神世界事件控訴審(斉藤亨被告の控訴審)

(最終更新日時:2012年10月19日 22:20)


1、斉藤亨 控訴審(第1回)

(斉藤さん、全然似ていなくてスミマセン!)
写真送ってくれたら差し替えます。

控訴審の法廷にたたずむ斉藤被告
2012.10.16 東京高裁805号法廷


東京高等裁判所刑事第10部
805号法廷
---------------------------
平成24年(う)第1239号
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収
益の規制等に関する法律違反
------------------------
平成24年10月16日 11:30〜12:00
裁判長 村瀬 均
裁判官 河本雅也
裁判官 池田知史
検察官 山下 司
被告人 斉藤 亨
弁護人 三木祥史
弁護人 綱取孝治


控訴審での法定内の人物配置
(クリックすると大きくなります)
 2012年10月16日(火)、午前11時30分から斉藤亨被告(53)の控訴審が東京高裁で行われた。
 神世界グループトップである教祖・斉藤亨は平成24年5月1日(火)、横浜地裁で懲役5年の実刑判決を受けたが、量刑を不服として高裁に控訴し、この日の公判となった。神世界関係者に対する控訴審はこれが初めてだ。
 横浜地裁で行われた神世界事件に関する一連の公判では毎回多数の神世界関係者が傍聴に動員され、大半の公判が傍聴抽選券対象になった。中でも、斉藤亨被告が出廷する公判は特に神世界側の動員が多かった。これは被害者や「反対者」を傍聴席に入らせないようにするための「締め出し作戦」でもあったのだろう。しかし私は裁判所に足を運んだ全ての公判を傍聴することができた。
⇒神世界では私(fujiya)のことを「反対者」と呼んでいた。fujiyaという名前を出すと、誰かがその名前をネットで検索して「ヒーリングサロンによる被害」のHPを発見する危険性があったため、敢えて名前は出さず「反対者」という呼び方をしていたそうだ。
 この日(10/16)行われた斉藤亨被告の控訴審にも、第一審のように多数の神世界関係者が押しかけるのかと思われたが、蓋を開けてみると全く違っていた。
 この日、斉藤亨の控訴審を傍聴しにきた神世界関係者はごく僅かで、おそらく10名程度だったと思われる。第805号法廷の一般傍聴席は42席あったが開廷時にはかなり空席も目立った。この日の控訴審を傍聴したのは全体で34名で、34名中10数名は被害者や被害対策弁護団、警察関係者であり、一般の”傍聴マニア”らしき人も数人混じっていた。それ以外の者が神世界側関係者だったが、あの大量動員からは打って変わり、この日傍聴に来ていた神世界関係者はほんの一握りの者だけであった。神世界関係者の顔ぶれはいつもの白髪頭の年配女性の他は幹部クラスの者は誰も来ておらず、神世界も急速に勢いを失っている感が強かった。

 控訴審が行われた東京高裁第805号法廷は、これまでの法廷とは左右が入れ替わり、裁判長に向かって右側に検察官、左側に弁護人が着席していた。  2名の弁護人は、これまで神世界事件を担当してきた弁護士ではなく新しい弁護士に代わっていた。風の便りによると、神世界側顧問弁護士を務めてきたS弁護士は9月中旬に急逝したとのことだ。第一審を担当してきた尾崎弁護士等は、被告全員が有罪判決となったことから解任されたのだろうか?  新たに弁護人となった三木祥史(みきよしひと)弁護士は、最高裁判所司法研修所教官を務めるなどしてきた人物だ。関係者に確認してみたところ、三木祥史弁護士も綱取孝治弁護士も、これまで神世界側弁護人を務めてきたK弁護士のような「悪徳弁護士」ではないとのことだ。

 斉藤被告は弁護人席前の長いすに座っていたので、私はその直近の傍聴席に座り、終始斉藤の表情や仕草を観察することができた。この日の斉藤被告は、私が初公判で初めて見た斉藤の姿とは随分違っていた。顔の血色もよく、髪の毛も手入れされており、服装は黒地にピンストライプの入ったスーツ、白カッターシャツ、黒地に白の斜線が入ったネクタイを締め、終始姿勢を正していた。なかなか元気そうなので、長期間の刑務所暮らしにもきっと耐えることができるだろう。収監されて落ち着いたら、ぜひ私も面会をさせてもらおうと思っているので、その時はよろしくお願いしたい。


11:28開廷
■裁判長:少し時間が早いですが始めます。被告人は前へ。
⇒斉藤被告が弁護人席前の長いすから立ち上がり、証言台の前に立つ。
■裁判長:名前は?
斉藤被告:斉藤亨です。
■裁判長:生年月日は?
斉藤被告:昭和32年10月28日生まれ。
■裁判長:本籍は?
斉藤被告:山梨県甲斐市18番地・・
■裁判長:「玉川18番地」では?
斉藤被告:玉川18番地です。
■裁判長:いま住んでいるところは?
斉藤被告:世田谷区砧4丁目38−4 ●ランド●ラス●●●号室
■裁判長:今仕事は何を?
斉藤被告:現在無職です。
■裁判長:座っていてください。

■裁判長:本件控訴の趣意
9月6日付の趣意書・・・、及び10月10日付の補充書が出ておりますがこの通りですね?
斉藤被告:はい。
■裁判長:補充書の趣旨としては事実誤認の主張をされていますが、要するに本件は未必的故意にとどまると、こういう主張の範囲内で主張されるということでよろしいですね?
斉藤被告:はい
■裁判長:要するに「補充書」ですから、これ以上新たな主張はないですね?そういうことでよろしいですね?
斉藤被告:はい。
■裁判長:検察官のご意見は?
山下検察官:弁護人の控訴趣意・・控訴棄却を・・します。
■裁判長:(予め提出されている書面をめくりながら)事実の取り調べの請求・・、弁護人の方から書証が・・、書面請求・・・・・
■裁判長:検察官の方からは、書証を起こそうと考えていますか?
山下検察官:いいえ。
■裁判長:弁護人の請求については?
山下検察官:書証はいずれも同意します。証人尋問は必要ないと思います。被告人質問は現判決後の情状に限定した範囲内でのみ然るべく。
■裁判長:弁護人は?
三木弁護人:よろしいです。

⇒この後しばらくの間、裁判官と弁護人の間で提出書面の確認作業が行われた。

■裁判長:証人申請については裁判所も必要ないと判断します。被告人質問は原判決後の範囲内で、情状に限って10分程度簡潔に聞いてください。
三木弁護人:はい。
■裁判長:被告人は前に出て。座っていいです。

⇒斉藤被告は証言台に移動し、証言台の椅子に座った。緊張で身体がスムースに動かないのか、一連の動作は緩慢だ。


三木弁護人:では、弁護人の三木からお尋ねします。今回、あなたは一審で懲役5年の実刑判決を受けて、現在控訴をしているが、一審判決で不服な点というのはどういう点ですか?
斉藤被告:一審では、初めからこの組織が詐欺であるかのようになっており、また、神霊鑑定というものは、詐欺をやるための手段であったかのように、はじめから詐欺をやるためのものであったようになっております。それが事実と違うと主張したいということです。ですから5年は重いのではないか、そういう風に考えて控訴しました。
三木弁護人:一審では公訴事実自体は認めてらっしゃるんですけれども、どのような範囲で事実は認めているということになりますか?
斉藤被告:当時私が全体を知ることはほぼ不可能に近い状態でしたので、各社でどういうことが行われているということについては、あまり知らなかった。神霊鑑定士にしても、能力が低いという人がいるということも薄々は感じていましたが、どういう状況でそれが行われていたか十分把握していなかった。その辺でまた、私が当時全国に拠点を作り、拡大し、売上を上げるように言ったことでそれが原因だと・・。能力の低い神霊鑑定士でも現場では・・・・そのようなことが行われたのではないか。それが(私の)一番大きい責任ではないかと思っております。
三木弁護人:そうすると本件で公訴されている事件のように、神霊鑑定士が鑑定能力が十分ではないのにあるかのように装って詐欺をしたと、それ自体は事実として認めるということですね?
斉藤被告:はい、そうです。
三木弁護人:それ以外にも神世界というところでは「御霊光」、「御祈願」、「お浄め」という活動をしていましたね?
斉藤被告:はい。
三木弁護人:御霊光というのは、これは真正な宗教活動とお考えですか?
斉藤被告:その通りです。

