神世界新聞 第14号(2011.09.01発行)を見て
神世界新聞第14号(2011.09.01発行) | |
これまでに延べ22名の神世界関係者が逮捕され、教祖・斉藤亨と神世界代表取締役・日原易子の2名が逃亡中であるにも係わらず、神世界は神世界新聞第14号を予定通り9/1に発行した。普通の会社なら、このような時期に、「わが社は正しい」等という論調の機関紙を新たに発行することなどできるものではないが、神世界の連中は平気で新聞発行を続けている。彼らは、よほど”懲りない面々”なのだろう。
”懲りない面々”と言えば、「塀の中の懲りない面々」という安部譲二の小説は、映画にもなったので、ご覧になった方も多いだろう。私は見学目的以外では、まだ塀の中に入ったことはないので、刑務所暮らしの体験はないが、安部譲二氏が”実体験”に基づいて書いたあの小説を読むと、刑務所というのは想像以上に大変な場所であることが分かる。
逮捕された神世界の連中は、現在公判中、あるいはこれから公判が始まる身であり、まだ”塀の中”(刑務所)には入ってはいないが、遠からず塀の中の住人となることだろう。男子受刑者は、初犯であればA級刑務所に収監されるので、近場の横浜刑務所横須賀刑務支所に入れてもらえるかもしれない。あの辺りの刑務所に収監されると、面会にも行くのも近くて便利だ。女子受刑者は、女子専用刑務所(W級刑務所)に収監されることになるので、少々遠方まで行ってもらうことになる。女子専用刑務所は数が少ないため、収監者を犯罪の種別によって分けることができず、詐欺罪で実刑となった者も、その他雑多な受刑者と一緒に収監されることになるので、なかなか大変だ。女子受刑者の多くは麻薬・覚醒剤がらみで収監されているので、雑居房の中ではコワーイお話しがたくさん聞けるかもしれない。それにしても、かんかん踊りは屈辱だろうなあ・・。今でもやっているのかな?
経験者以外には、その実態があまり知られていない受刑者の生活や、受刑者を抱えた家族の悩みなどについては、刑務所情報の掲示板を見ると、塀の中での生活を垣間見ることができる。女子刑務所の内情については、女子刑務所のすべてという本も出版されている。
娑婆での気楽な生活とは全く違い、刑務所で過ごす日々は辛く厳しいであろうが、刑務所での生活も悪いことばかりではない。一日の行動は分単位で細かくスケジュールが決められており、規則正しい生活を送ることができる。食事のカロリーや運動も、健康な体を維持するために厳密に管理されており、収監される前は肥満気味だった受刑者も、刑期を終えて出所する頃にはスリムな体になって出てくることができる。刑務所に収監されている間に体がスリムになることを、「刑務所ダイエット」(jail diet)と言う。アメリカでは、このjail dietによって体が細くなったのは刑務所の食事が不十分だからだ、と言ってクレームをつけた受刑者がいたが、神世界関係者はこれまでの贅沢な生活でやや太り気味の者が多いようなので、刑務所暮らしを”絶好のダイエット期間”と捉えて過ごせば、刑務所暮らしも少しは楽しくなるかもしれない。詐欺罪で死刑になることはないので、何年先になるかは不明だが、いつかはスリムな体になって出所することができるだろう。逃亡中の2名も、早く出頭してお縄を頂戴し、塀の中でダイエットに励もう。
神世界新聞の内容からは少々飛躍してしまった。新聞の内容があまりにもつまらないので、”懲りない面々”という言葉から、つい思いつくままを書いてしまった。
これ以上の企業危機はないであろうと思われるこの時期に、性懲りもなく、平気でこのような新聞を発行し続ける彼らの思考回路はどうなっているのだろう。ひょっとすると、”我々は正常な判断力を失った集団だ。だから刑法で処罰することはできないのだ”と思わせるために敢えてこのようにバカげた新聞を発行し続けているのかとさえ思えてくる。
