神世界関係者逮捕

18、教祖・斉藤亨逮捕 (2011.9.16 更新)
●逮捕までの動き
組織犯罪処罰法違反(組織的
詐欺)で逮捕された斉藤亨被
疑者(53) 加賀町署2011.9.13
(写真・毎日新聞)

斉藤亨被疑者(53)が逮捕さ
れた中央区のマンション

 神世界事件を捜査していた神奈川県警神世界事件捜査本部は、2011年8月17日(水)、(有)神世界教祖・斉藤亨(53)ら神世界幹部4名に対して組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕状を取り、逮捕する方針を決定した。斉藤ら4名(斉藤亨、斉藤葉子、日原易子、宮入参希江)は、自分達に逮捕状が出されたことを察知し、いち早く姿をくらました。4名は、てんでんこにヒントを得たのか、それぞれがバラバラに逃亡したようだ。
 逃亡した4名の中で最初に逮捕されたのは、教祖の妻であり(有)神世界取締役でもある斉藤葉子(44)だった。葉子は12日間の逃亡生活で所持金をほぼ使い果たしたためか、8/29(月)になって捜査本部のある加賀町署に出頭し逮捕された。
 葉子が逮捕されたことを知り、自分も潮時と思ったのか、(有)神世界の取締役・宮入参希江(49)が9/1(木)の午後5時頃、弁護士を伴って捜査本部に出頭し逮捕されたが、神世界の実質的トップである教祖・斉藤亨と(有)神世界代表取締役である日原易子は、その後も逃亡を続けていた。

●情報
 関西には神世界傘下のサロンが複数あり、斉藤被疑者も過去には毎週のように京都を訪れるなどしていた。関西方面や福岡方面には現在も”活躍中”の神世界関係者が多く、斉藤被疑者も関西地方にはある程度の土地勘があると思われたため、県警は関西方面にも捜査員を派遣して斉藤被疑者の行方を追っていた。9/11(日)の夜になってから、「神世界関係者が、大阪の短期賃貸マンションを9/12から借りる契約をした」との情報が捜査本部にもたらされた。
 この情報を受け、神奈川県警の捜査員6名が、翌9/12(火)午前中から、大阪市中央区島之内1丁目にある、短期契約マンション近くに張り込んだ。この短期契約マンションの一室は、ある神世界関係者が契約名義人となっており、この日から入居することになっていた。

●逮捕・移送
 すっかり辺りが暗くなった12日午後8時ごろ、グレーのズボン、紺地に白色の横縞模様のポロシャツを着た男がマンションの前に現れた。手には黒色のスポーツバック1個を持っていた。男は手配されている斉藤容疑者の風貌とよく似ていた。男と行動を共にしていると思われる者も数名いる。男と行動を共にしている者の顔をよく見ると、吉田元警視だった。男らはそのままマンションに入って行き、神世界関係者が契約した部屋に入っていった。後を追ってマンション内に入った捜査員が、部屋の外から呼びかけると、男はすぐにドアを開けた。「斉藤亨か?」との捜査員の問いかけに対して、男は本人であることを認めた。捜査員は吉田元警視からも事情を聴取しようとしたが、制止を振り切って男は逃亡した。捜査員が斉藤亨に逮捕容疑の要旨を告げると、「わかりません」と答えたが、複数名の捜査員に取り囲まれ観念したのか、特に抵抗することなく、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された。その後、警察の車両で新大阪駅まで移動し、新幹線で神奈川県まで移送された。
 新横浜駅からは県警の銀色のワゴン車に乗せられ、捜査本部がある神奈川県警加賀町警察署まで移送された。時間は日付の変わる午前0時頃になっていたが、加賀町署には、”斉藤被疑者逮捕”の情報を得て、多数の報道陣が待ち受けていた。県警の捜査車両が並ぶ場所でワゴン車から降ろされた斉藤亨被疑者の両手首には手錠がかけられていたが、手錠の上には捜査員が被せたと思われるグレーの布がかけられており、直接手錠は見えないようになっていた。斉藤被疑者は、周りを4名の捜査員に取り囲まれ、1名の捜査員が斉藤被疑者に取り付けられた腰縄を握りながら署内へと向かった。
 報道陣のカメラが斉藤被疑者に向けて無数のストロボを浴びせ、記者からは、「斉藤さーん、こっち向いてくださーい。教祖様〜」等という声もかけられたが、斉藤被疑者は特に表情を変えることもなく、無表情な面持ちで署内へと入っていった。斉藤被疑者が逃亡を始めてから、26日後の逮捕であった。

