裁判所への意見書

 神世界事件の裁判は、あと数回の審議を経て結審しそうな状況です。被告等が裁判で証言している内容を見聞きして、「反論したい」、「被告等を批判する意見を述べたい」と感じた方も多いと思いますが、法廷で自分の意見を述べることは、簡単にできることではありません。では、指をくわえて見ていることしかできないのかというと、そんなことはありません。「被告を厳罰に処してほしい」とする意思を、裁判所に送ることは可能です。
 嘆願書、上申書、意見書など、スタイルは様々ありますが、私は「意見書」として下記の書面を、横浜地方裁判所第5刑事部に送る予定です。なお、下記では住所をリンク総合法律事務所に、氏名は匿名にしてありますが、送付する書面には、実際の住所及び氏名を明記し、押印して送ります。
 嘆願書や意見書の内容やスタイルは特に定めがありませんので、宛先などは下記を参考にしていただき、内容は各自が訴えたい内容を自由に書いていただけばOKです。私が書いた文面は、やや長文になっていますが、もっと簡単な内容でも全く問題ありません。簡単バージョンの見本も私の意見書の下に提示してありますので参考にしてください。

 こうした市民からの意見は、”内容の善し悪し”よりも、”件数の多さ”が力を発揮する傾向が強いものです。「検察庁や裁判所に手紙を出すのは気が引ける・・」という方もおられるかと思いますが、そうした消極さは神世界の思うつぼでしかありません。検察や裁判所は、市民の声に敏感です。皆様が勇気を出して声を上げることが、必ず検察・裁判所を動かします。勇気を出して行動を起こしましょう。

 現在(2012年3月10日)は、まだ裁判は進行中なので、裁判所が判決を検討するのはもう少し先になります。しかし、裁判が結審してから文面を考え始めたのでは送付が遅くなってしまいますので、今からこうした意見書を作成しはじめてもよいのではないかと思い、現時点で裁判所宛の意見書を公開します。
 結審するまでに、「被告を裁判で徹底追及してほしい」とする意見を送りたい場合は、横浜地検宛に上申書(意見書でも可)を送付し、検察を叱咤激励するのがよいでしょう。
 ただ、怒りのあまり、感情的な内容の文書を地検や裁判所に送ることは差し控えるべきと思います。感情的な内容の文書は、正当な取り扱いを受ける可能性は低くなってしまいます。

 捜査段階に於いても、神世界側は大量の書面を捜査当局などに送りつけていますので、そうした経過から考えて、今回も神世界側からは、「被告等は反省している。被害者にも返金しているので、被告の刑が軽くなるように考慮していただきたい」とする嘆願書が山のように届いているものと思われます。被害者の皆さんも負けずに、自分の意見を地検や裁判所に送りましょう。郵送先の住所は下記の通りです。

<結審前>
横浜地検の宛先
〒231-0021
神奈川県横浜市中区日本大通9
横浜地方検察庁
特別刑事部長殿

<結審後>
横浜地裁の宛先
〒231-8502
神奈川県横浜市中区日本大通9
横浜地方裁判所
第5刑事部


平成23年(わ)第458号 被告人 杉本(吉田)明枝
平成23年(わ)第972号 被告人 佐野孝、淺原史利、淺原嘉子
平成23年(わ)第1633号 被告人 斉藤亨
上記3件の罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)

平成24年3月○日

横浜地方裁判所第5刑事部 御中
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビルディング3階
リンク総合法律事務所気付
電話 03(3515)6681
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被告人に対し厳罰を求める意見書


 現在、横浜地方裁判所にて審議中の、上記被告人らによる詐欺事件(組織犯罪処罰法違反)について、下記の意見を述べさせていただきます。

1、意見の概要
 被告人らが、組織的かつ長期にわたって行ってきた詐欺行為により、日本全国には多くの被害者が発生した(以下これを「神世界事件」という)。私がインターネット上で神世界事件被害者からの相談に応じてきたのは2005年頃からであるが、今日までに私のところに事件の相談をしてきた被害者は約250名にのぼっている。しかしこの250名とて神世界事件被害者の一部でしかなく、声を上げることもできずに苦しんでいる被害者が全国に多数存在していることは、これまでの警察の捜査によって明らかになっている。
 現在、貴裁判所で行われている裁判では、神世界事件の一端が解明されようとしているが、これはあくまでも事件の一部でしかない。被告等が犯した罪は甚大であり、現在、公判で裁かれている数件の事件は、被告等が関与した数千件にも及ぶ詐欺事件の氷山の一角でしかない。未だ逮捕されていない事件関係者も多数おり、まだ解明されていない部分も多々ある。
 被告等が被害者から奪ったのは金銭だけではない。被害者から奪った貴重な時間は二度と戻らない。被告等は、被害者を巧みに利用して新たな客の勧誘を行わせたため、被害者は多くの人間関係を失う結果となった。被害者が失った信用、友人関係、家族との絆は回復が極めて困難だ。病気になっても薬を使わせない、医者にも行かせない指導をしていたため、病状が悪化したり、命の危険を生じた被害者も多い。被告等は、「御霊光によって健康が維持されるから生命保険は必要ない」と欺き、生命保険を解約させ、その金をも収奪するなど、極めて悪質な詐欺行為を繰り返してきた。

