神慈秀明会の概要

1、組織と活動
 宗教法人・神慈秀明会は、滋賀県信楽町に本部を置き、全国各地に支部・出張所・集会所を有する団体である。
 神慈秀明会は、いわゆる「手かざし系」の新興宗教団体で、以前は街頭で通行人を呼び止め、「あなたの健康と幸せを祈らせてください」等と言って彼らが信ずる「浄霊」という手かざしを行い、こうした活動等を通して布教活動を行っていた。
 岡田茂吉を教祖と仰ぎ、会主・小山美秀子(平成15年没)、会長・小山弘子を組織のトップとするとともに、会の主要ポストを小山一族が占める宗教団体である。
 神慈秀明会の目的は『地上天国』を作ることにあるとされている。
 『地上天国』とは、『病、貧、争』のない世界が『地上天国』なのだそうである。いままでどこの宗教も、どこの国家もなしえなかった理想社会を実現できるところが神慈秀明会が他の宗教とは違った卓越した宗教であることの証だとされている。
 信楽町の本部近くには、信者から多額の献金(建設費だけでも250億円)を集めて作った「MIHO美術館」があり、世界中から集めた仏像や美術品などを展示している。

2、奇跡信仰
 信者は首から「お光り」と称するお守りのようなものをかけており、この「お光り」は教祖・岡田茂吉(彼らは明主様と呼ぶ)から霊力を伝えてもらえると信じており、信者が行う「手かざし」は信者個人のパワーではなく、霊界にいる教祖から見えないパワーが空中を伝搬し、信者が首からかけた「お光り」に到達し、更にその力が信者の身体を通り、信者の手から相手に向かって放射されると考えている。
 この「奇跡パワー」により、病気が治ったり、事故から身を守ることができたり、事故に遭ってもその被害を軽減することができたり、登校拒否の子供が学校に通うようになったり、会社経営が順調に行くようになったり・・・と、あらゆる御利益があるとされている。
 信者は時として彼らの神様(明主)から、ダイヤモンドのプレゼントを受けたり(ダイヤモンドの奇跡)、大黒様や亀等を象った金色の物体をプレゼントされたり(ゴールドの奇跡)、神慈秀明会本部の手洗い場の水を飲んだり、手足につけることによって病気やケガがたちどころに治ったり(奇蹟の水)と、数々の奇跡が起きているとされている。
 「信者や信者の家族に悪いことが起きるのは霊の曇りだ」と位置づけ、この霊の曇りを解消するには神慈秀明会の浄霊しかないとされており、「霊の曇りをとる唯一絶対の方法」、「最後の審判を乗り切る唯一の方法」、「浄霊なき日は地獄への超特急」、「浄霊は21世紀の科学」等と言って浄霊の効果を信者に伝えている。
 彼らは現代医学を認めず、「薬は毒だ」という確固たる信念を持っているため、病気になっても病院には行かず、もちろん薬も一切使用しない。彼らが得意とする「浄霊」という手かざしで病気やケガを治そうとする。彼らによると、この浄霊で何でも治るとされているが、実際には手遅れになって死亡した例もあるようだ。もっとも、そのような場合でもその者が浄霊で治らず死亡したのは「霊の曇りが多すぎたため」とされ、浄霊の効果に疑いを持つことはない。
 信者本人だけでなく、家族に対しても病院での治療をさせない例も多く、母親が信者の場合は子供が病気になっても病院に連れて行かないため、簡単な病気でも治療が長引き、手遅れになる危険性も高い。
 神慈秀明会の教えによると、霊界は181段階に分かれており、最上段に「明主様」がいて、その下の180段階は、天国60段階、中有界(現在の世界)60段階、地獄60段階に分かれていて、更にそれぞれの段階は20段階づつに別れ、例えば天国は、第1天国、第2天国、第3天国となっているとのことである。秀明会に献金をするとより高い階層に行けるとされている。
 いま世界は、「前古未曾有の大異変」が「目睫(目前)」に迫っており、この大異変から身を守るには、神慈秀明会に入信するしか助かる方法はないと力説し、それまでにできるだけ沢山の人達を「お救い(入信させる)」することが美徳とされている。
 彼らの説によると、阪神淡路大震災は、「最後の審判」が一つの形となって現れたとされ、神慈秀明会の役職者は震災直後に「最後の審判」がどのようなものであるかを見きわめるために、被災者のような服装を身につけ、その被害の状態を「見物」に行った。
 彼らが信ずる「明主様信仰」という宗教は、「宗教を超えた超宗教」であるとされており、今まで世界中に存在したどの宗教よりも卓越したすばらしい宗教であると強調している。
 なお、上記ダイヤモンドは実際には強化プラスチック製のおもちゃ(10円程度の品)、ゴールドは神社のおみくじに付けられている縁起物(50円程度の品)、奇跡の水は普通の水道水であることが判明している。