三木弁護人:時間の関係で詳しく聞くことはできませんが、宗教活動としてはきちっとした、本来はちゃんとした団体であるという趣旨ですか?
斉藤被告:はい、その通りです。
三木弁護人:御霊光によって神様から救済されるということだと思うのですが、大体の会員の人数はどれくらいですか?
斉藤被告:当時の正確な数は把握してませんが、当時の幹部の人達から聞いた話から想像すると、御霊光ををいただいているだけという人を入れますと、大体1万人くらいじゃないかと思っています。
三木弁護人:そういった人達全員が詐欺であるとは考えていない?
斉藤被告:はい。

三木弁護人:本件では神霊鑑定が問題になっているんですけれども、神霊鑑定以外の点で問題になったということは感じていますか?
斉藤被告:はい。活動のメインは神様からの御霊光によって運気を上げる、体の調子を真の健康にするということがメインの目的でありまして、それが一番大きい活動です。一番の主要なものでありましたが、それでも私の当時の状況は、御霊光の取次の状況とかについても全部の状況を知ることはできない状態でした。でもやっぱり今考えますと、末端の一番目の届かないというか、末端のところで行われる職員とかスタッフなどについては、「絶対に良くなる」など極端な表現をして勧誘をしたり、指導したこともあるのではないかということは思います。
三木弁護人:あなたとしてはその点も含めて十分に反省しているということですか?
斉藤被告:はい。

三木弁護人:神霊鑑定というのは、神世界の活動の中ではどのような位置づけ?
斉藤被告:先ほども言いましたように、神霊鑑定はメインのものではなく、中心となるのは神様からの御霊光による運気の向上などであります。神霊鑑定というのは、神霊鑑定士がその方の悩み事に応じて神霊からのメッセージを受け、そうしてそれによって御祈願とか御霊光そういう風な指導をするものと思います。
■裁判長:時間かかりますか?
三木弁護人:もう少し
三木弁護人:当初、神霊鑑定をする人は何人くらい?
斉藤被告:私が認めた神霊鑑定士は2人であります。その後、神霊能力開発講座によって、十数人かそれ以上の人が受講しまして、実際にその中から神霊鑑定ができるようになった人は数人だったと思います。
三木弁護人:その方達が問題であったということですね?
斉藤被告:はい。
三木弁護人:あなたは、教主という立場だった。その当時そのことをわかっていた?
斉藤被告:そのようなことが行われていたことは知りませんでしたが、神霊鑑定士によって売り上げが十分に増えたきた状況から見て、各社では神霊鑑定が盛んにおこなわれてことは知ることはできましたし、また神霊鑑定士が末端ではどのようなことをやっているかは知りませんでしたが、末端では何かあるかもしれないなみたいなことは感じていました。
三木弁護人:そういう点についても十分に反省しているということですね?
斉藤被告:(声は発せず小さく頷く)

三木弁護人:ちなみに売上を伸ばす指示をあなたはしたようだが、それはどういう目的で指示をしたんですか?
斉藤被告:全国に拠点を作って、神様の力を、救いを広げていくということ。その拠点を100か所以上各社作りましたので、相当な金額が必要になった。さらに総本部、美術館を建設するという方針もありましたので、そのために美術品、宝飾品、世界救世教教祖のお肉筆などを集めて美術館に展示しようと思っていた。そのためにお金が必要だった。
三木弁護人:美術品、宝飾品を集めたのは、前判決ではあなたの「私利私欲のため」となっているが、それは違うということ?
斉藤被告:それは違います。
三木弁護人:では、どういうことですか?
斉藤被告:美術品、宝飾品を展示することで、見る人の感性・品性が向上することを目的としていました。

三木弁護人:示談についてお尋ねします。
三木弁護人:神世界では、これまで被害者からの請求に対して示談ないし和解で殆ど請求に近い金額を返しているということでよろしいか?
斉藤被告:はい
三木弁護人:原判決後も、これまで民事1億2千万円余りの請求に対して、1億1千万円の金額を払っているということですね?
斉藤被告:はい
三木弁護人:今回また証拠に出しているが、更に98名から総額4億1233万円あまりの請求をされているが、それについてはどう対応するつもりですか?
斉藤被告:現実に受け取ったことを確認できれば、全額返済はしてもらうつもりです。
三木弁護人:全額返済をするというのはどういう理由から?
斉藤被告:本来神世界の教えでは、お金を返してほしいという方にはお金を返すという単純な教えがありまして、それに基づいてお金を返すという風に考えていた。
三木弁護人:こういう問題になる前からそういう姿勢であったということ?
斉藤被告:その通りです。
三木弁護人:それはあなたの教えにも通ずること?
斉藤被告:そうです。
三木弁護人:最後にもう一点。会社の解散について。
三木弁護人:神世界グループ各社は、7月11日付で正式な解散公告を出していますね?
斉藤被告:はい。
三木弁護人:今後解散をして、あなとしては宗教活動についてはどうしていくつもりですか?
斉藤被告:今後は宗教活動はしない。しかし神を信じ、信仰は続けていくつもりであります。
三木弁護人:あなた自身は今後宗教活動を対外的にはしなくても、あなたの周りにいた幾人かの人達が今後も同じような活動を続けようと考えた場合、あなたはどう対応するのですか?
斉藤被告:私は今、完全に引退しておりまして、幹部の人たちにもはっきり言いまして、私は基本的に神世界のお守り、御神体、神書は絶対に使ってはいけないというふうに厳しく命じました。ただ、「信仰の自由」というものがありますので、個人の動きまでは・・。
三木弁護人:あなたとしては神世界の御神体などを使ってはいけないとしたので、あなたの関連でまたこういったことが起きることはないという理解でよろしいか?
斉藤被告:絶対にありません。

綱取弁護人:先程、お金を返してほしいという人がいた場合には返すという神様の教えであると述べられたが、今回の事件では、当初、(当時の)弁護人の判断に従って、被害者に対する支払いを拒んだ時期があったね?
斉藤被告:はい。
綱取弁護人:その辺のあなたの心情、認識ってどういうことだったのですか?
斉藤被告:もともと宗教の教えとか活動と、社会のルールは別に考えていまして、いくら神様の教えといえども社会のルールはしっかり守らなければいけないと思っていました。ですから今まで経理はしっかりやっており、金銭の不明なものは一切なく、何の狂いもなくやってきました。
そして、法律的なことについてもしっかり守ってきたつもりでおりましたけれど、民事において訴訟になりまして、そういうことから、やはり法律の専門家にお任せした方が最善ではないかとそう思い、依頼することにしました。その結果、当初は返金することはなかなかできませんでした。

⇒【解説】斉藤が言いたいのは、「私は法律を守る意思があった。民事訴訟が起こされたので、法律の専門家である弁護士に依頼した。ところが当時依頼した弁護士が返金に反対していたので被害者に返金ができなかった。悪いのは当時の弁護士であり、私は悪くない」ということ。

綱取弁護人:すると神様の教えがあっても、社会の規律とか、社会の専門家の意見があればそれを尊重するという姿勢であるということですか?
斉藤被告:はい、その通りです。

■裁判長:以上でよろしいですか?

