あのサイトに神世界新聞が
2009年8月中旬、「神世界は新聞を発行したらしい」という話が私のところへ伝えられた。しかし具体的な資料などは何もなく、私としては、「こんな時期に神世界が新たな新聞を発行することなど考えられない」と思い、新聞発行の報告は以前に神世界が発行したチラシ類を見誤ったのではないかと思った。私が「こんな時期」と思った理由は下記5の「なぜこの時期に新聞発行?」に詳しく書いたが、現在の神世界は客が激減し、大半のサロンを閉店せざるを得ない状況となっており、新聞を発行するようなタイミングではないと思ったからだ。
10月中旬になってから別の方からメールがあり、「以前に会主講話を公開したサイトに神世界新聞がアップされている」と教えてくれた。あの会主講話を公開した「御霊光はすばらしい」というHPはあれ以来更新される様子はなかったので私はしばらくあのページは見ていなかった。報告を受け、あわててあのサイトを見てみるとそこには神世界新聞がアップされていた。
上記サイトにはサイト管理者の連絡先などは一切書かれておらず誰が運営しているか不明なので制作者等の了解を得てはいないが、そこからダウンロードさせてもらったのが下記の神世界新聞だ。「御霊光は素晴らしい」のサイトを作っている方がこの記事を見ておられたら、ぜひfujiyaまで連絡をいただきたい。その後、神世界新聞を持っているという人と連絡がつき、大きさなどを確認してもらったところ神世界新聞は上質紙にカラー印刷されており、大きさは273mm×405mmでA3用紙を少し小さくしたサイズとのことだ。インクジェットプリンターやレーザープリンターでパソコンから印刷したものではなく、専門業者の手で製版印刷がなされたと思われる仕上がりで、かなりの部数を作成したと思われるとのことだ。
神世界新聞創刊号(2009.8.1発行)、神世界新聞第2号(2009.10.1)を見て
1、新聞の概要
ダウンロードした紙面をつぶさに観察してみた。神世界新聞は2009年8月1日に創刊号が発行され、2009年10月1日に第2号が発行されているので隔月で発行する予定のようだ。
新聞の題字「神世界」は教主(斉藤亨)が書いたものだということが第2号の記事に書かれている。ある書道家が教主が書いた色紙やライセンスの文字を見て、「小学生が習字で『失敗した』と捨てる程度のもの」と酷評したことがあったが、神世界新聞の題字もその程度の文字であり、お世辞にも誉められるような文字ではない。普通なら新聞の題字に使えるようなものでは到底ないと思われるが、教主周囲の者は誰一人として「王様は裸だ」と言えない連中ばかりなのでこんな恥ずかしい文字が題字として使われることになったのだろう。
創刊号の執筆者は教主(斉藤亨)、陽龍(日原易子)、会主(M入E実)の3名、第2号の執筆者は前記3名の他11名のスタッフや客と思われる者が創刊号を読んだ感想などを述べている。
この新聞では神世界の実質的トップ・斉藤亨に対する呼称として「教主」という呼称が繰り返し使われている。神世界内部では数年前から教主という呼称が禁止され、「神書を書かれた方」と呼ぶように指導されてきたのだが、ここにきて再び「教主」という呼称が復活したようだ。お得意の”神様スピード”が復活したのだろう。
裏面には神世界が御神体としている千手観音像がほぼ紙面一杯に薄色で印刷されており、その上に文章が印刷されている。ありがたみを増すためにこのような演出をしたのだろうが、御神体の上に文字を印刷するなど甚だしく神を冒涜する行為だ。神世界がやっていることは天皇陛下の写真の上に文字を印刷して出版したのと同じ行為だ。偽りの御神体であればこそ、こうした不謹慎なことが平気でできるのだろう。
記事の内容は下記にて順次解説するが、一言で言えば”神世界は宗教団体だ”という論調であふれている。これまで散々、「神世界は宗教ではない。会社だ」と言って客の目を欺いてきたことなど太陽系のかなたへ忘れ去ったかのようだ。
2、あきらかな嘘
岡田茂吉が描いた千手観音像が 掲げられている神世界本部神殿 |
神世界新聞トップの大ウソ説明 |
時節が到来して、いまここに神世界の方針をあまねく知って貰う必要があると判断し、本紙発行の運びとなったものです。今まで私が神様の啓示を教えとして伝える場合、ほんの数人の人々に伝え、浸透を図って参りましたが、これからは、神意に基づき、本紙を通し、「主」としてもっと大勢の人々に神様の啓示を伝えてゆきたいと思っています。 |
教主は言葉の使い方を知らないようだ。「時節到来」というのは自らが努力した結果、取り巻く環境や外的要因が自身にとって良い方向に変化してきたときに使う言葉だ。教主は神世界を取り巻く環境を変えるために今日までどのような努力をしてきたのだ? その結果、神世界の環境、外的要因のどこが良い方向に変化したというのだ?
蓮如上人御一代記聞書讃解第105条
■聞書本文 |
これのどこが「時節到来」なのだ? これが御霊光をたっぷり浴びてきた結果なのか? 現在の神世界は満身創痍の状態であり、神世界に対しては逆風が吹きまくっている。神世界は今や崩壊寸前の状態であり時節到来とはほど遠い状態だ。病院で脳検査を受けた方がいいのではないか?
