神世界関係者逮捕

6、再逮捕
起訴された杉本明枝被告(47)

 神奈川県警と山梨県警の神世界事件合同捜査本部は、2011年3月31日(木)、杉本明枝(47)、安田美香(46)、大平富士子(35)の3名を詐欺容疑で逮捕した。今回の逮捕は、3/10に逮捕した容疑とは別の詐欺容疑での逮捕だ。捜査本部が行方を追っていた元スタッフ・原 良枝(44)も、4/1(金)に逮捕した。
 マスコミの報道では、3/31に逮捕した3名については「再逮捕」となっている。「再逮捕」で思い出すのは、神世界とは関係ないが、複数の男性を次々と殺害した疑いで逮捕された木嶋佳苗被告だ。木嶋被告は、東京都千代田区、東京都青梅市、千葉県野田市等で交際中の男性を殺害した容疑で複数回逮捕された。
 今回再逮捕された杉本明枝被疑者等も、Aさん、Bさん、Cさん・・と多くの被害者を誤信させ多額の金を奪ってきた”実績”があるので、木嶋被告のように何度でも逮捕され、徹底追及されて然るべきだ。なお、同一の被疑事実での再逮捕は、「一罪一逮捕一勾留の原則」との関係で問題があるとされる場合があるが、今回の杉本らの逮捕はそれぞれ別の被害者に対する犯罪事実に基づく逮捕であるので問題ない。厳密には「再逮捕」ではなく、それぞれ別の逮捕である。

 逮捕された被疑者にとって、厳しい取り調べが続く拘置所での23日間は辛い。やっと勾留期限が切れ、「ひょっとしたら釈放されるかもしれない」と思っているところで再び逮捕されるのは精神的に相当きついものがあるだろう。しかし彼女等の行為によって大きな被害を被った被害者の辛さを考えれば、拘置所での数十日の辛さなど、取るに足らないものだ。
 3/10に逮捕された後、横浜地検による取り調べを受けていた神世界関連会社(E2)元経営者・杉本明枝は勾留期限の切れる3/31、横浜地検によって詐欺罪で起訴された。
 逮捕前の映像を見ると、最近の杉本被告は3年前に比べて少々栄養過多に見えた。今後も長く続く拘置所暮らしは体のためには良いかもしれない。堀江貴文被告(当時)は、94日の東京拘置所暮らしの間、麦3米7の割合のご飯を中心とした1日約2200キロカロリーの食事を続けた結果、約8sのダイエットに「成功」したと報じられている。

 3/31に再逮捕された3名に次いで、4/1には新たなスタッフ1名が逮捕された。これからもE2に対する捜査は続行されることが予想されるので、E2関係者は、「次は自分の番か?」と胃が痛くなるような日々を送っていることだろう。神奈川県警は経営者だけでなくスタッフも含めた関係者を逮捕するとともに、被疑者らが係わった複数の事件について連続的に逮捕を行うなど、徹底的に犯罪事実を解明しようとしている。こうした捜査本部の積極的な姿勢には拍手を送りたい。今後行われるであろうE2以外の系列会社への捜査にも大きな期待が持てそうだ。
 3/10に杉本らと同時に逮捕された松本結美子被疑者と郡司麻美被疑者は処分保留で3/31に釈放された。「処分保留」とは、「起訴猶予」や、犯罪の疑いが薄いと判断して起訴を見送る「嫌疑不十分」といった不起訴処分とは違う。今後の捜査によって容疑が固まれば、両被疑者が起訴される可能性はある。


 E2関係者が、「供養をしないから先祖が怒っている。御祈願したら体調が良くなる」などとウソを言って不安をあおり、「祈願料」名目で現金をだまし取った疑いで逮捕されている事実から考えれば、下記のような言葉で被害者を誤信させ不安を煽って金を巻き上げた他の神世界関係者達も逮捕されて当然だ。

