山梨県を訪れて

 私は生まれてこの方一度も山梨県に行ったことがなかった。これまで神世界を糾弾する活動を続けてきたが、山梨県内に点在する神世界本部やその他神世界関連施設の様子は地元の方などに写真を撮影してもらい、それをメールで送ってもらってHPで紹介してきた。
 しかし、一度は自分の目で神世界本部など主要施設の様子を見ておきたいと思っていた。
 2008年12月、やっとその機会を作ることができ、自分の目で神世界本部などの様子を観察することができた。

1、えんとらんすアカサカ本部
 まず最初に訪れたのは甲斐市竜王にあるえんとらんすアカサカ本部だ。国道20号線を西へ車を走らせ、竜王北中学校のところから右折しようとしたのだが道路工事中で右折できず、そのまま800mほど車を進めて行くと、「赤坂台総合公園入口」の看板があったのでそこで右折した。
 右折して少し行くと水色の時計台のような形をした展望塔が見えてきた。隣接して大きな無料駐車場もあったが、すぐには駐車場に車を入れずに公園の周囲を一回りしてみることにした。事前の調査では、この公園は一辺が300mほどあり、ほぼ四角形をした公園で大きな芝生広場があるのが特徴とのことだ。
 この公園の南西角の道路を挟んだ位置にえんとらんすアカサカ本部の建物があった。
 まず最初は車に乗ったまま、えんとらんすアカサカ本部の周囲をゆっくり走行しながら観察してみた。本部の敷地内には数台の山梨ナンバーの車が駐車しており、駐車場所から判断して客の車と思われた。建物内部には照明もついており人がいるようだったが建物周辺に人の姿はなかった。庭木はきれいに刈り込まれており、手入れが行き届いているようだった。

 車で周辺を見て回った後、公園の駐車場に車を止め、赤坂台総合公園に行ってみることにした。この公園にはドラゴンパークという名称も付けられている。地名が竜王なのでそうした名称がつけられているのだろうが、公園内に行ってみると植え込みが大きな龍の形状に見事に刈り込まれたものがあり、ドラゴンパークを象徴する造形を成していた。
 この公園には高さが20mほどの展望台があり、この上に上ってみればえんとらんすアカサカ本部もよく見えそうなので超望遠レンズも持ってきた。
 ところが展望台の入口まで来てみると、この日はたまたま展望台は休館日となっており、残念ながら展望台に上がることはできなかった。
 やむなく徒歩で公園内を歩いて南西角まで行き、そこからえんとらんすアカサカ本部の写真を撮影した。
 この公園からは富士山が見えるはずだが、この日は天気はいいものの甲府盆地特有?のもやがかかっており公園から富士山を見ることはできなかった。しかし、その後富士五湖方面まで行った時にはもやもきれいに晴れ、雄大な富士山を堪能することができた。
 こんなにきれいで雄大な富士山をいつも眺めているのに、山梨にはなぜカルトが散在するのだろうか?


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私がこの地を訪れた3カ月後に再家宅捜索があった
(2009.03.25 神奈川県警の家宅捜索)



















2、神世界本部
 竜王のえんとらんすアカサカ本部を見た後、玉川の神世界本部に行ってみることにした。竜王から玉川までは一旦国道20号線に出てこれを東方向に走り、「竜王駅入口交差点」で右に曲がり県道25号線を南下して行く。「西八幡」、「八幡」の交差点を直進し、「西八幡南」まで来たらこれを右に曲がり県道5号線(通称アルプス通り)を西へ進む。アルプス通りを西に向けて走行すると、その名前の通り眼前に白く雪が積もった南アルプス連峰が迫り、ここが甲府盆地であることを実感する。
 「西八幡南交差点」から50mほど進むと道路北側に神世界本部が見えてくる。竜王のえんとらんすアカサカ本部からの距離は約5q、時間にすればほんの15分程度しかかからなかった。