3、布教活動・献金
 信者になるには3日間の「教修」と呼ばれる講義を受け、「お光り」をもらうために3万円を支払うと信者になれる。
 神慈秀明会では、信者に対して献金額や新規入信者勧誘にノルマを課し、献金する金がない者にはサラ金で金を借りさせて献金させたり、街頭や個別訪問による布教活動を行わせ、目標額に満たない信者を大勢の信者の前で罵倒し、次回には必ず目標額を達成することを誓わせたりしてきた。
 彼らが「夏期布教」と呼ぶ布教活動強化月間には、「自己放棄」と呼ばれる職場放棄、学業放棄を信者に強い、このため職場を退職せざるを得なくなったり大学を休学・退学せざるを得なくなった者も続出した。
 信者が日常的に会に対して行う献金には、「感謝献金」というものがあり、一日が無事に過ごせ食事も頂けたお礼として一食100円(一日3食分で300円。一カ月分で10,000円)の献金が常態化しており、これ以外にも支部への参拝、本部への参拝にも玉串料と称する献金を行うことが常態化している。
 ある程度まとまった金額の献金には独特の名前が付けられ、桃の種献金(10万円)、桃の実献金(100万円)、桃の木献金(1000万円)等があり、信者に良いことがあった場合は「明主様のおかげなのだからお礼をしなければ」、と言ってこうした献金をさせ、信者に悪いことがあった場合も、「明主様のおかげでこの程度で済んだのだからお礼をしなさい」と言って献金させていた。
 信者の家族が病気等になった場合は、「これは先祖の祟りだ。今すぐに献金しないとあんたの家族は死ぬ」と言って脅し、献金させていた事例も報告されている。

4、体制の変化
 上記のように、信者に対する厳しいノルマを課した活動を強行していたため、各地で会に対する苦情が相次ぎ、元信者から「騙されて献金させられた金を返せ」という訴訟も起こされた。また、同時期にオウム真理教事件が社会問題化したため、新興宗教やカルトに対する世間の目が厳しくなり、こうした世間の目から組織を隠蔽するため、平成8年に「新体制」と呼ばれる「穏便路線」に体制を転換した。
 これにより、街頭布教等の目立った行動は縮小されたが、会の内部では依然として信者に献金を求める姿勢は現在も変わっていない。
 奇跡信仰により信者を集める姿勢にも変化はなく、最近の事例では、イラクから日本に目の治療を受けるために訪れたモハマド君に神慈秀明会の信者が浄霊を行い、その結果モハマド君の病状が快方に向かったため、沼津の病院で6月11日に行われる予定だった目の手術が6月9日に行われた、とする「おかげ話」が会の内部で吹聴されていたが、モハマド君の支援関係者への確認の結果、こうした事実はなく、神慈秀明会の虚言であることが判った。

5、会に対する批判
 主婦が家事を放棄して神慈秀明会の活動に参加したり、家族に内緒で高額の献金を行ったことによって、離婚に至った例も多数報告されている。
 献金も相当な高額となっている例が多く、一人数百万円は「普通」であり、中には約2,000万円以上献金したという報告も寄せられている。
 強引な献金とそのノルマ達成のために多くの被害者が発生しており、こうした被害を告発するためインターネット上には「神慈秀明会被害ネットワーク」や、「家族を新興宗教から守ろう」等の告発サイトが設けられている。
 違法な手段によって献金させられた金を返還せよと元信者が神慈秀明会を訴えている裁判も現在進行中である。
 こうした批判に対し、神慈秀明会側は一切の取材に応じず、裁判では信者に対する違法な献金強要は行っていないと主張している。
 神慈秀明会は海外にも拠点を設け布教活動を行っているが、フランス議会からは「カルト指定」されている(フランスではカルトのことを「セクト」と言うので、実際には「セクト指定」)。フランス議会がカルト指定している日本の宗教団体には神慈秀明会の他、統一協会、エホバの証人、幸福の科学、創価学会、霊友会、崇教真光等の名称が上げられている。

 このページは神慈秀明会の概要を述べただけのものなので、詳しくは「家族を新興宗教から守ろう」等のページをご覧下さい。

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