神世界に対する損害賠償訴訟
第15回口頭弁論(2011.6.8)

節電で薄暗い地裁のエレベーターホール。あまり人が通らない所(画面手前)はびっくりするほど暗い。

 この日、6月8日(水)の東京は曇り空で、時折小雨がぱらつく状態だった。霞ヶ関の駅に着くと、通路の照明や看板の照明は半数ほどが消されており、やや薄暗く感じたが、この程度であれば駅として利用するにはさほど不自由を感ずるほどではなかった。3/11に発生した東日本大震災から約3カ月が過ぎ、電車の運行も安定してきており、余震の発生もかなり沈静化してきたので、傍聴に来る人も今回は増えるのではないかとい思いながら地裁に入った。
 地裁の1階ロビーに置いてある裁判目録で確認してみたところ、本日の626号法定では、10:00から鈴木宗男が原告となっている裁判が行われていた。鈴木宗男被告は他の事件ですでに収監されているが、この裁判は鈴木被告が収監される前に元林野庁長官だった人物を相手に起こした裁判だった。原告がすでに他の事件で刑務所に収監されているのに、原告不在のまま裁判が進行しているのはなんとも不思議である。
 626号法定では、10:20からは労働争議の裁判も行われていた。11:00から行われる神世界の裁判も含めて、いずれの裁判も裁判官の顔ぶれは全員同じだった(裁判長:深山卓也、裁判官:和久田道雄、裁判官:原田佳那子、書記官:北本信夫)。裁判官も複数の裁判を連続して審議しなければならないとは、さぞかし大変だろうと思った。
 6階の法廷に移動しようとしてエレベーターホールに行くと、半数程度のエレベータには「運行中止」の張り紙がしてあり、節電のために運行するエレベーターの数を制限してあった。エレベーターホールの照明も通常の半分程度しか点灯しておらず、やや暗く感じたが、ホールから少し離れたトイレへ向かう通路は本当に暗く、壁に設置されている銘板も読みにくいほど照明が落とされていた。更に驚いたことには、エレベーターの動きが異常に遅い。エレベーターを高速で動かすと余分の電気を消費するので、超低速で動かしているようで、ボタンを押してもなかなかエレベーターが来ない。なかなかエレベーターが来ないので、やっとエレベーターが来たときにはたくさんの人が”溜まって”おり、とても一度では乗れず、多くの人が積み残された。節電のためやむを得ないことであるが、これまで何も考えずに電気を使いたいだけ使ってきたことを思い知らされた。
 何とかエレベーターに乗ることができ、626号法廷にたどり着いた。本日の神世界に対する口頭弁論は、えんとらんすグループ幹部4名が逮捕された5月30日から9日しか経っておらず、マスコミ関係者や捜査当局者も傍聴するのではないかと予測された。開廷時刻が近づくに連れて626号法廷の傍聴席は埋まって行き、開廷時には8割程度の席が埋まっていた。やはり神世界関係者逮捕の影響で神世界事件に対する関心は高くなっているようだ 。

11:04開廷

 深山裁判長など3名の裁判官は開廷時刻の少し前から入廷していたが、開廷予定時刻になっても原告側代理人も被告側代理人も出席予定の人数が揃わず、裁判長は、「節電でエレベーターが混んでいるので、もう少し待ちましょう」と言って開廷を少し遅らせた。次回から地裁に行かれる方は、早めに所定の階に上がっておくことをお勧めする。少し遅れて代理人や傍聴者が入廷してきたので深山裁判長は審理を開始した。
 被告側代理人、原告側代理人の机の上には、多数のカラー刷り「神世界新聞」が置かれていた。この神世界新聞は原告側が証拠として提出したもので、要所要所には蛍光ペンでマーカーが引かれていた。

