神世界に対する損害賠償訴訟


第一次訴訟から第四次訴訟までの請求額等は下表の通りです(2011.9.14現在)。
神世界等に対する損害賠償訴訟一覧
訴訟区分 提訴日 訴額 原告
人数
被告人数
第一次訴訟 平成21年5月25日 1億7313万0463円
17人 神世界含む被告25人
第二次訴訟 平成21年12月25日 7426万5792円
24人 神世界含む被告25人
第三次訴訟 平成22年12月17日 1419万0195円
1人 神世界含む被告25人
第四次訴訟 平成23年9月14日 2097万6248円
6人 神世界含む被告25人

2億8256万2698円
48人 神世界含む被告25人





 2009年5月25日(月)、神世界事件被害者17名(原告)は(有)神世界等に対する損害賠償訴訟の訴状を東京地裁に提出し受理された。
 提訴後、同日午後1:30から原告2名を含む神世界被害対策弁護団は東京霞ケ関の弁護士会館にて共同記者会見を行った。

 この第1回損害賠償訴訟は被害者17名が(有)神世界ほか関連会社を含む法人8社及び神世界関係者個人17名に対して原告等が受けた損害を賠償するよう訴えたもので、被害請求総額は1億6875万円となっている(後に、1億7313万円に修正)。
 上記請求金額は慰謝料等も含めて請求しているが、神世界によって原告等が受けた精神的被害は甚大なものがあることから、通常の民事訴訟では被害額の1割程度とされている慰謝料が今回の訴訟では被害額の2割に相当する慰謝料を請求している。
 カルト宗教類似の自己啓発セミナーに対する損害賠償請求事件において、慰謝料が約17%認められた東京高裁判決があり、弁護団としては健康被害も生じさせている極めて悪質な神世界による被害については、慰謝料は2割程度は認められる可能性があると考えている。
 この慰謝料については記者会見の席上弁護士が、「今回の訴訟では被害額の2割に相当する金額を慰謝料として請求している。一般的にこうした損害賠償訴訟では被害額の1割程度の慰謝料請求を行う場合が多いが、神世界から被害者が受けた精神的、肉体的な様々な被害を考えれば被害額を上回る慰謝料を請求したいのが本当のところである。しかし、過去の判例や請求額が膨大になることによる印紙代の増大などを考え合わせ2割の慰謝料とした」と述べたのが印象的だった。



1、被告(法人8社、個人17名)
 今回の訴訟で被告となった25名(法人8社、個人17名)は下記の神世界関係者だ。下表では、個人、法人を整理して列挙した。

No. 個人被告氏名 会社名
1 齊藤 亨 有限会社神世界
2 日原 易子 有限会社神世界
3 齊藤 葉子 有限会社神世界
4 飯窪参希江 有限会社神世界
5 和田 美和 有限会社びびっととうきょう
6 和田 健史 有限会社びびっととうきょう
7 杉本 明枝 有限会社E2
8 淺原 史利 有限会社えんとらんすアカサカ
9 栗山 悦子 有限会社えんとらんすわーるどヒルズ
10 淺原 嘉子 有限会社えんとらんすスリートゥー1
11 佐野 孝 有限会社えんとらんすスリートゥー1他
12 佐野 りら (えんとらんす統括室)
13 遠藤 真弓 有限会社えんとらんすアカサカ他
14 宮入 英実 有限会社みろく
15 宮入 英彰 有限会社みろく
16 加藤 京子 有限会社プラス花
17 加藤 久喜 有限会社プラス花
(番号は便宜上つけた番号であり、正式な被告番号ではない)


 訴状に記載された被告17名の氏名を公開したが、「ヒーリングサロン告発掲示板」での実名記載は遠慮願いたい。
 それは実名使用が一人歩きし、収集がつかなくなる危険性を排除するためである。

 今回の損害賠償訴訟の原告の人数は個人の被告の人数と同じ17名であるがこれは単なる偶然である。原告の氏名などはプライバシー保護の観点から公開しないので了解いただきたい。
 今後裁判が始まった時点では、裁判での被告・原告のやり取りを紹介していく予定であるが、個人のプライバシーに係わる部分は割愛させていただく。
 裁判を傍聴する際はできるだけメモを取っていただくようにお願いしたい。当方もできるだけ詳細な記録を取る予定であるが、万一聞き漏らした際には皆さんに情報提供をお願いすることもあると思われるのでよろしくお願いしたい。なお、6月10日現在、口頭弁論の日程はまだ決まっていない。日程が決まり次第このページや掲示板等でお知らせするので傍聴が可能な方はぜひ裁判の傍聴をお願いしたい(6/22になって第1回口頭弁論が7/22午前10時10分からと決定した)



2、訴訟に至る経過
 2009年5月25日の第一次損害賠償訴訟提訴に至る経過を明らかにしておきたい。
 被害対策弁護団は第一次(2008.2.26)から第四次(2008.9.24)の4度にわたり神世界に返金請求を行ってきた(集団請求前を含めると5度)。


