容を直したのか、もう一度言って下さい。
佐野りら証人:本人が、良くしていただいたことをとても興奮のあまり、その勢いで、「御祈願すれば、御霊光を受ければ・・」と保証する表現を書いた場合は、組織として懸念した。
大久保検事:客が感激のあまり、「御霊光はこんなにすごい。御祈願を受けたらこんなに良くなります」と書いた内容が奇跡の話のエッセンスじゃないんですか?
佐野りら証人:あのー、そのー、ちょっとニュアンスがあって、「絶対こうするとみんな良くなる」という言い方は良くない、なぜならそれは神様が決めることだから○*△×%#*・・・
大久保検事:(検察官も呆れながら)あなた方の活動の根幹は、”神様と取り引きすればみんな良くなる”ということであり、それを宣伝していたんじゃないんですか?
佐野りら証人:・・・・みんな良くなるという言い方は・・・しません
大久保検事:なぜです?
佐野りら証人:神様がよくするかどうかを決めるので・・○*△×%#*・・・
大久保検事:神様が取り引きをしても、良くしてくれないこともあると、あなたは思っていたの?
佐野りら証人:よくしていただけるように・・○*△×%#*・・・
大久保検事:それなら奇跡のファイルに入れておいてもいいんじゃないですか?
佐野りら証人:○*△×%#*・・・○*△×%#*・・・○*△×%#*・・・(意味不明)
大久保検事:それはあなた単独の判断ですか?
佐野りら証人:私の判断と、場合によっては主人と相談した。
大久保検事:つまり、人によっては必ずしも良くならない場合もあるというが共通認識だったということ?
佐野りら証人:奇跡は神様が○*△×%#*・・・(意味不明)
大久保検事:H19年の強制捜査後に、佐野被告が、「金を返さねばならない、しかもすぐに返さなければいけないと神様が言っている」と相談された?
佐野りら証人:相談ではなく、ぽつりぽつりと言っていた。
大久保検事:返さなくてはいけない理由については?
佐野りら証人:神様がそうおっしゃっているからというのが理由なのかと思った。
大久保検事:(佐野会主は)自分もそう思っていたということか?
佐野りら証人:はい
大久保検事:一旦受け取ったものを返すということは、通常行われていたのか?
佐野りら証人:通常どうだったかはよく分からない
大久保検事:本当に分かりませんか?
大久保検事:一旦神様に納めたものを返すことについては、絶対に返してはいけないということになっていなかったか?
佐野りら証人:絶対ということはなかったように思う
大久保検事:じゃ、返すこともある、そういうことは当たり前だとあなたは思っていた?
佐野りら証人:○*△×%#*・・・
大久保検事:ところがなかなか返さなかったね?
佐野りら証人:はい
大久保検事:その理由についてあなたはどのように認識していたか?
佐野りら証人:○*△×%#*・・・えー、何か理由があって返せないのかと思って○*△×%#*・・・
大久保検事:その理由について誰かに尋ねたりはしなかったのか?
佐野りら証人:○*△×%#*・・・自分が佐野に尋ねればよかったと反省してる
大久保検事:いま反省しているかを聞いているのではない。当時あなたはどう思っていたかを聞いている。
大久保検事:当時、佐野被告はかなり地位が高かった。会主様でしょ。初代の神霊鑑定士が、神様が返せと言っているのに、なぜ返さないのかということについて、あなたは疑問に思わなかったのか?
佐野りら証人:疑問ではなく、なにか事情があるのかと思って・・・
大久保検事:当時、それ以上は質問しなかったということだね?
佐野りら証人:はい
大久保検事:何か質問しなかった特別の理由は?
佐野りら証人:○*△×%#*・・・
大久保検事:特別の理由はないということだね?
佐野りら証人:はい
大久保検事:「予測していたのに防げなかった」ということを、保釈後の佐野被告から説明を受けたということですね?
佐野りら証人:はい、そうです
大久保検事:あなたは、どのような事態が予測されていたと思うか?
佐野りら証人:○*△×%#*・・・
大久保検事:佐野被告は、当時から詐欺行為になるということを予測していたのに防ぐことができなかったということを、告白のようにあなたは理解していたということか?
佐野りら証人:いつからかは、私は具体的に分からないがそのような理解はあったのかと思う。
大久保検事:あなたも、いつかはこうして詐欺行為が行われると予測していたのか?
佐野りら証人:私は全く予測していなかった。
大久保検事:だとしたら、この話を聞いたときに、あなたはとても衝撃的なことだったのでは?
佐野りら証人:はい、びっくりした。
大久保検事:このようなことが起きることが予測されていたのに、防ぐことができなかった理由については問いただしたことは?
佐野りら証人:主人は体調も悪く、話すことも○*△×%#*・・・
大久保検事:聞いてないということだね。
大久保検事:今回の(事件の)流れは、「こうすれば病気が必ず直りますよ」と言っていたけれど、それはウソであって、お金をとることを目的としたことが詐欺であるということが事件の概要だということは理解しているか?
佐野りら証人:はい、理解しています
大久保検事:あなたの理解でも、そういうことを言ってお金をもらったら詐欺だと思うか?
佐野りら証人:そういうことが行われていたのなら詐欺だと思う。
大久保検事:今の時点でもあなたは、佐野被告は神霊能力を持っていると思うか?
佐野りら証人:思っている
大久保検事:今も?
佐野りら証人:持っていると思う
大久保検事:だとすれば、「神霊がこのように言った」ということを伝えたら、結果が間違っていたということは、なぜ起きるのか?
佐野りら証人:神霊能力は私にはないので分からない
大久保検事:高熱を発したまま、遠隔を受けても亡くなった方がいたという事実を、先ほど読み上げたのは覚えているか?
佐野りら証人:はい
大久保検事:なぜそのようなことが起きると、あなたは思うか?
佐野りら証人:千手観音教会には関係していないので、私にはよく分からない。何かあったのかという認識。
大久保検事:「こうなる」と言ったことが起きなかったということがこの事件の本質だ。そこから目を背けてしまったら、今後あなた自身が更正することができるのか、検察官として大きな疑問を持つから敢えて尋ねている。
佐野りら証人:はい。
大久保検事:「結果が起こる」と言っていながら起こらなかったというのは、神霊鑑定で聞いたことと違うことを佐野自身が述べたと理解しているのか、それとも神霊が違っていたのか、あるいは神霊能力がないのか、あなたはどう思っているのか?
佐野りら証人:神霊能力のある方が、誤解を与えるような発言をしたことでこのようなことがおきたのではないかと思う。私は神霊能力がないのでよく分からない。
大久保検事:今回のことがなぜ起きたのか、佐野被告から詳しい話は聞いていないということだね?
佐野りら証人:はい。
大久保検事:あなたは神霊能力がないから詳しいことはよく分からないということだね?
佐野りら証人:はい。
●裁判長による尋問(要約)
■裁判長:あなたは今でも佐野被告が神霊能力を持っていると言っているが、その場合の神霊能力とはどのようなものか?
佐野りら証人:神様の声を聞いて、それを伝えることができる能力だと思っている。
■裁判長:いまでも佐野被告は御霊光の取り次ぎをしているのか?
佐野りら証人:平成19年の12月以降はしていない。
■裁判長:個人的に、あなたや家族に対して取り次ぐこともないのか?
佐野りら証人:はい、ありません。
■裁判長:だったら、今でも神霊能力があるかどうか分からないじゃないですか?
佐野りら証人:あのー、そのー、神霊能力があると言ったのは、以前、神霊鑑定を受けたときのことであり、今でもあるかどうかは分かりません。すみません・・・
■裁判長:以前、あなたが神霊鑑定を受けたときには神霊能力があったから、それが今でもあるだろうということか?
佐野りら証人:今現在はわからないが、当時はあった。
■裁判長:では、午前中はここまでとします。
●11:55、午前の部終了
昼休憩 |
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地裁からも近い横浜中華街 |
●午後の部(13:30より)
■淺原史利被告への被告人質問
淺原史利被告が証言台へ。背筋を伸ばしつつ、下向き加減でボソボソとおとなしい男の素振りで質問に答えていく。アカサカの特別室や祭典での態度とは異質でありながら、言い回しや切り返しのイヤラシさは「天野先生」らしさを振りまいていた。
●市河弁護人による被告人質問(要約)
市河弁護人:あなたは組織的詐欺で起訴された事実を認めている?
史利被告:はい
市河弁護人:神世界に入る前の職業は?
史利被告:山梨県にある公立病院でリハビリの仕事をしていた
市河弁護人:資格があるの?
史利被告:理学療法士
市河弁護人:どのくらい勤めていた?
史利被告:3つの病院をまたがって平成元年から平成13年4月まで
市河弁護人:千手観音教会に初めて行ったのは?
史利被告:平成9年
市河弁護人:きっかけは?
史利被告:平成8年に第1子死産、平成9年に第2子流産。ともに失った日が3月16日で因縁めいたもの感じていた。妻の方から千手観音教会という所があるから行ってみたいと話があった。平成9年夏頃、聞いた
市河弁護人:それで千手観音教会へ行き、御霊光を受けたのか
史利被告:妻は現地へ赴いたが、私は遠隔で体験した
市河弁護人:千手観音教会へ行ったときも受けたか
史利被告:はい
市河弁護人:初めて御霊光を受けたとき、体感はあったか
史利被告:体中あたたかくなるような感覚があった
市河弁護人:健康状態は?
史利被告:中学生のときに野球で壊して以来、ひどい腰痛に悩まされていた
市河弁護人:御霊光をして腰痛はなくなったのか
史利被告:すぐにはとれなかったが、継続的に受けるようになって半年くらいでほぼ・・・
市河弁護人:御霊光の効果は本当かなと疑問はなかったか
史利被告:妻のバセドウ病がだいぶ落ち着いていた。病院に勤めていた自分に想定できなかった。8,9年よくならなかったのがよくなった。何かあるんじゃないかと疑いの念を持ちながら通っていた
市河弁護人:疑いを持ちながら通ったの?疑いが消えた?
史利被告:十数年悩まされてきた腰痛、専門的知識を得て自分自身で治療してきた腰痛が、何年かけてもとれなかったのが半年から1年でとれた。また、7年も8年も専門的治療を受けてきながらよくならなかった妻の状態が約1年でよくなり、医学的な知識で理解しようと努めてきたが、理解できなくなって事実をありのままに受け止めようと気持ちが変わった
市河弁護人:千手観音教会に通っていたとき、御霊光の効果なく、亡くなった人が出たことは知っていたか
史利被告:客時代のときは聞いたことはない
市河弁護人:アカサカの役員になってからは?
史利被告:えーと、過去にいたと聞いたような覚えあるが、具体的には知らない
市河弁護人:役員になったきっかけは?
史利被告:当時、佐野先生から御霊光を広める活動を一緒にやらないかと言われた
市河弁護人:病院を辞めてアカサカの職員になった?辞めるとき悩んだりしなかったのか
史利被告:はい。仕事に誇りを持ち、ある分野で研究していたので迷った。私と妻が奇跡と言っていい・・・、時間とお金と労力をかけて治らなかったものが神様の言われた通りの・・・で治った。御霊光を世の中に広めたいという気持ちが芽生えた
市河弁護人:アカサカの拠点は?
史利被告:現在の本店所在地ひとつ
市河弁護人:従業員は?
史利被告:佐野、嘉子、私、E藤M弓というスタッフ4人で始めた
【あれ?最初は斉藤もいた話聞いたけどー】
市河弁護人:東京進出したのは?
史利被告:平成13年秋頃だったと思う
市河弁護人:神世界や佐野の指示の元?
史利被告:特別、指示があったと記憶していない。取締役の3人の合議で、御霊光を広めていくには山梨だけでは難しい。日本の中心である東京で広めていこうという話だった
市河弁護人:最初の拠点は?
史利被告:上大崎(品川区)
市河弁護人:品川、青山サロンは?
史利被告:品川は平成16年頃、青山は平成17年くらい
市河弁護人:場所は会社名義?
史利被告:そうです
【そうですかぁ?天野先生名義の所とか、会社名義でない所もありましたよねぇ?】
市河弁護人:神霊能力とは?
史利被告:神様という存在が先ずあり、神霊界に神霊があり、人間界があり、神霊からのメッセージを人間に伝える能力と認識している
市河弁護人:神霊鑑定とは?
史利被告:神霊能力を用いて、相談者の質問に神霊からの回答を与える
市河弁護人:御祈願は?
史利被告:御祈願される方が望むもの、プラスを増やす、マイナスを減らす、それを御玉串を神様におあげしてお願いする行為
市河弁護人:御玉串とは?
史利被告:神様にお願いするときにおあげする浄財
市河弁護人:お布施ということ?
史利被告:はい
【浄財??初めて聞きました】
市河弁護人:御礼は?
史利被告:神様から与えられたよい結果に対して、ご自分の意志によって感謝の気持ちを表すもの
市河弁護人:御霊光とは?
史利被告:信仰の対象としている太陽神から発せられるプラスのエネルギー。それによって・・・変化を得られ、幸福になるもの
【信仰したことはありません】
市河弁護人:活動してきた行為は宗教?
史利被告:はい、宗教です
【後ろからどついたろかー】
市河弁護人:宗教ではないという言葉を使っていた?
史利被告:はい。我々が行っていた御神業は、これまでの宗教とは違う、宗教を超えた宗教というような認識。神書に信じるということを土台にしたものは宗教であって、宗教そのものを神書では否定的にとらえていたので、自分達が行っている活動を宗教と呼ぶことはできなかった
【意味不明。すご〜い♪神書のせいにしている】
市河弁護人:客やスタッフからここは宗教ではないかと聞かれてどう答えた?
史利被告:宗教ではない。神様がオーナーの会社です。表面的、外部から見たら・・・宗教と見られて仕方ないが、・・・宗教ではないと、分かりにくい説明だったと思う
【今更、何言ってんだか。そんな説明で通用すると思ってんのかよ、大根役者!】
市河弁護人:超宗教と宗教じゃないは同じ意味?
史利被告:同義だと思う
市河弁護人:超宗教だとスタッフや客へ説明したことは?
史利被告:超宗教という言葉を使ったことはないが、宗教ではないと○*△×%*・・・・・・
市河弁護人:それって、分かりにくいと思わないか
史利被告:はい、今思えばそう思う
市河弁護人:宗教ではないと言うように佐野に指示されていた?
史利被告:一般会員から通っているときから聞いていたので、あまり抵抗なく、受け止めていなかったと思う。私にとっては、私や妻の身体的状態がよくなることが大事で、それをどのような名称で呼ぶかは大事ではなくなっていた
市河弁護人:どうやって神霊能力を授かったか
史利被告:佐野さんから授かったと言われた。平成14年始め頃。最初はとまどった。佐野さんのように長年修行されている方、魂のレベル高い人が授かるのではないかと思っていた
市河弁護人:そう言われて能力があるか試してみた?鑑定はやった?
史利被告:それはどういう仕組みになっているだろうかとか、街を歩いているときにこの店はどういう状況だろうとか、知識では知りえないことを神霊に聞いてみるようなことをやっていた
市河弁護人:トレーニング?
史利被告:はい
市河弁護人:神霊からのメッセージに確信を持ったことはある?
史利被告:当初は神霊を受け取れる状態ではなかった。本当にそうなんだろうかと疑問があった。しかし、私と妻が奇跡を頂いているということを思い出した。奇跡を下さった神様が授けてくれたのであれば、その役割の元に使っていこうと少しずつ神霊能力というものに対し、前向きになった。それにともなってメッセージを受け取れるようになった
市河弁護人:神霊能力開発講座を主催した?
史利被告:平成14年の10月か11月、講師を担当するよう佐野さんから言われた
市河弁護人:佐野さんが本来やるのでは?
史利被告:NYに行くことになっていたので、代わりに私がやることになった
⇒斉藤被告、唇を噛み締め、目線は宙を仰いでいる
市河弁護人:平成14年に授かって同年10、11月には講座では、人に教えるのは荷が重かったのでは?中身はあなたが考えた?
史利被告:佐野さんから指導頂いた。
市河弁護人:全部、佐野さんから?
史利被告:はい
市河弁護人:その後のフォローアップ講座は何ゆえ開いた?
史利被告:よく分からないという人に対して納得できるまで
【納得できた人なんていたかなぁ〜】
市河弁護人:講座を受けた中で授かっていない、身についていないという人はいたか
史利被告:分からないという人はいた
【みんな分からなかったと思うけど?分からなくていいって言っていたのはあなたでしょ】
市河弁護人:フォローアップ講座は何回?
史利被告:回数は決まっていなかった。希望の人どうぞとお誘いした
【出ろ、出ろ、ってオバサン先生に言われたから出たんだけどなー】
市河弁護人:参加費用は?
史利被告:3回の講座の出席の御玉串は1回10万円と佐野さんから・・・
市河弁護人:御礼の金額は?
史利被告:私が神霊にお願いして聞いて、教えて頂いたものを伝えていた
市河弁護人:誓約書を書かせた?
史利被告:はい。アカサカで講座をしたが、様々な会社からきていたので講座後、継続的に指導できる立場になく、それぞれの責任者の下で・・・、その意味で自分で責任を持って発揮して頂くという自覚・・という意味を込めて・・・
市河弁護人:佐野の指示?
史利被告:3人で合議だったように思う
市河弁護人:分割で払う取り決めした?
史利被告:一度におあげする人少なかった
【講座の前から分割の話、ありましたけど?】
市河弁護人:全額頂けた?
史利被告:いいえ
市河弁護人:回収額低い?
史利被告:はい
市河弁護人:督促した?
史利被告:おあげした金額を忘れている人が目立ち、いくらか聞く人が多くなり、分かるように用紙作った。3〜6ヶ月以上、滞っている人に1回だけ通知した。後はご本人に任せた
市河弁護人:終了は?
史利被告:一年後くらい。希望者が終わった
市河弁護人:神世界や佐野さんから指示は?
史利被告:あった記憶ない
市河弁護人:証人Dの子宮筋腫に関する御相談を受けた?
史利被告:私が受けたのは、子宮筋腫そのものの御相談ではなくて、耳鳴りに関して。子宮筋腫に関しては、取次ぎのときに聞いた
市河弁護人:御祈願以前に神霊鑑定をしたということ?
史利被告:はい
⇒史利被告、座りなおして姿勢を正す
市河弁護人:内容は?
史利被告:耳鳴りの解消と家の中で転落死した方がいるのでどのようにすればいいかなどの相談
市河弁護人:その際、家系図や家の見取り図を提出させた?
史利被告:はい
市河弁護人:神霊鑑定時には必ず提出してもらうのか
史利被告:全件ではない。5万円で複数の相談の場合
⇒斉藤被告、史利被告を少し見る
市河弁護人:お浄めとは?
史利被告:土地、墓地、屋敷神、マイナスを帯びている所を神様の御霊光によってマイナスを消して頂くもの
市河弁護人:従業員Cに指示した?
史利被告:はい
市河弁護人:どうしてあなたがしなかった?
史利被告:当時、従業員Cは神霊能力を授かっていたので神様から頂いた役割をしっかりやっていってほしいと思って、やってもらった
市河弁護人:証人Dが子宮筋腫で悩んでいること、特別御祈願をしたいと思っていることを従業員Cに伝えた?
史利被告:子宮筋腫に関しては従業員C以外のスタッフから○*△×%#*・・・、取次ぎをしながら神霊から頂いた内容を従業員Cに伝えた
市河弁護人:御玉串の金額を神霊に聞いて決めるよう従業員Cに伝えた?
史利被告:はい
市河弁護人:100万の金額を証人Dに言うように指示しなかった?
史利被告:私がですか?していません
市河弁護人:あるいは高額の金額を言うように指示しなかった?
史利被告:していない
【すっとぼけ演技、みっともないよ】
市河弁護人:100万になったと従業員Cから報告を受けた?
史利被告:はい。神霊鑑定の結果そうなったと報告を受けた
【よくも抜け抜けと!さすが詐欺師!】
市河弁護人:100万の御祈願が決まったと教会長へ連絡した?
史利被告:したと記憶している
市河弁護人:祈願内容について連絡したのか
史利被告:教会長に御祈願をお願いするという電話だったと思うが、祈願前か、後に会話をしたのかはっきりしていない
市河弁護人:証人Eはあなたが神霊鑑定した?
史利被告:はい
市河弁護人:子宮が厚い薄いの話、覚えている?
史利被告:はい
市河弁護人:X線を投射するように子宮が見えたのか
史利被告:いいえ。神霊に聞いて、メッセージとして。霊体の子宮が部分的に薄いと聞いた
【へぇー、霊体にも子宮があるんですかー。霊体って何か聞けばよかったのに、この説明であなた納得できるんですか、弁護人!】
市河弁護人:気圧の変化について・・・
史利被告:気圧の変化によって血流が変わるので、その変化が影響される○*△×%#*・・・、気圧の変化で状態がよくなくなるというのは神霊からのメッセージで、血流の変化というのは以前私が勤めていた頃の医学的知識を援用している・・・
【出た!得意の身振り手振り!】
市河弁護人:血流の話は神様じゃなくてあなた自身のの知識?
史利被告:過去の職業で得た知識
市河弁護人:一切合切とは?
史利被告:自分にマイナスの影響を与えているものを取って頂く御祈願
市河弁護人:金額、決まっている?
史利被告:会員として通っていたときから30万
市河弁護人:カウンセリングで証人Eに結婚よくないと伝えるよう指示したと従業員Cは言っているが?
史利被告:思い出せない
市河弁護人:霊的、環境的、毒素の3つに分類できると類型化して鑑定していたのか
史利被告:私自身は違う
市河弁護人:別の人は?
史利被告:分からない。あるパターンについて類型化したということは話したことない
【何、言ってんですか?!3つの分類の話、天野先生が教えてくれたんじゃないですかぁー】
市河弁護人:50万以上、100万以上と相場額があった?
史利被告:ありません
【へぇー、一切合切は昔から金額決まっていたのにねぇ。祈願額だって相場決まっていましたね】
市河弁護人:佐野さんとのミーティングで、経営に関して、売り上げが足りない、上げなきゃという発言あった?
史利被告:はい
市河弁護人:佐野さんから売り上げが足りないと言われ、責任感じていた?神霊鑑定、御祈願を増やすよう言われた?
史利被告:○*△×%#*・・・、新しい人を増やす、来ている人の頻度を増やす、鑑定を増やすという3つ
市河弁護人:ロイヤリティー契約していた?神世界へ御玉串を納めていた?
史利被告:はい。物品販売以外、総売り上げの30%を神世界へ
市河弁護人:斉藤さんを知っていた?
史利被告:はい。
市河弁護人:ミーティングしたことは?議題は?
史利被告:はい。月に1回はアカサカに神世界幹部が来ていた。御霊光を頂いてどのような結果を頂いているか
市河弁護人:売り上げについては?
史利被告:あまり出た記憶ない。月に1回、報告書をあげていたので○*△×%#*・・・
【よく言うよ。神書を書かれた方にきつく言われたっていろいろ言っていたじゃないですかー】
市河弁護人:杉本明枝さんを平成18年に知っていた?
史利被告:はい
市河弁護人:E2で経営者していたことも?
史利被告:はい
市河弁護人:祭典で会って売り上げの情報交換した?
史利被告:いいえ
市河弁護人:平成19年の刑事事件前に民事でトラブルになっていたこと知っていた?
史利被告:平成19年12月以降に聞いた
市河弁護人:お付き合いしていたことは?
史利被告:ない
市河弁護人:佐野から接触するなと言われていた?
史利被告:うーん、具体的にはない。縦のつながりが大事であって、人間同士の横のつながり○*△×%#*・・・・
横に対して、情報得る意志意欲なかった
市河弁護人:ミーティングでびびっと、みろくと比較されたことは?
史利被告:「前は2番目だが、今は3番目」、「このままだとえんとらんすなくなっちゃうよ」と言われたことはある
市河弁護人:最初、否認していた理由は?
史利被告:平成19年捜査関係者との関係があって・・・、平成22年に事件終わりにしたいので調書を取らなければならないので協力してくれと言われたのに、3月に杉本逮捕となり、捜査関係者から聞いたこと違ったので、事実全部話していいのかと思った。
【そこを指摘する?笑っちゃうね。自分達こそ、神様のスピードだとか言って、言うことやることをコロコロ変えていたじゃないですかー。警察の神様にだって、いろいろ事情があるのだよ。自分達のこと棚に上げるなよっ!!】
史利被告:逮捕拘留後に弁護士から差し入れられた調書を全部読み、公判で証言を聞き、これは自分達の言動の中でよくないことあったと思った
市河弁護人:自分の行為の何がよくなかった?
史利被告:私自身に病気を治す力ないと自覚していたのに、私に力があるように相手方に映ってしまった。私自身がすごいと思われるような誤解を招いてしまった
市河弁護人:詐欺の自覚ある?
史利被告:はい
市河弁護人:売り上げは事件が関係している?
史利被告:どういう意味?
市河弁護人:売り上げを上げろということが影響を与えている?
史利被告:数字を上げなければ、という思いはあった。
市河弁護人:それが詐欺行為を誘発したと思っている?
史利被告:はい。数字の評価上げなければ、と思ったのが原因と思う
【そうじゃないでしょ、詐欺だと分かっていてやっていたことにあなたの罪があるでしょう?おかしいくらい、自分以外のもののせいにしている。あなたが私達にそれじゃだめだと怒鳴りまくってきたをのは何だったんですか?散々、客やスタッフに言ってきて、一番、自分に甘いのはあなたじゃないですか。情けなさすぎです。数字のせいにするな!!】
市河弁護人:健康状態がよくならなかったことを訴えているのはどう感じている?
史利被告:結果が出なかったということに関しては、神霊鑑定において与えていた情報が神様の御意志とは違ったものが含まれていて、誤信させてしまった。私自身の言動に責任あると思う
市河弁護人:「心と言葉と行動」ということに関して、受けるだけでなく、受ける側の努力的要素必要と教えていた?
史利被告:祭典、神書の会で伝えていた
市河弁護人:被害者の努力足りなかったと考えていたのでは?
史利被告:○*△×%#*・・・・、今回の件に関しては、私自身、○*△×%#*・・・・、ご本人については私は分からない、ご本人にしか分からない。ご本人に考えて頂くしかない。○*△×%#*・・・・
市河弁護人:あなたに責任あるか
史利被告:はい
【それで本当に責任を認め、反省しているつもりかよ!】
市河弁護人:被害提訴に関して、民事裁判外返金を求めている人の支払い準備交渉中を聞いている?
史利被告:はい
市河弁護人:あなた個人として弁償しようと思っている?
史利被告:できる範囲で・・・
市河弁護人:今後は?
史利被告:えんとらんすは9月いっぱいで活動停止、法人は残っている。精査法人をつくり、滞りなく行われるように○*△×%#*・・・・
市河弁護人:今後、神世界の活動には関わらない?
史利被告:はい
⇒斉藤被告、傍聴席を意識してチラッと見る。無表情だが心中穏やかでないのか座りなおす様子あり
史利被告:私の至らない言動によってこのようなことになり、謝罪したい、弁済行為したいと思っている
●前田検事による被告人質問(要約)
前田検事:詐欺認める?
史利被告:はい
前田検事:証人Eの神霊鑑定した?
史利被告:はい
前田検事:子宮の壁の薄い・厚いの話した?
史利被告:「“霊体の”子宮の壁」と言った記憶がある
前田検事:「右前厚くて左後ろが薄い」、そのようなことを言ったか。神霊からのメッセージなのか
史利被告:はい
前田検事:「子宮は気圧の変化に影響されるのは、婦人科で証明されている」と言ったという点については?
史利被告:「血流の影響」と言った。証明されているということに関しては、「婦人科」でなく、「医学会では当たり前」と言ったと記憶している
【見苦しい言い訳】
前田検事:家系図見てる?神霊関係に必要だったのか
史利被告:どういう意味ですか?
前田検事:神霊鑑定に家系図は必要なのか?
史利被告:神霊鑑定は家系図見なくてもできる
前田検事:神霊能力があるのなら、家系図見なくても、どこに問題あるか特定できるのでは?
史利被告:家系図にあることを言っているわけではない。○*△×%#*・・・、家系図がなく行う神霊鑑定もある、すべてが家系図が必要なわけではない
前田検事:絵を描いて説明した?家系図に書き込みしていないか
史利被告:記憶していない。○*△×%#*・・・証人Eがそう証言しているのであれば、そうなのかもしれないが、記憶しているかと聞かれれば、はっきり記憶していない
【天野先生らしい、イヤラシイ答え方】
絵を書いたかどうかについて、しばらく御託を並べる。
前田検事:あなたの神霊能力というのは、思いついたことを伝えるだけでイメージを伝えることはない?
史利被告:証人Eに限らず、絵を描いて伝えること何件かあった。○*△×%#*・・・
【結局、絵を描いたこと認めているぢゃん。素直ぢゃないねぇ】
史利被告:神霊能力開発講座では確かに「思いついたことを述べる」と言ったので言葉に限定したためにそう取られるかもしれないが、そのときに出てくるものが絵であれば絵である。言葉に限定されず、絵、映像も含めて・・・
前田検事:ということはあなたの神霊は言葉だけでなく、映像も伝えられてくるのか
史利被告:言葉だけのときもあるし、両方のときもあるし・・・、私にはそれはコントロールできない
【このセリフ、よく覚えておいてね】
前田検事:証人Dから子宮筋腫の相談を受けた?
史利被告:相談を受けたというか、普通の会話の中で証人Dから筋腫の話を聞いた
【畏れ多い天野先生と普通の会話でそんなこと話すかー?】
前田検事:手を下腹部に持っていった?
史利被告:はい。証人Dに限らない。取次ぎをしていた。
取次ぎの説明
⇒斉藤被告、無表情のまま、検事をじっと見る。佐野被告はうつむいたままでいる
前田検事:あなたが証人Dに話したのは神霊からのメッセージでいいのか
史利被告:はい
【厳密な天野先生が鑑定以外で神霊からのメッセージをサービスするかなぁー】
前田検事:手をかざすのは神霊からのメッセージに必要だったのか?
史利被告:手をかざす行為と神霊のメッセージはくっついていない。手をかざさないとメッセージが頂けないということではない。取次ぎをしているときにその話したのかも
前田検事:お祖母さんの霊の話をした?
史利被告:えー、えっと・・・、先祖と言った記憶ある
【どっちでもいーよ。小さいところにこだわるな】
前田検事:従業員Cのカウンセリングを受けるよう勧めた?
史利被告:はい
前田検事:証人Dの子宮の問題を従業員Cに伝えなければならなかった?
史利被告:御玉串を決めるよう従業員Cにお願いしたので、鑑定内容が分からないと従業員Cが進め方を分からないと判断したので伝えた
前田検事:従業員Cは神霊能力あったんだよね?
史利被告:はい
前田検事:従業員Cの能力は曖昧だったということ?
史利被告:曖昧かどうか私には分からない
前田検事:従業員Cに能力が授かっているのであれば、あえてあなたが内容を伝えなくてもいいのでは?
史利被告:相談内容については伝えるべきだと思う
前田検事:祈願の金額についてもあなたの方で神霊に聞いて伝えればよかったのでは?
史利被告:そうすることもできたかもしれないけど、・・・従業員Cに伝えた
前田検事:御霊光によって病気治ると思っていた?
史利被告:はい
【市河弁護人の尋問では、「私自身に病気を治す力ないと自覚していた」って言っていたけど?御霊光は治せるけど、私には治せないの?へ?】)
前田検事:確実に?
史利被告:それは、100%ということ?
前田検事:はい
史利被告:100%かどうかと言われると、神様は結果下さるが、私達人間がやっていかなければ、やっていかなければ100%と言えない
前田検事:御祈願や神霊鑑定で100%病気が治るということではない?
史利被告:鑑定そのものが結果を100%保障するのかと聞かれているのであれば、そうではない。結果を出せなかった人もいるので、御祈願そのものが結果を保障するのかと聞かれているのであれば、そうではない
【結果が出ないのは毒素が多いからだ、自分でも努力しなきゃだめっ!って散々、叱責してましたものね〜】
前田検事:「宗教ではない」と客に嘘をついていたということでは?
史利被告:超宗教という言葉を使わずに「宗教ではないです」という言葉を使ったので誤解を招いた
前田検事:ヒーリング、カウンセリングと言っていたよね?
史利被告:ある時期において。神様、御霊光という言葉を使うと敬遠されるので宗教っぽいのは受け入れてもらえないので、
御霊光を受けてもらえればなんとかなると思って○*△×%#*・・・、ハードルを低くした・・・
前田検事:新しい客を獲得するために意図的にしたのでは?
史利被告:逃げに徹したと言われればそうかもしれない。イメージだけで嫌わないで頂きたい、御霊光を体験して頂いて判断して頂きたいと思って・・・
【だから、それがもう答えなんだってば。人間にどう思われるか気にして、女性ウケするように表面上を加工しなきゃならないんでしょ?人間の都合に合わせなきゃならないような神様が本物と言える?御霊光に力があるのならばそんな小細工しなくても一発で貫通するってもんよ。「宗教」や「人間」を超えられなくて何が超宗教?】
前田検事:神霊能力開発講座の受講者に経営者、幹部の日原さん、葉子さんはいた?
史利被告:はい
前田検事:誓約書は全員に書かせた?
史利被告:はい
前田検事:幹部も?
史利被告:と思う
前田検事:証拠によると取っていない
史利被告:全員と思っていた
前田検事:葉子さんは未納では?
史利被告:覚えていない
前田検事:斉藤被告が出たミーティングでは売り上げの話題はなかった?
史利被告:出たこともあったかもしれないが、報告書出していたので、それ以外で話したとは考えられない
前田検事:斉藤被告とそれ以外で会うことは?
史利被告:日輪祭という祭典で、1対1ではなく複数で・・・
前田検事:斉藤から指示はあったか
史利被告:○*△×%#*・・・、日本の文化を身につけた方がいいと言われて茶道や書を始めた、そういう話が印象に残っている
前田検事:京都で会ったことは?
史利被告:はい
前田検事:数字の話は出た?
史利被告:したかもしれないが、○*△×%#*・・・、えんとらんすは何番目という話はした
前田検事:神世界全体としての売り上げの話は?
史利被告:○*△×%#*・・・、会員が泊まって帰れるような施設をつくった方がいいというような話はした
前田検事:平成16〜18年、ノートに書き残していないか
史利被告:京都でお会いしたときの話を佐野さんに報告しようと思ってノートとったかもしれない
前田検事:「100億持っていないと神様から見たら寝ていたと同じ」という記載がある
史利被告:あぁ…。○*△×%#*・・・○*△×%#*・・・○*△×%#*・・・
【お得意のおとぼけー】
前田検事:「本業がパッとしないから株で儲けろ」と指示されたことはないか
史利被告:やれと言われたこと私自身はないが、資産ないので買うことはなかった
【はい?資産がない?5千851万の報酬を頂いていたお方が言うことですか?】
前田検事:「大きくなれば危険は回避できない、安全なら利益は上がらない」と書いてあるが?
史利被告:書いてあるのならそうかもしれないが、私が思ったこと書いたのか誰かが言ったことを書いたのか、今の話では記憶の想起できない
●大久保検事による被告人質問(要約)
大久保検事:現時点で神霊能力を有しているのか
史利被告:平成19年11月まで神霊鑑定行っていた、・・当時まであったと認識。それ以降、使っていないので現時点では分からない
大久保検事:平成19年12月以降は神霊能力あると実感するような出来事はなかったということか
史利被告:神霊能力は意図的に、教えて下さいとお願いするものなので、私の意図を介さずに神霊が入り込んでくるものではない。平成19年12月以降はない
【あれ?さっき、前田検事のときは、「私にはそれはコントロールできない」って言っていたけど?】
大久保検事:平成19年12月以降やめたのはなぜか
史利被告:神霊能力が問題視されているのではないかと思ったから
大久保検事:やめてしまう前に、神霊能力に何か問題があるのか神霊に聞いたことはないのか
史利被告:ない。
大久保検事:なぜ?
史利被告:理由はない。神様に問題があるのではなく、神霊能力を使っている人間側に問題がある。それについて神霊に問うことなかった
大久保検事:我々に問題があるというのなら、我々のどこが悪かったか神様に聞けばいいのでは?
史利被告:神霊能力は御神業を広めるために授かっているのであって、自分に原因があって起こしてしまったものを解決してほしいとして使うことはなかった
大久保検事:神霊能力を御神業のために授かったというのであれば、神霊能力を使わなくなってしまう方が妨げになるのでは? 本当の問題点はどこにあるのかを聞く方がいいのでは?
【ごもっとも!天野先生、言っていることおかしくない?】
史利被告:本当の問題は何であるかを自分の頭で考えることが大事だと思った
大久保検事:分析できたのか
史利被告:事件発生当時は・・・(知らなかったというような言葉)、公判が始まって証人の話を聞いたり、調書を読むことで自分の反省点を考えている・・・
大久保検事:あなた方で言うとこのそれ、人間力じゃないの?人間力に頼らずに神霊に聞くのが正しくて一番近道じゃないの?
【そうそう、その通り!】
史利被告:そうかもしれないが、私自身は、私に原因があって私が悪いのであれば、私自身が考える
大久保検事:でもまだ分からないんでしょ?もう何年経った?平成19年12月から考え始めてるんだよね?
【爆笑】
史利被告:考えているというか、事実関係が全部分かって考えるようになったのは、私が逮捕されて拘留されるようになってから・・・
大久保検事:事実関係を調べようとしたか
史利被告:家宅捜索のときに、誰の、どういう点についてのことか聞いても教えてもらえなかったので・・・
大久保検事:あなた自身で調べようとしたのかと聞いている。
史利被告:調べられなかった。誰のどのことについて問われているのか分からなかったので・・・
大久保検事:記録を見たり、人に話を聞いたりしなかったのか
史利被告:いろんな人と話はしたが、記録は残っていなかった
【探っていたよねぇ】
大久保検事:それでは考える材料ないのでは?神霊に聞く方が早いでしょ?
史利被告:考えなかったので・・・
大久保検事:人様の悩みについて神霊で聞いてあれこれ言ってきたんでしょ?なぜ、自分の悩みを神霊に相談しないの?
【うーっっ、お見事!!】
史利被告:今回の件に関しては神霊でなく、私自身で考えて・・
大久保検事:要するに答えが得らないから聞いていないんじゃないの?
史利被告:いえ、違います
大久保検事:最初は神霊能力を得たと言われても実感なく、その後、前向きに考えるようになって神霊の声が聞こえるようになったと言ったね?
史利被告:メッセージをもらえるようになった
大久保検事:メッセージをもらえるようになる前と後でははっきり実感できるものは違うの?
史利被告:ここからここという線が引けるものではなかった
大久保検事:線が引けないのに、あなたの思い込みではなく、神霊だとなぜ分かる?
【こりゃまた、素晴らしいツッコミ!!】
史利被告:私の経験では知り得ないことが私の中に出てきた
大久保検事:声が聞こえると思うようになってから、それが合っているかどうか試したことはあるか。あなたは知らないけれど、調べれば分かること、正解がはっきり分かることに対して、自分の能力を使って合っているかどうか確かめたことは?
史利被告:ある。当たることもあれば当たらないこともあった
大久保検事:神霊の声だと思うようになったけど、外れることがあった?
史利被告:神霊能力を授かった最初の頃のことを聞かれているのか。ここの時点でという部分、断面を話すのは難しい・・・、○*△×%#*・・・
【こんな天野先生見たことなーいっ。先生も言い訳するんですねー。いっつも、返事は「はい」でいい!言い訳するな!って部下を怒っていたくせにーーー】
大久保検事:これが神霊だと思った当時のこと
史利被告:あの、色合いが違うと言うか…、これが神霊のメッセージなんだと気づいてからと、神霊を使えるようになったんだと確信できるようになった頃のことと、○*△×%#*・・・、どこで考えればいいのか
大久保検事:確信を得てから試したことあるか
史利被告:ない
大久保検事:確信に到る前はどんなことで試したか
史利被告:一番最初の神霊鑑定。父が行方不明で消防団が捜索してみつからなくて数ヶ月、生死を教えてほしいという相談。3時間メッセージ頂けず、○*△×%#*・・・鑑定の最中に・・・。東京の西の方にいると神様から答えを頂いた。数ヵ月後に父から連絡があったと報告があった
大久保検事:それで確信を得た?
史利被告:○*△×%#*・・・
大久保検事:確信を得た後は確認していない?
史利被告:それ以降は、疑いを持つのは自分の意志なのでそれはしていない
大久保検事:その1回目の鑑定の3時間の間に気持ちが前向きになったら声が聞こえて、それが当たっていたから、それ以降は確認していないということ?
史利被告:前向きになったのはその前からだが、確信したのはその3時間
大久保検事:他の人が神霊能力を持っているのを何か見分けられるのか
史利被告:分からない
大久保検事:神霊能力開発講座で「答え合わせするものじゃない、答えは違ってもいい」と実際に言っていたのか
史利被告:言っていた
【言ってた、言ってた】
大久保検事:なぜ?あなた自身は、自分が言ったことが当たっていたから、神霊能力があると確信できたんでしょ?受講者に対して、あなたは答えを知っているが、答えを知らないことを受講者に質問を出して、答え合わせをすれば神霊能力があるかないかすぐ分かるのでは?なぜ、それをしなかった?
史利被告:…考えたこともなかった。神霊能力は神様から頂いたものなので、それを疑う人間の意志はよくない
大久保検事:じゃあ、誓約書いらないね
史利被告:そうかもしれません
大久保検事:神霊能力を授かった人は、神様が選んで授けたのではないのか
史利被告:そうだと思う
大久保検事:その後、その人にしっかり指導しないと事故が生じるような想定はあるのか?
史利被告:事故を想定していた訳ではなくて、神様から重要な役割を行うわけですから、○*△×%#*・・・。
大久保検事:それだけ重大な使命を受けた人が、紙ぺら1枚さし入れないと、ちゃんとしないと思っていたということ?
史利被告:そうは思っていないけど…、その…
大久保検事:誓約書を書かせた方が神霊能力を使って御玉串を頂いたら、神世界に上納していく形になるのだよね?
史利被告:個々の経営者が神世界とどのようなロイヤリティー契約を結んでいたか当時は知らなかった。えんとらんすと同じ契約であれば・・・
大久保検事:神世界の名前を使わずに、独立してやっていくと思ってたのか?自分達の仲間として同じようにやっていくと思っていたのか
史利被告:○*△×%#*・・・
大久保検事:お玉串を浄財(?)とか当時、説明していたのか
史利被告:神様から心からお上げするものだと言っていた
大久保検事:宗教的なお布施とか浄財といって差し上げるものと、売っている商品をお金を出して買うことは同じだと思うのか。そういう意味もある、こういう意味もあると違うことを並べて、どっちもあると言われても分からない。御玉串はどっちなのか
史利被告:神様から頂いたことに対する対価・・・、ただ、○*△×%#*・・・
大久保検事:新規に体験してもらうためには宗教と言うと寄ってこないから、小さい声で嘘くらいついてもいいと思っていた?
史利被告:嘘をついてもいいとは思っていなかった。とにかく体験してもらいたい、宗教という言葉が出るだけで嫌ってしまって受けてもらえないことが何回もあったので・・・
大久保検事:今振り返って、そのようにすることはずるいと思うか?
史利被告:ずるいという言葉が適切であるかどうか分からないが、不適切だったと思う
【素直じゃないねー】
大久保検事:ずるくないならどう不適切か
史利被告:御霊光を受けて頂ければ何とかなるというふうに思っていた。入り口の段階で勘違いを与え、勘違いのまま通してしまった(というような言葉)のが不適切だったと思う
【そうよね、「なんとかなる」って思っちゃったのよね。それって、ずるいというのよ。それから、「勘違い」って、結局、客のせいにしていますけど?全然、反省なんかしていないじゃん】
大久保検事:あなた個人でなくて、神世界全体として、入り口を搾ってしまうと人が集まらないから、宗教ではないという方針を立てたのではないのか
史利被告:いえ、ヒーリングという言葉を使うのは、神世界の指示ではなく、えんとらんすの中で佐野さんと嘉子さんと私の3人で決めた
大久保検事:あなたが聞いた神霊の内容を、同じく神霊能力があると思っていた従業員Cに伝えなくてはいけなかったのか
史利被告:神霊鑑定の全部を依頼したのではなく、御玉串のところだけ神様に聞いて下さいと依頼した・・・
大久保検事:あなたが聞いたことをなぜわざわざくり返すのか
史利被告:従業員Cからどういうふうにしていったらいいのか分からないと何回か相談があり・・・、素直になったときにメッセージを頂けるようになったと話していた。従業員がまだ不安だと私は判断していたので・・・
大久保検事:端的に言えば、従業員Cの当時の能力が必ずしも充分でないとあなたは認識していた?
史利被告:その評価は私にはできないが、従業員C自身から不安を抱えていると聞いていたので、そういうふうに判断した
大久保検事:だとしたら、非常に重大である御玉串の額も従業員Cに教えておいてあげる方がフェアじゃないのか
史利被告:そうかも
大久保検事:なぜそれをしなかった?
史利被告:分からないが、神霊能力を使って○*△×%#*・・・
大久保検事:不安を抱えていたから内容を伝えたのと同じように、教会長にやってもらうといいね、100万以上だよと伝えたのではないのか
史利被告:そのところは記憶が従業員Cの証言と違って・・・、100万以上の御祈願と神霊からメッセージを頂いたと従業員Cから聞いたときは教会長にしてもらうといいねと言った記憶は確かにあるが、神霊鑑定以前に教会長にしてもらうといいと言った記憶はない
大久保検事:あなたの講座を受けた人で神霊鑑定をやっている人は全員じゃないよね
史利被告:全員じゃないと思う
大久保検事:残りの人たちにフォローアップ以外に使うよう示唆していたか
史利被告:3回の講座の後、フォローアップ講座を本人が希望すれば開いていたが、それぞれ別の所属店(?)の元で許可を頂いて講座を受けているので、○*△×%#*・・・。(どのようにやっていくかということは私は知らないというような返答)
大久保検事:講座やって授かるまでは私がやるが、フォローアップの3回以降はみなさんよろしくね、ということ?
史利被告:フォローアップは3回と決まっていない
大久保検事:本人が希望しなければ、このまま後はよろしくねということ?
史利被告:本人の希望がなければ行わなかった
大久保検事:従業員に伝えたときは、相談内容だけは伝えないといけないと思ったとあなた言ったよね。神霊能力でその人が何に悩んでいるのか分からないのか
史利被告:それを言わない理由はないと…
⇒返答の意味不明
大久保検事:いや、いらないの?相談相手が何悩んでいるかは紙に書かせなくても分かるんだよね?
史利被告:本人が解消したい内容を本人が言って神様からメッセージを頂くのが神霊鑑定だと思うので、神霊能力を持った者が何もしないですべてが分かるのが神霊能力ではない○*△×%#*・・・
大久保検事:頼まれてもいないのにあなたがその店の経営状況はどうかと神霊能力を使おうとしたがあったということは、そういうふうに使えるということ前提でしょ?
史利被告:練習のときはそういうこともあった
大久保検事:練習になるってことは、そういうふうに使えるという前提なのではないか
史利被告:○*△×%#*・・・(苦しい主張)、神霊能力というのは御霊光を頂いている方が・・改善したいことがあったり・・、神霊から頂くのが神霊能力なので、相談者からの積極的な○*△×%#*・・・
大久保検事:できるできないで言うと、相談内容について知らなくてもできるのではないのか
史利被告:できるのかもしれないが、○*△×%#*・・・
大久保検事:必ずしもいらないかもしれないものを皆に書かせていたということか
史利被告:見るまでは具体的な相談内容は分からないので、○*△×%#*・・・
大久保検事:本人が何に悩んでいるかに関わらず、神霊に聞けば、本人が気づいていなくても問題があると言い当たることはある?
史利被告:そういうのもある
大久保検事:だとしたら、本人の悩んでいる相談内容関係ないのでは?
史利被告:関係ないのかもしれませんが、○*△×%#*・・・
大久保検事:ヒーリング中に証人Dから相談を受けたので、手を下げたのはヒーリングの流れであって神霊鑑定ではないという話について、「丸いものを握るような動作があった」と証言にあるが、ヒーリング中に出てくるのか
史利被告:その時代によって取次ぎの方法は違う(という旨の返答)。霊体の中に手を入れていく取次ぎがあって・・・、そのときの手の動きが証人にそのような思いを抱かせてしまったのであれば・・・
大久保検事:平成18年の証人Dのときはどういうスタイル?
史利被告:霊体のお取次ぎをやっていた時期だと思う
⇒取次ぎ動作の確認をする
大久保検事:平成19年12月以降、取次ぎや御玉串をあげるなどあなた自身はしたか
史利被告:はい。御霊光は逮捕された以降も継続的に頂いた。御祈願も何回かした
大久保検事:一番最近、御霊光を頂いたのは?
史利被告:(少し沈黙の後)一週間くらい前に
大久保検事:一番最近の御祈願は?
史利被告:逮捕後、弁護士を通じて支払われる給料の中から10(20?)万でお願いした
大久保検事:弁護人の質問で今後、神世界と接触しないと答えていたが、御霊光を受けることや御祈願の関係は続くということか
史利被告:私自身は御霊光によって奇跡を頂いたのは私に中では真実なので、個人的に御霊光の元である神様への信仰は続ける。御霊光は受け続けたいと思う
大久保検事:神世界の人と接触しないで御霊光を頂くというのは、どういうやり方なのか
史利被告:御神体があれば御霊光を頂けると今は思っている
大久保検事:神世界との関係について、今後、自分がどうしますと誓うこともできないし、具体的に考えていないということ?
史利被告:神世界とのつながりは継続するつもりはありません
大久保検事:それでどうやって御霊光を頂くのか
史利被告:御神体、御守り、御額が自分の部屋にあるので、その物から御霊光を頂きたいと思っている
大久保検事:散々、これまで客や従業員に継続的にお取引をしないとだめだ、やめたら悪くなるというようなことを言ってこなかったか
【そーだ、そーだ!】
史利被告:悪くなるということをどの場面で言ったかは分からないが、○*△×%#*・・・
大久保検事:御玉串をあげて御霊光を受けるのをやめたら、元の運命に戻るとか元の位置まで下がるとか言ってこなかったか
史利被告:元の位置に戻るとは言っていた
大久保検事:あなたは今後、御玉串をあげないで御霊光を受けるということは、また腰が痛くなったりするのか
史利被告:御玉串は自分の判断であげようと思っている
大久保検事:神世界の組織と接触しないで、どうやって御玉串をあげるのか
史利被告:今は○*△×%#*・・・、部屋の御額の前に御玉串をおあげして御霊光を頂こうと思う。どうなっていくか分からないが、神世界とは違う、もので何か・・・御玉串や取引や・・・・○*△×%#*・・・・
大久保検事:要するにちゃんと考えていないってことね
史利被告:いや、考えていないのではなくて…、私にはまったく分からないので○*△×%#*・・・。えんとらんす解体後、活動はしないし、神世界ともつながりを切る。その後をはっきりしろと言われても・・・、現時点では御霊光を頂きたいという気持ちはあるが、どんな形でどのようにはっきりしろと言われても・・・、はっきりさせる材料がない・・・
【見苦しい!そんなんで部下に示しがつくのか?弱いふりしてんじゃねぇーぞ!部下にヤクザまがいの勢いですごみをきかせていたあんたを忘れやしないからな】
市河弁護人:神世界との活動は今後共にしない?
史利被告:はい
市河弁護人:あなたは神様は信じるということ?
史利被告:はい
市河弁護人:御玉串をあげる方法は今ははっきり分からない?
史利被告:はい
市河弁護人:神世界の方からもう一度、勧誘されたら活動するか
史利被告:いいえ
【淺原教でも開くんだろ】
●裁判長による被告人質問
■裁判長:あなたは講座を受けずに神霊能力を授かったということ?
史利被告:はい
■裁判長:でも、人に対しては神霊能力開発講座で教えていたんだね?
史利被告:はい
■裁判長:講座を受講すれば、誰でも能力を授かるのか
史利被告:私が授けるのではなく、神様が授けるものなので、誰でもと言われると、私は答えようがない
■裁判長:講座を受けても、神様から届けられなかったら能力は所持できないということにならないか
史利被告:講座を受けて○*△×%#*・・・、自分が役割をきちんとやっていくという自覚の元に・・・、能力を使っていこうという意志に伴って、私は神霊能力を使えるようになったので、○*△×%#*・・・
■裁判長:あなたは講座を受けなかったと言っているよね。講座を受けるかどうかは関係ないのでは?
史利被告:私に関しては関係なかった…
■裁判長:じゃあ、あなたが受講生に対して、講座を3回受けたからって授かったとは分からないよね?