■準備書面陳述
 被告えんとらんす側から準備書面(11)の陳述があり、一部の原告に対する損害認否(○、×、△)と、一部被告の位置づけに対する反論がなされた。続けて、えんとらんす代理人が、「Aさんに訴訟告知の申し立てをする予定である」と発言した(準備書面11にもその旨の記載あり)。
 準備書面の確認を行った後、深山裁判長が「被告関係者が逮捕されている。E2やアカサカの認否が遅れているが、刑事事件の影響はありますか?」と尋ねた。これに対してえんとらんす代理人が、「6月1日に(被告の)勾留が決定した。そのため作業が遅れている」と答えた。
 原告側が第13回口頭弁論(2011.03.23)で提出した求釈明申立書(被告に対し認否及び原告の金員拠出の根拠となる資料(領収書等)の提出を促すもの)に対して未だに被告側が回答していない点について質したところ、深山裁判長は被告らに対して提出を再度促し、次回までに回答が示されない場合は強く求めることになるかもしれないと述べた。
 今回被告側から提出された準備書面(11)によっても、まだ認否が行われていない原告が4名あるところから、至急に被告側に認否を求める求釈明申立書(7)が原告側より裁判所に翌日(6/10)提出された。

■刑事事件との関係
 裁判長は原告側に対しても刑事事件との関係を質したが、原告側はまだ刑事事件の詳細が分かっていないので、どのような影響があるかはまだ分からないと答えた。原告側としては、7月に始まる予定になっている刑事裁判とのすりあわせもしていきたいと裁判長に伝えた。それを受けて、深山裁判長も刑事事件の推移には関心を寄せているという趣旨の発言があり、この民事訴訟は神世界関係者に対する刑事裁判の推移を見守りながら進行していく気配を感じた。
 原告としては早期に民事訴訟の結論を得たいところだが、刑事裁判の成り行きを無視して解決を急ぐのは得策ではないのかもしれない。

■プラス花
 プラス花の加藤被告(女)が挙手して発言を求めた。加藤被告は裁判長に対して、「私のところではすでに認否に関する書面も提出済みだ。私は以前からこの裁判とは切り離しての審議をお願いしてきた。私のところとは直接関係のないこうしたやり取りにこれからも付き合って行かねばならないのか。私の希望は叶えられないのか。」といった趣旨の発言をした。これに対して深山裁判長は、「あなたの希望は聞いている。しかし現状ではあなただけ特別扱いはできない。法律的には分けることも可能であり、将来はそうした場面も出てくるかもしれないが、当面は同時並行的に進めていく予定だ」と回答し、加藤被告も「よく分かりました」と答えた。

■杉本明枝被告の初公判
 神世界関係者の中では最初に逮捕され、詐欺罪で3度にわたって起訴されている杉本明枝の裁判日程がこの日の裁判の中で明らかになった。杉本明枝被告の初公判は7月14日(木)、午後2時から横浜地裁で行われる。神世界事件では最初の刑事裁判であり、多くの傍聴希望者が殺到することが予測される。傍聴は抽選になると思われるので、E2に係わる原告の方で傍聴を希望される方は原告団まで早めに連絡してほしいとのことだ。あまり多数は無理だが、ある程度の人数枠は確保できるかもしれないとのことだ。

11:17閉廷

 口頭弁論終了後、別室にて報告会が行われ、今後の訴訟の進め方などについて話があった。

今後の訴訟日程など
■杉本明枝初公判 2011年7月14日(木)午後2時00分開廷(横浜地裁)
■第16回口頭弁論 2011年7月26日(火)午後3時30分開廷(東京地裁631号法廷)
■第17回口頭弁論 2011年9月20日(火)午前11時00分開廷(東京地裁631号法廷)



