妻への手紙(11)
 以下の文章は、私から妻の登志子へ手渡した手紙を、一部の固有名詞等を除き、そのまま掲載しています。
 こうした親書を公開する理由は、同様の問題を抱えている方の参考に少しでもなればという思いからです。
 これを書いたときは、公開することを考慮せずに書いていますので、私と妻の間でしか分からない事情も多少あるかも知れないことを承知の上でご覧下さい。

登志子さんへ(11)

 アンケートに答えてもらい、ありがとうございます。
 アンケート結果を見て、私は心の底から『良かった・・!』と思いました。感激のあまり、涙が出そうになりました。
 これまであなたは、あまり自分の心境を話してくれないので、あなたが神慈秀明会の問題をどのように考えているか、分からないところが多かったのですが、今回のアンケートで、あなたの考えがとてもよく分かりました。
 今回の神慈秀明会問題では、あなたも色々心労が重なったことと思いますが、あなたの賢明な判断でこうして問題が解決できて、本当に良かったと思います。
 この日を、私とあなたの、新たな出発の『記念日』にしたいと思います。

 神慈秀明会の問題が表面化したとき、私はこうした問題を相談できる人が誰もいないので、一人で考えるしかありませんでした。
 私はこうした新興宗教やカルト問題では全くの素人で何の知識もありませんでしたから、当初はカルトのことを知れば知るほど、その障壁の大きさに無力感を覚える時すらありました。
 最悪の場合は離婚という選択肢があることも覚悟しました。
 しかし、私はあなたと○○教会で結婚式を挙げた時、神父さんの前で、「健やかな時も、病めるときも・・・」という誓いの言葉を述べた時に、心の奥で、「どんなことがあってもこの人を幸せにしよう」と誓っていました。
 二人の人間が結婚するというのは、それまで違った人生を歩んできた二人が共同生活をはじめるのですから、新婚当時の熱が冷めれば、色々問題点や気に入らない点が出てくるのはよくある事ですが、それも含めて相手の人格を認めていくのが結婚だと思いました。また、元気な時ばかりでなく、相手が病気になることもあります。病気は身体的な病気だけでなく、精神的な病気や老後は痴呆が発生する可能性もあります。
 そうした「病めるとき」でも、相手をいたわり、共に人生を築いて行くのが結婚だと思いました。
 「今、神慈秀明会の教えに染まった登志子さんは病めるときなのだ・・。こんな時こそ私が登志子さんを守ってあげる必要があるのだ」と自分に言い聞かせてここまでやってきました。

 我ながらよく頑張ってこれたと思いますが、私はあなたを神慈秀明会から取り戻したいという気持ちとともに、あなたを騙した神慈秀明会をどうしても許すことができませんでした。そうした神慈秀明会に対する対決姿勢を明確に持ってきたことが、論点を外さずに戦ってこれた原動力だったと思います。
 世の中には詐欺的商法の被害に遭う人も多いようですが、カルト宗教は単なる詐欺的商法とは違い、金銭を収奪するだけでなく、人権侵害を繰り返し、人の心を破壊し、人間としての尊厳を奪い、その人の人生を台無しにすることに最大の犯罪性があります。幸い、あなたはカルトの影響は受けていましたが、自分の人生を台無しにするところまでは深入りせずに、しっかり自分の考えも持ち続けていてくれたことが、不幸中の幸いであったと思います。
 長年、神慈秀明会に在籍している人の中には、取り返すことのできない痛手を心身共に受けている人がたくさんいます。
 神慈秀明会信者の家族や神慈秀明会を脱会した方だけでなく、現役信者の方からも、私のホームページ、「家族を新興宗教から守ろう」の趣旨に賛同してくれる方が出てきています。皆、神慈秀明会の矛盾点に気づいていながら、どうすることもできずにそのまま信者を続けているようです。そうした方も、私のサイトや「神慈秀明会被害者の会」のホームページを見て、「やはり、神慈秀明会は間違っている」という確信を持たれるようです。私が当初考えていたような、神慈秀明会に関する反カルトの輪が徐々に広がってきているように思います。

 私とあなたの間に発生した神慈秀明会問題は、もうこれで決着がついたと思いますが、まだ多くの人たちが同様の問題で苦しんでいます。
 あなたとしては、私にこうした問題からもう手を引いてほしいと思っているかも知れませんが、神慈秀明会のカルト被害に苦しんでいる人たちの力になる活動を今後も続けて行くことが私の使命だと思っています。
 私がこうして神慈秀明会というカルトと対決して戦ってこれた背景には、インターネット上で力を貸してくれた多くの人たちがいます。人を騙すのも人間ですが、人を助けるのも人間です。神慈秀明会のことについて、多くの情報を教えて頂き、力を貸して助けてくれた元神慈秀明会信者や現役信者等、多くの人たちの力があったからこそ、私はこうしてあなたを取り戻すことができました。
 登志子さんも、気持ちの整理がつき、心の余裕ができましたら、神慈秀明会によるカルト被害防止の活動に力を貸してほしいと思います。あなたのように、実体験を持っている人の協力が得られると、とても大きな力になります。

 私は、登志子さんが、今回のアンケートに真摯に答えて頂き、神慈秀明会に対する姿勢を明確にしてもらい、本当によかったと思っています。ありがとうございました。

 これからも、私たち家族が一緒に、仲良く暮らしていけることに感謝します。

 よかったネ! v(^_^)v

平成○年○月○日

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