組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕され、加賀町署に連行される斉藤亨被疑者(2011.9.13 午前0時頃)
(静止画は47news、動画はTBSニュースより)

●スポーツバッグ
(写真はイメージ)
 逮捕時に斉藤被疑者が所持していたスポーツバッグには、銀行の帯封が付いた札束がぎっしり詰め込まれており、その金額は約1,200万円だった。現金の他には手帳一冊とマンションの契約書が入っていた。
 逃亡を始めた8/17から、この日に逮捕されるまでの間は、東京都内のホテルなどを転々としていたようだが、都内のホテルは捜査員に発見される可能性が高いことから、長期戦にも備えて大阪のマンションに隠れて暮らすことにしたのだろう。それにしても、現金で1,200万円もの大金を持ち歩いていたのは尋常ではない。異常に高額な現金を持ち歩いていたことから、「長期逃亡計画」をしっかり建てていたことが分かる。逃亡中に銀行のキャッシュカードやクレジットカードを使えば、たちまちにして居所が突き止められるので、カード類を使わずに長期間の逃亡生活ができるように、これだけ多額の現金を持ち歩いていたのだろう。”逃げる気満々”の斉藤被疑者に手を貸し、自分名義で短期契約マンションを契約した神世界関係者は、犯人蔵匿罪(刑法第103条)で処罰されて然るべきだ。
※犯人蔵匿罪:「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる(刑法第103条)」

●送検
 9/12に逮捕された斉藤亨被疑者は、2日後の9/14(水)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で横浜地検に送検された。
 送検された時の写真を見ると、逮捕時とは違って薄水色の長袖シャツを着ているが、なぜかシャツの一番上のボタンを止めている。逮捕時の写真を見てもポロシャツの一番上のボタンを止めていた。ボタンを止めようと外そうと個人の勝手ではあるが、私の周辺にいる人を見ると、一番上のボタンをいつも止めている人は、ちょっと変わった人が多い。

横浜地検に送検される斉藤亨被疑者(写真・共同通信社)


●巨額の金
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 斉藤亨が逮捕されたことで、これまで公にされていなかった事実が次々と明らかにされつつある。詳しくはマスコミ各社が報道した内容をご覧いただくと分かるが、斉藤亨が7年間に得ていた役員報酬は約15億円。斉藤葉子、日原易子、宮入参希江らが同時期に得ていた役員報酬はそれぞれ約1億円に上っていた。客が必死で「神様」に奉納したはずの金は、その多くが斉藤らの贅沢な生活に浪費されていた。
 ”斉藤御殿”とも呼ばれていた世田谷区砧(きぬた)の斉藤らが暮らしていたマンションには、外国製の高級家具が並び、調度品はブランド物で埋め尽くされていた。日原易子と斉藤葉子はいつも全身シャネル、斉藤亨は全身エルメスだった。斉藤亨は囲碁を趣味にしていたが、この男が大切にしていた碁盤は、それ一つで家が一軒買えるほど高価な碁盤だといわれていた。こうした斉藤らの贅沢をまねて、淺原嘉子や佐野りらもシャネルの靴やバッグなど持つようになった。結局、神世界という組織は、一部の者たちの私利私欲を満たすために、客を騙し、客を脅して金を巻き上げてきた組織だった。
 斉藤亨が逮捕されたことで、こうした情報が次々と明らかにされつつあるが、こうした報道が流れても、未だにサロンに残っている会員たちには、「マスコミの情報はどこまでが真実であるかは分からない。教祖様が逮捕された時に大金を持っていたのは、神世界を広める活動資金を持ち歩いていただけであり、何ら不自然ではない。教祖様が逮捕されても、二代目教主様がおられるので御霊光が止まってしまうことはない。国家権力に神世界が潰されないように、会員の皆さんは気持ちをしっかり持っていきましょう」などと声がかけられ、この期に及んでも、今なお必死になって会員の組織離れを食い止めようとしている。