史利被告:講座が終わった時点で神霊にお伺いする。授かったと伝えて・・・、ただ、本人の自覚として、○*△×%#*・・・・・・
■裁判長:講座で答え合わせをしてはいけないと言っていたよね?
史利被告:神霊からの言葉を本当なのかどうか、合っているかどうか、評価しているのは人間の意志なので、神霊から頂いた言葉を人間が判断するのはおかしいと当時思っていた
■裁判長:神様の声はひとつなのにバラバラはおかしくない?
史利被告:神ひとつでも神霊はひとつではない。バラバラでいいというか、見方が違うから答えが違う
■裁判長:神様から授けて頂くものであれば、講師が受講者から御礼を頂くのはおかしいのでは?
史利被告:私が頂いているわけではなく、ご本人の判断で・・・。私がお伝えして、本人が御玉串をおあげして頂いた・・・。
■裁判長:自分が神霊能力はまだできていないと思えば払わなくていいのか
史利被告:本人が決めていることなので・・・、全員がおあげしているわけではない。授かっていると自覚している人がおあげした
■裁判長:証人Eについて、気圧のせいで子宮に厚いところと薄いところがあると説明したのは事実か
史利被告:検察官の調書で・・・
■裁判長:あなたが言ったかどうか聞いている!
【人のせいにするなっ!】
史利被告:気圧の変化によって血流が変化して、○*△×%#*・・・気圧そのものが・・・という言い方ではなかった。そこらへんの記憶は曖昧で、○*△×%#*・・・
■裁判長:それは本当に神霊の声としてあなたが聞いたのか
史利被告:はい。○*△×%#*・・・
■裁判長:医師の調書では医学的に間違っているとあるが、それでもあなたは神霊から聞いたと言うのか
史利被告:医学的なことは分かりませんが、神霊から聞いたことをそのまま伝えた
【あれ?市河弁護人と前田検事の尋問では、職業柄、医学的知識援用したって言ってたけど?】
■裁判長:神霊というのは、医学的に間違ったこともあなたに伝えるのか?
史利被告:医学的な判断はできませんが…、私が伝えられたものは、気圧というものが・・・、血流の話は証人Eの証言を聞くまで知りませんでした。申し訳ありませんでした
【え?同じく、市河弁護人の尋問で自ら血流の話していたけど?】
■裁判長:あなたは証人Eの話を聞いて、自分が間違っていたと思わなかった?
史利被告:○*△×%#*・・・、結局はその、誤解を招いて、私の言動がご本人達の行動を決定させてしまったんだと反省しています
【それのどこが反省?】
■裁判長:元の席に戻って下さい。
■裁判長:本日はここまで。次回は淺原嘉子被告と佐野孝被告の被告人質問を行いますので、被告人4名は、次回2月16日(金)午前10時からこの法廷に出頭してください。
●16:22閉廷
第5回公判を傍聴した方からは、多数の意見が寄せられています。
下記にその内容を別途掲載しています。
被害者が感じた、率直な意見が満載されていますので、ぜひご覧ください。
第5回公判を傍聴して被害者が感じたこと
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6、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第6回公判
斉藤亨 第3回公判
(上記3被告と教祖・斉藤亨の公判は併合審議になっている)
1 日時:平成24年2月16日(木)
午前10時〜午後4時40分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨
6 裁判長 朝山芳史
裁判官 杉山正明
裁判官 山本美緒
7 検事:大久保検事、前田検事
8 被告弁護人:尾崎弁護士、市河弁護士
9 内容1:淺原嘉子被告の被告人質問(午前)
内容2:佐野孝被告の被告人質問(午後)
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傍聴希望者
2012年2月16日(木)に行われた、淺原嘉子、佐野孝の両被告に対する被告人質問の公判には、9時40分の傍聴抽選券配布締切時間までに187名が列に並んだ。締切時間に10秒ほど遅れてきた人がいたが、地裁係員は、「締切時刻を過ぎていますので」と言って抽選券を渡さなかった。横浜地裁は、傍聴に対して何かと厳しいとは聞いていたが、その一端を見た思いだった。
この公判での一般傍聴席数は43席とのことで、列に並んだ187名中、144名は抽選に外れることになった。神世界関係の裁判は、いつも傍聴希望者が多いのだから、地裁で一番大きい101号法廷を使えば、もっとたくさんの人が傍聴できる。横浜地裁は傍聴者に厳しくするだけでなく、そうした配慮もしてほしいものだ。
これが起訴事実を認めた被告か?
被告が組織的詐欺の被疑事実を否認しているのであれば、「詐欺は行っていない」と法廷で主張するのは当然であり、自分が不利にならないように防衛的な証言をするのは理解できる。しかし、この日被告人質問された両被告は、すでに組織的詐欺の起訴事実を認めた被告なのだ。それにも係わらず、被疑内容の根幹である、”被告等は詐欺を行っていた”という部分に質問が及ぶと、両被告はことごとく回答をはぐらかし、詐欺の事実を認めようとしない。
詐欺の起訴事実を認めた以上は、詐欺を行ったことを素直に認め、その上で詐欺を行うに至った経過や背景を説明し、情状酌量を求めるのが普通だ。詐欺の起訴事実を一旦認めておきながら、公判でそれを否定する証言を続ける両被告の姿からは、被告が公判途中で一転して起訴事実を認めた理由は別にあることが強く印象づけられた。
被告が組織的詐欺の起訴事実を認めたのは、被告が自らの罪状を是認したからではなく、教祖の刑を軽くするための手段でしかなかったことが、この日の公判で裁判所にも強く印象づけられたのではないかと思われる。被告2名の証言内容や態度は、傍聴していた被害者等にとっては甚だ不満が残るものであったが、裁判所としてもこうした被告の不誠実な態度に対しては厳しい判断を下すことになるだろう。教祖に厳しい実刑が下されるためには、この日の公判で両被告が示したグダグダした態度は、”結果”としては、プラスに働くようにも思われる。
嘉子被告の証言は、自分が調書で認めた内容や、すでに証言した内容とは違った証言をその後に行うなど、到底論理的とは思えない部分が多かった。裁判長、検察官、そして弁護人からも、証言内容の矛盾を再三指摘されていた。こうした支離滅裂な証言が出てくる理由はただ一つ、被告が裁判の目的を取り違えているからだ。裁判は、”真実を明らかにする”ために行われているものなのだが、被告は真実を隠し、人々の目が真実にたどり着かないようにしているとしか見えない部分が多かった。
市河弁護人が、衆人環視の公判の中で、嘉子被告を叱りつけるに至ったことの意味を、彼女はどこまで理解しているのだろうか。
嘉子被告は、口先では、「被害者に申し訳ないと思っている」との言葉を発しておきながら、どのような点を申し訳ないと思っているかを具体的に質されると、支離滅裂な返答を繰り返すばかりだった。こうした嘉子被告の態度からは、被告は本当は被害者に対して申し訳ない等とは思っておらず、ただ単に裁判所向けのポーズとして、「被害者に申し訳ないと思っている」という言葉を発しているに過ぎないことが如実に読み取れた。
検事の質問が核心に及ぶと、返答に窮して長時間黙り込んでしまう場面も多々あり、「下手な回答をすると自分や教祖が不利になるので黙っておこう」という態度に見えた。
真実を明らかにしようとして行われている公判に於いて、被告がこのような態度をとり続けるのは、あまりにも裁判所を愚弄する行為であり、その報いは厳しい判決となって被告に覆い被さってくることだろう。正に自業自得である。
被告人質問のやりとりは、それほどペースが速くないので、今回の公判もそのほとんど全てを速記できた。しかし、その証言内容はあまりにも陳腐であり、内容を全文、文字起こしする必要があるか、しばらく思案してしまった。しかし、被告のこうした姿を多くの人に知ってもらうために、敢えて詳細な傍聴記録を作成し、公開することにした。
哀れな姿を晒す経営者
淺原嘉子被告は、えんとらんすアカサカでは「教会長」として佐野に次ぐ位置にいた女であり、雑誌の紹介記事では積極的に顔出しして御霊光のすばらしさをアピールしたり、えんとらんす会員の前ではヒステリックな発言を繰り返すなど、逮捕されるまでは、”大物”振りを存分に発揮していた。しかし証言台のイスに座り、検事等の質問に答える嘉子被告の証言からは、逮捕される以前の被告の華やかな姿を連想することは全くもって不可能だった。裁判長、検察官、そして弁護人からも、「もっと大きな声で答えるように」との注意が、嘉子被告に対して再三なされた。真実を語っているのであれば、もっと大きな声でハッキリと答えることができるのに、真実を隠そうとするから声が小さくなっていくのであろう。私にはそうとしか思えなかった。
被告が意図的にピント外しの証言をしている可能性もあるが、そうではないとすれば、嘉子被告の理解力、記憶力、人間性には、大きな疑問符が付く。嘉子被告は、弁護人の質問の意味や、”狙い”もよく理解しておらず、本来自分を守ってくれるはずの弁護人から公判中に叱責されるという、ていたらくを演ずる場面もあった。
この日の嘉子被告の服装は、上下黒のスーツに白のブラウス、黒のパンプスと、”一見清楚”な服装にまとめていた。佐野被告も黒っぽいスーツを着ていたが靴は白のスニーカーを履いており、??な感じだった。佐野は、歩行には杖が必要なようで、足元がおぼつかないのでスニーカーだったのかもしれない。
涙を流し、鼻をすする被告
被告人のふがいなさ、不誠実さは嘉子被告だけではなく、午後から行われた佐野孝被告においても同様だった。
なんと佐野被告は、弁護人からの質問に対して泣き出してしまう場面があった。最初は黙って下を向いて時折ハンカチで目の辺りを押さえていたが、段々感情が高まってきたのか、本格的に泣き出してしまい、被告席に設けられたマイクを通して、佐野被告が鼻をすする音が法廷中に響き渡った。
佐野被告が涙を流し、鼻をすすっていた間、法廷内の人々も、傍聴席の人々も、ひたすら佐野被告が落ち着くのを待つしかなかった。そうした時間が1〜2分続いた。やや落ち着いてきた佐野被告は、長々と逡巡したあげく、やっとの思いで言葉を発しようとしたので、人々は佐野被告がとうとう真実を語り出すのかと固唾を飲んで佐野が発する言葉に注目した。ところが、佐野被告が発した言葉は、「斉藤さんはとても優しい方で・・・」と、斉藤を擁護する言葉だった。私も、これだけ皆を待たせたのだから、もう少しはマシな言葉を発するかと淡い期待を抱いたのだが、その期待は200%裏切られた。散々待たされていた法廷内・傍聴席の人々は、皆、どっと疲れが出たようだった。
時間稼ぎ作戦?
この日の公判では、両被告が意味のない証言を長々と行う場面が何度もあった。検事の質問に対して、嘉子被告も佐野被告もなんらかの証言は行うのだが、その説明している内容は、検事の質問の趣旨とは全く違った証言内容に及ぶことが多かった。
検事の質問は、それほど難しいことを聞いている訳ではなく、一言か二言で簡単に答えることができる筈の質問なのだが、それに答える被告の説明は驚くほど長い。長い上にピント外れであり、検事が聞きたいこととは関係のないことまで延々としゃべり続けていたので、検事が「私が質問しているのはそんなことではない」と、被告の証言を遮る場面が何度もあった。
被告がこうしたピント外れの証言を繰り返すのは、被告の理解力が乏しいためかと最初は思ったが、両被告が揃って同じように、”意味なし証言”を、延々と繰り返し行うのを見ていると、これは実は”時間稼ぎ作戦”なのでは?と思われた。
被告人質問に必要な時間は、弁護人、検察官、双方からあらかじめ裁判所に伝えられており、公判はその時間配分の中で行われる。この日の公判では、嘉子被告に対する弁護人の主尋問は約40分間、検察官による反対尋問は約50分間程度の枠内で行われた。被告としては、この時間を何とかして”無難に”済ませたい訳で、そのためには、自分が長々と意味のない話で”時間稼ぎ”をすれば、検事に追及される時間をそれだけ短くできると考えたのかもしれない。
そうした視点に立ってこの日の公判を改めて検証してみると、被告の卑劣さが更に浮き立ってくる。素人の私でもそう感じたので、賢明な裁判官は、とっくにそうした被告の作戦は見抜いており、判決を判断する上で”検討材料”になることだろう。
宗教妄想を伴う統合失調症
この日の公判で佐野被告は、「自分には神霊能力がある」と思うようになった経過を証言したが、証言が事実であるとすれば、佐野被告は、”宗教妄想を伴う統合失調症”である可能性が高い。統合失調症(昔は精神分裂病と言っていた)疾患の患者の中には、宗教妄想を伴う例は比較的多い。
※参考:宗教妄想
統合失調症を発症する原因は、先天的なものである場合もあるが、佐野被告は20才台のときに、顔のアザを消すため、病院で何度もレーザー治療を受けているので、その治療によって側頭葉(脳内の器官)に何らかの障害を受けた可能性も考えられる。
側頭葉に強い電磁刺激を加えると、正常な人間でも強い霊的感覚を覚え、著しい神体験をすることが知られている。側頭葉に損傷があり、癲癇(てんかん)症状を起こす患者はたびたび霊的体験をし、宗教的・道徳的な問題にとりつかれたりする。
佐野被告が法廷で述べた、”神様からの声がいつも聞こえていた”というのは、明らかな”幻聴”であり、宗教妄想を伴う統合失調症患者にはよく見られる症状だ。こうした症状が表れたとき、専門の医師による適切な治療をすぐに受けていれば、佐野被告はもっと早く正常になっていたと思われるが、彼も、相談を受けた斉藤被告も、揃ってこれを”神霊能力”と受けとめ、転落の道を歩み出してしまったのであろう。
”教祖”となるような者の中には、宗教妄想や誇大妄想を伴う統合失調症を患っている者が多い。
「悪いのは笠原弁護士」
佐野被告の証言内容で驚いたのは、事件が公になった後、被害者に返金しなかったのは、当時神世界代理人を務めていた笠原静夫弁護士が、頑強に返金することに反対したためだ、と述べた点だ。
佐野被告によると、「私(佐野)は、”神霊の言葉に従い”、返金すべきだと言い続けていたのに、顧問弁護士である笠原弁護士が返金に強く反対したので返金が実現しなかった」と述べ、「自分は悪くない。笠原が悪い」という内容の証言を繰り返し行った。笠原弁護士は、「警察の捜査は不当捜査だ。神世界関係者の逮捕はあり得ない」とも言っていたそうだ。
こうした佐野被告の証言に対して、検事はすかさず、「では、あなたは神霊が返金すべきと言っていたのに、神霊の言葉を無視して人間である笠原弁護人の意見に従ったのか?そうであれば、あなたは神霊に刃向かったことになるのではないか?」と鋭く切り込み、佐野は返答に窮していた。
検察官
一連の神世界裁判では、横浜地検の大久保検事、前田検事、吉野検事の3名が検察官としてその任に当たっている。検事が法廷で読み上げる論告や、証人・被告への鋭い質問や矛盾点の追及は、誠に的を射た”クリーンヒット”の連続であり、傍聴している神世界事件の被害者等は、いつも心の中で両検事に拍手を送っている。
一連の神世界裁判では5名の被告が裁かれているが、それぞれの被告は、神世界グループによる組織的詐欺の実行犯だ。検事は、A被告の証言内容を足がかりにしてB被告を追及し、次にはB被告の証言をC被告にぶつけて新たな証言を引き出すなど、巧みな戦略で事件の全貌を明らかにしつつある。
検事が、被告等の証言の矛盾点を的確に突き、鋭く被告に迫っていく様子は、被告等がかぶっている”隠れ蓑”を、鋭い刃物で次々と切り剥がしていく感がある。
今回の公判に於いても、その鋭い切れ味はますます本領を発揮した感があり、最終的には佐野被告から、「斉藤亨が間違っていた」との証言を引き出すことに成功した。
自分の目の前で、「斉藤さんが間違っていた」と佐野が証言したとき、斉藤被告は、目はうつろとなり、それまで続けていた「両手パー」の姿勢を崩し、体の前でだらしなく、手と手を握り合わせていた。
神世界事件の公判は、検事の聡明さ、かっこよさが発揮される場面が満載であるが、それに引き替え、被告や情状証人のかっこ悪さが引き立つ公判になっている。神世界側は、毎回大量の動員をかけて傍聴券獲得に躍起になっているが、公判を重ねる毎に被告が追い込まれていく様子を、どのような気持ちで傍聴席から見つめているのだろうか。他人事ながら気になる点である。この点、神世界関係者は、ぜひ、意見を掲示板に投稿していただきたい。
当日の第405号法廷 (クリックで拡大)
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●午前の部(10:00より)
■淺原嘉子被告への被告人質問(要約)
●市河弁護士による被告人質問(主尋問)
■裁判長:淺原嘉子被告は前へ出て、証言台の席に座りなさい。
⇒「はい」と答えて嘉子被告が証言台の席に移動する。傍聴席から見た嘉子被告の後ろ姿は、どこにでもいるような女性にしか見えず、犯罪者の風貌はない。
市河弁護人:被告人に確認します。訴因変更後の罪状認否において「事実関係を認める」とあなたは答えたが、証人D、証人Eに対して、他の被告と共謀の上、組織的詐欺を行ったことを今でも認めますか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたが千手観音教会に最初に行ったのは?
嘉子被告:平成9年10月です
市河弁護人:きっかけは?
嘉子被告:主人と私の共通の友人がおり、その人の紹介で行った。
市河弁護人:もう少し大きな声で答えてください
市河弁護人:その際、あなたは御霊光を受けたのか?
嘉子被告:はい、うけました
市河弁護人:何か、感じた?
嘉子被告:受けたそのときは特に体感はなかったが、翌日、小水が増えた
市河弁護人:その後、継続的に千手観音教会に通うようになったのか?
嘉子被告:当時は静岡にいたので、月1回程度は山梨に通い、それ以外は遠隔で御霊光を受けていた
市河弁護人:あなたはその当時、何か悩みや、健康状態に不安があったのか?
嘉子被告:一番の原因は子供を相次いで亡くしたことだ。第一子は妊娠9カ月で死産、第二子は妊娠4カ月で流産した。二人とも同じ3月11日に亡くなったので、運命のようなものを感じた。甲状腺の病気もあり悩んでいた。
市河弁護人:千手観音教会に通うことで、体調が良くなるなど、何か変化はあったか?
嘉子被告:甲状腺の病気が○*△×%#*・・・体調が良くなった。
市河弁護人:その後、千手観音教会のスタッフになったのはいつ頃か?
嘉子被告:平成10年の終わり頃と思うがよく覚えていない
市河弁護人:スタッフになったきっかけは?
嘉子被告:最初はお手伝いとして雑用をしていたが、周囲の人達の話から、ここは素晴らしいところだと思っていたので、スタッフへの誘いがあったとき引き受けた。
市河弁護人:スタッフになってからは御霊光の取り次ぎもしていたのか?
嘉子被告:その当時はしていなかった
市河弁護人:平成13年にえんとらんすアカサカが設立されたが、あなたは最初からここの取締役だったのか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:どういういきさつで取締役になったのか?
嘉子被告:斉藤亨さんと佐野孝さんから、「一緒にどうか」と誘われた
市河弁護人:あなたのご主人、淺原史利さんも役員になっているが、その経緯は?
嘉子被告:佐野さんが誘ったのだと思う
市河弁護人:あなたが誘ったのではない?
嘉子被告:よく覚えていない
市河弁護人:それで赤坂台でえんとらんすアカサカの活動を始めたのか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:その当時のスタッフは何人くらいいたのか?
嘉子被告:4〜5人だったと思う
市河弁護人:あなたと、ご主人と・・?
嘉子被告:○*△×%#*・・・
■裁判長:もう少し大きな声で答えるように
市河弁護人:あなた達は、平成13年に赤坂台でえんとらんすアカサカを立ち上げ、活動を開始した?
嘉子被告:はい
市河弁護人:その後、東京に進出しているね?
嘉子被告:はい
市河弁護人:どういうきっかけで東京に進出することになったのか?
嘉子被告:まず立川に行った
市河弁護人:そこでサロンを立ち上げた?
嘉子被告:サロンは作っていない。人を集めようとして、立川ではチラシをまいたりしていた
市河弁護人:東京で最初にサロンを作ったのは?
嘉子被告:恵比寿の奥の方に作った
市河弁護人:それがエレヴァシオン?
嘉子被告:はい
市河弁護人:もう一つ、リュミエールというサロンもあるようだが?
嘉子被告:はい、それも作った
市河弁護人:それから品川、柿の木坂、永田町とサロンを拡大していったということ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:品川サロン、ここは「品川ストーリア」というサロンだが、ここのサロンは他のサロンとは違った特色、例えば慣れた客だけが来るとかいうことはあったか?
嘉子被告:特にそういったことはない
市河弁護人:青山のサロンは新規が中心だったのでは?
嘉子被告:はい
市河弁護人:なぜ?
嘉子被告:たくさんの人に来てほしかったので、入口のサロンとしていた
市河弁護人:えんとらんすアカサカは、平成18年3月に3社に分社化したね?
嘉子被告:はい、えんとらんすスリー・ツゥー・1とえんとらんすわーるどヒルズを作った
市河弁護人:3つに分けた理由は?
嘉子被告:より広げて行こうとした
市河弁護人:これは佐野からの指示か?
嘉子被告:そうだと思う
市河弁護人:神霊鑑定について尋ねる。あなたもサロンで神霊鑑定を行っていたか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたはご主人の神霊能力開発講座を受けていたのか?
嘉子被告:いや、受けていない
市河弁護人:では、どうやってあなたは神霊鑑定をやることになったのか?
嘉子被告:佐野さんから、「神霊能力が授かった」と言われた
市河弁護人:あなたはそれをどのように聞いたか?
嘉子被告:○*△×%#*・・・
市河弁護人:その時期は?
嘉子被告:平成14年の秋頃
市河弁護人:いきなりそのように言われて、あなたは疑問に思わなかったのか?
嘉子被告:思った
市河弁護人:授かったと言われた後、何か講習のようなものを受けたのか?
嘉子被告:はい、受けた
市河弁護人:どんな講習だったのか?
嘉子被告:人型を使って人の○*△×%#*・・・をするような訓練を受けた
市河弁護人:それは何回くらい?
嘉子被告:3回だと思う
市河弁護人:その訓練の中で、自分が思ったことが正しいのか、答え合わせをすることは?
嘉子被告:なかった
市河弁護人:訓練以外であなた自身が答え合わせをしたことは?
嘉子被告:ない
市河弁護人:その訓練を受けて、あなたは自分には神霊能力がある、備わったと思うようになったのか?
嘉子被告:訓練をした結果、頭の中に単語が思い浮かぶようになった。
市河弁護人:あなたが思っていた神霊能力とはどのようなものなのか?
嘉子被告:神様からのメッセージを伝える能力だと思う
市河弁護人:そのメッセージというのは、声が聞こえてくるのか?
嘉子被告:声は聞こえない
市河弁護人:では、なにか映像が見えるのか?
嘉子被告:なにも見えない
市河弁護人:何かが乗り移るような感じなのか?
嘉子被告:そうではない
市河弁護人:それにも係わらず、あなたは「神様からのメッセージだ」と、どのようにして確信していたのか?
嘉子被告:説明が難しいが、”伝わってくる感覚”のようなものだ。
嘉子被告:鑑定の依頼があって、お客様が玉串を上げたときに私が感じる感覚があり、それをメッセージとして伝えた。その後、変化とか結果があったので、それで確認していた
市河弁護人:あなたは神霊鑑定を行う際、事前に家系図や家の見取り図などを相談者から提出させていたか?
嘉子被告:提出させていない
市河弁護人:事前に、相談内容などを書いたペーパーを提出させるようなことは?
嘉子被告:おおざっぱな内容は事前に聞いていた。細かな点は、本人から相談のときに聞いていた
市河弁護人:御祈願もあなたはしていたね?
嘉子被告:はい
市河弁護人:今回の被害者・証人Dの場合、100万円という高額な金額になっているが、えんとらんすアカサカでは、金額によって御祈願を担当する人は違っていたのか?
嘉子被告:はい、私は100以上だった
市河弁護人:100万円という金額を決めるのは、神霊鑑定の段階なのか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたも決めたことはあるか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:平成18年当時、100万円の御祈願は年間どれくらいの数あったか?
嘉子被告:2、3件だったと思う
市河弁護人:アカサカ全体としては、どれくらいの金額の御祈願が多かったのか?
嘉子被告:10〜30万が多かった
市河弁護人:証人Dに対して100万円の御祈願をしたのは間違いないか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:100万円の御祈願になったことは誰から聞いたのか?
嘉子被告:スタッフから聞いた
市河弁護人:淺原史利さんから聞いたのではないのか?
嘉子被告:それはない
市河弁護人:起訴事実によれば、100万円という金額を決めたのは従業員Cということになっているが、そのことは知っていたか?
嘉子被告:はい、知っていた
市河弁護人:それを聞いて、あなたは何か感じたか?
嘉子被告:100万という大きな金額だったので、証人Dに対してきちんと説明ができているのかと思った
市河弁護人:説明ができていないと何か問題が生ずるのか?
嘉子被告:○*△×%#*・・・
市河弁護人:じゃ、あなたが証人Dに100万円の御祈願をさせる際に、「本当に100万円の御祈願をしていいのですか?」と確認したのか?
嘉子被告:していない
市河弁護人:あなたは御祈願をする際に、証人Dといろいろ話をしているがどのような話をしたのか?
嘉子被告:自分のこれまでの体験談などを話した
市河弁護人:あなたが、お子さんを亡くしたことなどを?
嘉子被告:はい
市河弁護人:証人Eという被害者がいるが、証人Eとの面識は?
嘉子被告:ない
市河弁護人:平成18年当時、あなたはアカサカの役員であると同時に、「教会長」とも呼ばれていたか?
嘉子被告:はい、呼ばれていた
市河弁護人:教会長とはどのような立場なのか?
嘉子被告:会主様(佐野孝)に次ぐ立場だった
市河弁護人:あなたのご主人である淺原史利さんの立場はあなたより上なのか下なのか?
嘉子被告:下位
市河弁護人:えんとらんすアカサカでは、佐野孝、淺原史利、スタッフなどによる経営のためのミーティングが行われていたか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:ミーティングの中で、佐野さんから、「売り上げを上げなければいけない。アカサカは売り上げが低い」という話はあったか?
嘉子被告:はい、あった
市河弁護人:あなたはそれを聞いてどう感じたか?
嘉子被告:(しばし沈黙)
嘉子被告:売り上げだけを上げるのはちょっと難しいと思った。特に新規の人増やすのが難しい
市河弁護人:なぜ売り上げを上げるのは難しいのか?
嘉子被告:売り上げを上げるだけというのは、神様の仕事からするとちょっと変な感じがするので
市河弁護人:売り上げを上げるというのは具体的にはどういうことになるのか?
嘉子被告:御霊光を受ける方がたくさん増えるということや、御祈願をする人が増えること
市河弁護人:あなた神書を読んでいますよね?
市河弁護人:神書には、”御神業とは人を集めること、お金を集めること”と書いてあるよね?
嘉子被告:書いてあります
市河弁護人:ということは、お金を集めることイコール売り上げを上げることは神書の教えですよね?
嘉子被告:そうなります
市河弁護人:であれば、あなたは売り上げを上げることを疑問に思わず、売り上げを上げようと努力すべきだったのではないですか?
嘉子被告:そこまでの気持ちはありませんでした
市河弁護人:それはどうして?
嘉子被告:神様のお仕事だから。納得が行かないところがあったが、人を集めればお金もあつまると頭を切り換えてやっていた
市河弁護人:あなたとしてはお金を集めることには矛盾があったが、人を集めれば結果的にお金も集まるのだからという意味合いに理解していたということ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたの会社は、(有)神世界という会社とロイヤリティ契約を結んでいたか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:売り上げの何割を支払うことになっていたか?
嘉子被告:30%と15%という取り決めがあった
市河弁護人:(有)神世界の役員かつ教祖である斉藤亨さんと一緒にミーティングをすることはあったか?
嘉子被告:ミーティングというか、話をする機会はあった
市河弁護人:えんとらんすアカサカの永田町サロンがあるね?
嘉子被告:はい
市河弁護人:永田町サロンに斉藤さんが訪れるということはあったか?
嘉子被告:はい、あった
市河弁護人:その際にはどのような話が行われたのか?
嘉子被告:神様の話などが中心だった
市河弁護人:アカサカは売り上げが低い、上げないとだめだというような話は?
嘉子被告:アカサカを大きくしたいという話はあった
市河弁護人:具体的な数字を上げての話は?
嘉子被告:細かな話はなかったと思う
市河弁護人:あなたは、神世界グループには、えんとらんすアカサカ以外にも会社があることは知っていたか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:いつから知っていた?
嘉子被告:最初から
市河弁護人:平成18年にアカサカを立ち上げた前から、それともその後?
嘉子被告:前から知っていた
市河弁護人:他の会社の人と話し合ったり連絡をとることは?
嘉子被告:一切ない
市河弁護人:他の会社の運営状況はどのようにして把握していたのか?
嘉子被告:一切知らない
市河弁護人:どれくらいの店舗数かも?
嘉子被告:知らなかった
市河弁護人:あなた達は、”祭典”と呼ばれる催しをしており、そこで他社の人と話をする機会はあったのでは?
嘉子被告:挨拶や世間話程度はするがそれ以上は話さない
市河弁護人:あなたは捜査段階では黙秘、否認を続けており、訴因変更前は裁判でも否認していた。ところが、訴因変更後は起訴事実を全て認めた。なぜ最初は黙秘・否認していたのか
嘉子被告:詐欺をしようと思ってやっていたのではなかったので、被害者が勘違いしているのだと思っていた。誤解を解きたかった
市河弁護人:あなた自身が直接、被害者に詐欺的な言葉をかけていた訳ではないという思いから否認していたといこと?
嘉子被告:はい
市河弁護人:でも、あなたは今回起訴事実を認めるに至りましたね。その理由はなんですか?
嘉子被告:被害者の方の話を公判で直接聞いたり、調書の内容を読んで、神様ではなく私たちに何か力があるというような誤解を、被害者にさせる言動があったのかと思うようになった。それで被害者の方に申し訳ないと思うようになり、罪を認めた
市河弁護人:今回の事件では、あなたは直接的には被害者に詐欺的言動をしていないが、あなたはどのようなことで、この詐欺事件に責任があると思うか?
嘉子被告:神様ではなくて、私たちに力があるかのように思わせてしまったこと
市河弁護人:あなたや、淺原史利さん、神霊鑑定士と呼ばれる人たち、スタッフなどが、「すごい先生がいる」だとか、特別の力があるかのような言動をしてきたことに対して責任があるということか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなた達の本来の教えでは、”奇跡”というものは誰からいただくのか?
嘉子被告:神様から
市河弁護人:あなた達に、子宮筋腫の原因を特定し、それを治癒する能力はあったのか?
嘉子被告:ないです
市河弁護人:ありませんよね
市河弁護人:被害者の方々が、そういった力があなたを含めた神霊鑑定士にはあると考えているということを、あなたは知っていたか?
嘉子被告:当時は知らなかった。後になってみて、あ、そうだったんだと思うようになった
市河弁護人:あなたは先ほど、証人Dの件で、「大丈夫かな?ちゃんと理解してもらっているかな?」と思ったということを述べたが、もしそれがちゃんと理解されていなかったら、どのようなことになると思った?
嘉子被告:今回のようなことになると思った
市河弁護人:うん、そうだよね。まさに詐欺になってしまうよね。現に詐欺になってしまった訳でしょ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたはそれをきちっと防止すべく、どうして説明をしなかったのか?
嘉子被告:100という金額は、従業員Cが証人Dに対して出した金額だったので、私が口出しをすると証人Dと神様の間に私が割り込んでしまうと思い躊躇した。
市河弁護人:先ほどあなたは、売り上げを重視するやり方には疑問を感じていたと述べていたが、今回の事件は、売り上げ重視という考えかたが影響を与えたと思うか?
嘉子被告:はい、思います
市河弁護人:どういう点がそうだと思うか?
嘉子被告:考え方が、お金をお上げすれば結果がいただけるというふうになっていた
市河弁護人:玉串を上げれば結果がいただけると思わせてしまったということ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:それはあなた達がそのように説明していたからでしょ?
嘉子被告:当時していました
市河弁護人:結果的には、被害者の方は治癒されていませんよね?
嘉子被告:はい
市河弁護人:これは、どうしてだと思うか?
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⇒嘉子被告は、下を向いたまま、しばらく無言が続く。
⇒弁護人が、再度、同じ質問を繰り返す。
嘉子被告:私たち人間が、神様の邪魔をしたんだと思う
市河弁護人:ん?あなた達が詐欺をしたからということですか?
嘉子被告:そうなります
市河弁護人:あなたは千手観音教会当時から通っていたので、千手観音教会のことも理解していと思うが、薬は毒素だとか、乳製品は摂らない、熱は排泄だから出した方が良いなどと言った教えは当時もあったか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:そうした教えを守った結果、亡くなった方もあったということは、あなたは知っていたか?
嘉子被告:はい、知っていた
市河弁護人:そのように奇跡が起きず、悪い結果になったという事実を聞いて、当時あなたは、なぜだろとは考えなかったのか?
嘉子被告:考えた
市河弁護人:考えた結果、どうしてだと思った?
嘉子被告:元々体が弱かったか、毒素が多かったのかと思った
市河弁護人:ほー、なるほどねぇ・・・?
市河弁護人:現時点ではどうなの?
嘉子被告:現時点では、なるべく薬は使わない方が良いとは思うが、御霊光を受けながら、病院に行く方法もあると思う
市河弁護人:つまりね、あなた達の教え、御霊光というものが、教え通り奇跡をもたらす万能な力を持っていると今でも思っているの?
嘉子被告:今は思っていない
市河弁護人:その理由は?
嘉子被告:そういう奇跡がある方と、ない方があるからです
市河弁護人:ない方というのは、今回の民事の被害者や賠償請求をしている方がいるからということ?そうです
市河弁護人:御霊光は万能ではないということ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:ということは、あなたは現時点では、これまで信仰していた神世界の教え、神書の教えなどは、もう信じていないということか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:今後のことを聞きます。
市河弁護人:えんとらんすアカサカはどうするのか?
嘉子被告:もう会社は無くしている。後は精算していく作業が残っている。
市河弁護人:裁判外で返金請求している人たちもいるが、そういった人たちへの対応もしていくということだね?
嘉子被告:はい
市河弁護人:神世界の教え、宗教活動はこれからもしていくのか?
嘉子被告:今後一切、行っていきません
市河弁護人:アカサカの精算が終わったら、どうやって生活していくつもりなのか?
嘉子被告:主人とよく相談していきたい
市河弁護人:あなたは今回の事件で、被害者に対して、申し訳ないという気持ちはお持ちでしょ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなた達を信じてやってきた人たちも多いと思うが、そういう人たちに対しては?
嘉子被告:迷惑をかけた。信頼を裏切ったと思う。
市河弁護人:現在、健康状態は?
嘉子被告:普通です
市河弁護人:あなたのご主人(淺原史利)も、今回、逮捕・起訴されているが、ご主人が千手観音教会に通うようになったのは、あなたが原因か?
嘉子被告:はい
市河弁護人:結果として、ご主人も詐欺に問われているわけだが?
嘉子被告:最終的には、主人がこの仕事をすることを決めたのだが、私が係わっていなければ、このようなことにはなっていなかった。巻き込んだことは申し訳ないと思っている。
市河弁護人:後悔している?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたは拘留中に、お父さんが亡くなりましたよね。
嘉子被告:(無言でうなずく)
市河弁護人:会えなかったでしょ?
嘉子被告:(無言でうなずく)
市河弁護人:それも、あなたがこうした事件に関与したからだと思っている?お父さんに対してどう思っているの?
嘉子被告:(涙声で)一番、親不孝をしてしまった・・・・
以上、弁護人による主尋問終了
●前田検事の反対尋問(要約)
前田検事:平成18年当時の確認をしますが、当時あなたは、神霊能力を持っていたと今でも思っているか?
嘉子被告:はい
前田検事:あなたが神霊能力を得たのは平成14年頃で、佐野被告から、「神霊能力を授かった」と言われたことがきっかけだったということだね?
嘉子被告:はい
前田検事:当時、あなたはそれに関して疑問を持っていたが、その後、佐野被告の講習を受けたり、自分で訓練をして、徐々にそれが確信に変わっていったということだね?
嘉子被告:はい
前田検事:何か具体的に、この時点で神霊能力が身についたと確信した時期はあったのか?
嘉子被告:変化があったとか、結果を見てそう思った
前田検事:あなたが神霊鑑定をして、結果が表れた人がいたからということか?
嘉子被告:はい
前田検事:あなたは夫の史利と供に、神霊能力開発講座を担当していたか?
嘉子被告:はい
前田検事:それは平成14年12月頃からか?
嘉子被告:よく覚えていない
前田検事:具体的に、「結果が表れた」と、お客さんから言われ、自分の神霊能力に確信を持つようになったのは、神霊能力開発講座を受け持つ前だったのか後だったのか?
嘉子被告:覚えていない
前田検事:そもそも、あなたの神霊能力、つまり神霊からのメッセージを伝える能力というのは、あなたが神霊に対して問いを発したことについて神霊が答えてくれるということなのか?
嘉子被告:はい
前田検事:あなたは自分自身でどのような答えが出ているのか、神様にお願いしながら考えて、悩みの原因などについて答えていたということか?
嘉子被告:集中はしていたが、考えていたかどうかは分からない
前田検事:あなたは悩み事などの話をよく聞いて、どういう解決方法がいいのか考えて、神様にお願いしながら集中してよく考えて、メッセージをいただいていたと言う話をしているじゃないですか?
嘉子被告:考えて○*△×%#*・・・集中してお願いしていただいていた
前田検事:考えて伝えていたということと、単に思いついたことを伝えていたということは違うのか?
嘉子被告:繰り返し内容を○*△×%#*・・・神様に・・はしていた
前田検事:あなたが佐野被告人から受けた講習や自分で行ったことは、例えば人型のものを見せられて、思いついたことについてぽんぽん書いていくということですよね?
嘉子被告:はい
前田検事:それは集中して行うものではないのでは?
嘉子被告:繰り返し使っていくうちに○*△×%#*・・・
前田検事:あなたは自分が神霊能力が授かっていることを確認するために、答え合わせのようなことはして、自分の神霊能力は間違いないということを確かめたことはあるのか?
嘉子被告:答え合わせはしたことがない
前田検事:どうして?
嘉子被告:○*△×%#*・・・
前田検事:当時、御霊光を受けていたが、その効果を得られなかった人がいたことは知っていたね?
嘉子被告:変化がなかったとは○*△×%#*・・・
前田検事:お客から奇跡があると言われたとき、それが偶然ではなく、あなたの自身の能力によるものだと、あなたは言うことができるのか?
嘉子被告:私自身の能力ではなく、神様からいただくものなので、私自身の能力とは思っていない
前田検事:では、どうしてそれが神様からいただいた神様の力だと言えるのか?
嘉子被告:○*△×%#*・・・
前田検事:でもそれが、偶然かもしれないとは考えないのか?
嘉子被告:考えたことはない
前田検事:それが間違いなく神様からいただいたものだと言うために、何か客観的に確かめることがあってもよいのでは?
嘉子被告:確かめようとはしなかった
前田検事:どうして?
嘉子被告:神様がおっしゃっていることなので、人間がそれを確かめたりするのは変・・・
前田検事:あなたは神霊能力開発講座を始めるとき、スタッフの人に、どうやって講座をやったらよいのかと相談したことはないか?
嘉子被告:○*△×%#*・・・佐野さんには聞いた
前田検事:平成14年にあなたがカウンセリングをした後、カウンセリングで言っていたことが当たっているか不安であるとか、自分には霊が見えないとか、ちゃんと当たっているのか分からない等とスタッフの人に相談をしていたということはなかったか?
嘉子被告:当てものに関しては私は○*△×%#*・・・
前田検事:当てもの?
嘉子被告:当たった外れたというのは・・・、神霊鑑定は相談を受けてその解決方法を伝えるだけだったので
前田検事:当時あなたがやっていたカウンセリングというのは、まさにその悩みの原因がどういうものかという相談を受けていたということだったのでは?
嘉子被告:神霊に聞いて、その解決方法を伝えていくということだった
前田検事:当てものと神霊鑑定は違うのか?
嘉子被告:当てるというのは、私は違うと思う
前田検事:スタッフの人に、どうやったらいいのか相談していたというのは、当時あなたには自分自身には神霊能力がないと思っていた証拠なのでは?
嘉子被告:能力ではなく方法なので・・
前田検事:方法については佐野被告人から教えを受けていたのでは?
嘉子被告:ちょっと不安だったので・・・
前田検事:自分自身でも、思いついたことをポンポンと紙に書いていく訓練をしたのでは?
嘉子被告:訓練した
前田検事:そういう方法だったのでは?
嘉子被告:そういう方法だったが不安だった
前田検事:あなた自身は、他人が神霊能力を授かっているかどうかを見分ける方法を持っていたのか?
嘉子被告:持っていない
前田検事:じゃあ、どうやってあなたは他人が神霊能力を授かったと分かるのか?
嘉子被告:会主様が「授かっている」と言った方は、授かっているのかと思った
前田検事:じゃあ、神霊能力開発講座を受け終わった方が、神霊能力を授かったかどうかはあなたには分からなかったということか?
嘉子被告:確認したことがない
前田検事:でも、あなたは神霊能力開発講座を受け終わった人に対して、「神霊能力が授かりましたよ」と伝えていたのでは?
嘉子被告:終わった後ではしていた
前田検事:でも、あなたには他人が神霊能力が授かったかどうか分からないのでしょ?
嘉子被告:結果をみてはじめて分かる
前田検事:そもそも、神霊鑑定に入るかどうかは誰が決めていたのか?
嘉子被告:お客様が
前田検事:え?佐野被告人が決めていたとあなたは説明してたのでは?
嘉子被告:私とか主人に関してはそうだったが・・。神霊能力があるかどうかは、講座を受けた人をカウンセリングして、その変化を見て確認していた
前田検事:あなたは自分の供述調書の中で、神霊能力が授かったという説明をした上で、エレヴァシオンというサロンで神霊能力開発講座を終えた人たちに神霊鑑定を行わせていたと供述していませんか?
嘉子被告:はい
前田検事:それは、あなた自身がその人に神霊能力が授かったことが分かったということなのでは?
嘉子被告:鑑定に入り、結果を見た上で判定していた
前田検事:えんとらんすアカサカでは、「ここは宗教である」とお客に説明していたか?
嘉子被告:していない
前田検事:それはどうしてか?
嘉子被告:当時、宗教のイメージがよくなかったので宗教と言わないようにしていた
前田検事:宗教と説明するとお客さんが来なくなるだろうと考えたということ?
嘉子被告:はい
前田検事:要するにそれは看板を掛け替えていたということになるのでは?
嘉子被告:とにかく、一度御霊光を受けてもらいたいたかった。それで結果を見てもらいたかった
前田検事:御霊光を受けてもらうためであれば、ウソをついてもいいということ?
嘉子被告:ウソということではなく、宗教法人でもなかったので、そういう意味で宗教ではないと・・。神様なので・・
前田検事:でも、最初から神様とか御霊光という言葉は出していなかったね?
嘉子被告:最初はそうです
前田検事:そのように隠していたことについて、不適切だったとは思っているか?
嘉子被告:当時はまったくそのように思っていなかった
前田検事:あなた達がそのように、宗教ではないと言っていたのは、斉藤亨被告人からもそういわれていたのでは?
嘉子被告:私は千手観音教会に行っていた当時から、スタッフからここは神様なんです、宗教じゃないんですと言われていたので、宗教ではないんだと思っていた
前田検事:では、あなたは当時から宗教ではないという認識だったのか?
嘉子被告:神様だが、宗派には入っていないし・・
前田検事:あなた方がやっていたことは、ビジネスではないのか?
嘉子被告:違います
前田検事:斉藤被告人からそのような話を聞いたことはないか?
嘉子被告:聞いたことはあるが神様の仕事なので・・・
前田検事:斉藤亨被告人は、当時、「教主」といわれた絶対的な存在だったね?
嘉子被告:はい
前田検事:神書を書かれた方ということで、その教えは絶対的なものだとされていたね?
嘉子被告:はい
前田検事:斉藤被告人は祭典等で、「ここは企業です。ビジネスです」と言っていたことについて、あなたは疑いを持っていたということか?
嘉子被告:有限会社なので会社だと思っていた
前田検事:斉藤被告人が、売り上げを上げることに執念を燃やすと言ったことがあったね?
嘉子被告:はい
前田検事:先ほどのあなたの説明だと、佐野被告人がミーティングで売り上げを上げることを関する説明があったときに、それは違っており、自分たちのやり方は、人を集めることがメインだから、売り上げを上げることに固執するのはどうかと思っていたということだったね?
嘉子被告:はい
前田検事:先ほど弁護人も述べていたが、それは当時の神世界の教えとには全く反することだったのでは?
嘉子被告:そうですね
前田検事:あなた方の教えでは、お金を集めることが拡大発展、御神業の拡大につながるものだという説明だったのではないのか?
嘉子被告:お金を使って御霊光を受ける場所を日本全国や世界中に増やしていくという計画はあったので、お金はそのために使っていくと思っていた
前田検事:要するにそのためにはお金が必要な訳だよね?
嘉子被告:はい
前田検事:だから、最終的にはお金が必要だということでしょ?
嘉子被告:はい
前田検事:あなたはお金のことばかりはどうかと話していたが、それはあなただけの認識で他の人の認識とは違うのでは?
嘉子被告:そうかもしれない
前田検事:人を集めることがあなたにとって大事なことだと言っているが、だとすると老若男女を問わず、いろいろな方にそのような教えを伝えて広めていくとことだよね?
嘉子被告:はい
前田検事:でも神世界は、まさに女性をターゲットにして人を集めていたのでは?
嘉子被告:若い女性の方が、ヒーリングなどには興味があるだろうなと思った
前田検事:それはあなたの考えですか?
嘉子被告:はい
前田検事:神世界全体として若い女性をターゲットにして誘うということだったのではないか?
嘉子被告:それはそうです
前田検事:そのことに関してあなたはどのように認識したのか?
嘉子被告:若い女性がいいんだと思った
前田検事:でもあなたの認識では、幅広く教えを広めていきたいということだったよね?
嘉子被告:はい
前田検事:あなたの認識と、神世界で共有されている共通認識は違うということか?
嘉子被告:若い方から、その方の両親や祖父祖母にも伝わっていくので、そのようなことを考えたことはなかった
前田検事:先程来、あなたの話を聞いていると、あなた自身の認識と、神世界で共有されている認識とでは、全然違うように感じるが?
嘉子被告:もう一度言ってください
前田検事:売り上げが大事なのか人が大事なのか、若い女性が大事なのか幅広くということが大事なのか等といったこと
嘉子被告:○*△×%#*・・・
前田検事:あなたはえんとらんすアカサカでナンバー2の教会長という立場であり、それなりの発言権もあった訳で、当然、スタッフに対しても指導する立場にあったね?
嘉子被告:はい
前田検事:当然、神世界の教えについても教える立場にあった。でもスタッフも他の人も、あなたのような考え方をしている人はいなかったのでは?
嘉子被告:それはちょっとわからない
前田検事:あなたはこの場で、場当たり的な発言をしているということではないのか?
嘉子被告:そのようなことはない
前田検事:この公判廷で、事実を認めようと考えたきっかけについて先ほど述べていたね。
嘉子被告:はい
前田検事:被害者の話とかを聞いたからということがそのきっかけになるのか?
前田検事:あなたは、公判が始まる前から、供述調書を差し入れられて読んでいたのでは?
嘉子被告:取り調べの後では
前田検事:起訴された後のこと
嘉子被告:はい
前田検事:裁判が始まる前に、その供述調書に目を通していたね?
嘉子被告:はい
前田検事:そのときに、「あ、自分は間違っていたんだ」と気づかなかったのか?
嘉子被告:徐々にそう気づいていた
前田検事:それが確信に変わったのはいつなのか?
嘉子被告:覚えていない
前田検事:徐々にということだが、なぜその供述調書を読んだだけではあなた自身の間違いに気づかなかったのか?
嘉子被告:勘違いをされていると思っていたので・・。直接被害者の方の話を聞いて弁護士にも話を聞いて、本当に申し訳ないと思うようになった
●大久保検事の反対尋問(要約)
大久保検事:被告は、体調が良くなったことがきっかけで信ずるようになったとのことだが、それは誰の、どのような行為を受けてそのようになったのか?
嘉子被告:誰とか言うことではなく、いろんな方がおられたので、○*△×%#*・・・御霊光をいただいた結果良くなった
大久保検事:一番気になっていたのは、相次いでお子さんを亡くしたことだったとのことだが、その件は解決したのか?
嘉子被告:解決した
大久保検事:どのようにして?
嘉子被告:もともと弱い子供だったので、毒素が多かったんだろうなと思った
大久保検事:ん?あなたが子供さんを亡くしたとき、御霊光は受けていたの?
嘉子被告:受けていない
大久保検事:その後、御霊光を受けるようになって体調が良くなったということで、お子さんが授かるための祈願をしたり、そのための努力はしたの?
嘉子被告:仕事が楽しくて、そういう気持ちにはならなかった
大久保検事:祈願もしなかった?
嘉子被告:はい
大久保検事:あなたが佐野被告人と最初に出会った頃の佐野被告人の印象は?
嘉子被告:ほとんど会話をしたことがなかったので、おとなしい方だなと思った
大久保検事:佐野被告人の地位はあなたより上の地位にいたとのことだが、あなたにとって佐野被告人とはどのような人物だったのか?
嘉子被告:上司であり、細かな点も指導してくれる優しい人だった
大久保検事:彼の神霊能力などについてはどう思っていたのか?
嘉子被告:すごい神霊能力のある方だと思っていた
大久保検事:それはあなた自身が何かの体験をしたからか?
嘉子被告:佐野さんの神霊鑑定に同席したことがあり、その後の結果が出ていたので、すごい能力があるんだと思った
大久保検事:先ほど来の説明も含めて、神霊能力があるかどうかは、結果で判断するしかないということだね?
嘉子被告:はい
大久保検事:今回、証人Dさんは、なぜ結果が出なかったの?Eさんも
嘉子被告:勘違いさせてしまったから・・。神様ではなく、私達人間に力があるかのように思わせてしまったから
大久保検事:だから結果が出なかったの?
嘉子被告:はい
大久保検事:それをしていなかったら、確実に結果を発生させることができていたと今でも思っているのか?
嘉子被告:それはちょっとわかりません
大久保検事:どういう意味?
嘉子被告:・・・・・・・・(しばし沈黙)
嘉子被告:絶対にそうなっていたとは・・・・
大久保検事:あなたは先ほど、「御霊光は万能ではないと思っている」ということを述べているね?
嘉子被告:御霊光ということではなく、神様の教えとかに関しては万能ではないいう意味
大久保検事:じゃ、御霊光や神霊鑑定についてはどうなのか?
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・(長い沈黙)・・・・・・・
嘉子被告:万能ではない
大久保検事:結果が出なかったのは、元々御霊光は万能ではなかったからじゃないの?
嘉子被告:(しばし考えた後)そうなります
大久保検事:大丈夫かな?混乱しているようなので、一度整理しますね。
大久保検事:あなたは今回、結果が出なかった理由について、「私達に能力があるかのように誤解を与えたから、本来万能で、効果が出るべきものが効果が出なかった」と言っているが、その一方で、「元々万能ではないんだと、今では思っている」とも述べている
嘉子被告:神様からの御霊光は万能です
大久保検事:えー?御霊光は万能だと思っているの!?さっきの話と違うけど?
■裁判長:御霊光は万能ではないとさっき言ったんだけど、覚えていますか?
嘉子被告:神書の内容の方は万能ではないと思うが、御霊光については今でも万能だと思っている
大久保検事:御霊光の効能が書いてあるのが神書なんじゃないですか?神書が万能でなければ、神書に書いてある御霊光も万能ではないのでは?
嘉子被告:神書は・・・・えーー、御霊光は・・・あっ、・・・(しどろもどろになる)
嘉子被告:御霊光は万能だと思っている
大久保検事:なぜ?!!(強い語調)
嘉子被告:言い方がむずかしい・・。私は結果をいただいているので・・
大久保検事:元へも戻ってしまったねー
大久保検事:あなた記録を見ましたよね?御霊光をいただいていたが亡くなった方がいた、重篤な障害が残った人がいたという内容の記録
嘉子被告:はい
大久保検事:先ほどの供述では、当時からそういう人がいたことを知っていたと言いましたね?間違いないですね?
嘉子被告:はい
大久保検事:じゃー、その人達はなぜ結果が出なかったのか?