返金請求請求人数請求金額
集団請求前5人31,341,360円
第一次請求25人59,892,078円
第二次請求23人65,962,470円
第三次請求19人56,007,865円
第四次請求15人32,832,499円
以上合計87人246,036,272円


 今回の訴訟で原告となった17名は上記87名中の17名である。比較的被害額が大きな被害者17名が今回の原告となっているため17名の被害額及び慰謝料等を含めた金額は1億6875万円となっている。

 上記87名が起こした返金請求交渉は神世界側弁護士と被害対策弁護団の間で行われ、返金金額についてある程度の進展をみたが、交渉の途中でそれまで交渉に当たってきた神世界代理人の鈴木秀男弁護士が2008年10月1日付けで辞任した。辞任した弁護士に代わって新たに笠原静夫弁護士が神世界の代理人となったが、被害対策弁護団からの再三の呼びかけに対しても神世界側からの応答はなく、それ以後の交渉は途絶えたままとなった。こうした状況から、神世界側には返金に応ずる意志がないとみなした弁護団は今回の訴訟に踏み切ることとした。
 第一次訴訟に続き準備が整い次第更なる訴訟も起こしていく予定だ。
 これまで何度も述べてきたことであるが、神世界側にとって返金交渉の段階で被害金額を支払うのと、こうして訴訟になって被害金額等を支払うのとでは大きく請求金額が違い、損害賠償訴訟では損害金額の上に慰謝料や弁護士費用も含めた金額を賠償金額として請求しているので神世界側が支払わねばならない金額は加算されている。
 神世界事件と似たような過去の事例について少し研究すれば、今回の民事訴訟で神世界側に勝ち目がないことは明らかである。
 神世界側にも弁護士がついているにも係わらず、返金請求の段階で問題解決を図ろうとせず、訴訟を起こされるまで問題解決を先延ばしにする神世界側の対応は非常に不可解だ。
 神世界はこれまで自らが雇った弁護士を次々と交代させてきた。その背景には、霊感商法を行う側に都合の良い(被害に無理解と思われる)弁護士を探し求めてきた神世界経営者の思惑が見え隠れする。


3、第1回口頭弁論(2009.07.22)
警視庁前から見た東京地裁

 東京地裁の裁判部には支部を含め54の民事部があるが、今回の神世界に対する損害賠償訴訟は民事第50部が担当することになった。裁判の正式な事件名は、損害賠償 平成21年(ワ)第17050号だ。
 第1回口頭弁論は多数の傍聴希望者があると裁判所が判断したため抽選によって傍聴者を決める方式がとられた。傍聴希望者は東京地裁正門玄関2番交付所で抽選券を受け取り9時50分の抽選結果発表を待った。
 2番交付所で抽選券を受け取った人達は係官に誘導されて「抽選待機所」のような「囲い」の中で待たされる。赤いテープで仕切られた囲いの中で待っている人達は全員が神世界の第1回口頭弁論を傍聴に来た人であることが明白だ。しかし他の人がどのような関係者であるかが不明なため、互いに不安な表情で抽選時間が来るのを待っていた。
 626号法廷は傍聴席数が44席の法廷だが、十数席が記者席として確保されるため今回一般傍聴者に割り当てられた座席数は30席だった。割り当て数以上の傍聴希望者があった場合はパソコンによる抽選が行われ、当選番号が白板に掲示され、当選した人には抽選券と引き替えに傍聴券が配布されることになっていた。しかし今回は締め切り時間までに抽選券を受け取った人数が30人に満たなかったため、パソコンによる抽選は行われず、抽選待機所に集まった全員が傍聴券をもらうことができた。



これが抽選券。10番だった

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傍聴券がもらえた。12番だった
東京地裁626号法廷

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 この日は日本で46年ぶりの皆既日食が見られる日で、東京でも約7.5割が欠けた太陽が見られるはずだったが、東京地方はあいにくの曇天で地上からの日食観測はできなかった。肉眼で欠けた太陽の観測はできなかったが、太陽神を御霊光の根源とする神世界に対する裁判(口頭弁論)が大きく欠けた太陽の下で行われたのは何かの因縁なのだろうか?(笑)

 裁判所入口で飛行機の搭乗口と同じ身体検査、持ち物検査を受けた後、エレベーターで6階まで上がり626号法廷に入った。当然と言えば当然であるが、法廷の様子はテレビドラマでよく見る法廷そのものだった(笑)。
 被告側(神世界側)の代理人席は3名分のイスが用意されているだけだったが原告側代理人の座席は随分たくさん用意されていた。開始時刻が近づくにつれて原告側代理人席の人数が増えていき、原告側は原告、弁護士合わせて総勢18名が着席した(とても狭そうだった)。
 傍聴席には「報道」と書かれた席が十数席あり、報道の腕章をしたマスコミ関係者も数名着席していた。開始時刻が近づくにつれて傍聴席の人数が増えていき、口頭弁論が始まる頃には傍聴席はほぼ満席となった。
 被告側の代理人席に着席したのは神世界側弁護士2名だけで、予想通り神世界関係者の出廷はなかった。


