神世界及び関連ヒーリングサロンで販売している宗教グッズの中に、千手観音図がある。そのサイズは下記のように名刺大、ハガキ大、B4用紙大の3種類があり、最も大きなB4用紙大のものは105,000円で販売されている。
本当にありがたい千手観音図であるならばそうした値段も納得がいくかもしれないが、神世界で売られている千手観音図は世界救世教教祖・岡田茂吉が書いた千手観音図を下敷きにして描いた偽造品でしかない。
”模造品”ではなく”偽造品”としたのは、観音図の大半は岡田茂吉の千手観音図をそのまま描き写しただけであるにも係わらず、作者名を岡田茂吉ではなく神世界教主・斉藤亨が描いたと偽っているからだ。
岡田茂吉が昭和9年に揮毫(きごう)した千手観音図との違いは、千手観音が手に持っている品物を全く意味のないものに入れ替え(これにより宗教的な意味がなくなっている)ことと、「主」という斉藤のサインをして、「自分が描いたありがたい千手観音図だ」と偽っている点だ。
大きさも全く違い、岡田茂吉の千手観音図は194cm×158cmと非常に大きなものだが、神世界はそれを勝手に縮小コピーし、改変までして大量に販売している。
このような行為は著作権法違反になるのではないかと尋ねられた神世界関係者は、「岡田茂吉はもうすぐ没後50年になる(当時)ので、それ以後は心配要らない」と答えたとの話も内部では囁かれていた。
両者を見比べてすぐに気付くのは、手に持っているものの違いだ。教主が描いたとされるものには刀や矢、斧などが見あたらない。
このことに関して、神世界及び関連のヒーリングサロンでは客に対して次のように説明していた。
『これまでの千手観音は皆「刀」を持っていたが、教主様の描いた観音様は「刀」を持っていない。それが本物の証よ。本当の神様は他人を殺めるための「武器」はお持ちにならないのよ』。
ふ〜ん、知らない者が聞くと、こんなウソでも本当らしく聞こえてしまうから憎いではないか。
しかし、これはとんでもない間違いだ。
千手観音が手に持つ品々にはそれぞれ明確な意味があるのだが、なんといっても基本的に押さえておかねばならないことは、千手観音は民衆を様々な邪悪な存在から守るためにあのようにたくさんの手を持ち、その手にいろいろな物を持っているということだ。
今で言えば、地球を侵略しようとする悪い宇宙人から地球を守るために戦うウルトラマンのような存在、それが千手観音だ。様々な敵から民衆を確実に守るためにはいろいろな武器も持たなければ勝ち目はない。だからあのように刀や斧を装備しているのだ。
それをどう勘違いしたのか、千手観音が手に持つ刀などは、『他人を殺めるための武器』だから省いたという。本当にバカとしか言いようがない。千手観音が持つ武器は、民衆を邪悪な存在から守るためのものであり、決して「他人」を襲うための武器ではない。
そんなことも知らずに、「危ない刃物は持たせない」と安直に考え、武装解除された千手観音には邪悪な存在から人々を守る力はなく、こんなものを部屋に飾っていても何の役にも立たないことになる。
愚か者がやることは、どこまで間が抜けているのだろう。
【参考】
千手観音が手に持っているものの意味を少しだけ紹介すると次のようになっている。
宝剣(ほうけん):一切の悪鬼を鎮めようとする時、宝剣手にお願いをする。
宝弓(ほうきゅう):出世したいと願う時、宝弓手にお願いをする 。
鉞斧(えっぷ):役人の難を避けようとする時、鉞斧手にお願いをする。
他のものにもそれぞれ意味があり、適当な代替品を持たせておけばいいというものではない。
神世界ではこの千手観音図だけでなく、「ライセンス」と呼ばれる御守りのようなものでも同様の盗作をしている。
これについて詳しい検証をした記事が下記にあるので、参照して頂きたい。