 被告等が一連の犯行を犯したのは、私利私欲を満たそうとする極めて利己的な理由でしかない。被告等には厳罰を与えるとともに、一連の犯罪行為によって得た金銭、及び犯罪行為によって得た金で購入した動産・不動産をことごとく没収し、二度と同様の犯罪を犯すことができないようにしていただきたい。


2、被告等の反省は虚偽
 被告等は、捜査段階及び逮捕・起訴された段階では全面的に容疑を否認していたが、裁判所が組織的詐欺への訴因変更を認めた時点で「形勢不利」と判断し、一転して容疑を認め、民事訴訟の原告等に対しても返金する意向を示すなど、態度を豹変させた。
 被告等は、突然、被疑事実を認めるに至った理由として、「調書を見たり、法廷で被害者の話を聞いて、自分たちがやってきたことが間違っていたことに気づいた」とする趣旨の証言を法廷で行っているが、被害者がどのような訴えを起こしているかは民事事件の法廷でも、インターネット上の告発サイトでも繰り返し被害者が訴え続けていたことであり、被告等が被害実態を知らなかったとするのは虚偽である。被告等は過去にも顧客から損害賠償訴訟を起こされるなどしており、自分たちが行っていた行為が、妥当性に欠けるものであることは先刻承知していた。
 被告等がここにきて被疑事実を認め、被害者に対する返金、公判廷での被害者への謝罪などを行ったのは、「被告等は被疑事実を認め反省している」とするポーズを示すことで、自らに科せられる刑期を軽減しようとする邪な思いからでしかないことは明らかだ。


3、神世界・観音会の現状
 被告や被告周辺の関係者は、被告が法廷内で罪を認め、反省を口にしても、法廷の外では全く違った態度を示している。
 被害者等が、繰り返し、公の場での謝罪を求めても、被告等は一切それに応ずることはない。地裁のロビーやその他の場所で、被告や被告の関係者が被害者に対して示す言動は敵対視以外のなにものでもなく、神世界関係者が事件を反省している、被害者に申し訳ないと思っているというのは、実態を伴わない絵空事でしかない。
 斉藤亨被告が組織の解散を述べた後も、各地の神世界関連施設には人が集まっている。未だに目が覚めていない客に対して、神世界関係者は今なお、「被告が詐欺の起訴事実を認めたというマスコミの報道はウソだ」等と伝えるなどしている。
 公判の中で何度も名前が出てきた神世界グループ企業・(有)びびっととうきょうの代表者である女は、今でも各地に点在する自社系列の店舗等を訪れ、「神世界や御霊光はこれからも大丈夫だ」とする発言を繰り返している。
 斉藤亨被告や他の被告等は、法廷内でのみ反省の言葉を口にしているが、今でも神世界や御霊光を信じている客等に対しては、何ら事実を伝えようとしないため、神世界や観音会に通い続けている客等は、今でも神世界や観音会の教え、そして御霊光を信じ続けており、家族の説得にも耳を貸さない状況が続いている。
 被告等がこうした客に真実を伝えようとしないのは、ほとぼりが冷めた時点で再び組織を再立ち上げし、これまでと同様の活動を続けて行こうとしているからにほかならない。
 多くの家族が、まだ神世界から目の覚めない自分の家族の帰りを待っているのが、神世界・観音会被害者を家族に持つ家庭の実態だ。