■奇々怪々
神世界新聞第14号が発行されたのは2011年9月1日。教祖ら4名に組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕状が出たのが8/17なので、編集や印刷に要する時間を考えると、紙面にその内容が反映されるか微妙なタイミングだったが、下記に示すように、第14号裏面には、「神世界の役員4名に対し、組織詐欺による逮捕状が発布された」という記述がある。つまり、この新聞は教祖らに逮捕状が出たことが明らかになった後で編集・発行されたことが分かる。
ところがである。一面の記事は、いつもと同じ日原易子、M入E実、W田M和の3名が記名記事を書いているが、そのどこを見ても、”教祖らに逮捕状が出された”という重大な事実に関しては一言も触れていないのだ。教祖ら4名の神世界幹部に逮捕状が出たという事実は、組織にとって、とてつもなく重大な事案であり、看過することなど絶対にできない”お家の一大事”である。本来ならば、予定原稿を全てボツにし、紙面全面を教祖らに逮捕状が出されたことに関する記事で埋め尽くすくらい重大な案件である。少なくとも、(有)神世界・代表取締役である日原易子は、この重大な事実を受け、何らかのコメントを出すべきだ。こうした状況で、代表取締役が一言も発しないことなど、普通では絶対に考えられないことだ。裏面には逮捕状が出されたことを受けての記事を掲載する時間的余裕があったのだから、代表取締役としては、予定していた原稿を急遽書き換え、この重大な局面に組織としてどう対処するのか、会員等に向けてコメントを発するのが組織代表としての重要な務めだ。日原易子は逮捕状が出た後もずっと逃亡を続けているのだから、編集関係者にコメントを送ることは十分可能だった筈だ。
もし、日原易子は逃亡中であるため原稿が送れなかったのであれば、M入やW田が日原に代わって組織からのコメントを発すべきだ。しかし実際には、3名中、誰一人としてこの問題に関する発言はしていない。これは、神世界という組織が、組織としての体を全く成していないことを如実に物語るものだ。神世界上層部の面々は、自分達が企業経営者として、顧客に対し、社員に対し、社会に対しても、”説明責任”があるということを微塵も理解していないのだろう。これほど常識に欠けた者ばかりが神世界上層部に集まったのは、奇々怪々、これこそ現代の”怪奇現象”だ。
■御霊光の力
第14号一面に、日原易子、M入E実、W田M和の3名が書いている御霊光礼讃の記事を、私も”会員になったつもり”で真剣に読んでみた。御霊光の力は素晴らしく、御霊光を浴びた者は幸せになるらしい。御霊光は「神世界新聞」からも出ているそうで、私は何も感じなかったが、新聞を手にしただけで御霊光のありがたさに涙する者もいるそうだ。たった1枚の神世界新聞を手にしただけでもビリビリと御霊光を感じることができる者もいる程なのだから、神世界新聞発行元の神世界にいる者達は、まばゆいばかりの御霊光を浴び続けており、全ての者が幸せになっていることだろう。
あれ?ちょっと待てよ?それほど御霊光の力が素晴らしいのならば、どうして神世界本部が何度も警察の家宅捜索を受けたり、神世界幹部が次々と逮捕され、挙げ句の果てには教祖とその親族まで根こそぎ逮捕されるようなことになったんだ?竹市幸子准教授や、吉田澄雄警視はどうして勤務先を首になったんだ?
先日逮捕された宮入参希江の夫も神世界に係わっており、たくさん御霊光を浴びていたのに、なぜ38歳の若さで急逝したんだ?教祖の家族の病気はどうして御霊光で良くしてやることができないんだ?教祖の父親は、なぜ病院で手術を受けたんだ?
紙面に書いてある御霊光の素晴らしさと、現実に起きていることとのギャップはどう説明してもらえるんだろう?
ひょっとすると、御霊光って、誤零光の書き間違えだったのでは!?