教主は勝手に”時節が到来した”と判断したようだが、神世界の現状をどのように分析すればそのような結論に至るのか教えてほしいものだ。常識的に考えれば神世界を取り巻く現状は最悪の状態であり、神世界の問題点を改善することなく新聞など発行してみてもこうして批判の対象にされるか、古紙回収のゴミを増やすだけだ。
文中、教主は「これからは本紙を通しもっと大勢の人々に神様の啓示を伝えてゆきたい」と抱負を述べているが、「時節が到来」と「大勢の人に・・」を現実的に翻訳すると、「神世界はこのままでは崩壊してしまう。なんとしても金を払ってくれる客がほしい。客集めに使うアイテム(新聞)を作ったので、これを使って客を集めてくれ。この時期を乗り切らないと神世界は潰れてしまう」ということだろう。
教主が本当に、「時節が到来し、神世界の方針をあまねく知って貰う必要があると判断し、もっと大勢の人々に神様の啓示を伝えてゆきたい」と思ったのであれば隔月発行のこんな新聞では何の役にも立たない。教主自身が人々の前に姿を現し、自らの口で神世界の方針や神様の啓示を伝えるべきだ。かつてのオウム真理教・麻原彰晃(本名・松本智津夫)はマスコミを最大限に利用してオウムの宣伝をしていた。神世界教主もマスコミに堂々と顔を出してみろ。教主・斉藤亨が自ら顔を出さずして真の拡大などできる筈もない。自分のやっていることが正しいと確信するなら顔出しは何ら躊躇することはあるまい。
4、隠蔽体質と新聞発行のミスマッチ
神世界という団体は極めて閉鎖的で隠蔽体質の強い団体だ。神世界が閉鎖的団体となるのはこの団体のやっていることから考えれば当然のことだ。心の弱っている人、体が弱っている人の不安に取りつき、先祖の霊の祟りや健康不安を煽って金を巻き上げるような営業をしてきた者が正々堂々と人々の前に出てくることができないのは当然だ。
神世界が一時期勢力を大きくすることができたのは”ターゲットの絞り込み”に成功したからだ。1,000円程度の”お試し価格”で客を拾い、その客が”有効なターゲットになり得るか”を見定め、「これは行ける!」と判断すると時間をかけて言葉巧みに神書、御霊光、高額祈願へと導き高額な金を巻き上げていくのが神世界の手口だ。客から「ここは宗教なの?」と尋ねられると「いいえ宗教ではありません。会社です」と言って客を安心させ騙し続けてきた。
こうした”神世界流”の手口で客から金を巻き上げる商法を成功させるには、”マンツーマン”もしくはそれに近い形で客の囲い込み、そして取り込みを図ることが大切であり、大勢に広く呼びかけ、「文字」という証拠が残る「新聞」という媒体は神世界商法には合わないのだ。カルトの勧誘はコッソリと人目につかないようにして「人間関係」を巧みに使って個人の心を取り込むことによって成り立つ悪行だ。
神世界は最盛期であってもサロンの看板を上げることもせず、一部のサロンが開設していたホームページも閉鎖させるなどして世間から隠れ閉鎖的な運営をしていたにも係わらすこれだけ大きな被害を出すだけの”実績”をあげることができたのはそうした個人勧誘が功を奏した結果だ。
新聞を出せばそれを見るのは神世界に脳を汚染された人ばかりではない。普通の判断力を備えた人が神世界新聞を見れば、「なんだこれは!?」とそのぶっ飛んだ内容に唖然とし、その新聞を持っている者を奇異な目で見るだけだ。
繰り返すが、神世界のような怪しげな営業内容を拡大させるには”新聞”という公の媒体はそぐわないのだ(神世界新聞が不特定多数を対象にしたものであればという前提であるが)。
似たような事例としてオウム真理教が衆議院議員総選挙で大敗した例がある。オウム真理教も個人が個人を勧誘する活動によってどんどん組織を大きくして行ったが、それに勢いづいて1990年の第39回衆議院議員総選挙に麻原彰晃(本名・松本智津夫)や教団幹部ら25名が立候補した。しかし全員が法定得票数にすら達せず惨敗した。カルトは個人をターゲットにした勢力拡大では手腕を発揮できるがカルトのバカげた理論を世間に広く流布させることなどできないことを立証した出来事だった。
2007年12月末の神奈川県警による強制捜査とそれに続くマスコミの神世界報道によって神世界の名前は日本中に知れ渡った。「神世界」という名称が人目につくことを恐れた神世界トップはあろうことか神世界本部(山梨県甲斐市玉川18)に設置してあった自社の看板、「21世紀は神世界」から「神世界」の文字を白く塗り潰してしまった。”自分たちは悪いことをしていない”という自信があるのなら自社の看板を塗り潰すようなバカなマネは絶対にしない。自らの手で自社の看板を塗り潰した神世界の行為は自らの有罪を公に認めたのと同じだ。
このような自殺行為をしておきながら、その後社会に対する何らの説明もないまま今になって突然新聞を発行し、神世界の宣伝を始めるなどという行為は180度方向の違う行為だ。私は今回の新聞発行の真の目的がどこにあるのか、しばらく頭をひねった。
そうこうするうちに各地から神世界はこの新聞を下記6のようにして”活用”しているという情報が入りだした。
(神世界新聞第1号と第2号の記事は同時に作成したものですが、携帯端末用に前半と後半の二つに分けました。この続きはこちらになります)