2005年7月4日、ある判決が確定した。
罪名は殺人罪。ただしこの殺人は具体的に誰かの首を締めて殺したとか、刺し殺した等という「実行行為」を伴わない殺人であった。
直接手を下さずに人を殺すって・・・?
7月4日の最高裁判決では次のように述べられている。
「患者の重篤な状態を認識し、自ら救命できる根拠はなかったのだから、直ちに必要な医療措置を受けさせる義務を負っていた。にもかかわらず未必的な殺意をもって患者を死亡させており、不作為による殺人罪が成立する」
「不作為による殺人罪」。この言葉をよく覚えておいて頂きたい。今後、身近にこの事例、この言葉を見聞きすることになるかも知れないので・・・。
「不作為による殺人罪が成立する」とした判決は旧憲法下の大審院時代に判例があるだけで、学術書にも今までもは「不作為殺人」としての立件可能性については書かれていたが、今回初めて最高裁判決が出たことによって今後はこれが判例となって同様の事件に対する判断がされることになる。
7月4日にこの「画期的」判決を受けたのは、自己啓発セミナー「ライフスペース」元代表、高橋弘二被告(67)である。
ライフスペース問題は宗教を装ったカルト事件として大きく報道され、高橋被告の、『定説です』は一時流行語になる程の勢いであったが、最高裁判決を受け彼は獄中の人となった(懲役7年)。
この7月4日の最高裁判決は、今後、判例集や法律の解説書には必ず掲載され、法律上の『定説』となるであろう画期的判決だ。
死にそうな人を病院に連れて行かずにそのまま放置し、結果としてその人が死亡した場合は「不作為による殺人」が適用される可能性があるのだ。
なぜ、私がこんなことをここに書いているかお分かりだろうか?
病気が進行し、一刻も早く適切な医療を受けさせないと死に至るおそれがある人を、「浄霊」で治そうとして死亡させてしまった例が皆さんの近くになかっただろうか?
秀明会がらみでそうして事件があったという話も数件聞いているが、具体的な事実経過がつかみきれていない。
もし、そのような事例をご存じの方があれば、メールでお知らせ頂きたい。問題の性質上、掲示板に直接書かれるより、メールでお送り頂く方がベターだ。
私には捜査権がないので、お知らせいただいた情報はそのまま警察当局へ通報し、関係機関の捜査に委ねる。
もちろん、皆さんが直接警察へ情報提供して頂いても結構だ。
今回の最高裁判決によって、今後、カルトの荒唐無稽な教えによって命を落とす人がいなくなることを願わずにはいられない。