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 今回一番見てみたかったのは、「21世紀は神世界」の看板がその後どうなっているかだったが、看板は強制捜査後に「神世界」の文字を白く塗り潰したままの状態で掲げられていた。看板を撤去することなく文字だけを消したのはほとぼりが冷めたら再び看板に文字を書き入れるつもりなのだろう。
 付近の駐車場に車を止め、神世界本部周辺を歩きながら写真を撮影した。
 敷地西端に宿泊棟と呼ばれる建物があるが、この西側の狭いスペースに乗用車2、3台分の駐車場があり、「神世界駐車場。無断駐車厳禁」の手書き文字の看板が設置してあった。
 宿泊棟の玄関は国道側に面しており、玄関脇には「有限会社・神世界」の金属製表札が掲げられていた。宿泊棟の東側は比較的大きな駐車場になっているが、ここには銀色の他府県ナンバーの車が1台だけ止まっていた。
 更に大きな神世界専用駐車場がアルプス通りを挟んだ反対側に設けられている。
 敷地内に入ると不法侵入になるので敷地境界の外側から本部や周辺の写真を撮影した。本部施設には先ほどの車が1台止まっているだけでそれ以外には人の気配がなく静まりかえっている感じだったが、本部玄関脇には鉢植えの花が日向に出されており、かすかに人の存在を感じさせた。
 本殿前には非常に大きなケヤキの木があり、この木からの落ち葉は相当な量になると思われるが付近に落ち葉はほとんどなく、清掃がよくなされていた。お得意の、”無償労働”でいくらでも人手がタダで使えるので清掃が行き届いているのだろうか?
 強制捜査の際に写された写真と比べるとトイレの外側に設けられた板塀がきれいになっており、強制捜査後に改修されたようだ。
 神世界本部の外観はカルト施設特有のけばけばしさを感じさせるものはなく、建物は古いが施設の手入れも比較的よくなされていた。
 建物の間には洗濯物を干すための物干し竿がかけてあったが、そこには干し柿が6個吊してあった。
 施設の外観は穏やかであるが彼らがやってきたことを考えればこの外観の穏やかさはカルトの実態を隠すためのカモフラージュでしかないのかもしれない。
 本部の裏側に回ると、「神世界別棟・いざなぎ」の建物があり、そこから更に進むと畑の中に「21世紀は神世界」の縦型看板が以前のまま立っていた。県道沿いの横長看板の「神世界」の文字だけを消去し、それ以外の看板に書かれた「神世界」の文字はそのまま放置してあるところが何ともいい加減な対応であり、神世界という組織のあいまいさを象徴しているように思われた。

 ごく普通の市街地の中に神世界本部はたたずんでいた。あれだけの被害を出した神世界本部を自分の目で確認したことで、私の中には新たな闘志が湧いてきた。このような団体は一日も早く壊滅しなければならない。甲斐市にこのようなカルト施設が存在することは地域の恥でしかない。この街にとってあの一角は不必要かつ異質な存在でしかない。


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3、神世界発祥の地
 今回現地を訪れてみて強く感じたのは、”甲斐市のごく狭い範囲に神世界の主要施設が集中している”ということだった。
 玉川の神世界本部から竜王のえんとらんすアカサカ本部までは約4q、車で15分程度、池田のみろく本部までもほぼ5q程度だ。例のタバコ屋に至っては約500m程の距離で徒歩10分程度で行ける位置にある。


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 山梨県の一隅で生まれた「千手観音教会」が、そのままこぢんまりと山梨の地で活動を続けていれば警察の強制捜査を受けるようなこともなかったであろう。
 しかし誰かが、”欲”を出した。
 「山梨の地ではこれ以上儲からない、もっと人口の多い東京に進出しよう。そうすればもっと儲かる。バカな女どもを騙す手口は十分身につけた。東京へ行こう!」。
 こうして彼らの転落の人生が始まった。
 そして全国に多くの被害者が生まれた。


 甲斐市に点在する神世界施設を見て回った後、私は富士五湖方面に向かった。甲斐市内からはあまりよく見えなかった富士山であったが富士五湖に近づくにつれてもやは急速に晴れ、雲一つない真っ青な空を背景に白く雪を頂いた富士山の姿は神々しく感じられた。

 本栖湖周辺には「上九一色」の名称がついた施設などがまだ残っている。「まだ残っている」というのは一時期、”日本一有名な村”となった上九一色村は今は存在しないからだ。
 サティアンと呼ばれるオウム真理教のカルト施設があった上九一色村富士ヶ嶺地区は2006年3月に市町村合併で富士河口湖町となりその村名は消滅した。しかし車で本栖湖周辺を走っていると随所に上九一色の名称が目に留まる。
 「上九一色」の名称が書かれた看板を見ながら、改めて思った。

 山梨県はこんなにきれいな場所なのに、なぜ人々を苦しめるカルトが多数存在するのだろう・・・?



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