「神慈秀明会は違法」最高裁判決

 神慈秀明会などは、神慈秀明会及び秀明会教師に対する損害賠償訴訟に対する大阪高裁判決(2008.7.8)を不服として最高裁判所に上告していたが、2009年1月27日最高裁判所は、「上告を棄却する。上告審として受理しない」決定をした。これにより、実質的には一審の京都地裁判決(2007.12.25)が確定したことになり、神慈秀明会及び教師が借金をさせてまで献金をさせたことは違法とする判決が確定した。
 この訴訟は、被害者が平成14年3月8日着の内容証明郵便にて神慈秀明会に対し詐欺に基づく献金の返還請求を行ったが神慈秀明会が返還に応じなかったので調停を行い、これが不成立で終了したので平成15年3月28日に提訴(訴状提出)して開始された。
 訴状提出からこの日の最高裁判決を得るまでには5年10カ月を要した。




最高裁判所の決定文書(PDF)


 この最高裁決定により、2007.12.25、京都地裁(中村哲裁判長、和久田斉裁判官、波多野紀夫裁判官)判決(下記)が確定した。神慈秀明会は第1審で敗訴したときに強制執行を免れるために担保を立て「強制執行停止申し立て(民事訴訟法403条他)」を行い支払いに応じていなかったが今回の最高裁判決を受け、遅まきながら神慈秀明会は被害者に対し損害の一部である660万円を支払った。

最高裁の決定に伴い判決が確定した
2007.12.25、京都地裁(中村哲裁判長他)判決原文


 消費者金融会社からの借入れを含めて多額の借金を抱える者がさらに短期間のうちに自己の支払い能力を遥かに超えて献金原資の一部であったとしても借金をしたうえで高額の献金を繰り返すことは、当該信者にとって経済的破綻をもたらすものであってかかる献金は当該信者の自由意思が格別認められるなど特段の事情でもない限り、各信者の自由意思に基づく献金であるとは言い難い。
 したがって、宗教団体ないし幹部信者が一般信者に対して当該信者が消費者金融会社や信販会社のキャッシングなどの借金をして経済的に余裕がないことを知りながらその上で借金などをして短期間に多額の献金をするよう強く勧める行為は当該信者に経済的破綻をもたらす危険性の高い行為といわざるを得ないから、当該勧誘があったとしても当該信者の自由意思に基づく献金と認められるなどの特段の事情がない限り社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為であるというべきである。
 被告●●らによる献金に対する勧誘行為は社会的に相当な範囲を超えた違法な行為といわざるを得ない。



 神慈秀明会が第1審で敗訴したときに行った「強制執行停止申し立て」に対し、京都地方裁判所は原告に対し、”催告書が届いてから2週間以内に担保権利者として損害賠償請求するように”催告したので、原告は平成21年3月11日に訴状を提出し、第2次訴訟が始まった。
 第2次訴訟における神慈秀明会の主張は、第2次訴訟は強制執行停止による損害のみが対象になるものであり、神慈秀明会が行ってきた行為については第1次訴訟の蒸し返しだと反論しており原告が求めている求釈明(下記)にも応じていない。

 最高裁の決定により原告の被害が認定されたことは「勝訴」と言えるが、第1次訴訟の判決は神慈秀明会の組織だった違法行為の実態を明らかにするところまでは踏み込んでおらず、原告側は第2次訴訟に於いて十分に審理するよう求めている。
 この勧告に基づいた神慈秀明会に対する第2次訴訟が東京地裁ですでに始まっており、第2次訴訟の第4回口頭弁論は平成22年1月19日(火)13時15分から東京地裁6階の615号法廷で行われる予定になっている。下記枠内に求釈明の内容を掲載する。

 神慈秀明会は自らが行った行為が違法であるとの最高裁判決を受けたにも係わらず何らのコメントも発していない。神慈秀明会にほんの僅かでも宗教人としての良心が残っているならば最高裁判決を受け、被害者に謝罪すべきだ。いやしくも、「宗教法人」の看板を掲げる団体が信者に献金を強要した行為が違法であったとする最高裁判決が示されたにも係わらず一言も言葉を発しないその態度こそが神慈秀明会の体質を如実に表している。