嘉子被告:体が弱かったからです
大久保検事:いま、そう思うということ?当時そう思っていたということ?
嘉子被告:当時も、今も・・。今は、病院に行くという方法や薬もあると思う
大久保検事:それはやはり御霊光は万能ではないという意味なのでは?万能じゃないから薬を合わせればいいと言っているんじゃないの?
嘉子被告:御霊光をいただく回数だとか・・○*△限界がないので×%#*・・・
⇒(理解不能な被告の言動に、検察官、裁判官も呆れた様子)
大久保検事:もう一度聞きますが、御霊光は万能だと今でも思っているのか?
嘉子被告:・・・・(非常に小さな声で)私は思っている・・・
■裁判長:御霊光が万能であれば、薬を飲む必要はないのでは?
嘉子被告:何も飲まなくいいというのは極端すぎると思う・・
嘉子被告:私自身、御霊光をいただいて結果が良かったので○*△×%#*・・・
■裁判長:他の人については?
嘉子被告:途中で止めてしまう人もいたし・・、私はずっと神様に・・
■裁判長:死亡など不幸な事例は、途中で御霊光を受けるのを止めた人がそうなったのではなく、むしろ熱心に御霊光をいただいていた人が不幸な結果になっているでしょ?
嘉子被告:○*△×%#*・・・答え方が難しい・・・
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・・・・(長ーい沈黙)・・・・・・・・・
嘉子被告:私自身はそう思っていた・・・
⇒(裁判長もサジを投げた感じで、「もういいです」と発言)
大久保検事:100万という大きな金額であった証人Dさんの御祈願についてだが、当時あなたは、ちゃんと説明が出来ているのか心配だったということだったね?
嘉子被告:はい
大久保検事:じゃー当時、あなたがそこで説明しておいて然るべき内容と思うのはどういう内容?
嘉子被告:神様との取り引きの説明を・・
大久保検事:その程度?神様にお玉串をお上げしてという認識は当時もあったのでは?
嘉子被告:当時はあったと・・・・、話をして、理解されているなーと安心した覚えがある
大久保検事:じゃー、なぜ結果がでなかった?
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・・・・(長ーい沈黙の後)分かりません
大久保検事:未だに整理できていないのか・・そこは、あなたは・・。自分たちのことを素直にちゃんとみれていないのかな?
大久保検事:では、こう聞きましょう。あなたは証人Dさんに対してだけは特に、自分に能力があるんだと振る舞ったという認識はあるのか?
嘉子被告:証人Dさんだけではないと思う
大久保検事:証人Eさんや、民事で訴えている人たちに対してだけ、自分たちに能力があるんだと振る舞ったのか?
嘉子被告:はい、あります
大久保検事:その人たちに対してだけということ?
嘉子被告:申し訳ないと思っている
大久保検事:申し訳ないかどうか聞いているのではない。あなた達が行ったどの行為が、自分たちに能力があるかのように振る舞った行為だと認識しているのか?
嘉子被告:すごい先生がいるとか、特別な方だとかいう表現が・・
大久保検事:その表現、ずっと使っていたよね?
嘉子被告:はい
大久保検事:ということは、みんなずっとあなた達にすごい能力があるんだと思い続けていた人がいてもおかしくない。そうすると、神様は怒って、何一つ結果が出なくてもおかしくないのでは?
嘉子被告:はい
大久保検事:あなたの理屈では、誰一人として結果をもらえていないことになる。そうなりませんか?
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・(長ーい沈黙の後)結果が出た方がいるので・・
大久保検事:あなた達が整理した原因が違うのでは?
嘉子被告:神様と証人Dさんの間に私が入ったことが間違いだったのかも・・・。申し訳ないと思っている
大久保検事:なにが申し訳ないのか、間違ってその原因を捉えていても仕方がないからこうやって聞いている
大久保検事:あなた達が、自分に能力があるかのように振る舞っていたこと、すごい先生がいる、特別な方などの表現をしていたことが神様を怒らせ、結果が出なかった原因であるとするならば、あなた達は誰にでもそうした表現をしていたのだから、神様の邪魔を常にしていたことになり、誰一人として結果など出ていないことになる。そうは思わないか?
嘉子被告:勘違いする人もいるので・・
大久保検事:結果が出なかったのはその人が勘違いをしたからであり、その人が悪いと言いたいのか?
嘉子被告:そういう意味ではない
大久保検事:ではどういう意味か?
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・・・(長ーーーーい沈黙)
大久保検事:(沈黙が長いので検察官は再び)どういう意味ですか?
嘉子被告:・・・・・・・・・・・・・・・(長ーーーーい沈黙)
⇒尾崎弁護人が「異議がございます」と発言
尾崎弁護人:重複の議論の繰り返しになっており、被告が言っているのは、勘違いをさせた責任を認めているわけで、勘違いをしていない多数の方は見守って・・・・・
■裁判長:それは意見になりますので、止めてください
大久保検事:重要な点であるということと、被告人から明確な答えが得られていないということから異議は却下願います
⇒裁判長と2名の裁判官が尾崎弁護人から出された異議を認めるか否かを協議
■裁判長:異議は却下します。続けてください
大久保検事:改めて聞きます。なぜ今回は結果が得られなかったのか?
嘉子被告:私たち人間が邪魔をしたから
大久保検事:もともと、あなた達がやっていたことが確実に悩みを解決するなどというものではなかったから、当然のように結果が出ない人がいるのではないのか?
嘉子被告:・・・・(しばらく沈黙が続いた後)○*△×%(意味不明な言葉)
大久保検事:終わります
●市河弁護人再尋問(要約)
市河弁護人:あなたが健康になったことは、結果であり、今でも確信をもって奇跡だと思っているのか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:検察官がいま言われたように、神霊鑑定、あるいは御霊光は、被害者の方には病気が回復するという結果が生じなかった。それが詐欺だったからなのか、誤解を与えたからなのかということをあなたは説明?神霊鑑定や御霊光、本来的にあなた達の教えとして、奇跡とはそういうものなのか?
嘉子被告:そうした方もいた
市河弁護人:そうした方も、でしょ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:そうじゃない人もいた?
嘉子被告:はい
市河弁護人:「心と言葉と行動」という教えがあったね?
嘉子被告:はい
市河弁護人:玉串をお上げして、単に御霊光をいただくだけで神様は奇跡を与えると教えではなかったでしょ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:つまり、あなた達の教えは、御霊光だけで、あるいは神霊鑑定だけで、御祈願だけで、それだけで万能の奇跡が100%保証されているという教えではないでしょ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:それを「万能ではない」と言うんだよ。私がさっき言ったつもりなんだけどね
市河弁護人:そういう理解をあなたはしていないということか?
嘉子被告:それはしている
市河弁護人:そうだね
市河弁護人:つまりあなたは、御霊光や御祈願、御玉串を上げることで確実に奇跡が生ずる、万能な奇跡が生ずるという理解をしている訳じゃないんでしょ?
嘉子被告:はい
市河弁護人:そうだとすれば、それは万能ではないということだから、それを説明しなきゃだめじゃないですか(弁護人、語気を荒くして被告を叱る)
嘉子被告:はい
市河弁護人:それが先ほど検察官が聞きたかったことなんだよ
市河弁護人:証人Dさんに、お取引の中身、単にお願いするだけではなく、もっと具体的な行動、体にいいことだとか、いろんなことをしなきゃいけないんですよという、「心と言葉と行動」の部分を具体的に説明しなければ、御祈願だとか鑑定がすべて万能であるように受け止められるじゃないですか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたが不安に思ったというのは、そこじゃないの?
嘉子被告:そうです
市河弁護人:そこを説明しなくてどうするの!
嘉子被告:はい
市河弁護人:そこが理解不十分だから、先ほど検察官が聞いていたんじゃないですか?
嘉子被告:はい
市河弁護人:あなたが奇跡を得たというのは、あなたの主観だから誰も何も言えない。だけど、他の人がそういう経験を経たかどうか、そう感じたかどうかということは、他の人の受け取り方だからそれは正直分からないんだよ
市河弁護人:でもはっきり言えることは、どういうことを言われたのか、どういうことを信じたのかということはある程度は分かる
市河弁護人:先ほどのあなたの説明では、あなたが悪いことをしたのかどうかが分からないんだよ
市河弁護人:つまり、あなた自身が、自分が何をしたのか、自分がどのような悪いことをしたのかが分からないんだよ。自分がやったことを、ちゃんと理解しないといけない
市河弁護人:先ほど私が、「御霊光や教えは万能なんですか?」と聞いたのは、元々あなた達の教えでは、万能ではないはずなんです
市河弁護人:それがあたかも万能であったり、会主さまから、神霊鑑定士から奇跡がいただけるような形になってしまっていた
市河弁護人:元々の教えからどんどんずれていって、それが確実性と保証性100%の奇跡を与えるかのような外形と言動が横行していたことが問題だったんじゃないの?
嘉子被告:はい、そうです
市河弁護人:ちゃんと分かってますか?
嘉子被告:分かります
尾崎弁護人:結果をいただいた方もいれば、今回の被害者のように結果がいただけなかった方もいるわけだが、その割合はどの程度のものか?
嘉子被告:7割くらいの人は、いただいていたと思う
尾崎弁護人:あなたは神様が万能だと思っているのか?
嘉子被告:はい
尾崎弁護人:人間のやっていることは万能ではないね?
嘉子被告:はい
●裁判長の尋問(要約)
■裁判長:あなたは教会長であり、佐野さんの次の立場であり、ご主人の史利被告より立場が上だったが、どのような経緯でそうなったのか?
嘉子被告:私の方が先にスタッフだったから
■裁判長:神霊能力という点ではどちらが優位だったのか?
嘉子被告:私は東京で仕事をしており、主人は山梨にいた。神霊能力開発講座を受ける人は山梨の方が多かったので、主人がそうした活動に従事していた
■裁判長:あなたが教会長になるということは、佐野さんが決めたのか?
嘉子被告:そうだと思う
■裁判長:えんとらんすアカサカでは、客に対して「ここは宗教ではない」と言っていたが、あなたもそう思っていたのか?
嘉子被告:宗教法人ではないし・・・
■裁判長:宗教法人かどうかということではなく、あなたの認識として、えんとらんすアカサカの活動は宗教活動だと思っていたのか?
嘉子被告:はい、宗教活動だと思っていた
■裁判長:思っていた?
嘉子被告:はい
■裁判長:じゃー、お客さんに対して、「ここは宗教ではない。取り引きです、ビジネスです」と言っていたのは間違いだね?
嘉子被告:神様であって・・・
■裁判長:神様とはどういう意味ですか?
嘉子被告:(しばらくの間、逡巡したあげく)宗教だということです
■裁判長:要するに、人間の力の及ばない、超自然的な力。そういうものに力があると信ずるというのは宗教ですよね?
嘉子被告:はい
■裁判長:じゃ、「宗教ではない、神様です」と言い換えたところで、人にウソを言っていることですよね?
嘉子被告:はいそうです
■裁判長:看板を偽っていますよね?
嘉子被告:はいそうです
■裁判長:あなたはいま、えんとらんすアカサカを清算中で神世界の宗教活動もしないと言っているが、神様は信じているのか?
嘉子被告:はい
■裁判長:今後は、個人として信仰していくということ?
嘉子被告:はいそうです
■裁判長:あなたは、元スタッフだった証人Cさんの証言を聞いていたね?
嘉子被告:はい聞いていました
■裁判長:証人Cさんは、あなたが佐野さんから叱責されたり、指示されていたと証言をしているが、それは事実か?
嘉子被告:はい
■裁判長:じゃ、その通りだと聞いていいですね?
嘉子被告:はい
■裁判長:では後ろに下がってください。
午前の部終了(11:29)
●午後の部(13:30より)
■佐野孝被告への被告人質問
●市河弁護人による被告人質問(要約)
市河弁護人:あなたは証人C・Dに関する組織的詐欺について自分が関与したことを認めるか
佐野被告:認めます
市河弁護人:神世界の前身である千手観音教会に関わるようになったのはいつ頃か
佐野被告:平成3年あたり
市河弁護人:それはどういうきっかけか
佐野被告:私の顔に蒙古斑(?)というアザが17歳のときから出始め、悩んでいた。会社に勤めてから平成3年頃まで病院に通い、治療をしていたが、完治せずにまた出てきて悩んでいたときに、職場で日原葉子さんに知り合い、家にお邪魔したときに御霊光のお取次ぎをしているお母さんがいるということで御霊光の存在を知った
市河弁護人:初めて御霊光を受けたとき、何か感じるところはあったか
佐野被告:最初は感じなかったが、何度か受けるにあたり、アザの上に治療行為をしたところの皮膚の下に何かムズムズ感じて、不自然に温まるような○*△×%#*・・・何か不思議な気持ちだった
市河弁護人:アザというのは右目側?左目側?
佐野被告:左目側。顔の左半分
市河弁護人:実際にアザは消えたのか
佐野被告:病院の治療が終わってから左の頬に出始めて、御霊光を受けるにあたり、薄くなり、消えていった
市河弁護人:通い始めてどれくらい経って?
佐野被告:半年くらい経ってほとんど分からなくなった
市河弁護人:治療行為の結果だとは思わなかった?
佐野被告:はい。病院で手術をしたときにこれ以上皮膚を焼いたり・・・すると、皮膚が薄くなって不可能と言われて、そのときに治療をあきらめた○*△×%# *・・・
市河弁護人:アザが消えたということで千手観音教会の会員になった?
佐野被告:はい
市河弁護人:スタッフになったのは?
佐野被告:平成7年
市河弁護人:きっかけは?
佐野被告:お手伝いという形で神様に使って頂いていたが、平成7年の○○のときに千手観音教会で働くお許しを頂いた
市河弁護人:お許しを頂くというのは誰から?
佐野被告:・・・・・(しばし沈黙)、え・・・、お許しを頂いたのは斉藤亨さんだったと思う
市河弁護人:御霊光のお取次ぎなどをしていた?
佐野被告:はい
市河弁護人:拠点の活動は山梨中心?
佐野被告:はい
市河弁護人:通っていた会員の中で、薬はよくないとか、乳製品はよくないだとか、熱を出した方がいいだとか、御霊光を受け続けた方がいいとか、そういう教えを守って、むしろ悪化したりお亡くなりになった方がいたのはご存知?
佐野被告:知っていたが、何か事情があるのではと思っていた
市河弁護人:悪いことが起こったのは何か事情があるのではないかということ?
佐野被告:背景が分からなかったので、何か事情があるのではと思っていた
市河弁護人:あなた自身はお子さんが何か健康を害することがなかったか
佐野被告:はい。ありました
市河弁護人:それは、神世界の教えを守ったから健康を害したと考えなかったか
佐野被告:・・・(しばし沈黙)、当時は、子供がそういうことになったということが大変ショックで考えられなかった
市河弁護人:あなた自身、神霊鑑定士の第1号と言われているのはそれは事実か
佐野被告:はい
市河弁護人:神霊能力に目覚めたのはいつ頃?
佐野被告:平成12年
市河弁護人:お子さんが健康を害したのと何か関係があった?
佐野被告:子供がそのようになったのは私の活動が至らないばかりにと思っていた。神様に助けて頂ける方法を考えていたところに神様に能力を授けて頂いた
市河弁護人:神霊能力とは具体的にどういう状態?神様の声が聞こえるだとか、映像が見えるだとか、何か思い浮かぶだとか
佐野被告:千手観音教会の仕事が夕方終わるときに、神様の姿の所にソフトボールくらいの大きさの光る観音様が見えたので何故だろうというのがきっかけ
市河弁護人:観音様の姿が映像として見えたの?
佐野被告:はい、そうです
市河弁護人:その後は具体的に何か経験したか
佐野被告:何度か見えたので、その内容を不思議に思い、斉藤さんに報告した
市河弁護人:斉藤さんは何て言った?
佐野被告:・・・、神霊能力を頂いたという御言葉を頂いた
市河弁護人:それ以外は?
佐野被告:人が幸福になるようにしっかりそれをするように(?)と御言葉を頂いた
市河弁護人:具体的には何をしたらよいと言われた?
佐野被告:当日はその会話だったが、家に帰ると、お姿の前に座っているとお姿から神様が私に話しかけてきてお前を使うというような御言葉が聞こえた
市河弁護人:神霊鑑定を行い始めたのは斉藤さんから言われてしばらくしてから?それともすぐ?
佐野被告:間は空けなかったと思う。過程の中で鑑定に対して能力を授かっていった
市河弁護人:神霊鑑定の方法は?
佐野被告:対面式で話をして、相手の方が神様に聞きたい内容をお伝えすると、私が聞いた後、神様から言葉が体の○×△・・なくなって、スラスラ出てくるもの
市河弁護人:家系図や家の見取り図は利用していたか
佐野被告:最初は家系図等はなかった
市河弁護人:何か困ったことはあったか
佐野被告:神様からの声が一日中、時間関係なく聞こえるようになり、自分の時間が制約されるようになり、○*△×%#*・・
市河弁護人:年がら年中続いて非常に恐怖を感じたとか、精神的に落ち込んだことは?
佐野被告:神様からの御言葉を伝えるという大事な仕事ですので、自分に間違えがあってはいけないとか、見えないものが見えることの怖さとか、入られる方の先祖の方が一日中助けてほしいと霊的に現れるなど、精神的に恐怖感を・・・
市河弁護人:それで一度、神霊鑑定やめていないか?
佐野被告:はい、やめました
市河弁護人:やめたことについて斉藤さんは何か言っていたか
佐野被告:精神状況などを含めた上で、やめることに対してお許しを頂いた
市河弁護人:神霊鑑定を再開したきっかけは?
佐野被告:○*△×%#*・・心に変化が起きたときに、斉藤さんからまた声をかけて頂き、考えて最終的には鑑定をすることになった
市河弁護人:一度やめて再開するまでの期間はどれくらいだった?
佐野被告:・・・・・・・(長い沈黙)、精神状態が・・、心が疲れているときで・・・、はっきりしません
市河弁護人:再開してまた、見えないものが見えるようになったとか現れたのか
佐野被告:○*△×%#*・・斉藤さんから神霊能力を頭の中に入れて下さったから、以前のような・・・でなく、・・・能力を授かっているという形なので大丈夫だ・・・
市河弁護人:あなた以外に神霊鑑定士は最初誰がいたか
佐野被告:びびっととうきょうのW田さんという方。あとからK藤さんという方
市河弁護人:このふたりにあなたが講習したり、あなたが神霊能力があると判断したのか
佐野被告:私は関与していない
市河弁護人:えんとらんすで認定した人は誰か
佐野被告:淺原史利さんと嘉子さんが始めで、K山さん、小塚さん、従業員Cさん。私が神様から教えて頂いて声をかけた
市河弁護人:神霊能力があるとどうやって見分けるの?
佐野被告:淺原史利さんと嘉子さんに関しては、私がアメリカにおいて活動を行うということを神様から承ったときに神霊鑑定ができなくなるということで神様に相談したところ、神様からの答えが、神霊鑑定ができるように用意してあればその方たちに講習をしてよいと、頭の上を見たら光る観音様がいらっしゃったので○*△×%#*・・・
市河弁護人:それで神霊能力があると判断した?
佐野被告:神様の指導通りに、講習を行うことによって神霊能力を授かることができるというように教えて頂いたのでそのように変更した
市河弁護人:神霊能力開発講座を行うように指示したのは誰?
佐野被告:・・・(しばし沈黙)、あの、そのような講習を行えないかと問い合わせがあったので神様にお聞きして実行した
市河弁護人:そのような講習会を行いたいと言ったのは誰?
佐野被告:・・・記憶がはっきりしませんが、神世界の関係のどなたか
市河弁護人:つまり、あなたがアメリカに行ってしまい、神霊鑑定をやる人がいなくなるから?
佐野被告::はい、そうです
市河弁護人:神霊能力開発講座を史利被告にアカサカで行うよう指示したのは?
佐野被告:私が神様にお聞きしてそのようにした
市河弁護人:講座の内容はあなたが史利被告に伝えたのか
佐野被告:神様に聞いた内容を伝えた
市河弁護人:答え合わせをしてはいけないのはなぜ?
佐野被告:○*△×%#*・・、受講者同士でひとつのテーマに対して答えが合わない可能性があるので、答え合わせをしてはいけないということで○*△×%#*・・
市河弁護人:なぜ答えが違う可能性があるのか
佐野被告:ひとつは、質問される方の心を通して答えが頂けるので、その方の心にふさわしい答えを頂ける。あとは、受講者の気持ちが、どうしてもその方を救いたい、神様に救って頂きたいという気持ちがあるかどうか
市河弁護人が事例を出して質問(省略)
市河弁護人:あなた自身は神様から頂いた答えに対し、確認作業(答え合わせ)をしたことがあるか
佐野被告:はい
市河弁護人:それは当たっていたか。何回くらい?
佐野被告:はい。神様は正しいという信念はあるが、○*△×%#*・・・・
市河弁護人:具体例は?
佐野被告:・・・(しばし沈黙)、はい、あの、例えば、スーパーで○*△×%#*・・お店の状況が今後、どのようになって行くか・・・
市河弁護人、反応せず、質問を変える
市河弁護人:アメリカに行って布教活動をした?
佐野被告::当時、千手観音教会の会員の方がいないわけではありませんが、あの、会員の方が少し増える形でできないかということで、斉藤さんと話をしたところ、アメリカに布教活動に行って、神様のご指導の下で活動することによって、さらに千手観音教会が展開していくこと、奇跡をまた頂けるように神様から○○を頂いたので、アメリカの方に行った
市河弁護人:現実に拠点はつくれたのか
佐野被告:つくれなかった
市河弁護人:そのことに対して神様からメッセージは?
佐野被告:目的としては、アメリカでのテロに遭われた方の霊、悲しみの心を救うということで現地に出向き、お祈りしなさいと言われていたのでその行為をしていた。世界的に宗教活動を、海外の人たちも念頭において布教活動をしなさいということでしたので、そのようなことを実行した
市河弁護人:でも、実際に拠点を作れなかったんだよね?それは神様の計画と違うのでは?
佐野被告:はい。そう思う。
市河弁護人:帰国後、すぐ神世界の活動を始めたのか
佐野被告:いや、自分の、なぜアメリカでの活動が自分の思うようにできなかったのか、自分が活動に復帰するに当たって、その役目が果たせるのか、自分がその立場でいいのかということを深く考えることがありまして、仕事に復帰するのが・・・
市河弁護人:神世界の活動を控えた、でもあなた、もう一度活動始まったよね?
佐野被告:私の子供が、斉藤亨さんの養子になったことから、その子供に会いに行くことが月に1度か2度あった。そのときに斉藤さんから神世界で働かないかと声をかけて頂き、最初は神様にお聞きし、お断りしていたが、3度目、4度目のときに・・・
市河弁護人:杉本被告の民事裁判でのトラブルのことを確認(省略)
市河弁護人:トラブルの原因である神霊鑑定や御祈願をやめるという話にならなかったのか
佐野被告:神様から、神霊鑑定というのは今の活動規模において対応が困難である、説明不足と人間の活動面における対応の不足から問題が生じるということで神霊鑑定のやり方を変えるようにという話があったので斉藤さんに伝えた
市河弁護人:神霊鑑定をやめなさいという話に対して、斉藤被告はなんと言ったか
佐野被告:問題が起きない形で、○*△×%#*・・、その後、問題のない形がないか神様にお聞きしたら不可能という御言葉だったので、神世界に話をした
市河弁護人:そしたら、斉藤被告からどういう回答を得たか
佐野被告:○*△×%#*・・、神様にお聞きしたら、やめるということはいけない、残って組織の上に立って、○*△×%#*・・、今は問題が起こらない形を精一杯努めるようにと伝えたので、あの、○*△×%#*・・
市河弁護人:斉藤被告は、神霊鑑定を続けると言ったのか、やめると言ったのか
佐野被告:まぁ、あの、続けると・・・
市河弁護人:でも、あなたからすれば、神様からのメッセージなんだから、神霊鑑定をやめた方がいいと、斉藤被告にどうして強く言わなかったのか
佐野被告:それは私の信仰に関する○*△×%#*・・、神様からの御言葉を基に幸福になっていった。斉藤さんの御神業における手足となっていく中で、神霊能力を授かったわけだが、斉藤さんは神様からの御言葉を聞くことができる、私は神霊からの御言葉を聞くことができるということで、私の中で、斉藤さんは神様からの言葉を聞けると神霊から○*△×%#*・・話を聞いたことがあるので、私の神霊からの答えより、斉藤さんの答えが合っているという・・・○*△×%#*・・
市河弁護人:斉藤被告の言葉の方が、あなたが聞いている神様、あるいは神霊のメッセージよりも大事だと考えた?
佐野被告:はい、○*△×%#*・・
市河弁護人:平成19年12月の警察の捜索をふまえて、再度、斉藤さんに神霊鑑定をやめた方がいいのではないか、返金した方がいいのではないか、と話をしなかったか
佐野被告:はい、伝えた
市河弁護人:平成18年えんとらんすの売上は他社と比較して高かった?
佐野被告:低かった
市河弁護人:1億円売上がないと、他社に吸収されると斉藤被告に言われなかったか
佐野被告:みろくに吸収される具体的な話があった。えんとらんすとみろくでは、指導面、神様に対する感謝の気持ち等、意識として自由な面があり、とても他のグループについていける形ではないので、吸収されると、会員がやめてしまい、○*△×%#*・・トラブルになりそうな懸念があった
市河弁護人:それであなたは、売上をあげなければいけないと指導していた?売上をあげないと吸収されてしまうという不安があったから強く言った?
佐野被告:はい
市河弁護人:斉藤被告から売上をあげるよう指導があったか
佐野被告:??
市河弁護人:売上をあげるという発言や指導に何か、○*△×%#*なかったか
佐野被告:神霊鑑定ということがあって、神様のところに救いを求めに来られている方、○*△×%#*・・、そういう活動によって対応が困難になって・・・
市河弁護人:売上をあげると単純に言うと、御玉串をたくさんあげてもらうということで、杉本さんの民事事件のようにトラブルが多発化すると思わなかったか
佐野被告:そういう恐れがあるので、策としてできる形を取った。杉本さんにみろくの管轄に入って活動してもらうとか、各経営者の方に誓約書を結んでもらうとか
市河弁護人:あなたは捜査段階と訴因変更前までは否認していたね?その理由は?
佐野被告:捜査段階から私は返金を考えていた。しかし笠原先生から、「返金はダメだ」と言われた
佐野被告:捜査段階での検事さんとのやり取りを録音したテープも聞かされた
佐野被告:警察の捜査には不当性があると笠原弁護士に言われていたので黙秘した
市河弁護人:つまり、あなたが返金したいと言っていたのに、笠原弁護士が「捜査には不当性がある。取り調べに対しては黙秘で行く」との方針を示したので、あなたはそれに従ったということか?
佐野被告:はい
市河弁護人:返金をするということは、神様からの指示でそうしようと思ったのか?
佐野被告:はい
市河弁護人:そうしたことがあったのに、今回、返金を決めたのはなぜ?
佐野被告:神様が弁護士の先生を説得しなさいということで、神世界関係者が逮捕されたときに笠原先生に○*△×%#*・・、私の方で○*△×%#*・・、返金の対応を・・
市河弁護人:あなたは以前、弁護士の先生から返金することを強く抑えられていたんでしょ?方向転換に到った最大の理由は?
佐野被告:斉藤さんを通じての神様で、○*△×%#*・・・、今回の件の中で、○*△×%#*・・・斉藤さんが逮捕されたことをきっかけに笠原先生に相談し、○*△×%#*・・・
市河弁護人:端的に答えてほしいんだけど、つまり、あなたは以前から神様の方から、罪を認めて謝ってお金を返しなさいと言われていたのか
佐野被告:はい
市河弁護人:それを神世界の人に言ったら反対されたんでしょ?斉藤さんの意志には抵抗できなかったんでしょ?
佐野被告:はい、あの、○*△×%#*・・・そういうような指導を受けて、○*△×%#*・・・
市河弁護人:つまりね、あなたからすれば、斉藤さんや弁護士の先生の意見が通って、あなたはそれに従っていたんでしょ。
佐野被告:はい
市河弁護人:斉藤さんが逮捕されて、それによって、どうして今まで従っていたのに、意志を強く出して返金をしようと強く押したのか。そのとき、何が変化したの?
佐野被告:○*△×%#*・・・
市河弁護人:つまり、こういうことでしょ?あなたは今まで斉藤さんの意志・指導をずっと守ってきたけど、神様の言葉ですら逆らって斉藤さんの言葉をきいていた。だけど、最終的に正しかったのは神様だった、ということをそのとき、確信持ったんでしょ?
佐野被告:はい、そうです
市河弁護人:斉藤さんの考えは間違っていたと思ったということじゃないの?だから、神様の言う通りにしなきゃいけない、言う通りにしないからこういうことになるんだ、そういうふうに強く確信を持ったんじゃないの?
佐野被告:その通りです
市河弁護人:だからこそ、あなたはかなり強く、先生たちに早く返さなきゃいけないと言っていたよね?そのとき、あなたは心境の変化が起きたんじゃないの?
佐野被告:はい
市河弁護人:あなたが本来やるべきことは単純で、神霊鑑定を全体的にやめる、被害を受けた人たちに直ちに返金する、こういう行動をとるべきだったのではないか?あなたは神世界でNo.2と言われている、なぜNo.2と言われている?
佐野被告:はい。神霊能力を最初に授かったので
市河弁護人:それだけ神霊能力・神霊鑑定に責任ある立場なんでしょ?現実に本当の意味でNo.2であるかは別として、あなたが責任ある立場としてもっと早く神霊鑑定をやめさせるよう動かなきゃいけなかったのではないか?
佐野被告:その通りです
市河弁護人:今後、神世界の活動を続けていくつもり?
佐野被告:続けていかない、退職願を出した
市河弁護人:えんとらんすについては?
佐野被告:問題を起こしたので解散
市河弁護人:自分の神霊能力は今の時点であると思っている?
佐野被告:ない
市河弁護人:自分で宗教を起こしたりとか別の宗教活動を行おうと思っている?
佐野被告:一切ない(?)
市河弁護人:みえるとか聞こえるとかいう能力を宗教的なことに利用して活動はしないということね?
佐野被告:しない
市河弁護人:民事の裁判で和解が成立し、被害者50人近く、裁判外の和解人数が50人以上、それ以外にも請求があるかもしれないが、そういった残りの人達に対する返金作業についてどう思うか
佐野被告:しっかりと責任を持って会員の方に返したい
市河弁護人:本当に真面目に信じていた人に対して迷惑をかけていたと考えるか
佐野被告:はい
市河弁護人:御霊光によって必ず奇跡が起こると考えているか
佐野被告:いいえ
●尾崎弁護人による反対尋問(要約)
尾崎弁護人:先ほど証言した他社の規模についての推測は、売り上げの差から考えてということか?
佐野被告:はい
尾崎弁護人:あなたは他社に対して指示命令は?
佐野被告:していない
尾崎弁護人:平成19年12月に警察の強制捜査が入ったが、被害者への返金を考えていたのは、強制捜査の前か後か?
佐野被告:返金については19年12月の段階で考えた
尾崎弁護人:その後に、押収されていた預金などが返還されたことがあったね?
佐野被告:はい、ありました
尾崎弁護人:平成22年の春だった?
佐野被告:はいそうです
尾崎弁護人:そのときには返金を考えなかったのか?
佐野被告:神様から返金しなさいと言われていた
尾崎弁護人:先ほどの発言では、斉藤亨被告が当初は返金はだめだと言っていたが、その後、返金を認めるようなことはあったのか?
佐野被告:斉藤さんは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(長い沈黙)
⇒約1分ほどの長い沈黙の後、佐野被告は自分のズボンのポケットからハンカチを出し、下を向いて目の辺りを何度もぬぐいはじめる。
佐野被告:・・・・・・・とても、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(再び長い沈黙)
⇒更に1分間ほどの沈黙が続く。
⇒時間の経過とともに更に感情が高まってきたようで、完全に泣いている。
⇒証言台に取り付けられたマイクを通して、佐野被告が鼻をすする音が法廷内に響き渡る。
⇒そうした状態が約2分ほど続いた後、やっと少し落ち着きを取り戻してきたようで、顔を上げて、何かを話そうとする。
⇒法廷中が、佐野被告が次に発する言葉に注目する(ひょっとすると詐欺を認める発言をするのか?)
佐野被告:・・・・根がやさしい方で・・・・・、本当にその方が○*△×%#*・・その中で一生懸命やってこられた活動という意味で、正当性を持って、神様から教えて頂いた内容または私の考えを伝えるにあたり、返金という形で考えを変えて考えて下さり、説得を関係者の方にして下さった
尾崎弁護人:しかし、現実にはね、返金はずっと後になった訳で、その理由をもう少し詳しく言ってください
佐野被告:関係する内部の方々の意見、やはり皆さん真剣にやっていた。私も真剣にやっていた。その中で今回の出来事があり、そのとき担当されていた笠原弁護士、検事の録音テープがあって、事件は逮捕なしで終結、在宅という形になるというような説明を受けていた。そこで民事での対応になるからという説明を受けていたので、皆の考えがそこに固まってしまうものがあり、それが返金が遅れた理由になった
尾崎弁護人:終わります
一旦休憩(2:58)-----------------------------(3:15)審議再開
●前田検事による被告人質問(要約)
前田検事:今回の事件で何が悪かったと思う?
佐野被告:神霊鑑定をする者に能力があるように誤解させてしまったこと
前田検事:神霊鑑定において、詐欺になるような行為が行われていたことを当時から認識していた?
佐野被告:誤解を与えてしまい・・・○*△×%・・・
前田検事:売上を上げることに前のめりになったのは、えんとらんすがみろくに吸収されると斉藤被告から言われていたことがひとつの理由?
佐野被告:はい
前田検事:アメリカから戻って来て神世界に復帰する前のこと?後のこと?
佐野被告:復帰してからのこと
前田検事:以前から売上が上がらない経営者は吸収されることはあったことでは?
佐野被告:はい
前田検事:ということは、えんとらんす特有のことではなく、前々から認識していたのでは?
佐野被告:・・・○*△×%・・・
前田検事:お金を集めることは、人を集めることと並んで御神業にとって必要なものだったのでは?
佐野被告:救いの場を広げると思えば、必要なものだったと思う
前田検事:神世界ではある意味、当然のことでは?
佐野被告:・・・ひとり、ひとりの救いを求める方に対しての十分な対応が・・・○*△×%・・・
前田検事:神世界全体としても、その頃から何か動きが変わったのか
佐野被告:全国展開するということを、神様の救いの場を・・・
前田検事:千手観音教会時代から斉藤被告は、「ここはビジネスなんだ。利益を上げなければいけないんだ」と口をすっぱくして言っていたのでは?
佐野被告:記憶しているが、救いの場の・・・○*△×%・・・
前田検事:売上のためにはトラブルが起こってもやむを得ないと感じていたのか
佐野被告:人間的な対応が不十分・・・○*△×%・・・
前田検事:あまりトラブルを起こさないよう、えんとらんすで活動していきたいという認識だったか
佐野被告:・・・・(しばし沈黙)、トラブルというよりも、救いを求める方が・・・○*△×%・・・
前田検事:売上は上げたいが、トラブルは起こさないようにという指導をしていたということか
佐野被告:きちんと説明を、結果に対して、救いを求める・・・○*△×%・・・
前田検事:私の質問に対して、答えは「はい」なのか、「いいえ」なのか
佐野被告:もう一度、質問をお願いします
前田検事:売上を上げるのは大事だが、トラブルを起こさないよう、従業員に指導していたのか
佐野被告:はい
前田検事:史利被告のノートにあなたの発言の記載がある。「うちの神霊は神霊ファンドである。今年中にファンドの会社をつくる。ファンドは成功すれば、村上のようによい○○」、そのように言った記憶は?
佐野被告:記憶にない
前田検事:同じく、「未来が予測できる演技。一般大衆に対してのインパクト。そのためには話術が大事」との記載があるが、これはミーティングなどで伝えたことでは?
佐野被告:記憶にない
前田検事:従業員Cのノートには「8月にはアカサカ全体で売上7千万円を達成するように」との記載があるが、この記憶はあるか
佐野被告:はい、私が言ったと思う
前田検事:さらに「御祈願で3千5百万円を売り上げるように」とあるが、間違いないか
佐野被告:・・・(しばし沈黙)、何かの思いがあって出たものだと思うが、そのような発言をしたと思う
前田検事:現在の認識で、御祈願にノルマを設けるということは、あなたが言う、救いとは矛盾すると思わないか
佐野被告:私は、あの、・・・○*△×%・・・皆が継続してくれるにはどのような形が望ましいかと・・○*△×%、人を増やすということを・・○*△×%、そのような話が出たと思う
前田検事:鑑定によって御祈願につなげ、具体的な御祈願の金額が出てくるのは若干おかしいと思わないか
佐野被告:なんらかの事情で、将来予測をしなければいけない・・○*△×%・・・
前田検事:神霊からも神霊鑑定を続けると詐欺になるかもしれないと言われていた?
佐野被告:説明が不十分なために民事・刑事で問題になると・・・
前田検事:神霊鑑定をやめるように言われたということ?
佐野被告:形を変えるか、やめなさいと言われた
前田検事:それなのに神霊は、神霊鑑定士に対してメッセージを送り続けてくるのか
佐野被告:説明をちゃんとして、やるべきことをやった上で展開していれば・・・
前田検事:やめろと言われた後もメッセージが届いていたのか、それとも神霊鑑定士が人間力で勝手にメッセージを作っていたということ?
佐野被告:組織の考えが変わるまで対応するということで、メッセージを頂いていた
前田検事:トラブル回避のため、E2杉本を別の会社に置くことと、誓約書のことを言っていたが、誓約書の中身を覚えているか
佐野被告:よく覚えていない
前田検事:その誓約とは、誰に対してしたものか
佐野被告:神世界と契約している経営者
前田検事:えんとらんすで言えば、あなたか嘉子被告が有限会社神世界に対して提出したものということか
佐野被告:はい
前田検事:神世界に迷惑が及ばないように作ったものだったのでは?
佐野被告:当時はそのようには思っていなかった。しっかり対応を取ることが必要であるので、その責任を自覚して頂く上で作った
前田検事:誓約書を書かなければ、自覚できないものだったのか?
佐野被告:皆さん自覚されているとは思うが、さらに・・○*△×%・・・
前田検事:神霊能力はどのようにして授かるものか
佐野被告:私個人においては、お許しを頂いて、・・○*△×%・・・
前田検事:あなた自身は授かったという意識は?
佐野被告:神様のお姿が見えるようになった、見えないものが見え始めたということで、・・○*△×%・・・
前田検事:あなたは努力して神霊能力を授かったのではないか
佐野被告:活動を通じて努力は必要だが、努力をして授かるものではない
前田検事:斉藤被告が祭典の中で、あなたは(斉藤被告のために)犬の糞を拾うなど、すごい努力をしたからこそ、授かったと言っていなかったか?
佐野被告:そのような御言葉も頂いたかもしれないが、・・○*△×%・・・
前田検事:結局、結論としては、突然、授かったということ?
佐野被告:お許しを頂いて授けて頂いた
前田検事:誰から授けていただくのか
佐野被告:神様と斉藤亨さんを通じて授かった
前田検事:そこには斉藤被告は介在してくるのか
佐野被告:授かったときに神様にお願いして、その能力を授けるようお願いしたという御言葉を頂いたので、・・・○*△×%・・・
前田検事:あなた以外の淺原被告はどのようにして授かったか
佐野被告:神様に私が教えて頂いて、神様の分霊が出ているから・・、講師をしなさいということで神霊鑑定という・・○*△×%・・・
前田検事:淺原夫婦は、選ばれし人だったということ?
佐野被告:もう計画上の・・・○*△×%・・・
前田検事:あなたがやった講習は、授かった能力をうまく引き出すためのものということ?
佐野被告:・・・、スムーズに神霊からの言葉を伝えられるように○*△×%・・・
前田検事:従業員Cや他の神霊能力を授かっている方は、淺原さん達と同じような状況?
佐野被告:私が関与していない人もいるが、私が関与した人は同じような状況・・・○*△×%・・・
前田検事:神霊能力開発講座を受けた人は、いつの段階で能力を授かったのか
佐野被告:受講を申し込まれたときに神霊が降りられているので、そこから言葉を発する・・・○*△×%・・・
前田検事:講座は、経営者の許しを得て、どなたでも参加できるものではないのか
佐野被告:神様に対しての気持ちをしっかり持っている方が、経営者のお許しを頂いて、活動をしていきたいという気持ちのある方が・・・○*△×%・・・
前田検事:受講の申し込みの段階で神霊能力を得たということになるのか?
佐野被告:神様からの神霊が降りた、申し込みをされたときに頂くもの
前田検事:開発講座でうまく使いこなせるようになるということか
佐野被告:はい
前田検事:非常に多額の御玉串をお上げしているね。多い場合で300〜400万のものもあったね
佐野被告:御礼のことですね
前田検事:神霊能力を得たことの御礼ということか
佐野被告:アメリカで活動しているときで、御礼の形がどのような・・・、御礼をお上げしている人としていない人といるということで、これからは本当に感謝された方の、自分がお上げしたいという方が・・・○*△×%・・・
前田検事:神霊能力を得たことの対価ということではないのか
佐野被告:そうだと思う
前田検事:未納になっている人は能力が身についていないということ?
佐野被告:・・・、講習に入ったときはできるが外に出るとできないという方がいらして、アフターコースで対応してしっかりその辺を・・・○*△×%・・・
前田検事:淺原夫妻が神霊能力を授かったのは、あなたがアメリカに行ってしまい、神霊鑑定を行える人がいなくなってしまうから。従業員Cに講習をしたのは、淺原被告が手が回らなくなっちゃって忙しいから、新たな鑑定士が必要だったからということでよいか
佐野被告:はい。・・・○*△×%・・・
前田検事:人手不足になると次々と神霊鑑定士を創設しているように思えるが?
佐野被告:それは、あの、○*△×%・・・鑑定だけでなくて一般的な相談という上でも・・・
前田検事:あなたが、神霊鑑定士が人手不足なので必要だと神霊に問うと、神霊は、この人を任命する、と返してくれるということか
佐野被告:私の都合ではないが、必要があって、・・・○*△×%・・・
前田検事:従業員Cに対する講習で「客の悩みの原因は毒素・霊・環境の3要素に必ず当てはまる。御祈願やお浄めの代金について、M入先生なら30万円、W田先生なら300万円」と説明しているね
佐野被告:だったと思うが、私の考え方が足りなかったばかりに従業員Cに誤解を招いたと思う
前田検事:それはいい。悩みの原因は3つにパターン化されているものなのか
佐野被告:主にその3つの要素があるので・・・○*△×%・・・
前田検事:それは、神霊鑑定士になった人が神霊から聞けばいいのではないか
佐野被告:はい。たとえば、あの、その、神霊鑑定をする者に対して説明をしなければならない、・・・○*△×%・・・
前田検事:相場はあったのか
佐野被告:いや、神霊鑑定というものは鑑定士の気持ち、すべてはその人を助けてあげたいという気持ちの方であれば、その方が問題ない形でしっかりやっていきたい、結果も異なるが金額も異なるので・・・○*△×%・・・
前田検事:神霊鑑定士のレベルによって御祈願の値段が変わってくるのか
佐野被告:神様から頂いている結果で異なる
前田検事:能力の低い鑑定士はそれなりだし、能力の高い鑑定士はそれなりに高くなる?
佐野被告:求める方の気持ちがまず第一に大事で、その次に神霊鑑定士・・・○*△×%・・・
前田検事:そうすると、ことさら高い御祈願の方につなげるということ?
佐野被告:・・・、おっしゃる意味がよく分からない
前田検事:従業員Cの講習のときに「もっとすごい先生がいるから」と史利被告の鑑定につなげるよう指導したのでは?
佐野被告:やはり、あの、重要なことを抱えている方というのは、あの、当時は史利さんの鑑定に入られた方が経験もあるし、神様から評価されているので・・・○*△×%・・・
前田検事:奇跡については千手観音教会時代から冊子などがあったね。あなた自身も投稿したことはあるか
佐野被告:はい
前田検事:平成8年3月18日付の会報で、あなたのお母さんの体験談が記載されているのを知っているか
佐野被告:調書をみながら思い出して、当時、2回ほど会報に投稿した。一つ目は言い回しなどをみてほしいと私に依頼し、2度目は会報を作成される方との直接のやり取りで・・・○*△×%・・
前田検事:あなたのお母さんの供述調書で書いているものは一つ目と二つ目とどっちか
佐野被告:会報を見たときの記憶では、父が前立腺肥大で治療を受けなければいけないところを神様のところに来てよくなって喜んで○*△×%・・。会報について、自分がどのように携わったか記憶はない
前田検事:あなたのお母さんは、自分自身で体験談を投稿したことはないと言っているね?
佐野被告:はい、調書にそのように書いてあった
前田検事:あなたは自分自身でやったかどうかは曖昧なのか
佐野被告:一度目の内容は母が原稿を書いてきてチェックしたが○*△×%・・
前田検事:あなたのお母さんは、家族しか知らないようなことが書いてあると言っていたね
佐野被告:はい、そのときは母と話をしながら・・・○*△×%・・
前田検事:あなたのお母さんは自分で投稿したことはないし、そんな事実はないと言っているのであれば、あなたか誰かが内容を捏造したということではないのか?
佐野被告:・・・・、母がそのように言ったのであれば、私の当時の記憶だが、何か母との会話の中で違いがあったのかもしれないが、母は当時祭典にも出ていたし・・・
■裁判長:あの、質問に答えて下さいね
佐野被告:はい
■裁判長:あなたが勝手に書いたことはあるのか、ないのか
佐野被告:勝手に書いたということはない。一度目の内容は母の依頼に基づいて・・・○*△×%・・・
前田検事:あなたが書いたのでなければ、神世界の誰かが勝手に書いたということ?
佐野被告:その内容はそういう内容かもしれないので、そこははっきりとは分からない
●大久保検事による被告人質問(要約)
大久保検事:あなたの最初の奇跡の体験は病院で治らなかったものが治ったこと?
佐野被告:病院で治癒したがまた出てきたのでその後・・・
大久保検事:奇跡の話を集めた冊子を置いていなかった?あなた自身、編集してた?
佐野被告:はい。・・・編集というよりも、言い回しの確認をしていたことはある
大久保検事:どう確認した?
佐野被告:取次者や神霊鑑定者に対してありがたいというような話がある内容に対して、誤解があってはならないので、書かれた方に対して、スタッフを通じて、神様が結果を下さることを理解して頂いた上で書き直して頂いて、考え方を改めて頂く・・・
大久保検事:内容について把握していたね?
佐野被告:はい。一時、把握していた
大久保検事:病気が治ったとかいいことがあったとそういう話ばかりだった?命を落とすに到った人などの話を載せていた?
佐野被告:載せていなかった
大久保検事:なぜ?
佐野被告:それはあの・・、事情があってそのようなことが起きたと理解している・・
大久保検事:何の事情があってこういうことがあったと事情も踏まえて載せるのが公平なのでは?なぜ載せなかった?
佐野被告:・・・(答えに詰まる)
大久保検事:あなたは誤解を与えてはいけないと当時から思っていたと言ったね。誤解を与えちゃいけないなら持っている情報はすべて出すのではないか
佐野被告:それは・・奇跡のツールであって・・奇跡の内容は神様へ感謝の気持ちを持って出すもの・・・、○*△×%#*・・・
大久保検事:載せなかった理由を聞いている。そんな話を載せちゃったらお客さんが来なくなるし、お金を払わなくなるから載せなかったのではないか
佐野被告:・・・そのようなことは一切思っていなかった
大久保検事:じゃあ、なぜ載せなかった?
佐野被告:奇跡の○*△×%#*・・・
大久保検事:奇跡のことしか書いてないものを見たら、お客さんは、来たら必ずこういういいことがあると思ってしまうと思わないか
佐野被告:思う
大久保検事:当時は思わなかったのか
佐野被告:当時は、神様を広めたいと思っていた
大久保検事:神様を広げるためにあえてそういうものばかり置いていたということ?
佐野被告:・・・、大勢の方が奇跡を頂いている状況の中で○*△×%#*・・・
大久保検事:神霊能力授かった経緯においての説明の確認。私の活躍が足りなかったので、神霊能力を私が授かり、挽回するチャンスを与えられたと思った、ということ?
佐野被告:三男がそのような状況に陥ったときに、斉藤さんから活動の上に足りない部分があるのでそのようなことが起きたと説明を受けた記憶があり、親として、本当に救って頂いた内容に対して全然足りていないので、何とか助けてほしいと神様にお願いしていたので、そのようなことになった
大久保検事:自分自身が神霊能力を授かったと言われた後、お子さんとは会ったか?
佐野被告:神霊能力の内容だが、三男のことも結果は完治ということもないし、結果がよくなると考えてはいけない、ただ、三男が背負ったものに関して軽くなるということで、しっかり活動していくんだということで、その中で自分の時間を作ってはいけないというのがあって、神霊鑑定士である以上、自分の時間作ってはいけない。三男に会ってはいけないと、それ以降、自分の時間はつくらなかった
大久保検事:誰かから言われていたということ?
佐野被告:神様から言われた
大久保検事:望んでもどうにもならないこともあるとその当時、神霊からあなたは認識したということ?
佐野被告:あの、そういうケースもあると認識した
大久保検事:一旦、神霊鑑定士をやめたときは斉藤被告の了解を得た?
佐野被告:はい
大久保検事:辞めたら声が聞こえなくなった?
佐野被告:すぐにはなくならなかった
大久保検事:どのようにしてなくなった?
佐野被告:庭仕事をさせて頂いたり、斉藤さんから指導を受けながら生活していく中で心を取り戻し、落ち着きを戻した
大久保検事:斉藤被告から許しを得たと言ったが、神霊からは?
佐野被告:あ、あの、そのときは本当に怖いという状態になっていて聞かなかった
大久保検事:その後、また斉藤被告から声をかけられてやるようになったということ?それ以外に、またふたたび神霊鑑定を始めるあなた自身の理由はあったか
佐野被告:それまでみていた内容の中で、あの・・・、鑑定に入られた方が神様から結果を○*△×%#*・・・
大久保検事:せっかく神様から授かったものを使わなかったり御神業を撤退したりすると、よくないことが起こると言われていた?
佐野被告:そういう言い方ではなかったが、神様からの素晴らしい能力を○*△×%#*・・・
大久保検事:あなた自身は鑑定をやめたとき恐怖なかった?
佐野被告:それ以前に当時の神霊鑑定は自分がない状態での指導があって、恐怖心と心の葛藤で○*△×%#*・・・
大久保検事:あなたや家族にとって徹底的によくないことが起きるなど、その間にあったか
佐野被告:その間は、自分の精神状態を含めて取り戻すことで精一杯で、家族にとっては起こらなかった
大久保検事:今はどう思う?
佐野被告:なかった
大久保検事:せっかく、神様から唯一与えられたものを使わずに放棄したが、その間何も何も悪いことは起きなかったという事実についてあなたはどう思う?
佐野被告:・・・(答えに詰まる)
大久保検事:御神業を撤退したら本当に悪いことは起こるのかと聞いている
佐野被告:・・・(答えに詰まる)。全体的なことは分かりませんが、私のそのときに関してはお許しを頂いていたと思うが、よくあの、状況が分からないので・・・
大久保検事:神霊鑑定の答え合わせの件で、何か間違ったことを責任ある立場で言ってしまってはいけないから、あなた自身、ことあるごとに確認していたと言った?
佐野被告:必要に応じて確認はしていた
大久保検事:神霊能力がちゃんとあるのかときどき確認していたということでは?
佐野被告:鑑定に応じての結果を通じて、あの、神様からのお答えが、あの、その会員の方が合っているようなことを言われているかの確認をしていた
大久保検事:あなたですら、ずっとやってたんでしょ?
佐野被告:間違えてはいけないので・・・私が間違っていなければ・・・
大久保検事:あなた自身の中で神霊能力によって得た答えに合っている間違っているという概念があなた自身に存在するんだよ。神霊能力開発講座でも合っている間違っているのチェックをしたらよかったのに、なぜしなかったのか
佐野被告:はい、あの、何人かの確認をとったら、○*△×%#*・・・合っている合っていないじゃないですけど、神様からくる内容を整理できているかの確認はしていたので○*△×%#*・・・
大久保検事:答え合わせをしていなかったというのが皆の認識じゃなかったのか
佐野被告:受講者同士の答え合わせはしていなかったが、証人Dの調書にあったように史利被告の鑑定でその答えが正しいかどうか確認を求めたという記述があったが、そのように答えを相手に確認することはなかった・・・
大久保検事:もっと明確に答えが分かることってあるでしょ?客観的に歴史的に答えがはっきり分かるもので確認をしていないのでは?