神世界関係者が客(被害者)に対して述べた言葉

M入E実(みろく)
 「ご主人の病気をよくするために遠隔スーパーヒーリングをしたほうがよい。ヒーリングを受けることで毒素が排出されます。ご主人の頭の病気は毒素が頭に溜まっているからです。普通のヒーリングではなく、スーパーヒーリングでなければいけません。」、「毎日を受けたほうがよい。遠隔であれば毎日できます。」
 「あなたの家系には、重たいものがある。あなたの妹の病気は、家族の中の誰かが池を埋めたのが原因ではないか。」、「また、無縁仏もいる。このままでは、家系に非常に重たいものがある。妹にも御霊光の話をして、サロンに連れてきたほうがいい。膠原病で、喉が蛙のようにぱんぱんに膨らみ、救急車で運ばれたような人も、御霊光によって命が救われた。」、「ほかの人にもサロンの話をして、連れてきたほうがよい。そのことによって、あなた自身の運気が非常に上昇してくる。」


W田M和(びびっと)
 「あなたには、これから胸に後遺症が出てきますね。」、「将来的に肺の病気になる可能性があるので注意が必要です。」、「お取り次ぎをしたところ、右腰、右肩に痛みがありました。」、「長期間にわたって患う病気がある名前です。名前をもうひとつ持った方がいいです。」
 「その(ほくろを取るために受けた)レーザー(手術)により、体の中に毒が入っているのですね。これ(毒)を取り除かなければあなたの子宮は子宮外妊娠するおそれがありますね。」


K山Y希子(びびっと)
 「あなたには蛇霊がついていますね。」「水の蛇霊は血液に良くありません。リウマチや膠原病の原因になります。」「木の蛇霊は木から落ちてくるものです。木を伐採したりした時に憑きます。家の主や子孫、体が弱い人に憑きやすいのです。憑かれると、よく怪我をするようになり、疲れやすく、すぐくじけ、死にたくなります。」「御祈願をすれば神様が蛇霊をとってくれます。一人で進んでいけるようになります。肉体の破壊が止まり、危険が回避されます。」

M橋H水(びびっと)
 「あなたはご先祖に選ばれてしまったんです。○○さんが苦しんでいるのは、人を信じて傷つき、苦しむようなご先祖がいたから、そのご先祖が同じ運命を子孫に負わせようとして、子孫の中から○○さんを選んだんですよ。」、「このご先祖を供養しないとご先祖と同じ運命をたどり、いつまでも苦しむことになりますよ。」、「自分のご先祖だけだと5万円以上、ご主人のご先祖と併せて両家の御祈願を行う一切合切祈願だと30万円以上必要です。」
 「土用殺の時期に旅行に行くと、後々お子さんに災いが起きます。」、「御祈願をしなければ、将来、お子さんが病気になったり、家庭不和が起きたり、仕事に就けなくなったり、子孫が出来なくなったりします。」、「近場であっても御祈願をしなければいけません。」


淺原史利(えんとらんすアカサカ)
 「あなたの家は問題があります。」、「屋敷神が良くない。狐の霊が家に取り憑いていたずらをし、家族に良くないことがおきます。お祓いするのに40万円かかります。」、「井戸に蛇がいて家族に良くないことがおきます。」、「廊下が家の中央にあるのは子供の背骨を踏んでいるのと同じことです。ご祈願が必要です。」、「子供が9歳になる頃に命に関わるようなことがおきます。ご祈願が必要です。」
 「あなたの家系は非常に重く、それを良くするための金額を出せないほどだが、お墓のお浄めと、御祈願をして、自分の魂の位置を上げて、悪いものの影響を受けないようにしたほうが良い。金額は30万円。」


淺原嘉子(えんとらんすアカサカ)
 「体から冷えが出てきています。」、「肩もこっています。」、「右の腎臓が固くて調子が悪いですね。ヒーリングを受ければよくなっていきますよ。」、「このヒーリングを受けることで身体にも自分の周辺にも結果をいただけます。」、「ライセンスをいただくと、ヒーリングをご自分に対しても出来ますし、家族にすることができるのですよ。」、「よく勘違いをされて困ってしまうのですが、ここは会社です。私も、スタッフには宗教と間違えられないように厳しく指導をしています。」