●吉田澄雄元警視を逮捕
 9/12(月)に大阪のマンションで斉藤亨が逮捕された際、斉藤と行動を共にしていた吉田澄雄元警視(55)は、斉藤亨の逃亡を助けていた疑いがあるため、9/22に神奈川県警は、”犯人隠避容疑”で吉田の逮捕状を取り、行方を追っていた。
 9/24(土)になって、吉田は捜査本部がある加賀町署に出頭してきたので、犯人隠避容疑で逮捕した。調べに対し、吉田被疑者は、「全ては裁判官の前で話します」と供述している。
 吉田被疑者は、当時神奈川県警に在職中であったにも係わらず、今年3月に詐欺罪で起訴された神世界グループの系列会社元経営者・杉本明枝(公判中)が運営するサロン、E2(イースクエア)で経理を担当していた。吉田被疑者はそれまで神奈川県警で警備課長などを歴任していたが、神世界事件に関与したことから2008年2月に懲戒免職になった。
 吉田被疑者は県警を懲戒免職になった後も、明枝と共に神世界の活動に係わり続けており、斉藤亨の父親が運営する、「観音会」の後継者候補として夫婦で行動していた。両名は千代田区永田町のマンションで同棲していたが、明枝は2011年3月11日に詐欺容疑で逮捕された。明枝は逮捕され、拘留中の身となったが、拘留中の同年4月に吉田澄雄は明枝と結婚した。これにより、杉本明枝は吉田明枝と改姓した。吉田澄雄被疑者は、現在横浜地裁で行われている、妻・明枝被告の公判傍聴にも姿を見せていた。


●吉田澄雄元警視を組織犯罪処罰法違反(犯人蔵匿)の罪で起訴(2011/10/15加筆)
 横浜地検特別刑事部は2011年10月14日(金)、組織犯罪処罰法違反(犯人蔵匿)の罪で、元神奈川県警警視の無職吉田澄雄容疑者(55)を起訴した。
 吉田被告は9/24(土)に、「犯人隠避」の疑いで県警に逮捕されたが、地検は、「組織的詐欺の疑いのある人物をかくまった」として、「犯人隠避」ではなく、「組織犯罪処罰法違反(犯人蔵匿)」の罪で吉田を起訴した。
 起訴状によると、吉田被告は、神世界関係者らと共謀し、神世界教祖・斉藤亨に逮捕状が出ているのを知りながら、8月18日から9月12日までの間、東京都台東区の旅館などに偽名を使って予約を入れ、男を宿泊させるなどしてかくまった、とされている。
 なお、「犯人隠避」(刑法第103条)の罰則は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金だが、「組織的な犯罪に係る犯人蔵匿」(平成11年法律第136号第2章第7条の1)で起訴された場合は「3年以下の懲役又は20万円以下の罰金」となる。
 懲役2年が懲役3年になっただけではないか、とする見方もあるかもしれないが、横浜地検が送検時より厳しい罪状で吉田被告を起訴したことに、私は神世界事件に対する”検察の意気込み”を感じた。横浜地検は今後も捜査を続行し、事件に関与した者を徹底して逮捕し、神世界を壊滅に追い込んでいただきたい。神世界や観音会にはまだ多くの残党が残っており、今なお活発な活動が繰り広げられている。社会の癌・神世界は、その細胞のすべてを消滅させなければ再び病巣を広げてくる。


●斉藤亨を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴(2011/10/15加筆)
 横浜地検は、2011年10月4日(火)、9/12に大阪市内で逮捕された(有)神世界教祖・斉藤亨(53)を織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴した。
 斉藤被告は、地検での取り調べに対し、雑談には応じているものの容疑については「全く身に覚えのないこと」などと否認している。逮捕状が出てから9/12に大阪市内で逮捕されるまでの約1カ月間の逃走経路も供述していない。
 これまでに起訴された神世界関係者の罪状は「詐欺」(刑法第246条)で、その罰則は「10年以下の懲役」に該当するものであったが、今回、斉藤亨が起訴された罪状は、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴された。組織犯罪処罰法違反に関する罪状を見ると、「1年以上の有期懲役」としか書かれておらず、「10年以下の懲役」とされている詐欺罪より罪状が緩くなっているように感ずるかもしれないがそうではない。ここで言う「1年以上の有期懲役」とは、1年以上15年以下の有期懲役」を科すことができることになっている。
 組織犯罪処罰法違反に問われた場合は懲役刑が重くなるだけではなく、「犯罪収益の没収(第13条)」が法的に可能とされている点の意義が大きい。組織犯罪処罰法に基づく犯罪収益の没収の詳細については、こちらの第2章第13条を参照願いたい。同法を厳しく適用し、神世界が被害者から奪ってきた犯罪収益をすべて没収し、二度とこの団体が再起できないように、関連組織も含めて壊滅させることが重要である。