4、被告らを厳罰に
 裁判所は、斉藤亨ら神世界事件に関与した被告に対し、「被告等は反省しており、被害者への返金もしている」として刑の軽減を検討してはならない。賢明な裁判官は、すでに気づいておられることと思うが、被告等が組織的詐欺の罪状を認めるに至ったのは、被告等が自分が犯した罪の重さに気づいたからではない。複数名の被告全員が、訴因変更が認められたのを境にして一斉に否認から是認に転じたことからも明らかなように、被告等は有罪になることを察知したため、刑を軽くするための「手段」として起訴事実を認めたに過ぎない。
 時期を同じくして、それまでは原告の言い分に耳を傾けようとしてこなかった民事訴訟を、被告側から急遽和解したいと申し出たのも、民事を和解することで刑事裁判の心証を良くして、自らに科せられる刑期を短くしようという邪な思いからでしかない。被告等は、犯行当時も、そして現在に至るも、考えているのは自らの利益のみであり、真摯に罪を償おうとは全くしていない。
 私のところには、被害者から多数の声が届けられているが、被告等に対する被害者の処罰感情は非常に強いものがある。万が一にも被告等に執行猶予がつくようなことがあれば、神世界被害者は怒りに震えることになる。執行猶予つき判決が出た場合には、神世界関係者は喝采を上げて狂喜し、「執行猶予は御霊光のおかげ」として活動を再開させる原動力に利用するであろう。
 このように悪質な被告には、長期の実刑判決を下し、然るべき機関にて矯正を図る以外に方法はない。


5、終わりに
 神世界事件は日本における霊感商法詐欺史上、「ヒーリングサロン」という新たな手口を用いたエポックメイキングな事件であり、多くの善良な市民を食い物にして繰り返し霊感商法詐欺を行ってきた事件である。  具申者である私・●●●●は、神奈川県警が2007年12月20日に(有)神世界に対する強制捜査を行う数年前から被害者救済の立場でこの事件と係わり、これまで250名以上の神世界被害者から多くの情報提供を受け、独自の調査も行い、数多くの元神世界関係者からも内情を調査し、神奈川県警及び神世界事件被害対策弁護団とも連絡を取り合いながら事件解明と被害者救済の活動をしてきた。
 私が得た情報の多くは、「ヒーリングサロンによる被害」としてインターネット上のサイトで公開している。口幅ったいようだが、私は神世界事件のほぼ全容を把握していると自負している。

 被告等がいま裁かれているのは、彼らが犯してきた数千件に及ぶ犯行のごく一部でしかない。法廷で彼らが述べる反省の言葉は実態が伴わず、裁判を有利に進めるための虚言でしかない。この期に及んで未だ悔悛の情を示すことなく、法廷で虚言を繰り返す被告には、法が許す限りの厳罰を与える以外に取るべき道はない。被害者が抱く激しい被害感情をも考慮すれば、決して刑を軽減すべきではない。
 横浜地方裁判所が、神世界事件の被告に厳しい実刑判決を下すことは、多くの被害者が待ち望んでいることであり、ひいてはその判例が、こうした卑劣な犯罪を抑止する大きな力となっていく。
 市民をこうした犯罪被害から守るためにも、横浜地方裁判所は神世界事件の被告に、厳しい実刑判決を下すべきである。





簡単バージョン見本
平成23年(わ)第458号 被告人 杉本(吉田)明枝
平成23年(わ)第972号 被告人 佐野孝、淺原史利、淺原嘉子
平成23年(わ)第1633号 被告人 斉藤亨
上記3件の罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)

平成24年3月8日

横浜地方裁判所第5刑事部 御中
〒999-9999
山梨県○○市○○町999番地
 日本 花子 印
電話 090(0000)0000

意見書


 現在、横浜地方裁判所にて審議中の、上記被告人らによる詐欺事件(組織犯罪処罰法違反)について、被告人等に厳罰を与えていだきたいので、私の意見を述べさせていただきます。

(神世界に係わった経過や被害内容を簡記)
 (例)私は、平成○年○月頃から神世界関連サロンである、○○市○○町にあったサロンや神世界本部(山梨県甲斐市玉川)などに通い・・・・・





・・・・・平成○年○月に神世界が詐欺的団体であることに気づき、サロンに通うのを止めるまでの間に、約○○○万円のお金を神世界関係者に言われるまま出してしまいました。


(被告等に対する率直な思いを記述)
 (例)神世界関係者の裁判の様子は、横浜地裁で傍聴したり、インターネットで見ておりますが、被告等が証言している内容は、事実とはかけ離れており、誠に遺憾な内容でしかありません。私は神世界事件の被害者として、被告等には厳しい実刑を与えていただきたいと思っております。被告等に、執行猶予付き判決が出されるようなことは絶対に承伏致しかねます。
 被害者のこうした被害感情にもご配慮いただき、厳正な判決が下されることを期待しています。




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