KR山E子(えんとらんすわーるどヒルズ)
 「あなたは本当に重たい人間。」、「あなたは、サロンに来なければ大変なことになってましたよ。放っておけば死んでました。今、生きていることが奇跡。」、「○○に合格できたのは、非常に奇跡であり、サロンでの御霊光や御祈願のおかげであるが、もちろんそれだけではない。そのため、今後、その奇跡を『神様』にお返ししていかなくてはいけない。今後は、御霊光を頻繁に受けるのはもちろん、この素晴らしさを人に伝えて、サロンにお連れしなくてはいけない。」、「ライセンスを取得しなさい。このライセンスはとてもいいものです。サロンに御霊光を受けに来るのもいいですが、このライセンスを持っていると、ほかの人にも御霊光を行うことができます。霊線でつながっている家族に御霊光を送ることもできます。持っているだけで基礎運もあがります。いわゆるお守りの代わりにもなり、まさに『お守り様』となってくれるのです。」、「この神書は、読むだけで目から御霊光が入ってくる素晴らしいものです。」、「あなたもこの神書を買わないといけません。」、「この額は神書を書かれた方のお肉筆で、書かれたときには、すでに行き場所が決まっていて、ひとつひとつ全然違う。この額からも御霊光が出ています。家に飾っておくと御霊光の力で空気が澄んできます。」

佐野孝(神世界)
 「あなたは生まれた土地が悪い。土地を清める祈願をしなければいけない。」、「あなたの先祖で気管支炎で死んだ人がいる。その人が成仏できていない。その先祖を成仏させるために祈願をしなければいけない。」、「この2つが今のあなたに不幸をもたらしている。」
 「あなた、このままだと恨み殺されますよ。」、「まずは運気を上げなさい。」、「運気を上げていけば、2年後には上に立てます。」
 「神様、神書を書かれた方に感謝をしなさい。」、「スピードが大事。」、「神霊祭に参加でできるということは物凄く良いことなのです。あなた方の先祖が神様に毎日お願いをして神様からお許しをいただいた方だからです。みなさんは、先祖の代表でもあるのです。ですから、必死になって御神業をしなくてはいけません。」



 上記は神世界関係者が客(被害者)に向かって述べた言葉のほんの一部分でしかない。こうした言葉で被害者を誤信させ、不安を煽り、多額の金を巻き上げてきた行為は霊感商法詐欺以外の何ものでもない。こうした行為を行ってきた者達が詐欺容疑で逮捕されることはしごく当然のことだが、一連の行為を系列会社に競わせ、収益を吸い上げてきた神世界トップの責任が厳しく追及されねばならないのは言うまでもない。神世界事件の元凶は神世界トップ・斉藤亨であり、「トカゲの尻尾切り」で捜査を終わらせてはならない。

 東日本大震災の影響で神奈川県警神世界事件捜査本部も何かと大変とは思うが、今後も神世界事件を徹底捜査し、神世界事件という新手の霊感商法事件に係わった者を確実に検挙し、霊感商法は割に合わない犯罪であることを彼らに、そして同じような悪徳商法を目論んでいる者達に思い知らせることが大切だ。神世界事件を解明・解決することは、神奈川県警に科せられた命題であり、県警が神世界事件を解明・解決することができた暁には、県警に対する世間の評価は一段と高まることだろう。がんばろう日本がんばろう神奈川県警



7、逮捕される者とされない者

職場のAさん

(写真はイメージです)
 ある日突然、職場のAさん(34)が警察に逮捕された。彼女がなぜ逮捕されたのか、最初は誰も知らなかったが、ニュースを見た職員が、「あ、Aさんが連行されている!」と叫んだ。「え?神世界ってなに? 彼女は以前そこに関係していたの?」となり、誰かがインターネットで「神世界」を検索してみると、そこには「霊感商法」の文字と、神世界事件に関するたくさんの情報が並んでいた。翌日の新聞各紙にはAさんの名前や経歴、同時に逮捕された者の氏名や容疑の内容が詳しく書かれていた。悪質な霊感商法に係わった疑いで逮捕され、手錠をかけられて連行されたAさんのことは同僚達の間で大きな話題となり、その後数日間の昼休みの話題はその話で持ちきりとなった。
 逮捕されたAさんはその後、検察庁に送検された。ところが送検から20日後、Aさんは「処分保留」で釈放され、再び職場に戻ってきた。しかし、処分保留というのは不起訴とは違う。今後、嫌疑が深まれば起訴される可能性がある状態だ。職場の就業規則には職員が刑事事件の被疑者となり、処分保留になった場合の扱いについて定めた規定はなく、所属長もAさんをどう扱うべきか迷っていた。
 一旦は職場復帰したAさんだったが、同僚達のAさんに対する態度は以前とは全く変わっており、Aさんと目を合わせるのさえ避ける雰囲気があった。結局、Aさんはそうした職場の空気にいたたまれず、自ら職場を去ることになった。
 実名が報道されたことで、Aさんが住んでいる地域でも彼女が霊感商法に係わっていたらしいということが話題となり、新しい職を探すためにハローワークに通うにも、近所の人の目を避けて伏し目がちに歩くAさんの姿がしばらく間見られた。しかし、いつの間にかAさん一家は人目を避けるようにどこかに引っ越して行った。


