神世界関係者逮捕

19、代表取締役・日原易子逮捕 (2011.9.30 更新)
加賀町署に連行される日原易子被疑者

 神奈川県警は、2011年8月17日(水)、神世界幹部4名に対して逮捕状を取ったが、その直後から行方をくらましていた神世界幹部4名のうち、最後まで逃亡していた、(有)神世界代表取締役・日原易子(ひはらやすこ)(70)が、9/26(月)、逮捕状が出されてから40日ぶりに組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された。
 日原被疑者は26日午後9時20分頃、神世界事件捜査本部のある加賀町署(横浜市中区)に弁護士とともに出頭し逮捕された。日原被疑者は、「全く知らない。(逮捕されることには)納得いかない」と容疑を否認している。

 日原易子は、9/12(月)に斉藤亨が逮捕された後も、自分だけはそのまま逃亡を続けていた。逃亡を続けていた理由としては、「逮捕されたくなかったのだろう」と簡単に思われがちだが、神世界のことをよく知っている者にしてみれば、教祖が逮捕されているのに日原易子一人が逃亡を続けているのは非常に不可解なことであった。
 日原易子は、「私が(有)神世界の代表取締役になったのは、教主(教祖)を守るためである」と自ら語っていた。実の娘である斉藤葉子(44)はすでに逮捕され、側近だった宮入参希江(49)も逮捕され、自分が守ると公言していた教祖・斉藤亨も逮捕されるに至っては、日原易子一人が逃げ続けることには何の理由も成り立たないはずであった。
 日原易子は神世界の中では、陽龍様(ひりょうさま)と呼ばれ、陽神祭(ようしんさい)と呼ばれる祭典を行っていた。2007年12月末に神奈川県警が強制捜査を行うまでは、易子は祭典に出席するため毎月17日の夕方から18日午後までは山梨に行っていた。
 日原易子は神世界新聞の冒頭に、毎回、御霊光や神世界の神を礼賛する記事を書いており、教祖・斉藤亨と一体になって神世界の活動を推し進めてきた経過がある。斉藤亨が逮捕されたと聞けば、真っ先に警察署に駆けつけ、教祖を守る活動に専念せねば、これまで彼女が言ってきたことが全て嘘だったことになる。教祖が逮捕されたにも係わらず、自分だけが逃げ続けている行為は、彼女のこれまでの発言から言っても大きく矛盾する行為になる。
 斉藤亨が逮捕された後、私が、「日原易子よ、老いて醜態を晒すことなく、もういい加減でてきたらどうだ。代表取締役という肩書きは、何のために引き受けたのか、自分の胸に手を当ててよく考えろ」と呼びかけたのに応えたのか、日原は9/26の夜、捜査本部のある横浜・加賀町署に出頭し逮捕された。

逮捕された神世界幹部など
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 逮捕された日原易子は、S16.1.6生まれ、逮捕時の年齢は70才だ。易子は熊本のプロテスタント系の女子校を出て、S38.7.3に夫・H原H(S13.1.27生)と結婚した。H原Hと易子の間に、S42.7.3に生まれたのが葉子(斉藤葉子)である。この日原易子の娘・葉子は神世界会主・佐野孝と結婚し3人の子供がいたが、H15.2.5に佐野と離婚し、離婚から6カ月後のH15.8.8に教祖・斉藤亨と結婚した。葉子は佐野と離婚した時点で、すでに斉藤亨の子供を身ごもっていた。
 一般的に見れば、佐野孝は斉藤亨に妻・葉子を”寝取られた”形になるが、佐野は佐野で葉子と離婚した直後に、当時19才だった”りら”と結婚しており、年上の女房(葉子)を斉藤に押し付け、自分より14才も年下の若い女”りら”を後妻にしたので、決して貧乏くじを引いた訳ではなかったようだ。当時、佐野は33歳、葉子35歳、りら19歳であった。こうした”事情”があったせいか、佐野は元妻・葉子を寝取られた後も斉藤亨とは密接な関係を持ち続けていた。佐野に娘”りら”を差し出したのが、えんとらんすわーるどヒルズ代表のK山E子であり、自分の娘を神世界幹部と結婚させることで、自分も神世界の分け前にあずかろうと目論んだのではないかと思われる。
 神世界幹部の”人間模様”はきわめて複雑に入り組んでおり、言葉で説明しただけではなかなか分かりにくいので、右図を作成した。これを見れば分かる通り、”霊感商法詐欺団体・神世界”は、日原易子を頂点とした、”血の結束”で結びついた、おぞましい組織である。

 日原易子は70才と高齢ではあるが、「代表取締役」という肩書きに恥じぬよう、事件の責任もしっかり取ってもらわねばなるまい。


●観音会の動向に注意
 日原易子が逮捕された2011年9月27日(火)、神世界事件を巡ってまた新たな動きがあった。斉藤亨が逮捕された大阪市内のマンションの賃貸契約をした男を、神奈川県警は犯人隠避の疑いで同日書類送検したのだ。送検された男の年齢を聞いて驚いた。送検されたのは、山梨県笛吹市の73才の男だった。この73才の会社員と称する男は、吉田澄雄元警視の指示を受け、大阪市中央区島之内の短期契約マンションの賃貸契約をしていた。
 「73才」という高齢男性が、神世界の客や関係者の中にいたであろうか?少なくとも私が得ている情報では、そのような高齢男性が神世界にいたという情報はない。しかし、観音会の関係者であれば、そうした高齢者がいる可能性は非常に高い。この73才男性に指示を出していたのは吉田澄雄であり、吉田は観音会のS藤H保の後継者候補として杉本明枝とともに動いていた男だ。こうした事実を積み重ねて分析していくと、斉藤亨ら4名の逃亡劇の裏で暗躍していたのは、観音会関係者だったのではないかとする疑いも濃厚に感ずる。73才の男に指示を出し、斉藤亨の逃亡に手を貸していた吉田澄雄元警視も、同日、犯人隠避の疑いで横浜地検に送検された。

