霊と金

 2009年5月20日、新潮新書から「霊と金」という新刊が発行された。「霊と金」発行から5日後の5月25日には東京地裁に神世界に対する損害賠償訴訟の提訴が行われ、そのニュースがマスコミ各社から報道された。新書発行の5日前、5月15日発行の山梨地元紙(山梨日日新聞)には神世界幹部親族の死亡記事が載るなど2009年5月は神世界を巡る様々な動きがあった。
 2007年12月に行われた神世界に対する強制捜査から約1年半が経ち、一部被害者の間には事件解決の動きがあまり見えないことから苛立ちも生じているが、神世界事件は関係者の間では着実に解明に向けた活動が続けられている。

 「霊と金」は北海道大学大学院教授の櫻井義秀氏が書いた本で、冒頭63ページにわたって神世界の実態を詳しく解説するとともに、他の章ではこうしたスピリチュアルなものに人々が嵌って行く仕組みについて具体的事例を交えて分かりやすく解説している。
 「なぜ自分が神世界の被害に遭ったのか?」という被害者の疑問も、この本を読むことで納得できる方が多いのではないかと思う。

 第一章で神世界について詳しく述べた後、第二章以降では他の霊感商法事案も交えてスピリチュアル・ビジネスの構造について詳しく解説している。中でも第五章の、「スピリチュアルブームに潜む罠」に書かれている内容は多くの神世界被害者にも思い当たるところがあるのではないだろうか。

 著者の櫻井義秀氏はカルト問題に造詣が深い方で、これまでにも多くのカルト関連書籍を書いている人物だ。 櫻井氏はこの「霊と金」で神世界問題を取り扱うに当たり様々な側面から神世界を研究し、関係者への直接取材も行った上で神世界について書いている。解雇処分となった北大准教授・竹市幸子は櫻井氏と同じ大学に在籍していたので、竹市准教授に関連した神世界被害についても詳しく検証している。
 櫻井氏は「霊と金」の中で、

(神世界に)数百万円の代価を支払わせるようなサービスを受けた顧客はいない。民法709条により被害者は損害賠償を受ける権利を有する。(62ページ)



(神世界は)十分に問題がある団体だといえるのではないか。ヒーリング・サロンの宗教紛いの商行為に、違法判決や行政処分が下されるまでは問題なしとする、という形式論にはほとんど意味はない。(63ページ)



と言い切っており、神世界は、「総合的に極めて問題の多い商業行為なのである」と断定している。詳しくはぜひ本誌を購入してお読みいただきたい。
 書店に行って、「新潮新書」のコーナーを探せばすぐに見つかる(740円)。




戻る