佐野被告:考えたことはなかった
大久保検事:できないからでしょ?できるようにならないからでしょ、そんなこと
佐野被告:・・・あ、できるということでも、私の中でそのような・・・するのは禁止されていたので・・・
大久保検事:あなた自身は当たっているかどうか確認してたって言ったじゃないか
佐野被告:年数だとかそういう部分に関しては確認していないが、○*△×%#*・・・
大久保検事:神書には禁止されているけど、斉藤被告は、神霊能力を磨くためにはどんどん使いなさい、株もやりなさいと勧めていたと記録残っているけど、聞いているね?あなた株もやったね?当たった?
佐野被告:大変お恥ずかしい話だが、そのときの・・・えんとらんすの・・・
■裁判長:いいんですよ、あなた、当たったかどうかの結果だけを言えば
佐野被告:○*△×%#*・・・その株を損した
大久保検事:もっと手近に馬券とか宝くじとかあるけど、そういうものを買ってお金を集めるのが御神業なんだったら、斉藤被告もそれを否定していなかったんだから、皆でこぞって当てていけばよかったじゃない。あなたはそんなに外れたことがなかったと言うから聞いているんだけど、もっと当てていけばよかったじゃない
佐野被告:・・・禁止されているから・・・
大久保検事:斉藤被告はいいって言ってたじゃない
佐野被告:申し訳ないが株は・・・考えていなかった。必要に応じて・・・
大久保検事:必要に応じてと言うけど、御神業のために、より多額のお金を集めるのに必要に応じるときと必要がないときがあるのか
佐野被告:・・・(答えに詰まる)
大久保検事:儲けられないなら儲けないという理由があるのか
佐野被告:株に対して神霊に聞くということはやってはいなかった。株は例外で・・・
大久保検事:アメリカから帰ってきてしばらく活動しなかったが斉藤被告から誘われて再開したという経緯で、神霊に聞いて断ったというとき、神霊からは何と言われた?
佐野被告:活動面において問題が起きるのではないか。活動に加わるのは止めなさいと・・・
大久保検事:最後に誘われたときは、神霊の言葉に従って参加したのか、それとも従わなかったのか
佐野被告:神霊に状況を話したところ、活動を直すために加わりなさいということで・・・
大久保検事:何回か聞いたら神霊の答えが変わったの?
佐野被告:何回かというそれは、その日一日のうちではなくて、3ヶ月かけての内容だった。状況が変わったのかもしれない
大久保検事:あなたの認識で何か状況が変わったことは?
佐野被告:・・・
大久保検事:たとえば、問題が起こらないようにこういうことやってくれる?と斉藤被告が約束したとか
佐野被告:なかった
大久保検事:名古屋のトラブルを経て、神霊鑑定をやめるよう言われたという件で、なぜ神霊からやめるよう言われた?
佐野被告:ここまで組織が大きくなって神霊鑑定を行うと、論理的に対応が不十分になってしまう。そこからの誤解が生じる恐れがある。そのようなことをやっていると、おみえになっている方が民事・刑事事件という形で悩みを抱えることになってしまう。そのような活動になってしまうので形を変えなさいというようなことを言われた
大久保検事:斉藤被告からは、問題が起きない形を聞くのが役目だと言われたんだよね?
佐野被告:はい
大久保検事:斉藤被告は自分で神様からの声を直接、聞けるんでしょ?
佐野被告:あの・・・、神様の媒体であるということなので・・・、神様からの御言葉を発せられると思っていた
大久保検事:だとしたら、斉藤被告が自分で神様に聞いて答えられる役目だと認識していておかしくないはずだが、なぜこれがあなたの役目だと言われて納得したの?
佐野被告:・・・、神霊能力を授かったときは、子供を救って頂くという気持ちがあったので、そのような疑問は持たず・・・
大久保検事:斉藤被告ならあなたに聞かなくたって自分で分かると思わなかった理由は?
佐野被告:そのときの神霊からは不可能であるということであったために、どうしたらいいかということで、あの・・・
大久保検事:それだと、斉藤被告は、あなたがもう1回聞いたら不可能だと言われることが分からないで、あなたに振ったということになるね?
佐野被告:なので、何回も話をしました
大久保検事:そうしたら、斉藤被告から、「神世界から離れる」と言われたとのあなたの話だが、要するに「辞めろ」と言われたということか??
佐野被告:はっきりは分からないが、少し距離を置かなければいけないようなことは・・・
大久保検事:そうした出来事が平成17年頃にあり、神霊はもう止めろと言っていたにも係わらず、平成18年、19年には、神霊鑑定士と称する人が神霊鑑定をして神霊の声を聞いたと言っている。それはなぜか?
佐野被告:○*△×%#*・・・、問題のない形ですることで対応するよう神霊からのお許しを頂けたので、継続できたものと思う
大久保検事:問題を認識した神霊がそれにもかかわらず、神霊鑑定士が誤解しやすそうなことを神霊が伝えていたのか、それとも、神霊鑑定士が聞いてもいない神霊の声を誇張して伝えていたからこういうことになったのか、あなたは今どう思っているか?
佐野被告:神霊からの内容について正確に伝えることができず、説明が不十分だったためにこのようなことになった
大久保検事:神霊はトラブルが起きていることを全部知っていて、なおまだ、神霊の言葉を与え続けているとあなたは思っているのか?
佐野被告:??的に活動で補っていくということでやっていた
大久保検事:平成17年にトラブルがあって、18年、19年と補えないことは神霊はずっと分かっているわけだよね?それでも神霊の言葉を与え続けてきたとあなたは思っているんだね?
佐野被告:それは十分対応するということで継続させて頂いたので、あの、それに基づいて、あの・・・、私の??のためにこのようにご迷惑をかけてしまって・・・
大久保検事:神霊が早々とあなたたちに気をつけて、言葉を伝えさせなければよかったのではないのか?
佐野被告:そうかもしれない
大久保検事:そうなの?!
大久保検事:御祈願ってそもそも御玉串の金額は神霊が決めるんでしょ?
佐野被告:いやぁ・・・、神霊鑑定で出すのと、自分なりに御祈願される方と・・・
大久保検事:2種類あるの?
佐野被告:はい
大久保検事:神霊鑑定を経て御玉串が決まる場合、予測が不能だけど、自分の意志で御玉串の額を決めるお客さんもいるから、そのお客さんに働きかけてたくさん出すように頑張りなさい、という指示を出していたということか
佐野被告:・・・、そのような形ではなくて、人数が集まることにより・・・、あの、必然的に売り上げに現れてくるということで・・・
大久保検事:ノルマ厳しく、達成できなかったね、いつも。ノルマを設定するときに達成できるかどうか神霊は教えてくれないの?
佐野被告:あの・・・○*△×%#*・・・、途中からは変更し、自分達が可能な金額を出すということで・・・
大久保検事:証人Dに対してパーティーを開くように言った件に関して、神霊から人を集めることがやるべきことだという声があったのか
佐野被告:人を神様のところへ御案内することにより、証人Dもしっかりみてあげようというような御言葉だったと思う
大久保検事:元々、結果を頂けないことについての相談であったこと前提だよね?
佐野被告:鑑定の流れで○*△×%#*・・、
大久保検事:証人Dが求めていた結果が病気の治癒だと知っていたか?
佐野被告:・・・・・、それも求めていたことは聞いていた
大久保検事:それをすれば証人Dの病気は治癒したはずだ、そういうこと?
佐野被告:・・・(しばし沈黙)、そこまではっきりした答えを頂いたかどうか記憶がないが、その流れで頂いたと思う
大久保検事:元々、鑑定結果を求めて祈願をやるんだから、結果出ないこと自体おかしいとは思わないか
佐野被告:証人Dの御祈願に関しては、私の講習が到らないばかりに勘違いさせてしまったためにそのようなことが生じてしまったと思う
大久保検事:あなたにとっては、誤解をしてしまった人が、完全に治癒すると思っているからトラブルになっているんだと当時、あなたは認識していたのではないのか
佐野被告:そのような形ではなくて・・・、しっかり神様の御言葉で・・・、神様の御霊光を頂いて幸せになる形に進むものと思っていた
大久保検事:もうトラブルになって気持ちの平穏失っているんだから、なぜそういうことになったのか確認しようとは思わなかったのか
佐野被告:そういう流れではなくて、何が原因かというようなことではなくて・・、神様にお許しを頂いて救って頂けるかということに対して・・・、まぁ、その、・・
大久保検事:今、振り返って、トラブルを認識した都度、行き過ぎたことしていなかったか確認していないのはおかしいと思わないか
佐野被告:??と思う
大久保検事:トラブル生じないようやっていこうなんて本当に思っていたのか
佐野被告:しっかり結果を頂けるよう、私の方で指導していたので・・・不十分だったので・・・
大久保検事:あなたの神霊の言葉で、証人Dが求めていた結果を得られていたはずだということ?
佐野被告:・・・(沈黙)
大久保検事:結果を得られるようしっかり指導したと言うんだったら
佐野被告:・・・ですので、活動が不十分であったために、あの・・○*△×%#*・・
大久保検事:黙秘は弁護人から指導を受けたからと言ったが、斉藤被告からも指導受けていたか
佐野被告:いなかった
大久保検事:弁護人がそう言った。一方で、あなたは神霊から罪を認めて返金するよう言われていた?
佐野被告:はい
大久保検事:弁護人は神霊能力を持っているのか
佐野被告:・・・、持っていない
大久保検事:神霊能力持っていない人の言葉と、神霊からの声と、なぜあなたは弁護人の言葉を取ったのか
佐野被告:・・・説明をして理解して頂くようにと・・・
大久保検事:自分が神霊の言葉に従って行動するのに、なぜ弁護人の了解が必要なのか
佐野被告:・・・○*△×%#*・・先生からの・・・
大久保検事:神霊から言われていたのに?
佐野被告:はい、あの、当時は・・・
大久保検事:なぜ?
佐野被告:私の言っている内容がおかしいと笠原先生から思われたために・・○*△×%#*・・・
大久保検事:弁護人を解任して自分で判断して行動しようとは思わなかったのか
佐野被告:・・・(しばらく答えに詰まる)、一時は思ったが、そういう形ではなくて、弁護士の先生に話をして理解してもらって方向性を変えるしかないと理解していたので・・・
大久保検事:弁護士から逮捕はないと言われて返金が遅れたと言ったね?逮捕されるかされないかについて神霊は何か言ってくれなかったのか
佐野被告:・・○*△×%・・・、先生の先生から・・・
大久保検事:神霊の言葉より、専門分野については弁護士の言葉を信じるということか
佐野被告:・・○*△×%・・・
大久保検事:認否を変えるにあたって、斉藤被告の考えは間違っていると言ったね。どういうところが間違っていると思う?
佐野被告:実際の活動の状態を反映した将来の展開においての活動を考えていかなければ、大勢の方が集まる活動にはトラブルが生じる、・・○*△×%・・・その都度改善が必要だと・・○*△×%、あとは、神霊鑑定をやめなかったこと
大久保検事:なぜそのとき、斉藤被告は間違ったことをしてしまったと思う?神が間違ったのか、斉藤被告は神の言うことを聞いていないのか、それとも何か他の理由か
佐野被告:・・・・、分からないが、何らかの理由があって・・・
大久保検事:分からない?未だに?
佐野被告:今までの活動の展開ということを捉らえた上での活動をしてこなかったためにそのような判断になってしまったと思う
大久保検事:あなたの疑問は斉藤被告と食い違ったところから始まっているよね?なぜ食い違ったと思う?
佐野被告:・・・・・・・・・・(長い沈黙)
大久保検事:神と神霊とは違うこと言ったと思う?
佐野被告:そのときはそのように思った
大久保検事:今は?
佐野被告:何か間違えたと思う
大久保検事:誰が?
佐野被告:斉藤亨さん
大久保検事:神からの言葉をちゃんと理解していなくて、それに従った行動ができていなかったと今は思っているということ?
佐野被告:はい
大久保検事:なぜ、斉藤被告はそうなってしまったと思う?
佐野被告:活動を大きくしたいという気持ちがよくなかったと思う
大久保検事:斉藤被告は、いつから間違え始めたと思う?
佐野被告:自分のことで必死で分かっていなかった
大久保検事:今でも分からない?
佐野被告:・・・・・・・・・・(長い沈黙)
大久保検事:あなたが神霊能力を授かったと言っているときから、もう彼は間違っているとは思わないか?
佐野被告:もし、そのときにいなければ、こんなふうに展開していなかったので、○*△×%・・・よかったと思う
大久保検事:自分に神霊能力が備わっていないと考えたことはあるか
佐野被告:自分が間違っているかもしれないということで確認したということが、自分にその能力がないかもしれないと最初、確認していたので・・・、最初はそのように思ったことはある
大久保検事:今はどう思っている?
佐野被告:今は神霊能力はないと思っている
●裁判長による被告人質問(要約)
■裁判長:平成17年頃に神霊から神霊鑑定をやめるように言われたことは斉藤被告にも伝えた?
佐野被告:はい
■裁判長:そしたら、斉藤被告からは続けるように言われたんだね?
佐野被告:そうです
■裁判長:ずっとその後も神霊鑑定をやらなければいけないとか、思い続けていたのか?
佐野被告:どのタイミングで変えられるか思っていた
■裁判長:ただ、本件で起訴されている証人C・Dの事件は平成18年で、神霊のお告げの後だよね?この頃は売上を上げることに熱心になっていた時期だよね。お告げがあったにも関わらず、やり方を変えないで売上を上げようとしていたことにならないか
佐野被告:対応としては誓約書を結んで、関係者に責任を持って鑑定や御祈願をされた方にしっかり接するように注意し、御祈願をしてその方に結果を頂けるように指導を徹底していたが、このようなことになってしまった
■裁判長:杉本被告が民事上のトラブルを知っているんだよね。でも、あなたは結局続けた訳でしょ?
佐野被告:・・・。平成17年で、流れで神世界に勤めていたときに聞いた
■裁判長:当時から民事上のトラブルが起きたときは、すぐ返金すべきだと思った訳?
佐野被告:はい、そのときに杉本さんの○*△×%・・・、神様に○*△×%・・・、来ている方が納得という形であれば、返金という形で・・・
■裁判長:神様がどうだったと言うけど、あなたは自分自身の考えもそうだというのか?
佐野被告:そのときには・・・、そのときの対応で・・・、私自身の神霊からそういうふうに・・・
■裁判長:笠原弁護士が返金する必要がないと言ったということだよね?逮捕されることないと言ったということなんでしょ。
佐野被告:そのように聞いたと思う
■裁判長:そのときに、私は神霊からこういうふうに聞いたと言ったのか。笠原弁護士が取り合ってくれなかったのか
佐野被告:おかしいというように・・・
■裁判長:逮捕されたとき、神霊の声に従って、私はこういうふうに思うと答えればよかったのでは?なぜ黙秘したのか?
佐野被告:ですから、あの、斉藤さんが逮捕される前は、検事の方に連絡をとって事実関係を話して、○*△×%・・・、早くこの状態を会員の方にも理解して頂けるよう、○*△×%・・・、弁護士の先生から話があって、その対応をすることが裁判では望ましいと話があって、裁判での返金することを理解してほしいと笠原先生にも○*△×%・・・
■裁判長:斉藤被告は逮捕された後、どういう変化あった?
佐野被告:神霊鑑定をやめるべきであったという点と、私が神霊の言葉と斉藤さんの言葉を比較して斉藤さんの言葉をとったことに問題がある、○*△×%・・・
■裁判長:被害者に返金することはあなたの方から言ったということでいいのか
佐野被告:はい
■裁判長:では被告は後ろに下がってください
(佐野被告、杖で体を支えながらヨロヨロと立ち上がり、被告人席に戻る)
■裁判長:それでは、本日はここまでとします。
■裁判長:弁護人、次回の情状証人は?
市河弁護人:はい、検討した結果、淺原夫妻に対する情状証人として、元スタッフで逮捕もされた小塚麻衣子さんを30分程度お願いしたい。
■裁判長:斉藤被告については?
市河弁護人:斉藤さんに関しては情状証人なしで、被告人質問だけとします
■裁判長:分かりました
■裁判長:次回までに、民事の和解に関する書面もお願いしたい
市河弁護人:はい、次回までには・・。実はまだ、支払いがまだ完了していないので・・
■裁判長:次回は3月1日(木)10時から行いますので、被告4名は出廷してください
4時40分閉廷
7、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第7回公判
斉藤亨 第4回公判
(上記3被告と教祖・斉藤亨の公判は併合審議になっている)
1 日時:平成24年3月1日(木)
午前10時〜午後3時30分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨
6 裁判長 朝山芳史
裁判官 杉山正明
裁判官 山本美緒
7 検事:大久保検事、前田検事
8 被告弁護人:尾崎幸廣弁護士、市河真吾弁護士
■■■■■■■冨田秀実弁護士
9 内容1:小塚麻衣子証人の証人尋問(午前)
内容2:斉藤享被告の被告人質問(午前・午後)
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傍聴希望者
2012年3月1日(木)に行われた公判は、神世界教祖・斉藤享被告に対する被告人質問が行われるとあって、神世界側はこれまで以上の大量動員をかけたようだった。9時40分の傍聴抽選券配布締切時間までに列に並んだ人数は213名と、これまで行われた神世界裁判では最多の人数となった。横浜地裁がなぜ101号法廷を使わないのか定かではないが、今回も法廷は405号法廷であったため、一般傍聴席は33席しかなく、列に並んだ大多数の180名は傍聴できなかった。当選確率は15.5%の狭き門だった。
法廷に入り、傍聴者を見渡してみると、傍聴者の中には、神世界代表取締役・日原易子や多数の神世界幹部の顔が並んでいた。しかし、公判途中からいなくなる神世界関係者もちらほらあり、途中からは空席が数席できていた。公判途中で帰るくらいなら、列に並ぶな(怒)。
情状証人
佐野孝被告・淺原史利被告・淺原嘉子被告の情状証人として、元スタッフの小塚麻衣子(H23年6月20日逮捕)が出廷し証言を行ったが、証人が行った証言は内容的には何の役にも立たないものでしかなく、こんな者しか情状証人として出すことができない神世界の内情がうかがえた。
斉藤享被告に対する情状証人は誰も出廷しておらず、もはや斉藤亨の罪を取り繕う者はいないのかとも思われた。公判の中で、斉藤享の父親(観音会代表・S藤H保)が斉藤享の情状証人として出廷したい意思表示を行っていたことが明らかにされたが、父親は病床に伏しており、証人として出廷できない状態であることも弁護人が明らかにした。斉藤亨の父・S藤H保は、「斉藤享を更正させたい」と病床で述べていたとのことだ。
斉藤享も保釈されていた
この日の法廷内には、被告に付きそう刑務官の姿が一人もいなかった。これまでは斉藤享被告の左右にいた刑務官は誰もおらず、斉藤被告もサンダル履きではなく、黒の革靴を履いていた。これにより、斉藤亨の保釈が認められていたことが明らかになった。
ということは、斉藤被告が他の神世界関係者と神世界の今後について協議する時間は十分あった訳である。神世界関係者は、この日の法廷で斉藤被告が神世界及び観音会の解散を述べることは、あらかじめ分かっていたと考えるのが妥当だ。”神世界・観音会は解散する”という、組織にとってこれ以上の屈辱はない事実が明らかにされる法廷になることが明らかであったにも係わらず、あれだけ多数の神世界関係者が傍聴券を求めて列に並んでいたのは、どう解釈すれば良いのだろう?このような状況下で、わざわざ大量動員をかけることなど、常識では考えられないことだ。
教祖の証言とは相反する動き
彼らはこれまでも、「明日の公判では被告がこのように証言するが、その真意は実は○○だ」などと虚偽情報を流しては、会員の引き留めを図ってきた経過がある。
今回、斉藤被告が証言した内容と、傍聴に訪れていた神世界関係者が地裁内でとっていた行動との間には、全く相反する動きがあった。大量動員の事実もその一つだが、”現役会員”らが、被害者や被害者を支援している者に対して法廷の内外で示した行動は、斉藤被告の証言とは大きく乖離していた。
この日の横浜地裁には、被害者と顔見知りの現役会員や、神世界幹部が多数来ていたが、ロビーで被害者と顔を合わせても、誰一人として被害者に詫びる態度を示す者はなく、神世界幹部・現役会員が被害者に送る視線は、”敵対視”以外の何ものでもなかった。
神世界幹部や現役会員にしてみれば、裁判は法廷内だけで行われているものであり、法廷内で被告がしおらしく反省の態度を見せておけば、”こっちのもの”であり、法廷を一歩出れば、被告等を逮捕に至らしめた被害者は、”敵”でしかないのだろう。
斉藤被告はこの日の公判で、「(被害者には)経済的損害だけでなく、長い間、精神的苦痛を与えてしまい、申し訳ない」と謝罪したが、ロビーや傍聴席で現役会員や神世界関係者がとっていた行動を見ていた被害者は、彼らの行動のどこからも、謝罪のしゃの字も見いだすことはできなかった。
私も注意深く人々の動きを観察していたが、ロビーや傍聴席に詰めかけていた神世界関係者の態度を見る限り、彼らは全く反省などしていないとしか見えなかった。
このように全く懲りていない者が多数を占めている、神世界・観音会という団体の信用性はゼロであり、斉藤亨が法廷内で反省の言葉を口にしても、その言葉は空々しくしか聞こえなかった。
ガードマン?
この日の公判には、(有)神世界代表取締役・日原易子も傍聴に来ていた。彼女を守るために動員を命じられたのか、保釈された斉藤亨を守るためなのか、複数の男性会員の姿が目に付いた。これまでの公判には、現役女性会員は大量動員されていたが、このような男達の姿はなかった。怒りのあまり、被害者が神世界幹部に直接的行動を取る危険性があるとでも思ったのだろうか?
神世界という組織は、騙しやすい女性をターゲットにして荒稼ぎしてきた団体だ。男性はこうしたものに騙されにくい傾向があるため、ある時期からは男性には一切声をかけなくなっていた。
神世界は、グループ全体で組織的詐欺を働いてきたことを教祖など被告全員が認めている。神世界がやってきたことは、犯罪行為であったことが明白になっているにも係わらず、未だに目覚めることなく、神世界トップを守るためにこうして駆り出されてきたた男性の頭の中は、どのような構造になっているのか、私も直接尋ねてみたかった。普通の男なら、もういい加減、神世界の異常性に気づくのが当たり前だ。こうして幹部を守るために駆り出されてきた男達の哀れな姿を、ある被害者が、掲示板に、「みんな去勢された犬みたいでした」と書いていたが、私もその文章を見て、「的確な表現だ!」と感心した。
守るだけの値打ちがある人物をガードするのであればガードマンもやりがいがあるだろうが、詐欺師をガードすることに、彼ら男性会員は、一体どのような意義を見いだすことができているのだろうか?
●午前の部(10:00より)
当日の第405号法廷 (クリックで拡大)
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■情状証人・小塚麻衣子の証人尋問(要約)
<傍聴者の感想>
えんとらんすアカサカの現役スタッフ時代、「松健サンバ」風の金ピカのスーツがお気に入りだった日向(ひゅうが)先生。逮捕・釈放された後の昨年秋の淺原夫妻・佐野孝の初公判には、相変わらず派手なオレンジ色のスーツで傍聴席に登場していたこともあり、今回証人として出廷する際には、一体またどんな派手な格好で登場してくれるのかと楽しみにしていました。
公判が始まる前に偶然廊下でバッタリ会ったのですが、決して目を合わさずに逃げるような印象。長く伸びた髪を後ろで一本縛り(中途半端なポニーテール状態)、やつれた印象でした。太ったのか、体形をカバーするようなダボッとしたベージュのワンピースに、昔流行った形の膝丈ブーツ。入廷する際に入り口を間違うわ、大量の荷物を法廷に持ち込んで入ってきて戸惑うわ、弁護人は証人に対してそういった配慮を事前にしてあげなかったのかと、証人が気の毒に感じました。
彼女は女性ですが、傍聴席の男性会員同様、「去勢された犬」という印象で、彼女自身に対する怒りはなんだか消えてしまい、むしろ哀れさを感じました。
それでもところどころ堂々と嘘を付いたことに対しては、決して許されないと思いました。こういったふざけた発言も事実も、神世界関係者は組織的に必死で隠そうとしているんですよ!
以下、証言をメモにとりながら私の感想も書き留めましたので、その通り記載します。差別用語、放送禁止用語を伴う言葉遣いの悪さは、臨場感を表すということで、どうぞご了承くださいませ。彼女を知るみなさまには、よくイメージしていただけると存じます。そして、こんなのが情状証人なのかということで、この団体のしょぼさと狡さが、少しでも世間に明らかになれば幸いです。
(小塚証人、入口を間違って、うろうろしてから入廷する。)
■裁判長:荷物は後ろのベンチに。
小塚証人:はい。
■裁判長:名前は?
小塚証人:小塚麻衣子。
■裁判長:年齢、職業、住所は記載の通り?
小塚証人:はい。
■裁判長:会社経営となっているが、役員?
小塚証人:はい。
■裁判長:その前に嘘を言わない宣誓をしてください。
小塚証人:「宣誓。良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りのないことを誓います。」
■裁判長:宣誓の意味はわかりますか?宣誓しましたので、本当のことをありのままに言ってください。
わざと嘘の証言をすると偽証罪で処罰を受けることありますのでそういうことのないように。
⇒会社経営?何の?経営コンサルタントだっけ?「宣誓」の意味は、わかってるんだろうな?
●市河弁護人からの主尋問(要約)
市河弁護人:えんとらんすアカサカのサロンに初めて行ったのは?
小塚証人:平成15年11月。
市河弁護人:きっかけは?
小塚証人:友人にお金を貸していて、その件で心労があり、同僚の信頼する友人に相談したらヒーリングを受けるところがあるから行ってみないかと紹介された。
市河弁護人:どこ?
小塚証人:広尾のリュミエールというサロン。
市河弁護人:始めてサロンに行って、御霊光受けて、何か感じた?
小塚証人:体感はなかった。
市河弁護人:その後定期的に通った?
小塚証人:定期的に通った。
市河弁護人:体感なかったのに、どうして?
小塚証人:ヒーリングは当時インターネット検索しても出てこなかったのでどういうものかわからなかった。そのとき担当者の言う「効果がある」ということを確かめたくて、騙されたと思って3回は通ってみようと。
市河弁護人:少し興味本位もあった?
小塚証人:そう。
⇒なんだ、お金のことがきっかけだったんだ。私には、ダイエットのためだとか言っていたけど。
市河弁護人:今回起訴された被告人・淺原嘉子のヒーリングを初めて受けたのは?
小塚証人:平成15年12月。
市河弁護人:嘉子からヒーリング受けて、何か体感あった?
小塚証人:体感はなかった。
市河弁護人:最初に受けたヒーリングと何か違いはあった?
小塚証人:特になかった。
市河弁護人:どうして嘉子のヒーリング受けることになった?
小塚証人:広尾のリュミエールというサロンのKR山先生から紹介されて。
市河弁護人:KR山先生から、嘉子はどういう先生と紹介された?
小塚証人:凄い先生と。
市河弁護人:でも何も感じなかったね?凄い先生だと評判なのに、疑問は感じなかったのか?
小塚証人:疑問には思ったが、お小水の量が増えるとか、電車の乗り継ぎがスムーズなど、タイミング良い体験ができたので、ちょっと違うのかなと。
市河弁護人:ヒーリング受けたあと何かしらの変化が起きたということ?
小塚証人:はい。
⇒へー。小塚もKR山が入り口だったんだ。そうやって考えると、KR山って、本当に罪作りなおばさんだよね。今日もツラっとして傍聴席に座っているけど。
市河弁護人:もう1人の被告人・淺原史利のヒーリングを初めて受けたのは?
小塚証人:平成15年12月。
市河弁護人:嘉子と同じくらい?
小塚証人:嘉子の後。
市河弁護人:どうして受けることに?
小塚証人:史利もすごいと、KR山先生から紹介されて。
市河弁護人:ヒーリング受けて体感は?
小塚証人:体感はなかった。
市河弁護人:その後、継続的に通った?体調の変化、わかりやすい何か変化はあったか?
小塚証人:御霊光をいただくと体の中から毒素が出るとあるが、体に湿疹が出た。湿疹が排泄として出た、結果をいただいたと思った。
市河弁護人:嘉子のカウンセリング、神霊鑑定を初めて受けたのはいつ?
小塚証人:平成16年1月頃。
市河弁護人:何か悩みあった?
小塚証人:御霊光いただいて湿疹が出た。排泄だが、かなり手が爛れるくらい酷く、原因を知りたくて嘉子の神霊鑑定に入った。
市河弁護人:原因はわかった?
小塚証人:薬毒と祖母からの遺伝毒素ということを教えてもらった。
市河弁護人:原因がわかって、何か御祈願しなさい、御供養しなさいと嘉子から言われた?
小塚証人:御霊光をしっかり受けることと、祖母の御供養をした方がよいと言われた。
市河弁護人:現実に祖母の御供養はした?
小塚証人:してない。
市河弁護人:どうして?
小塚証人:そのとき、経済的にそこにかけるお金がなかったので御祈願しなかった。
市河弁護人:御供養にいくらかかると言われた?
小塚証人:金額は言われてない。
市河弁護人:お金ある程度かかるだろうと思っていた?
小塚証人:御祈願・御供養3万円以上と言われていた。そのとき3万円も出せなかった。
市河弁護人:その結果、湿疹はどうなった?
小塚証人:回復に向かった。
市河弁護人:御祈願しなかったのか?
小塚証人:しなかった。
⇒ええええーっ!御供養の祈願してないの?!カウンセリングで出されたTo Doは、それだけだったのに?カウンセリングで言われたことは、絶対にやらなきゃだめじゃん!しかもたった3万円すらできなかったって?あんなに沢山給料貰ってたのに?やる気なかっただけじゃないの?しかも平成16年からもう何年経ってる?結局のところお金なくて、やる気もないうちに、偉くなるわ、お金は入ってくるわ、会社の経費は使えるようになり、その頃には祈願なんか効果無いからしなくてもいいんだってことに気付いたからしなかった、ってことでオッケー?淺原夫妻も、お金のないこいつからはお金をとることは最初から諦めてた、ってことね。それにしても、そんなんであんなに偉そうにしていたなんて。笑えるわあ。
市河弁護人:その後スタッフになったが、それはいつ?
小塚証人:平成16年6月。
市河弁護人:きっかけは?
小塚証人:嘉子から誘われて。
市河弁護人:当時は別の仕事していた?
小塚証人:嘉子から誘われてスタッフになった。
市河弁護人:具体的に当初はどんな仕事していた?
小塚証人:嘉子のスケジュール管理や出張同行、サロン運営の資料作りなど。
市河弁護人:嘉子の助手みたいな仕事?
小塚証人:はい。
市河弁護人:当時の嘉子の行動だが、かなり出張多かった?
小塚証人:多かった。
市河弁護人:一緒に同行した?
小塚証人:はい。
市河弁護人:嘉子のカウンセリングの際に書記として立ち会うことはあった?
小塚証人:なかった。
⇒そうそう、「教会長はパニック障害で、1人では出張にいけないから私(小塚)が同行して、教会長にお取次してあげながら名古屋の開拓をした」って言ってたよねー。
市河弁護人:その後名古屋に行っているね?どうして名古屋に行った?
小塚証人:名古屋にサロンを立ち上げるように佐野から言われて。
市河弁護人:いつ?
小塚証人:16年10月頃。
市河弁護人:現実に何店舗?
小塚証人:名古屋メインで、小さいところを含め4店舗、5店舗。
市河弁護人:しばらく名古屋にいたね?
小塚証人:はい。
市河弁護人:東京に戻ってきたのはいつ?
小塚証人:18年1月。
市河弁護人:どうして東京に?
小塚証人:えんとらんすアカサカが分社化することになりそれで東京に戻ることになった。
市河弁護人:分社化の編制の際に東京に呼ばれ、そこで今後はアカサカの社員として東京で活動するようにということ?
小塚証人:はい。
市河弁護人:具体的には誰から指示を?
小塚証人:・・・・・橘先生。淺原嘉子。
⇒名古屋では随分トラブルも起こしたよね。平成17年秋頃、淺原史利が「小塚先生は平気で顎で人を使うから、あれではスタッフが嫌になる」とよく愚痴ってたな。
市河弁護人:スタッフになってから、会社の中で「ここは宗教ではない」と言うように指示されていた?
小塚証人:言うように、という指示はなかった。
市河弁護人:現実にスタッフの頃、お客さんに「ここは宗教ではない」と言っていた?
小塚証人:それは言っていた。
市河弁護人:あなたも客だった当時聞いていない?
小塚証人:聞いてない。
市河弁護人:スタッフになってから聞いた?
小塚証人:そうです。
市河弁護人:御霊光やカウンセリング受けて、スタッフになって、ここの団体は、アカサカは宗教ではないか?という疑問はなかったのか?
小塚証人:宗教法人ではなかった。神様というのに有限会社ということで疑問はあったが、どっちにも属さない形なのかなと特に気にしていなかった。
市河弁護人:発言にあまり関心なかった?
小塚証人:「宗教ではない」ということは、神書に書いてあったので。
市河弁護人:事務的なことは別として、あなたの活動、御霊光やカウンセリング、そういった活動が宗教的な活動だとは思わなかったのか?
小塚証人:その時は、私は思っていなかった。
市河弁護人:何だと思っていた?
小塚証人:当時、世間でスピリチュアルが流行っていたので、宗教との間という位置づけ。
市河弁護人:厳格な意味での宗教ではないがスピリチュアル、眼に見えないものと?
小塚証人:宗教法人ではないのでスピリチュアルだと思っていた。
市河弁護人:あなたはアカサカに戻ってから具体的にどんな仕事をしていたのか?
小塚証人:御霊光の取次、カウンセリング、各拠点に行って客の対応など。
市河弁護人:嘉子は上司ということでよいか?
小塚証人:はい。
市河弁護人:東京に戻ってからも、助手みたいな嘉子のスケジュール管理などの仕事をしていたのか?
小塚証人:はい。
市河弁護人:あなたが戻ってきた平成18年当時、嘉子は出張多かった?
小塚証人:出張はあまりなかった。
市河弁護人:どこか特定のサロンにいた?
小塚証人:山梨、永田町。
市河弁護人:あなたがカウンセリングするようになったのはどうして?
小塚証人:佐野から「カウンセリングができますよ」と言われて。
市河弁護人:佐野から神霊講習受けているが、1人で受けた?
小塚証人:当時スタッフだった証人Cと一緒に受けた。
市河弁護人:その際色んな事教わったと思うが、答え合わせしたことは?
小塚証人:した。
市河弁護人:証人Cと一緒の時に?
小塚証人:よく覚えてないが、生まれた家を書くように言われて書いて盛り上がった。
市河弁護人:講習受けて、自分に神霊能力、神様からのメッセージを伝えることが出来ると確信した?
小塚証人:神霊講習を受ける前からカウンセリングができるといわれていたので、講習を受けたからというのではない。
市河弁護人:佐野から言われて、本当にそうかなと疑問に思わなかった?
小塚証人:その時は、佐野が言うことは全てと信じていたので、疑問に思わなかった。
市河弁護人:カウンセリングの時、特別に神様の声が聞こえるとか見えるとかはあるか?
小塚証人:特別かはわからないが、質問に対して答えが直感のようなかたちで、閃きで教えてもらった。
市河弁護人:それはカウンセリングしている時に、御相談受けて、神様、神霊に伺うと閃くと?
小塚証人:そうです。
市河弁護人:家系図、見取り図は見ながら?
小塚証人:いや、見ない。
市河弁護人:神霊鑑定の講習で、そういったものを使うように指導されていない?
小塚証人:されていない。
⇒佐野は、小塚には細かいことが向いていないとわかっていたから、家系図はやらなくていい、って指導だったんだよね〜。実際、小塚は自分が神霊鑑定を全て独り占めしようとしていたのに、方位鑑定は苦手で出来なくて、何かと理由をつけて証人Cに振ってたもんねー。市河さん、だから証人Cが一時方位鑑定をやっていたんですよー。
市河弁護人:証人Eのカウンセリングしている?
小塚証人:はい。
市河弁護人:史利のカウンセリングを紹介しているね?史利のカウンセリングに入るように淺原夫妻から指導されていた?
小塚証人:全員ではなく、体調の悩みある人には史利のカウンセリングに、と佐野から言われていた。
市河弁護人:あなたは体調に関してのカウンセリングはできないの?
小塚証人:(体調に関してのカウンセリング)は、してない。
⇒そこがおかしいだろ!!
市河弁護人:平成18年当時スタッフとして働いている時、嘉子からあなたに対して指導、具体的にはもう少し売上上げなきゃとか、人をたくさん集めてきなさいなどの指示はあった?
小塚証人:は、ないです。
市河弁護人:史利からは?
小塚証人:なかった。
市河弁護人:佐野が中心となってのミーティングに参加したことはある?
小塚証人:ある。
市河弁護人:ミーティングの際、佐野から、売上上げなきゃいけない、アカサカは売上が低いなどといった発言を聞いたことはある?
小塚証人:ある。
市河弁護人:当然それを聞いて淺原夫妻、経営者からあなた達に、売上上げるための何かこうしろああしろといった指示は全くなかった?
小塚証人:なかった。
⇒嘘つけ!!いけしゃあしゃあとよく言うわ!!!KR山とりらがもれなく付いてくる佐野とはもう縁を切るから、全部佐野のせいにしちゃえ、今後世話になるかもしれない淺原夫妻のことは庇っておこう、っていう魂胆見え見えだ。
市河弁護人:あなたは平成22年6月にアカサカを辞めているね?どうして辞めた?
小塚証人:今回の事件報道があって、会員の数が減り、サロンが縮小して、自分の仕事として考えると、一般的に縮小していく会社に自分が残ることは将来を考えて不安だったので。
市河弁護人:会社が無くなってしまうかと、そう思ったということ?
小塚証人:はい。
⇒ハイハイ。自分のキャリアとしては・・・ってことを言いたいのね。お約束。
市河弁護人:今回、淺原夫妻は組織詐欺を行ったということで起訴され、またその事実を認めている。詐欺を働いたことについて、あなたはその当時彼女達は詐欺を働いたと考えているか?
小塚証人:私は詐欺だとはずっと思っていないが、本人達がそう言っているので、大変残念だがそのようなことだと思う。
市河弁護人:つまり平成18年当時は詐欺とは思っていなかった、でも今は本人達が認めているので詐欺と考えていると、そういうこと?
小塚証人:はい。
市河弁護人:淺原夫妻の経営者としての活動について聞いていく。あなたはどちらかというと嘉子の方だったが、有限会社アカサカとして、何か会社の方として、スタッフに対しこういうことをしましょうとか、定期的なミーティングのようなことはやっていたか?
小塚証人:なかった。
市河弁護人:人を増やすために何かこういう勧誘しましょう、とかは?
小塚証人:なかった。
⇒市河さん〜。小塚が史利とは仲が悪かったことをよくご存知で(笑)。でも、それを利用して、嘉子が指示を出していないという嘘を仕立てあげようというのはダメよ。
市河弁護人:あなたを含め、スタッフの間で嘉子のそういった会社運営について、何か感想は?
小塚証人:当時は史利が社長、嘉子は特に代表ではないので経営のことにはあまり携わっていないのかなという印象があったのと、辞めたスタッフから私が話を聞かされていたのは、「神世界では拡大発展ということで全国にサロンを拡げましょうと話があったが、淺原夫婦が経営者だと、神様に必死でつなげて人を増やそうという方法や意識が弱くて、このままだと拡がらないよ」ということ。
市河弁護人:つまり、淺原夫妻は熱心ではなかったと?
小塚証人:はい。
⇒なに寝ぼけたことぬかす〜!(怒)
市河弁護人:淺原夫妻の性格等について聞く。最初のスタッフの頃から嘉子に接していて、平成18年当時、あなたから見た嘉子はどんな性格だった?
小塚証人:すごく神様に対して使っていただきたいという気持ちが人一倍感じられた。自分の弱いところは見せずに強そうに見せるところがあった。
市河弁護人:強そうに見せている、つまり無理しているということ?
小塚証人:そのようなときもあった。
⇒「本当はすごく弱いくせに、虚勢を張って見せることころがある、でも本当はとても弱いからすぐ傷ついて、ホント扱いにくいのよ」って、嘉子があなたのこと愚痴っていたことありますよ。あなたたち、似た者同士ね。
市河弁護人:史利について印象的なことは?
小塚証人:史利に関しては、スタッフがほぼ女性の中で1人だけ男性であり、コミュニケーションにおいてなかなかスタッフとかみ合わないところがあった。理屈っぽいところがあったので、私を含め女性スタッフとぶつかることがあった。社長として、神様、佐野から売上上げるように話されていたが、経営者として取り組んでいる様子がなく、嘉子の方が経営者として働くようなことがあり、史利は経営者、社長として向いていないんじゃないかという話は事あるごとにしていた記憶ある。
⇒笑っちゃった。そうそう、確かにあなたは嘉子と一緒にそうやって毎日史利をバカにしてましたよね。でも、かみ合ってなかったのはあなたとだけだったような気がしますけど?史利はあれでも、天野先生大好き♪な女性スタッフが何人かいましたから。京都に飛ばされてKR山の会社の先生になったちょっとおかしい人とか、KR山から精神病と言われて表に出させてもらえなかったメシ炊き掃除専門スタッフとか、山梨のおばさんとか。スタッフ全員とかみ合っていなかったのは史利ではなく、それは小塚、お前だー!史利、こんなところでまで小塚にバカにされて悔しくないのか?男だろ?お前はやっぱり去勢されてんのか?まあ、最後の最後まで誠意を1ミリも見せずに逃げ回った嘉子よりは、史利の方がまだ少しは経営者、社長としてはましだという印象が私にはあるけれど。いや、褒めているんじゃないですよ。結局お前も逃げたのだから。
市河弁護人:淺原夫妻が夫婦であることは、スタッフ当時から知っていた?
小塚証人:はい。
市河弁護人:どうやって?
小塚証人:早い段階で嘉子から聞いた。
市河弁護人:史利の方も当然社長ということで出張多かったと思うが、夫婦で旅行に行ったり食事に行くなどプライベートなことはよく見かけた?
小塚証人:一切見たことない。
⇒淺原夫妻は、京都には毎月夫婦で一緒に出かけていましたよー。それから、夫婦揃って神世界の御三方と一緒に、赤坂、青山、六本木の高級フレンチやイタリアンによく行っていましたよー。
市河弁護人:現在あなたは別に働いていると思うが、淺原夫妻が詐欺を認め、当時は中にいた。そのことについて何か後悔やこうすればよかったということはあるか?
小塚証人:私は神様とか経営者、アカサカや嘉子を信じていた。信じて私は私なりに誠心誠意やってきたつもりだったが、このような事件に発展してしまって、事件性に自分が気付かなかったことに反省している。
⇒私は私は、って・・・相変わらずだな〜。
市河弁護人:神霊能力は今の段階であると思うか?
小塚証人:あったと思うが今の時点ではない。
市河弁護人:何故?
小塚証人:スタッフを辞めたので、神霊鑑定できない。
市河弁護人:誰かからそう教わったのか?
小塚証人:いや。
市河弁護人:あなたがそう考えた?
小塚証人:そう。
⇒へっ?あんなんで当時の自分に神霊能力があったと、今でも思ってるの?(呆)
市河弁護人:神世界の祭典に出席して、他のグループ会員見かけたことあると思うが、アカサカと比較して、何か違いは?
小塚証人:神様を大事にする信仰心や崇拝するような気持ち、知っていただきたいという情熱があまりなかった。冷めていた。自分と神様との繋がりが大切と嘉子は言っていた。拡げることに熱心ではなかった。
⇒「信仰心」、「崇拝する」、これは用意してきた単語だな。
市河弁護人:淺原夫妻は、今後は神世界の活動を辞めると言っているが、どう感じる?
小塚証人:あれだけ強い信仰心があると私は思っていたので、そのことを聞いて非常にショックを受けているが、この事件になって、そう思うなら仕方ない。
市河弁護人:つまり当時からすれば、辞めるとは、かなり大きな転機が夫妻に起こったと感じていると?
小塚証人:はい。
⇒ほらまた出た、「信仰心」(笑)。
市河弁護人:あなた自身は未だに神世界の神書の教えとか御霊光をまだ信じている?
小塚証人:・・・言いにくいが、信じたい気持ちはあるが、今思うと被害者もいるので、本当に奇跡や結果が全て御霊光だけのものなのかというのは考え直さなければならないなと思っている。
市河弁護人:この事件、淺原夫妻のそういった行動からみれば、自分が経験してきたことも自分としても本当にそうなのかなと思うということ?
小塚証人:はい。
⇒もっとちゃんと本音ぶちまけちまえ。
市河弁護人:最後に宗教的なことは離れて人間的なところを聞く。淺原夫妻に関して、あなたが受け止めている人間性の部分、印象深いところを挙げて。
小塚証人:お互い両極端で、水と油のような感じ。どうして夫婦なのかなと思うところがあるが、深いところで支え合っているようなことが身近に感じられ、バランスをとっているのだと思った。
市河弁護人:ご夫婦の気持ちは、性格的には違いがあるにせよ、信頼しあっているということ?今後淺原夫妻とはどういう付き合いをしていくのか?
小塚証人:・・・詐欺をしたということで、私自身もショックであるが、人としていい人なので、裁判の結果が出てその後の流れで自分がサポートしたい。
市河弁護人:何か神世界に関する宗教活動は今後行うのか?
小塚証人:今は考えてない。
市河弁護人:将来ありうると言うこと?
小塚証人:・・・わからないが・・・私自身も逮捕されて、やはり今回神世界の活動が「世間を騒がせた」ということで流れがあったので、私自身もどうしようか考えた上で、今のところは自分を見つめ直していきたい。
市河弁護人:神世界の活動はしないということでよいか?
小塚証人:はい。
⇒確かに水と油みたいな夫婦だったよね。人としていい人って、詐欺をする奴のどこが人としていい奴なんだよ!やっぱりこいつも結局、今後神様ごとに関わっていくつもりなんだ。こういうときはツラっと嘘をつき通せず、中途半端に尻尾出すんだよな〜。
●前田検事からの反対尋問(要約)
前田検事:神霊能力を授かったと認識したのは、佐野から出来ると言われたのがきっかけということでよいか?
小塚証人:その言葉を聞いて、自分には神霊能力があると信じた。
前田検事:神霊能力が実際にはあるということで認識していたと。確かめたことはあるか?
小塚証人:確かめてみたことはないが、会員がカウンセリングに入った時、間違った結果があればクレームがその場であると思うが、それがなくその後順調だったので間違っているとは思っていなかった。
前田検事:初めは裏付けなかったが、神霊能力を信じていたということ?
小塚証人:佐野に言われたから。
前田検事:どうして佐野から言われると神霊能力があると思うのか?
小塚証人:佐野が言うことは神様の言葉だから、何も疑わずにいた。
前田検事:何か奇跡起こったのか?
小塚証人:奇跡起こったかはわからないが、出来ると言われて信じた。
前田検事:佐野が行ったことで、何か凄いなと思うことはあったのか?なかったのか?
小塚証人:どういうことに関して?
前田検事:カウンセリング、神霊能力に関して。
小塚証人:・・・佐野の鑑定を受けたことはないのでわからないが、会社の方針として佐野の言うことが全てとその時信じて仕事をしていたのでそのように実行していた。
前田検事:私が聞いているのは根拠についてだ。どうして?
小塚証人:根拠はない。信じていたので、神様なので。私はそのとき神様を信じていたので根拠はない。
⇒はいはい。なんでも佐野のせいね。
前田検事:先程、関わるきっかけが広尾のリュミエールでヒーリングを受けたことで、その後嘉子のヒーリングを受けたが何も体感なかった、電車の乗り継ぎが良くなったとか小水が出たとかとのことだったが、このような結果で、嘉子が凄い先生だと思ったのか?
小塚証人:その時は凄いとは思っていない。
前田検事:その後、凄い先生と言われた史利のヒーリングを受けた時も体感はなかったとのことであったが、凄いと思ったのか?
小塚証人:その時は思わない。
前田検事:継続してヒーリングを受け続け、体に湿疹が出て、嘉子のカウンセリングに入ったところ、薬毒とかおばあさまの遺伝とか言われたとのことだが、結局あなたは御祈願してない?
小塚証人:していない。
前田検事:それにも関らず湿疹治ったのは、どうしてだと思った?
小塚証人:御霊光をいただいて毒素を出していただいたのと、神霊鑑定はただ答えをいただけるだけでなく、入った案件が良くなるような御誘導があると信じていたので、御祈願しなくても私はよくなった。
前田検事:あなたが感じたことで、すごいなということを佐野や史利や嘉子から得られたことはあったか?
小塚証人:あった。
前田検事:例えばどういうことか?
小塚証人:・・・・・・・・・例えば名古屋のサロンをつくる時に、自分の思うような運営が出来るようになった。当たり前だが、タイミングが重なって仕事が順調に行き、神様を実感して生活していた。
前田検事:経営のやりかたという意味?
小塚証人:はい。というか、運営。
前田検事:嘉子、史利、佐野が、神霊能力を使った経営アドバイスをしたということ?
小塚証人:いやそれはないが、上の先生から御霊光いただくと、すごい御霊光でその結果と思った。
⇒自分では結局、御供養の祈願していないって、ホント、こいつのいい加減さと、詐欺だとわかっていたってことの証明だよなあ。
前田検事:湿疹はもともとあったのか?
小塚証人:いや、昔アトピーがあった。
前田検事:嘉子のカウンセリング受ける前にあった?
小塚証人:あった。
前田検事:あったの?!
小塚証人:カウンセリング受ける前ということ?
前田検事:そう。
小塚証人:だから、御霊光いただいて体に湿疹が出て、それが御霊光の効果だと。
前田検事:もともとあなたの体になかった湿疹が出てきたけど、また無くなっただけでは?
小塚証人:そう言わればそうかも。
前田検事:当時はそう思わなかった?
小塚証人:まあ、そう言われればそうだ。
前田検事:あなたには何の変化もなかったとは思わなかった?
小塚証人:小さい頃から体が弱く、アトピーや小児喘息があり、原因不明の体調不良で動けず学校を1年間のうち40日位休むという生活だった。何故かはわからないが湿疹が出たあと体が軽くなり動けるようになったので、御霊光の効果だと思った。
⇒なんだか情けないな、この女。ほんと。
前田検事:神霊鑑定では、お客さんの体調の件に関してはできなかったということ?
小塚証人:そう。
前田検事:では、あなたがわかる悩み、神霊鑑定をやっていたのはどんな対象?
小塚証人:仕事、結婚、恋愛、人間関係など。
前田検事:体調のことを聞かれても、それは私にはわからないので史利に聞いて、と繋げていた?
小塚証人:私は事前に全員に質問内容を紙に書いてもらっていたので、体調のことと書いてあれば私の事前に史利に紹介するように(他のスタッフに)伝えていた。
⇒そうそう、自分は神霊鑑定の出来る日向大先生で、他のスタッフにあれこれ指示出してたよねー。
前田検事:証人Eについて、あなたは平成18年6月29日にカウンセリングしたね。その時の会話で、あなたは証人Eに対し、「証人Eの子宮は冷えてますね」と話していないか?
小塚証人:記憶ないが、紙書いてあるならそうかも。
前田検事:では、そのように書いてあるなら当時自分は言っただろうと、あなたはそう認識するということ?
小塚証人:言ったかどうかわからないが、紙にかいてあるなら可能性あると。
前田検事:「今の仕事を続けていると、子宮の具合が悪くなって子供を授かれない体になってしまいますよ」と話しているのではないか?
小塚証人:話しているかは覚えていない。
⇒いやあ〜、そのふてぶてしさは健在なんだ。
前田検事:史利のカウンセリングに繋げているのは子宮や体のことは自分にわからないということになるが、あなたの先程の証言を前提にすると、わからないことを伝えていることになるね?
小塚証人:いや、そうではなく、御霊光の取次をすると、普通のスタッフでも相手の体の冷えていることなどが伝わってきて、それを伝える。それの一環だと。
前田検事:冷えているということが伝わってきて、「冷えてますね」と伝えたということ?
小塚証人:そうです。
前田検事:先程、体の悩みはわからないと言ったこととは矛盾しないか?
小塚証人:それは悩みではなく、ただ単に冷えが出ているというのはサロンでは日常的な会話なので、あまり深く体調のことという認識がサロンの中では全くなかった。
⇒そろそろ気付けよ〜。そこを深く掘り下げて考えてみればよくわかる。あんたも他のスタッフも私も、みんな騙されて利用されて詐欺の手先として知らないうちに利用されていたということに、いい加減気付けよ!!気付いても、自分を守りたくて事実を認めたくないから、みんな貝のように口をつぐんでしまうこと、上層部の奴らは、それを知っていたからこそ自分達の悪事が暴露されることはないだろう、訴えられることはないだろうとタカをくくってきたんだということに、気付けよ!!!