 上記はある事件をヒントにして私が創作したものであり、事実ではありません。しかし、なんとなくこうしたことは実際に起きそうな気がします。
 警察による「逮捕」や「送検」はまだ”疑い”の段階であり、検察が下した判断も「処分保留」なのですから、決してまだ有罪判決を受けた訳ではないのですが、その疑いを持たれた事案が”霊感商法”という事実は動かしがたく、霊感商法に係わった疑いで逮捕された被疑者が「処分保留」になったからと言って、そのまま職場に留まることは難しいのが日本社会の現実です。ことの善悪は別にして、それが現実です。
 日本社会に於いて、「霊感商法の被疑者として逮捕された」というレッテルを貼られることは、有罪判決を待たずして、社会的に大きなダメージを受けるのが現実です。一度逮捕されれば、職場で、地域で、家族の中でも自分の居場所がなくなることを覚悟する必要があります。ですから、絶対に自分が逮捕されるような状況に自分を追い込んではならないのです。

●逮捕される者
 先日逮捕され、女性刑事に伴われて神奈川県警加賀町署に連行される元E2(イースクエア)スタッフの姿は多くの神世界関係者に大きな衝撃を与えたようです。あの報道を見た多くの人から不安を訴えるメールが届きました。「自分もスタッフをしていた経験がある。自分もあのように逮捕されるのだろうか?」と夜も寝られないほど不安になった人も多いようです。
 私はこの段落の記事タイトルを、「逮捕される者とされない者」としましたが、それは、同じような”活躍”をしてきた元スタッフであっても、人によって逮捕される場合とされない場合があるからです。
 元経営者の杉本明枝が逮捕されたのは当然であり、彼女はどうあがいても逮捕を免れなかったものと思われます。経営者であった者の責任は非常に重く、今後も各系列の経営者に対しては厳しい対応がなされるものと思います。しかし、経営者のことは一般の皆さんには関係ないので、ここでは触れないでおきます。問題はスタッフ経験のある人です。
 先日逮捕された5名の元スタッフはなぜ逮捕されたのでしょう。それは逮捕がどのような時に行われるものであるかを調べてみるとすぐ分かります。逮捕は、「逃亡および罪証隠滅のおそれがある場合に行われる」のであり、逆に言えばそれがなければ被疑者を逮捕する必要はない訳です。あの5名はこれまで警察の捜査に非協力的であったから逮捕されたのです。
 つまり、あの逮捕された5名がもっと早くに神世界の欺瞞に気づき、自ら積極的に警察の捜査に協力していれば、あのような姿を世間に晒すことにはなっていなかった可能性があります。逮捕された者は、これまで何度もそうしたチャンスがあったにも係わらず、正しい情報から目をそらし、神世界という欺瞞組織を信じ続けた結果、逮捕されたのです。

●逮捕されない者
 神世界でスタッフ経験があるからと言って、全ての者が逮捕される訳ではありません。神世界による霊感商法事件の捜査では、数百人に及ぶ被害者からの事情聴取が行われたようです。しかし被害者調書だけでは関係者を逮捕・起訴し、公判維持を確実に行うだけの証拠を得るのは難しいのが実際のところです。霊感商法事件を確実に立件し、関係者を有罪にするためには、どうしても内部事情に詳しい者の供述、つまり被疑者調書が必要です。
 まだ捜査は続行中ですので、ここであまり詳しく書くことはできませんが、神世界事件が解明されていく過程では、多くの元スタッフや元先生クラスの人達の捜査協力がありました。神世界事件を警察が解明するためには、被害者からのみ事情聴取をしていたのでは、なかなか関係者の逮捕までたどり着けなかったのではないかと思います。元スタッフや元先生クラスの人は、客として通っていた人とは比べようもないほど多くの内部情報を持っています。
 今は新しい仕事に就いてバリバリ働いている元神世界スタッフの中にも、もし捜査協力していなければ逮捕される運命にあったであろう人もいます。神世界事件の場合、スタッフ経験者が逮捕されるかされないかは、ある意味「紙一重である」とも言えます。ある程度サロンの営業に関与した人が、あのE2スタッフのように逮捕されたくなければ、今すぐに警察の事情聴取に応じることです。