三木弁護人:弁護人としては今、示談を進めており、12月いっぱいか1月初めくらいまでには今請求されている人たちと示談できると考えています。出来ましたらもう一回期日を指定していただきたい。
■裁判長:(この先変動する要素があるのは)示談の関係だけですので、先に(判決の)日時を決めまして、それまでに(示談内容等の)状況が変わったら事前に裁判所に(書面を)出して連絡していただきたい。

■裁判長:検察官の方から、被害者の意見陳述(書面)があるんですね?
山下検察官:はい。

⇒弁護人も同意したので、検察官が被害者の意見陳述が記載された書面を裁判長に手渡した。書面による意見陳述をしたのは、ある神世界被害者の女性だ。

⇒この後、次回期日(判決)の日程調整が行われた。弁護人の都合がなかなか合わず、期日が決定するまでに二転、三転したが、最終的には12月6日に決定した。

■裁判長:それでは判決は、12月6日木曜日の午後1時半、法廷はこの法廷です。

11:54閉廷



被害者の感想(1) 投稿者:ブレイク

 斉藤亨被告の控訴審を傍聴した。
 斉藤被告は「教主」という神世界のトップに君臨していた男なのだから、もっとしゃんと芯の通った人物で、人間的にも大きな器の持ち主かと思っていたが、目の前で見た斉藤被告の姿、彼が話す言葉には全くオーラがなく、そこに居たのはただの「オッサン」でしかなかった。外見も話し方も、斉藤の後ろに座っていた三木弁護士の方がよほど素敵だった。

 弁護人の質問に答える斉藤被告の話し声、話し方を聞いていると、教祖としての威厳は皆無で、ボソボソと低い声で答える彼の様子からは、犯罪者の雰囲気が濃厚に漂っていた。
 ひょっとすると、あのボソボソとした精気のない話し方は、ショボーンと反省している雰囲気を醸し出そうとした演技なのかもしれないが、もしそうであればとんでもない大根役者でしかない。口では「反省している」と言っているが、聞いている者には彼が反省しているとは全く聞こえてこないし、心に伝わってくるものは何もなかった。

 傍聴席には神世界側の女性が数人来ていた。被告全員に有罪判決が下されても、まだ目が覚めないのは”自己責任”、”自業自得”と言われても仕方がないとも思ったが、未だにこんな男に騙され続け、傍聴席で必死にメモを取るおばさん達の姿を間近に見て、同じ女性として哀れにも思った。見方を変えれば彼女等も被害者なのだ。できることなら今からでも遅くはないので、斉藤らの操り人形として貴重な人生を終わりにするのではなく、自分の人生を生きてほしいと思った。

 斉藤被告自身は現在は引退していると言っていたが、こうして必死にメモを取っている連中はこれからも形を変え活動を続けて行くのだろう。神世界事件が一定の解決に至り、マスコミによる報道は下火になっても、このサイトがなくなることはない。活動を続けている者の中には子供がいる者もいる筈だ。今の若者はインターネット無しでの生活は考えられない。子供達はいつでも「親の過去」を知ることになるのだ。
 客観的に家族を観察できる年齢になった子供達は、どのような形で親の過去・現在を受け留めていくのだろう。

 人間は、一人で生まれてきて、一人で旅立っていく。
 悪行によってほんの一時の地位と経済的繁栄を得たところで、悪事が長続きした例しはなく、未来永劫そのような状態が続くことはない。
 斉藤被告は、詐欺行為は全て他の者がやったこととして責任を転嫁し、我が身の保身に全力を上げていたが、それが斉藤亨という人間の器なのだろう。他の者のことなど何とも思ってない姿が、この日の公判でも色濃く出ていた。
 時が過ぎ、世間が忘れてくれることをひたすら願い、ほとぼりが冷めれば、蓄えた資産によって優雅に、仕事もせずに過すことが最大の願望なのだろう。
 斉藤被告の辞書には「因果応報」という言葉が載っていないのだろうか?そんな斉藤被告に一つの書をプレゼントしてあげよう。返金すればそれだけで自分の犯した罪の償いができると勘違いしているあなたには、下記の書がよく似合う。




被害者の感想(2)

 組織のトップの言葉とは思えないと言うべきか、“この組織の”トップにはふさわしいと言うべきか、しばし頭を抱えて悩むと言ったらいいのか、腹を抱えて何とやらと言ったらいいのか、開いた口が塞がらないと言ったらいいのか、なんとも言い難い、混沌とした気持ちだ。
 あまりにも、・・過ぎて「絶句」。
 こんなところに所属していた自分が心底恥ずかしい。

 末端は、「自分以外のもののせいにするなっ!」と日々、教え込まれてきましたが?
 あなたは最高責任者ですよね?

 初めと違うから自分には責任がない?
 変貌してきたのなら統制するか、解散するか、辞任するかすればよかっただけのことをあなたがしなかっただけですよね。
 「何かに目が眩んでその座に居座り続けた自分」が事実であり、あなたにすべての責任があるのです。
 他に想像以上に悪が増殖したとしても、共存して繁殖していったことに変わりはありません。

 あなたの言う「責任」は、世間一般では「無責任」と言います。
 教祖様の主張を要約すると、「薄々感じていたが把握しようとしなかった、でも悪いのは能力の低い鑑定士だ、末端スタッフだ」、「なかなか返金できなかったのは弁護士のせいだ」となります。
 問題が生じたときに、部下や他人のせいにする組織のトップがどこにいるでしょう。
 この世でも神様の世界でも通用しないことを言っている、そんなのがこの組織のトップであり、実態です。

 そして何より、最悪なのが、「5年は重い」と言えてしまう無神経さです。
 反省も何もあったもんじゃありません。
 その5年以上、長きに渡って苦しんでいる人々がいるということを全く分かっていない。
 亡くなった方々もいるという事実を全く受け止めていない。
 返金されようが、関わりがなくなろうが、道を踏み外した事実は私たちから一生、消えないのです。
 そのことがどれだけ重いことなのか、たった5年の時間も耐えようとしないその無神経さには、さらなる厳罰を望みます。自分が現在進行形でしている罪の重さに気づかない者には、天秤が釣り合う結果をどうかお与えください。






2、斉藤亨 控訴審(第2回・判決)

民事訴訟の頃は工事用テントに囲まれ
ていた東京駅も今ではきれいになった


東京高等裁判所刑事第10部
805号法廷
---------------------------
平成24年(う)第1239号
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収
益の規制等に関する法律違反
------------------------
平成24年12月6日 13:30〜14:00
裁判長 村瀬 均
裁判官 河本雅也
裁判官 池田知史
検察官 山下 司
被告人 斉藤 亨
弁護人 三木祥史
弁護人 綱取孝治

 神世界事件の首謀者・斉藤亨被告に対する控訴審判決が2012年12月6日(木)午後1時30分より東京高裁であった。
 この日の東京地方はよい天気で寒さもそれほどではなかった。午後1時前に東京高裁に到着し、ロビーに置かれている予定表で斉藤亨の公判が第805号法廷で行われる予定であることを再度確認した後、裁判所内を散策して神世界関係者を探してみた。
 ロビー等にはこれまで同様数名の神世界関係者の姿が散見された。神世界関係者は要所要所に陣取り、被害者側を監視しているようだった。前回の控訴審には姿を見せていなかった神世界代表取締役・日原易子や(有)びびっととうきょう代表取締役・和田美和、(有)みろく代表取締役・宮入英実の姿もあった。しかし以前の横浜地裁で行われた裁判時のような信者の大量動員はなかった。午後1時頃から805号法廷前の廊下に並ん列の中には10名ほどの神世界関係者と思われる者がいた程度だったが、時間とともに一般傍聴者も増え、午後1時15分頃には傍聴希望者が定員に達した。
 傍聴席に入ると傍聴席の一隅では先に席取りをしていた信者が後からきた会主や陽龍に席を譲っている姿があった。弁護士らに付き添われた斉藤亨被告が片手にバックを下げて法廷内に入ってきた。斉藤被告には弁護士だけでなくE2の事件で逮捕された元自衛隊員の男と和田健司も付き添っていた。被告人席に着席した斉藤は前回と同じような黒系のスーツ姿でバックを横に置いていた。