 裁判官3名が入廷し、第1回口頭弁論は定刻を3分ほど過ぎた午前10時13分から始まった。地方裁判所における民事訴訟では1名の裁判官が審理する場合が多いが今回の口頭弁論は3名の裁判官による合議体で審理することになった。抽選による傍聴や3名の裁判官による合議体での審理など、裁判所がこの事件を重要な事件と見ていることが感じられた。
 書記官の、「平成21年(ワ)17050号」という裁判名宣言に続き、裁判長が被告側の状況について確認していたようだったが声が小さくよく聞き取れなかった。後のマスコミ報道によると被告側は請求棄却を求める答弁書を裁判所に提出し全面的に争う姿勢を示したとのことであり、裁判長はその確認をしていたようだ。
原告による意見陳述内容

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 続けて裁判長は、「原告側から意見陳述の申し立てがありますが被告側はよろしいですね?」と問いかけ、被告側弁護士2名(笠原静夫弁護士、門西栄一弁護士)も特に異議を申し立てなかったので原告による意見陳述が行われた。
 意見陳述を行ったのは原告の一人、Aさんだった。右記がその意見陳述の内容だ(個人特定される可能性がある部分は伏せ字に変更)。

 Aさんが意見書を読み上げている間、裁判長はじっとAさんの発言に耳を傾け、陳述内容を真剣に聞いている姿が印象的だった。

 意見書の陳述が終わり、裁判長は、「被告側から訴状に対する認否反論をいただいていないので次回は提出するように」と指示した。
 続けて裁判長は次回期日として9/9午前もしくは9/16午前を原告、被告双方に打診したが被告側弁護士より、「訴状の認否の判断をするためには2〜3カ月間の余裕がほしい」と発言があった。
 それを聞いた裁判長は、「え〜?」という表情になり、「そんなにかかりますか?」と疑問を呈した。
 被告側弁護士は、「訴状の総論部分が相当膨大なので反論も含めて3カ月の猶予を頂きたい」と述べた。
 原告側弁護士から、「訴状は5月25日にすでに提出されており、今日までにも検討する時間はあった。訴状の認否に今後更に3カ月もの期間は必要はないだろう(以上要旨)」と発言があった。
 更に原告側紀藤弁護士から、「被告側代理人・笠原静夫弁護士は刑事弁護から神世界事件を担当しており、そんなに時間がかかるのはおかしい(以上要旨)」との意見が出された。
 笠原弁護士はやや興奮した様子で、「私は関わっていない。一方的にあなたが電話してきただけだ」と紀藤弁護士に向かって声を荒げて発言した。
 それを受けて原告側の別の弁護士からは、「(あなたは)私と話していますよ」という発言があった。更に続けて原告側弁護士は、「総論の認否が今からまた3カ月かかるとは到底思えない。個別の部分がすぐできると言っていたが私はむしろそちらの方が大変だと思う(以上要旨)」と発言した。
 これに対して被告側の笠原弁護士から、「総論の認否には神書が重要な小道具だ。神書の内容は膨大であり、これを全部分析しなければ総論部分の認否はできない(以上要旨)」との発言があった。
 原告側弁護士から、「神書に対する分析は刑事事件でも民事事件でも共通なはずだ。神書の分析ができていないというのはおかしい。我々は神書を全部読んだ。単なる手抜きだと思う(以上要旨)」とするやり取りが続いた。

 議論が堂々巡りとなったため裁判長は、「裁判所としては次回期日は9/16にしたいと思いますがいいですね」と割り込み、被告側弁護士もそれ以上反論しなかったので次回期日は2009年9月16日(水)午前10:10から同じ626号法廷で行われることが決定した。
 裁判長から被告側弁護士に対して第2回期日の一週間前までに準備書面を提出するようにと伝えられた。

 神世界側は請求棄却を求める答弁書を提出し全面的に争う姿勢を見せておきながら、第1回口頭弁論では訴状の認否を一切行わなかった。

 民事訴訟での第1回口頭弁論は準備書面の確認だけでごく短時間で終わってしまう場合が多いと聞いていたが、今回の口頭弁論の所要時間は12分6秒あり、思っていたより色々な展開を見ることができて傍聴に来た甲斐があったと感じた。

 閉廷後、裁判所内の別室にて原告側弁護士及び原告等が集まり、本日の裁判についての報告や今後の裁判に関する見通しなどが述べられた。
 第2回口頭弁論からは書面のやり取りだけでなく被告側代理人等も出廷するので、仕事の都合がつく方はぜひ引き続き傍聴をお願いしたい。多くの被害者が注目している事件であることを裁判所に理解してもらうためにも友人などにも呼びかけて傍聴に来てほしいとのことだった。

 以上により、第2回口頭弁論の日程は2009年9月16日(水)10時10分から、場所は今回と同じ626号法廷と決定した。

第1回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

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