合同庁舎6号館にある公安調査庁 |
神世界等に対する損害賠償訴訟の第8回口頭弁論が2010年7月21日、午前10時10分より東京地裁で行われた。この日の東京は都心でも気温が36.3度まで上がり、2008年8月以来2年ぶりの猛暑日が記録された。非常に暑い中であるにも係わらず、たくさんの方が傍聴に来てくれていた。
7月21日は、「公安調査庁設置記念日」でもある。公安調査庁は東京地裁のすぐ裏手にある中央合同庁舎6号館にあるので裁判終了後に行ってみたが、入口には警備員が常時詰めており、建物の中に入ることはできなかった。
公安調査庁は、オウム真理教(現アレフ)の施設に定期的に立ち入り調査を行ったり、北朝鮮の動向調査、極左・極右団体の監視、共産党の動向監視などを主な任務としており、体制擁護のための諜報活動を行っている国の機関だ。「公安警察」と「公安調査庁」とは別の組織であり、公安警察は捜査機関、公安調査庁は情報機関に分類されている。
神世界と公安調査庁とのつながりと言えば、びびっととうきょうが等々力でサロンとして使っていた建物の所有者が緒方重威・元公安調査庁長官であった件が思い出される。緒方元長官の住居は目黒区柿の木坂にあったエレヴァシオンというサロンのすぐ裏にあり、緒方元長官と神世界との間には密接な関係があったのではないかと推測されたが、真相は闇の中に埋もれたままだ。
緒方重威・元公安調査庁長官は現職時代に自分が監視する相手であった朝鮮総連本部ビル売却に関する詐欺容疑で、2007年6月28日に東京地検特捜部に逮捕され、後に起訴された。
裁判所1階での確認
裁判所1階に置いてある本日の裁判一覧表を確認してみたところ、裁判官がとして新たに布施雄士、書記官として石原晶美の2名が追加されていた(しかし裁判が始まってみると裁判官はこれまでの3名、書記官はこれまでと同じ男性書記官1名だった)。
開廷前の法定内
当日の626号法廷は、10時10分以前には裁判がなかったので、626号法廷は午前10時を過ぎてもまだ鍵がかったままだった。10時5分頃になって書記官が法廷の扉を開き中に入ることができた。
今回も原告側弁護団の女性係員が運んできた大きなキャリーバックの中にはぎっしりと準備書面などが詰め込まれおり、次々と原告側弁護団に書面が配布されていた。被告側弁護団からは、これまで何度も裁判長から注意がされていたにも係わらず、開廷直前に新たな準備書面が裁判所に提出されていた。
原告団は法定内に15名、傍聴席に2名の計17名、被告側はプラス花の被告2名とその他被告の代理人名5名の計7名が出廷。傍聴席は8割程度が埋まった状態で、傍聴席には警察関係者の姿もあった。
10時15分開廷
定刻を少し過ぎた10時15分になって裁判長らが入廷し、口頭弁論が開始された。まず廣谷章雄裁判長が双方から提出された準備書面や陳述書の確認を下記のように行った。
●原告側から準備書面(「個別論ですね」と裁判長)
●みろくから準備書面7
●いま出されたのがE2の陳述書
●えんとらんすの準備書面6(「これは損害の認否ですね」と裁判長)
●プラス花の準備書面5
●プラス花から書証が出ていますね(乙号証Hの13、14)
●「びびっとは?」との裁判長からの問いかけに、「準備中」、「次回までには」と門西代理人
●「(有)神世界は個別の認否についてはよくわからないということですね」と裁判長が念押し
こうした準備書面などの確認の中で、えんとらんす代理人及びE2代理人は、「かなり整理できてきた。次回までには個別の被害状況認否はできる予定だ」と回答した。えんとらんすは個別の被害状況について○(認める)としたものもあるが、回数の違いや年度の違いなどがあり「一部を認める」としたものもあると回答した。
原告側代理人は、「幹部として働いていた者の証言なども得ており、(神世界と各社の)団体性についても今後主張して行きたい」と述べた。
裁判長から、「個別の被害状況については徐々に見えてきたようだ。原告側として何を捉えて『不法』とするのかを具体的に出してほしい。できれば簡潔にまとめてほしい」という言葉があった。
この後、裁判の進め方について原告、被告、裁判長の間で若干のやり取りがあり、進行協議は設けずにこのまま口頭弁論を進めて行くことが確認された。
次々回以降の日程調整になったが、みろく代理人が水曜日の午前中は都合が悪いとのことで今後の日程はいずれも水曜日の午後3時からとなった。口頭弁論の日程や時間は代理人の都合によって決せられるようだが、遠方から参加している原告や傍聴者は午後3時からの開廷では非常に参加しにくいという声が多くあった。口頭弁論の主体である原告の都合にも配慮した時間設定ができないものだろうか。
■第9回口頭弁論 平成22年9月15日(水)15:00より
■第10回口頭弁論 平成22年11月17日(水)15:00より(後に16:30に変更)
■第11回口頭弁論 平成22年12月22日(水)15:00より(後に16:00に変更)
閉廷直前に廣谷裁判長から、「準備書面は当日出すことのないように(一週間前までには出せという意味)」と再度の注文が出された。被告側代理人はこれまで何度も同じ注意を受けており、被告側代理人の「行儀の悪さ」には、裁判長も辟易しているようだ。
以上で第8回口頭弁論は終了した。
10時35分閉廷
口頭弁論終了後、地裁内の別の場所にて原告団弁護士から本日の口頭弁論の内容についての説明や今後の進め方についての説明や質疑応答が行われたので、その内容を簡潔にまとめてみた。
第8回口頭弁論では原告側は新たに110ページほどの準備書面を提出した。原告が主張している被害状況の被告側認否も徐々に出てきているが、かなり食い違っている部分もあり、今後更に詰めていく必要がある。 刑事告訴について水面下での動きはあるが、まだ大きな動きにはなっていない。あれだけ悪いことをしておきながら何も立件されないようなことになれば、「あそこまではやっても大丈夫」というおかしな基準が作られてしまい、社会に与える影響は非常に大きい。原告側としては何としてもこの事件を立件させ、このような事件が割に合わないものであることを知らしめていきたい。 警察という組織は、元々宗教がらみの詐欺事件をあまり積極的に取り扱おうとしない組織だ。刑事告訴はまだ正式に受理されてはいないが横浜地検も内容は把握している。現時点では横浜地検に被害者の声を集中させることも効果的だ。 事件発生から年数が経過しており、時効が近づいている案件もある。時効についても考慮しながら作業を進めている。 口頭弁論は時間がかかるものだが、被害者の皆さんがたくさん傍聴に来てくれることで裁判所にも被害者の思いが伝わるものだ。何かと大変だと思うが、できるだけ多くの方に傍聴をお願いしたい。
以上のように、この裁判(口頭弁論)を原告勝訴に導くためには、被害者の皆さんが主体的に動くことが重要です。自分にできることは何かを考え、それぞれの立場で最大限の活動をしていきましょう。
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