13:34開廷
■裁判長:被告人は前へ。
⇒斉藤被告が弁護人席前の長いすから立ち上がり、証言台の前に立った。そのまま起立した状態で以下の判決等を受けた。
■裁判長:それでは、被告人斉藤亨にする組織的な犯罪の処罰に関する法律違反について判決を言い渡す。

●主文
■裁判長:斉藤亨被告を懲役5年とした第一審横浜地裁判決を破棄し、懲役4年6月に処する。未決勾留日数90日を刑に算入する。

●理由(要旨)
1)被告人の控訴趣意は、
@事実誤認(確定的故意ではなく未必の故意)、
A量刑不当の2点である。

2)@については、
ア)被告人は教主という絶対的立場にあり、その指示には従うべきとされていたこと
イ)佐野を神霊鑑定士にしたのを皮切りに、実際にはそのような能力がないと自白している者も含め次々に神霊鑑定士に仕立てた
ウ)他の宗教と異なり、悩みの原因を的確に特定し、確実性を強調していた
エ)売上増加を頻繁に指示し競争を煽っていた
オ)任務分担させ、比較的安価なヒーリングなどから多数の顧客を神霊鑑定へ誘導し、多額の金を支払わせていた
カ)このような典型的手法は本件も同じ
キ)「結果が出ないことを分かっていた、その点が詐欺にあたると思う」と被告人本人も供述している
などの事情から、確定的故意が認められ、「事実誤認」との控訴趣意には理由がない

3)Aについては、
組織的、巧妙かつ悪質な犯行態様、結果が重大であること、被告人は絶対的立場にあったこと、
被告人が仕組を考案し、拡大させたこと、巨額の利益を得ていたこと、佐野の進言にもかかわらず継続したこと
などの事情からすると、原判決の量刑は宣告時には相当だったと認められる。
一審判決後、さらに130名と和解して和解金を支払った事実は、犯情の悪質性からすれば刑の執行を猶予すべきとは到底いえないが、刑期を減ずるのが相当
以上の理由により、斉藤被告を懲役5年とした第一審横浜地裁判決を破棄し、懲役4年6月に処する。

⇒斉藤被告に判決理由を読み上げる村瀬裁判長は、少し体を前に乗り出すような姿勢で時折斉藤の表情を凝視しながら、落ち着いた声で一言一言噛みしめるようにして文面を読み上げていた。

■裁判長:判決に対して不服があれば上告の申し立てをすることができる。
斉藤被告:はい
■裁判長:上告する場合は、今日から15日以内に最高裁判所宛に上告の申立書を書いて提出するように。
斉藤被告:はい
⇒斉藤被告が発した「はい」は如何にも気落ちした感じの「はい」だった。
⇒裁判が終了し一斉に傍聴人が外に出て行く波に乗ってしまったため、法廷内に残っていた斉藤のその後の様子を観察することはできなかった。


13:47閉廷



判決を聞いて
 判決の受け止め方は人によって様々だと思われるが、斉藤亨被告に下された懲役4年6月の判決は、東京高等裁判所の判決という点で重みがあるだけでなく、
@に関しては、宗教であることを否定していた点や当初は安価なヒーリングで神霊鑑定へつなぐという点を「典型的な手口」と東京高等裁判所が認定したことで、起訴された事件以外で神世界の被害に遭った多くの人達の被害も神世界による詐欺事件被害であることが明確になった点が画期的だ。
Aに関しては、さらに和解して5億円もの和解金を支払っても実刑は免れない程の悪質な事案だった点が明確にされたという点で意義ある判決だったのではないかと思われる。
 「実刑の長さ」という点だけを見ると第一審より6月刑期が短くなった点に不満が残るが、東京高等裁判所がこの日の判決で示した内容は横浜地方裁判所が下した判決より更に踏み込んで神世界事件を厳しく裁いた判決と言える。
 懲役4年6月という量刑は神世界事件全体からみるとやはり軽い判決と言わねばならないが、1審で懲役5年の実刑判決を受けた後、更に5億円以上の和解金を支払ったということを考えると理解できる範囲の量刑ではないかと思われる。この判決が今後他の事件に与える影響は大きい。
 下記に被告等がこれまでに支払った賠償額を一覧表にして示す。


神世界事件 和解時期、人数、損害賠償額等
まだ被害を訴えていない人は直ちに弁護団に連絡を!
神世界被害対策弁護団 → 03-3515-6681


 この日の控訴審で再び実刑判決となった斉藤亨被告は、控訴審判決が不服であれば判決の日から15日以内に最高裁判所に上告することができる。しかしこの事件は被告自らが裁判の中で組織的詐欺の罪を既に認めている事件であり、量刑が不当であるとして上告したところで最高裁では「実質的に審理を行う必要性がない」と判断され、上告は即座に棄却されるのが落ちだろう。
 最高裁判所というのは、判決が憲法に反していないか、過去の判例に反していないかを審理するところであり、「量刑が重すぎる」等という理由で最高裁判所が新たな審理を行う可能性はない。
 斉藤亨被告としては、なんとかして刑務所に収監される時期を遅らせたい一心から、”ダメ元”で上告する可能性はあるが、無駄な抵抗に終わるだけだ。
 斉藤亨被告には未決勾留日数90日があるので、実際に刑務所で服役するのは4年6月から90日を差し引いた4年3月になる。斉藤亨被告が収監され、「斉藤亨受刑者」となった暁には、私は斉藤に手紙を出したり面会を申し入れるなどして直接斉藤から事件の真相を聞いてみたいと思っている。斉藤受刑者はその時は是非応答していただきたい。


やや日刊カルト新聞


2012年12月9日号の「やや日刊カルト新聞」にもこの判決に関する記事が掲載されています。


弁護団記者会見

東京高裁司法記者クラブにて行われた記者会見(2012年12月6日)
 控訴審で斉藤亨被告に懲役4年6月の有罪判決が出された後、午後2時15分から東京高等裁判所司法記者クラブにて被害対策弁護団の記者会見が行われた。会見には弁護団長の紀藤正樹弁護士、事務局長の荻上守生弁護士とともに3名の神世界事件被害者の女性が出席した。

■被害者Aさんの発言(要旨)
 私は被害対策弁護団が結成される前から闘ってきた。当初はこうした結果が得られる状況ではなかったが、じっとしていても始まらないと思い、弁護士さんとともに闘ってきた。本日この(斉藤亨被告に懲役4年6月の実刑判決という)結果を得て、やっとここまで来たと思うとともに、え?これだけ?という思いもある。複雑な思いはあるが、ここまで来ることができたのは皆様のおかげと思っている。
 神世界を止めるときは非常に大きな不安があり心の中で葛藤したが、止めてみると散々脅されていたような悪いことなどなにもなく、神世界を止めた後の方がお金も生活も順調に行っている。
 しかしまだ被害を訴え出ていない被害者の方が多いので、サロンに行って少しでもお金を払ったことがある人は弁護団に連絡を取ってほしい。電話でいいので弁護団に連絡をとっていただきたい。

■被害者Bさんの発言(要旨)
 神世界事件の被害者は、その多くが泣き寝入りしているが、私も当初は泣き寝入りしている被害者の一人だった。しかし捜査当局の尽力によりこうして事件が立件されることになり、私もその捜査に協力してきた。この事件は多くの被害者がいるのにその中の一部の人しか被害を訴えておらず、被害弁済も一部の人にしかされていない。今後はこうした事件に遭っても泣き寝入りせず、被害を受けた人は被害を訴え出ることができる社会を作ってほしいと思う。
 まだ被害を訴え出ていない人は、身近な人に打ち明け相談してみるのも一つの方法だと思う。私も一人で抱え込まず、友人に相談したのが結果的に良かった。