訴訟告知
 この日の口頭弁論で被告側から出された「訴訟告知」とはどのようなものなのだろう? Aさんとは、元えんとらんすスタッフだった人で、強制捜査直前に自分の意志で神世界を脱出し、気持ちの整理がついてからは、事件解決に向けて精力的に警察・検察に対して捜査協力してきた人だ。
 Aさんはえんとらんすや神世界の内部事情に精通しており、神世界事件の解明にはAさんの証言が大きく役立つことは間違いない。このAさんを訴訟告知するということは、えんとらんす側はAさんにこれ以上、えんとらんすの内情、神世界の内情を暴露されたくないと考え、Aさんを「口封じ」する目的でこうした戦法に出てきたのだろう。えんとらんすでスタッフとして働いてきた者は多数いるにも係わらず、ここにきてAさん一人を訴訟告知するのはいかにも唐突かつ不自然であり、今回の訴訟告知は訴訟告知という手段を使った嫌がらせではないだろうか。
 えんとらんすグループ代理人の市河真吾弁護士が所属する赤坂見附総合法律会計事務所のホームページには、「当事務所は、弁護士の使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現であることを認識しつつ・・」と書かれているが、今回の”訴訟告知作戦”のどこが社会正義なのか甚だ疑問だ。


訴訟告知作戦(えんとらんすグループ&神世界)

1、Aさんへ。我が社(E社)はいま訴訟をおこされています。
2、Aさんは昔一緒にE社で働いていたよね。
3、それなのにAさんは、今ではE社が不利になるような言動をしているらしいね。
4、E社の内情に詳しいAさんにそんな動きをされたらE社は大変!
5、そこで、E社は勝手にAさんを「被告仲間」にするために「訴訟告知」させてもらったよ。
6、これでAさんも「被告仲間」だから、もしE社が訴訟に負けたときはAさんも一緒に責任とってね。
7、なので、AさんもE社が訴訟に負けるような言動はこれ以上しない方がいいよーん。


 以上が、今回の「訴訟告知」の狙いではないだろうか。被害者の中には不本意ながら一時期神世界で働かされていた人もあり、被害者がこのような形で、「口封じ」を狙って訴訟告知をされた場合はどように対処すべきかについて、「訴訟告知・二つのシナリオ」としてまとめてみたので、参考にご覧いただきたい。(2011.6.10 fujiya)



■神奈川新聞(カナロコ)の記事
2011/5/31(火)の神奈川新聞

 神奈川新聞(カナロコ)の5/31版に、この訴訟に関する記事が掲載されていた。記事の中で、
 同グループの被告8団体・17人はそれぞれの代理人を通じて請求棄却を主張。準備書面で一部原告について「顧客勧誘の経緯は知らず、詐取は否認する」と反論している。原告側は裁判長期化について神世界側を批判しているが、グループ中核の「有限会社神世界」の代理人弁護士は「すべて否認すると主張しているので原告側に証明責任がある。裁判が終結しないのは神世界側の落ち度ではない」と述べている。
と、被告側代理人の発言を掲載しているが、裁判が終結しないのは、原告側が求めている認否を被告側がいつまでも提出しないことが主たる要因であり、原告側に問題がある訳ではない。この訴訟は原告の人数も多く、被告も多数であり、時間がかかることは最初から想定済みのことだ。
 被告が逮捕されたことで、今まで以上に”原告有利”の方向に状況は変化してきている。今後の進め方としては、刑事裁判の状況を見ながら民事訴訟が進んでいくことになるので、多少時間はかかるかもしれない。しかし状況は原告有利であり、神奈川新聞の見出しは、「集団訴訟は結審めど立たず」となっているが、原告側としては「結審めど立たず」などと悲観したりは全くしていないので、心配ご無用だ。

 5/30に逮捕されたえんとらんすグループの4名に対する裁判もそのうち始まることになる。今後他の神世界関係者も逮捕・起訴されることが予想されるので、現在係争中の損害賠償訴訟と合わせて数件の神世界関連裁判が同時進行していくことになりそうだ。どの裁判も傍聴したいところだが、全ての裁判を傍聴するだけの時間がとれるかどうか・・・。


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