前田検事:体の悩みについてはわからないとのことだが、悩みついてあなたではわからないと誰が決めた?
小塚証人:わからないではなく、最初のスタッフが史利のカウンセリングに、ということだったので、体調に関してはカウンセリングの回答していなかった。
前田検事:どうして史利の役割で、あなただとだめとなった?
小塚証人:それは佐野に言われたから。
前田検事:あなた自身は問うてみたことないのか?客がきいてくることはなかったのか?
小塚証人:私は佐野の言うことを信じていたので、出来ないと言われたら出来ないと思っていた。
前田検事:問うてみたのか?という質問なのだが。
小塚証人:問うてない。
⇒はいはい。また佐野のせい&しらばっくれね。
前田検事:あなたが神霊能力授かった件はわかったが、講習は何のためにと認識している?
小塚証人:言われたから受けた。
前田検事:講習を受けて、あなたに何か変化はあったか?
小塚証人:それは、わからない。
前田検事:証人Cと一緒に受けているね?
小塚証人:はい。
前田検事:佐野から言われた内容で、悩みの原因には、毒素、霊、環境の3要素があり、これに必ず当てはまると言われた記憶はあるか?
小塚証人:私は覚えてない。
前田検事:実際鑑定やって、悩みの原因、3つの原因はあったか?
小塚証人:覚えてない。
前田検事:御祈願やお浄めの金額について佐野からの講習で説明あったか?
小塚証人:なかった。
前田検事:M入先生のところでは30万、W田先生は300万と言っている、と聞いてないか?
小塚証人:記憶にない。
前田検事:あなたの神霊鑑定では、御祈願の値段も御神霊として伝わってくるのか?
小塚証人:はい。
前田検事:いくらだと神霊から言われたのか?
小塚証人:いくらというのはないが・・・。
前田検事:神霊から最高額でいくらと言われた御祈願がある?
小塚証人:・・・50位と思う。覚えてない。
前田検事:その時々によって違うのか?
小塚証人:本当に、すごい、高額というか、100万とかはなかったと思う。
⇒まずいところは全部「覚えてない」「記憶にない」ってね。あなたの話を聞いていると、祈願には効果などないことも詐欺だということもわかっていたから、100万はちょっと高すぎだと思っていた、って聞こえるけど?
前田検事:ミーティングについて聞く。淺原史利や嘉子から、売上上げる指示はなかったと聞いてよい?
小塚証人:なかった。
前田検事:佐野からは?
小塚証人:あった。
前田検事:具体的にどのような?
小塚証人:人を増やして、そこで新しい人を神霊鑑定に案内するように。
前田検事:そのような指示を受けて、売上を上げたり人を増やすことを自分なりにやってきたということ?
小塚証人:佐野はそう言っていたが、直属の上司である嘉子や史利からはそのような指示はなかったので、それに対してすごく熱心に取り組んでいたという記憶あまりない。
前田検事:自分自身、名古屋ではノルマを設けたことはない?
小塚証人:ノルマと言うかまあ、目標は自分で各自立てていたが、一般的な会社のような絶対に目標達成というようなきつい指導はなかったし、売上達成しないスタッフの方が多かったので、自分もそのとき一般的な会社を経験していたが、神様のところだと案外ゆるいというか楽に経営できるんだなという印象だった。
⇒ふーざーけーるーなー。
前田検事:名古屋でサロン経営しているときに、色んな書類とか、プレゼンテーションソフトみたいなの作ってていたね?
小塚証人:はい。
前田検事:その中で売上に関するプレゼンテーションソフトなども?
小塚証人:はい。
前田検事:客単価はいくら、人数集めなきゃ等、事細かにプレゼンテーションソフトを使ってスタッフに指示していたのでは?
小塚証人:・・・・・そういう資料作って指示した記憶ない。大体佐野から言われたことをスタッフに伝えることはあったが、自発的に自分が数字掲げてということはなかったと思う。
前田検事:名古屋にいるときスピリチュアルコンベンションというイベントに出ているね。
小塚証人:はい。
前田検事:そこで注意点まとめているね?
小塚証人:記憶ない。
前田検事:神世界、えんとらんすの教えによると、いろんな方に救いをとの認識でよいか?
小塚証人:はい。
前田検事:老若男女問わず?
小塚証人:はい。
前田検事:注意点まとめたことを覚えてないというが、「男性にはお声掛けしないでください」と書いてないか?
小塚証人:書いたことは覚えていないが、佐野から「女性の方が口コミで拡がるので女性の方に拡げるように」と言われたので、そのように書いたと思う。
前田検事:そういう姿勢に疑問を抱かなかったのか?
小塚証人:どこの会社でも何かを拡げるには女性の口コミが一番だと。
前田検事:「男性に声かけないでください」というのと矛盾しないか?
小塚証人:・・・「かけないでください」にしないとスタッフがかけてしまうこともあるのでそう書いたと思う。
前田検事:「男性は活躍しないから」とあるが?
小塚証人:一般的な会社と同じで、女性の方が沢山の方にお話するので、だと思う。
⇒そのプレゼン資料、知ってる。札幌でKR山が持っていた。で、今度は出来の悪いスタッフのせいにするんですか?(呆)
前田検事:今回、佐野、史利、嘉子が詐欺を認めたのは残念だがそうなんだろうということだが、自分が詐欺に加担していたという認識はあるか?
小塚証人:全くないので驚いている。
前田検事:証人Eの件、史利の神霊鑑定に繋げている。あなたは全く関与してないというが何が悪かったと認識しているか?
小塚証人:何について?
前田検事:今回の件が詐欺事件だということについて。
小塚証人:証人Eの件?
前田検事:はい。
小塚証人:・・・・・・・・・・。史利と証人Eの鑑定はわからないが、彼女(証人E)に誤解させてしまうような発言や、まだ理解していないのに勧めたこと、そういうことがあったのかと。
前田検事:必ずしもそういう発言があったと認識しているのか?
小塚証人:いや、私は認識してないが、まさか史利や嘉子が詐欺をしているなど夢にも思っていなかったので、驚いているが。
前田検事:そういう認識だったのに、どうして認識変わったのか?
小塚証人:?
前田検事:認識変わってどうして詐欺だと?「残念だがあなたは受け入れている状況」なのだろう?
小塚証人:本人が法廷の場で、本人が認めているので、残念だが認めざるを得ない事実だと思うので、そのように思う。
前田検事:そうであれば、あなたの教えの基本になっている佐野、淺原史利、嘉子が間違っているというのなら、自分も間違っていたと思わないか?
小塚証人:私は詐欺をしたことは自分の中ではないと思っているし、ないが、あれだけ信仰心が深いと思って信じていた2人が詐欺をしたというなら、私はしてないが彼らはしていると認めざるを得ない。
⇒こいつ結局自分がかわいいだけじゃん。私は淺原夫妻とは違うってことを主張したいだけじゃないの?なんのために淺原夫妻の情状証人として出てきたん?
裁判長からの尋問(要約)
■裁判長:あなたは以前は日向(ひゅうが)という名前を名乗っていた?
小塚証人:はい。
■裁判長:それは本名?
小塚証人:いえ、佐野から。
■裁判長:日向(ひゅうが)何?
小塚証人:晶子(あきこ)。
■裁判長:サロンでそういう名前を名乗りなさいと佐野に?
小塚証人:そうです。
■裁判長:あなたは客に対して神霊鑑定を行っていたが、祈願に繋げるように言われていた?
小塚証人:は、言われていたことは事実。
■裁判長:ただあなたは、自分自身は神霊鑑定を受けた後、祈願をしてないね?
小塚証人:はい。
■裁判長:そのことについて矛盾感じなかったか?
小塚証人:・・・今思えば矛盾だと思うが、その時は、私は本当に信じて神様に使っていただいて良くなりたいと思って仕事をしていたので、あまりその件に関しては思っていなかった。
⇒だからそれがおかしいんだってー。神様の力で良くしてもらいたいならまずお金だったでしょう?みんな、本当に真面目にやっていたスタッフは、すっからかんになるまでお金使い果たしましたよ。小塚、お前が信じていたのは神様ではなくお金様だ!裁判長、流石そこを指摘してくださいました。小塚は明らかに矛盾しています。
■裁判長:今あなたがしている仕事は、神世界とは関係ない仕事ですね?
小塚証人:関係ない。
■裁判長:今、淺原夫妻とは関係ある?
小塚証人:今はこの件を通してまあ、お話しないといけないこともあるので。
■裁判長:「お話しないといけないこと」ってどういうこと?
小塚証人:私自身も○○(聞き取れず)かどうか、お聞きしないと納得できないので、そのような関わりはある。
■裁判長:今日、証人として出るまでに淺原夫妻と行き来やお話あった?
小塚証人:は、あった。
■裁判長:こういう事情で証人として出てほしいと?
小塚証人:いや、それはない。弁護士の先生から。
■裁判長:あなたがアカサカを離れた後、淺原夫妻とは個人的なお付き合いあった?
小塚証人:・・・スタッフを辞めてもアカサカのサロンに通っていたので、その繋がりがあった。
■裁判長:アカサカを通じての付き合い?アカサカを離れた付き合いはない?
小塚証人:ない。
⇒小塚さんよ、逮捕されちゃったのは誰のせい?もちろん自分のせいですよ。でも、淺原夫妻や佐野や弁護士の言葉を信じた結果でもあるでしょう?神世界の教えを信じた結果でしょう?まあ、被告人らが実刑喰らってぶち込まれる前に、今のうちによく話をしておくことだ。あんた、自分の身を守るために、他のスタッフを陥れようとしてまで自分が罪に問われそうになることから逃げようとしたよね?淺原夫妻と随分打合せもしたよね?その結果、因果応報で今があるよね?そこのところ、徹底的にはっきりさせてしっかり反省しないと、一生苦しむのは自分だよ。でも、絶対に人のせいにするんじゃねーぞ。誰かのせいにするなよ。自分の頭で、自分で考えろよ。全ての責任は自分にあるんだよ!
(以上、証人尋問終了)
(休憩)11:00〜11:15
11:17 午前の部再開
■斉藤亨被告の被告人質問(要約)
●市河弁護士による被告人質問
■裁判長:斉藤被告は中央の証言台に着席してください。
⇒斉藤被告が被告人席から中央の証言台に移動する。斉藤亨被告は、すでに保釈されているため、前回までとは違い、身なりが整っている。白のカッターシャツにネクタイを締め、ズボンにはきちんとアイロンがかけられた黒っぽい色のスーツ姿だ。靴は黒の革靴を履いている。ただ、被告人席から証言台に移動するときの動作は緩慢で、体調はあまりよくないように見えた。
市河弁護人:では、主任弁護人・市河から質問します。
市河弁護人:再度確認するが、あなたは別の事件であるE2の杉本明枝、こちらの事件である佐野孝、淺原史利、淺原嘉子らの被告と共謀し、組織的詐欺を働いたという起訴事実で起訴されているが、その事実に間違いはないか?
斉藤被告:はい、間違いありません
市河弁護人:では、あなたの宗教活動の経歴から確認する。あなたが初めて宗教的な行為に係わったのはいつか?
斉藤被告:中学一年の頃から
市河弁護人:その頃に御霊光を受けたということか?
斉藤被告:はい、そうです
市河弁護人:どちらの宗教団体に?
斉藤被告:当時私の父が熱心な信者であった、世界救世教の浄霊を受けた
市河弁護人:世界救世教。父親が信者だったのですね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:世界救世教の浄霊というのは、神世界での御霊光と同じようなものか?
斉藤被告:はい
市河弁護人:なぜあなたは浄霊を受けることになったのか?
斉藤被告:私は当時蓄膿症で顔が腫れており、内蔵も内科で検査を受けたところ、心臓は不整脈、肝臓、腎臓は炎症を起こしており、非常に体調が良くなかった。
斉藤被告:冬場の寒いときは、手など末端の血流が悪くなる症状で非常に困っていたので、父が、「浄霊を受けてみないか」と言い、それを受けることになった。
市河弁護人:受けた結果、何か変化は?
斉藤被告:受けてすぐに劇的な変化はなかったが、約1カ月くらい通っているうちに体の中から毒素が出るようになった。それで非常にびっくりした
市河弁護人:後に神世界で言うところの排泄という現象が起きたということか?
斉藤被告:そうです
市河弁護人:その結果、蓄膿症は改善したのか?
斉藤被告:受け続けて1カ月ほどしたところ、吐いたり、下したりといった状態が一日中続いた。翌日にはけろっとしたが、そのとき、自分の体調の変化に気づいた。鏡を見てみると、蓄膿で腫れていた顔が少しずつ普通になっていき、体も軽くなっていて、体調も良くなっていた
市河弁護人:その後、体調は?
斉藤被告:18才くらいのときに幻聴のような症状が出るようになり、精神的に不安定な状態になった
市河弁護人:幻聴?つまり、現実にはいない人の声が聞こえるということか?
斉藤被告:はい、そうです
市河弁護人:24時間ずっと?
斉藤被告:起きているときはずっとでした
市河弁護人:病院に行こうとは思わなかったのか?
斉藤被告:そう思ったが父に止められた
市河弁護人:それで再度、世界救世教の浄霊を受けることになった?
斉藤被告:はい
市河弁護人:その結果よくなったのか?
斉藤被告:よくはならなかった
市河弁護人:では、その幻聴など精神的に不安定な状態はいつまで続いたのか?
斉藤被告:一カ月ほどずっと続いていた。
斉藤被告:当時、世界救世教の山梨本部に寝泊まりしていた、ある先生がいた。父が、「身延(山梨県の地名)の方に奇跡を起こしてくれる先生がいる」と言って連れていってくれた。この先生は、当時の世界救世教のやり方とは全く違い、世界救世教教祖・岡田茂吉が在世中に行っていたのと同じ方法で病気治しの奇跡を起こすことができる人だと言われており、その先生のところへ行くようになった。
市河弁護人:その先生のところへ行って浄霊を受けた?
斉藤被告:はい、受けました
市河弁護人:それで幻聴などは良くなったのか?
斉藤被告:すぐにはよくならなかったが、その先生の浄霊を受けてからは頭がスッキリしてきて、幻聴はあるが我慢できる程度になった
市河弁護人:それでずっと通い続けたわけ?
斉藤被告:症状が良くなってきたことと、両親も喜んでくれたので、私も毎日通うようになった
市河弁護人:あなたはその後、世界救世教の学校に通っているね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:それは幹部候補生の学校?
斉藤被告:そうです
市河弁護人:どういう経緯でその学校に行くことになったのか?
斉藤被告:私は18才頃から身延の先生のところに通っていたが、私が20才くらいのときに、父が事件で懲戒免職となり、生活の基盤が揺らいだ。そこでそうした経緯を知っていた身延の先生が、私が救世教のおかげで体調も良くなり、私が救世教の先生になりたいのなら私を預かろうということになり、そうした流れの中で救世高等学院という学校に入ることになった
市河弁護人:その学校にはどれくらい通ったのか?
斉藤被告:学校の寮に入っていたが1年いた
市河弁護人:1年いて卒業は?
斉藤被告:その学校は2年通わないと卒業できないのだが、幻聴がひどくなり、勉強や合宿に耐えられなくなり、1年で実家に帰ってしまった
⇒当時の斉藤亨を知っている人の話では、斉藤亨は寮での集団生活や人間関係に耐えることができず、救世高等学院を中途退学して去って行ったと述べている。
市河弁護人:それでまた実家の方で以前の先生から浄霊を受けたのか?
斉藤被告:その先生は、その当時は静岡の方に行ってしまっていたので、毎日山梨から静岡まで通うわけにも行かず、自宅の2階で父がやっていた世界救世教の人たちの集まりに私も参加し、そこで浄霊を受けたり手伝ったりしていた。その頃、母が雑貨屋を始めたので、それも手伝っていた
市河弁護人:父親がやっていた救世教の手伝いをしながら、父親から独立して宗教活動をやってみるように言われ、そういった修行を受けたのか?
斉藤被告:はい、受けました
市河弁護人:それはあなたが何歳位のとき?
斉藤被告:私が27、8才のときだったと思う
市河弁護人:父親は具体的にはどのようにあなたに言ったのか?
斉藤被告:突然、観音様が父のところに現れて、「新しく、人類救済のための宗教を作りなさい」と言われた。そして御神体を作りなさいと言われた。
市河弁護人:御神体とは具体的には何を作るのか?
斉藤被告:千手観音様の御姿を、私が紙に描き、描いたものを表装し、神殿に御奉祭するということ
市河弁護人:実際にあなたは千手観音像を描いたのか?
斉藤被告:はい、描きました
⇒おいおい、岡田茂吉が描いた千手観音図をそのまま丸写しにすることは、「描いた」とは言わずに、「写した」と言うんだよ!(怒)
市河弁護人:それをお奉りした?
斉藤被告:はい、実家の二階の神殿に
市河弁護人:それが神世界の前身である、千手観音教会の出発点ということだね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:その後、世界救世教との関係はどうなったのか?
斉藤被告:しばらくの間は実家の二階に救世教関係者が出入りしていたが、本殿を作り、はっきり千手観音教会と名乗るようになり、世界救世教から独立した形になってからは、救世教関係者はみな辞めてしまった。
市河弁護人:その本殿というのはどこに作ったのか?
斉藤被告:実家から歩いて5〜6分のところにゲートボール場として竜王町(当時)に貸していた土地があったので、そこに本殿を作った
市河弁護人:本殿が完成したのはいつ?
斉藤被告:昭和62年の夏から秋にかけてだったと思う
市河弁護人:そのときに御神体を移す遷座祭を行った?
斉藤被告:昭和62年9月3日に信者総出で遷座祭を行い、御神体を奉納した
市河弁護人:その日が正式な千手観音教会設立の日と解釈して良いのか?
斉藤被告:はい
市河弁護人:これで千手観音教会が設立された訳だが、当時の会員あるいは信者数は?
斉藤被告:遷座祭を行ったときの信者数は、私の家の家族全員と祖母も入れて20数名だった
市河弁護人:この当時は、後に神世界になってからは”御霊光”と呼ぶことになる、”神手(みて)かざし”を行っていたのか?
斉藤被告:はい
市河弁護人:”神手かざし”と御霊光は同じものか?
斉藤被告:同じです
市河弁護人:神霊鑑定は行っていたのか?
斉藤被告:行っていない
市河弁護人:この当時、「宗教ではない」といった発言はしていたか?
斉藤被告:その当時は言っていなかった。しばらくしてから、「今までの宗教とは違うもの。宗教を超えた超宗教だ」と言ったことはある
市河弁護人:他の宗教とは違うということか?
斉藤被告:はい、そうです
市河弁護人:どこが違っていたのか?
斉藤被告:神様からいただける救いの力が、他とは比べものにならないものだった点が違っていた
市河弁護人:その後、千手観音教会は平成12年2月に有限会社になったが、会社化する以前の状態では、あなたはどれくらいの人に”神手かざし”をしていたのか?
斉藤被告:会社化する直前では、普通の日でも一日20〜30人位の人に神手かざしの取り次ぎをしていた。祭典の日になると、非常に多くなるときもあった
市河弁護人:あなた以外にも”神手かざし”をする人はいたのか?
斉藤被告:はい、いました
市河弁護人:その方はなんと呼んでいた
斉藤被告:「教師」です
斉藤被告:私以外は取次者と呼んでいたが、教師、教師代理などもあった。取次ができるのは30人くらいだった
市河弁護人:その取次ができる人たちには、何か講習をしていたのか?
斉藤被告:特に講習はしていない。その人がどれくらい神様に対して純粋な気持ちであるか、取次者になりたいという意志があるかといったことを私が客観的に見て、全て私が決めていた
市河弁護人:あなたが選任していたということだね?
斉藤被告:はい、そうです
市河弁護人:その当時、神手かざしに対してお上げしていた玉串料は?
斉藤被告:一番階級が低い、「助手」の場合で3000円、最も位が高い私の場合で3万円くらいだった
市河弁護人:その金額はどのようにして決まっていたのか?
斉藤被告:よく覚えていないが、私と先生と呼ばれていた人たちで相談して決めていたのではないかと思う
市河弁護人:平成12年2月に、千手観音教会は、有限会社・千手観音教会事業部として会社化されたが、なぜ有限会社化したのか?
斉藤被告:その前の年に国税当局の調査が入り、修正申告をさせられた。金銭の出入りについても透明にするよう指導された。そうしたことがあり、法人にした方がいいと言われた。法人には、宗教法人、有限会社、株式会社、人格なき社団などいろいろあり、当時の状況としては、宗教法人にしたいと思っていたが、大きな事件などがあったので、宗教法人にするのは難しかった。人格なき社団については私も周囲の人たちもそうした法律について無知であり、意味が分からなかった。
斉藤被告:その結果、有限会社にして、しっかり税金を払い活動しようと考えた。
⇒斉藤被告の証言には、随所に”不自然さ”が感じられた。誰かから、「こう答えるように」と、あらかじめ教わった台本に従って回答しようとしているのだが、台本がまだ十分頭に入っていないため、”内容”や”文節”までが前後してしまい、日本語としておかしい部分が多かった。そのため、斉藤被告が証言した後、弁護人がすぐにその証言内容を”整理”して、筋書き通りのまともな日本語に”翻訳”して再確認する場面が何度もあった。弁護人の”翻訳”が、元々斉藤被告が答えることになっていた内容だったようで、斉藤被告も、弁護人の”翻訳”を聞いて、「はい、そうです」と納得していた。
市河弁護人:つまり、平成11年に税務調査が入り、修正申告を指導された際に、経理をしっかりするように指導された訳だね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:宗教法人にするのは難しいと考えた意味は?
斉藤被告:宗教法人の設立は難しいという話だったし、当時、宗教に関する大きな事件があったので、そういう点でもまずだめだろうという話を聞いた
市河弁護人:税理士や弁護士など、専門の人に相談しなかったのか?
斉藤被告:税理士に相談しました
市河弁護人:税理士は宗教法人がいいと言わなかったか?
斉藤被告:言っていた
市河弁護人:それなのにあなたは、宗教法人ではなく、有限会社にした訳だが、その理由は税金をちゃんと払って経理を透明にしたかったからなのか?
斉藤被告:それが一番の目的でした
⇒この証言を聞いて、筆者は思わず吹き出してしまった。すると、私の横に座って私を監視していた現役信者の女が私をにらんでいた。斉藤亨のようなカネゴンが、「税金をちゃんと払おうと考えた」などという話は、世界中誰一人として真に受ける者はいない。
市河弁護人:この平成12年当時、会員の中から経営者を募り、それらの者に取次所を任せて展開をしていくようなことをしたか?
斉藤被告:はい
市河弁護人:なぜ?
斉藤被告:その当時(平成10年〜11年)は、私が神書を書いていた。昼間は会員に取次をしており、神書の原稿を書く時間は深夜に及んでいた。そうした状況が丸一年は続いていたので、神書が完成した段階では私は心身ともに過労の極に達していた。
斉藤被告:会員には絶対にそのような姿を見せてはいけないと思っていたが、祭典のときに立って話をするだけでも苦しい状態であり、途中からは椅子に座って話をするようになった。
斉藤被告:そのような状態が続き、私は段々表から裏へひっこんだような形になっていた。そうすると取次者だけが前面に出るようになり、そのような体制では、私が神様から求められている発展は難しいだろうと思った。
斉藤被告:そこで一挙に体制を変えなければいけないと考え、経営者を募り、その中から優秀な者を選んで独立採算にして、全国展開をするのが一番速いだろうと思った。そうすることで、私もゆっくり静養できるのではないかと考え、経営者を募った。
市河弁護人:どれくらいの人数の者が経営者になろうとしたのか?
斉藤被告:私が、「経営者になりたい人は、手を上げて」と尋ねたら、50人くらいが手を上げた。
市河弁護人:その50人全員が経営者になったのか?
斉藤被告:いや、そのとき手を上げた50人の大多数は勢いで手を上げただけであり、経営者として残ったのは一部の優秀な人だけだった。
市河弁護人:今回、関連した事件で被告になった杉本(吉田)明枝もその中にいたのか?
斉藤被告:一番最初の時期に彼女がいたかどうかは不明だが、ほぼその当時から彼女はいたと思う
市河弁護人:平成12年に(有)千手観音事業部を設立し、このときから佐野孝被告に神霊鑑定をさせていたという記載があるが、あなたは発足当初から、佐野被告を活動の中心にしていこうしていたのか?
斉藤被告:佐野さんが神霊能力を授かったばかりの時は、神がかり的な感じであり、本人ではないような状態でだったので、とてもそれを前面に出してやっていける状態ではなかった
市河弁護人:でも現実には、佐野被告を神霊鑑定士として活動させているね?
斉藤被告:佐野さんが神霊能力を授かった後、佐野さんが希望していろいろな人の御祈願や供養に立ち会うようになった。祈願する人の横で佐野さんが見ていて、その人の霊や先祖がどのような状態にあるかを、佐野さんが伝えるという形が、佐野さんの神霊鑑定の始まりだった。
市河弁護人:佐野被告が神霊鑑定を始めたということで、会員がたくさん集まってきたり、それによって売り上げが上がった、玉串がたくさん集まったのか?
斉藤被告:佐野さんが神霊能力を使って神霊鑑定を行うようになってから、売り上げは劇的に増加した。
市河弁護人:売り上げは1カ月どれくらいになったのか?
斉藤被告:佐野さんが、神霊能力を授かった直後の、神憑りになった当時の1カ月間では、約9千万円から1億円の売り上げになった。
市河弁護人:それ以前の千手観音教会の売り上げはどれぐらいだったのか?
斉藤被告:正確には覚えていないが、それまでは、1カ月約3000万円程度だった。
市河弁護人:そうすると、佐野被告が神霊鑑定をするようになってからは、売り上げは倍以上になった訳だ?
斉藤被告:はい。でも、そのように売り上げが劇的に増えたのは最初の1カ月程度であり、それ以降はそれ程ではなかった
市河弁護人:なぜ?
斉藤被告:1カ月程で佐野さんの体調が悪くなり、その後は、あまりやっていなかった。
市河弁護人:先日行われた被告人質問で佐野被告は、体調が悪くなり、神霊鑑定ができなくなっていた時期があったと述べていたが、そのことは知っているか?
斉藤被告:知っています。
市河弁護人:しかし、佐野被告はその後、また神霊鑑定を再開しているが、あなたは再開するように佐野被告に指示をしたのか?
斉藤被告:再開するようにとは言っていない。佐野さんが神憑りになったときは、ものすごいものだなと私も思った。佐野さんの具合も段々悪くなり、かなり体調が悪そうだった。精神的にもかなり参っている感じだった。本人は、一日中神様の声が聞こえたり、一日中いろいろのものが見えたりして、参ってしまっていた。本人も「何かが乗りうつったようで恐い」と言っていた。
そうした状態だったので、神霊鑑定は止めて、庭の草取りや、犬の糞拾いをするなど、気ままにしてもらい、しばらく何も考えずに過ごしたらどうだと伝えた。そして彼の様子を私がずっと見ていたところ、急に良くなることはなかったが、だんだん月を経る毎に体調が良くなってきた。ほぼ以前の佐野さんのようになったので、「調子はどうだ?また神霊鑑定はできるか?」と聞いた。
斉藤被告:佐野さんは、「できるかどうかよく分からない」と答えたように記憶している。
市河弁護人:しかし、現実には再開しているところを見ると、何か再開させるきっかけがあったと思われるが、そのきっかけはどのようなことか。?
斉藤被告:佐野さんは、「一日中声が聞こえる。霊が見える。霊が訴える声が聞こえる。神様からの指示も聞こえる」と言っていたので、私は彼に、「その声を聞かないようにしなさい」と指示した。私も若い時、幻聴で苦しんだことがあったので、なるべく声も聞かないようにして、そして御霊光いただき、気ままにしていなさいと指示した。
⇒午後からの検事の尋問で、この矛盾を追及されることになる。
斉藤被告:自分を失わないように心がけていれば、そんなに幻聴でだめになることはないだろうといって、神霊鑑定を再開した。
斉藤被告:神霊鑑定を再開してみると、佐野さんの症状は完全に治った訳ではなかったが、何かが乗りうつったような状態ではなく、ある程度、自分でコントロールできる状態になり、神霊鑑定ができるようになった。
市河弁護人:その後、”W田M和さん”や”K藤K子さん”という人が、神霊鑑定士として登場しており、あなたが祭典の中で二人を紹介しているね?
斉藤被告:(斉藤被告、無言でうなづく)
市河弁護人:このW田さん、K藤さんは、どのような経緯で神霊能力が授かることになったのか?
斉藤被告:それは自然に授かった
市河弁護人:あなたはそれをどうやって確認したのか?
斉藤被告:まず本人から詳しい聞き取りをして、その内容を私が把握して、それが正しかったかどうか、どれぐらい当たっているか件数を確認した。
市河弁護人:つまり、「検証をした」ということだね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:その二人が神霊鑑定で述べた内容が現実に当たっているかという、答え合わせのようなことをしたということだね?
斉藤被告:はい、そうです
市河弁護人:あ、答え合わせをしたということですね?
斉藤被告:はい。
⇒神霊鑑定の結果が合っているかどうか、答え合わせをしてはいけないって、他の被告は言っていたけど???
市河弁護人:何か具体例で覚えていることはあるか?
斉藤被告:10年以上前のことなので、あんまりよく覚えていないが、何件か当たっていたということだけは覚えている。
斉藤被告:確か一つは、行方不明になった人がいて、地元の警察や消防団が探しても、出てこなかったが、どこら辺にいるんでしょうかということで鑑定したところ、鑑定で示した方向から、その人が出てきたことがあった
■裁判長:(そろそろ12時ですが)弁護人、あとどれぐらいの時間が必要ですか?
市河弁護人:あと40〜50分程度いただきたいと思いますが、ちょうど切りが良いので午前中はここまでにしたいと思います。
■裁判長:では、午前中はここまでとします。午後は13時30分から再開します。
●12:00 午前の部終了
昼休憩 |
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地裁近くにあるLunchan Avenueのアップルパイ ア・ラ・モード |
●午後の部(13:30より)
●市河弁護人による被告人質問(午前からの続き)
市河弁護人:午前中に続き神霊鑑定について尋る
市河弁護人:午前中の審議で、W田M和やK藤K子という神霊鑑定士が登場したことを確認したが、その後、淺原史利、淺原嘉子という2名が神霊鑑定士になっているね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:この2人は、佐野被告が神霊能力があると認めたということか?
斉藤被告:はいそうです
市河弁護人:その後に佐野被告はアメリカに行くということで、彼が神霊鑑定ができなくなるということで、平成14年頃から、神霊能力開発講座を淺原夫妻が行うようになった
市河弁護人:あなたは淺原に対して、神霊能力開発講座を行うように佐野被告に指示をしたのか?
斉藤被告:そういう指示をした記憶はない
市河弁護人:では、神霊能力開発講座は、どのような経緯で行われるようになったのか?
斉藤被告:・・・・・・・(長い沈黙)・・・・・・
斉藤被告:よくわからないが・・・、当時は私が言ったことが神様が言った言葉と同じように受けとめられる状態だったので、私が何げなくいろいろ思いつきで話をしたり、冗談で言ったことでも、周囲がとても真剣に受けとめ、それを実現しようとする状態だった。私は、「神霊能力開発講座をするように」とは言っていないが、「神霊能力ができる人がもう少し増えるといいねー」と、何気なく言うような会話はしたようには思う
市河弁護人:神霊能力開発講座にあなたは参加したのか?
斉藤被告:していません
市河弁護人:神霊能力開発講座をどのような人に受けてもらいたいか、あなたは指示をしたのか?
斉藤被告:特にそういうことはない
市河弁護人:神霊能力開発講座の内容について尋ねる
市河弁護人:神霊能力開発講座内容については佐野被告や淺原史利被告から聞いているか?
斉藤被告:いいえ、聞いていません
市河弁護人:聞いていない?
斉藤被告:はい
市河弁護人:では具体的に神霊能力開発講座でどのようなことが行われていたか、あなたは知らないということか?
斉藤被告:知りませんでした
市河弁護人:神霊能力開発講座を受けた人は沢山いる。その中には今回被告人になった杉本明枝もいる。この神霊能力開発講座は途中で終わっているが、なぜ途中で終わることになったのか?
斉藤被告:神霊能力開発講座がですか?
市河弁護人:はい
斉藤被告:それはよくわかりません
市河弁護人:よくわからない?
斉藤被告:はい
市河弁護人:神霊能力開発講座でいくら位のお玉ぐしを上げるように言いなさいとスタッフなどに指示をしたことはないか?
斉藤被告:ありません
市河弁護人:それでは、神霊能力開発講座を受けた人達が、神霊能力が身についたついたかどうか、あなたは確信していたのか?それとも神霊能力が身についたかどうかは分からなかったということか?
斉藤被告:佐野さんが主宰してやるのだから、神霊能力は間違いなく身につくだろうと思っていた
市河弁護人:つまり、神霊能力がある佐野被告がやるのだから、その講座を受けた人達には神霊能力の力があるだろうと思ったということか?
斉藤被告:そうです
市河弁護人:あなたは神霊能力、神霊鑑定について、これを推し進めていきたいと述べていたようだが、その理由は何か?
斉藤被告:それは神様の目的である、救いというものを世の中に広めていくためには、これ(神霊鑑定)は、非常に大きな力があると思ったからだ
市河弁護人:神霊鑑定で、お金が沢山集まるからではないのか?
斉藤被告:そういう面もあると思います
市河弁護人:午前中の質問に対して、佐野被告の神霊鑑定でお金が沢山集まったといったね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:神霊鑑定では、お金が沢山集まってくる。だから、これを前面に押し出そうしたのではないか?
斉藤被告:それは、一面、そういうことも考えたが、私の考えとしてはやはり、一番中心にある目的というのは、世の中に神様の救いを広めることだ。これが根本的なもので、それを実現する手段として、神霊能力を使えばいいのではないかと思った
市河弁護人:神書について尋ねる
市河弁護人:この神書は、あなたが書いたものか?
斉藤被告:はい、私が書いたものです
市河弁護人:その神書の中に、「御神業は奇跡・人・お金」という項目がある、そこで奇跡とお金について述べている箇所がある
市河弁護人:そこには、「御神業の要素としては奇跡と人とお金がある。奇跡がなければ御神業も存在しない。人が集まらなければ、具体的な活動はできない。具体的な活動するには、資金が要るのでお金が必要だ」などと書かれているが、先程あなたがいった救いというのは奇跡と同じことか?
斉藤被告:そうですね。
市河弁護人:そうすると、根本的な目的は、救いを人々に与えるということか?
斉藤被告:そうですね。
市河弁護人:でもあなたはいろいろな証言や資料から見ると、この事件当時、平成16年から17年当時、「売り上げを上げろ」という売り上げ重視の発言をしていますね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:こうした売り上げ重視の発言は、あなたが先ほど言った救いの話と矛盾はしないのか?
斉藤被告:確かに、言われてみるとそうだと思う
市河弁護人:あなたはグループ傘下各社に売り上げを競わせて、「もっと売り上げをもっと上げなければダメだ」と指導していなかったか?
斉藤被告:していました。
市河弁護人:更に、全国展開をしていく中で、「売り上げの上がらない会社は吸収していく」と言っていないか?
斉藤被告:いった
市河弁護人:そういった発言をするということは、売り上げを上げるよう、会員や経営者を競争をさせているように見えるが、そういう趣旨だったのか?
斉藤被告:そういう一面もありました。
市河弁護人:今回の事件、杉本被告の事件や佐野被告の事件で、詐欺的な言動つまり、具体的にいうならば子宮筋腫の病気の原因を特定し、それを奇跡で治癒すると、本来、そのような力がないにもかかわらず、そうした言動によって、御祈願をすれば治るとか、お玉ぐしをお上げすれば治るとかといった言動によって詐欺を働いたと皆さん方は認識しているようだが、あなた自身も詐欺を行ったと考えているか?
斉藤被告:思います。
市河弁護人:そのことと、あなたが今回、売り上げを上げなければいけないと言っていたこととは、何か関係があるか?
斉藤被告:大変大きな関係があると思います。
市河弁護人:つまり神霊鑑定を前面に押し出し、それによって御祈願等を行わせ、大きな金額の御玉串を上げさせるという意味が含まれていたということか?
斉藤被告:(しばらく沈黙)
斉藤被告:すみません。もう一度お願いします。
市河弁護人:つまり、あなたが売り上げを上げなさいといっていた発言には、具体的には神霊鑑定を前面に出して、神霊鑑定によって御祈願等をさせ、お玉ぐし等をあげさせて売り上げを上げなさいという意味が含まれていたということか?
斉藤被告:はい。そういう一面もありました。
市河弁護人:あなたは神世界の教祖として、以前、杉本被告が民事の裁判で高額な金を請求されて、和解した話は聞いていたね?
斉藤被告:はい聞いていました。
市河弁護人:その話を聞いて、神霊鑑定はまずいんではないか、あるいは、大きな金額の玉ぐしはまずいのではないか、危険ではないかと考えなかったのか?
斉藤被告:考えました。
市河弁護人:え?
斉藤被告:考えました。
市河弁護人:では何か対策を取ったのか?
斉藤被告:(しばらく沈黙)対策というものは、・・・杉本に対して経営者を一時止めさせ、神世界グループの大きな会社に入れて、他の経営者の監督下に置いた。そして正しい指導をして間違いを冒さないようにということを、一応やるにはやったが、それが原因で神霊鑑定をやめさせようというところまでは、私はやらなかった。
市河弁護人:先日の裁判で、佐野被告の説明では、杉本の民事の事件が起きたことで、神様に神霊のお伺いを立てて、神霊鑑定はもうやめたほうが良い、お金は返金すべきだと、あなたに伝えたと言っているが、それは事実か?
斉藤被告:事実です。
市河弁護人:あなたそれを受けて、神霊鑑定をやめたり、すぐにお金を返したりしなかったのか?
斉藤被告:佐野が、平成17年頃から、しきりに返金のことを言ったり、神霊鑑定は止めたほうが良いと私に言っていたが、私としては、それを止めてしまうと、今までやってきたことが、何もかも否定されてしまうような気持ちになりました。そして、その時点で既に、それをやめることができないほど大きな柱、大きな力に、神霊鑑定がなっていたのでいきなり止める、売り上げが激減してしまうだろうという恐れを感じ、佐野さんがいうような形にはならなかった。
市河弁護人:佐野被告の言葉は、神霊の言葉だったのではないか?あなたは教祖をやっていたから、当然そうした神様の言葉には従うべきだったのではないか?神様の言葉は、最優先すべきだったのではないか?
斉藤被告:今思えばそう思います。
市河弁護人:結局それをしなかった、思い留まった、返金をしなかったというのは、あなたの考えか?
斉藤被告:私の考えです。
市河弁護人:平成17年から18年にかけてこの事件があり、その後、平成19年に刑事事件の強制捜査があり神世界の関連企業に警察の捜査が入ったね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:そうしたことがあった後、あなたは被害者に返金しようとは考えなかったのか?
斉藤被告:思いましたが、・・・、その時の顧問弁護士の先生の話を聞いたところ、返金をすることは、何もかも、すべて犯罪を認めることになる。同時に、今までやってきたことを、すべて否定することになるということを度々言われ、返金という気持ちもあったが、なかなか返金には、踏み切れなかった。
市河弁護人:佐野被告は警察の家宅捜索が入った後、返金をした方が良いと神様が言っていると言わなかったか?
斉藤被告:佐野さんはその当時からも、つい最近までも一貫してそのように言っていた。
市河弁護人:あなたはそうして警察の捜査が入り、佐野被告の助言も聞いていたにも係わらず、それでもやはり弁護士の言葉の方を聞いて、返金をしなかったということか?
斉藤被告:はいそうです。
市河弁護人:その際、あなたは、神様の言葉よりも弁護士の言葉を信じたということか?
斉藤被告:・・・そうです。
市河弁護人:その後、現実に関係者が逮捕され、起訴され、あなたにも逮捕状が出たね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:逮捕状が出て、当然あなたもそれを知っていたと思うが、現実には、かなり経ってからあなたは逮捕されることになるのだが、あれは逃げようとしたのではないのか?
斉藤被告:いずれ出頭するするつもりでいたが、あの事件で、私があのマンション(砧のグランドハイツ)から出て行くところを、報道されていることは、あのマンションのオーナー住人に大変申し訳ないということが一番にあり、とりあえずマンションを出て、あとは様子を見て出頭しようと思った
⇒マンションのオーナーや住人にそれだけ気を遣う余裕があるのなら、神世界被害者にはその何百倍も気を遣え!
斉藤被告:最初のうちはそう思ったが、だんだん時間が経つうちに迷いが出てきた。出てみて(逃げてみて)分かったことだが、(逃亡を続けることは)想像を絶するほど精神的に辛いことで、すぐに出頭することは、なかなかできなかった。また、弁護士の先生とは私が逮捕される前から会って、いろいろと話を聞いていたが、弁護士の先生がいうのも、捜査当局というのは、素直にこちらのいうことは聞いてくれないということをずっと聞かされていたとで、私も逮捕されることに恐怖を抱き、精神的に苦しんであのような事態になってしまいました。
市河弁護人:その後、結局逮捕され、その後、取り調べの段階で、供述はしたのか?
斉藤被告:一部話はしたが、調書等はとらなかった。
市河弁護人:なぜ調書をとらなかったのか?
斉藤被告:それが当時の弁護団の方針でした。私は、法律的な知識がほとんどないので、ただただ恐ろしいという気持ちもあり、弁護団のいいなりになっていました。
市河弁護人:先日の佐野被告に対する被告人質問では、佐野被告が「どうしても返金しなければいけない」と強く言って、それが弁護団にも受け入れられ、協議等が行われ、返金をしようという大転換が行われたのだが、あなた自身は弁護団の人達に、「返金してくれ」と強く言ったのか?
斉藤被告:私が迷っていたのは事実だが、佐野さんは一貫して、返金ということを言っていおり、それが先決で、それ以外には神様のお許しはいただけないということが言われていたので、何とかしたいと思っていたのだが、やはり何分、当時の弁護団が強力というか大変な力を持っていたので、なかなか直ぐに大転換ということはできなかった。しかし、最終的には、佐野さんがいう通り、献金をするんだということを私が後押しをして実現させました。
市河弁護人:あなたも最終的には返金することに賛成したということだね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:当時の弁護団は返金に反対していたのだが、あなたはその弁護団を解任しようとは思わなかったのか?
斉藤被告:思いました。
市河弁護人:現実に解任の届けの準備などもしたのか?
斉藤被告:しました。弁護団の中の、こちらの話を聞いてくれる人に相談しました。
市河弁護人:今回あなたは調書を認めている訳で、詐欺を認めている。あなたが売り上げあげることを強く主張してきたことが、詐欺を招く原因となっていたということなのだが、あなたが書いた神書には、「自分がいうことは絶対である」、「私の教えは完全無欠である」、「自分が信じているものに救ってもらえ」など、かなりこの教えを順守しなければいけない、絶対視しなければいけないといった表現があるが、こういった表現が、今回の事件にかなり強く影響を与えていると思わないか!!(市河弁護人語気を強める)
斉藤被告:(小さな声で弱々しく)思います
市河弁護人:検察官の調書にも出ているが、千手観音教会時代、あなたも神書に書いている毒素、薬は毒である、薬を飲んではいけない、熱は排泄だから出した方がよい、という教えを広めていた訳だが、それを信じたために、亡くなった会員や、そのお子さんのこと、具合が悪くなった方などがいたね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:そうした事実は、あなたがこの神書に書いた教え、あるいは御霊光、そういったことが実際には奇跡を起こさなかったということではないのか?
斉藤被告:・・・・そういうことです。
市河弁護人:そうでしょ?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:そうすると、この神書に書いてあることは、間違いがあったということではないのか?
斉藤被告:(長い沈黙)たしかに表面的には・・・、また誤解を与えやすい内容であったと思う。
市河弁護人:検察官の調書にもあるが、株。あなたは株の売買をしていたね?
斉藤被告:はい、していました。
市河弁護人:株の売買はあなたの教えでは、してはいけないのではないか?
斉藤被告:その通りです。
市河弁護人:では、なぜしたのか?
斉藤被告:・・・それはあの・・・、売り上げを増やすのと同じ目的で、収入というのは、この事業、神様の救いを展開する事業の上で・・・・
斉藤被告:開教当時から皆さんに言っていたことですが、総本部の建設と美術館建設、そして47都道府県すべてに支部・拠点を出すということに力を入れていたので、そのための資金を得るために、株に手を出してしまいました。
市河弁護人:その株で利益は上がったのか?
斉藤被告:いいえ、大損しました
市河弁護人:あなたは神霊に、どの株が上がるか聞いてみなかったのか?
斉藤被告:思いませんでした。
市河弁護人:どうして?
斉藤被告:株を買うこと自体が教義に反することなので聞いてみることはできませんでした。
市河弁護人:あなたは、株を買うこと自体が神様の教えに反する。だから、神様に聞いてみることはできないと思ったということか?
斉藤被告:そうです。
市河弁護人:では、なんで反することをしたのか!(市河弁護人、語気を強める)
市河弁護人:おかしいと思いませんか!
斉藤被告:今考えると、おかしいことです。
市河弁護人:この神書には、いろいろなことは書いてあるが、ここに書いてあることは、あなたの考えなのか、神様の教え・メッセージなのか?
斉藤被告:それは基本的には、神様の教えを書いたのだが、やはり私の主観とか、今までの経験とか、私が以前やっていた宗教の影響も受けています。
市河弁護人:つまり、神様からのメッセージ以外に、あなたの考え、あなたが経験してきたこと、他の宗教の考え方、こういった事が入っているということだね?
斉藤被告:はいそうです。
市河弁護人:薬を飲まない方がいいとか、熱が出した方がいいとか書いてあるが、こうした点のどこが間違っていると思っているか?
市河弁護人:今の時点、現時点でですよ。
斉藤被告:(弱々しい声で)私自身が、神様より上になってしまい、実に傲慢な態度であったと思う。それがために細かい配慮、いろいろなことに対する注意とか、将来起こりうるいろいろなことについて、良くないことについても考えることなく、細かな表現、誤解させない表現、そういう説明が全くなされていなかった。
市河弁護人:薬には副作用とかもあるので、あなたの書いていることすべてが的外れとは思わないが、本当に具合の悪い人に薬を飲んではいけないということは、返って命の危険があるとは思わないのか!!(市河弁護人、語気を強める)
斉藤被告:そう思います。
市河弁護人:そうでしょう!
市河弁護人:小さな子供や、体力のない御老人、こういった人たちは、具合が悪くなったら早めに病院に行く、医療行為を勧める、そうしなければ、かえって命を失ってしまうかもしれない、そう思わないか!!(市河弁護人、語気を強める)
斉藤被告:(非常に小さな声で)そう思います。
市河弁護人:でも当時はそう思わなかったんでしょう?
斉藤被告:当時の私は、神様の力は絶対である。御霊光についても100%奇跡を起こすと信じていました。
市河弁護人:しかしこうして結果が出ない、むしろ悪い結果が出ているということを見ると、あなたが言っていた、御霊光は100%奇跡を起こすというのは、やはり間違っていたと思っているか?
斉藤被告:今の時点では、今の時点では、・・・間違っていたと思います。
市河弁護人:今回、刑事事件の被害者はもちろん、民事訴訟の被害者、民事訴訟にはなっていないが被害を訴えている被害者、つまり奇跡をいただけなかったという被害者が120人いらっしゃるが、そういった方々に対して、あなたは今どのように思っているか?
斉藤被告:民事事件についても長い年月、無意味な時間を費やさせてしまい、誠に申し訳なかったと思います。経済的な損害というだけでなく、長い間にわたって精神的にも、非常に大きい苦痛を与えてしまった。本当に心から、申し訳なかったと思っています
市河弁護人:(有)神世界。あなたはそこの代表でもある訳だが、今後、神世界はどうするつもりか?
斉藤被告:神世界は解散します。現に今、解散の手続きに入っているところです。
斉藤被告:神世界グループの、すべての企業においても、私から解散も指示しましたから、そのようになると思います。
市河弁護人:会社を解散して、その後あなたはどうするつもりなのか?
斉藤被告:宗教活動は、一切しません。ただ、私が信ずる信仰だけは、個人的にやっていきます。
市河弁護人:あなたのお父さんは、あなたが宗教を始めるきっかけを作ってくれた人なんですが、この方が、観音会という宗教やっていることは知っているか?
斉藤被告:はい、知っています
市河弁護人:あなたは神世界を止めても、観音会で活動するんじゃないんですか?
斉藤被告:そのようなことは決してありません。
市河弁護人:今お父さんは、入院していますね?
斉藤被告:はい。
市河弁護人:この間、私と一緒にお見舞いに行きましたね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:おとうさんは何と言ったか覚えているか?
斉藤被告:はい
斉藤被告:観音会の代表を辞め、宗教活動を止めると言っていた
斉藤被告:そして、私が更正できるように力を尽くすと言っていました。
市河弁護人:そう言っていましたね。
斉藤被告:はい
市河弁護人:非常に具合の悪い中、そう言っていましたね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:裁判にも出たいと言っていませんでしたか?
斉藤被告:はい。出廷したい、情状証人として出廷したいところだが、余りにも体調が悪いので、と言っていた。
市河弁護人:あなたはそれを聞いて、どのように思ったか?
斉藤被告:とんでもない心配と、大変な親不孝をしてしまったと思います
市河弁護人:被害者の人たちに責任を感じももらうのは勿論なのですが、それ以上に、今回被告になった人たち、あるいは、奇跡を信じている会員の人たちに対して責任を感じないか?
斉藤被告:感じます
市河弁護人:そうでしょう?
市河弁護人:あなたが行った事、売り上げを重視し、神霊鑑定・御祈願を勧め、お金をたくさん取ることによって、詐欺という事件を引き起こしてしまった。あなたは途中でその危険性に気づき、佐野被告からも注意され、いくらでも中止する機会はあった。でもそれを、あなた自身の意志で止めなかった。
斉藤被告:はい、その通りです。
市河弁護人:本来であれば、返金だって、もっと早くできたんじゃないですか!!(市河弁護人、かなり激しい口調で斉藤被告を叱りつける)
斉藤被告:できました。
市河弁護人:そういったことは、あなた自身が決めるべきことだったんでしょ!!(怒)
斉藤被告:その通りです。
市河弁護人:そうしなかったということについて、あなた自身、責任を感じていますね!!(怒)
斉藤被告:感じています
市河弁護人:被害者との間では民事上の示談、被害者以外の人たちに対しても返金に応じているが、こうした返金を求める人たちに対して、あなたはこれからどうしていくつもりか?
斉藤被告:神世界を解散して財産を処分し、それを今後、返金希望の方々への資金に充てるつもりです
市河弁護人:私からは以上です
■裁判長:他の弁護人、ございませんか?
■裁判長:ではここで休憩とします。
(以上、弁護人による被告人質問終了)
(休憩)14:07〜14:25
14:27 午後の部再開
●前田検事による被告人質問(要約)
前田検事:18才の頃から幻聴のような症状に悩んでいた?
斉藤被告:はい
前田検事:世界救世教の浄霊を受けて少しずつよくなってきた?
斉藤被告:はい
前田検事:千手観音教会ができるまでにはその幻聴はなくなった?
斉藤被告:幻聴はあるが、気になるほどではなくなった
前田検事:佐野被告が神霊能力を授かったのは平成12年頃?
斉藤被告:○*△×%#*・・・
前田検事:神がかり的な能力があったが前面に出していけるような能力ではなかった?
斉藤被告:はい
前田検事:佐野被告の言葉にあった「何かが乗り移って自分ではなくなるようで怖い」という、それがまさに神霊能力ではないのか?
斉藤被告:・・・はい、そう思うが・・・
前田検事:佐野被告を休ませて、その後、調子がよさそうだったので神霊鑑定ができるか声をかけたとのことだが、佐野被告に聞かないと分からないのか?
斉藤被告:おおよそのことは分かるが、やはり、本人にも聞いてみないと・・・○*△×%#*・・・
前田検事:自分の幻聴体験から、声を聞かないよう佐野被告に言った?
斉藤被告:そうです
前田検事:ということは、佐野被告に入ってくる言葉は幻聴だと思っていたのではないか?
斉藤被告:幻聴というのは、医学的な言葉で、その言葉の内容は神様からの言葉だとか何らかの霊的な現象であると私は思う
⇒え・・・・。幻聴は幻聴ですよ、斉藤さん。大丈夫ですか?
前田検事:W田さんやK藤さんが神霊能力を授かったのが分かったのは、あなたが詳しい聞き取りをしたということか?