■被害者Cさんの発言(要旨)
 約3年間スタッフとして神世界で働かされてきた。その3年間は休みもほとんどなく、睡眠時間もなく、食事もまともに食べることができない異常な状態だった。そのような中で体調を崩したことをきっかけとして強制捜査直前にサロンを脱出した。しかしマインド・コントロールされていたため、脱出後も自分が騙されていたと認めることができず、再び客としてサロンに通うようなこともあった。迷いつつも、警察、検察の捜査に協力するようになり、その中で横浜地検の検事と話をしていく中でやっと自分も騙されていたのだと確信を得ることができた。
 本日の判決には複雑な思いもあるが、霊感商法やスピリチュアルなもの、宗教めいたものが絡んでいる場合は立件が難しい中で、教祖・斉藤亨に実刑判決が出されたことは良かったと思っている。
 まだ被害を訴え出ることができないでいる被害者も多いので、これを契機にそうした人達が被害を訴え出てくれるといいと思う。今後も私はそうした活動に協力していく。
 神世界は「解散した」、「活動を止める」、「反省している」と言っているが、まだ謝罪の言葉をもらっていない。本日の公判傍聴にも神世界傘下企業の代表者である女性2名が来ており、十数名の神世界を信じて活動している者達も来ていたので、これからも注意をしていく必要があると思う。
 スタッフとして働いていた人や神世界の活動に心ならずも参加させられていた人、今なお神世界を信じている人などこれまで被害を訴えることができていない人も、すでに斉藤は裁判を通して組織的詐欺を働いていたことを認めているのだから、意を決して被害を訴え出てほしい。
 「神世界」と名乗らずに活動してきたサロンも多いので、自分が神世界被害者だと気づいていない人も多い。「ヒーリング」や「サロン」というものに係わって被害を受けた人はとにかく弁護団に連絡してほしい。


■紀藤弁護団長
 神世界は被害者数を自分たちで推計している。彼らが推計した被害者数は4715人となっている。神世界グループは解散したが、なお4400人以上の被害者が泣き寝入りになっていると思われる。弁護団としてはこうした状態を放置することはできないと考え、引き続き被害救済を続けることを決定した。被害者の方は、とにかく早めにご相談ください。
 斉藤亨被告は、自らを「主」と称して、神世界の教典にあたる『神書』などを駆使し、いわば信者を恐怖で縛る、すなわち「マインドコントロール」の手法を使用していました。そのため、今なお声をあげること自体に恐怖を感じる被害者もいます。少しでも心当たりのある方は怖がることはありません、ぜひ弁護団に相談してください。

神世界被害対策弁護団 → 03−3515−6681




神世界による組織的詐欺事件の控訴審判決に関する声明
−斉藤亨被告人の実刑判決を受けて−

平成24年12月6日


東京高裁司法記者クラブにて行われた記者会見
(2012年12月6日)
東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
TEL 03-3515-6681
FAX 03-3515-6682
神世界被害対策弁護団
団 長 弁護士 紀 藤 正 樹
事務局長 弁護士 荻 上 守 生
外28名  


 当弁護団は、平成19年12月、斉藤亨を頂点とする神世界グループによる組織的詐欺事件の被害者らの被害回復等を目的として結成された弁護団です。当弁護団は、この間6年にわたり、「ヒーリング」「御祈願」「御霊光」などの効能をうたって組織的詐欺を続けてきた神世界グループによる被害者の救済活動を行ってきました。

 そして本日、丸6年を経て、ようやく東京高等裁判所第805号法廷において、神世界の教祖である斉藤亨被告人に対する組織的詐欺被告事件の控訴審判決期日が開かれ、同被告人に対し、懲役5年の第一審の実刑判決がほぼ維持され、懲役4年6月の実刑判決が出され、組織的詐欺が有罪とされたことは、非常に大きな意義があると考えています。

 同判決は、「神世界事件」の被害の実態、すなわち教祖の指示で、宗教行為に仮託してなされた組織的詐欺による金銭収奪の悪質性、死者すら出している悪質な団体であるという真実を直視し、第一審判決後に、神世界側が、弁護団で受任している被害者に対し被害弁償(130名約5億1500万円)を行ったことなどを考慮しても、なお神世界の被害総額が約180億円にも及び、全ての被害弁償額を考慮しても全体の被害額のわずか7%(被害者数では6%)に満たず、今なお、神世界側の推計を前提としても4441人もの被害者の救済が行われていおらず、泣き寝入りを強いられ、他方、斉藤亨被告人らは「違法かつ不当な収益」を確保しているなどの被害実態も十分考慮したうえで、実刑判決を選択し減刑をほとんどしなかったのであり、当然のこととして評価できます。
 加えて高裁判決においても、教祖の指示で宗教行為に仮託してなされた金銭収奪行為が組織的詐欺行為にあたるとの認定が維持されており、この点は統一協会(世界基督教統一神霊協会)に代表されるいわゆる霊感商法による被害が絶えない中、画期的な意義を有するものと評価できます。

 さらに同判決は、宗教団体の教祖が、宗教活動について詐欺にあたることを自白した、わが国における戦後の宗教史上初の事件です。神奈川県警の現場の警察官、立件に漕ぎ着けた横浜地検の検事が、被害者の悲痛な叫びに真摯に耳を傾け、慎重かつ粘り強く捜査を継続され、教祖斉藤亨をはじめとする幹部らの組織的詐欺による有罪判決を得るまでにご尽力されたことについて、改めて敬意を表しますし、このご尽力が、深刻な霊感商法による詐欺被害の救済に繋がったことについて、捜査機関においては、良き先例として、今後は、積極的に悪質な霊感商法の摘発を進めていただきたいと願う次第です。

 もっとも、この「神世界事件」では、大きな課題も残りました。
日本社会においては、未だに統一協会のみならず、「ヒーリング」「占い」「鑑定」「自己啓発セミナー」などを手段とした霊感商法やスピリチュアル商法を行う団体、個人が跳梁跋扈しており、深刻な被害が続発しておりますが、これらの霊感商法、スピリチュアル商法に対する捜査機関による詐欺罪、組織的詐欺罪による立件は、現状においても抑制的に過ぎると言わざるを得ません。

 宗教やスピリチュアルなどを理由に、捜査機関の詐欺罪、組織的詐欺罪による立件を躊躇する姿勢が、霊感商法、スピリチュアル商法による被害を結果的に放置し続けることになっております。現に、「神世界事件」においても、平成22年3月までの横浜地検の抑制的な姿勢が、「神世界事件」の立件を遅らせ、立件範囲の縮小に繋がり、深刻な被害実態に見合った事件化と判決における量刑という意味で、不十分な結果となったことは否定できません。

 本日、教祖斉藤亨被告人は実刑判決となったものの、被害総額約180億円、医療機会の遅延により幼児2名、成人2名の死者を出している極めて悪質な団体の被害実態に比して不当に軽い判決と言わざるを得ず、刑事責任を問われたサロンの経営者は一部に留まり責任を問われた経営者らにも執行猶予判決が言い渡されたのみです。
 しかも斉藤亨他被告人を含めた神世界の幹部だった被告人らは、自らに神霊能力があったと主張して確定的故意を否定し、未必的故意であったなどと強弁し、さらにはサロン経営者の一部は活動を再開させているとの情報も伝わってきており、真に反省をしているとは到底考えられず、霊感商法を再開する危険性が高いと思われます。
 当弁護団としては、引き続き神世界の活動を注視して警戒し続けるともに、これまでに被害回復ができたのは約12億円と被害総額のわずか7%(被害者数では6%)に満たず、なお4400人以上の被害者の存在がうかがえることから、引き続き被害者の方々の相談窓口を設けて被害回復に努めて参りたいと考えております。