(参考)神世界教祖・斉藤 亨に関する補足情報

斉藤 亨
 (有)神世界という組織は、登記簿上では下記のように日原易子が組織のトップであるかのように見えるが、”実権”を握っているのは教祖・斉藤亨であり、斉藤亨が神世界のトップと考えて間違いない。斉藤亨は、9/12に逮捕された直後の取り調べに対しても「自分が組織のトップだ」と自ら組織のトップであることを認める発言をしている。

 (有)神世界・役員構成
 ●代表取締役 日原易子(陽龍)
 ●取締役 斉藤亨
 ●取締役 宮入(飯窪)参希江
 ●取締役 斉藤葉子

1995年(H7年)に行われた千手観音教会の行事
に参加した斉藤亨(中央の白シャツ姿・当時38才)
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●略歴
 斉藤亨(53)は、S32.10.28に、父・S藤H保、母・S藤T子の間に生まれた。斉藤亨は、東京都内の大学を中退後、山梨県内にある知人が経営する食品会社に勤務していた。その当時、元山梨県警警察官の父親・S藤H保が、警察を退官後発足させた宗教団体・千手観音教会の信者になった。斉藤亨は2000年(H12年)2月に、父親の宗教団体から独立する形で、有限会社「千手観音教会事業部」を設立し、2002年(H14年)3月にその名称を有限会社「神世界」に変更した。
 斉藤亨は客やスタッフの前では、「動物性蛋白質は毒素である」等と神書の内容を肯定するような発言を繰り返しているが、斉藤の息子の発言では、「山梨に帰った際に一緒にすし屋に行った」という話も聞こえている。斉藤の身の回りの世話をしていたスタッフの証言でも、「ポケットから出てくるのは高級寿司屋のレシートばかりだ・・」という話も伝えられている。

●世界救世教
 この一家(父、母、亨)は、以前は世界救世教の信者だった。そのため彼らは岡田茂吉の影響を強く受けており、神世界のいわゆる”宗教グッズ”などには、その足跡を随所に見ることができる。神世界の「ご神体」は千手観音図だが、この観音図は岡田茂吉が描いたものだ。観音図に押印された岡田茂吉の落款(印)を勝手に書き換え、「教祖が描いた観音図だ」と言っているが、それは真っ赤な嘘である。詳細については「盗作」を参照されたい。彼らが世界救世教の信者であったことについては、「教主は元世界救世教信者」や、「参拝の栞」などの記事に記載してある。なお、神世界が世界救世教と関係があると言っても、それは斉藤らが勝手に世界救世教を真似ただけであり、直接的な両者のつながりはない。世界救世教にしてみれば、元信者がこのような霊感商法で社会を騒がせるような事件を引き起こし、さぞ苦々しく思っていることだろう。

●「神書を書かれた方」
 神世界には、上記”参拝の栞”をベースにして書かれたと思われる、「神書」(しんしょ)と呼ばれる教典のような本があり、この神書を書いたのが斉藤亨だということになっている。このため、神世界内部では、斉藤亨のことを「親書を書かれた方」と呼称する場合が多い。斉藤亨の肩書きは、2010年末までは「教主」と呼ばれていたが、2011年1月1日に発行された神世界の機関紙「神世界新聞」紙上に、「御啓示によって私の子が二代目教主になります。私は教祖になります」という一文が掲載され、自分の息子を二代目教主に据え、自分は”教祖”になったことを会員に知らせた。斉藤亨は「教祖」になると同時に、自分に対して「創造者」という位置づけも行った。「教祖」や「創造者」など、きわめて宗教色が濃厚な名称を敢えて自分につけたのは、東京地裁で争われている損害賠償訴訟や横浜地裁で始まった刑事裁判に於いて、「神世界は宗教団体だ」とアピールするための思惑が働いているのだろう。