●不安を訴えるメール
 3/10に神世界関係者が逮捕された後、たくさんの人から不安を訴えるメールが私のところに届きました。メールの内容は、「私もスタッフ経験がある。私も逮捕されるのだろうか?」というものでした。私はそうした不安を訴えてきた人達に対して二通りの返事を書きました。

二種類の返事

  • 返事1

    ○○さんへ
     「あなたはスタッフとして活躍してしまった時期があり、どちらかと言えば加害者側ということになります。しかしあなたはこれまで警察の事情聴取に応じたり、資料提供をするなど、捜査に積極的に協力してきました。あなたが逃亡したり、証拠隠滅を図ることがないことは警察もよく分かっています。私は警察官ではありませんが、あなたが逮捕される可能性は非常に少ないと思います。どうか安心してください。
     あなたが早期に神世界と決別し、警察の捜査にこれまで協力してきたことは、とても正しい判断でした。できればこれからも警察の捜査に協力していただけると助かります。

  • 返事2

    □□さんへ
     メールをありがとうございます。私にメールを送るだけでも随分迷われたことと思います。でも思い切ってメールをお寄せいただいて本当に良かったと思います。皆さん最初に私にメールを送るときには、大変悩まれるようですが、これまで連絡をいただいた方は、皆さんすぐに、「あのときメールを送って良かった」と思っていただいております。
     先日の元神世界スタッフの逮捕をご覧になり、大変ご心配なことと思います。自分もあのように逮捕されるのかと思うと、夜も寝られないのではないでしょうか。あなたが逮捕されるか否かは、スタッフ当時の”活躍”の度合いや、受けていた給料にもよります。できればもう少し詳しく、あなたの状況を私にお知らせください。
     なお、スタッフ経験があるからと言って、全員が逮捕される訳ではありません。実は多くの元スタッフが警察の捜査に協力してくれており、その人達が逮捕される可能性は非常に少ないのが現状です。
     「何度もメールなどしている暇はない。私は絶対に逮捕されたくない」と思われる場合は、今すぐに神世界事件捜査本部に電話をして事情をお話しいただくのが最善の方法です。電話番号は、045-641-0110(神奈川県警加賀町警察署・神世界事件捜査本部)です。



●スタッフも被害者
 スタッフ経験などなく、純然たる客として神世界から被害を受けた人からすれば、「自分を騙したスタッフや先生も加害者」にしか見えないと思います。それは致し方のないことなのですが、では、逮捕されたスタッフ達は、自分がやっていることが詐欺罪で逮捕されるような悪いことだと知ってやっていたのでしょうか? それはスタッフにもよると思いますが、多くの場合は上から言われたままをそのまま実行していたのが実態ではなかったかと思います。彼女たちは神世界幹部達の巧みな話術と脅しによってうまく”手先”として使われてきただけであり、本当は彼女たちスタッフも被害者なのです。客として被害を受けた人以上の被害を受けているのが、実はスタッフだった人達だということも言えると思います。
 神世界のやり方は、客を徐々に深く引きずり込み、客の中からスタッフや先生を仕立て上げては、また次のターゲットを狙わせる手法で組織を大きくしてきました。神世界の核となる者は、斉藤亨を頂点とするほんの一握りの経営者連中だけであり、大半のスタッフや先生は、都合よく、こき使われてきただけです。

