神世界新聞 第6号(2010.5.1発行)を見て
神世界新聞第6号(2010.5.1発行) | |
神世界新聞の第6号が2010年5月1日付けで発行されていた。原本は、これまでと同じく、「御霊光はすばらしい」というHPで公開されている。
第6号で大きく変わった点はこれまで1面左上に掲載されていた千手観音図の掲載を取りやめた点だ。この千手観音図については私が再三その欺瞞性を指摘していたものだが、岡田茂吉が描いた千手観音図を「教主が描いた」などと虚言を呈したり、著作者人格権を無視した掲載を続けることが裁判に不利になると彼らも判断したのかもしれない。それにしても私の指摘をよく受け入れてくれることには感心する(笑)。
神世界新聞に掲載された千手観音図が二種類あることを指摘していただいた方があり、私も言われて初めて気づいた。それについては、「同じ紙面に二種類の千手観音」に別途掲載した。
第6号でのもう一つの着目点は冒頭に掲載された教主の言葉だ。教主は、「神示は、発表できる事と出来ない神秘があります。その中で今、神意は各グループ独自の活動を神世界に統一することなのです。主宰神の御座所である神世界にすべての人々と団体が入り、神世界をひとつに進化発展するのです」と述べている。
これが何を意味するものであるか、その真意は不明だが、文面通りに受けとめれば、びびっとやえんとらんす、みろく、その他分社化した小さな系列会社を神世界に統合整理しようとしているようにも受け取れる。各社とも大幅に客が減り、スタッフの給料を支払うのも大変な状態になっているので、それらを統合整理し経費削減を図ろうとしているのかもしれないので、スタッフや先生は人員整理の対象にされないように今のうちから十分ゴマを擂(す)っておく方がいいかもしれない。
もう一つの読み方は観音会との関係を整理しようとしているようにも受け取れる。観音会は神世界の前身であり、斉藤亨の父親が昔からやっている団体だが、神世界各サロンの暴走に対して観音会が色々と口出しをしたり、神世界幹部が大挙して観音会に移籍した動きがある。このままでは神世界は観音会に勢力を奪われてしまうと危機感を抱いた斉藤亨は巻き返しを図るために各社を神世界に統合し結束を高めようとしている可能性もある。
2面下部の「一問一答」にはそれを受けたかのように、神世界が複数の会社組織である点に無理があると述べ、更に、「宗教団体が莫大な資金を集めても、誰も霊感商法とは言わない」とまで述べていることから推測すると、神世界は系列会社を神世界に統合し宗教法人にしようとしているのかもしれない。
今後の神世界内部の動きに注目していく必要がある。
第6号にも尾崎幸廣弁護士が「神書紹介」の記事を寄稿している。今回は「本当の信心」と題して書いているが、その中で尾崎氏は、「神世界の人たちとの交際を通じて、私がはっきり言えることは、神世界は茶番でも「かのように」でもなく、本心からの信心によって成り立っているということである。神書が教主の懸命の努力によって誠心を込めて成ったことは、この疑り深い私にも信じることが出来る」と述べている。
尾崎氏が神世界に傾注するのは個人の勝手であるが、多くの被害者から多額の金を奪い、被害対策弁護団が作られ、損害賠償訴訟の被告になっている神世界という団体を擁護する発言を尾崎氏が繰り返していることに驚きを禁じ得ない。神世界について何もしらない者が発言しているのならともかく、弁護士として一定の見識をもった者がこのような発言をする真意はどこにあるのだろうか。今後、裁判所が原告勝訴の裁定を下した場合、尾崎氏は自分の発言に対する責任をどのように取るつもりなのか。
北海道大学大学院教授の櫻井義秀氏は、氏の著作である「霊と金」の中で、「(神世界に)数百万円の代価を支払わせるようなサービスを受けた顧客はいない。民法709条により被害者は損害賠償を受ける権利を有する。(62ページ)」、「(神世界は)十分に問題がある団体だといえるのではないか。ヒーリング・サロンの宗教紛いの商行為に、違法判決や行政処分が下されるまでは問題なしとする、という形式論にはほとんど意味はない。(63ページ)」と述べている。
櫻井氏は「霊と金」を執筆するに当たり、神書を読み、多くの関係者から事情聴取もした上でこうした結論を導き出している。
神世界についてきちんとした調査、研究をすれば、櫻井氏が述べている結論に至るのが普通であると思われるが、尾崎氏はそうではないようだ。