神世界に対する損害賠償訴訟
第14回口頭弁論(2011.4.27)
午前中に行われた「陸山会」関係の裁判の様子(NTV)

 2011年4月27日(水)の午前中、東京地裁では、小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体、「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人に対する第10回公判が午前中に行われた。この日の法廷には、「水谷建設」の川村尚・元社長(53)が証人として出廷したので、注目を集めた。川村元社長は石川被告らに手渡したとされる小沢事務所への裏金1億円について、「衆院議員会館の小沢先生の部屋で大久保隆規被告(49)から要求された。その後、お支払いした」などと証言し、裏金の提供を行ったことを明言したことが、この日のニュースで大きく報じられた。
 午前中に上記裁判などが行われた4/27(水)の15:30より、東京地裁の626号法廷では、神世界等に対する損害賠償訴訟の第14回口頭弁論が行われた。

午後3時30分開廷
 2011年3月11日に発生した東日本大震災の余震活動は1カ月半ほど経っても未だに治まらず、東京でも連日のように余震が続いていた。その関係もあってか、傍聴者の人数は今回も少なく、傍聴席には8名ほどの傍聴者と5名の原告代理人が着席していた。
 法廷内は原告側には原告4名、原告代理人13名の計17名が着席。被告側には被告1名(加藤被告)、被告側代理人6名の計7名が着席していた。書面などのやり取りは、

提出書面など
●原告提出書面 報告書(現在のE2関係者で逮捕及び起訴された者等、捜査の進捗状況に関するもの)
●被告提出書面 被告アカサカより、準備書面(10)(実質的には前回の期日で提出されていたものの形式的には提出が留保されていたため、本日提出されたこととなった。)
●被告プラス花より 準備書面(9)

被告代理人の発言を調書に
 原告提出の準備書面(5)及び(6)に対する被告らからの反論が一切ないことについて、裁判所が被告らに対しその理由を尋ねたところ、被告E2は「杉本の身柄が拘束されており、打ち合わせができない。」と理由を述べた。
 さらに、被告(有)神世界までもが「警察の捜査が続いており、また、被告らで統一的反論をするために時間がかかっている。」と理由を述べた。
 こうした、被告(有)神世界(代理人)の発言は原告にとって有利なものなので、すかさず原告代理人がこうした発言を調書(注1)にとることを求め、被告神世界代理人の発言は調書にとられることとなった。

(注1)
 法廷内での重要な発言は、「書記官」によって「調書」として記録されている(民事訴訟法160条1項)。この調書は期日毎(口頭弁論毎)に作成されている。
 もっとも、調書には特に重要な事項については記載が義務付けられているものの(民事訴訟規則67条参照)、その他のやり取りについては記載が義務付けられているわけでなく、全てのできごとや発言について必ずしも調書に記載されるとは限らない。
 そこで、原告代理人は、大事だと考えた被告代理人の本日の発言について、調書をとるように裁判所に求めたのが今回のやり取りだ。


今後の口頭弁論日程
 次回の第15回口頭弁論日程は2011年6月8日(水)午前11時00分から626号法定で開催されることが決まっていたが、この日は次々回の第16回口頭弁論日程が決められた。  調整の結果、第16回口頭弁論は2011年7月26日(火)15:30から東京地裁第631号法廷で行われることとなった。この日だけは法廷がいつもと違う場所なので間違えないようにしていただきたい。

午後3時40分閉廷


往生際の悪い神世界

 民事事件として2億6158万6450円もの損害賠償訴訟を起こされ、刑事事件として多数の神世界関係者が逮捕され、逮捕された一部の者はすでに起訴もされるに至っていながら、「被告らで統一的反論をするために時間がかかっている」と被告代理人は発言した。

 いま、神世界がどれだけ不利な状況に置かれているか、被告代理人には見えていないのか? それは「見えていない」のではなく、「見ようとしていない」のではないか。何が何でも原告の訴えを100%はね返さねば被告代理人としての務めが果たせないものではない。被告代理人は被告が置かれている状況を冷静に分析し、被告に対して適切なアドバイスを行うのが有能な代理人の務めなのではないか。

 それにしても、「統一的反論」とはよく言ったものだ。
 (有)神世界が平成19年12月20日にマスコミ各社に送った文書では、「弊社と契約しております各会社が契約に基づき各社それぞれ独自の方針で活動しております。ですから一般の方に対する活動は、それぞれの会社に聞いて頂かないとわかりません。一般の方に対する活動は、それぞれ各社で個性がありますから、各社がどのような活動を行っているかは把握しておりません。ついては各社で活動しているので、そちらでお聞きしてください。」と述べており、あたかも(有)神世界と各サロンは直接的な関係がないかのごとく装っていた。しかし、4/27の口頭弁論で「統一的反論」と述べたことは、(有)神世界と各系列会社とが一体的に運用されてきたことを被告自らが裁判所で認めたことになる。

2011.4.28 fujiya


戻る