以上



被害者の感想(1) 投稿者:ブレイク

 私が神世界に対して返金請求を開始した平成19年5月から5年半の年月が過ぎ、平成24年12月6日は斉藤亨被告に高裁で刑事事件の判決が下される日です。東京の空はよく晴れた気持ちの良い日となり、私たち被害者の気持ちを晴れ晴れとさせてくれます。
 12時40分過ぎに高裁に入ると、神世界関係者と思われる数名の女性がすでにロビーいるのが分かります。私も全ての関係者の顔を知っている訳ではありませんが、神世界関係者は独特な雰囲気を醸し出すのですぐにそれと分かります。805号法廷のある8階に上がると北側エレベーターホールや法廷入口、トイレなど、打ち合わせされたであろうポジションに神世界関係者が張り付いているのです。トイレに行くと女性2名がコソコソと話をしており、廊下の神世界関係者もなにやらメモをとっています。
 805号法廷前まで進むと10名ほどの神世界関係者が寄り集まっていました。私が「13時30分からの傍聴に並んでいるのですか?」とこの一団に声を掛けると、一人が「そうです」と答えてくれました。白髪頭の女性が「こっちに並びましょう」と言って並ぶ場所を805号法廷側に並び方を変えたので私もその列に並びましたが、一団の人数が減りました(笑) また、なんてことか、同じコートを着ている人と遭遇。よりによってこんな時にと内心笑ってしまいそうな自分を押し殺しました。列から離れた人は第三者が来てしまったので自分のポジションに戻ったのでしょう。そうこうしているうちに傍聴希望者の人数が増えていき、13時過ぎ23人になった時点で裁判所係官によって並び方を二列から一列に調整され、廊下の反対側に折り返しの列が作られました。13時20分には、規定人数に達したため「トイレに行く方は職員に声を掛けてください」と裁判所係官から注意がありトイレに行く振りして列に並んでいる人達を観察してみると、女性の神世界関係者は12名ほど、他には弁護団の人達、被害者、警察関係者、フリーの記者等、今回は男性が多く見受けられました。後から聞きましたが、最後尾の辺りに目立たぬように並んでいた女性は和田、宮入でした。神世界関係者は終始うつむき加減で、列の中でも異質さ満載で目立っています。彼女らがこれほどまでに異質感を発散させている原因は、服装や頭髪等に女性として当然の配慮がなされていない点と、特殊な団体にのめり込んでいる人特有の意識の有り方とが相まって「みすぼらしいオーラ」を発散させているためとも思われます。勿論、ご本人がたはそんなことはないと思っているでしょう。変な例えですが、臭い人は自分が臭い事に気づかない。近寄られた人はすぐに気付くが、気付かない振りをしているだけ。周囲が大人しく見過ごしてくれているからといって、調子に乗って、このような臭い人たちが騒げば騒ぐほど、気付かぬふりをしていてくれます。井の中の蛙です。

 13時20分になると裁判所係官が「満席」を宣言し注意事項を傍聴者に向かって伝え始めました。805号法廷は13時10分から別の事件で判決が言い渡されていたため傍聴者の入れ替えは先の裁判が終わるのを待って13時30分ぎりぎりに行われ、私が席に着いた時には被告人斉藤亨、弁護士、検察官は所定の位置についていました。本日の傍聴席数は一般傍聴席36席ですと係官が言われたが、記者席4席でしたので残り2席は親族席だろうか?この法廷は計42席のはず。
 傍聴席に入ると傍聴席の最前列中央で白髪頭の女性などと席を入れ代わっている者達の姿があり、先に入って場所取りをしていた雑魚信者が、後からやってきた者に席を譲っていた様子から会主達だろうなと観察していました。案の定、後から確認すると、和田美和と宮入英実、日原易子だった。この3人を間近で見ましたが何のオーラもないただのおばさんでした。惹かれるようなオーラなど何もありません。私はこの3人と直接言葉を交わしたことはなく、あくまでも外見を見ただけの、”先入観なしの正直な印象”でしかありませんが。

 斉藤亨被告が開廷時刻直前になって弁護士と共に専用入り口から入って行く様子を見ることができましたが、表情は無表情、服装はオーダーなのかお金がかかっていそうなスーツを着て、バックを持って入廷していった。斉藤亨被告は弁護士2名に続いて入廷し、斉藤亨被告の後ろには2名の男性が続いていたので、私はてっきりこの2名も弁護士かと思ったのですが、聞くところによると、その男性は以前逮捕された神世界関係者と和田の夫と知り、ボディーガード役かと思い笑ってしまいました。そんなに心配しなくても、誰も神世界関係者など襲いはしません。そんなバカなことをして自分の人生に汚点など残したくはありません。

 被告席に座った斉藤亨被告はカバンを自分の左側に置き、少し開いた膝の上に両手を置き、無表情で正面を見て座っています。
 裁判所係官より「傍聴人の入廷が終わりました」と裁判官へ伝えられた時には、12時30分を4分程過ぎていましたが、特に改まった開廷の宣言があったか私が気付かないままだったのか、裁判長が弁護人から何か書面の提出があるような話をしていて検察官も了承した様子。いつの間にか裁判が始まっていたという印象でした。

 弁護人と裁判官とのやりとりが終わり、裁判長は判決を言い渡すため斉藤亨被告を証人席まで移動するように促し、証言席に着くと少し上半身を前かがみにしたように立ちながら裁判長の話を聞き始めました。私には裁判長が何かを読み上げ始めた様子はわかりましたが、なかなか聞き慣れない裁判用語に惑わされ瞬時に内容を理解をするのが難しかったのですが、話し初めの段階で「4年6月」だけはしっかりと確認しました。取り敢えず実刑を確認できたので、心の中で「よし」と呟きました。裁判長が具体的に項目をあげながら判決理由を説明し、最後に執行猶予がつかない実刑判決を言い渡しました。
判決理由も通常の裁判よりも分かり易く説明をしてくださったようです。私が自分で理解できた話の内容は虫食い状態でしたが、幾つか理解できたものがあります。
 神霊鑑定士を養成し売り上げ増大の手段として使ったが、神霊鑑定士は偽物。組織の長として指示を出していることから責任は明白。佐野被告からの被害者へ返金の提案を受けるも、これを却下し逆に売り上げ増大を指示していた事など、メモも取るのを忘れて裁判長の話に聞き入ってしまいました。
 裁判長が判決理由を読み上げている間、両サイドに1名ずつ座っている裁判官が斉藤亨被告の様子をじっと厳しい表情で凝視していたのがとても印象に残っています。
 判決後に斉藤亨被告が裁判長から上告の説明を受けながら返事をしていましたが、その様は情けない姿にしか映らなかったのは私だけかしら? 信者のみなさんは、演出は上手くいったとでも思っているのでしょうか。

 公判を傍聴し裁判長の言葉を聞いて、裁判というものは様々な視点から事件を総合的にみて判断を下すものなのだと改めて実感しました。また裁判官というものはもっと無表情なものかと思っていましたが、この公判を担当した3名人の裁判官が斉藤被告に向けていた視線や態度は、斉藤被告が犯した罪が許しがたきものであるということを強く感じさせるものでした。この事だけでも公判を傍聴した甲斐がありました。

 第一審より6月の減刑にはなりましたが執行猶予がつかず、4年6月の実刑判決ということで、改めて内心ほっとしました。6月の減刑になった理由は、第一審判決後に新たに5億円以上の返金に応じているので、裁判上やむを得ないことだと判決後に弁護士から説明を受け、そういうものなのだと理解しました。でも、被害者の気持ちとしては納得がいかない部分が多々あるのは当然のことです。
 斉藤被告や神世界関係者、弁護人は第一審の判決後に5億円を超える賠償を行うなど、斉藤被告に実刑判決が下されないように対策を講じてきたつもりだったことでしょう。しかしこうして懲役4年6月という実刑判決を受け、彼らはこの判決をどのように受け止めているのでしょう。判決を真摯に受け止め、自分たちが行った犯行が如何に悪質であったかを思い知ってほしいところですが、これまで彼らが取ってきた言動から考えて、彼らが反省などしないことは明らかです。