●組織犯罪
 平成22年11月17日(水)に東京地裁で行われた神世界等に対する損害賠償訴訟第10回口頭弁論で原告側が陳述した準備書面(5)という書面があります。
 この準備書面(5)は、各原告(被害者)が被告・神世界から受けた違法行為を態様別に分類し、被告が違っても原告が受けた被害には高度の共通性が認められることを検証し、それをまとめた103ページに及ぶ膨大な書面になっています。
 これを読むと、神世界による違法行為は、びびっと、アカサカ、みろく等と会社が違ってもそこで行われていた内容は極めて類似性が高く、一連の犯行が神世界によって組織的になされていたものであることが明らかにされています。
 組織的に行われた神世界の詐欺事犯に対しては、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」を適用し、加重処罰犯罪収益等の没収・追徴が行われるべきです。そのためには、スタッフ経験者など、神世界内部の事情を知っている人の協力が欠かせません。

●トカゲの尾
 先日来、神世界関係者が逮捕されていますが、現在逮捕されている者の多くは「トカゲの尾」でしかありません。トカゲの尾は何度切ってもまた生えてきます。トカゲを退治するにはトカゲの頭を押さえなければなりません。
 元スタッフの大半は神世界から見ればトカゲの尾でしかありませんが、その人たちにも人生があります。一旦逮捕されてしまえば、先に述べたように自分の人生はそこで大きく変化することになります。元スタッフの皆さんが沈黙を続けることは、トカゲ本体を擁護することにしかなりません。トカゲ本体はどんなにたくさんの尾が切り取られても、また新たな尾を再生すればいいだけなので平気です。トカゲの頭は、「詐欺容疑となるような事案は”尾”が勝手にやったこと」と素知らぬ顔をして、事件の責任はすべて”尾”に押し付け、自分たちは豪勢な暮らしを続けています。泣くのは「尾」とその家族だけでいいのでしょうか。

 神世界事件の捜査が、3年以上という非常に長い年月を要して、やっと実を結び始めました。現在はE2に対する捜査が優先されていますが、E2に対する捜査が一段落すれば次のターゲットに対する捜査が急ピッチで行われるでしょう。E2以外の系列でスタッフ経験をお持ちの方が一人でも多くこの記事を見て救われることを望みます。どうか逮捕という最悪の結果に自分を追い込まないようにしてください。




8、逮捕は見えず
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 2011年3月10日から3月31日にかけて複数名の神世界関係者が逮捕された。そのニュースはマスコミ各社が一斉に報じたが、その中でもユニークなタイトルを付けて報じたのが日刊スポーツ(右記)だった。そのタイトルとは、

逮捕は見えず…霊感商法の女 詐欺で再逮捕

というもので、最初にちらっと見たときは私も意味がよく分からず、え?「逮捕は見えず」って何のことだ?と思ってしまった。しかし、意味が分かった後は思わず笑ってしまった。
 「ここは昔首切り場だった」とか、「このままではあなたは大変な病気になる」などと、昔のことでも未来のことでも、”何でも見通せる霊感を持っている筈の女”が、”自分が逮捕されることは見通せなかった”ことを、「逮捕は見えず・・」と皮肉っていたのだ。

 詐欺罪で逮捕され、その後起訴された杉本被告は、2007年12月23日に青山のE2で行った”クリスマス会見”の席上、あたかも自分には霊感があるかのような話をしていたが、神世界の”主要商品”である御霊光に関しても、実は全く何も見えていなかったことが、元E2スタッフの証言で明らかになっている(下記)。

御霊光が強くなった?

 これは、まだE2が活発に活動していた当時の話。
 E2のスタッフだった近藤さん(26才・仮名)は、うっかりして首にかけていたライセンス(お守り)をトイレの床に落としてしまった。ライセンスが床に落ちると御霊光が弱まったり、邪気が入るとも散々言われていたので、近藤さんは心臓が止まる思いだった。本来であれば、すぐにそのことを上の者に報告し「お詫び」もしなければならないのであるが、元来探求心旺盛な近藤さんは大胆にも、ある「実験」をしてみることにした。「私がこれを落とした事は誰も知らない。このまま取り次ぎをしたらどうなるんだろう?」と思い、それを試してみることにしたのだ。
 数日後、近藤さんはなんと杉本に対して「取り次ぎ」を行うことになった。相手が素人ならともかく、サロン内では最も霊感があるとされている杉本に対して、「トイレの床に落としたライセンス」を使って御霊光を送るのだから、近藤さんは内心びくびくしながら御霊光を送った。
 終わった直後、杉本から返ってきた言葉は意外なものだった。

