神世界新聞

(下記は、2011.01.09更新)

神世界新聞 第10号(2011.01.01発行)を見て

神世界新聞第10号(2011.01.01発行)
映画「教祖誕生」予告編


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 ビートたけしが書いた、「教祖誕生」という小説がある。1993年には映画化もされたのでご覧になった方もおられるのではないだろうか。ビートたけしの「教祖誕生」は、インチキ新興宗教の内幕を面白おかしく表現するとともに霊感商法を痛烈に批判したものだが、この小説の内容を地で行くようなことが神世界で起こった。

■教祖誕生
 平成23年1月1日付けで発行された神世界新聞第10号がいつもの、「御霊光はすばらしい」というサイトに公開されていた。第10号のトップ記事は、「御啓示によって私の子が二代目教主になります。私は教祖になります。」という内容で、これまで神世界教主であった斉藤亨が新たに「教祖」となり、斉藤亨の子供が「二代目教主」になったことが書かれていた。
 ”二代目教主”に祭り上げられた子供の祖母に当たる神世界代表・日原易子も同じ紙面でこの件について次のように述べている。
 神世界9年(平成23年)1月1日をもちまして、神世界教主様が教祖様になられ、教主様御子息が第二代教主様に就かれます。教祖様は神世界実現における最高の立場において救世を行って下さいます。第二代教主様は理想世界実現の天命を持ち、この世に命を授かりました。創造者の分御魂となり、やがて永遠の幸福世界を実現されます。
 常識のある祖母であれば、かわいい孫が神世界のような怪しげな団体に利用されることには断固反対するのが普通であろうが、平気でこのような提灯記事を書いているところをみると、この祖母には孫を守る気持ちは更々ないようだ。

 斉藤亨には5人の子供がいるが、その内3人はいわゆる”連れ子”であり斉藤亨の実子ではない。自分の後を継がせるのは、実子である可能性が高いが、実子の2名は平成15年生まれと平成18年生まれであり、現在(平成23年1月)の年齢は7歳と4歳でしかない。
 斉藤亨が教祖となり、息子を二代目教主に据えた真の狙いは裁判対策であろうが、二代目神世界教主の座を勝手に押しつけられた子供の将来を思うと不憫である。
 どんな子供にも一人の人間として人格があり、人権がある。自分の子供だからと言って子供の将来を親が勝手に決めてよいものではない。社会的に大きな問題となった神世界事件はいまだ何一つとして解決していない。このような状況下で、何のためらいもなく年端もいかない我が子を神世界教主の座に据えることができる親や祖母の神経は、私には到底理解できない。

■裁判対策としての教祖誕生
 事件が明らかになるまでの神世界は、宗教色を隠すために、「ヒーリングサロン」や「デトックス」などの名称を用い、客から「ここは宗教なのか?」と聞かれたら、必ず、「ここは宗教ではない。会社です」と回答して客を騙し続けてきた。
 これまでの神世界には「教主」や「会主」などの肩書きはあったが、宗教色が極めて濃厚な「教祖」は存在していなかった。「教祖」がいたのでは神世界の実態が宗教であることは一目瞭然になってしまい、大半の客は逃げてしまうことを彼ら自身が一番よく知っていたので、「教祖」を設けることはできなかった。
 宗教色を隠して営業を続けてきた彼らの狙いは当たり、多くの女性が「宗教ではない」という言葉を信じてその毒牙にかかってきた。神世界による被害がこれだけ大きなものになった最大の理由は、神世界の巧みな「宗教隠し」にあった。

 2007年12月に神世界が警察の強制捜査を受けたのをきっかけにして、マスコミはこぞって神世界の実態をテレビ、新聞、週刊誌などで報道した。神世界商法の内情が暴露され、多くの被害者が雪崩のような勢いで神世界を離れ、警察へ被害届けを出し、弁護士が開催した「霊感商法110番」には多数の神世界被害者からの電話が殺到した。
 被害者は弁護団を通して神世界側に返金請求を行い交渉を重ねたが、神世界側の対応が極めて不誠実であったことから、2009年5月25日、東京地裁に(有)神世界等に対する損害賠償訴訟の訴状を提出し受理された。

 裁判が始まってみると、被告・神世界側代理人の口から出てきたのは、これまでの神世界の主張とは180度違った、「神世界は宗教だ。宗教行為を裁判で争うのはお門違いだ」と言った論調だった。神世界側は神世界新聞の中でも「宗教行為がなぜ?」と題して「神世界は宗教だ」との意見を盛んに述べており、損害賠償訴訟を宗教論争にすり替えて切り抜けようとしていることが明白となった。
 第9回口頭弁論(2010.9.15)に於いて、裁判所は平成23年秋には審議を終結し、平成24年早々には判決を出す予定であることが明らかになった。
 こうした裁判所の意向をにらんで今回出された「教祖宣言」は、「審議終了までに、神世界は宗教であるということを裁判所に強力にアピールしよう」として打ち出された神世界側の作戦の一つであろう。
 このような茶番劇によって裁判が有利に進むと思い込んでいる連中の思考は、”あさはら”ではなかった、”あさはか”なことである。

 神世界の実態は宗教とは全く関係なく、ただ単に金を集める目的で作られた組織でしかないことは被害実態を見れば明らかなことだ。東京地裁で原告全面勝訴の判決が出される日はそう遠くないものと思っている。
 裁判所関係者は自分が担当する事件に関するHPは閲覧しないのだろうか? もし東京地裁民事第50部関係者がこのHPを閲覧することがあれば、ぜひ事件の真相を探る手がかりとして当HPをご覧いただきたい。

■「私の一言」は裏面に
 今回も尾崎幸廣弁護士の、「私の一言」が掲載されているが、余りにもつまらない内容であるためか、これまでは第一面に掲載されていた尾崎氏の記事はとうとう第二面(裏面)に追いやられてしまった。なるほどこの内容では編集者が裏面にまわしたくなったのも無理からぬことで、私がその内容について論評するのもバカバカしいことなので、今回は無視させていただく。こんな内容では次号では掲載中止になるかも・・?

■中学教師の問題発言
 毎度のことながら、裏面には複数の”奇跡ばなし”が掲載されている。その内容はどれもこれも取るに足らないような内容でしかなく、本人の勝手な思い込みを羅列しただけのものだが、その中に掲載された沖縄県の中学教師の発言は問題視すべき内容だ。来間加津美という教師は、「神書の内容を生徒に伝えていこうという気持ちが湧いてきて」と述べている。紙面に書かれた内容からは具体的内容までは見えてこないが、「神書の内容を生徒に伝えよう」とする気持ちを持って学級運営をしている教師がいる事実を保護者が知れば大きな問題になるだろう。私は沖縄県教育委員会に対して事実関係を調査するように申し入れた依頼文を送付した(依頼文の写し)

■仕立て上げられた被害者?
 第10号での「宗教行為がなぜ?」はこれまで通り、極めて自分勝手な言い分を述べているに過ぎないが、余りにも事実とは違う内容に、これを書いた某弁護士の良識を疑う。それは、「本件についても紀藤弁護士一派は被害者なるものを仕立て上げ・・」という部分だ。彼らの言い分では、「神世界被害者なるものは実際には存在しない。神世界被害者というのは紀藤弁護士一派が仕立て上げたものだ」ということになるようだ。被害者の皆さんはこれを見てどう思われるだろうか。皆さんは紀藤弁護士一派から”仕立て上げられて”神世界被害者になったのだそうです。




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