神世界関係者逮捕

はじめに
 2011年3月10日(木)、神奈川県警神世界事件捜査本部は神世界関係者5名を逮捕した(内1名の被疑者は3/11午前中に逮捕)。
 今回逮捕されたのは一部の神世界経営者とその配下の者でしかない。3/10の逮捕を突破口にして神世界各社に対する徹底捜査を行い、他の神世界サロン経営者等、事件に関与した全ての者が逮捕されることを切望する。
 3/10の逮捕は、神世界事件解明の入口でしかない。神世界事件の全貌が明らかになるまで、検察・警察は徹底した捜査をしていただきたい。
 3/10の逮捕は、2007年12月20日の強制捜査から約3年3カ月、1176日目の逮捕だった。北海道から沖縄まで、日本全国の神世界サロン等で被害を受けた数多くの神世界被害者は一日千秋の思いでこの日を待ち望んでいた。しかし、まだ「本星」は挙がっていない。(2011/3/11記述)


1、E2関係者逮捕の意味
連行される杉本被疑者と松本被疑者

 今回(2011/3/10)の逮捕は、ある意味、「意外」だった。それは5名の逮捕者中、経営者は杉本明枝1名だけであり、残る4名はスタッフであった点だ。「今回の逮捕予定者は5名らしい」ということは、逮捕に至る少し前から言われていた。私の推測では、その内訳は経営者クラスの者が5名かと思っていた。ところが逮捕されたメンバーの多くはスタッフであった。
 逮捕予定者に当然含まれているであろうと思われていた、えんとらんすアカサカ経営者夫妻が逮捕されなかったことは意外であったが、よく考えてみればそれは次回に回せばよいことであり、今回は時効が迫っているE2関係者の逮捕を優先させたのではないかと思う。ただしこれは私の勝手な推測であり、捜査当局は別の考えを持っているのかもしれない。
 逮捕者にスタッフが4名も含まれていたことの意味は大きい。2007年12月の強制捜査後、多くの客やスタッフは神世界を止めたが、頑強に神世界を信じて神世界に残留した者も少なからずいた。神世界等に対する損害賠償の裁判が始まると、神世界は「神世界新聞」なるものを発行し、その中で盛んに神世界の正当性を訴え、残っている客やスタッフを鼓舞して組織の存続と拡大を図ってきた。神世界顧問弁護士は、「神世界は宗教行為を行ってきたのであり、間違ったことはしていない。関係者が逮捕されることなどあり得ない」との主張を繰り返してきた。
 神世界内部に残っていた客やスタッフはすっかりその言葉を信じて神世界と行動を共にしてきたのであろう。しかしここに来て状況は変わった。経営者だけでなく、”スタッフも逮捕される”のである。今なお神世界に通い続けている客やスタッフは、今回の逮捕で女性刑事に付き添われて連行される松本結美子被疑者の写真を見て、「今度は自分もあのようにして連行されるのでは?」と考えただろうか。
 帽子を目深に被り、コートで顔を隠し、下を向いて連行されていく姿はどう見ても「悪いことをした者の姿」でしかない。
 「自分たちは正当な宗教行為を行ってきた。被害対策弁護団や警察が言うような霊感商法詐欺などしていない」という自負があるならば、顔を隠す必要などない。
 一般的には警察に逮捕された被疑者は、連行されるときに顔を隠したり下を向いたままうつむいて連行される者が多い。そうした被疑者は、逮捕された段階ですでに自分が警察に捕まるような悪いことをした自覚があるから下を向き、顔を隠すのだ。
 連行される神世界関係者の姿を親や兄妹、友人がテレビで見たとき、どのように感じるか考えてみるべきだ。


2、スタッフ経験者など
 今回の逮捕をニュースで知り、自分も過去に神世界のスタッフ等をしていた経験がある方も不安になったのではないだろうか。「自分も逮捕されるのだろうか?」と考えると夜も寝られなくなってしまうことだろう。
 しかし、「逮捕」というのはどのような時に行われるものなのか考えてみよう。逮捕とは、「被疑者が逃亡または罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為」なのである。今回逮捕された者達は、このまま放置しておくとそのような行為を行いかねなかったので逮捕された。  これを逆に考えれば、「逃亡または罪証隠滅を行う可能性がない者」は逮捕されないということになる。捜査当局が、「この者は逃亡または罪証隠滅を行う可能性がない」と判断するためには、その者が進んで警察の捜査に協力すればよいことになる。

家宅捜索を受ける神世界本部
(2011/3/11)

 実は、神世界でスタッフや先生として働いていた経験を持つ多くの人が、強制捜査前後から今日までの長期間にわたって警察の捜査に協力してきた。今回、神世界関係者の逮捕が可能になった背景には、多くの元神世界スタッフの捜査協力があったからこそ逮捕が可能になったとも言える。客として神世界に係わっただけであれば警察の調書は「被害者調書」であるが、スタッフや先生として係わってきた人の中には、「被疑者調書」にサインをした人も多い。一般的には「被疑者調書」にサインをすることは大きな抵抗感を持つものだ。しかし、自分が被疑者調書にサインをすることで事件の解明が進むのであればと思い、サインをした人が多い。
 被疑者調書にサインをした人を警察が逮捕したり、送検したりすることはあり得るだろうか? もちろん法的にはそれは可能なことだが、自ら進んで警察の捜査に協力している被疑者と、ひたすら隠れて逃げ回っている被疑者を比較したとき、警察はどちらを厳しく対処するかは自ずとしれたことだ。