 「近藤さん、御霊光が前より強くなったねー!すごい!!」。

 それを聞いた近藤さんは、「エーー!、この人、本当は何も見えていないんだー!!」と思った。


●インターネットの力を予見できず
 チュジニア、エジプトに起こった政変はカダフィ大佐率いるリビアにも及び、中東一帯では大きな変革が起きている。一連の変革は、”フェイスブック革命”とも呼ばれており、インターネットによる自由な情報交換が可能であったからこそ成し得た革命であったと言える。「情報を制する者は国をも制する」と言われるように、現代は情報が大きな力となる。
 神世界事件がインターネットのない時代に起きていれば、被害は遥かに大きなものになっていただろう。神世界による犯罪行為を摘発するに当たっては、インターネットによる情報交換、情報発信が非常に大きな力となった。
 しかし、神世界の「神」は、インターネットに疎かったのか、神書の内容やインチキ御神体、神世界による被害実態などがネット上で公開されることなど思いもよらなかったのであろう。インターネットや携帯による情報交換の発達を予見できなかった神世界は、すでにその時点で今日の凋落が確定していたと言える。

●fujiyaが見えない神世界
 fujiyaなる人物の評価を誤ったことも、神世界にとって大きなミスであったと言える。神世界は私がどこかの宗教団体の回し者で、神世界が急成長するのを妬んで破壊工作をしていると吹聴していたが、残念ながらその読みは100%間違っていた。私はどこの宗教も信じていない。私が神世界を批判しているのは、神世界が人の道から外れた行為を繰り返してきたからであり、私は神世界に対して強烈な嫌悪感は持っているが、妬みなど微塵もない。
 fujiyaの存在は神世界にとって疫病神のようなものであろうが、神世界の「神」には、私の姿が全く見えていないようだ。

●警察の動きが読めない神世界
 神奈川県警がどのような捜査を進めているかについても、神世界の「神」は全く見えていなかった。某顧問弁護士の見当違いの判断を信じ、「警察はもう関係者の逮捕などできない」と思い込み、神世界新聞を発行するなどして、のうのうと活動を続けていた。  2011年2月11日にS新聞社が、”霊感商法 「神世界」詐欺容疑で近く立件へ 神奈川県警”と題して警察の捜査を暴露する前打ち記事を出したときは私も一瞬慌てたが、他のマスコミ各社は冷静に対応してくれ、S新聞社の後追いをすることなく沈黙を保ってくれた。私も掲示板等には一切その件は掲載せず、S新聞社の報道を黙殺した。こうした極めて簡単なカモフラージュ策であったにも係わらず、神世界側はものの見事にひっかかり、「捜査当局がそのような調査方針を決定したのであれば、S新聞社一社の報道で終わるわけがありません」との判断を示した。私はこれを見たとき、「詐欺師を騙した私はクロサギか?」と思った(笑)。
 彼らが持つ神霊能力が本物であれば、こんな簡単なカモフラージュなどいともたやすく見抜いていたであろうが、悲しいかな神世界の神霊能力は「看板に偽りあり」でしかないので何も見えていなかった。

●杉本被告の神霊能力
私はお金に関する神霊能力
専門なので他の分野は・・?

 3/31に起訴された杉本被告の公判は横浜地裁の第5刑事部扱いで行われることが決まっているが、公判期日は4/8現在まだ決まっていない。期日が決定すればすぐに掲示板でお知らせする予定だ。
 杉本被告の第一回公判は傍聴希望者が殺到するのではないだろうか。杉本被告は何かと話題の人物である。「夫」を演じてきた吉田元警視も変装して傍聴に来るのだろうか?
 証言台で杉本被告は自分の霊感についてどのように答えるのだろう。クリスマス会見で記者に述べたように、「祈祷の金額は神霊が決め、自分はそれを伝えるだけ」と、自分には神霊の声を聞く能力があると相変わらず述べるのだろうか。
 「今回あなたが逮捕されることについて、神霊はあなたに何も教えてくれなかったのですか?」とツッコミを入れてほしいところだが、検事もバカバカしくてそのような質問はしないだろう(笑)。杉本に確かな神霊能力があるのなら、判決を待たずして自分が有罪になることを悟って、いさぎよく全てを白状するのが懸命な判断だ。そうすれば、少しは罪が軽くなるかもしれない。しかし、彼女の神霊能力はトイレで落としたライセンスもかぎ分けられないものでしかないので、自分の行く末を予見することはできず、罪状認否では容疑を否認する愚行に出るのだろう。(2011.4.9)