 裁判終了後、神世界関係者が弁護団にぴったりと張り付いてきたのには笑ってしまいました。私は弁護団とエレベーターホールに移動する途中で弁護士さんに今日の判決の感想を聞かれ、私が「ええっーー、これだけって感じですよ」と大きな声で答えると、私たちに張り付いていた神世界関係者が一斉に私の方へ顔を向けてきたのです。神様に忠実な信者のみなさん、お顔を拝見させていただきありがとうございました。おかげであなた達が忠実な神世界関係者であることがよく分かりました。更にエレベーターで移動する時にも弁護団の中に神世界関係者が無理矢理一人入ってきて、弁護団が降りてからも行き先を確認するなどしている姿を見て、驚くよりもあなた達が哀れに思えました。神世界関係者はあの後、某所に集まって報告会を行ったそうですが、どんな報告がなされたのやら・・。


今なお目が覚めない人達へ
 今でも神世界から抜けられない人たちがいますが、神世界という団体は宗教でも何でもなく、斉藤、和田、宮入などの親族が私腹を肥やすためだけに作った組織です。彼らは莫大な金を備蓄しており、裁判で有罪になっても、今後も働かなくても生活が出来る金を蓄財していることに気付いてほしいと思います。山梨県内や京都嵯峨野など、現在は神世界が所有している不動産類も筆頭株主である斉藤亨被告に法外な安さで譲渡され、個人の財産となるだけです。
 まだ目が覚めない”信者”は、これからも「御霊光」や「神様」等という文言に操られ、和田や宮入を中心とした残党組から搾取され続け、今日傍聴に駆り出されていた人達のようにみすぼらしい姿をさらして全てを失っていくのです。熱心でまじめな信者ほど搾取され続けていくことでしょう。

 斉藤亨被告が懲役4年6月の実刑判決を受けたことを会主や神世界関係者は信者の皆さんにどのように伝えたのでしょう? きっと今回もいつも通り、「すごいことです。神様が6月も懲役を減らしてくださったのです」などと馬鹿げた説明をしたのでしょうね。普通の小学生に、「『刑務所に4年6カ月入っていなさい』と裁判所で言われた人がいます、この人は悪い事をした人でしょうか、良い事をした人でしょうか」と質問してご覧なさい。質問された小学生は全員が「悪い事をした人!」と答えるでしょう。しかし神世界関係者の受け止め方は、「教祖様は神様に刑を減らしていただいた」なのですよ。狂っていると思わないのですか?
 横浜地裁で被告全員が有罪判決を受け、公訴した斉藤被告は東京高裁でも再び有罪判決となったのですよ。もういい加減目を覚ましてください。神世界から離れても何も悪いことなど起きません。あなたや家族、先祖が地獄に落ちたりもしません。それは私たち被害者が神世界を止める前よりも明るく元気にしていることが証明しています。
 斉藤亨被告の一審判決後、130名の方が被害申告を弁護団にしてきています。みなさんにも、その権利がまだ残っています。忌まわしい過去を堂々と清算しましょう。
 上の者の言葉に少しでも疑問を感じるならば、神世界被害対策弁護団(03-3515-6681)にすぐ電話をしてください。


今なお活躍中の会主様へ
 日本の警察や裁判所は御霊光を正しく評価してくれないから外国に行って御霊光を広めるつもりなのですか?2012年7月に行われたロンドンオリンピックの時に一部の神世界関係者が”御霊光を広めるため”にロンドンに行ったそうですが、何か収穫はありましたか?過去に佐野会主とりらも同じようなことをしようとして失敗したのに、それが教訓として全く生かされていないようですね(笑)
 神世界から目覚めた者は北海道から沖縄まで日本中にいるのです。あなた達が日本国内で活動を続けて行けば、被害者の誰かは必ず見ているのです。
 斉藤亨被告に有罪判決が下されても、このホームページはなくならないのですよ。






被害者の感想(2) 投稿者:えぐじっとアカサカ

●はじめに
 当初、傍聴するつもりは全くなかった控訴審でしたが、10月16日に行われた控訴審第一回目のレポートを読み、斉藤亨があまりにすっとぼけたというか、寝ぼけたことを主張しているのを知って、顎が外れそうに!
 この期に及んでまだそれを言うか、という図々しさとふてぶてしさに驚くと共に、自分を騙したインチキ団体の現在と着地点と末路を、やっぱりこの目でしっかりと見届けてやろうという風に気が変わりました。ちょうどタイミングよく時間を取ることができたので、記念すべき平成24年12月6日午後、東京高等裁判所へ足を運んでまいりました。
 相変わらずアホな表現が多くて大変恐縮ですが、実際どんな感じだったかをお伝えできればと思いここにご報告いたしますので、何卒ご了承くださいませ。

 なんとか控訴審で執行猶予を得ようと、あの手この手でこの約半年頑張ってきた斉藤亨でしたが、そう簡単に執行猶予がつくことはないだろうと確信していた私は、晴れ晴れとした気持ちでこの日を迎えました。
 そんな気持ちに共鳴したかのような清々しく気持ちの良いお天気のなか、裁判所に到着。

●まだやってるんかい(・O・)
 少し早めに裁判所に着くと、あらーっ!やっぱりいましたよ、びびっとのおばさん。白髪交じりのこの髪型のこのおばさんは確か、昨年の公判で検察証人として出廷した被害者の方を尾行した人だったっけ。携帯片手にこそこそ猫背で通話中。誰かと連絡を取り合っていることは傍目にもすぐわかりました。怪しすぎるって〜その行動!と心の中で思わずツッコミ。
 きっと裁判所内でも既に人員配置されているんだろうなーと思い、私がすぐ横を通っていることに全く気付かないおばさんを横目でチラッと見ながら中に入ると、予想は的中。ロビー、廊下、エレベーターホール、トイレ前、廊下の角など、あちこちによく見た顔が。気分は、敵を瞬時に見破る007です(笑)。比較的若めの女性もまだ数名。お気の毒さまです。こうやって、まだこんな団体にしがみついて、見張りをして報告し合ったところで一体何になるのでしょ。団体がまだ解散などしていないことの何よりの証拠をこんなところで晒してどうする〜。エレベーター周辺にいた、パシリ女性神世界関係者のみなさん、いちいち今誰が乗ったとか上がったとかのご報告、大変ご苦労さまでした。
 
●結局いつものメンバーかい
 さて、8階に上がると、805号法廷前には、既に傍聴希望者の列ができておりました。ちょうど列の折り返しの最初の方に並んだ私は、どんな面々が来ているかをよく観察することができました。
 神世界関係者(信者)ざっと約10数名。早くから来て並ばされているおばさんの中に、あー、いたいた、例のおばさん。昭和の香り漂うドラマなどで、PTAの口うるさいおばさん役とか、ひねくれたオールドミスの女教師役として出てきそうな、貧相なおばさん。この日もまたこのおばさんに、汚らわしいっ、忌々しいっ、という目で見られてしまいました(笑)。でもね、おばさん、ああいう場所ではね、せめてコートは脱ぎましょうね。それがマナーというものです。

 びびっとの金庫番の経理のおばさんは、相変わらずやる気のなさそうなだらしない恰好で壁にもたれかかっていましたが、自分は他の残存信者とはちょっと違うとでも思っているのか、1人でぽつんとしていました。
 淺原夫妻の公判の際、淺原夫妻をエスコートしていた、アラレちゃんめがねのたらこ唇のおばさんは、何故かこの日も自分の顔をあまり見られたくないようで、長い髪で顔を隠すようにして背中を向けていました。今更なんでー?
 開廷15分ほど前の時点で、傍聴希望者が定員となった旨が告げられたとき、列の後方で何やらバタバタと人の動きがありました。これはもちろん、並んでいなかったオエライさん達を傍聴席に座らせるための手際よい組織的行動です。