■戦いの「ポーズ」
神世界新聞第14号に掲載された大多数の記事は、論評するのもバカらしくなるようなものばかりだが、唯一興味が持てたのは、、「ずさん極まりない捜査」と題した検察を揶揄した記事だ(下記に本文)。同じような記事は前号にもあったが、ここまで検察に対して”暴言”とも言える言葉を吐き続けることが、神世界にとってプラスになると思うところが、彼らの浅はかなところだ。この記事を書いている某弁護士としては、今後、神世界がどのような処罰を受けることになっても自分の身は痛まないので、どんな暴言でも平気で吐くことができる。最終的に処罰されるのは神世界であって弁護士ではない。現時点では、警察や検察を声高に揶揄・罵倒しておけば、弁護士は、”さも勇ましく”戦っているように見える。そうした、”戦いのポーズ”を示しておけば、神世界の連中はいくらでも金を出してくれる。裁判は、解決までの期間が長引けば長引くほど、弁護士の懐には高額な弁護料が長期にわたって支払われるので、裁判は適当にはぐらかし、解決が長引くように引っ張る。神世界の連中は、そうした某弁護士の策略に気づくことなく、某弁護士の言いなりだ。
神世界という団体は、我が身の至らなさに思いを馳せることは一切なく、外部から批判されると、批判した相手をひたすら口汚くののしり、「我々を批判する者は、別の意図があって我々を攻撃している」と、論点のすり替えを行い、「自分達は悪くない」と強弁し続ける、カルト団体特有の特徴がある。
神世界が反撃する相手は、その時々に於いて変化し、私(fujiya)であったり、神奈川県警であったり、被害対策弁護団であったり、横浜地検であったりする。神世界新聞第12号〜第14号では、反撃対象として横浜地検がメインになっている。
もし仮に、神世界が何も悪いことをしておらず、警察の強制捜査や、関係者の逮捕が不当だと、”本気”で思っているのであれば、マスコミを集めて神世界トップが記者会見を行い、声を大にして自分たちの正当性と、捜査当局の姿勢は不当だと訴えるべきだ。しかし彼らは絶対にそうした行動は起こさず、神世界新聞という超ローカルな会員向け機関紙紙上で警察・検察に対して暴言を繰り返すのみだ。神世界新聞は通常では警察や検察の目に触れることはなく、どれだけ暴言を吐いたところで警察や検察にその内容が伝わることはないと分かった上で、機関紙の読者である会員向けに”強がりのポーズ”として一連の意見を述べているだけだ。
あのオウム真理教ですら、何度となく記者会見を開き、”ああ言えばこういう”広報官が大ボラを交えてオウムの正当性を訴えていた。しかし、神世界幹部は絶対に公の場に姿を晒そうとしない。それはなぜか。それは自分達神世界には、やましい所が満載であり、とても公の場に顔をさらすことなど恥ずかしくてできないからだ。いつかは破綻することが分かっている者としては、とてもじゃないが公の場に姿を現すことなどできる筈もない。
せっかく彼らが横浜地検に対して暴言を浴びせているのに、その声が地検に届かないのではつまらないので、先月号に続けて今月号も、A3用紙にカラー印刷した神世界新聞を地検特捜部に送付しておいた。今ごろ地検内部では神世界新聞第14号が回覧され、担当検事達は神世界に対する闘志をこれまで以上に高めていることだろう。
下記記事中の「答3」で、現在横浜地裁で行われている裁判などの見通しについて触れている部分があり、「刑事弁護団に任せておけば大丈夫」との見解が示されている。彼らがそう思うのは勝手だが、先頃行われた吉田(杉本)明枝被告に対する公判では、神世界側弁護士に対して裁判長から、「質問を変えるように」とか、「もう終わりにしてください」いったクレームが何度もつけられていた。ある弁護人に至っては、弁論をしているうちに話の道筋が訳の分からない状態となり、”迷走”していた。弁護人のこうした呆れた言動には、被告ですら驚きの表情を見せていた。傍聴席からも失笑が漏れる場面もあり、もし私が被告であったら、とてもじゃないがこの弁護人に任せておこうとは思えないありさまだった。しかし、彼らはこの弁護士で大丈夫と思っているようなので、原告としてはむしろ好都合だ。判決という「結果」が出たとき、これらの弁護士に任せたことの是非が分かるだろう。
