神世界に対する損害賠償訴訟
第3回口頭弁論(2009.11.12)

EXILEの祝賀曲に拍手を送られる天皇、皇后両陛下

 第3回口頭弁論の日である2009.11.12(木)は天皇陛下即位20年記念式典が皇居前等で行われる日でもあったため霞ヶ関周辺には多数の警察官の姿があり、東京地裁周辺にも警察官の姿が目立った。
 神世界に対する損害賠償訴訟の第3回口頭弁論は予定通り東京地裁626号法廷10時10分から行われたが、開始時にちょっとしたハプニングがあった。
 同じ626号法廷では神世界関係の口頭弁論の直前に武富士がらみの口頭弁論が予定されていたようだ。ところが当事者が誰も出廷していなかったようで、それを待つため10時10分になるまでは神世界事件関係者は法廷に入ることができず弁護士も含めた全員が傍聴席で待機する形になった。10時10分になって裁判長等が入廷し全員起立して裁判が始まったが冒頭で武富士関係者の所在が再確認され、その不在が確認されてからやっと神世界被害対策弁護団や原告が法廷内に入ることができた。
 原告側には神世界被害対策弁護団の弁護士11名と原告が着席した。原告側弁護士がずらっと並んだ様子はなかなか壮観で、傍聴席から見ていた被害者の一人は心の中で「皆様いつもご尽力を有り難うございます」と頭を下げていたとのことだ。
 傍聴席は16名ほどが着席していた。その中には数社の新聞記者の他、警察関係者?と思われる人もいた。
 被告側は被告代理人弁護士6名とプラス花の被告2名が着席していた。第1回口頭弁論の時と同じように3名の司法修習生も着席していた。

 この日の口頭弁論では開廷後すぐにEスクエア杉本被告の名前を裁判所側が呼んだ。しかし杉本被告は出廷しておらず、被告Eスクエア及び被告杉本の欠席を確認して口頭弁論が開始された。

 まず準備書面の確認が行われ、準備書面一部差し替えの報告等があった。準備書面による陳述確認は10分間ほどかけて行われたが、「Eスクエアは来ていないので陳述できない」と裁判長が述べた。被告Eスクエア及び被告杉本からは前回期日前に準備書面が提出されていたが、前回期日は欠席し、今回も欠席でしたので同書面は未だに本件の訴訟手続では陳述した扱いとはされていないことになる(同書面に記載した内容について主張した扱いとはされていない)。

 原告側弁護士から書記官を通して裁判長に「神書」が渡された。裁判長が神書を読んでどのような感想を抱くのか楽しみだ。
 プラス花が提出した準備書面に10ヵ所程コピーが薄くて判読できないものがあり、これを受け取った原告側弁護士が裁判長と確認作業をしなくてはならない場面もあった。これについてはちゃんと内容が見られるようにコピーし直して裁判所に送るよう裁判長が加藤被告に指示し、加藤被告は、「はい」と答えていた。

 「双方から準備書面が出ているのでそれぞれ対応していくことになりますが…」と裁判長が先へ進め、「どの原告がどの被告に請求するのか明確にして欲しい」との指摘に対し原告側弁護士は、「今準備中である」と返答した。
 データがないという前回の被告側弁護士の主張に対して裁判長が振ると、えんとらんすの弁護士が、「コピーを頂いて照合中。今回の原告がまぎれているのは確か。早い段階で可能な限り認否しようと思う」と述べた。


 第3回口頭弁論では、「神世界は宗教なのか?」という点についてやり取りがなされた。
 「ここは宗教ではない」発言について、原告側弁護士が、「ここは宗教ではないと言った事実も否認するのか」と質問したのに対し、

●神世界代理人
どのように説明してあったか把握していないが、「宗教ではない」という説明があったとしたならば、「今までの宗教とは全く異なる次元のものだ」と説明したことが考えられる。ここ(書面?)にもあるとおり、原告の「ここは有限会社です」と言われたのと併せて神様とか観音画を見せているのだから、宗教と全く離れた概念で言ったとは考えられない。

●えんとらんす代理人
各スタッフ(どういう発言をしたか)についてはわかりません。「宗教ではない」ということに関しては、少なくとも佐野さんの関係では言ってないとのことです。

●びびっと代理人
「宗教」に関しては不知。改めて検討して答える。

●みろく代理人
個々の方にどういう説明をしたか不明だが、(ここは)宗教であるという前提で話をした。

 以上のように被告側弁護士の返答は質問の趣旨とかみ合わない論点ずらしの返答に終始した。
 裁判長も「神世界は一般的に宗教ではないと説明していたか、原告に宗教と言っていたのか」という問いを被告側に発したが、それに対しても「個々のスタッフについては分からない」という無責任な回答だった。

 このやり取りの直後、被告側弁護士の一人が唐突に、「原告は宗教とはどう考えているんですか?」と質問した。これに対し原告側弁護士は、「宗教の定義が問題なのではなく、スタッフがお客さんに対して”ここは宗教ではない”と言って勧誘した事実の有無を聞いているのです」と断じた。これに関しては「口頭弁論での認否」に詳しい解説があるのでご覧ください。

 次回の第4回口頭弁論は2009年12月16日(水)午前10時10分開廷がすでに決まっていたが、本日は第5回口頭弁論の日程も決められ、2010年2月3日(水)13時30分開廷と決まった。以上で本日の口頭弁論は終了し、10:49に閉廷した。

落ち葉が舞う東京地裁前の通り

 この日の口頭弁論を傍聴していた被害者の一人は、「私たちはサロンで何度も「神世界は宗教ではない。会社だ」と聞かされてきた。当時は客である私達に警戒心を持たせないように『宗教ではない』と言っていたのに神世界側弁護士は的外れなことを言っている」と思いながら聞いていた。特に、被告側代理人が述べた”今までの宗教とは全く次元の異なる宗教”という発言には傍聴していた多くの人が強い違和感を感じた。
 ある被害者は、「神世界側弁護士はスタッフのヒアリングすら行っていない状態のまま出廷してきたことが判明した。一カ月以上の時間が与えられていたにもかかわらず、『分からない、それは不明です』と答える様子を見て、この弁護士達は神世界とこの間どう関わってきたのか更に疑問が湧いた」と感想を述べている。

 口頭弁論終了後、別室にて神世界被害対策弁護団から本日の口頭弁論でのやりとりの説明があり、今後の見通しも示された。
 傍聴した被害者の中には口頭弁論終了後にマスコミの記者の方から取材を受けた人もいた。神世界に対する損害賠償訴訟訴訟を初回の口頭弁論から継続して傍聴しているある記者は、神世界のやり方や被告側弁護人の体たらくに憤慨していたそうだ。


第3回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見など

ここをクリックすると第3回口頭弁論を傍聴した人から寄せられた感想や意見などを表示します。


戻る