 2011年3月10日に杉本明枝が逮捕されて以来、これまでに逮捕された神世界関係者の人数は17名、延べ人数では25名が逮捕されている。逮捕者が続出しても、神世界側は何ら反省するどころか、神世界新聞紙上で警察批判、検察批判を繰り返すなどしてきたが、ここにきて、えんとらんすアカサカ本社(竜王)を9月末で閉鎖することを決めたとの情報がもたらされた。
 神世界がえんとらんすアカサカの閉鎖を決定したことは、やっと現実が見えてきたことの表れなのかもしれないが、閉鎖は実は単なるカモフラージュでしかなく、閉鎖の裏では会員を大挙して観音会に移籍し、資産や資金も観音会に移動させるなど、組織犯罪処罰法違反で犯罪収益が没収されることに備えての準備行動なのかもしれない。今後も、神世界と観音会の動向について注意深く観察を続けることが必要だ。

(有)神世界代表取締役・日原易子(70) (上段・逮捕時。下段・神世界本殿での祭典時[右端の白装束])
(写真左:TBSニュースより。下段写真:神世界新聞創刊号より。写真をクリックすると大きくなります)


●日原易子を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で送検
 2011年9月26日(月)に逮捕された神世界代表取締役・日原易子(70)は、9/29(木)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で横浜地検に身柄送検された。送検後、20日間は地検での取り調べが行われるので、10/19(水)には、同容疑で起訴されるものと思われる。


●斉藤亨の両親を犯人隠避容疑で書類送検
 神奈川県警は2011年10月3日(月)、神世界教祖・斉藤亨被疑者(53)=組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕=の逃走を助けたとして、”犯人隠避”の疑いで、甲斐市に住む斉藤容疑者の父親(86)と母親(81)を書類送検した。  2人の送検容疑は、神奈川県警の元警視、吉田澄雄被疑者(55)=犯人隠避容疑で逮捕=らと共謀し、8/18から9/12ごろまでの間、斉藤被疑者に逮捕状が出ていることを知りながら逃走を手助けした疑い。  県警によると、9/12に斉藤被疑者が逮捕された大阪市内の短期賃貸マンションの手配について、吉田被疑者が中心となって山梨県内で相談した際、斉藤亨の両親も同席し、相談に加わっていた。斉藤の両親は容疑を認めている。


●日原易子を処分保留で釈放(2011.10.17)
 横浜地検は2011年10月17日(月)、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕、送検された神世界代表取締役・日原易子(70)を処分保留で釈放した。
 また地検は17日、送検後に処分保留で釈放した神世界関係者9人を起訴猶予処分にした。地検はいずれも処分理由を明らかにしていない。
 「起訴猶予処分」とは、被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに検察官が行う処分だ(刑事訴訟法248条他)。
 簡単に言うと、起訴猶予処分とは、「起訴すれば有罪に持ち込むことが出来るが、今回は大目に見てやろう」という意味であり、”嫌疑がない”とか、”無実である”という意味ではない。今回、起訴猶予処分になった者は、その意味を十分理解しておくべきだ。


●斉藤亨の両親等を起訴猶予処分(2011.10.26)
 横浜地検は2011年10月26日(水)、自分たちの息子である神世界教祖・斉藤亨の逃亡を助けたとして犯人隠避容疑で書類送検されていた斉藤亨被疑者の父親(86)と母親(81)及び同容疑で書類送検されていた笛吹市の男(73)の3名を起訴猶予処分とした。
 斉藤亨の両親が起訴猶予処分になるであろうことは、刑法第105条に「親族間の特例」が定められていることから、既に推測されていた。
 同じく、斉藤亨の逃亡に荷担したとして、9/27に犯人隠避容疑で書類送検された、「笛吹市の男」(73)も起訴猶予処分となったが、この73才の男は吉田の指示に従っただけであり、事件への関与の程度が低いとみなされたものと思われる。

刑法第105条(親族間の特例)
第103条、第104条(犯人蔵匿・隠避罪,証拠隠滅等罪)の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。


 世の中には「愚かな親族」も多いことから、刑法第105条が設けられたのかもしれないが、犯人(息子)を隠避したからといって本人の嫌疑が晴れる訳では全くなく、むしろ逃亡することによって嫌疑は深まり、逮捕された際の心証が悪化することを考えれば、息子の逃亡を親が助けるのは、甚だ思慮分別に欠けた浅はかな行為だ。「人類救済を目指して観音会を宗教法人にする」と言っている者が取るべき行動ではない。起訴猶予になったと言って安堵するのではなく、自分たちの行動は社会的に見れば甚だ稚拙であったと恥ずきである。
 ”自分の息子は無実である”との確信があるのなら、息子を逃亡させることはしないのが普通だ。しかし、息子は「無実」ではなく、逮捕されると有罪になることが確実な場合には、むざむざ逮捕される道を選択させるのではなく、逃亡を助ける親の割合は増えるであろう。今回、息子の逃亡に両親が手を貸したことは、”息子は無実ではない”と親は思っているというのに等しい行為だ。


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