１、医学の常識を覆す奇跡か？
　上記の話が本当であれば医学の常識を覆す大事件だ。長時間の心停止状態から蘇生した例としては2006年4月に北アルプスで雪崩事故に巻き込まれた29歳の男性の事例がある。この男性は心肺停止状態で発見され、直ちに病院に搬送された。そして2時間45分後に心肺機能が回復し、約2カ月後に無事退院した例が国内最長生還例とされている。
　北アルプスでの事例は低体温状態だったのでこのような長時間心停止からの蘇生が可能だったが、今回秀明紙で紹介された事例は会社で会議中に倒れており、常温状態で1時間半もの長い時間心臓が止まっていたにも係わらず無事生還できたとしたらこれは本物の奇跡かもしれない。

　掲示板でこの話が紹介され、私も非常に興味があったのでその記事が載っている秀明紙を提供していただけないかを掲示板でお願いしたところ早速ある方がその秀明紙のPDFを送ってくれた。
　その紙面が下記だが、記事をよく読んでみると今回の事例は奇跡でも何でもなく、現代医学がいかに優れているかを実証した事例であったことが分かる。

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２、適切に行われた応急救護処置
　秀明紙に掲載された記事を読むとこの男性は職場で倒れたことが分かる。この男性はこの日の朝、会社で行われていた会議中に突然倒れた。会議中だったので周囲の人達がすぐに119番通報するなど迅速な対応をしてくれた。記事の中にも、「５分後、救急車が到着し」とあるので救急車の到着が非常に速かったことが分かる。119番通報後、救急車到着までの全国平均時間は６〜７分とされているが、私が事故で救急車を呼んだ時には到着までに１５分以上かかった。５分で救急車が来てくれたことは救命率向上に大きな意味がある。
　そしてもっと重要なのが、「職場の人達がたくさんいた朝に倒れ、初期の応急処置が適切であった」という部分だ。この初期の応急処置というのは救急車が到着するまでの間に職場の人が心臓マッサージなどの応急救護処置を行っていた可能性が高い。最近は運転免許を取得する際に自動車教習所で応急救護処置の講習も義務づけられており、心臓マッサージの方法を習得している人も多い。
　カーラー曲線（右図）によれば、心停止から３分以内に心臓マッサージなど適切な応急救護処置が施された場合は飛躍的に救命率が上がることが分かっている。
　倒れた場所で初期の応急処置が適切に行われ、なおかつ倒れてから僅か５分後に救急車が到着し、「電気ショックと心臓マッサージを受けながら病院に運ばれた」ということは、この男性は心臓が心室細動を起こすなどして十分に機能しない状態にあったが早期から心臓マッサージなど適切な救護処置が継続して行われており、脳細胞が致命的なダメージを受けない程度の血流が確保された状態で病院に搬送されたことが分かる。こうした一連の応急救護処置が適切に行われたことがこの男性が重篤な脳障害を起こさずに早期の社会復帰ができた大きな要因になったと思われる。

　搬送された病院ではちょうど医師の交代時間であったため多数の医師がおり、ただちに専門的な処置が行われた。専門医による除細動（電気ショック）を行い、心室細動を取り除こうとしたが１５０Ｊ（ジュール）の放電量ではうまくいかず放電量を徐々に上げ、最も強い３６０Ｊ程度まで放電量を上げたところで除細動に成功したようだ。除細動が取り除かれたこの男性の心臓は再び拍動を開始した。こうして１時間30分後に心臓が拍動を開始したが、それまでの間の処置が適切に行われていなければ早期の社会復帰は到底不可能だったことはいうまでもない。
　秀明紙に書かれている「さらに電圧の高い電気ショックを試みます」と医師が言ったというのはおそらく聞き間違いだろう。心室細動を取り除くための電気ショック（除細動）の電圧は機器によって数キロＶと一定である。患者の状態に応じて変化させるのは放電量（ジュール）だ。放電量が少ない方が心筋の損傷が少ないので最初は１５０Ｊ（ジュール）程度の電気ショックをかけ、それで除細動ができない場合は３６０Ｊ程度まで徐々に放電量を増していく。