■杉本に預言を聞く能力があれば
尾崎幸廣弁護士の「私の一言」は、今回は「預言」についてだ。文面から察すると、尾崎弁護士は、吉田(杉本)明枝被告をかばう目的でこれを書いたのだろう。杉本被告が、「あなたの会社は戦国時代の首切り場だった」とか、「あなたの右能に子ギツネの霊がついている」等と客に告げたのは、杉本被告が述べたのではなく、神様が言った言葉を杉本が預言者として”中継”して客に伝えただけだ。杉本被告は神様を信じていたのだから、杉本に罪はない、と言いたいのだろう。
100歩譲っただけでは到底信じられる話ではないので、1万歩譲ってその話を信じたとしてだが、上記のような言葉を客に信じさせた後、除霊するためには200万円必要だとか、右能についた子ギツネの霊を祓うためには50万円必要だと言ったのも神様からの言葉を代弁したのか?そうやって客に払わせた現金は、杉本の手から神様に渡されたのか?金を受け取った神様はどこにいるのだ?神様は日本円をどうやって神の国で使うのだ?神様とは神世界の実態を隠すための隠れ蓑でしかなく、金が行き着く先は教祖・斉藤亨の懐だっただけではないか。家宅捜索で出てきた数億円の現金と金の延べ棒は、神様が出してくれたのか?
杉本被告は、2011年3月10日に逮捕される少し前に、杉本が信頼していたA氏にこう述べたことがあった。「これまでの人生は競争すること、勝ち取ることばかりだった。売り上げを上げることしか考えていなかった。売り上げを上げるだけの仕事は虚しくなって辞めた」。杉本はA氏には、自分が神世界事件で話題になった杉本明枝であることは隠し、全く別の氏名を名乗っていた。A氏もまさかその女が神世界事件で一躍有名になった杉本明枝であるとは全く気づいていなかった。二人は親しく世間話をするような関係だったので、杉本もA氏にはつい本音をもらしたのだろう。まさに杉本の人生は、”売上げを上げることしか考えていなかった”人生だった。杉本の目的はあくまでも「金」であり、売上げを上げるためには手段を厭わなかったのである。
杉本に神様の預言を聞く能力が本当にあったのならば、神様は杉本にきっとこう述べたことだろう。「そんな虚言に満ちた言動ばかりしていると、汝は身を滅ぼすぞ」。残念ながら、杉本には神様の預言を聞く能力はなかったので、その声は聞こえず、逮捕される結果となった。
■第14号を読んでの編集後記
神世界新聞第14号には、これまで掲載されていた「編集後記」がなぜか掲載されていない。第12号の編集後記に対して、私が、「次号の編集後記は私(fujiya)に書かせた方がいいように思うが、どうだろう?」と提案したことを受けて、私に書かせてくれるために空けておいてくれたのかもしれない。ご要望に応えて、私が【第14号批判記事編集後記】を書かせていただこう。
神世界新聞は創刊が2009年8月だったので、今回の14号で、発行から丸2年になったそうだ。よくぞこんな新聞が2年も発行できたものだと思うが、ある意味では、私もこの新聞によって楽しませてもらった点もあるので、その意味では感謝せねばならないのかもしれない。
私は、「家族を新興宗教から守ろう」というHPも主宰している関係上、他の怪しげな宗教団体が発行している機関紙を目にする機会も時折あるが、私がこれまでに目を通した機関紙の中では、群を抜いて面白いのがこの神世界新聞だった。なぜ神世界新聞が面白いかというと、彼らが実際に行っていることと、紙面に書かれていることのギャップが非常に大きいことがその理由として上げられる。違う言い方をすると、”突っ込みどころ満載”なのが、神世界であり、この神世界新聞なのだ。
神世界のように叩き甲斐のあるところはそう滅多にあるものではない。社会の敵である神世界を壊滅させることが私の目標ではあるが、反面、神世界新聞の発行が止まってしまったり、神世界が消滅すると、”絶好の対戦相手がいなくなってしまう”ようで、少々寂しい気もする。かといって、神世界との戦いに手心を加えるつもりは全くない。