斉藤被告:あぁ、うーん、10年以上前のことではっきりとしたことは分からないが・・・
前田検事:内容が正しかったのかどうか、件数を確かめたということだったね。
斉藤被告:ある程度のことを確かめたと思う
前田検事:確かめた結果、W田さんやK藤さんがやっていたことは100%正しいということだったのか
斉藤被告:そのときはそう思った
前田検事:全部が正しかったということか
斉藤被告:全部かどうか覚えていないが、ある程度のことを聞き取って、ある程度の件数の内容を聞いて、それが正しいと、確かそういうふうに記憶している
⇒神霊からのメッセージなのに、人間が確かめる、その意味が理解できません。要するに、あなたは神様を疑っている、ということですね
前田検事:それによって、W田さんやK藤さんに神霊能力を授かったということが分かったのか
斉藤被告:はい
前田検事:そのような客観的な結果を確かめなければ、神霊能力を授かっているかどうか分からないのか?
斉藤被告:ある程度は分かるが、確かめることは必要
前田検事:どうして?
斉藤被告:客観的に聞いて、私の主観的なものだけじゃないと確かめなければ、と思った
前田検事:確かめなければ、神霊鑑定で間違った結果を生じてしまう危険性があるからということか
斉藤被告:そうです
⇒え・・・・。神霊鑑定って間違うことあるんですか・・・・・・・。神様なのに?
前田検事:佐野被告に対して確認したのか?
斉藤被告:佐野さんについては、我々に非常に近かったので突然、神懸け的状態、激しい状態になった
前田検事:そんな状態で能力を使って結果として正しいことが起きるかと心配になったということでは?
斉藤被告:ちょっと意味が分からない
前田検事:佐野被告について確かめなかった理由をもう一度説明して
斉藤被告:まるっきり確かめないということはないと思う
前田検事:じゃあ、確かめたのか
斉藤被告:ある程度のことを確かめた
前田検事:確かめた結果、神霊鑑定士とてデビューさせたということか
斉藤被告:・・・、全部確かめたということではないが、確かめたことはあったと思う
⇒はっきりしねぇ男だなっ(怒)
前田検事:平成12年当時、あなた自身は何ができたのか
斉藤被告:私は神様の媒体として御守りを描き、御神体を描き、その私が描いた物から御霊光を頂くと、そういうことができた
前田検事:あなたの生い立ちと、あなた自身が神様との媒体であるということがどのようにつながっていくのか分からないので説明を
斉藤被告:・・・そもそも私自身が小さいときから何らかの霊的な現象が起こっていることは事実。救世教に接触するようになり、そこの先生が霊眼が開けて、神霊能力的な能力があり、私に「いずれ、神様の仕事をする」と言われた
⇒えーっ、どっかの誰かに言われたからその気になっただけなの??
前田検事:会員にそういった説明をしていたか
斉藤被告:千手観音教会の会員にはしなかった
⇒神世界の客も聞いていませんけど
前田検事:どうして?
斉藤被告:必要がない
前田検事:自分のことが神の言葉ということ?
斉藤被告:うーん、そうではなく「媒体」ということ
前田検事:神様の言葉を取り次いでいるのではないのか?
斉藤被告:うーん、神様に成り代わって表現する
⇒それを言うあなたの姿を、客が初めから見ていたら大抵の人は引っかからなかったですね。あなたを表に出さなかったのは素晴らしい判断でしたね。その判断を下した者こそ大罪であり、名乗り出て償うべき存在です。真の犯罪者です。
前田検事:そこに誤解が入り込む余地があるのか
斉藤被告:あると思う
前田検事:どうして?あなたが神様の言葉を曲げて伝えるということ?
斉藤被告:私自身の心の在り方によって、やっぱり、それは・・・ありうる
前田検事:救いを展開するためならば、神書で禁止されている株取引をしても構わないと考えていたということ?
斉藤被告:少しでも株で利益を上げて、将来、総本部を建設するためのひとつの資金の足しにしたいなという間違った考えを持ってしまった
前田検事:神の救いを広めるためならば、神世界の教義に反することをしてもいいと思ってやったということ?
斉藤被告:・・・、そのときはそう思ってしまった
⇒思ったんですね。それのどこに救いを求める気持ちがあるのですか?そんなあなたのどこが「神の媒体」なのですか?
前田検事:売り上げのためなら何をやってもいいと考えていたということか
斉藤被告:何をやってもいいということは考えない
前田検事:あなたたちにとって、教義に反すること以上にやってはいけないことというのはあるのか
斉藤被告:株取引は犯罪ではないが、何をやってもいいということでは犯罪的になってしまうので、そういうことは考えていなかった
⇒何をおっしゃっている?あなたたちのやっていることは初めから犯罪じゃないですか。嘘の塊。知っている人間が知らない人間に嘘ついて、それの連鎖がどれだけの人間の人生を狂わせたと思っているの?ふざけるのもいい加減にして下さい
前田検事:売り上げを上げるということは教義を広めるためではなく、自分自身の利益を上げるということではないか
斉藤被告:・・・あの、それは、千手観音教会を開教するときのひとつの大きい方針で、47都道府県にまず拠点を出し、総本部を建設し、美術館をつくり、そして海外にも展開する、ということに基づくもの
⇒千手観音教会を開教するときからと言いましたね。あなたの頭には初めから「欲」があったということです。あなた自身が、「自分の欲を実現させたい」って神様に救ってもらいたかったんでしょ。あなたの汚らしい欲を救うために、他人の大事な思いや命をあなたは奪ったということ、本当に分かっていますか?あなたが求めていたのは、「人を救うこと」ではなく、「欲を満たしたい」という超個人的な欲望に過ぎない、ということ、あなたの頭は理解できていますか?
あなたは、あなたが考えるその雛形である宗教の呪縛から逃れられず、自分もやりたかっただけ。そして、今、あなたの残党組の中でまた、同じことを考えているバカがいる
前田検事:自分自身のためではなくて、神世界のためということでいいのか
斉藤被告:あのぅ、神様の救いを展開するためのもの
前田検事:だから、自分のためではないんだよね?
斉藤被告:はい
前田検事:平成17年頃、「自分たちで遊んでなるべく栄華を極める」とか「うまいもの食ったり」とか「良い物着て、良い宝石身につけて、あらゆる華やかな所に顔を出す」と言っているね
斉藤被告:・・・あまり、あの、記憶がないんですけど
前田検事:平成17年9月25日、おそらく日輪祭の後の食事会だと思うが、そういった発言していないか
斉藤被告:記憶にないが、言ったかもしれない
前田検事:実際にあなたは、シャネルやブルガリといったブランド品、パーティーにもタキシード着て参加したりしているね?何千万もする宝石いくつも買ったりしたね。これらみな、傘下法人の経営者から得たロイヤリティなどで得たお金だね?
斉藤被告:そうです
前田検事:御神業のために使うべきものだね?
斉藤被告:はい
前田検事:御神業のために集められたお金を、自分自身のために使っているようにみえるんだけど?
斉藤被告:宝石については美術館建設に伴って展示するためのもの。同時に、大きい祭典に主要な人たちが身につけることができるようにと、そういうことであります。買い物については、海外に展開するために、それらのブランド、そういう組織を使って、海外に展開したいと思って使った
前田検事:神世界は、宗教を超えた宗教、超宗教ということか?
斉藤被告:そういう・・・
⇒なぜ答えられない?
前田検事:そういった説明を会員にしたか?
斉藤被告:超宗教という説明は、私は開教当時はしている
前田検事:それがだんだん変わっていったということか
斉藤被告:変わっていったというよりも、私は、折に触れて言っている
前田検事:あなたは、祭典などでここは会社だ、ビジネスだと説明していないか?
斉藤被告:それは、あの、有限会社になってからの私の発言
前田検事:有限会社になる前と後であなたの考え方が変わったということか
斉藤被告:考え方というよりも、体制・・、組織の規模と私の立場がだいぶ変わったので
前田検事:それは本質が変わったということにならないか?
斉藤被告:その、一番大きい、発言の元になるのは、神書。神書において私が、「神様がオーナーの企業である。そして商品は神様からの奇跡である」と、そういう分かりやすい場面で皆に伝わるようにした。それが一番の元になっている
⇒棒読みの台詞
●大久保検事による被告人質問(要約)
大久保検事:先程、佐野被告が神霊能力を授かったというとき、「神がかりで本人ではないような状態だったから前面に出してやっていけるような状態ではなかった」と言ったが、神がかりで本人ではないような言葉を発するから神霊鑑定士ではないのか?
斉藤被告:それはその通りです
大久保検事:だとしたら、なぜその人を前面に出してやっていけないという理由があるのか
斉藤被告:・・・・(しばし沈黙)、それは、あの、うまく説明できないが、佐野さんの状態が、本人が恐れているような状態になっていたので、それはあまり表に出してできないと、そういうふうに判断した
大久保検事:佐野被告が、何かが乗り移っているようで自分ではなくなるようで怖いと言っていたと先程あなたは言ったが、そういうときこそ、それは「何かが乗り移っている」のではなくて、神霊の声なんだよと話してあげればいいのでは?
斉藤被告:それは言ったと思う
大久保検事:あなたが聞こえているのは神霊の声だと言ってあげたのか
斉藤被告:神霊の声だという言葉かどうか分からないが、「神様がかかって喋っているんだ」という話を本人にしたと思う
大久保検事:「神様がかかって喋っているんだ」ということと、「神霊の声」はあなたにとって同じなのか
斉藤被告:だいたい同じ
⇒神様の媒体って、そんないい加減でいいんですね
大久保検事:佐野被告に「その声を聞かないようにしなさい、自分を失わないようにすれば、そんなに幻聴でだめになることはない」とアドバイスしたと言ったね。神霊の声っていうのは、幻聴なのか?
斉藤被告:神霊の声だけではないが、種々雑多な声が聞こえてくることが私は、経験上分かっているので、佐野君の場合は神霊の声と種々雑多な声と一緒に聞こえ、種々雑多な声に対して受け答えをしてしまっている。ちゃんとした神様の声だけを聞いてとるよう佐野君に言った
大久保検事:あなたが聞こえていたのは幻聴であって、神霊の声ではなかったのでは?
斉藤被告:両方混ざっていたと思う
⇒えーーーーっ
大久保検事:どうやって区別していたの?
斉藤被告:区別がつかないから、大変苦しんだ
大久保検事:幻聴と神霊の声と、区別つかないということ?
斉藤被告:そのときは区別がつきませんでした
⇒ええーーーーっ
大久保検事:いつからか区別つくようになったのか
斉藤被告:いろんな声が聞こえてきて、その中で、こういうふうにしろというようなことを聞く。それが何ヶ月か何年か、あるいは5年10年か、振り返ってみると、その声がまさに実現している、そうことで、正しい、これはちゃんとした神様の声か、そうでないただの、いわゆる幻聴的な病的なものかと私には分かっていた
⇒えええーーーーっ!
大久保検事:あなたの話だと、5年くらい経たないと分からないというように聞こえるんだけど、それでいいの?一定期間たって結果みてみないと、その声が幻聴だったのか神霊だったのか分からない、ということでいいのか
斉藤被告:期間の短いとか長いとか関係なく、そういう判断をした
大久保検事:結果が起きてから振り返ってみないと、それが幻聴だったのか神霊だったのかも区別がつかなかったということでいいのか
斉藤被告:そのときはそうです
⇒ええええーーーーっ!!
大久保検事:どのときは違う?
斉藤被告:そういう状況になったばかりの頃は、そういう経験を積んでいないのでただただ苦しいだけで何も分からない。それを積み重ねて、また当時浄霊を受けていたので、自分というものを冷静に落ち着いて、いろんなものを捉えられるようになって、今言ったようなことが分かるようになってくる、という段階
⇒ドン引きーーーー
大久保検事:その後、声が聞こえたその時点で、結果をみなくても、それが神霊の声か、ただの幻聴か、すぐ聞き分けられるようになった?
斉藤被告:最終的にはそうなった
大久保検事:いつから?
斉藤被告:いつからかは分からないんですけども
大久保検事:遅くともいつから?
斉藤被告:ちょっと分からない
大久保検事、質問を繰り返すも、斉藤被告は質問の意味を理解できず
大久保検事:この頃からは神霊か幻聴か聞き分けられるようになった、というのは遅くともいつからか、と聞いている
斉藤被告:それはあの、千手観音教会を立教する頃から
大久保検事:それはいつ?
斉藤被告:昭和62年
大久保検事:遅くともその頃には、聞いた瞬間から聞き分けられるようになった?
斉藤被告:瞬間というのは・・・
大久保検事:じゃあ、いつ分かったの?
斉藤被告:ほぼ分かったのが・・
大久保検事:ほぼっていうのはどれくらいずれるの?
斉藤被告:それは表現のしようがない
大久保検事:何時間かずれるとか何日かずれるのか、やっぱり結果をみないと分からないとか、どうなの?
斉藤被告:内容によって異なると思う
大久保検事:常に聞いた瞬間に分かるというものではないんだね?
斉藤被告:何といいますか・・・あのぅ・・表現のしようがありません
大久保検事:聞いた瞬間、分かるときもあると言うのならば、何を基準にして分けているの?私は神ですって名乗ってくれるの?どうやって聞き分けるの?
斉藤被告:その声の言葉は、以前この通りこうなった言葉で、このこういう声は種々雑多の方の声だとだんだん分かってくる
大久保検事:声音が違うのか。私とあなたの声が違うように
斉藤被告:それはある
大久保検事:声音が違うのなら、聞いた瞬間に常に分からなきゃおかしいでしょ?あなたは聞いた瞬間に分からないときもあると言った。その理由は?
斉藤被告:表現のしようがない・・・
■裁判長:後はもう法廷外にして下さい、この問題は
⇒あまりのふがいなさに裁判長も痺れをきらしたようです
大久保検事:W田M和さん、K藤K子さんの神霊能力授かったかどうか、やはり実験をしなければ分からなかったのか?
斉藤被告:だいたい分かっていても、どういう事柄が当たっていたのか、どういう内容か聞く必要がある
大久保検事:先程、「私の主観的なものだけではないことを確かめる」と言ったが、神の判断と照らすのではなく、あなたの主観的に分かったことと実験的とを確かめるのか。あなたは、「この人は神霊能力を授かっているな」と主観的にしか感覚を授かっていなかったということ?
斉藤被告:質問の意味が分かりません
大久保検事:神霊能力が授かったかどうか判断できるのは誰?
斉藤被告:・・・(しばし沈黙)、一番にはその本人だと思う
⇒全身、凍りつきました
大久保検事:神ではないの?
斉藤被告:神は見えませんので・・・。奇跡とか救いとか、諸々のそういう現象によって、神であることが分かるわけで・・・
⇒斉藤さんの「媒体」レベルって・・・。
そもそも、どうして「神様が」奇跡を起こすと言えるのだろう。すべての間違いがここにある。
神様だと思っているのは人間の勝手な解釈であり、本当は悪霊に遊ばれているだけかもしれない
大久保検事:あなたは神の媒体としての立場によって、神霊能力があるかどうか判断できるわけではないのね?
斉藤被告:・・・(しばし沈黙)、やはり聞いてみないと分からないが
大久保検事:では、「ある程度分かる」というのは、何を根拠に分かるというのか
斉藤被告:やはり、その結果が神霊の言葉通りに出たか出ないか、そういうところで分かると思う
大久保検事:結局、結果じゃないか。先程、あなたは、「ある程度分かるが、結果も確かめないと」と言うから、結果を確かめる以外の「ある程度」って何か聞いている。結局、結果を確かめないと分からないということでいい?
斉藤被告:最終的には、結果を確かめることが大事だと思う
⇒あなたの「結果」もよく分かりましたーっ
大久保検事:自分の言葉が神様の言葉のように受け止められていたことが、不本意だったということか
斉藤被告:そのときの私は、順調にすべてが発展していったので、私自身がどこかで傲慢になって、慢心していたと今でもそう思う
大久保検事:当時は、自分の言葉を神のように受け止められることを認識しながら、それでいいやと思っていたのでは?
斉藤被告:当時はそう思っていた
大久保検事:でも、実際、あなたが発する言葉は、メッセージをそのまま伝えるときとそうじゃないときもあるということだね
斉藤被告:はい
大久保検事:神書のうち、あなたが神霊の言葉をそのまま書いた部分はどこ?
斉藤被告:それはあの、文章においてどことどことは、ちょっと分かりません
大久保検事:渾然一体となってしまっているということか
斉藤被告:ほぼそうです
大久保検事:神霊からのメッセージは何割くらいで、何割くらいがあなたの個人的な考えなの?
斉藤被告:・・・(しばし沈黙)、よく分かりません
大久保検事:だいたいのあなたの考えでいい
斉藤被告:・・・(しばし沈黙)、私の主観的経験は半分くらいはあると思う
大久保検事:半分を神様からのメッセージをそのまま書いたのなら、夜を徹して1年もかけて残りの半分を書くのにかかるのか。本当はもっと、あなたが自分で考えて書いたことが圧倒的に多いのではないのか
斉藤被告:文章になると、どこからどこまでがどうだとか分からない
大久保検事:今となっては、あなた自身が神書をみても、どこが神の声だったか分からないんだね?
斉藤被告:よくは分かりません
⇒心中、法廷内で事件を起こしそうになりました。この部分だけでも、あなたは相当な負の念を人々から浴びせかけられることでしょう
大久保検事:あなたの中で、ここが神書は正しいと思うという部分は指摘できないということ?
斉藤被告:細かく1行1行見ながら検討すれば言えると思う
大久保検事:そういう渾然一体となっていることを認識していながら、あなたは今日この日まで、神書のどの部分がそうで、どの部分が違うという作業をしていないということ?
斉藤被告:はい
大久保検事:なぜしない?当然、しておくべきことではないか?
斉藤被告:今の私自身、そう思う。そのような改定をしておくべきだった
大久保検事:なぜしなかった?
斉藤被告:私自身が慢心していた。改定することは、自分自身の存在だとか、今までやってきたことを一度に否定することになる。それが非常に恐かったんだと思う
⇒「慢心していた」ではなく、「慢心している」でしょう。言葉は正しく使いましょう。
自分を否定されるのが恐い?自分が他人にしたことが返ってくるだけのことじゃないですか。
あなたは、他人に与えた恐怖と苦痛を思い知る必要があります
大久保検事:神霊鑑定を続けるべきかどうか、返金・謝罪すべきかどうか佐野被告からの意見を聞かずに、自分の判断で鑑定を続け、返金せず謝罪もしなかったと言ったが、なぜそのようなことをしたのか
斉藤被告:それは当時、神霊鑑定が非常に大きい柱になっていたので、鑑定をしないようにと言われてもすぐにできなかった。それと、それによって売り上げが減ることを考えてすぐにはできなかった
大久保検事:他に理由は?
斉藤被告:ない
大久保検事:あなたはそうすべきかどうか神霊に尋ねなかったのか
斉藤被告:・・・(しばし沈黙)、そういうことを尋ねたいう覚えはない
大久保検事:なぜ?
斉藤被告:それはやはり、私自身が慢心していたからだと思う
大久保検事:あなたにはそんな能力はないからではないのか?
斉藤被告:そうは思わない
大久保検事:佐野被告の言っていることを聞かなかったということは、佐野被告に神霊能力などないということをあなただけは、よくよく知っていたからではないのか
斉藤被告:そういうことではない
大久保検事:神霊の言葉などというものはないから、それに逆らっても特段、悪いことは起こらない、特段、問題などないとあなただけは知っていたからではないのか
斉藤被告:そういうことではない
大久保検事:では、慢心というのはどういうこと?御神業だ御神業だと言っておきながら神の声を無視し、あるいは聞こえてこない、それはどういうこと?
斉藤被告:その当時、非常に拡大発展ということに、順調にすべてが行っていたために、いつしか私の心の中で本来の御神業というものが、だんだんだんだん私の中で、売り上げを知らず知らずのうちに一番だと思ったその瞬間に慢心し、その結果、神様からのそういうものが頂けなくなった
⇒棒読み。
「神様の媒体である存在」でありながら、金に目がくらんだそうです。知らず知らず
大久保検事:幻聴が聞こえなくなったのはいつから?
斉藤被告:覚えていません
大久保検事:そんなことも振り返っていないのか。あなたの裁判ですよ。今、可能な限り、振り返ってみて下さい
斉藤被告:まったく聞こえないということはない
大久保検事:聞こえているのに無視をし始めた時期もあるということか
斉藤被告:そちらの方が近いと思う
大久保検事:いつ頃から聞こえなくなり、聞こえても無視するようになったのか
斉藤被告:・・・推測で考えると、私が東京へ来てからだと思う
大久保検事:その頃以降の活動は、声が聞こえていたとしても、それを無視して、あなたの判断での活動ということか
斉藤被告:すべてがそういう訳じゃない
大久保検事:どの部分が神の声が聞こえての活動?
斉藤被告:私自体は、聞こえた声をもってすべての活動としたのではなく、媒体としての主たる活動は、御霊光であり、御霊光を頂くための御守り、御神体を私が描く、そちらの方が非常に大きい仕事。神霊からのメッセージについては、佐野さんが神霊能力を授かってからは佐野さんの仕事というふうになっていた
⇒自分は盗作の絵を描き続けていただけで、他は会主に任せていたそうです。
そんなに一生懸命描かなくても在庫いっぱいあったじゃないですかー。
それに、斉藤さん、もらった物品は印刷した物だったけどなぁ
大久保検事:自分が作った御守りとかにご利益があるとどういうふうに判断できるのか
斉藤被告:私が描いた御神体、当時は神手(みて)かざしによる御霊光を頂く方が主で、神手かざしによって非常によい結果を頂いた人が多くいたので、それで・・・
大久保検事:それについては結果で判断するということ?
斉藤被告:最終的には結果
大久保検事:先程、「御霊光は当初100%だと思っていたが、今は間違いだったと思っている」と述べたが、当時というのはいつで、いつから100%だと思うことが間違いだということに気づいた?
斉藤被告:・・・・・・・・・・(長い沈黙)
大久保検事:本来、糖尿病の治療を受けなければいけない人が通っていて御霊光を受けている最中に体調が悪くなって病院に運ばれたが亡くなったという件があったね。遅くともあの当時は分かっていたか
斉藤被告:あの当時は御霊光の力を信じていた
大久保検事:あれはなぜ起こったと思う?
斉藤被告:・・・・・・・・・・(長い沈黙)
大久保検事:あなたの教えに従って病院に行かず、御霊光を受け続けていた人が、御霊光を受けている最中に急変してそのまま亡くなったことについて、御霊光を100%だと信じていたあなたの中で、その出来事をどう整理したのか
斉藤被告:・・・・・・・・・・(長い沈黙)、整理がつかないままでいたということになる
大久保検事:終わります。
⇒自分がやってきたことで死者を出したにも関わらず、まるで他人事。整理がつかないじゃ済まされないということさえ、理解されていない、それが、教祖様の実態です。
●市河弁護人による被告人再質問(要約)
市河弁護人:神書を平成11年に書いた以降、あなた実際に読み返したことあるか?
斉藤被告:ほとんどありません
⇒爆笑っ!ぢゃなくて、全国から怒号の声が聞こえてきます。
幻聴でしょうか、いえ、被害者からのメッセージです。
今も毎日真面目に読んでいるあなた、聞きました?
「一冊一兆円以上の価値のある本」の作者の貴重なお言葉ですよ!
市河弁護人:書き上げてからあまりチェックとかしていないのか
斉藤被告:はい
市河弁護人:どこからどこが自分の考えで、あるいはどこからどこが間違えである、というの(=証言)を先程しなかった。しなかった理由はあるのか
斉藤被告:・・・・・・・・・・(長い沈黙)、しなかった理由というのは特にあまりない
市河弁護人:今後、神書に関して改定版を出そうとか、訂正しようとかの考えはあるか
斉藤被告:今後、改訂版を本来出すべきだが、神世界は解散しますので、この非常に誤解を招きやすい神書については絶版にして二度と出さないようにしようと考えている
⇒改訂版なんかいらないから、金返せ。
誤解を招きやすい?あんまり、ふざけるなよ
市河弁護人:検察官が述べたように、御霊光を受けていたにもかかわらず亡くなった方達がいる。あなたたちの教えを守り、御霊光を受けたのに奇跡が生じなかった人が出たことについて、あなたはどうして整理をしなかったのか? 何か、自分たちに都合の悪いことからは、ずっと目をつむっていたように聞こえるわけですよ。真正面から向き合い、なぜ奇跡が生じなかったのか、整理し、考え、あるいは改善しようと思わなかったのか?
斉藤被告:あー、分かりませんが、私自身が非常に思い上がっていて・・・
市河弁護人:あなたは神の媒体とい言っているが、あなたは神様ではないよね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:当然、あなたは人間だよね?
斉藤被告:はい
市河弁護人:自分が間違いを犯すとは考えなかったのか?
斉藤被告:そのときはそう考えることは・・しなかった
市河弁護人:今からすると、それは大きな間違いだったと感じないか?
斉藤被告:今からみると、大変大きな間違いだったと、大変反省している
市河弁護人:私からは以上です。
●冨田弁護人による被告人質問(要約)
冨田弁護人:あなたは詐欺を認めたね
斉藤被告:はい
冨田弁護人:詐欺というのは、人を騙して物やお金をとるということだが、あなたの今の考えでは何が詐欺?何が嘘で、被害者を騙したのか
斉藤被告:神霊鑑定によって結果が出ない、それに関連して多額のお金をとってしまったということが詐欺だと思う
冨田弁護人:神霊鑑定で結果が出ないとはどういう意味?神霊鑑定は結果が出るときと出ないときがあるということか
斉藤被告:そうです
冨田弁護人:結果が出ない場合もあると分かりながら、結果が出るとして、相手を騙した?
斉藤被告:その通りです
⇒開き直ってんじゃないよ
冨田弁護人:それは誰が具体的にやった?あなた自身は実際、直接的被害者にはやっていないね
斉藤被告:はい。私は当時、日頃から売り上げを上げるように、神霊鑑定をやるようにいつも言っていた、そのことが引き金になって詐欺ということになった
冨田弁護人:神霊鑑定が正確に出来ない人が神霊鑑定が出来ると称して、嘘を言って騙したということ?
斉藤被告:そうです
冨田弁護人:神霊鑑定が出来ないような人に神霊鑑定をさせていた、それを阻止しなかったことを自覚して反省しているということ?
斉藤被告:そういうことです
冨田弁護人:終わります
●裁判長による被告人質問
■裁判長:千手観音教会が国税調査を受けたとき、宗教法人にしたかったが、大きい事件があったので難しかったと言っていたが、大きい事件とは何を指している?
斉藤被告:・・・・、オウムの事件だと思う
■裁判長:当時、オウム真理教以外にも、法の華が詐欺事件を起こして問題になっていたと思うが知らなかったか
斉藤被告:知っている
■裁判長:それについて、どういう認識?
斉藤被告:・・・・(しばし沈黙)、足裏診断とか・・・
■裁判長:詐欺だと訴えられたことは知っていた?
斉藤被告:知っている
⇒お前の「知っている」は小学生以下レベルだ
■裁判長:有限会社にすることをあなたは選んだが、「うちは宗教ではない」とうたい文句にして宗教色を弱めていたようにみえるが、それはあなたが指示をしていたのか?
斉藤被告:宗教色を弱める、あるいは消すようにという話はしたようなことはある
■裁判長:具体的には?
斉藤被告:宗教色をなくすようにとか言ったと思う
■裁判長:実際は宗教なんでしょ?
斉藤被告:宗教です
⇒この詐欺師め!
正確には宗教じゃないですよ、神様を利用したビジネスでしかありません。
この男の言う神様なんて、ご都合主義の便利屋神様でしかないんだから
■裁判長:それは一種の人を欺くということにならないか?
斉藤被告:そう言われればそうなると思うが、ただ、私としては、神様の救いを展開する、御霊光を世の中に広めるためには、まずは御霊光を頂いてもらわなければ話にならないので、宗教と言っただけで引いてしまうのはもったいないと思う。入り口としては宗教色を消して、あるいは薄めて、御霊光を頂いてもらう人が増えるように、そういうふうに動いていた。しかし、それは入り口だけで、入り口をちょっと入れば、誰しもがそれが宗教だということは分かったと思う
⇒裁判長!この男を死刑にして下さい!自分がしてきたことの理解もなければ、ここでそれをいけしゃあしゃあと言ってしまうことの意味も分かっていません。まったく反省もしていなければ、最後の「入り口をちょっと入れば宗教ということは分かっただろう」という言葉は被害者への冒涜です。話にならないのはお前だ!
■裁判長:佐野被告が神霊能力を授かったというのは佐野被告が神がかった状態になったから分かったということでいいか
斉藤被告:それが始まりです
⇒神がかりじゃなくて、憑依の間違えじゃないのか?
■裁判長:会員の前では、佐野被告はあなたのところで修行をしたからと言っていなかったか?それは事実と違うことにならないか
斉藤被告:私の元ですべてのことにおいて素直に神様の仕事をやっていった、しかも8年間も続けて純粋な気持ちでやった、だからこそ、神様のお力を、あるいは神様自体が、弟子?ご自身が、佐野さんに声をかけた、と私は思っている
⇒あなたの言う神様の仕事とは、悩めるひとりのおとなしい青年を支配して従順関係を築いた果ての仮想世界創設に過ぎない
■裁判長:W田さんやK藤さんには神霊能力があるか確かめたと言ったが、淺原夫婦にはそういうことはしていないのか
斉藤被告:はい
■裁判長:W田さんたちと同じようにする必要があったのではないか?
斉藤被告:今思えばそう思います
⇒失笑。アホか。そうじゃねーだろ
■裁判長:あなた自身は神霊鑑定はやっていない?
斉藤被告:平成7年頃までは運命鑑定の中で、神霊鑑定という名前で一時やったことはある
■裁判長:佐野被告がやっていたような神霊鑑定はできなかった?
斉藤被告:(裁判長の言葉にかぶるようにして)ではないです
■裁判長:それは何か理由はあるか?
斉藤被告:特に理由はない
■裁判長:神霊鑑定をやって、もし外れてしまうと自分の霊的能力に疑問を生じるからやらなかったということではないのか?
斉藤被告:そういうことではない
⇒じゃあ、なんだよ
■裁判長:総本部や美術館を建設して各都道府県に進出するだとか、それは神世界を設立した当初から目標を立てていたということか
斉藤被告:そうです。千手観音教会の開教当時からです
■裁判長:美術館というのは世界救世教のMOA美術館のようなものを考えていたのか
斉藤被告:その当時はそう考えていた
⇒盗作美術館つくってどーすんの?
■裁判長:佐野被告から民事の和解に応じるべきだと言われていたのは事実?
斉藤被告:はい、事実です
■裁判長:応じなかったのは当時の弁護士から今までやってきたことが全部否定されてしまうと言われたからそれに応じなかったというのは事実なのか?
斉藤被告:その通りです
■裁判長:佐野被告がいう神の言葉と弁護士の言葉を比べて弁護士の言うことを信じてしまったということでいいのか?
斉藤被告:うーん、今、振り返ればそうです
■裁判長:あなたの立場であれば、弁護士の意見を退けて、返金したり和解することもできた訳だね?
斉藤被告:できました
■裁判長:それをしなかったのは結局、あなたの考えでそれに応じなかったということでいいのか?
斉藤被告:はい、そうです
⇒「神様の媒体」って頭が弱くてもできるんですね!
教祖様の貴重なお言葉の数々のおかげで、よーく分かりました。
なんでこんなのに引っかかっちゃったんだろう・・・って、皆、ため息吐いていると思うけど、バカと悪の力関係ってすごいことできちゃうもんなんですね。今まで見えなかった真相が明らかになってよかったと思うことにしましょう、ひとまずは。
■裁判長:それでは被告は元の席に戻ってください。
■裁判長:本日の審議はここまでとします。
■裁判長:次回は3月27日(火)10時から行いますので、被告4名は出廷してください
この後、裁判長と検察官の間で、証拠の採用及び撤回に関するやと取りがあった。
内容はあまりよく分からなかったが、公判開始時に検察が提出してあった調書の内容が、その後、裁判に検察証人として出廷し、裁判の中で証言した内容と重複する部分があったため、先に提出してあった供述調書の一部は取り下げるといったやりとりだったと思われる。
15時30分閉廷
この日の裁判が終わったので、4階の法廷から1階に降り、ロビーの椅子に座って傍聴記の整理をしていると、斉藤被告と弁護人、神世界関係者が一団となって降りてきた。
法廷内では、体調があまりよくない雰囲気を振りまいていた斉藤被告であったが、エレベーターを出てロビーを横切り、弁護人等が待機する部屋へと移動していく斉藤被告の足取りは、背筋を伸ばし、大股でしっかり歩いており、法廷内での被告とは別人のように元気だった。あの元気さがあれば、長期の懲役刑に耐えることは十分可能であろう。
公判を傍聴した被害者の感想(1)
組織性をアピールする傍聴者たち
●立ち眠りするびびっと金庫番
教祖様の御出ましということで、傍聴希望者は200人を超えるだろうなという予想は大当たり。
その列の中に、前回まで並んでいないことを指摘されてしまったびびっととうきょう経理おばさんが仕方なく並んでいる姿を見つけて、思わず吹き出しそうになりました。上着のポケットに両手を突っ込み、だらしなく壁に寄りかかって眠りこけている姿は、とても神様の仕事の金庫番には見えませんでした(結構本気で爆睡)。なんとまあ品のないおばちゃんだこと。( ̄◇ ̄;)
W田さん、ちゃんと御指導しないといけません。(゜O゜)\(- -;
●ヨーコ斉藤
ヨーコさんは途中から、傍聴に来ている被害者に自分の存在がバレてしまったことに気付いて、斉藤亨の午後の部の後半からは、いつもと違う席に移っちゃいました。
あれ?それでいいの?あなたの特等席だったのに。最前列の真ん中のブロックの、裁判官から見て左端。1番旦那の顔がよく見える真っ正面でしたよ。
今までは長い髪で必死で顔を隠してたのに、開きなおって裁判所の廊下で被害者に向かって悔しそうな表情を向けてくるってことは、やっぱり全然反省なんかしてないってことね。保釈された斉藤亨から、そう言われたの?
それにしても、どうしてこんなくたびれたおばさんが、2人の男を手玉に取り、あんな贅沢生活できるようになったかなど、現在埼玉で公判中の結婚詐欺殺人女と同じ位、世間の下世話な興味関心をひくものと思いますが(ヨーコギャル発生?)、それを必死で抑えるためにもああやって傍聴席を占領する必要があるのですね。よくわかります。
●残党いろいろ
傍聴席には、何人か新しいメンバー配置していましたが、どいつもこいつも被害者監視に必死です!なのがむき出し。(・_・;
60代をとっくに超えているであろう、「昭和の香り漂うオールドミス風のやつれたおかっぱ眼鏡おばちゃん」よ。あなたのようなおばさんに、まるで汚らわしいものを見るような目で見られ監視される筋合いは一切なーい。お前とお前の家族がどれだけお上品なのか、世間にきいてみろ!
若めで綺麗めの女性については、まだ今からでもやり直せるチャンスと未来があると思うので、保留。( ´ ▽ ` )ノ
Dr.スランプあられちゃん風眼鏡、黄色っぽい鼈甲の眼鏡のタラコ唇なおばさん。あなたはあまりにインパクトありすぎなので、1月の公判の時点でしっかり特徴覚えちゃいましたからもうバレバレですよ、今更眼鏡外してみたって。1月はコソコソ、2月は淺原夫妻のエスコートしてましたね。私の傍聴メモ内容は、ちゃんと夫妻に御報告できましたか?
●お詫びと訂正
あっ、それからお詫びと訂正です。
「みろくのお取次おばちゃん」、ごめんねー、あなた脚悪かったもんね。陽神祭でもいっつも椅子だったもんね。そんなあなたが被害者を尾行などできないよね、人違いでした。被害者を尾行したのは、同じような白髪頭の、びびっとのおばさんでした。ごめんなさいねー。でも、あなたが傍聴席で取り次いじゃったことは、勘当モノであることに変わりはないので悪しからず。
●W田さんの手下おばさん
被害者を執拗に尾行したのは、W田さんとこのおばさんでした。そうよね、実は1番びびってるのはびびっとだもんね。
W田さーん。私はあなたの毛糸のパンツやコロッケの話も持ってますよー。昔から、斉藤亨が誰かに襲われやしないかと、1番気を揉んでいたのもあなただったことも知ってます。
詰めが甘いんじゃないの?
そういえば、W田さんとこの尾行おばさんは、いつも姉妹会主と同じ列に座っていました。いい歳してご苦労さまです。あなたのヘアスタイルは、陽龍様を真似てるのかしら?
●陽龍様「甘えは許されない!」
陽龍様といえば!ひどーい。私の顔を忘れちゃったの?
「陽龍様御取次講習会」の後、大量の御玉串袋を風呂敷に包んで抱え、砧御殿まで私に運転させて、その後部座席で、神世界で豪華なヨーロッパ旅行してきて楽しかったとかいう話、してたじゃなーい。フィレンツェのメディチ家の礼拝堂でも見て来たの?あんな風な豪華なものを作りたかったのかな?
砧御殿周辺を孫をおぶって散歩していたところを偶然私に見られて、焦ったこともあったじゃなーい。
全身シャネルに身を包み、娘と斉藤亨と3人で、何度も永田町に来てはお金の話してたじゃなーい。
そっか。あなたにとっては、私のような存在が多すぎて、いちいち全員覚えてなんかいられないわよね。
で、被害者ならびに今まで騙してきた会員(お客様、スタッフ)への説明と謝罪はいつ?
今もまだ、インチキな御霊光や神様やら教祖様を信じている人、インチキだと気付いたけれど、そこから逃れられずに迷い、もがき苦しんでいる人、インチキだと気付き離れたものの、現実を受け止められずに混乱している人、全ての人に、ちゃんとお詫びせんかい!
戸惑いながら引きつった顔で微笑み返せるのは、今のうちだけよ。
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8 斉藤亨、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第8回公判
(斉藤亨の公判としては、第5回公判)
1 日時:平成24年3月27日(火)
午前10時00分〜11時20分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨
6 裁判長 朝山芳史
裁判官 杉山正明
裁判官 山本美緒
7 検事:大久保検事、前田検事
8 被告弁護人:尾崎幸廣弁護士、市河真吾弁護士
■■■■■■■冨田秀実弁護士
9 内容1:弁護人証拠請求
内容2:証人Dの意見陳述
内容3:検察官論告求刑
内容4:弁護人意見陳述
内容5:被告人最終陳述
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裁判の経過
2011年9月22日に始まった佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3被告の裁判、そして2011年12月6日に始まった斉藤亨被告の裁判は、2012年3月27日(火)、結審することになった。
これら4被告の裁判より早い、平成23年7月14日から審議されていた杉本明枝被告の裁判は、すでに2012年2月14日に結審しており、杉本明枝被告に対しては、懲役5年が求刑されている。
一連の神世界事件関連裁判の特徴的な点は、公判途中で訴因変更がなされた点だ。2011年3月10日に杉本明枝ら神世界関係者が逮捕された際の容疑は「詐欺容疑」であり、杉本明枝被告が起訴された際も、当初の罪状は「詐欺」(刑法第246条他)だった。佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の罪状も、起訴当時は詐欺の罪状だったが、横浜地検は公判途中の平成23年10月5日付けで訴因を詐欺から組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)に変更する申請を横浜地方裁判所に対して行った。申請を受けた横浜地方裁判所は、平成23年11月18日に行われた杉本明枝被告の公判に於いて、訴因変更を認め、佐野孝ら3被告についても順次訴因変更が認められた。
詐欺罪と組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)とでは、処罰の重さが違う。詐欺罪の最高刑は懲役10年であるが、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の場合は「1年以上の有期懲役」となっている。「1年以上の有期懲役」という表現は、一見すると懲役10年より軽い刑罰のように思えるが、実際には「1年以上、最高15年の懲役に処すことができる」という意味であり、詐欺罪より重い刑罰となる。また組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の場合は犯罪収益の没収が法律上認められており、こうした組織犯罪の場合は資金源を絶ち、犯罪の再発防止が期待できる刑罰となっている。
裁判所が、裁判の途中で被告等の訴因変更を認めたということは、「被告等が犯した犯罪は単純な詐欺ではなく、更に悪質な組織的詐欺である」ということを、その段階で裁判所が認めたのと同等であり、被告等が有罪になるであろうことは、訴因変更が認められた段階でほぼ確定的になったといえる。厚顔無恥の極みである神世界関係者も、ことここに至っては、自分たちの有罪を覚悟することとなり、これまでの全面否認から一転して罪を認め、情状酌量を求める戦法に作戦変更した。
斉藤亨は逮捕状が出た後、約1カ月間にわたって逃亡していたため逮捕・起訴が他の被告より遅くなり、斉藤が起訴されたのは、他の被告の訴因変更があった後だったため、斉藤被告だけは、最初から組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で起訴された。斉藤の初公判が行われた平成23年11月6日午前に行われた杉本明枝の公判に於いて、まず杉本が組織的詐欺の起訴事実を全面的に認め、同日午後から行われた斉藤亨の初公判に於いても斉藤被告は組織的詐欺の起訴事実を認め、2日後の11月8日に行われた佐野・史利・嘉子被告の3名も相次いで組織的詐欺の起訴事実を認めた。取り調べ段階では否認もしくは黙秘を貫き、詐欺罪で起訴された公判に於いても当初は全面否認していた被告全員が、一転して起訴事実を認めるに至ったのは、裁判所が組織的詐欺への訴因変更を認めたことで、自分たちが有罪になることを察知したからに他ならない。罪を認める姿勢を裁判所に示すことで少しでも刑を軽くしようと目論み、一転して、”反省のポーズを示す作戦”に転じた被告らの心情には、被害者への謝罪の気持ちなど、微塵も含まれていない。
被告等が起訴事実を認めたのは、真摯に「犯した罪の償いをしよう」という反省の思いからではなく、「自らの罪を少しでも軽くしよう」とする利己的な思いからでしかないことは、その後の公判廷に於ける被告等の証言を見れば明らかである。どこまでも狡猾な被告等である。
杉本明枝の裁判は結審までに10回の公判が開かれ、平成24年2月14日に懲役5年が求刑され、4月16日に判決が出される予定になっている。平成23年11月6日に始まった斉藤亨の裁判は、第2回公判からは佐野・史利・嘉子被告の裁判と併合審議になり、この日、平成24年3月27日に行われた第8回公判で結審することになった(斉藤の裁判としては第5回に相当)。
この日の公判では、被害者である証人Dさんが再び検察証人として出廷し、被告や神世界関係者が反省していると述べているのは実態が伴わず、虚偽であると具体的事例を上げて証言した。検察官も論告の中で、神世界関係者が毎回多数傍聴に押しかけていること、それらの者が裁判所内で被害者に接する態度についても言及し、被告や神世界が反省しているとは到底思われないと厳しく指摘した。神世界関係者が何を求めて毎回多数の傍聴動員をかけていたのか不明であるが、結果としてその行為は被告にとって不利な状況証拠となった訳で、神世界関係者の行為は、誠に愚かな行為であったと言わざるを得ない。
検察官は、「(被告等は)相当期間の実刑に処し、矯正施設に於ける徹底した矯正教育が必要である」として、斉藤亨被告に10年、佐野孝被告に6年、淺原史利被告・淺原嘉子被告に4年の懲役刑を求刑した。
リストバンド方式
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リストバンドの傍聴整理券(イメージ) |
この日の傍聴抽選券配布時間は、これまでより10分早くなり、9時30分が締切時間だったが、地裁に到着してみて、時間が早まった理由が分かった。なんと今回は、抽選システムの変更があり、リストバンド方式での傍聴整理券配布に変わっていた。この方式は、被告関係者と被害者などが一緒に列に並んで抽選時間を待つ必要がない。裁判所で傍聴抽選券をもらう列に並んだことがある人は分かると思うが、被告関係者と密着するような形で列に並ぶのは、かなりのストレスを感ずるものだ。前回、被害者が裁判所側に苦情を申し立てたことが功を奏したのかもしれない。
傍聴希望者にリストバンドをつける作業に若干の時間を要するため、今回は集合時間が10分早まったようだ。リストバンドを付けてもらった後は、抽選結果の発表がされるまでは自由にしていられる。時間になると所定の場所へ抽選結果が貼り出されるので、受験生の合格発表のように、自分で結果を確認する。
最初は、このリストバンドそのものが傍聴券になるのかと思ったが、このリストバンドの番号は抽選券であり、当選した人にはいつもと同じ「傍聴券」が渡される方式だったので、当選した人から傍聴券を融通してもらうことは可能だった。
地裁ロビーと傍聴席の様子
この日の公判は、斉藤亨被告が「神世界解散声明」を出した直後の公判であり。神世界側がどのような態勢で傍聴に臨むのか、興味が持たれた。
今回はこれまでのように傍聴希望者全員が列に並ぶことはなかったので、傍聴券を求めて何名ほどがリストバンドをつけてもらったかは、正確には把握できなかった。既にリストバンドをつけてもらった会員たちの多くがロビーの椅子に座っていたが、ぎっしりという訳ではなく、ざっと40〜50人程度。ロビー内で立っていたのが約15人、裁判所外でウロウロしていたのが約20〜30人、主要メンバーはほとんど姿が見えなかった。傍聴券を求めて駆り出された神世界側関係者は総勢100名程度はいたようだが、これまでよりは一気に減っていたようだ。
今回は神世界代表取締役・日原易子の姿はなかった。前回の傍聴記に自分のことが書かれたので、”御出座”を取りやめたのだろうか? しかし和田夫妻やびびっと金庫番の女は今回も来ていた。和田夫妻は、以前は目立たないようにするためか、地裁内では別行動をとっていたが、今回はロビー内を連れ立って歩く姿も目撃された。どうせバレているのだからと開き直ったのかもしれない。「解散宣言」に名を連ねていた栗山悦子、佐野りら両名も来ていたが、顔をよく知っている被害者と廊下で顔を合わせても、申し訳ないの「も」の字もない、相変わらずの態度だった。次回、判決の時には、これら経営者に判決を聞いた感想を尋ねてみたいものだ。
えんとらんすアカサカのI谷、経理責任者の「S藤局長」は、今回は来ていなかったようだ。前回、裁判所の廊下で被害者が謝罪を求めて彼女らに近づいたことがあったので、怖くなったのかもしれない。そのためか、今回はえんとらんす関係者の姿はあまりみかけなかった。
傍聴席に入るために法廷前の廊下に並ぶ際、前回は日原を守る”警護隊”を仰せつかった「去勢された犬たち」の姿が目立っていたが、今回は日原が来ていないため、犬の姿はあまり見当たらなかった。
エレベーターホールを挟んだ反対側には、被告人らの控室?があるようで、そちら側をガードするように、下記の”元自衛官”の男はうろうろしていた。びびっとの女達もエレベーターホールで見張り番をさせられていた。
傍聴席に入ると空席がチラホラあり、今回も抽選に当たったのに傍聴せずに帰った者がいたようだ。被告らの醜態を見られたくなかったので、「帰らされた」のかもしれないが・・。他には、傍聴マニア風の見慣れない男性の姿もあった。
平成24年1月10日の公判には車椅子に乗って出廷していた佐野孝被告であったが、この日の法廷では、被告席から証言台に移動する際などもごく普通に歩いていた。あの車椅子や杖は、”痛々しい姿”で情状酌量を狙っていたのか? 斉藤亨被告の膝上の「パー」は、今回も健在であったが、手の平を置く位置が若干膝より上の太腿の上辺りに移動していた。
斉藤ら4被告の裁判が終わった後、別途行われた杉本明枝被告の裁判は、神世界関係者もすでに関心がないのか、傍聴席はガラガラで、杉本被告の直属の上司であった和田美和の姿もなかった。しかし杉本の情状証人として以前出廷し、”トンデモ証言”をした中年男(元スタッフ。その前は元自衛官とのこと)は毎回傍聴席に座っており、今回も来ていた。
●10:00開廷
●市河弁護士による証拠請求
■裁判長:(検察官に対し)ご意見は?