 日本の刑事訴訟法にはアメリカのような司法取引制度はないが、状況によっては、”微罪処分”といって、警察の裁量で送検せずに済ませることが認められている。  私は警察官ではないので断定はできないが、捜査協力してくれている被疑者を警察が逮捕したり、送検することはないと信じている。


●今回の報道を見て不安に思っている方へ
 いまなお客やスタッフとして神世界を信じて通い続けていた人の中には、本日の逮捕が大きく報道されたことで、不安や動揺が広がっている人もいると思います。
 どうかこの機会に、「神世界は本当に正しい団体だったのか?」を問い直していただきたいと思います。
 今回逮捕されたのは経営者だけでなく、スタッフとして働いていた者も逮捕の対象になっています。「私はスタッフだから大丈夫」は通用しないことを悟ってください。このページの最上部に表示した女性刑事に伴われて連行される女性の姿は明日のあなたの姿かもしれません。写真がなぜ画像処理(モザイク)されているかは言うまでもありません。
 どのような質問にも必ず答えさせていただきますので、不安を抱えている方は私までメールをお寄せください。私のメールアドレスは、 anti_cult2004@yahoo.co.jp です。

●神世界事件を正しく伝えるために力をお貸しください
 神世界事件の実態を世間に正しく知ってもらうことは、こうした事件の再発を防止するための有効な手段となります。そのためにはマスコミの力を借りるのが効果的です。
 今後もこうした節目ではマスコミ各社から取材要請があります。神世界被害者の方、家族が神世界に嵌っているご家族の方、関係者が逮捕されたのを機会に神世界から離れることを決意した方などで、「マスコミの取材に応じてもよい」という方がございましたら私(fujiya)までメールにてご連絡をお願い致します。

●産経新聞社には協力しません
 マスコミにもいろいろあります。2/11(金)に神世界事件に関する捜査情報を”前打ち”し、神世界側に証拠隠しの時間を与えたばかりか、被害者との約束を破り、取材に応じた被害者が個人特定されるおそれがある報道をした産経新聞社の取材には、私は一切協力しません。
 産経新聞が2/11に前打ちした件については、私や複数の被害者が産経新聞社に抗議しています。詳しい経過については「前打ち」と題してまとめましたので、時間のある時にご覧下さい。



家宅捜索を受ける神世界幹部のマンション
2011/3/11 世田谷区砧(きぬた)
神世界関係者逮捕を受けて記者会見する弁護団
2011/3/10 霞が関の司法記者クラブ


3、逮捕後の流れ
 神奈川県警と山梨県警の神世界事件合同捜査本部によって3/10(木)に逮捕された杉本明枝等、神世界事件の被疑者5名は、3/12(土)に送検された。
 刑事訴訟法によって、逮捕から送検までの時間は48時間以内と定められており、12日の送検は予定通りの動きだ。送検された被疑者5名は地検で24時間身柄を拘束されて取り調べを受ける。ここまでの合計72時間(3日間)で検察官は身柄拘束を続ける必要があるかを判断する。
 今回逮捕された5名は、予め逮捕状が出ている状態で逮捕されており(通常逮捕)、検察官が「逮捕して取り調べる必要あり」と判断して逮捕状を発行したのだから、「逮捕したけど勾留する必要はない」等と検察官が判断することはまずない。
 3/10夕刻に逮捕された神世界関係者5名は、3/13(日)夕刻で72時間を迎えた訳であるが、その間に検察官は「10日間の勾留が必要」と認め、更に勾留は10日間の延長が認められているので、最長20日間の勾留が続く。つまり、今回逮捕された5名の神世界関係者は、送検された3/12から20日後の4/1(金)まで勾留が続く可能性がある。このように、逮捕されると23日間の勾留が続くのが一般的な流れだ。下図は検察庁のHPで公開されている逮捕後の流れを図解したものだ。

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 この23日の間、逮捕された5名の被疑者はどのような扱いを受けるか? 逮捕された者は、通常は留置所(警察の施設)に留め置かれて取り調べを受ける。留置所は「代用監獄」と呼ばれる場合もある。
 留置所に勾留されている被疑者への面会や差し入れは出来る場合と出来ない場合がある。証拠隠滅の可能性があると検察官が判断した場合は弁護士以外の面会が禁止されることがある。今回逮捕された5名は詐欺容疑での逮捕であり、なおかつ本人が逮捕容疑を認めていないので、家族であっても面会や差し入れができない可能性もある。
 上記23日間の勾留期間の最終日までに検察官は、どのような処分をするのか決める。処分には、@起訴、A起訴猶予、B略式命令の三種類がある。起訴後であれば、一定の条件を満たしている場合は「保釈保証金」を預けることで保釈が認められる場合もある。なお、日本では起訴後の保釈はあるが、起訴前には保釈される制度はないので、今回逮捕された5名は4/1までは保釈されないことになる。保釈保証金とは、身柄を釈放する代わりに、公判への出頭等を確保するために預けさせる金銭のことである。
 逮捕翌日に発生した東日本大震災によって警察・検察関係者も大変な状況とは思うが、逮捕された5名の起訴と、まだ逮捕されていない神世界関係者の逮捕に向けて警察・検察関係者は最大限の努力を続けていただきたい(2011.3.19)。


