神世界に対する損害賠償訴訟
第16回口頭弁論(2011.7.26)

法廷前の廊下にある掲示板

 今回の口頭弁論はいつもの626号法廷とは違い、631号法廷で行われた。631号法廷は626号法廷より狭く、参加した原告全員が原告席に着くのは困難だったので、数名の原告は傍聴席に着席していた。傍聴席には警察関係者、マスコミ関係者、先日逮捕され処分保留で釈放された者、家族がまだ通っているという人など、十数名が着席していた。家族がまだ通っているという人は、随分遠方から来ていたようだ。その方は、「ヒーリングサロンによる被害」のホームページを見てくれているようだが、”情報量が多過ぎて”読み解くのに苦労しているとのことだった。この話を聞いて、神世界関係会社数の多さ、事件に関係した人数が非常に多い神世界事件の複雑な構図を、できるだけ分かり安く説明することの難しさを痛感した。

15:30開廷
 口頭弁論は、ほぼ定刻に開始された。法廷は変更になっても裁判官はこれまでと同じで深山裁判長及び2名の裁判官が担当し、書記官だけが新しい人に代わっていた。
 原告側は原告代理人11名が着席。被告側はいつもと同じで、【前列】尾崎(神世界)、市河(アカサカ)、門西(びびっと)、【後列】加藤京子(プラス花)、加藤久喜(プラス花)、清澤(E2)、大森(みろく)、笠原(神世界) の計7名の代理人及び被告が着席していた。

■準備書面陳述
 ●原告側からの提出書面
 甲56号証から甲59号証(神世界新聞[56]と被告杉本の刑事事件の起訴状[57]及び追起訴状[58、59])
 ●被告側からの提出書面
 えんとらんすアカサカより、準備書面(12)(残っていた原告の損害一覧に対する認否)、Aさんに対する訴訟告知書
 E2より準備書面(4)(原告の個別被害に対する認否を行う内容のもの)
 ●「えんとらんすとE2は、準備書面5、6の団体性についての認否がまだ残っているので次回にお願いします」と裁判長。

■資料提出
 被告らが所持している原告らの金銭の出捐を裏付ける資料について、被告側から任意に提出するのか、原告側が文書提出命令をするのかについてやり取りが行われた。
 原告側が、「(前回被告側から出された)訴訟告知の件、原告側からも意見を出したいと思います。訴訟告知はいつ頃になるのか」と問いかけたところ、被告代理人(市河)は、ニヤニヤ笑って、「送るだけですから」と返答した。これに対して裁判長は「告知の対象になるかどうかまだ見ていないので...」と発言した。その後裁判長と原告側代理人との間で訴訟告知に関する意見提出時期についてやり取りがあり、一週間以内に意見を出すことになった。

■刑事事件との関係
 刑事事件との関係で、進行をどのようにするかについて裁判所から原告代理人に対し意見を求められたが、原告代理人は、刑事は刑事、民事は民事でそれぞれ進めて行くべきであり、基本的には刑事訴訟の結果を待たずに民事訴訟の手続きを進めていくよう求めた。

 次回の第17回口頭弁論の日程はすでに決まっていたが、新たに第18回口頭弁論の日程が下記の通り決定した。
■第17回口頭弁論 2011年9月20日(火)午前11時00分開廷(東京地裁631号法廷)
■第18回口頭弁論 2011年11月9日(水)午前10時20分開廷(東京地裁626号法廷)


15:50閉廷


■傍聴していた人の感想
 いつものことだが、被告側からは今回も直前になって書面が提出された。やっと、えんとらんすの認否一覧表(準備書面12)が提出された。
 裁判長が、「原告の3/6付の求釈明(損害一覧表の中には大祭など神世界側で分かるものがあるのではないか)というものがあったが、お分かりになるのでしょうか。 個別の団体を経由してだと思うが、神世界の行事では本部が神世界にあるのでは?」と神世界代理人に問いかけたところ、被告代理人らはしばしの沈黙の後、尾崎が後列の笠原の方をチラッと確認した後、「精査しているので次回までに」と、その場しのぎとしか思えない返答をしていた。
 資料提出を原告、被告のどちらが行うかのやり取りの中で、裁判長が「被告らの方で趣旨はお分かりだと思うので、出して頂きたい。漠然としているので、もっと具体的に言うと、内部の資料があるなら、提出してもらえないか」と述べたのに対して被告代理人(市河)からは、「原告Kさんについては、領収書をこちらで出したとか。領収書があれば、積極的にお出しして頂ければ」とか、「原告側に立証責任あるので、そちらに客観的証拠があるなら出して頂きたい」とニタニタ顔で発言したのは非常に被害者の感情を逆撫でした。
 これに対して弁護団長が、「領収書を出した方が提出すべきだ」という趣旨の発言をしたので、心の中で「その通りだ!」と思った。


20、第四次訴訟(2011.9.14)
齊藤亨逮捕を受けて記者会見をする被害対策弁護団(9/13)
(写真・読売新聞ニュースより)