●日数が合わない・・
 2011年8月29日に逮捕された、斉藤亨の妻、葉子(S42.7.3生)は、斉藤と結婚する以前は会主・佐野孝(2011.5.30逮捕)の妻であった。斉藤亨は、H15年当時、佐野孝の妻であった葉子をH15.2.5に離婚させ、6カ月後のH15.8.8に斉藤亨と葉子は結婚の届けを出している。
 葉子は佐野との間に生まれた3名の子供を連れて斉藤と結婚し、結婚後新たに2名の子供が生まれているが、斉藤と結婚後に生まれた子供(男)の生年月日はH15.11.29であり、葉子がこの子供を妊娠した時期は、H15年1月中旬と推測できる。それはまだ、葉子が佐野の妻であったときだ。
 組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕状が出された後、1カ月にわたって逃亡を続けた、(有)神世界代表取締役・日原易子(陽龍)は妻・葉子の実母であり、斉藤亨の義母に当たる。

●組織の変遷
 斉藤亨の父・S藤H保は山梨県警の元警察官だった。この父親が神世界の前身にあたる、「千手観音教会」を設立した。千手観音教会事業部の設立は登記簿上、2000年2月だが実際に活動を開始していたのはもっと古く、約20年ほど前から地元の高齢者を中心に手かざしや瞑想のようなことを行っていた。その後、2002年になって「(有)神世界」と名称が変わった時点で父親から斉藤亨に組織が移譲されたようだ。
 多くの関係者は、「(有)神世界と名前が変わったころから雰囲気も変わった」と証言する。それまで地元の高齢者が中心だった会員に替わり、若い女性が急増し、月に二度ほど首都圏ナンバーの車で50〜100人ほどが集まり読経などを行うようになった。それまで一緒に活動していた斉藤亨の父・S藤H保は、1キロほど離れた自宅に「観音会仮本部」の看板を掲げ、別に活動を始めた。しばらくの間、観音会仮本部の看板を掲げていたが、2011年5月頃、すぐ近くに「観音会本殿」が作られ、新たな会報も発行するなど、観音会は神世界を止めた者の”受け皿組織”として、新たな活動を開始した。



教祖・斉藤亨の逮捕を受けて

実質的な神世界トップである、教祖・斉藤亨が逮捕されたことで、神世界事件は一つの山場を迎えたが、まだ多くの問題が残されている。

1、まだ逮捕されていない神世界経営者
 事件に深く関与した、(有)びびっととうきょう、(有)みろく、(有)えんとらんすわーるどヒルズ等の経営者は未だに逮捕されていない。警察は引き続きこれらの者に対する捜査を継続し、全ての関係者を逮捕することが絶対に必要だ。オウム事件でも明らかなように、こうした団体はトップが逮捕されても残された者が引き続き組織を存続させ、これまでと同様の活動を続けていく場合が多い。上記の未だ逮捕されていない経営者を逮捕せねば、これらの者がこれまでと同様の活動を行い、被害が拡大することは明白だ。

2、観音会という受け皿団体の存在
 神世界が遠からず消滅するであろうことを察知して、神世界の”受け皿組織”である観音会という団体がすでにできあがっており、神世界の会員を言葉巧みに観音会に誘い込んでいる。観音会は逮捕された斉藤亨の親族が代表の組織であり、やっていることは神世界と大同小異でしかない。観音会に対する監視を厳重に行わねば、再び神世界事件と同じことが繰り返される。

3、犯罪収益の完全没収
 斉藤亨の逮捕と同時に、彼らがどれだけ法外な役員報酬を得ていたかが明らかにされている。被害者から収奪した膨大な金額に上る犯罪収益を、組織犯罪処罰法によって根こそぎ没収し、被害者に返金することが重要だ。神世界が息を吹き返さないようにするためにも、不正な手段で蓄積した金は全て没収することが必要である。

2011.9.13 fujiya


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