模造ダイヤ

 秀明会内部で一時期よく出た、「ダイヤ」について私が、「あのダイヤは偽物だ」という記事を載せたところ、「では、あの手のダイヤはどこで売っているのか?」という問い合わせがあった。
 そこで、模造ダイヤについて色々と調べて見た。なお、以下の文中に出てくる、「ダイヤ」とは、全て模造ダイヤを指しているので、そのつもりでお読み頂きたい。

手芸店へ買い物に
 ずっと昔に、家族が持っていた安物のブローチにガラス細工のダイヤモンド風のきらきら光るものが散りばめてあったのを見た記憶があったので、まずアクセサリー関係を扱っている店で装飾用ダイヤについて調べてみた。
 アクセサリーを自作する女性も多いようで、街の手芸用品店にはたくさんのビーズやアクセサリー自作用部品が売られている。
 私も妻の買い物に付き合って手芸用品店の中に入ったことが過去にあったが、男の私から見ると、「別世界」のような品物がたくさん売られていたのを覚えている。
 買い物に出たついでに装飾用ダイヤを求めて、手芸用品店に行って見たが、男一人で手芸用品店に行って装飾ダイヤを買うのはなかなか勇気が必要だった。本当は妻と一緒に来たいところであるが、ここにある大きな手芸用品店に行ける時間がとれた時は妻が他の用事で不在だったので、仕方なく一人で手芸用品店に行った。
 たくさんの女性が手芸用品を買い求めている間を縫って男の私がダイヤを求めてうろうろしているのは我ながら何とも不釣り合いな感じがしたが、せっかくのこのチャンスを逃してなるものかと思い、店内を歩き回った。しかし、別世界に迷い込んだような感じでなかなか目的の装飾用ダイヤは見つからず、結局店員に頼んで探してもらった。
 この店では装飾用ダイヤはあまり扱っていないらしく、入手できたのは下記写真の装飾用ダイヤだけだった。このダイヤは直径5ミリほどで、台座がついていたが、台座を外してみるとダイヤの裏には反射用の薄いアルミ板が貼り付けてあり、秀明のダイヤに施されていた鏡面処理と同じ目的であるようだ。このダイヤはカット面の数は少ないにも係わらず、裏面に貼られたこのアルミ板のおかげで非常によく光り、一見したところでは高級感があるように見える。
 この装飾用ダイヤは4個入りで320円、1個80円だった。


手芸用品店で購入した装飾用ダイヤ。裏面にはアルミ板が貼ってある。

キュービック・ジルコニアを購入
 私の住んでいる地域では、近くには他にあまり大きな手芸用品店がないので、インターネットで探してみることにした。すると、ゾロゾロとたくさんの装飾用ダイヤについての情報が出てきた。
 インターネットで装飾用ダイヤを検索すると、「ジルコニア」という名称が出てくる。私はこのジルコニアという名称を聞いたことがなかったので最初は何のことか分からなかった。
 ジルコニアについて調べて見ると、「キュービック・ジルコニア」という合成宝石があり、ダイヤモンドの代用品(イミテーション)として非常に有名なものだということが分かった。屈折率が2.15とダイヤモンドの2.417に近く、単屈折性という共通点もあり、ダイヤの代用品として利用するには好都合な合成宝石で、何よりも値段が安いのが最大のメリットである。私も今回このキュービック・ジルコニアを購入してみたが、カット数が非常に多く、その輝きは、「本物のダイヤモンドか?」と思わせるほどきれいな石だった(と言っても、私は貧乏人なので本物のダイヤモンドを手に取って見たことがなく、本物の輝きは知らないのだが・・・)。
 今回購入したキュービック・ジルコニアが下記写真の5個である。購入したものは台座が付いたものだったので、台座から石だけを外してみたのがその下の写真である。
 写真では今ひとつ透明感や輝きが表現されていないように思うが、実物は本当にきれいな石である。悪意を持った人物がこの石を、「ダイヤモンドだ」と偽って他人に渡した場合は、渡された人は、「これは本物のダイヤモンドだ!」と思うかも知れない。秀明のダイヤは裏面に鏡面処理がしてあった為に鑑定士が見たときすぐにおかしいと気づいたが、このキュービック・ジルコニアは屈折率も高いのでそうした鏡面処理をしなくても十分よく光り、鑑定士でも本物のダイヤかキュービック・ジルコニアかの判定には苦労するようである。
 インターネットの秀明関係サイトに、「秀明で出たダイヤには偽物もあったが本物もあった。宝石加工のプロに見てもらったので間違いない・・・」という内容が書かれていたが、それはこのキュービック・ジルコニアを見間違えた可能性もある。
 宝石関係の下記URLには、次のような内容が書かれており、宝石鑑定のプロでも見分けが難しいとされている。