 神世界教祖・齊藤亨が逮捕されたことを受け、神世界事件被害対策弁護団は9/13(火)、都内で記者会見を行った。
 会見で、紀藤正樹弁護団長は、「斉藤亨容疑者が逮捕されたことで、今後の捜査の進展と組織の全体像を解明することに大きく期待ができる。霊感商法システムそのものを解体してやめさせないと、また被害者が出てしまう。組織的詐欺として刑事事件になったのは社会的意義が大きく、今後もさらなる捜査を求めたい。組織的詐欺として立件されて有罪になれば、被害金額が少なくて被害回復を諦めていた人も、違法性を問える。被害者はさらに増えると思う」と話した。
 この席上、弁護団は下記の弁護団声明を発表するとともに、これまでの訴訟に追加して、新たに第四次訴訟として6名の被害者が損害賠償訴訟に加わることになったと発表した。新たな原告6名(30〜40代の男女)が神世界側に賠償を求めている金額は、計約2,100万円になっており、第一次から第四次までの損害賠償請求額総額は約2億8200万円になった(訴訟額一覧表)。6名は14日にも東京地裁に提訴する予定だ。


神世界事件に関する声明

平成23年9月13日

神世界被事対策弁護団
団長 弁護士 紀 藤 正 樹

1 平成23年9月12日、有限会社神世界を含む神世界グループのトップである斉藤亨が、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕されました。
2 当弁護団は、平成19年12月20日の、神奈川県警による有限会社神世界及び同関連団体(以下「神世界」とします。)に対する家宅捜索をきっかけに、神世界による霊感商法の被事者救済を目的として、全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属し、宗教法人世界基督教統」神霊協会(統一協会)が組織的に行う霊感商法問題に取り組んで来た弁護士を中心として結成した弁護団です。
 弁護団結成後、神世界から多額の金銭を騙し取られたという多くの被寄者の方々からの相談が寄せられました。
 多くの被害者の方々や神世界の元スタッフ、神霊能力があるとされていた神世界の元先生らからの情報提供によれば、神世界は、「癒し」、あるいは、「ヒーリング」という耳当たりのいい宣伝文句により一般市民を勧誘し、真実の目的が神世界が組織的に行っている資金獲得活動を目的としているにもかかわらず、殊更にこれを秘し、被害者の抱える悩みや問題点を言葉巧みに聞き出し、その原因が、体に貯まっている毒素や先祖の因縁であって、御霊光・御祈願によって病気がよくなる、などと虚偽事実を断定的に申し述べて被害者らの不安感・恐怖感を煽り、悩みや間題点を解決するためには御祈願や御礼など様々な名目で金銭を支払うしかないと畏怖・誤信させ、多額の金銭を支払わせてきた団体です。
 弁護団としては、神世界による「神事」「ライセンス」「お肉筆」等の物品販売や、「ヒーリング」「御霊光」「御祈願」を名目とする多額の金銭収奪行為は、いわゆる典型的な霊感商法であり、詐欺ないし組織的詐欺にあたるものと判断し、神奈川県警及び横浜地方検察庁に、詐欺ないし組織的詐欺での立件をお願いして参りました。  その結果、本年3月10日の杉本明枝(有限会社E2代表者)外4名の逮捕に始まり(その後、別の関係者2名も逮捕)、本年5月30日には、えんとらんすアカサカの会主佐野孝、佐野りら、淺原史利、淺原嘉子外1名も逮捕され、杉本明枝、佐野孝、淺原夫妻については詐欺容疑で起訴されました。
 そして、本年8月中旬、神世界の教祖である斉藤亨、有限会社神世界の代表取締役日原易子、同社取締役斉藤葉子、同宮入参希江に逮捕状が出され、斉藤葉子、宮入参希江に続き、遂に、本年9月12日、斉藤亨が組織犯罪処罰法の組織的詐欺容疑で逮捕されました。  現在、杉本明枝の公判が始まっておりますが、杉本明枝は、神世界は当初より宗教団体として活動していたのであり、被害者らの金銭支払は、神世界が宗教であることを知った上での、熱心な信者としての行動であるなどと弁解して、起訴事実を全面的に否認しています。
 しかし、杉本明枝の弁解が虚偽であることは明白です。多数の被害者らが、神世界から金銭を収奪される過程で「宗教ではない」と説明を受けたと述べていますし、神世界関係者は、平成19年12月の家宅捜索後、弁護団に対しても、「宗教ではない」と弁解を述べていました。
 横浜地検特別刑事部及び神奈川県警、山梨県警が、神世界の「宗教活動であって詐欺ではない」との弁解を乗り越え、被害者の悲痛な叫びに真摯に耳を傾け、3年以上の長期間に渡り、慎重に捜査を続け、神世界の典型的な霊感商法を詐欺ないし組織的詐欺で立件するに至ったこと、特に、斉藤亨をはじめとする首謀者らの立件にまでこぎ着けたことについて、弁護団としては、捜査関係者のご尽力に対し、最大限の敬意を表するとともに、今後更に、神世界による組織的な霊感商法の全容が解明されることを期待しております。  最後に、当弁護団には、被害者の方々から多数の被害相談が寄せられていますが、神世界の被害実態からすれば、被害者の大部分の方々が泣き寝入りしているものと思われます。
 また、今回の逮捕をきっかけに、神世界の欺瞞に気づかれる現役信者の方々も多いものと思われます。斉藤亨は、自らの逮捕も予見できなかったのですから、神霊能力などないことは明らかです。
 神世界による被害実態の解明のためにも、被事者の方々やこれから神世界を辞められる方々は、当弁護団宛てに、勇気を持ってご相談ください。

以上


お問い合わせ先
〒102−0083
東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
神世界被害対策弁護団
事務局長 弁護士 荻 上 守 生
03−3515−6681


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