4、新たな疑問
 今回逮捕された5名の住所を見て、いくつかの疑問を感じた。疑問の一つは杉本明枝被疑者の住所だ。報道によると、逮捕された杉本の住所は東京都千代田区永田町2となっている。「永田町」と言えば、国会議事堂など日本の政治の中枢が位置する場所だ。国会議事堂の住所は東京都千代田区永田町1で、杉本の住所は東京都千代田区永田町2だ。つまり杉本は国会議事堂に極めて近い、いわゆる一等地のマンションに住んでいた訳だ。このことは逮捕前から囁かれており、私がマスコミ関係者から得ていた情報でも、「杉本は都内の一等地に建つ高級マンションに吉田元警視と一緒に住んでいる」と言われていた。
 「千代田区永田町2の高級マンション」と言われて思い出すのは、えんとらんすアカサカの浅原嘉子が住んでいた東京都千代田区永田町2丁目13-14にあるプルデンシャルタワーレジデンス(プルデンシャルタワー)だ。私も「永田町2」という住所から、杉本がいたマンションはそこではないかと一時思ったが、後に得た情報では、杉本がいたマンションはすぐ近くの14階建ての別のマンションだった。しかし永田町2という一等地の高級マンションであり、家賃は30万円弱だった。
 杉本は2007年12月の強制捜査時はE2(イースクエア)の代表取締役であったが、港区赤坂のAXIA青山にあったE2の本店は強制捜査後閉鎖され(契約違反で追い出された)、その後、杉本が”活躍”する場は失われていた。強制捜査から3年が経過し、E2はびびっとに吸収されたという話が伝えられている。収入源を断たれた筈の杉本が、なぜ永田町の高級マンションに住み続けることができていたのか? 誰が高額な家賃を払っていたのか大きな疑問であるが、こうした疑問も今後の警察の捜査によって解明されていくことだろう。
 なお、訴状によると杉本の住所は渋谷区神宮前一丁目とされていたが、動向を探られるのを嫌ってコソコソと転居していたようだ。

1名のスタッフが連行された砧(きぬた)の
マンション「グランドテラス」

 もう一つの疑問は世田谷区砧(きぬた)の斉藤御殿「グランドテラス」から連行された人物が誰だったのかだ。マスコミの報道によると、「10日午後3時すぎ、グループ幹部が借りている東京都世田谷区のマンションに捜査員が捜索に入った。約15分後、捜査員がうつむき加減に歩く関係者を伴って捜査車両に乗り込んだ」とされている。
 つまり、今回逮捕された5名の中に、逮捕当日、砧の「グランドテラス」にいた者が含まれているということだ。この5階建ての超高級マンション「グランドテラス」は、最盛期には斉藤亨を始めとして、日原や飯窪など神世界の主要メンバーが居住していた。ここには居住者だけが出入りしていた訳ではなく、先生クラスの者や斉藤一族の身の回りの世話を命じられていた者も出入りしていたので、今回このマンションから連行された者もそうした者だったのかもしれないが、そうだとすると逮捕された4名が「元スタッフ」とされていたのは間違いで、現役スタッフだった者も含まれていることになる。


5、神世界の子供たち
 今回家宅捜索を受けた神世界関連施設には、神世界幹部の子供達が一緒に住んでいた時期もある。神世界に対してはこれまで何度も警察の強制捜査が入っており、今回の逮捕に当たっても10箇所以上の神世界関連施設で家宅捜索が行われている。
 警察の家宅捜索と併せてマスコミが多数取材に訪れ、新聞やテレビのニュースでも繰り返し神世界関係者の逮捕が報道されているので、神世界幹部の子供達も神世界を取り巻く状況の変化や、マスコミの報道は見えているだろう。
 親は自分の子供達に今回のことをどのように伝えているのだろう?ここまできても、「自分たちは間違っていない。悪いことはしていない」と言い続けているのだろうか。
 神世界幹部の子供達も中学生、高校生になっている者がいる。子供達がパソコンや携帯で、「神世界」「御霊光」を検索をしてみれば、出てくる情報は全て神世界を否定的に捉えた内容ばかりだ。どんなに鈍感な子供でも、溢れんばかりの神世界批判を目の当たりにしたとき、親の言い分が正しいのか、ネット上で詳細に報じられている神世界に関する情報が正しいのか、自分で判断できるだろう。
 神世界幹部は客を騙すだけでなく、自分たちの子供にも嘘を突き通すつもりなのか。そのような親を持った子供は、どれだけ心を踏みにじられているか分かっているのか。



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