 被告人・斉藤亨が弁護人と共に入廷する際、みどり局長ことびびっと和田の夫と、元自衛隊員だったおじさんスタッフがSPのようにぴったりと張り付いていたのも、滑稽でした。
 傍聴希望者の列に並ばされていたおばさんたちが、髪、化粧、服装、姿勢、全てにおいて貧相だったのとは対照的に、斉藤亨、和田健史、おじさんスタッフの3人は、ぱっと見結構お金のかかっていそうなスーツ姿だったのがちょっと印象的でした。おじさんスタッフは、以前はそれなりにみすぼらしかったのですが、見かけるたびにまともになっていました。今回は前回よりもお金をかけてもらえたようです。
 女性残存信者達は、独特の貧乏臭い(失礼!)空気を放っていましたが、アラレちゃんメガネたらこのおばさんは、若干陰で優遇されているのかな〜と感じました。だから、顔を隠すのかな。神世界の上層部に飼われている香りがぷんぷん。

 予定の時間を少し過ぎて傍聴席に案内されると、ほーらやっぱり。並んでいなかった和田夫や、おじさんスタッフのほか、どこからかやってきた和田美和と宮入英実が姉妹仲良くササッと入廷。悪徳姉妹は、目立たないようにしたのか、2人揃ってパンツスーツでした。私は気付きませんでしたが、日原易子も傍聴席にいたようです。斉藤葉子はどうだったのかな。
今回の事件の主犯は斉藤亨ですが、この母娘も斉藤亨以上に金に目が眩んだ悪徳詐欺師であることには間違いありません。斉藤亨は、実刑を喰らって泣きべそでしょうが、この2人にとっては、この先しばらく「亭主元気で留守がいい」となるのでしょうね。

●頑張った割には、残念でした
 判決は、若干減刑されたものの、執行猶予はつかず、4年6カ月の実刑。心の中で、よしっ、やった!と、ガッツポーズ。
 一審の時点で合計約6億9千万円の返金、更に130名の被害者に対し約5億2千万円を追加で返金したことが考慮されたものの、執行猶予にするには値しない旨を聞いて胸を撫で下ろしました。東京高等裁判所の裁判官は、この事件の悪質さをしっかり理解してくださっていると感じました。
 斉藤亨にしてみれば、なんとかして刑務所に入らないようにしたかったわけで、追加で5億、合計約12億も払えば許されるだろうと甘く考えていたのでしょうが、残念でしたね。正直ザマーミロ。中途半端なんですよ、やることが。今も抱えている不法収益の大半を吐き出すことなく、虫のいいことを考えても、思い通りにはならないのですよ。神世界はこれまで約180億もの大金を不法に得ていたことがわかっています。

 裁判長が読み上げる判決理由は非常に簡潔かつ的確で、それを聞きながら、斉藤は控訴したことで、更に自分の首を絞めた結果になったなと感じました。不服を申し立てたポイントは全て否定され、団体のインチキさが浮き彫りになった点には、非常に満足しています。
 また、裁判長の隣に座っていた若い男性裁判官が、ずーっと斉藤亨の顔を凝視していた姿がとても印象的で、思わずメモを取る手を止めて見てしまいました。この類の犯罪を絶対に許さないという気迫を感じました。
 同時に、もし私が裁判官だったら、いや、もしも神世界に関わっていない第三者だったら、こんなみすぼらしい中年男がどうやって教祖として崇められるまでになったのか、そして多くの女性から多額の金員を巻き上げることができたのか、興味深く見てしまうだろうなと思いました。

 斉藤亨がどんな表情だったのか、泣きべそをかいていたのかどうかはわかりません。ぱっと見渡した限り、傍聴席にいた神世界関係者でうなだれている者は誰もいませんでした。そうですよね、斉藤亨に執行猶予がつかず実刑になろうが、所詮他人事ですものね。「自分が一番大事」って、斉藤亨自身が神書に書いていましたからね。

 傍聴者が法廷の外に出されたあと、残存信者たちはまだ廊下に残っていました。和田夫とおじさんスタッフは、最後の最後までボディガード役のようで、斉藤亨が出てくるまで待機。斉藤亨が一体どんな顔で出てくるのかなど、もう興味もなくなった私は、早々とエレベーターで8階を離れたのでした。

●「斉藤亨と一心同体」のはずの佐野孝たちは何処へ?
 執行猶予が付いた佐野孝、その妻りら、その母栗山悦子、そして佐野孝同様、執行猶予の付いた淺原夫妻の姿がなかったことには、ちょっと違和感を覚えました。
 執行猶予の身だからおとなしくしていたい気持ちはよくわかりますが、これまでの経緯や神世界カルチャーからいくと、普通来るでしょう。来なければならないはずです。大事な大事な教主様(教祖様)の判決だというのに、後から結果だけ知ればよいというほど彼らは偉くなかったはずです。

 きっと斉藤亨と和田・宮入姉妹グループとは、もううまくいかなくなって縁を切ったのではないでしょうか。結局、えんとらんすグループが一番の貧乏くじを引きました。
 佐野夫妻と淺原夫妻が、今も何かと協力しあっているのか、仲違いでもしたのか、そんなことももうどうでもよくなりました。
 ただ、今でもちょっとだけ、こんな風にも一瞬思ってしまいます。彼らも結局は、斉藤亨に利用された気の毒な人達であった面もあるのでは、と。
 そして、またすぐに思いなおすのです。いやいや、そんなことを考えてやる必要など全くない、自業自得だ、これは彼らが選んだ結果なのだ、と。

 淺原史利が、天野先生と呼ばれていた頃、よくスタッフや悩みを抱える女性客にこう言い放っていたことを思い出します。
「そんなこと、私の知ったこっちゃない。」
「困っている人が悪いんだ。それは本人が考えて、選んで、行動した結果だ。」
「なんで私がそんな人の心配をしてやったり、助けてやらなければならないんだ。」

 ありがとうございます。何かおかしいぞという気持ちにさせてくれて。私は、胡散臭いと思ったものを疑って、自分を信じて、本当によかった。

●まだ迷っている方へ
 どうか今回の事件の経緯と結果を、しっかりと見つめてください。現実は、これです。
 神世界は、組織的詐欺の罪で裁かれた団体です。あれだけ宗教ではないといっておきながら、途中で保身のために宗教であるなどと言いだした、いい加減な団体です。
残念ながら、過ぎ去った貴重な時間は戻ってきませんが、取り戻せるお金はまだ詐欺師の懐にたっぷりと残っています。是非取り戻してください。勇気を出して、神世界被害対策弁護団に相談してください。ブレイクさんも明記されていましたが、まずはお電話を。連絡先は、03-3515-6681です。

 そして、過去にどんな形であれ、神世界に関わってしまったことを恥だと思っている方がいらっしゃいましたら、どうかそうは思わないでください。
 過去は変えられませんが、自分で過去の認識を変えることはできます。それこそ、今が全てです。私は長らく「被疑者」でしたので、「加害者」ではなく「被害者」であることを訴えてきました。晴れて被疑者ではなくなり、被害者として認められたときは嬉しかったのですが、今はいつまでも自分を被害者にカテゴライズし続けることは、決して幸せではないと思えるようになりました。
 「騙されてしまった自分」を、もういつまでも引きずりません。「騙されて一時は酷い目に遭ってしまったけれど、結果強くなれて、損も取り戻せた幸せな自分」になりました。濃くて貴重な経験、充実した旅、楽しい冒険ができて、素敵な出逢いに恵まれて、本当にラッキーだったと思っています。

 神世界は、ごく一部の者だけのための、大金集めの組織的詐欺団体でした。「活動の全てが詐欺だったわけではない」だなんて、ただの言い逃れに過ぎません。神様も嘘です。因縁も嘘です。病気が悪くなることも、不幸になることもありません。物事がよくなった、神様のおかげだということがあったなら、それはあなたが自分で起こした奇跡です。

 どうかご自分を信じて、ご自分を大切になさってください。

 それにしても、あんなに威勢のよかった神世界新聞は、その後どうなっちゃったのでしょうね。



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