9、起訴

 このページの冒頭で紹介した通り、2011年5月3日現在、これまでに逮捕された神世界関係者は7名であるが、複数回逮捕された者もいるので、逮捕状が執行された人数は、延べ11名になっている。元経営者の杉本明枝被告はこれまでに3回逮捕され、3/31に詐欺罪で起訴、更に4/21と5/2にも同罪で追起訴されている。その一方で、これまでに逮捕された元スタッフは、いずれも処分保留で釈放された。

 これまでの一連の動きを見ていると、捜査当局の狙いがどこにあるのか推測ができそうだ。事件を主導した疑いで逮捕した元経営者を起訴し、確実に有罪にするためには元スタッフを厳しく取り調べる必要があったのだろう。逮捕された元スタッフなどに対しては、逮捕前にも任意での事情聴取が行われていたが、任意での聴取には限界があり、聴取に対して反抗的態度を取る者や、呼び出しに応じない者もあったようだ。逮捕状を取り、身柄を拘束して20日間の取り調べを行うことで、捜査関係者は元経営者を確実に有罪にできるだけの証拠を確保しようとしたのではないかと思われる。しかし、釈放された元スタッフ達は「処分保留」であり、「不起訴処分」ではないので、捜査当局の狙いはまた別にあるかもしれない。

 逮捕された元E2スタッフ達は、氏名がマスコミで晒され、手錠をかけられ腰縄をつけられて連行される姿が新聞やテレビで報道された(手錠・腰縄はモザイク処理)。自業自得とは言え、「逮捕された」という事実は、逮捕された者の生活を一変させるだけの重さがある。確かに法的には「逮捕」はまだ疑いの段階でしかなく、起訴され、裁判で有罪が確定して初めて罪となるのであるが、日本社会に於いては、「詐欺容疑で被疑者として逮捕された」という事実は、有罪判決を待たずして、公私にわたる社会制裁を受ける結果となるのが現実だ。以前の記事でも述べたが、逮捕されること自体が一つの社会的制裁になっている現実がある。事の善悪は別にしてそれが現実だ。逮捕された後、「起訴されなかった」、「処分保留で釈放された」からと言って、逮捕される前と同じ生活ができる可能性はほとんどないのが現実なのだ。

 元スタッフを逮捕すれば、その者の人生を大きく変えてしまうであろうことが捜査関係者も分かっているだけに、元スタッフを逮捕すべきか否か、関係者も随分逡巡したと思われるが、神世界事件という卑劣な犯罪を解明するためには、スタッフ逮捕もやむなしとの結論に至ったものと思われる。「スタッフも逮捕」という捜査方針が一旦決まれば、今後もその方向で突き進むのは当然のことだ。
 今回のE2に対する捜査方針は、今後行われるであろう、えんとらんすアカサカびびっととうきょうえんとらんすわーるどヒルズなど、他の系列会社への捜査に於いても同じ方針で臨むことは想像に難くない。メインターゲットである経営者を有罪にするために、経営者は勿論、サロンでスタッフとして働いていた者達が、元E2スタッフと同じように次々と逮捕される日はそれほど遠くないだろう。
 私がこれまで何度も警告している通り、自分があのE2スタッフ達のように逮捕されたくなければ、自ら進んで警察の捜査に協力することが、自分と自分の家族を守る最善の道であることを悟るべきだ。「神様ありがとう」等と歌ったり踊ったりしている暇があるのなら、自分の身の振り方を考えることの方が先決だ。
 神世界を止めて、「観音会」なる組織に移籍してみたところで、何ら状況は変わらない。現在の捜査は過去に行われた事件について行われているのであり、現在どこの組織に属しているか等は全く関係のないことだ。

 杉本明枝被告の公判日程がなかなか決定されない状況が続いているが、これは杉本被告が追起訴される状況にあるため、裁判を併合審理で行うことが検討されているのかもしれない。最近の裁判で併合審理となった例としては、首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人罪等で複数の起訴をされた木嶋佳苗被告(36)に対する裁判がある。


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