http://www.ginya-shop.com/closetome/necklace/
 『天然ダイヤとスーパーキュービックジルコニアでは、宝石鑑定のプロでもなかなか見分けられません。ジルコニアは天然ダイヤに次ぐ天然ルビーをも上回る屈折率がある為、その輝きは格別です。
(屈折率 ダイヤ:2.417,ルビー・サファイヤ:1.759,ジルコニア:2.15です)』


 私が今回購入したキュービック・ジルコニアは5個で350円、1個70円だった。この輝きで、この値段はちょっと信じられないような値段だ。


↑インターネットで購入したキュービック・ジルコニア


↑台座から外したキュービック・ジルコニア(左デジカメ撮影、右スキャナーで読み込み)

ダイヤレーンを購入
 上記2種類の模造ダイヤを購入して観察してみたが、これらは秀明でばらまかれたダイヤとは種類が違うようだ。
 次に、「スワロフスキー・ダイヤレーン」という装飾用ダイヤを購入してみた。ダイヤレーンというのは3〜5ミリ程度の装飾用ダイヤが鎖状に連なったもので、今回は4.2ミリのものを購入してみた。10センチ単位で購入することができるが、10センチのダイヤレーンに装飾用ダイヤが16個程ついており、値段は160円だったので、1個の値段は10円程度と格安のダイヤだ。
 メーカーの説明によると、このダイヤレーンに使われている石はアクリル製とのことだが、実物を手にとって観察するとキラキラとよく光っていた。1個10円程度の安さなのに、どうしてこんなに光るんだろう?と思い、鎖状に連なったダイヤレーンからダイヤを取り外して観察してみた。
 すると意外なことが分かった。このダイヤの裏面には秀明ダイヤと全く同じ鏡面処理がなされていたのである(下記写真)。鏡面処理の方法と色が秀明のものと全く同じだったので少々驚いた。こんなに簡単に秀明ダイヤに巡り会えるなんて・・・。


↑スワロフスキー・ダイヤレーン


↑ダイヤレーンから1個の石を外し・・・


↑裏側を見ると、秀明ダイヤ(右)とそっくり!

↑鏡面処理された秀明ダイヤの裏側

 以上の結果から、秀明ダイヤはダイヤレーン等に使用する非常に安い模造ダイヤをばらまいたことが分かった。
 1個10円程度の安物の石を、「明主様からのプレゼント」、「このダイヤはこの世のものではない、非常にめずらしいものだ」、「ダイヤを鑑定すると、地球上にはない物質だった」、「宝石店で鑑定してもらったところ、非常に珍しいダイヤなので1億円で譲ってくれと言われた」等と偽って信者にばらまいていたのが神慈秀明会という団体だった訳だ。
 それにしても、わずか10円の投資で信者を騙し、信者から数百万円、数千万円もの献金をさせていたとは・・・。

鏡面処理ダイヤは中国製
 たまたま家族で買い物に行った大手スーパーに手芸用品コーナーがあったので、試しに店内を覗いて見た。
 すると、下記写真のような模造ダイヤが売られていたので1袋買い求めて見た。
 家に持ち帰り、さっそく分解してみると、このダイヤも裏面に秀明ダイヤと全く同じ鏡面処理がされていた。
 このダイヤが入っていた袋には印刷された商品説明ラベルが貼られており、それによると、「品質:銅、ガラス」、「中国製」等と書かれていた。値段の安さから考えても日本国内製と考えるのは無理があり、この手の「鏡面処理ダイヤ」は中国で安く作られたものが装飾用として日本に輸入されているようだ。
 しかし、原産地中国では、このダイヤが本来の使用目的を外れ、新興宗教の信者を騙すのに使われるとは夢にも思っていなかったことだろう。


↑中国製のガラス製模造ダイヤ。鏡面処理は秀明ダイヤと同じ。石の直径は5ミリ。


↑ラベルには、「ガラス」、「中国製」等の文字がある

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