３、医療関係者に対する感謝は０（ゼロ）
　”秀明的思考”が常態化した信者の目から見ると一連の出来事はすべて、「明主様のおかげ」となるようだが、私が秀明紙を読んで感じたのはこれとは全く違い、現場に居合わせた人々の「この男性を救おう」という熱い思いだ。
　この男性が助かったのは、職場の人達の適切な応急救護処置、素早い救急車の手配、救急車内で行われた救急隊員の心臓マッサージ、搬送先の病院での適切な処置、これら一連の処置が適切に行われた結果この男性は脳に重篤な障害を残すことなく蘇生し社会復帰ができたといえる。この夫婦は、適切な初期の応急処置を施してくれた会社の人々や救急隊員、病院関係者には感謝してもしきれないはずだが、それについては一言も触れず、全て明主様のおかげとしか捉えることができないのはあまりにも思考が偏っている。
　神慈秀明会は病気になっても医者にはかからず浄霊で治そうとする団体だ。彼らにとって病院は忌避すべき場所であり、「医学のおかげで救われた」とは絶対に思いたくないのだろう。

　それにも係わらず、「知人の看護士の話」を紙面に登場させ、この男性が助かったのは医療関係者から見ても奇跡的であると思わせる細工がしてあるのがなんとも秀明会らしい卑劣さだ。
　この看護士が述べたとされる、「５分以上脳に酸素が回っていないとほとんどの場合植物人間になったり、いろいろ障害が出たりするのよ」という内容は間違ってはいない。しかし今回この男性が倒れた時の状況は「５分以上脳に酸素が回っていない」状況ではなかった。周囲の人達が適切な処置を行い、脳への酸素供給が継続して行われたからこそ助かったのであり、男性が早期に社会復帰できたことは医学的に見て何ら不思議なことではない。
　それにも係わらず日頃忌み嫌っている筈の医療関係者である「知人の看護士の話」、それも今回の事例には当てはまらない話をここに挿入したのは例によって誰かの差し金である可能性が高い。過去にも「モハマド君事件」などで同様の事例がある。

　命を救ってくれた医療関係者に感謝の一言も言えないような彼らの非常識さが社会から見ると”神慈秀明会は異様な団体”と見られ、各地で集会所建設反対運動が起こされる等、秀明会が社会に受け入れられない原因を作っていることに気付かないは哀れで愚かしいことだ。


４、ある信者の声
　しかし秀明会の信者の中にも常識的な考えを持っている人もいる。下記はそうした一人の信者の声だ。

　今回この男性が一命を取り留めたことは大変良かったことであり祝福されるべき出来事であることは間違いない。
　日頃からの信心がこうしたよい結果を招いたと解釈するのも本人の自由だ。それに異議を唱えようとは思わないが、秀明会内部でのとらえ方やその後のこの事例に対する秀明会の扱いに対して大きな違和感を感ずるのは私だけではないだろう。
　おそらく私がこう言えば、「それはお前が信者ではないからだ」と言われるであろうが上記にもあるように秀明会信者であってもこうしたやり方に疑問を呈している人は多い。上記の意見以外にも掲示板には次のような書き込みもある。

• 一回の浄霊で癌が治るといわれているのに何故多くの資格者助教師ががんで死ぬのか？結局根本的な力がないことがわかります。
  
  
• 世間から見ると不幸だと思うような人が多いのはなぜ？と私もずっと不思議でした。
  
  
• 信者でない人よりアトピーの子供も多く、癌で亡くなる人も多い・・・突然亡くなる人も多い・・・と感じるのはなぜ？と思っていたんです。
  

５、昔と変わっていない体質
　神慈秀明会が会報・秀明紙に掲載する内容を見ていると、自分たちにとって都合のよいことだけは針小棒大に取り上げ、少しでも都合が悪いことには硬く蓋をして報じない編集方針であることが分かる。
　こうした方針は会報だけでなく日常的な組織運営の場に於いても同様で、今回この男性が蘇生した事例が報告されてからは月次祭、秀勉、勉強会、座談会などはこの話一色だ。話の閉めくくりとして、（桃３つの）献金の威力はすごいんだ!!、光明ってやっぱり普通のお光とちがう、何事も報告だと言われている。

　信者が借金をしてまで３００万円もの大金を献金のために捻出し、その金が借金によって得られたものであることを知りながら平気で献金として受け取るのは庶民感覚から大きく逸脱した行為だ。
　こうしたことが平然と行われている団体が神慈秀明会という団体であり、新体制になってからは無理な献金をさせるようなことはしていないというのは単なる方便でしかないことが分かる。
　こうした体質が改善されない限り、各地で次々と神慈秀明会の集会所建設反対運動が展開されるのは当然だ。
　神慈秀明会の常識は世間の非常識でしかない。