検察官:全て同意します。
■裁判長:それでは、いずれも採用いたします。
市河弁護人: 弁1号証は取調べ済み。弁1号証から説明していきます。資料作成報告書、平成23年10月13日付、弁護士笠原静夫。警察から開示された調書に添付されていた資料。証人Eさんに関する支払一覧表、写真一覧表、平成17年12月3日…で始まる書面、特別光魂祈願に始まる書面、スケジュール帳、平成23年5月9日付け調書添付資料8、スケジュール帳で資料9、証人Eさんがアカサカにおいて支払った内容及びその当時つけていたスケジュール帳、アカサカで特別光魂祈願、一切御祈願の説明文、写真台帳に関しての内容。
弁2号証、「お守り様拝授おめでとうございます」と題する書面。作成者はえんとらんすアカサカ。内容は、お守りを拝授するときの注意書き、説明書き。「自分だけのものです、清潔に心がけ、必ず首にかけてください、外す時も場所を決める、万が一誤って落とした場合についてのご連絡、等、神様御霊光をいただく、御玉串について…おあげしてください」との内容。
【あっ、そう〜。神様ごとだとはわかっていただろう、と主張したいのね。でもね、私の時も最初は「お守り様」だなんて言われてなくて、「初級許可証」だと言われていたの。後からだよ、「お守り様」と言われたの。あの注意書きは、途中から誰かが作ったのかな。あるときから突然出てきたなあ、そういえば。】
弁3号証、神書。作成者は主(す)。編集は千手観音教会。神世界の教義内容が書かれている。主(す)・作成者は明らかな通り、斉藤被告。
【いやいや、発行者が「千手観音教会」になっている赤い神書は、私も実物を見たことがありません。だって千手観音教会が神世界の前身だってこと、その頃徹底して隠されていて、スタッフだった私も知らなかったもの。裁判長〜。神書には、別バージョンがあるんですよー。】
【あれ、市河さん。書類をめくる手が震えているのは何故?】
弁4号証、祝詞。神世界で使われていたもの。「ももよろずのみたま(ももよろずの光魂)…」という文章から始まる祝詞。
弁5号証、光魂祝詞(みたまのりと)と言われていた祝詞。「みよのつかさにまします(神世の主神に在し坐す)」にはじまり、最後は「いっさいしゅじょうさいど(一切衆生済度)」という形で終わるもの。
【この2つは、佐野孝が考えたものだそうです。栗山悦子がそう言っていました。】
弁6号証、天空の御詞(おことば)、「うるわしのいわれのひもとせは(麗しのいわれの ひも歳は)よじょうのよしかのかみたまう(世情の佳香の神賜う)」にはじまり、最後が「その絶大なる大神力に歓喜しましょう」で終わるもの。
【これは、びびっととうきょうの和田美和が作ったやつね。】
弁7号証、資料作成報告書。作成者は弁護士笠原静夫。神世界大祭、第4回根本幽魂救済祈願と題する書面。平成19年12月9日付け調書添付資料43に当たる。神世界大祭、根本幽魂救済祈願式次第等の写し。式次第には、神世界大祭ご挨拶、終了のご挨拶、名簿拝読等の項目が載っている。以上が最近請求した書面のポイント。
次に今回新たに追加請求したもの。
弁8号証は弁1号証と同じもの、弁9号証は弁2号証と同じもの、弁10号証は弁3号証と同じもの、弁11号証は弁4号証と同じもの、弁12号証は弁5号証と同じもの、弁13号証は弁6号証と同じもの、弁14号証は弁6号証と同じもの。
新規のものは、弁15号証。第1回弁論事務手続調書。和解金調書。内容は、民事50部、神世界と被害者との間での民事訴訟、4つの事件が併合されていたが、和解が成立し、今回の被害者の方も含めて刑事に関しては示談成立している。合計の和解金額に関しては、総合計350,481,118円。
弁16号証、支払の明細、和解調書の支払に関する振込用紙。
弁17号証、同じく分割払い。
弁18号証、最終支払いの時の振込明細。
弁19号証、相手方弁護士からの領収書。
弁20号証、裁判外の和解書。平成24年1月30日付けで裁判外の被害者と和解成立。合計15,1505,728円の支払いが和解として成立した。
21号証、和解書。つい先日平成24年3月23日付け成立した裁判外の被害者との和解書。金額186,625,723円。
【裁判外の被害者に対しては、和解というか、仕方なく騙し取った分を返すことにします、だけでしょ。未だに誰からもお詫びの一言もないですけど。金だけ振り込めばオッケー、ってな失礼な態度で、和解と言われても。】
弁22号証、嘆願書。被告人斉藤亨の父親からの嘆願書。息子が今回行ったことに対するお詫びと、自分も宗教活動を辞めるということ、寛大な判決を求めたいということの嘆願。
【父親として本当に責任を感じていて、寛大な判決を求めたかったら、這ってでも出てこい。】
弁23号証、インターネットの解散宣言を掲載したもの。内容は神世界解散宣言と題し、今回の事件のお詫び、社会的責任の一端としてグループ会社解散したということ、返金を考えていること、神書も絶版にして、今後二度とこういうことはしないようにお詫びを申し上げる。
【インターネットに掲載?そんなのあったっけ??】
(後日、市河弁護人が3月22日にやっつけで作成したブログのことを指していたと判明)
弁24号証、現実に、解散に関する資料。(有)神世界の解散の登記履歴事項全部証明書。解散日付は3月8日。
弁25号証、解散決議が平成24年3月2日に行われたことを示す臨時株主総会議事録。
弁26号証、(有)えんとらんすアカサカの解散登記に関しての履歴事項全部証明書。
弁27号証、同じくアカサカの解散決議、臨時株主総会議事録で、平成23年12月31日議決。
弁28号証、えんとらんすグループのひとつである、(有)えんとらんすスリートウワンの解散登記に関する履歴事項全部証明書。平成23年12月31日決議解散、登記平成24年2月26日。
弁29号証、スリートウワンの臨時株主総会議事録。平成23年12月31日に、総会により解散議決した。
弁30号証、同じく、えんとらんすグループの関連会社であるえんとらんすわーるどヒルズの解散に関しての履歴事項全部証明書。平成23年12月末決議、登記平成24年1月20日。
弁31号証、わーるどヒルズに関しての解散に関する株主総会議事録。平成23年12月末に開催決議。
弁32号証、神世界グループの関連会社である(有)みろく(社名変更を一回しているが)、解散に関しての履歴事項全部証明書。平成24年3月9日決議、平成24年3月12日登記。
弁33号証、みろく解散決議に関する臨時株主総会議事録。平成24年3月9日付解散。
【あ、みろくは途中で社名変更してたんだ。宮入さん、ずるーい。】
弁34号証、神世界グループ会社である(有)びびっととうきょうの解散登記・履歴事項証明書。
解散決議平成24年3月9日、登記平成24年3月12日。
弁35号証、びびっととうきょうの解散決議に関しての臨時株主総会議事録。平成24年3月9日付で解散決議がなされた。
弁36号証、(有)イースクエアの解散に関する履歴事項全部証明書。解散は平成23年12月31日、登記は平成24年1月30日付。
弁37号証、イースクエアに関しての解散決議の臨時株主総会議事録。平成23年12月末解散決議。
【へー、みなさん慌てて解散決議、登記したのね。ところで、子会社は?栗山悦子のわーるどヒルズでは、スタッフ先生を独立させて、(株)京と(株)宮を立ち上げましたよね?それはその後どうなってるの?代表取締役になった、「先生」達は、今何処で何をしてるんですか?りらが代表取締役の(株)都は?自然食の販売事業は、そこの会社で始めるんですか?そういえば、びびっと福岡の桜裕(おうゆう)なんかは、神世界傘下から観音会傘下になったので、もちろん今もそのままバッチリ存続中よねー?】
弁38号証、退職願。作成者は佐野孝。宛先は有限会社神世界。内実は、今回の事件に関する反省と謝罪。(有)神世界に対しての退職願。平成24年1月25日付。
弁39号証、資料第10。御礼、証人Dさんの御礼文の写し。2006年5月29日付。「本日特別御祈願させていただき、橘教会長様から感極まるメッセージをいただき…」で始まる文で、最後に「ありがとうございました」で終わる内容。
弁40号証、資料第14。任意開示された調書の資料から。2009年7月20日付で証人Dさんのサインがなされているもの。アカサカに対する支払一覧。証人Dさんが通っていたときにいくら使っていたか、内容がわかる。
弁41号証、1月末に交わされた裁判外の和解に関しての支払金の振込ですが、分割して、つい昨日、平成24年3月26日に民事の151,505,728円を振込み、お支払いしたという内容。
以上が追加の弁号証です。
■裁判長:弁号証、お預かりします。
市河弁護人:原本、神書はこのままお渡ししますので。
(市河弁護人が裁判長に赤い表紙の神書を差し出す。裁判長はちょっぴり迷惑そうな表情。)
【その赤い神書は「千手観音教会」時代のもの。スタッフであった私をも含む、多くの被害者に対して隠し通されていたもの。それを証拠として提出するのは、フェアじゃねーぞー。】
■裁判長:それでは、被害者の証人Dさんから意見陳述の申し出がありましたので、意見を陳述してもらいます。
●証人Dの意見陳述
証人Dさんが前に出て、立ったまま、非常によく通る明瞭な声で下記の陳述を行った。静まりかえった法廷内に、被告等に厳罰を求めるDさんの声が響き渡った。下記をお読みいただくと分かるが、陳述した内容は神世界という団体の実態を的確に指摘した内容であった。
Dさんが陳述した内容には、法廷の外で被告関係者がどのようなことをしているかを述べた部分もあり、被告等が実際には反省などしていないことを数々の具体的事例で裁判所に強く印象づけた。
Dさんが陳述している間、市河弁護人は顔を赤らめながらうつむいて聞いていた。途中、何度か顔を上げ、悔しそうな表情で証人Dさんを睨みつけていた。
Dさんの了解を得られたので、Dさんが陳述した全文を下記に掲載する。
平成23年(わ)第972、1633号 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の親制等に関する法律違反
被告人 斉藤亨、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子
意見陳述要旨
横浜地方裁判所第5刑事部 御中
1 はじめに
私は、斉藤亨を教主とする神世界グループのえんとらんすアカサカで、病気などの悩みにつけこまれて、騙されて被害に遭いました。私の被害の内容と被害者としての気持ちは、証人として証言した通りですが、その後、傍聴を続けてきた中で、被害者としてどうしても述べておきたいことがありますので、意見陳述させていただきます。
2 被告人らの反省の態度について
被告人らは、私が証言した後の公判で、組織的詐欺を認めました。このことを聞いた当初、私は耳を疑いました。というのも、被告人らは民事裁判でも3年以上にわたって詐欺行為を否認し続けていましたし、昨年の11月に発行された神世界新聞(fujiyaこと藤谷歩湖さんのホームページ「ヒーリングサロンによる被害 http://anticult.minibird.jp/salon/index.html 」で公開されています。)でも、今回の事件について弁護団が霊感商法というまやかしのタッチで描き出した虚構の事件だとか、神奈川県警に対してはなりふり構わず摘発ありきの捜査に動いたとか、弁護団に対しては不純な被害者弁護団を自称する紀藤弁護士一派とか、検察官に対しては無能なくせに功名心と出世欲だけは旺盛だとか、公判検事に対しては 捜査検事に勝るとも劣らない無能ぶりだとか、被害者の供述調書に対しても目を覆いたくなるほどの矛盾に満ちたもので読んでいて何が詐欺の被害者なのかと呆れるしか無い、などと、私たち被害者を馬鹿にするだけでなく、神奈川県警の方々、横浜地検の検察官の方々、弁護団の方々に対しても、誹謗中傷の限りを尽くす内容ばかりが記載されており、私自身も申し訳ない気持ちで、心を痛めていたからです。
そこで私は、被告人等が本当に心から反省し、謝罪するのかどうかを見極めるために、できる限り傍聴を続けることにしました。私が被告人質問を傍聴した限りでは、被告人らが心から反省し、謝罪しているとは到底思えませんでした。
例えば、詐欺を認めたといっても、被告人らの言い分は、伝え方が誤解を与えるような言動をしてしまってであるとか、自分自身にカがあるかのように思わせてしまったであるとか、被告人らより下の先生に勘違いをさせたなどという言い訳ばかりでした。未だに、神世界における神を信じていると述べているのと同じだと思います。
実際に、公判中にも、被告人らが供述している際、御霊光を送る動作をしていた神世界関係者もおり、公判の中で何度も名前が出てきた神世界グループのびびっととうきょうの代表者である女性は、今でも系列の店舗等で、「神世界や御霊光はこれからも大丈夫だ」といった趣旨の発言ををしているとのことです。この裁判の傍聴に関しても、末端の信者を多数抽選に並ばせ、多数の傍聴券を得る一方で、実際の傍聴は確信犯的なコアメンバーにしかさせないようにして、末端信者には詐欺を認めていることを未だに隠し、報道が虚偽であると伝えているとのことです。
また、私自身、裁判の傍聴を続けてきた中で、神世界関係者から睨み付けられたりして怖かったですし、裁判所からの帰宅途中に、裁判の傍聴席にいた神世界関係者から渋谷まで尾行されて、駅を降りてからもしつこくついてこられたため、神奈川県警の担当者の方に相談せざるを許なかったこともありました。
教祖である斉藤亨は、組織的詐欺を認め、今後は神世界は活動もしないし、解散して財産も被害者の為に返金し謝罪していく、と法廷で述べています。ところが、裁判の傍聴に来ている神世界関係者のこのような態度からは、反省している様子も組織が解散したり収束に向かっている様子も感じられず、むしろ敵意むき出しの態度でした。被告人らも、裁判所の廊下で私たち被害者とすれ違った際には、裁判官の前とは異なり一言の謝罪も会釈さえもなく、無視する態度でした。これらの態度からすると、「神世界」という名前や形は変わったとしても、これまでと同様の活動が継続されるのではないか、この裁判が終わったら何か仕返しされるのではないか、といった不安は尽きません。
さらに、被告人らは、被害者はごく一部に過ぎないなどとも述べておりましたが、とんでもないことです。
まだ目が覚めない人達、神様が怖くて離れられない人達、自分が被害者だと名乗れない人達もたくさんいます。私が誘ってしまった一部の友人や従姉妹も、被害を名乗り出ることもできていない状況です。神世界が被害弁償をすると言い出してから、私はこれらの友人や従姉妹と再度連絡を取りましたが、未だに許してもらえていません。確かに、被害者として名乗り出ることができた方は、今回の刑事裁判をきっかけに被害弁償を受けられる見込みでができました。しかし、記録によれば、神世界の売上は180億円を超えているのですから、これまでに被害回復がなされたのはそのうちのごく一部にすぎません。また財産的被害が回復されたとしても、神世界の活動のために失われた時間や大事な人間関係は取り返しのつかないものです。
神世界、被告人らが、本当に反省しているのであれば、刑事裁判における被害者だけでなく、これまでに神世界に誘い込まれた全ての被害者の方々や、私たち被害者のために尽力してくれた捜査関係者や弁護団の方々に対して、記者会見をして、公の場できちんと謝罪し、刑事裁判とは関係なく、今後も、被害弁償をきちんと続けるべきです。
3 最後に
今回、多くの被害者、捜査関係者、弁護団、「ヒーリングサロンによる被害」のサイトにより神世界の実態を暴き、被害者を支援し続けてくれたfujiyaこと藤谷歩湖さんなどのご尽力により、組織的詐欺罪により立件されるに至りましたが、私自身、騙され失った時間や人間関係は戻っておりませんし、多くの被害者も同様です。
神世界による詐欺は人の弱みにつけこんでそれを巧みに利用する極めて悪質なものです。有り余る騙し取った資産で多少の被害弁償をした程度で、その罪が許されるものではありません。また、反省しているとも到底いえませんし、また同様の被害が繰り返される不安も大いにありますので、被告人や神世界関係者に自分たちの犯した過ちとその悪質さを自覚させるためにも、被害者としては厳しい実刑判決を下していただくことを、強く希望します。
平成24年3月27日
神世界被害者を代表して
証人D
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【悔しいよねー、市河さん。でもね、あなた、刑事事件の被害者に対してよくもまあ、論告求刑前に「いろいろ話さないでくれ」とか、「実刑にならないように陳述書を書いてくれ」とか、恥も外聞もなく言えましたね。しかも買収しようとしていたなんて!(怒)ついでに言っときますけど、どうせなら、せめて億単位でお願いしてみせなさいよ。50万円でどうだ、だなんて、どこまで被害者をバカにしてるんだ! ということは、残党会員達には、1枚数万円〜数十万円程度で陳述書を書かせているのかな?何枚集まりました?】
■裁判長:書面を提出していただけますか?
証人D:はい。(裁判官に手渡す)
■裁判長:あの、弁護人から何かあります?証人Dさんにお尋ねになることございませんか?
市河弁護人:(消え入りそうな声で)ないです。
【そりゃ、市河さん、何も言えないわなー。】
■裁判長:それでは検察官…(検察官の論告求刑に続く)
●前田検察官による論告求刑(要約)
各被害者は単に悩みの相談にのってもらうだけで多額の金額を支払うことはなく、本件一連の犯行は、解決することができないこともあるかもしれないとの説明がたまたま不十分であったとか、たまたま解決することができなかったとかいうものではない。組織として多額の利益を得るために、各責任者が重要な役割を分担し、悩みにつけ込み、その悩みを確実に解決できるかのように信じ込ませることで、極めて多額の違法な利益を得ていたことは明らかである。
*被告人らが弄した虚言
被告らが有すると称する神霊能力なる能力を用いても、
@悩みの原因を的確に確実に特定し、すべて確実に解決できることはできないこと
A他に解決方法がないと言うことにより不安を煽り、かえって解決を遅らせたり、困難にしてしまうかもしれないこと
を分かりながら、より多額の利益を得るために神霊能力を用いれば悩みを確実に解決できるかのように装い、信用させた。少額の利益を得て、単に悩みの相談にのっていた中で、“たまたま不適切なものが混じってしまってもやむを得ない”というものではないことは明らかである。
多額の利益を得るために、“確実に解決できる”と虚言を弄し続けていたのである
*民事訴訟
極めて多額の示談をしたことからも、いかに多数の人に損害を与えていたかは明らかである
*被告人らに神霊能力なる能力が本当にあるのか
神霊能力に関する極めて支離滅裂で曖昧模糊とした相互に矛盾する不合理な説明を聞くにつけ、益々疑わしい。
百歩譲って仮に、神霊能力なる能力を有するとの被告人らの主張を前提としても、
@現に各被害者の悩みが解決しなかったという事実
A最高責任者である被告人斉藤が金儲けの手段として神霊能力の活用を思いついた経緯
B神世界の奇跡の大前提とされ、いかなる病気をも治癒するとされていた御霊光を受けながら、重篤な病気に陥り、死亡または重い後遺症が残った者が複数存在する事実
Cこれらの事案が発生した理由について、被告人の誰一人として合理的に説明することができない。
被告人斉藤にいたっては、未だに整理できないと述べた
*株式投資
被告人斉藤は、株式投資による資金獲得を推奨し、実際に試みたが、失敗して巨額の損失を出した
*神霊能力開発講座
@神霊能力開発講座及び神霊講習の内容は、神霊能力によって得られたとするメッセージの内容が正しいかどうかの答え合わせを行わない等、およそ他人の悩みの原因を的確に特定し、確実に解決しうるような能力の獲得をめざすものと思える内容ではない
A人手不足を解消するために神霊鑑定士を次々に誕生させていったと認められる
B神霊能力なる能力を用いても、確実に相談者の悩みを解決できるわけではないことは客観的に明白であり、経緯からしてそのことを被告人らが分かっていたことも明らかである
従って被告人らは神霊能力なる能力によって、他人の悩みの原因を的確に特定し、これを確実に解決することなどできないと認識しながら、組織として、神霊能力を有する者の言葉に従って多額の金員を支払えば、祈願や供養によって確実に悩みを解決できるかのような嘘をつき、各被害者に信じさせて多額の現金を騙し取ったことは疑いの余地はない
*情状関係について
本件一連の犯行は、被告人斉藤を最高責任者とする神世界グループにおいて、顧客を誤信させて金銭を獲得するためのシステムに則り、巧妙な手口で、組織的に反復継続されたものであり、その犯行態様は極めて悪質である。
すなわち神世界グループでは、被告人斉藤が、「教主」と呼ばれる最高責任者であり、斉藤が書いた神書また各種祭典においてなされた斉藤の指示に従って行動することが必達(もしかしたら至達かも?)のものとして共有され、できるだけ多くの金を集めることが、神世界グループ傘下団体の経営者が必達すべき主要な目標とされていた。
神世界グループにおいては、人を集めることも重要な活動とされていたが、人を集めること自体が集金の手段であったから、活動の終局的な目的は、金を集めることであった。
被告人斉藤は、各種祭典において、「うちは宗教ではない。これは商売ですからビジネスです。企業ですから利益のい人は私にとってゼロなのです。だから価値のない人を連れてくるなと思います。私の言いなりで動いている人のところには奇跡がある。迷ってる人のところには不吉なことが起こります。売上げを上げることに執念を燃やします」と述べ、売上げの悪い経営者を冷遇、ついには他の傘下会社に吸収させる形で消滅させ、経営者間の競争心を煽る等、より多くの金を集めるシステムを構築していた。
“宗教ではなく、企業である”という斉藤の発言は、神書の記載や他の発言とも相まって、いわゆる新興宗教に対する一般人のマイナスイメージを回避するとともに、金を払えばその分の奇跡を確実に得ることができると思わせる仕組みを有しており、集金に直結する説明となっていた。
E2及びえんとらんすアカサカにおける具体的な活動は、被告人斉藤の指示に従い、顧客を誤信させて金銭を獲得するための巧妙な手口で行われていた。
@従業員による集客として、街頭で「ヒーリングを受けてみないか」と声をかけて比較的安価な御霊光の取り次ぎに勧誘。サロンと称する活動拠点に顧客を誘導し、ヒーリングを受けさせる
A従業員が顧客の容姿に良い変化があったかのように言ったり、顧客が良いと感じたことのすべてがヒーリングの効果であったかのように言うことを繰り返す。顧客にヒーリングの積極的な効果を信じ込ませるとともに、嘘やかなり誇張の入ったエピソードを“奇跡の話”として紹介し、顧客の誤信を強める
B次の段階へのステップとして、会話の中で顧客の悩みを聞き出し、鑑定によって悩みの原因を的確に特定して解決方法を示す特別の能力がある者として被告人史利等や共犯者杉本明枝を紹介し、同人らの神霊鑑定を受けることを勧める
C被告人史利が顧客と面談する等して、顧客の悩みの原因が霊的なものであるかのように断言し、その解決のためには、嘉子らが行う御祈願や史利らが提示する方法による他なく、指示通りの金を支払って御祈願等を行えば、確実に悩みを解決できるかのごとく信用させ、顧客に高額なお玉串と称する代金を支払わせることを繰り返していた
Dその後のトラブル回避と顧客の不満・不安を解消するため、従業員に”フォロー”と称する対応を指示していた
E「離れたら大変なことになる」等と述べ、離れようとする客を脅して御霊光や御礼名目で継続して金を支払わせていた
このようにE2及びえんとらんすアカサカにおける具体的活動は、顧客を誤信させるためのシステムになっており、巧妙な手口で組織的に反復継続して行われていたものであり、犯行態様は極めて悪質である。
被告らが顧客に対して、「宗教ではなく、有限会社である」と言っていた理由は、被告人斉藤が供述した通り「宗教と言っただけで引いてしまうのはもったいないから、入口は宗教色を消して、あるいは薄めていた」というものである。他の被告人等も概ね同種の供述をしており、それ自体が看板を偽って人を欺いて金を集めていたということである。
現に被害者は口を揃えて、「当初から宗教だと言われていれば係わることはなかった」と述べていることが明らかなように、極めて卑劣かつ悪質な行為であることは論を待たない。
被告人らは、「当初は分からなくても、しばらく活動の内容を見ていれば、宗教であることは分かったはずだ」と言わんばかりの供述をしているが、このようなことは少なくとも人を欺いた当人が発すべき言葉ではない。
⇒その通り!
被告人らは、一旦獲得した顧客を逃がさないためには手段を選ばず、神世界を離れたら確実に不幸になるかのように繰り返し言うなどして脅すことさえしていたのであるから、被告人らの活動を目の当たりにしても、神世界から離れられなかった被害者に何らの落ち度もない。
被告人らが被害者に対して、「宗教が嫌だったのであれば、宗教とわかった段階で神世界から離れればよかった」とでも言わんばかりの供述をすることは、被告人らの虚言に翻弄された被害者を愚弄するものであり、決して許されるものではない。
⇒はい、許しません。神様と被害者に対するこの冒涜は、死刑に値します。
あんたには一生、懺悔なんて無理。幻聴に始まり、幻聴で終わる人生だ
*重い譴責(けんせき)を負うべきであることについて
@神世界グループの拡大
Aグループの中での生き残り
Bえんとらんすアカサカの拡大
C自らの地位向上
のため、神世界グループの中で重要な地位にあった被告らは強固な犯意に基づき、各犯行に及んだもので、重い譴責を負うべきである。
本件一連の犯行は、被告人斉藤亨を頂点とし、神世界活動の一環として、より多くの金を集めるために行われたものである。被告人斉藤は、各経営者及び責任者に対し、自己の指示に従って行動することが必達のものとして共有させていたことから、責任が共犯者の中でもとりわけ重いことは言うまでもない。
その意味において、被告人佐野・史利・嘉子が、斉藤に比べてやや従属的な立場にあったことは否めない。
被告人佐野・史利・嘉子は、上納金の多寡でグループ内の地位が決する状態において、
@初代神霊鑑定士佐野の面目を保ち、被告人斉藤に次ぐ地位を維持すること
Aえんとらんすアカサカの拡大
B被告人史利らにおいては、自らの地位向上のために血眼になって、顧客からの集金を行い、その結果、神世界グループ内部で重要な地位を保っていた
C被告人佐野は、初代の神霊鑑定士であり、神世界グループのナンバー2の地位にある者として、ミーティング等の場で史利・嘉子を厳しく叱責指導。本来、顧客の自由意思に基づいて行われるはずの御祈願に売り上げノルマを設定する等、えんとらんすアカサカの生き残りのため、本件同様の行為を繰り返えさせていた
D被告人佐野の指示を受けた被告人史利及び嘉子は、えんとらんすアカサカの取締役及び神霊鑑定士として、佐野から設定されたノルマを達成するため、高額な御祈願に誘導するようスタッフに指示し、高額な御祈願に顧客を誘導、本件同様の行為を繰り返していた
被告人らはE2などの傘下法人において、本件以前にも顧客からのクレームでトラブルが生じていたことを知っていたが、それに取り合うことなく、金を得るために一連の本件犯行に及んだ。
度重なるクレームや民事訴訟の提起も物ともせず、同様の行為を繰り返しており、その犯意は極めて強固である。
被告人佐野においては、神霊鑑定の中止や被害者への返金を被告人斉藤に具申したことがあったようだが、結局、斉藤の指示に従ったのでこの点を重視すべきではない。
被告人らは本件詐取金を含めた売り上げの中から、本件当時(平成18年頃)、被告人斉藤は月額約3000万円、被告人佐野は月額約600万円、被告人史利及び嘉子は月額約110万円、と極めて多額の利益を得ていた。
そして、平成13年から19年12月までの利得総額については、被告人斉藤は約16億3千万円、被告人佐野は約2億4千万円、被告人史利及び嘉子は約6千万円と莫大な金額に及んでいる。
*被害者らは被告人の厳重な処罰を望んでいることについて
被告人斉藤について、本件の直接被害は、被害者5名から現金合計1340万円を詐取したもので、これ自体も極めて多額な金額であり、被害結果は極めて重大である。
被告人佐野・史利・嘉子について、本件の直接被害は、被害者2名から現金約150万円を詐取したもので、これ自体も軽視すべき金額ではなく、被害結果は重大である。
被害者は、借金までして作った金を騙し取られ、適切な治療の機会を奪われて長期間激痛に苦しめられたり、サロンに友人を紹介したことでその友人を失うなどしており、経済的損失はもちろん、肉体的・精神的苦痛も著しいものがある。
被害者等に対して、既に被害弁償がなされているが、被害者は、返金されたからと言って被告人の刑を減免してよいとは述べていない。
被害者Dさんは、「被告等は裁判所内で顔を合わせても謝罪の言葉はおろか、会釈の一つもなく、全く反省の態度が見られないので、厳重に処罰てほしい」と述べており、その被害感情は極めて厳しい。
*犯行後の事情も悪質であることについて
@被告人らは、自己の行為が詐欺に該当する行為であることを当初から認識していながら、平成19年12月のE2に対する強制捜査実施後も、被害者に対する被害弁償等を一切行わず、逮捕後は否認または黙秘を貫き、供述書への署名も拒否し、被告人斉藤以外は、当法廷においても当初否認していた
A強制捜査後、被害弁償等の措置を講じなかった理由として、神霊からは被害弁償を行うよう伝えられていたが、当時の弁護人から被害弁償に反対されたからであると述べた。
当時の被告等の供述を前提にすれば、神霊の言葉が何より優先されるはずなのに、弁護人の言葉を優先したというのは、極めて不自然な行為である。
このことは神霊能力など存在しなかった事の証左か、当時の弁護人に責任を転嫁しているかのいずれかであり、いずれにしてもこの点について被告に酌量すべき点はない
B捜査機関を信用できなかったので、捜査段階では黙秘または否認をしたかのような供述をしたが、公判に至っても否認を続けたことの説明にはなっていない
C当時の弁護団から指導を受けたことを捜査段階で黙秘または否認を貫いたことの理由としていたが、黙秘または否認が自己の意思や神霊の意志に反するものであることを認識しているのであれば、弁護人を解任して新たな弁護人を選任すれば良いだけなので、何ら合理的な説明にはなっていない
要するに被告人等は、刑事責任を免れようとして不合理な弁解に固執したのであり、そのために被害者は公判廷での証言を余儀なくされ、多大な心理的負担を負ったのであるから、犯行後の事情も悪質である
*各被告人に再犯の恐れが極めて高いことについて
被告人斉藤
@逮捕状が出てから約1ヶ月間逃走する等、早期の事案の真相解明を妨げ、刑事司法の遂行を害したものであり、強い批判に値する
A実父は、情状証人として出廷できないほど体調に不安があり、斉藤を逃走させた吉田澄雄が稼動する神世界関連団体のトップであることをさておいても、到底適切な監督を期待することはできない
B神世界グループを解散すると述べたが、斉藤保釈後の公判においても、神世界グループの現役会員と目される者が毎回多数傍聴していること、被告人史利をはじめ、未だに御霊光を受けたり、お玉串を支払っている者がいるという事実からすれば、裁判を有利に進めるためだけに、形だけ解散することにしている可能性も否定しきれない
C高級ブランド品や貴金属を多数購入しており、これは各種祭典で被告人自身が他の経営者に述べている通り、要するに私腹を肥やして贅沢な生活をするためと認められる。しかし斉藤は、「美術館建設に伴って展示するためのものだ」、「祭典において主要な人が身につけるためだ」、「ブランドの力を使って海外に展開をするためだ」等と述べ、自己の過去の発言と矛盾する供述をしており、反省の情は認められない
D「御霊光の効果は100%であると信じていたが、現在は間違っていたと思う」等と供述しているが、御霊光を受けながら重篤な症状に陥り、そのまま死亡、または重い後遺症が残ったりした事件が起こった当時は、「御霊光の効果を信じていた」等と述べ、結局、どのようにしてそれが間違いだと思うに至ったか、そのような事件があったのにどうして御霊光が万能であると信じていたのかについては、「整理がつかないままでいた」と供述するのみであり、何ら合理的な説明をしていない
Eそのような状況でありながら、自らを神の媒体である等と称しており、単に自らの行為を詐欺であると認め、被害者に返金して本件を優位に進めようとしているだけである。本件について反省し自己の行為を顧みていないのであり、被告人斉藤が再犯に至る可能性は高い
被告人佐野
@妻りらは、平成19年12月の捜査当時、お金をすぐに返さなければいけないと神様の意思を頂いていると佐野から相談を受けていたにも係わらず、結局、返金がなされなかったことについて佐野に何ら質問する等していない。その上、りらの母(栗山悦子)は、えんとらんすグループの一法人、(有)えんとらんすわーるどヒルズの代表取締役として、神世界グループの中でもそれなりに重要な地位にある。神霊鑑定士として神霊鑑定を行っており、栗山悦子が今後神世界といかなる係わりを持つのか不明であることからすれば、同人等を介して被告人佐野が神世界と係わりを持つ可能性も否定できず、佐野りらが被告人を適切に監督することは困難である
A神霊能力の獲得経緯について、「突然授かる。人出不足の際に私が神霊にお伺いを立てると、神霊がスタッフの中から神霊能力を授かる人を決めてくれる。神霊能力開発講座の受講申込みをした段階で神霊が神霊能力を授けてくれる」等、場当たり的な説明に終始している
B自らは神霊の言葉が正しいかどうか、事ある毎に確認していたと言いながら、神霊能力開発講座において答え合わせをしていなかったことについては、何ら合理的な説明をすることはできていない
C被告人佐野の母が、自ら寄稿してもいない奇跡体験をねつ造されて神世界の会報に掲載されたと供述していることについて、「自分が添削したかもしれないし、そうではないかもしれない」等、曖昧な供述をしているが、その真偽について十分に検討する時間的余裕はあったがそれをしておらず、本件について真摯に向き合っていない
⇒お母さん、悲しんでいると思いませんか?
D「売り上げを伸ばすことは大事であったが、トラブルは起こさないように指導していた」等、供述しているが、トラブルが起こることは分かっていながらその原因を解明することなく、特に被告人嘉子はスタッフを厳しく叱責し、売り上げを伸ばすよう指導し、ミーティングの場に於いて、本来、顧客の自由意思で行うはずである御祈願にノルマを設定して売り上げを伸ばすように指示していることと矛盾している
⇒史利もひどいもんでしたよ、検事さん。あいつはヤクザまがいでしたから!
E被害者Dに対する言動は、売り上げよりもトラブル回避を重視していたものとは到底認められない。これらの点について被告人佐野は何ら合理的な説明をしていない。このように不十分な反省の態度の被告人佐野が再犯に及ぶ可能性は極めて大きい
被告人史利
@情状証人として出廷し、犯行当時えんとらんすアカサカで日向晶子という名前で神霊鑑定士として稼働していた小塚麻衣子は、「私は詐欺をしたことはないと思っている。被告人史利や嘉子が、被害者Eさんを誤解させるような発言をしたとは認識していない」と自己弁護や、被告人史利や嘉子の認識とは背理する供述をしている。小塚は今後、被告人史利や嘉子をサポートしていきたい等と述べているが、えんとらんすアカサカを離れての交際はないと述べており、適切な監督者となり得ないことは確かである
A被害者Eさんに対し、「医学界では気圧の変化が子宮に影響を与えることは証明されている」等と述べ、被告人嘉子の高額な御祈願に誘導し、“気圧の変化が子宮に与える影響” は医学的に間違っているにも係わらず、神霊から聞いたことをそのまま伝えただけだと答弁し、自分自身の誤りについて真摯に向き合おうとしていない
Bお玉串について、「浄財であるという認識だった」と供述しているが、神世界グループにおいては、お玉串は奇跡に対する対価との共通認識ではなかったかと追及されるや、「そのような説明もしていた」と述べる等、場当たり的で曖昧な供述をしている
C神霊能力を有する自分の言葉に従って多額の金員を支払えば、祈願や供養等によって確実に悩みを解決することができるかのような嘘をつき、各被害者にこれを信じさせ、多額の現金を騙し取った自らの詐欺行為の悪質性を直視することなく、自らを正当化することに汲々とするその態度からは真摯な反省の態度は見られない
D「今後、神世界とは係わることはない」と供述するも、「一番最近に御霊光を受けたのは一週間前であり、今後も御霊光と祈願はしていきたいと思っている」とも供述。「神世界と係わらずに御霊光を受け、御祈願をする具体的な方法については分からない」と供述していることから、「今後神世界とは係わることはない」といった供述自体疑わしいものがあり、再犯率は極めて高い
被告人嘉子
@「各被害者に病気を治癒する能力が出なかったのは、私達人間に力があると思わせてしまい、私達人間が神様の邪魔をしたからである」等と供述する一方、御霊光の効果について弁護人の質問では「万能ではないと思っている」と供述。検察官からの反対質問では「今でも万能であると思っている」等と供述を変遷させている
Aいかなる病気も治癒されるとされていた御霊光を受けながら重篤な症状に陥り、その後、死亡、または重い後遺症が残った者が複数名あった事実についての説明は一切していない
⇒責任者たるもの、説明できなくてどーするっ!
B“より多くの金を集めること”が、神世界グループ傘下団体の経営者が必達すべきとされており、そのために若い女性をターゲットとして新規顧客の勧誘に努めていたことは周知の事実であるにも係わらず、「人を集めることの方がメインだから、あまり売り上げに固執することはどうかと思っていた」とか、「若い女性の方がヒーリングとかに興味があるだろうと思って話をしていた」等と述べ、自己の行為を正当化しようとする姿勢に終始しており、反省の情は認められない
C公判で事実を認めるに至った事由について、被害者の話を聞いたからと供述しているが、公判開始前から供述調書を読んでいたにも係わらず、「徐々に間違っていることに気がついたが、いつ間違っているという確信に至ったのか覚えていない」等と極めて曖昧な供述をしており、本件に真摯に向き合っているとは言い難い。場当たり的にその場しのぎの回答をしているだけであり、真摯な反省態度の情は認められず、再犯の虞は極めて高い
以上の事情に鑑みれば、被告人等の刑事責任は極めて重大であるから、
@被害者等に一応の被害弁償がなされていること
A被告人等が一応事実を認めたこと
B被告人等には前科がないこと
など被告人等にとって有利な事情を最大限考慮したとしても、相当期間の実刑に処し、矯正施設に於ける徹底した矯正教育が必要である。
そこで求刑だが、以上、諸般の事情を考慮し、相当控除を適用の上、
被告人斉藤亨を懲役10年
被告人佐野孝を懲役6年
被告人淺原史利及び淺原嘉子をそれぞれ懲役4年
に処するのを相当とする。
■弁護人意見陳述
☆はじめに(市河弁護人の最終弁論を記録した傍聴者より)
弁護人による最終弁論こそが、被告弁護人としての一番大事な仕事であり、裁判の最大の見せ場であるというのに、市河弁護人の最終弁論は、小声で早口、しかも何を言っているのかわからないという、非常にお粗末なパフォーマンスに過ぎませんでした。あんな読み上げ方をしたのは、自信のなさの表れですね。見事なまでのやっつけ仕事に拍手を送ります。
傍聴席でメモをとっている最中、今回はなかなかポイントがつかめず、メモを取るのに大変苦労しました。弁護人は、重要なことはぼかし、意味のないことをさも意味があるかのように、論理的でないことをさも論理的であるかのように長々と述べただけでした。
弁解のしようのない事実は認め、適所盛り込みながら、肝心な矛盾点はすっ飛ばし、堂々と開き直って、「被告人らはそんなに悪くない、しかも反省している、返金している、解散もした、だから執行猶予付きでヨロシク」、要はそれだけのことでした。
下記の市河弁護人が述べた内容は中身がなく、掲載に値しないものですが、どれほど中身がないかを知っていただくために、敢えて文字起こしを行いました。
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●市河弁護人による陳述
(…の通りだが、…ので、適宜省略しながら…)
被告人らは起訴事実に…ではない。しかしながら以下の通りの事情があるので、寛大な…を求める。
●組織的…について。宗教団体神世界について
被告人らが属していた宗教団体神世界の前身は、千手観音教会という宗教団体であり、被告人斉藤亨が創始したもの。父親の影響で世界救世教に入信していた被告人斉藤が、28歳のときに父親の神様の啓示による千手観音の御神体を描くようになり、29歳の時に実家に祀るようになった。
その後、昭和62年9月3日に御神体を移し、宗教団体千手観音教会を設立した。最初の出発点の時には、当初会員20数名程の少数であった。千手観音教会は、世界救世教の影響を受けたのち、のちに御霊光と呼ばれるようになる宗教的、儀礼的行為を中核に、神様からの奇跡、…ことを特徴とする宗教であった。
当時は山梨を中心に活動する団体であったが、徐々に会員が増加し、御玉串を…千手観音教会においては、御霊光を取り次ぐという行為を被告人らスタッフが会員に対して行い、お客様に対し御祈願する、神様に対する奇跡の対価として御玉串をおあげする、祭典等の儀式や祝詞を奏上する、姓名鑑定、方位鑑定などの宗教的行為が行われていた。
平成11年頃、被告人斉藤は、長年の宗教活動で蓄積されていた教え、神様からの啓示等を教義としてまとめ、『神書』を出版した。
更に同時期、被告人斉藤は、税務調査による修正申告したことをきっかけに、経理を明確にして税金を納めるため、平成12年(有)千手観音教会事業部を設立し、後に(有)神世界に社名変更した。
また同時に斉藤は活動について、やる気のある会員に任せ、経営者として独自に活動するようにし、会員の中から経営者を募った。約50人ほど集まった経営者らは、独自の取次所で御霊光等を行い、のちの経営者の中には刑事事件被告人である杉本明枝も関わっている。
平成13年、被告人斉藤は経営者を精査し、会社化の活動をすすめ、これを受け、被告人佐野孝、被告人淺原嘉子は、千手観音教会時代からの会員だった被告人淺原史利を誘い、同年(有)えんとらんすアカサカを設立し、同時期、他の神世界グループの会社としては(有)みろく、(有)びびっととうきょうなどが設立された。
●神霊能力、神霊鑑定について
最初の出発点、平成12年頃、被告人佐野孝は神がかりとなり、その悩みを斉藤に相談したところ、自己の経験から、「それは神霊ないし神様からのメッセージを受けている」として、御霊光取次の際に神霊からのメッセージを聞いてそれが…なことを知った。これが神霊能力、神霊鑑定のはじまりである。
しかしながら、佐野の精神不調から、神霊鑑定の活動は中断された。
その後、佐野は静養を続け、回復してきたところ、再度神霊鑑定を再開し、神世界活動の重要なものとして位置付けられていった。
●定義について
ここで神世界および被告人らが理解していた神霊能力は、神霊または神様からのメッセージを受け取る能力であり、神霊鑑定とはそのメッセージを相談者に伝える宗教的行為である。
事前に相談者から家系図や…を場合とそうでない場合があった。
●偽網行為、詐欺との関係について
本来の神霊能力、神霊鑑定は、以上の内容を有するものである。そして神様の御意志として問題解決を図る手段として、次に御祈願などという宗教的行為をすすめられることがある。
御祈願とは、相談者が御祈願内容を書き、神様に御玉串をおあげし、祝詞を奏上する宗教的儀礼的行為である。そして神世界教義によれば、相談者は御祈願し、神様と取引をして、神様から奇跡、結果をいただくという宗教的行為がされている。
つまり、神霊鑑定御祈願において、…に問題解決の原因や確実な解決を与えるのは神様であり、神霊鑑定師自身ではなかった。
本件で指摘された子宮筋腫のケースで言えば、神霊鑑定師の意志に子宮筋腫の原因を特定、発見し、それを確実に治癒させる能力、本件で偽網行為の対象とされる神霊能力はなく、本来の神霊能力、神霊鑑定とは異なる。
神霊鑑定師が凄い先生だと吹聴され、特別な力、神様より地位、能力があるかのような言動と、相談者の神霊鑑定師に対する信頼が、本件…となる。
つまり神様の存在と、神様の奇跡を…は偽網ではなく、神霊鑑定師自身が有するとされた神様の…奇跡能力で…である。
また、本来の神霊能力ではなく、神霊鑑定師自身の意志でされる神霊能力が、神様の…奇跡の偽網行為の対象とされる神霊能力は存在しないという認識、故意は被告人にあったことは、被告人質問でも明白である。
更に、本来の神世界の教義からすれば、御祈願御玉串をおあげすれば神様と取引ができるわけである…ところ、現実の活動ではその説明が十分に…、神世界全体で御霊光御祈願をすれば、100%奇跡が起こるかのような言動等が、…偽網による詐欺行為を組織的に増長する…は否めないところ、被告人らは…については、現在十分に反省している。
●神霊能力開発講座について
平成14年頃から、被告人佐野が…であり、神霊鑑定師を増やしたいという被告人斉藤の意向をふまえ、佐野の神様からの…と一致、史利らは、神霊能力開発講座を開催し、神世界幹部等から希望者を募り、同講座を実施した。
同講座の内容については、よくわからない、答え合わせ等をしていないなどにより、参加者の中には神霊能力を受けたとは思わない…ところである。
しかしこの講座での史利の指導は、思い浮かぶことを伝えるなど、具体的な技術解説や指導するものではなく、また、一定のパターンで相談内容に原因を当てはめる、御祈願に誘導する、…開発をする、等の指導ではない。本件に問われている偽網行為に直結する具体的直接的な言動はなかった。すなわち同講座の開催が、直接的な偽網行為の手段、あるいは具体的な組織的行動と…することはできない。
●宗教ではないとの言動および…について
既に関係各職から…あるが、神世界の…は、会社化し拡大活動する際に、「ここは宗教ではない、会社である」などの言動を行って…行っていた。
検察は、この点が組織的に活動を当初から詐欺を意図的に行っていた事情とするかのようである。被害者も宗教でないということを信じて入会したので、最初から宗教であると知っていたら入会しなかった旨を述べ、あたかも宗教でない旨の言動が詐欺の偽網行為の一種かのような印象を与えている。
しかしながら、そもそも被告人らの公判での供述によれば、神世界の教義は…既存の宗教とは異なる超宗教である、神様をオーナーとする会社である、宗教と言う言葉の持つマイナスのイメージから御霊光を受けてもらえないという事情から、…として宗教として…であり、自己の宗教性を秘匿して、詐欺を企てるための…として用いられたのではない。
実際神世界に継続的に通うと、御霊光との説明、神書購入、御祈願における儀式、祭典等により、神世界の活動が実質宗教活動であることは容易に判明することであり、宗教性の秘匿は形式的な言葉的な認識であったに過ぎない。同様に御霊光をヒーリング、取次所をサロン等と言い換えていたのも、宗教性を言葉上薄め、会員を入りやすくするためであったにすぎない。
このように宗教ではないとの言動は、厳密な意味で詐欺の偽網行為、偽網集団ではない。もっともそれが社会的に一種の「看板の偽り」と非難されることはもっともであり、これは神世界及び被告人らが、自己の宗教活動及び言動を社会常識に反しないようにする意志が乏しかったことを意味するものであり、この点をふまえて被告らは反省の自覚を深めている。
(…に関しては、意見があったようだが、省略)。
●被告人斉藤の…
本件の事件で、売上重視の経営指導が組織的にあったことは明白である。この売上重視が神霊鑑定、御祈願による高額な御玉串をあげさせることを強く…促進させ、組織的な本件…について、被告人ら特に斉藤の責任は重いものである。
しかしながら斉藤は公判で述べたように、御玉串の収入は神世界の活動、宗教施設、美術館開設等のために使おうとしていたのであり、神世界全体や幹部の私利私欲のためだけに売り上げを伸ばすことを考えていた訳ではない。もっとも贅沢をしていると誤解されるような行為、例えばブランド品や…については、宗教的指導者たるもの、個人的、論理的に…なものではない。
結果的に、救い、奇跡の拡大という目的と、その目的の活動資金が…てしまったが、被告人らが神世界、千手観音教会の活動を始めた時は、最初から売上があったのではなく、救い、奇跡を広めるという宗教的信条、善意、…あったこと、被害事実はもちろんであるが、…によって奇跡得た、救われた事実も被告人らの量刑に適用されるものと思われる。
●トラブル防止の…について
佐野の公判での供述等により、…神霊鑑定の事件が、本件事件前に生じ、高額な御玉串の返金を求められたが和解したことが問題となり、神世界全体としてトラブルのリスク…改善、ないし廃止や返金が佐野から提案されたが、その後、本件事件が発生した刑事事件として捜査が入るまで、具体的に神霊鑑定の廃止や返金に向けた対策がとられなかった。
このことは後述するように斉藤も売り上げ低下と自己の宗教活動の否定を恐れたことが一つの原因であるが、
組織が拡大し、各会社の経営に直接タッチすることは困難であった。
当時の弁護士の…ことも量刑に当たって考慮すべきである。
各被告人の共通情状について
●示談と被害回復について
本件事件に共通の被害者は2名で、対象となる被害金額は、被害者Dさんについては金100万円、被害者Eさんについては50万円であり、合計150万円であって決して少なくない金額である。
しかしながら、継続していた民事裁判上の和解示談が成立し、刑事被害金、民事請求金額、慰謝料、弁護士費用、遅延損害費用を含む被害者Dさんに対しては金○○万円が支払われ、被害者Eさんに対しては○○万円が支払われ、刑事的民事的被害は回復している。
もとより、金銭的被害回復だけで被害者の神世界、被告人らに裏切られた心情、失った時間等について全て慰謝できるわけではない。被告人らは心より反省した…を伝え、以後の活動について過ちを被害者のみならず、一般会員にも伝え、…するよう、神世界という組織を解散解体して贖罪するよう思っている。
なお、被告人らは民事裁判上の和解で、合計金350,481,718円、裁判外の和解で合計151,505,728円を被害者らに支払っており、更に別の裁判外の和解で概ね186,825,723円を被害者らに支払う予定である。
すなわち被告人らは、刑事民事の被害者等との間で総計金688,813,129円の和解が成立し、そのうち金501,987,446円が支払済みである。
このように被告人らおよび神世界グループ全体が…する社会的責任を既に果たしている。
また、これらの原資は、弁護人が預かった被告人担保…から…されている。
●再犯予防と会社組織の解散について
神世界の被告人らは、今後神世界の宗教活動を一切しないことを誓っており、社会的責任の一環として、(有)神世界を含むグループ会社(有)えんとらんすアカサカ、(有)えんとらんすスリートウワン、(有)わーるどヒルズ、(有)みろく、(有)びびっととうきょう、(有)イースクエアなどを解散した。
今後被告人らは、清算解体作業を進め、可能な限り…と考えている。
よって被告人らに今後同様に詐欺を行うことはできず、再犯のおそれは全くない。
各被告人の個別情状について。
●被告人斉藤亨について
被告人斉藤は、宗教団体神世界の教祖、トップであり、本件の組織的詐欺を受け、金銭トラブルの…あった神霊鑑定の推進、売上重視の指導、神霊鑑定による金銭トラブル積極的保護策を怠ったこと、佐野からの返金の提案を拒否し続けたことなど、責任は重大である。
しかしながら被告人は、第1回公判から起訴事実を認め自白している。また、上記自己の刑事責任について率直に認め、反省の弁を公判でも供述している。
更に斉藤は、若年から父親の強い影響を受け宗教活動の道に入り、神世界の前身である千手観音教会を設立し、人々を救うため善意の気持ちから宗教活動を始めたものであり、組織的詐欺を意図として宗教活動を始めたわけでも、有限会社…でもない。御霊光にしても、神霊能力、神霊鑑定にしても、自己の宗教的信条と経験的確信から始まっていたものであり、…でもある。
現に千手観音教会時代、被告人斉藤は自ら会員の健康等の悩みを救うため、神手かざし、御霊光を1日30人行っており、私利私欲のために行っていたものではない。
もちろん自己が書いた神書の内容にある「薬毒」などの教えを守って健康を害し死亡したりする会員が生じたことも、どうしてそうなったのか悩みも持っていたし、神書の…口頭では説明もしていた。
確かに佐野からの返金等の提案を拒否したことは事実であるが、当時の弁護士の言葉を信用し、自己の宗教活動の全否定をすることに恐れを抱いていたのであり、この点は人間の心の弱さとして十分に理解できるところである。
…遅れたにせよ、被害者に返金している。更に斉藤は返金が遅れたことに対する後悔、反省、被害者に対する謝罪の意を表していることも、公判での態度から明白である。
組織の解散の主導…について。
更に斉藤は、宗教団体神世界…明確にするために、(有)神世界、(有)みろく、(有)びびっととうきょう等を主導的に解散させ、申し出のある会員からの返金もできる限り対応し、更に神書の絶版と神世界宗教活動を停止した。神世界を…教祖を辞め、宗教活動から引退することを表明している。もちろん斉藤は自己の宗教活動の中核であった御霊光や神書の教えについても不十分で、100%の奇跡結果生じないと、素直に謝りを認めている。
父親の嘆願。
斉藤の父親は病床の中、斉藤を宗教活動に引き入れた責任を痛感し、今後監督していきたい旨、自己が運営する宗教団体観音会も解散することを表明し、寛大な刑を嘆願している。
斉藤も父親に対し…を深めている。
前科前歴もない。
●被告人佐野孝について
神世界での活動、神霊鑑定について。
被告人佐野は、平成3年頃から、自己のあざの悩みを解消するために、前身である千手観音教会に通い始め、何度か続けていくうちに、熱心に千手観音教会に通い続けるようになった。
平成7年頃にスタッフとなった。
そういった中で当時の千手観音教会の教えであった…がよくないなどのことが会員の中で…たなか、佐野の子供が高熱等から重症を負う事態が生じた。また他の会員でも健康を害して…たが、教え自体が誤りであったとは当時思わなかった。むしろ斉藤から自己の行いが足りないのではないかと言われ、佐野は悩むようになった。
こういった経緯のなか、平成12年頃、佐野は突然神がかり状態になり、何かが乗り移って勝手に話す、観音様や霊的なものが見える、幻聴に悩まされるようになった。
佐野は斉藤に相談したところ、斉藤からは「神霊能力ではないか、人が幸福になるようになるとよい」と説明を受け、更に神様にお伺いをしたところ同じような説明を受け、斉藤から「具体的に教えていただけるようになるとよい」と言われたことから神霊鑑定が始まった。
つまり神霊鑑定は、佐野に身についた神霊能力に着目した斉藤の指導により始まることになったのである。
佐野は始めた当初は、神霊鑑定の方法は、相談者と対面で話して、相談者は神様の…、体の自由がきかなくなり、神様の言葉がスラスラと出てくるようになった。
しかし佐野は1日中神様からの声が聞こえ、見えないものが見えるということから精神的に…を覚え、一度神霊鑑定をやめることになった。静養ののち、斉藤のすすめから再開することになった。この際には精神的に不安定ではない状況の中で再開できるようになった。
平成13年、斉藤の指導により、(有)えんとらんすアカサカを設立した。
その後、佐野はアメリカに布教活動することになったが、神霊鑑定について淺原史利、淺原嘉子に神様の啓示から、出来るようになったということを受け、両夫妻に継承することになった。この経緯については省略させていただく。
神霊鑑定師を増やせないか神世界関係者から問い合わせがあり、佐野は神様からの啓示を受け、佐野はアメリカに行ったが、結局帰国することとなり、その後一時期神世界の活動を離れたが、復帰することになって、杉本昭枝被告の民事のトラブルの相談を受けるようになった。
その際、佐野は、神様からの啓示により神霊鑑定そのものの廃止を斉藤に何度となく…たが、斉藤からは…た。
佐野はえんとらんすアカサカ経営の指導を始め、平成18年3月には同社を3つの会社に分社化した。
すなわち、えんとらんすアカサカ、スリートウワン、わーるどヒルズの中で、佐野はえんとらんすグループの代表的な地位となった。
佐野は神世界斉藤の売上重視の経営指導を受け、えんとらんすアカサカの経営者であった史利や嘉子に対して売上を上げるよう指示指導していたが、現実に売上が激増することはなかった。
佐野は、売上が低いところは他の会社に吸収されると言われていたので、なんとかそれを防ぐため、事件当時売上を上げるよう具体的な数字を挙げ、スタッフミーティング、スタッフに対しての指導を行っていた。
また、佐野は平成18年春頃から、被告人淺原夫妻の多忙、集中的な…ために、アカサカのスタッフであった小塚麻衣子、証人Cに神霊講習を行った。小塚は神霊能力、神霊鑑定に自信を持っていたが、証人Cは確信を持っていなかったとのことである。
佐野は、訴因変更前までは起訴事実について否認ないし黙秘していたが、組織的詐欺訴因変更後、起訴事実を認め、自白に転じている。
そもそも否認していた理由は、当時斉藤をはじめ神世界全体として、詐欺にあたらない、返金すると詐欺を認めたことになる、全ての活動が詐欺扱い否定される、一度押収された…が還付された際、当時の弁護士に対して警察官は、捜査終了不起訴の見込みを期待させるにもかかわらず、強制捜査に踏み切り、警察に対し不審を持っていた。当時の弁護士から指導などによる。
しかし、佐野は平成19年強制捜査以降、神霊鑑定の廃止と返金を神様からの啓示を受けて、神世界を…何度と主張したが拒否され、神様のメッセージと、神様の媒体とされていた斉藤の言葉に挟まり思い悩んでいたところ、斉藤にも逮捕状が出たことに、やはり神様の意思に反したのが…至ったのであると確信し、自白に…たが、当時の弁護団では返金についての反対意見が出ていたため、被告人全員一致の意志統一、特に斉藤の逮捕起訴後、反対派の弁護士の辞任に伴い、訴因変更後、自白の方向転換がなされた。
佐野は起訴事実を認め、詐欺の可能性のある神霊鑑定を、えんとらんすグループの代表として始めたことに対し、後悔と反省していることは公判での供述、態度から明らかである。
被害者、スタッフ、…に対し、金銭的、精神的被害等、迷惑をかけたことについて謝罪の意思を表明している。
前述した通り、被害総額150万円はもちろん、民事請求金額の慰謝料、弁護士費用、遅延損害金も含めて支払いが成立している。否認の撤回と返金および示談の指導的役割を果たしたのは佐野本人であり、このことは量刑にあたって最大限考慮されるべき。
実権なきナンバー2について。
佐野は、インターネット等メディアでは、神世界ナンバー2と言われていた。これは、佐野は神霊鑑定を始めた者であり、神霊鑑定師として…斉藤が特別視されていたことから…。
しかしながら、神霊的宗教的には高く評価されても、会社の経営、神世界より大きな発言権は小さく、神霊鑑定の…ですら、神世界全体から聞き入れてもらえなかったことは、先ほどの…から明らかである。また、佐野が代表したえんとらんすグループの売上は、他の会社と比較して高いものではなかった。
つまり霊的、宗教的力はともかく、経済的、経営的能力については、佐野は高かったわけではない。
よって佐野は宗教団体神世界の経営、運営面、内部においては…ではない。いわば実権なきナンバー2というものであった。
なお、杉本の民事トラブル以降の対応策としては、杉本を他の会社に移させる、各会社に誓約書を書かせて責任を自覚させ、トラブル…防止を…ではないが、神霊鑑定…できなかったことは事実。これは単に発言権が弱かったことを意味するものである。
神世界との決別。
佐野は、「神世界の宗教活動は辞める」と決意し、(有)えんとらんすアカサカを解散し、(有)神世界も退職した。また神世界の教義は、御霊光の絶対的…考えを改めている。
更に被害者はもちろん、当時の活動を信じていた会員の信頼を裏切ったことについても、反省の気持ちを表明している。
今後の生活について。
佐野の性格は非常に真面目であり、収入は神世界の御玉串の他、妻の…に援助等に使っていたくらいで、自己の贅沢に使ったことはなく、日々宗教活動に没頭し、私生活に…もなかった。
佐野は悩みを…あるが、妻である…今後とも神世界活動においては新しい宗教をたてるということもないと…。
更に佐野には前科前歴はない。よって被告佐野には再犯のおそれはない。
●被告人淺原史利について
史利は平成9年頃、妻に誘われ、千手観音教会で御霊光受け始め、長年…たが、痛みがなくなったため、奇跡を確信するようになり、定期的に通うようになった。
平成13年頃、佐野に誘われ、(有)えんとらんすアカサカを…し、後に同社の代表取締役に就任。当初は…規模の会社だった山梨の赤坂台を中心に御霊光の…たが、東京に進出し、品川、永田町、青山等にサロン、取次所を設立した。
平成14年頃、史利および嘉子は佐野から、神様から能力を授かっていると知らされ、神霊鑑定を行うようになった。史利は最初、確信を持っていなかったが、鑑定結果が当たっていたことが判明して以来、自分は神霊鑑定ができるとの確信をもつようになった。
更に佐野から開発講座を行ってほしいと、これを承諾し、講座を開催した。佐野から神様から悩み…一種のインスピレーションを磨くものであり、具体的な…指導…ではない。わからないという人には、フォローアップ講座を行っていた。
なお、神霊能力開発講座にあたって誓約書いるが、これは参加者が…今後…責任自覚…ではない。史利らの責任…。
史利は、被害者Dさんに対する詐欺について、当時スタッフだった証人Cさんに…について、神霊鑑定で出すよう指示した。…発言等にあいまって、自分自身に奇跡を起こす力がないにも関わらず、被害者の子宮筋腫が御祈願によって…ように誤解させて詐欺に及んでいる。
しかしながら史利は御霊光や御祈願による奇跡を当時信じていたにせよ、少なくとも奇跡結果生じれば…よいという…的な偽網錯誤の…は容易に推測できるし、他方、被害者の言動を見ても、御霊光についての信仰心があったことは間違いない。
すなわち被告人は最初から明確な意図や、100万円獲得の動機で詐欺行為に及んだわけではないし、被害者の…についても、神様についての存在と神世界の教義について100%…わけでもない。
史利は被害者Eさんに対する詐欺について、子宮に関する先祖の霊についても、御祈願すれば確実に良くなると奇跡をないにも関わらずあるかのように装い、被害者に誤解させ詐欺に及んでいる。
しかしながら史利は、当時の本来の神霊能力、神霊鑑定に対する宗教的な…から、…積極的に詐欺を働こうとしていたのではなく、自主的な認識であったことは容易に推測できる。
更に史利は神世界の売上重視の指導について、売上を上げることに熱心ではなかった、えんとらんすグループの売上が良くないと佐野から強く言われることもあり、…行為も意欲的…とは言い難いものである。
また、史利は御霊光による奇跡体験や、妻に誘われ神世界およびえんとらんすアカサカに…たのであって、金銭獲得目的で宗教活動を始めたのではない。
訴因変更前は否認していたものの、起訴変更後の起訴事実には自白に転じている。その理由は事実関係がわからないということで詐欺をしたとは思っていなかった、
逮捕後当時の弁護士を通じて、…協力したにも関らず、強制捜査に至ったので、警察に不信感を持っていたことから否認していたが、公判での審議が進行するにつれて事実関係が明確になり、詐欺と言われても仕方がないと思うようになった、佐野が返金を強く主張し、…神様の…信したことから自己の過ちを再認識して自白に至ったものである。すなわち真実を…した贖罪意識を覚醒させたのであり、この…には十分…である。
また被害者らに対し、…100%確実な奇跡を与えるかのような言動で誤信させたことに対し、反省の…のみならず自己の宗教活動全般について…反省深く…。
史利はアカサカの代表取締役の地位にあったものの、えんとらんすグループでは佐野の次に位置したのは嘉子であり、史利の実際の地位は高くなかった。
史利に前科前歴はない。
史利は、神世界の宗教活動をしないと決意し、現実にえんとらんすアカサカを解散し、その清算返金手続きに…。また妻である嘉子も自分が夫を神世界に巻き込んだことについて反省しており、夫婦ともに神世界し、反省謝罪…。
●被告人淺原嘉子について
嘉子は平成9年10月頃、知人の紹介から千手観音教会に通うようになった。
御霊光を受けてお小水が増えたことから継続的に通うことになったが、もともと子供の流産、健康状態という悩みを抱えていたところ、通い続けるうちに体調が良くなっていった。
平成10年頃スタッフとなり、平成13年頃、斉藤から有限会社設立をすすめられ、史利を誘って(有)えんとらんすアカサカを設立した。
佐野が渡米後は、責任者として教会長と呼ばれるようになったが、佐野が復帰したのちはアカサカのナンバー2的な地位にあった。
なお、神霊能力開発講座…えんとらんすアカサカの…。
被害者証人Dさんに対する詐欺については、嘉子は、100万円の御祈願に加担している。100万円という金額が…Dさんが十分理解しているか不安に思っていたが、特に説明せず、御祈願の儀式、つまり祝詞をあげている。…あるが、神霊鑑定師とされていた人物はえんとらんすアカサカでは限られていたのであり、自身を含む詐欺の対象となる…加担していたことについて、少なくとも…は容易に推測できる。
被害者Eさんに対する詐欺については、嘉子は直接の関与はないものの、…行為、…史利の…はあったのであるから、最適な言動による…は明白である。
しかしながら嘉子は、神世界をめぐる指導に少なからず疑問を持っていたのであり、積極的な売上を上げろという…であり、教祖の考えを絶対視する…主義的な神世界の雰囲気の中、会員の自主性を尊重するなど、所謂少数異端的な…。…千手観音教会、神世界…しても、金銭獲得のためでなく、健康等の悩みを解消である救われたい気持ちからであり、御神業の拡大、すなわち宗教的信条から…である。
すなわち嘉子は当初から詐欺を積極的に意図して神世界の活動を始めたわけではなく、売上重視の指導…だったわけである。
嘉子も史利同様に訴因変更前はが変更後は自白に転じている。理由は、史利と同じ。
嘉子は、自己の奇跡体験から、御霊光を絶対であると強く認識していたが、被害者をはじめ奇跡結果をいただいていない人たちを見て、今では御霊光の絶対性、万能性に疑問を持ちはじめ、自分が行っていた活動のどこがあいまいだったか反省を込めているし、被害者に対する贖罪の意を表明している。
今後の生活等について。
嘉子は拘留中に父親を亡くし、本件について非常に親不孝をしたと非常に後悔している。
嘉子の性格は、Dさんが御祈願後に話しこみ、御礼したことや、情状証人の証言からも、温和で、且つはっきりとした人柄の良さがうかがわれるし、売上重視に疑問を持っていたことからもある程度の善意が見て取れる。
今後、神世界の宗教活動から離れて生活をすることを誓っているし、この通り前科前歴もない。よって再犯の恐れはなく、更生の余地は十分あるというべきである。
●総括
以上の通り被告人らは自己の罪を認め、反省し、被害者等に対する謝罪を深め、刑事民事問わず被害弁償を行い、神世界に限らず会社を解体している。
また、各被告人は、それぞれの立場での責任を痛感していると同時に、…教義等についても反省し、…認めている。
更に各被告人は長期にわたる拘留、インターネット掲示板やマスコミ報道により、事実上制裁を十分受けている。
会社の清算を通じた返金…詐欺…被告人らには責任を遂行することが…適している。
よって被告人らには社会的…なすことがふさわしいものであり、執行猶予付きの寛大なる判決を…。
…以下は省略。
以上の、市河弁護人が行った最終陳述については、下記に傍聴者の”わかりやすい”感想がありますので、併せてご覧ください。
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■被告人最終陳述
⇒弁護人から、「被告人の最終陳述の順番は、斉藤被告から行わせてほしい」と裁判長に申し出があり、裁判長はそれを認めた。
■裁判長:被告人は、事件に対して最終的に言いたいことがあれば述べなさい。まず斉藤被告から。
斉藤被告:陳述書をしたためて参りましたので・・
■裁判長:では、読んでください
斉藤被告:最終陳述書。今回の神世界をめぐる組織詐欺としての刑事事件、民事上の損害賠償事件について、被害者の方、一般会員の方、その御家族、関係者の方に対し、誠に申し訳なく思っており、社会的責任として、神世界を解散し、教祖をやめ被害弁償返金等を行っておりますが、もちろんこれだけで、被害を受けた方の心の傷が癒え、失った時間が戻るわけではありません。可能であるならば、被害者一人一人の方に、私はお会いして、心からのお詫びを申し上げたいと思っております。人々に救いを与えることを目的に、千手観音教会、神世界の活動を始めましたが、目的とは逆の結果を持たらした点について、宗教家としては慚愧に堪えず、神様の意思に反することだったと感じております。このような事態になったことは、私自身の傲慢さに起因しますが、宗教活動自体、どんなに善意から始めても、人に不幸をもたらしてしまっては、無意味であること。社会常識と適合しなければいけないこと、過ちについては率直に認めなければならないことについて、深く自戒しなければならないと思います。私はこのような事件を起こしてしまったことを一生忘れず、二度とこのようなことを起こしません。最後に、被害者の方に対し、心より、陳謝します。申し訳ありませんでした。平成24年3月27日。被告人・斉藤亨。
■裁判長:では次に佐野被告前へ。言いたいことがあれば言いなさい。
佐野被告:被害者の方に誠に申し訳なく思っております。私の指導力不足、そして私の言動の愚かさを反省しております。今後は神世界の活動を行いません。本当に申し訳ありませんでした。
■裁判長:では次に淺原史利
史利被告:私の言動により刑事事件の被害者の方みならず、民事事件で被害を受けられた方、裁判外で被害を訴えている方々に、深く反省し、謝罪申し上げたいと思います。大変申し訳ございませんでした。今後は自分の心境としては、私に奇跡を下さった神様を信仰することはあっても、神世界の活動を供にすることはなく、自分を律して、今後はこのようなことが絶対にないようにしていきたいと思っています。被害者の方に誠に申し訳なく、謝罪申し上げます。申し訳ございませんでした。以上です。
■裁判長:では淺原嘉子被告
嘉子被告:大変申し訳ないと思っております。心より反省しております。本当に申し訳ありませんでした。
■裁判長:判決の言い渡しは、5月1日(火)の午後1時30分から行います。
●11:32閉廷
(傍聴者が見た市河弁護人の最終陳述感想)
☆嘘の大前提からのはじまり(無理のある宗教性の主張)
初っ端から、「宗教団体神世界」などという前提を当たり前のように持ち出すなんて、オイオイオイ。あんなに隠してきた「千手観音教会」のことも、宗教団体だったって。あんなに「宗教ではない」と言ってきた事実があるのに、市河弁護人は恥ずかしげもなく「宗教的儀礼的行為を行う宗教であった」と言い切りました。スゲー。姓名鑑定や方位鑑定までもが「宗教的行為」だったなんて、無理ありすぎ。
そして斉藤亨がこの活動を始めたのはそもそも父親のせい、更に父親が入信していた世界救世教のせいなんですって。それにしても28歳、29歳になってもまともな仕事もできずに実家でブラブラしていた亨って、ほんと情けない奴ですね。
亨の書いた1兆円の価値があるという『神書』、内容の半分は亨がテキトーに考えたことにすぎないことや、亨自身、1回しか通読していないことなど、都合の悪いことには一切触れない市河さんでした。
☆不正な税務申告をしていた団体
税務署から調査され、脱税分を修正申告した過去は恥ずべきことだし、税理士のアドバイスのもとで仕方なく有限会社化したのに、色々と偉そうによく言うわ。
金儲けが楽しくなり、人を使うことを思いついた斉藤亨の経営者募集作戦で、しょーもない会社がたくさんできたちゃったのよね。
☆幻聴は統合失調症の症状
神霊能力、神霊鑑定のはじまりなんて、そもそも頭のおかしかった斉藤亨自身の幻聴と、そんな斉藤のそばにいておかしくなっちゃった佐野の幻聴によるもの。佐野の「神がかり状態」なんて、要するに、佐野の頭がおかしくなって暴れながら訳わかんないこと喚いていただけじゃない。低級霊が憑いただけだったんじゃないのー?