第二次訴訟で原告が神慈秀明会に対して行っている求釈明


  1. 被告神慈秀明会ではバックアップ献金制度などがあり、被告津屋らが原告に対して行った献金勧誘行為の金額と強制力は、被告神慈秀明会の年間目標額と信者数と実際に集まった金銭を明らかにすることにより審理が可能となる。特に、被告橋本の違法行為を具体的に明らかにするためには必要不可欠である。そして、これらについては前訴において審理されていない部分である。よって、以下の点について釈明を求める。

    1. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の各拠点の献金の年間目標額はいくらですか。

    2. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の各拠点の信者の世帯数はいくつですか。

    3. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の各拠点の献金額はいくらですか。

    4. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の各拠点の献金をした信者の世帯数はいくつですか。

    5. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会東京支部の各チームの各世話人が担当している信者の合計献金額の年間目標額はいくらですか。

    6. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会東京支部の各チームの各世話人が担当している信者の合計献金額はいくらですか。

    7. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会東京支部の各チームの各世話人が担当している信者の世帯数はいくつですか。

    8. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会東京支部の各チームの各世話人が担当した信者のうち、献金をした世帯数はいくつで献金額はいくらですか。

    9. 被告神慈秀明会の昭和56年〜平成11年の収支。

    10. 被告神慈秀明会東京支部の昭和56年〜平成11年の収支。

    11. 被告神慈秀明会の昭和56年〜平成11年の財産目録。

    12. (上記照会事項の収支と重複するところがあると思うが、)被告神慈秀明会の建造物(神殿、教祖殿、カリヨン塔、美術館、大黒堂、祭事棟、宗務棟、研修棟、その他全ての建物)の建築に関する収支。

    13. (上記照会事項の収支と重複するところがあると思うが、)MIHO美術館の美術品購入に関する収支。

  2. 被告神慈秀明会の幹部(会主、会長、被告橋本など)は、お中元、お歳暮、支部長先生御礼などの名目で、信者一人につき数千円〜数万円を得ており、その総額は1年間に数千万円以上である。なお、信者はこれらを強制的に徴収されている。そして、信者から得たその金銭は税務申告もされていない。

    その金銭は、被告津屋ら教団助教師が原告たち一般信者から徴収して被告橋本らに渡される(全額か一部かは不明)。これらについては前訴において審理されていない部分である。よって、以下の点について釈明を求める。

    1. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の信者が会主(故小山美秀子)に支払った現金によるお中元及びお歳暮の金額の明細。

    2. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の信者が被告橋本孝子氏に支払った現金によるお中元及びお歳暮の金額の明細。

    3. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の信者が支部長先生御礼などという形で支払った金額の明細。

  3. 被告神慈秀明会東京支部では本部に行くに当たり、東京支部でバスを貸し切る。そして、東京支部と本部一往復で1万2千円〜1万4千円を東京支部が信者一人につき徴収する。しかるに、実際にバス会社に支払う金銭はそれよりも少ない金額であり、水増し分は被告橋本らにより使用されている。これらについては前訴において審理されていない部分である。よって、以下の点について釈明を求める。

    1. 昭和56年から平成11年にかけて、被告神慈秀明会の東京支部(バス係、被告橋本等含む。)がバス代として信者に支払わせた金額の明細とバス会社に支払った金額の明細。





下記に今回の最高裁決定の元となった大阪高裁判決及び京都地裁判決の記事を紹介する。




大阪高裁でも秀明敗訴

 2008年7月8日、大阪高裁で神慈秀明会に対する控訴審判決があり、一審の京都地裁判決(このページの下の方に掲載)を支持する判決があった。
 これにより、借金までさせて献金させた神慈秀明会側の敗訴が高裁でも認められたことになる。









京都地裁で勝利判決

 2007年12月25日、京都地裁で神慈秀明会に対する損害賠償請求訴訟の判決があり、下記記事のように原告勝訴の判決が出された。
 しかし神慈秀明会側は即日控訴し、原告側も判決を不服として控訴した。
 同事件は舞台を大阪高裁に移して引き続き審議される。





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