そんな弱い佐野を徹底的に利用した斉藤の罪は、精神病を抱えた者同士仕方がないわねぇと許される程度のものではありません。
☆神霊能力も神霊鑑定も、そもそも偽物(だってはじまりは、精神病の症状から)
「本来の神霊能力、神霊鑑定は正しいし、神様は正しいけれど、今回問題になっている神霊鑑定師たちが悪かっただけである」という理論も、神霊能力開発講座についての弁解も、グダグダ長いだけで、全く無意味です。
☆嘘つきは神世界のはじまり
宗教ではないと言ってきたことに対する言い訳、あたかも検察がおかしな指摘をしているかのような言いぶりには、呆れてものが言えません。看板を偽って、最初から人を二重に騙しておきながらよく言うわ!そんな騙しが通用するなら、暴力団が麻薬を「健康になるサプリメントです」とか言って売れることになるでしょうが。
「超宗教」なんて言葉は、公判で初めて聞きましたからね。極めつけは、「でも、中に入ったら宗教だってわかったはずだ」って。どこまで失礼な奴らなんだ。「体に入れているうちに麻薬だってわかったはずだ」って言ってるのと同じことだー!(怒)
☆幹部が贅沢をし、栄耀栄華することが目的だった神世界
売上重視だった事実は弁解のしようがないから認め、私利私欲のためだけの贅沢三昧については「誤解されるような行為」と苦し紛れの弁解。ブランド品購入も御神業のためって、笑っちゃいます。奇跡だ救いだとか綺麗事並べても、私利私欲のためだったことがバレちゃった「今の結果が全て」なんだから、もう諦めなさい。
☆平成17年の杉本の民事トラブル
以前、杉本が民事トラブルを起こした後に適切な対応ができなかったことまでも、さりげなく当時の弁護士のせいにしちゃうとはお見事。神世界は、子会社であった杉本の会社から法外な額のロイヤリティを吸い上げておいて、そのやり方に一切口出せなかったなんて、都合のいい言い訳。
あのときもっとはやく反省していれば、こんなことにならなかったのにね。
☆被害回復はごく一部でしかない
示談と被害金支払いは、これまでさんざん無回答で引き延ばし続けてきた被告側が、最近になって慌てて交渉してきたもの。市河さんの血迷った一連の行動は記憶に新しいところですね。何言っているのかわからないような小声で早口で陳述読み上げているくせに、「慰謝料」のところだけは随分大きな声で強調しましたけど、全員に払ってないでしょ、慰謝料。それに、慰謝料が支払われたといっても原告の方々の苦しみは、そんなちっぽけな金額で回復できるものではありません。
被害者に支払った合計金額が大きいようにみえても、それは神世界が荒稼ぎした分のほんの僅かな一部に過ぎません。どうせなら、過去の決算書を公表してからモノを言え。あ、売上過小申告して隠し財産もあることだし、そもそも決算書自体、信頼できないものでしたか。おーい、経理担当者、反論してみろ。
☆軽いノリ、”Kaisan”
会社を”Kaisan”したからといって、反省しているなど、全く説得力なしです。そんなことで、「再犯のおそれは全くない」と自信たっぷりに言われましても。
☆お粗末な個別情状
●人間的に心の弱い教祖様
斉藤亨は、最初から起訴事実を認めて自白した、ってそれ、ただ単に拘留に耐えられなくて、根を上げただけなんじゃないの?集団生活に耐えられなくて学校を中退したように。逮捕状出て逃げまわったことについては、すっかりスルーかい!
キチガイの幻覚が、多くの人を巻き込んで迷惑をかけたことを反省するでもなく、他の宗教団体に責任を押し付けたり、はじまりが善意であったかのようなこと言って誤魔化すなよ〜。死者まで出したことに対して、なんでだろう〜?で済ませるのかよ〜。
そして一番ウケたのは、「(亨の)人間の心の弱さだったんだから、仕方ないじゃない、理解してよ」ってところ。本当に吹き出してしまった。教祖様なのに?神様と同じ魂をお持ちのお方なのに?こんな人間的に心の弱い、しょぼいおっさんが、よくもまあ、「人類は私を通してのみ、救われるのである」と言い切っていたもんだ。昨年(平成23年)11月1日発行の神世界新聞をご覧くださいな。「『創造者の方』に、何があってもついていきます」と心に決めた人は、今どうしてるの?そういった会員の心のケアは、この先、誰がどうしてあげるの?
結局被害者には返金したんからもうオッケーでしょ、っていうのは、万引きが見つかったあとで、ちゃんと返したんだからいいでしょ、と主張することと同じ。ふてぶてしいにも程があります。
そんなバカ息子の行いを、父親として本当に申し訳なく思うのなら、這ってでも出てこい、じいさん。病院での治療を否定し、死者を出しておきながら、自分は去年から入院してまだそこにいるんですか。ウドの大木のようなとっつあん坊やの監督や更生指導など、あなたに出来る筈などないです。
●情けないナンバー2
佐野のことは、決して庇うわけではありませんが、なんだか気の毒な、哀れな男だなーと思いました。一番斉藤にいいように利用されて…。異常な環境下でこき使われているうちに実子が障害児になったら、そりゃ頭おかしくもなるわ。ヨメさん選びも間違っちゃったしね、2回も。
ひどい仕打ちの見返りにもらった立派な肩書きを掲げて、あんなに自分の優秀さを強調していたのに、弁護人からは「経営者としての能力なし」って言われちゃってますよ。「実権なきナンバー2」って。「霊的には高かった」ってフォローは、お願いして言ってもらったの?そこにはまだこだわるのねえ。
佐野が代表していたえんとらんすグループの売上は、「他の会社と比較して高いものではなかった」そうですが、それは「えんとらんすより高い売上を上げていた会社の経営者のほうが罪は重いんです」ってことね、市河さん。それはつまり、びびっととみろくのことで、オッケー?
ついでに、心の弱い佐野の幻聴から始まったに過ぎない神霊能力に対して、未だに自信を持っている小塚麻衣子って、なんだかなー。
●何でも人のせいにするえんとらんすの代表者たち
佐野も史利も嘉子も、完全否認から一転して自白に転じた経緯と理由は全て人のせいですか。当時の弁護士から反対されていたから、逮捕も起訴もないと言われていたから、警察に騙されたから不信感をいだいてしまったから、云々。
佐野は、神様からの言葉よりも斉藤亨と弁護士の言うことをきいたのよね?そんな会主様を、天野先生や教会長は、妻りらと、栗山は一体どう思っていたのか、そこのところ、どーなのよ。
ああ、だんだんアホらしくなってきました。
●代表取締役、天野先生
史利が行った被害者に対しての言動と、利用した元スタッフに対しての言動とその言い訳は、バカバカしくて、脱力。天野先生、そんな弁護(じゃなくて弁解だ)してもらって、自分で聞いていて恥ずかしくないの?
被害者DさんとEさんに、ちゃんと謝罪したのですか?せめて刑事事件のこのお二方のところへは、直接出向いて頭下げる必要あるんじゃないのー?まだ収監されるまでに時間はありますよ。
あれ程スタッフやお客様に偉そうなことを上から目線で言っていたくせに、このザマは何だ。
そうそう、肝心な罪を認めないのは、そこを認めると罪がもっと重くなるとわかっているからよね。
平成17年に杉本が起こした民事トラブルをきっかけに、神霊鑑定はやっぱりマズイと本気で気付いたものの、荒稼ぎできる絶好の手段を捨てるわけにはいかず、「そうだ、経営者が直接訴えられないようにさえすればいいんだ、そうだ、使い捨てのスタッフを使おう!スタッフに責任をなすりつけられるようにしよう!」ということになって、証人Cを騙して利用し、被害者Dさんに金額だけ伝えさせるように思いついたんですよね。その時は、うまいこと思いついた!とでも思ってたんでしょうねえー。まあ、これだと普通、被害者Dさんは「100万円支払ったのは、証人Cからそう言われたからです」と答えますものね。そして、「被害者に金を出せと言ったのは、従業員であって、私たちではない、私たちは知らない、責任は従業員にある」とすっとぼけられますものね。
市河弁護人はそんな史利のことを、妻・嘉子に誘われて入った、とか、アカサカの代表取締役の地位にあったものの地位は嘉子の方が高かった、とか、しょーもない言い訳で庇うことしかできないのですか。
●大神霊教会教会長、経営者橘先生
では、地位の高かった嘉子に責任を負わせるのかというと、今度は、「嘉子はアカサカのナンバー2だった」と逃げるんですよね。あれ?アカサカのナンバー1は誰?そうか、「実権なきナンバー2」の会主様ね。じゃあ、アカサカの責任者は、一体だあ〜れ?市河さん、論理が破綻してますよー。
嘉子は「教会長」というお姫様の座を守ることに必死で、戦略なきヒステリックな売上指導でスタッフをこき使い、スタッフやお客様を捕まえては「あの人は精神病」というのが大得意でした。他人の自主性を尊重?笑わせないでほしい。だいたい、被害者Eさんのこと、「面識ない」なんて言っているけど、嘘。さんざん私に悪口を言っていました。「○○(Eさんの職業)の人って、自分が女の子ってところだけで勝負しようとしている。ニコニコ笑顔でさえいればいいって考えなのよ。Cさんもそうですからね、私にはわかるのよ。○○の仕事の人って、みんなそういうところがあって甘い。ここは厳しいですからね、私はそんな甘えはないですからね。そんなことでは神様救ってくれませんよ」って。で、そんな嘉子は今どれだけ自分に厳しいのでしょう?
御霊光の絶対性について、公判できちんと語れないで何が「大神霊教会教会長」で「経営者」なのですか。
他人の人生やその家族をさんざん貶めてきた彼女の父親の死を情状に出されたところで、何も響きません。
温和で人柄が良いなら、何故彼女を恨む元スタッフやお客様が多数存在するのでしょう。あの性格を叩きなおすためには、更生施設に入れることが適切です。それにしても、元スタッフだった彼女の実姉は、何故情状証人として出てこなかったのでしょうね。
こんな被告人らに、寛大なる執行猶予付きの判決など、有り得ません。
公判を傍聴できなかった被害者の方々、これが実態です。
「被告人らは心から反省しており、再犯の可能性はない」と主張する弁護人の意見は正しいと思われますか?
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9 斉藤亨、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第9回公判
(斉藤亨の公判としては、第6回公判)
(TV TOKYO ニュースより)
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1 日時:平成24年5月1日(火)
午前1時30分〜2時00分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨
6 裁判長 朝山芳史
裁判官 奥山 豪
裁判官 山本美緒
7 検事:野呂裕子検事、波多野博昭検事
8 被告弁護人:尾崎幸廣弁護士、市河真吾弁護士
■■■■■■■冨田秀実弁護士
9 内容:判決言い渡し
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傍聴希望者
2011年9月22日に始まった佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3被告の裁判、そして2011年12月6日に始まった斉藤亨被告の裁判は、2012年5月1日(火)、判決を迎えることになった。初公判から7カ月余りという比較的速い時間で判決となったのは、被告全員が公判途中で起訴事実を全面的に認めたためである。
神世界事件は宗教事犯ではないが、いわゆる”宗教がらみ”の詐欺事件としては、教祖が詐欺を認めたのは前代未聞の出来事であり、その点でも注目を集めた。
教祖が詐欺を認めた”歴史的”裁判の判決とあって、この日の傍聴希望者はこれまで最高であった第7回公判の213名を大きく超える306名の傍聴希望者が列を作った。地裁側も再三にわたる被害者側からの申し入れに応えて、この日の判決公判は横浜地裁で最も大きな法廷である101号法廷で行われた。
しかし一般傍聴席の数は61席であり、245名は傍聴できなかった。アメリカのように注目される裁判はテレビ中継するなどの改革を日本でも行ってほしいと感じた。
当選率19.9%の狭き門であったが、私(fujiya)は自力で当選することができ、無事傍聴席に入ることができた。しかし、私の横の席は最初から最後まで空いており、当選したにも係わらず入廷させてもらえなかった”信者”が今回もいたようだ。
盗撮者
すでに掲示板で明らかにされているが、この日の横浜地裁には、被害者側の動向をスマホで撮影していた”信者”がいた。
その女は地裁の外でも撮影していた可能性があるが、なんと撮影が禁止されている地裁のロビー内でも被害者を撮影していた。女は30代半ば位の一見おとなしそうなボブヘアの女だった。女はあごの下、胸の上あたりにスマホを立てて固定しながら少しずつ体の向きを変えながらロビー内を撮影していた。時折、立てたスマホの内側をチラっと確認しながら撮影を続けているのを、ある被害者が気づいた。
被害者が気付いた時は、ちょうど私(fujiya)が、他の被害者の方と話をしているところを狙って撮影していたようだ。この日は県警の刑事も多数ロビー内にいたが、女は今後の参考にするためか、刑事の姿も撮っていたようだ。
盗撮であることに気づいた被害者は、2メートルほど離れた場所から女に向かって、「あれーっ、ムービー撮ってる奴がいる〜。いいのかなあ〜」と大きな声で警告したが、女は一瞬顔色を変えただけでスマホ撮影はそのまま続けていた。そこで被害者は、ちょうど近くにいた裁判所職員に、「裁判所内で携帯電話のカメラで盗撮している人がいます。この人です」と女を指さして言った。すると女は、「違います」とだけ言って、すぐにその場から逃げ去った。もし盗撮していたのでないなら逃げる必要などなく、堂々と反論し抗議をするであろうが、女は何らの抗議もせずに逃げ去った。
女に撮影を指示したのは誰なのか?
13時30分開廷
■裁判長:開廷します。被告人4人は前へ。
判決を受けるために法廷に立つ4被告(イメージ)
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⇒斉藤、佐野、史利、嘉子の4被告が被告人席から立ち上がり、証言台の手前に横一列に並んだ。4名の服装はダーク系スーツを着用していた。
■裁判長:それでは、被告人斉藤亨、被告人佐野孝、被告人淺原史利、被告人淺原嘉子に対する組織的な犯罪の処罰に関する法律違反について判決を言い渡す。
主文は後で読み、理由を先に述べる。まず裁判所が認定した犯罪事実。
●犯罪事実
被告人斉藤亨は(有)神世界を統括しており、同社並びにその傘下法人である(有)E2、及びえんとらんすアカサカ等で構成される神世界グループ全般を統括する立場にあった。
被告人佐野孝は、上記えんとらんすアカサカ他二法人で構成されるえんとらんすアカサカの業務全般を統括していたものである。
被告人淺原史利(以下被告人史利という)、同じく被告人淺原嘉子(以下被告人嘉子という)は、上記えんとらんすアカサカの代表取締役として、同社の業務全般を統括するとともに、神霊能力を有する神霊鑑定士として、神霊鑑定及び祈願等を行っていたものである。
神世界グループは、神霊鑑定士が顧客の疾病や悩み事の原因を的確に特定した上、祈願等の方法により、その悩み事確実に解決する能力等ないのにこれをあるようい装い、顧客から祈願料等の名目で、金員を詐取することを共同の目的とする多数の継続的結合体であって、被告人斉藤の指示に基づき、顧客に対して神霊鑑定及び祈願の実施などの任務を分担し、組織により祈願料などの名目で金員を詐取する活動を反復していた団体である。
第1
被告人斉藤は、神霊鑑定士と称して神霊鑑定及び祈願等を実施していた杉本明枝こと吉田明枝らと共謀の上、会社の経営不振などを相談してきたE2の顧客・被害者F他2名から金員を詐取しようと企て、別紙犯罪事実一覧表に記載の通り平成16年4月15日頃から平成17年12月3日頃までの間、前後13回にわたり東京都港区赤坂8丁目所在のE2の店舗他4箇所に於いて上記被害者F他2名に対し、真実は吉田(杉本)には顧客の経営不振や疾病の原因等を特定する能力などないのにこれがあるように装い、「呪縛霊及び先祖の霊が経営不振の悩み事の原因である。祈願等を受ければその悩み事が解決できる」と嘘を言うなどし、上記被害者Fらを誤信させ、平成16年5月19日頃から平成17年12月11日頃の間、前後7回にわたり、上記E2の店舗他1箇所に於いて、被害者F等他2名から祈願料などの名目で1190万円の交付を受けた。
第2
被告人4名は、共謀の上、子宮筋腫に悩んでいたえんとらんすアカサカの顧客・被害者D他1名から金員を詐取しようと企て、別紙犯罪事実一覧表に記載のとおり、平成18年5月21日頃から同年7月30日頃までの間、前後4回にわたり東京都港区港南2丁目所在のストーリア品川2801号室の同社店舗他2箇所において、真実は被告人史利らには顧客の疾病等の悩み事の原因を的確に特定した上、祈願等の方法によりその悩み事を確実に解決する能力などないのにこれがあるように装い、上記被害者D他1名に対し、薬の毒素が子宮筋腫の原因であり100万円の祈願をすれば子宮筋腫が治癒すると嘘を言うなどし、上記被害者Dらを誤信させ、それぞれ平成18年5月29日頃から同年9月19日頃の間、前後3回にわたって東京都千代田区永田町1丁目所在のプレデンシャルタワーレジデンス3705号室の同社店舗他1箇所において被害者D他1名から祈願料の名目で現金合計150万円の交付を受け、それぞれ団体の活動として詐欺の罪に当たる行為を執行した。
別紙犯罪事実一覧表については朗読を省略する。事実は概ね検察官が起訴状に記載した起訴事実の通りであるが、一部の犯行については包括して一罪とする。
以上の事実について相当法令を適用し、被告人等の行為について判決を言い渡すが、まず量刑の内容について述べる。
本件は顧客から祈願料などの名目で金員を詐取することを目的とする(有)神世界の最高責任者であった被告人斉藤が、傘下法人であるE2の経営者であった杉本等と共謀の上、被害者3名に対し、祈願等をすれば悩み事が解決する等と嘘を言って現金合計1190万円を詐取し、被告人斉藤は(有)神世界傘下法人である(有)えんとらんすアカサカの業務を統括していた被告人佐野、同社の取締役であった被告人史利及び被告人嘉子が、共謀の上上記と同じ手口で被害者2名から現金を詐取した組織的詐欺である。
神世界グループは、(有)神世界を頂点とし、その傘下にえんとらんすアカサカ、E2などの多数の法人を有し、登記上は占いによる運勢・姓名などの鑑定を目的とする営利団体の集合団体であるが、実際には被告人斉藤の指示の下、一種の宗教活動を行っていた。神世界グループに於いては、「教主」と呼ばれていた被告人斉藤が著した「神書」なる本が行動規範とされており、同書に於いては、神様から発する御霊光には現代医学では不治、あるいは難病を治癒する能力があり、神様に労力や金を提供して神様と取り引きをすることにより奇跡が実現するなどと謳っていた。
えんとらんすアカサカやE2などの傘下法人は、(有)神世界との間で業務提携契約を締結しており、御霊光の取り次ぎや神霊鑑定などの売上げの内、時期によって変遷はあるものの、50%ないし30%を売上金として(有)神世界に上納していた。
神世界グループに於いては、従来御霊光の取り次ぎを主力商品としていたが、被告人斉藤はこれに加え、神霊鑑定により顧客から多額の金員を獲得する方法を考案し、被告人佐野を神霊鑑定士としたのを手始めに、傘下法人の経営者らを次々と神霊鑑定士に仕立てて神霊鑑定を行わせ、売り上げを飛躍的に増大させた。
中でもえんとらんすアカサカに於いては、被告人佐野や被告人史利が講師となって他の傘下法人の経営者らを対象に「神霊能力開発講座」を開講し、同講座を受講すれば神霊能力が取得できると標榜していた。
神世界グループによる詐欺の典型的手口は、担当従業員が宗教色を隠蔽しつつ「ヒーリングを受けてみないか」などと言って、主として30代から40代の女性を勧誘して顧客を獲得し、サロンと称する店舗に於いて、比較的安価な御霊光の取り次ぎを繰り返し受けさせるとともに、「フォロー」と称する対話などにより、御霊光にはあらゆる病気を治癒して運気を好転させる力がある、御霊光を受け続けなければ大変まずいことが起きる等と信じ込ませた上、神霊鑑定士による神霊鑑定や御祈願を受ければ疾病や経営不振などの悩み事の原因を特定してこれを解決ることができる等と言って高額な神霊鑑定や御祈願へと誘導した。「御玉串」と称して多額の現金を交付させるというものであった。
本件各犯行は、概ね被告の利益に沿って行われており、被害者の健康等に関する悩み等につけ込んで多額の現金を詐取した巧妙かつ悪質な内容のものであり、先に述べた通りの組織的犯行の一環として行われたものである。
被害者は長年にわたって積み上げてきた貯金を取り崩したり、借金をしたりして工面した現金を騙し取られた上、解決するとされていた悩みは解決せず、御祈願等の他に解決手段はないと言われていたため治療が遅れて苦しめられた他、ヒーリングサロンに加入したことにより友人を失うなど、???、精神的・肉体的苦痛を被っており、被害結果は重大である。
次に、被告人らの個別の犯情を見ると、被告人斉藤は神世界グループの最高責任者であり、教主として絶対的な地位を占めていたものであり、神書を著してグループの行動規範を定めると共に、グループの組織を形成し、御霊光の取次から神霊鑑定、御祈願といった詐欺のシステムを考案し、これを構築し、その上で被告人斉藤は祭典や会議などの機会に、傘下法人の各経営者に対し、「御神業のためには金と人が必要である」などと述べ、上記システムに乗っ取って神霊鑑定や御祈願を行い、顧客を獲得し売り上げを到達することを至上命題として掲げると共に、売り上げの低い傘下法人を他の傘下法人に吸収させるなどして、各経営者間の熾烈な競争を煽っていった。
また被告人斉藤は、傘下法人からロイヤリティとして、有限会社神世界に上納させた売上金の相当部分を自己の報酬として巨額の利得を得ていた。その上、高級ブランド品などの贅沢品の購入などにこれを充てている。
更に被告人斉藤は、公判廷において事実関係を認めたものの、「神霊鑑定を正確にできない者が神霊鑑定をすることを阻止しなかった点に問題があった」などと不正行為を助長していなかったかのような供述をしており、自己の責任の所在を曖昧にしている。
次に、被告人佐野は、えんとらんすグループの業務を統括していたほか、神世界グループの初代の神霊鑑定士と称し、神霊能力開発講座を開講するなどして、他の者を神霊鑑定士として養成する活動にも従事しており、神世界グループの中でも被告人斉藤に次ぐ最高幹部の一人であった。
また被告人佐野は、被告人斉藤の指示のもと、えんとらんすグループ内部においては被告人嘉子および被告人史利を厳しく叱咤することによって、売り上げを上げさせていた。
更に被告人佐野はえんとらんすグループの売上金の中から高額の報酬を受け取り、相当な利得を得ていた。
被告人佐野は、公判廷においても当初は本件各犯行を否認しており、組織的詐欺の事実を認めた後に「説明不足により説明が不十分となり、誤解が生じた」と弁解するなど、反省の態度は十分であるとは言い難い。
被告人史利は、えんとらんすグループにおいて被告人佐野および被告人嘉子に次ぐ枢要な地位を占め、神世界グループにおいては、被告人佐野の指示のもと、神霊能力開発講座の講師を担当するなどして、神霊鑑定士の養成に携わったほか、本件各犯行においても欺罔行為を担当するなど重要な役割を果たしている。また、被告人史利は、えんとらんすグループの売上金の中から相当額の利得を得ていた。
被告人史利は、公判廷においても当初は本件各犯行を否認し、組織的詐欺の事実を認めたのちも、各犯行について「自己の言動が各被害者の誤解を招いた」などと弁解しており、反省の態度が十分であるとは言い難い。
次に被告人嘉子は神世界グループにおいて枢要な役割を果たしており、えんとらんすアカサカにおいては教会長として被告人佐野に次ぐ高い位置を占め、神霊鑑定士として高額の御祈願を担当しており、本件の一部の犯行において御祈願を行うなど重要な役割を果たしていた。
また被告人嘉子も、被告人史利と同様、相当額の利得を得ている。
被告人嘉子は、公判廷においても当初は本件各犯行を否認し、組織的詐欺の事実を認めたのちも、「人を集めることがメインで売り上げには固執していなかった」と述べるなど、自己の責任の軽減を図るような供述をしており、反省の態度は必ずしも十分ではない。
他方で、神世界グループは本件各被害者を含め、民事訴訟を提起した民事訴訟原告のほか、民事訴訟を提起していない者を含む被害者等の間で和解が成立した上、本件各被害者を含む大部分の被害者に対する和解金の支払いを終えており、被害者の損害は相当程度補填されている。
また、有限会社神世界および傘下の会社は全て解散しており、被告人らが再び同種の犯行に及ぶ可能性は低い。
これらの点は、被告人らの刑事責任を論ずる上で十分考慮すべき事情であると言える。
また、被告人佐野、同じく史利、及び同じく嘉子の神世界グループ内での役割はともかく、これら3名の被告人が関わったえんとらんすアカサカにおける本件各犯行は、財産的には合計150万円の被害を引き起こしたに留まっており、それ自体、重大視すべきものとは言えない。
更に被告人佐野は、平成17年頃から被告人斉藤に対し、神霊鑑定の中止および被害者に対する返金を進言しており、本件各被害者等との間で和解が成立したことについて一定の貢献をしたことが認められる。この点は被告人佐野の刑事責任を考慮するうえで見過ごすことはできない。
それに対し被告人斉藤は、神世界グループにおける唯一の意思決定者であったのであるから、被告人佐野から進言を受けた時点で、これを受けて神霊鑑定の中止などを指示しうる立場にあったにも関わらず、これを言えなかったばかりか、更なる売上の増加を指示するなどして本件各犯行に至っており、この点においても強い批判は免れない。
その他被告人4名が何れも被害者等に対する謝罪の弁を述べ、今後は神世界はもとより、宗教活動を一切行わないと述べていることや、前科前歴がないなどの汲むべき事情が認められる。
以上の検討をもとに、各被告人に対し、事件に対する判決を言い渡す。
被告人斉藤については、先に述べた通り、神世界グループの最高責任者として、組織を形成する上での役割、本件各犯行に対する指示、一連の犯行による利得など、いずれの点をとってもその責任は極めて重い。先に述べた被告人のために汲むべき事情を最大限考慮しても、到底刑の執行を猶予すべきではなく、主文の実刑を免れないと判断した。
被告人佐野、同じく史利、および同じく嘉子については、先に述べた通りそれぞれ神世界グループにおける地位、えんとらんすアカサカにおける本件各犯行に果たした役割を見ると、被告人佐野の責任は相当に重く、被告人史利、および被告人嘉子の各責任もそれなりに重いと言わざるを得ないが、先に述べたような被告人らのために汲むべき事情を考慮すると、それぞれ主文の刑を執行した上、今回に限り、いずれもその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
●主文
■裁判長:それでは主文を読み上げる。
被告人斉藤亨を懲役5年に、
被告人佐野孝を懲役3年に、
被告人淺原史利を懲役2年6月に、
被告人淺原嘉子を懲役2年6月に処する
被告人4名に対し、各未決勾留日数中いずれも90日をそれぞれの刑に参入する。
この裁判が確定した日から、被告人佐野孝に対して5年間、被告人淺原史利に対して4年間、被告人淺原嘉子に対して4年間それぞれその刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人佐野孝、被告人淺原史利、被告人淺原嘉子が連帯して支払え。
以上。
⇒朝山裁判長は、再度主文を読み上げ、4名の被告に、「分かりましたか?」と尋ねた。それに対し、4被告は小さく頷いた。
■裁判長:判決に対して不服があれば控訴の申し立てをすることができる。控訴する場合は、今日から15日以内に東京高等裁判所宛に控訴の申立書を書いて提出するように。
13時50分閉廷
この後、傍聴者は追い立てられるように外へ出されたが、退出が最後の方になった傍聴者が見たのは、ハンカチを取り出して涙をぬぐう斉藤亨被告の姿だった。斉藤被告は裁判長に一例した後、ポケットからハンカチを取り出して涙を拭いていたが、被告人席に着席した後もメソメソと泣いているように見えた。執行猶予付き判決を期待していた斉藤としては、実刑判決を下されたことがよほどショックだったのだろう。被害者に返金し、組織を解散し、なんとしてでも鉄格子の中に入りたくなかった斉藤だが、被害者に一言の謝罪もせずに済むと思ったこと自体が、余りにも浅はかであったことを、どの程度斉藤は思い知ったのだろうか。
斉藤には実刑判決が下されたが、他の被告に下されたのは執行猶予付き判決であった。被害者の中には彼らに執行猶予付き判決が下されたことに怒りを募らせ、「淺原!絶対に許さないからな!」と被告席に向かって叫んだ人もいた。
判決公判を傍聴した被害者の声
今回、被告4人は法廷の前方から傍聴席を一望する形で入廷した。
被害者の顔を確認したお気持ちは如何なものか、努めて表情に出さないようにしていたが、舞台の上から客を見下ろしていた頃とはまるで違う心持ちであったことは言うまでもないだろう。
前泊の荷物なのか、詐欺師の七つ道具か知らないが、淺原が風呂敷包みを抱えて入廷する姿は緊張感に欠くものであった。
控え室に置いてくるか、お付きに預けてくればいいものを、自ら荷物を運ぶその姿は哀れなものだ。
昔はお付きに持たせていたが、今更、気遣ってくれる者はいないというか、そこまで気づける人材はいないということか。
閉鎖したえんとらんすの入り口に張ってある手書きの紙にも笑ったが、まったく陳腐な人々である。とても180億以上の売り上げを得ていた会社のやることとは思えない。それくらい幹部一族と現場の人間の認識はかけ離れている。
裁判長から「被告人、前へ」と言われて4人が起立し、横並びに並んだが、斉藤が少し前に立ち、微妙に佐野も淺原夫妻より前に立っていたように見えた。淺原の意識がそうさせたのかもしれないが、公判中、自分より立場が上であるはずの嘉子に敬意を示す姿はまるでなく、嘉子もいつも小さくしていた。教会長なんて虚構の立場でしかないことが分かる。
一般現役客こそ、この現実を見るべきだと思うが、一般現役客を傍聴させない幹部のやり方は、汚いの一言に尽きる。
判決を言い渡される前、淺原が髪をかき上げるしぐさをしたことを見逃がさなかった。
まったく無礼な男である。4人の中で一番覚悟をしていたように見えるのは佐野だが、執行猶予になったことで心底ホッとしたことだろう。
本当に反省しているというのならば、それに見合う行動をとるべきである。
ロビーの隅から隅まで埋め尽くすくらいの傍聴希望者が並んだが、果たして、新たに真実に目を向けられる人はいるのだろうか。
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弁護団記者会見
横浜港開港記念館
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判決後に、神世界被害対策弁護団による記者会見が地裁近くの横浜港開港記念館で行われた。マスコミ各社の関心は高く、テレビカメラが7〜8台、記者も数十名、被害者も複数名が参加して1時間以上にわたって記者会見が行われた。
弁護団長の紀藤正樹弁護士は、「今回の裁判で検察は”詐欺”という金銭被害に力を入れて立証したが、組織の活動実態の立証が足りない。個々の被告等が組織内で行ってきたことを見れば、人を人とも思わない上下関係、威圧的なものがきちんと立証されていない。普通の詐欺と同じように金銭的な被害にのみ目が向けられた結果、刑罰が限定された。被告等が、”自分たちがやったことが間違いであった”と言うためには、この団体の属性自体が間違いだったというところまで踏み込んで反省し言及しなければ本当の意味での反省とは言えない。本当の意味での反省がなければ、被告等はまた同じようなことを繰り返すことになる。
彼らの活動は今でも活発に続けられている。彼らの教祖が詐欺で立件されているにも係わらず、未だに”誤解である”とか、”被害者の一部が被害を訴えたことによって関係者が逮捕された”など、被害者に責任転嫁するような言動をして今でも活動を続けている。こうした言動を見ていると、現在は教祖の実刑を阻止し、できるだけ軽い刑罰にするために自制的な活動に抑え、表向き反省しているように装っているだけであると言える。彼らにはこれまでの組織的な活動が間違いであったという根本的認識がない。これまでやってきたことの何が間違いだったのかという検証を彼ら自身が行い、間違いの根源を彼ら自身が気づかない限り、彼らはまた同じ過ちを繰り返すことになる。(以上、要約)」と述べた。(記者会見の動画はこちらです。)
続いて下記の声明を、事務局長の荻上守生弁護士が読み上げた。
神世界による組織的詐欺事件の判決に関する声明
平成24年5月1日
横浜市開港記念会館にて行われた記者会見(2012年5月1日)
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東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
TEL 03-3515-6681
FAX 03-3515-6682
神世界被害対策弁護団
団 長 弁護士 紀 藤 正 樹
事務局長 弁護士 荻 上 守 生
外28名
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当弁護団は、斉藤亨を頂点とする神世界グループによる組織的詐欺事件の被害者らの被害回復等を目的として結成された弁護団です。
本日午後1時30分、横浜地方裁判所第101号法廷において、神世界の教祖である斉藤亨及び神世界傘下のえんとらんすグループのトップで会主という立場にある佐野孝他幹部2名に対する組織的詐欺被告事件の判決宣告期日が開かれ、斉藤亨被告人に対し懲役5年の実刑、佐野孝被告人に対し懲役3年執行猶予5年の刑、幹部である淺原夫妻に対しては懲役2年6月執行猶予4年の刑がそれぞれ言い渡されました。
この判決は、教祖の指示で宗教行為に仮託してなされた金銭収奪行為が組織的詐欺行為にあたることを認定したものであり、この点は統一協会(世界基督教統一神霊協会)に代表されるいわゆる霊感商法による被害が絶えない中、画期的な意義を有するものと評価できます。また本件は、宗教団体の教祖が、宗教活動について詐欺にあたることを認めた、わが国における戦後の宗教史上初の事件であると思われます。
被害者の悲痛な叫びに真摯に耳を傾け、慎重かつ粘り強く捜査を継続され、教祖斉藤亨をはじめとする幹部らの組織的詐欺による有罪判決を得るまでにご尽力された捜査機関の方々には、改めて敬意を表します。
もっとも、今回の判決の量刑は、被害実態に比べれば軽過ぎると言わざるを得ず、この点は容認できません。当弁護団は、検察官に対しては、速やかに控訴するよう求めるとともに、控訴審では、すべての被告人に対して本日言い渡された刑を上回る実刑判決が宣告されるべきであると考えます。
以下、その理由を述べます。
1 本件は、神世界グループの幹部である被告人らが、「癒し」、あるいは、「ヒーリング」という耳当たりのいい宣伝文句により一般市民を「ヒーリングサロン」などと称する活動拠点に勧誘し、真実は宗教団体である神世界の資金獲得を目的としているにもかかわらず、その目的及び宗教団体であることを殊更に隠し、被害者の抱える悩みや問題の原因が、体に溜まっている毒素や先祖の因縁であって、御霊光・御祈願をしなければ悩みや問題が解決しないなどと虚偽の事実を断定的に述べて、被害者らの不安感・恐怖感を煽り、御祈願や御礼など様々な名目で多額の金銭を騙し取っていたという事案です。その被害者は多数に上り、被害金額は、現在判明しているだけでも合計約180億円という巨額のものとなっています。
神世界の教祖である斉藤亨やえんとらんすグループのトップであり会主と呼ばれていた佐野孝の責任が極めて重大であることは当然ですが、淺原史利も淺原嘉子も、それぞれ有限会社えんとらんすアカサカの代表取締役や取締役、えんとらんすグループ内でNo.2の「教会長」などとして、極めて重要な役割を担っていた者であり、とりわけ淺原史利は、本件の被害者に対して直接、その悩みにつけ込んで虚偽の事実を述べ、高額な金員を支払わせた者ですから、その責任もやはり重大です。
2 これに対し、横浜地裁は、神世界グループが解散を宣言し、会社を清算中であり再犯可能性が低いこと、一部の被害者との間で示談が成立していること、刑事事件の被害者以外の被害者にも被害弁償をしていること、立件された被害金額が高額ではないこと等を被告人らに有利な事情として挙げ、検察官の求刑に比べて格段に軽い、上記内容の刑を言い渡しました。
しかしながら、神世界グループが解散を宣言し、傘下の各会社も清算中と称しているとはいえ、被告人らの供述内容や被告人らの公判傍聴に動員されている信者の態度、同グループ内の一部の会社が解散発表前に相次いで商号変更をしていた事実等からすると、同グループは従前どおりの活動の継続を志向していることが窺われ、再犯のおそれは極めて大きいと言わざるを得ません。そもそも、業務として組織的詐欺行為に及んでいた法人組織を解散するのは当然であって、これを被告人に有利な事情として斟酌するべきではありません。
また、約6億円の被害弁償が実現し、今後も約9300万円の被害弁償が見込まれているとはいえ、少なくとも180億円を超える被害全体と比較すれば、これらの合計額は4%にも満たないものです。大半の被害について被害弁償が実現していないのですから、組織的詐欺による違法収益はいまだ被告人らの懐に留まっているものと評価するべきです。
さらに、神世界グループによる活動は、単に経済的被害をもたらしただけでなく、適切な医療を受ける機会をも失わせるものであり、その前身である千手観音教会の頃から明らかになっているだけでも幼児2名、成人2名の尊い命が失われ、佐野孝の実子で斉藤亨の養子に重度の後遺障害を残すなど、人の生命、身体への重大な侵害をも伴い、人生そのものを狂わせてしまうものでした。その手口も、藁にもすがりたいほどの悩みを抱えた被害者に対して宗教性を秘匿して言葉巧みに近づき、その悩みにつけ込み利用していたもので極めて悪質です。
これらの事情からすれば、会社の解散や被害弁償、立件された金額が高額ではないことを理由に、被告人らの刑事責任が軽減されるべきではないことは明らかです。このような極めて悪質な組織的詐欺事件において、組織的詐欺行為によって得た巨額の資金によって、ごく一部の被害者に対してなされたにすぎない被害弁償を過度に評価して、教祖である斉藤亨の刑を大幅に軽減することやえんとらんすグループのトップである佐野孝、重大な役割を果たした幹部である淺原史利、嘉子に対し、執行猶予を付することは、深刻な被害実態への配慮が極めて不十分であるだけでなく、組織的詐欺罪が創設された趣旨をも没却する上、統一協会(世界基督教統一神霊協会)をはじめとする同種の霊感商法を行っている団体の違法行為に対する抑止的効果も薄れさせ、あるいはかえって助長することにつながるのではないかという懸念も払拭できません。
3 以上のとおり、神世界グループによる組織的詐欺行為の悪質さ、被害実態の深刻さ、各被告人の果たした役割や責任の重さからすれば、本日被告人らに言い渡された刑はあまりに軽すぎると言わざるを得ず、控訴審においてより重い実刑判決が宣告されるべきであると考えます。
以上
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