2012年10月16日（火）に行われた斉藤亨被告の控訴審に於いて、斉藤亨被告は懲役５年の実刑判決は重すぎるとして減刑を求めた。
　弁護人の被告人質問に答えて斉藤被告は、

• 神霊鑑定ははじめから詐欺をやるための手段として考案したのではない。
  
  
• 末端の一部の神霊鑑定士や職員が誤った勧誘をしたようだが、私はそれを知り得る状態になかった。
  
  
• 私は神様の教えといえども社会のルールはしっかり守らなければいけないと思っていた。
  
  
• 神世界の教えには、お金を返してほしい人にはお金を返すという教えがあった。
  
  
• お金をすぐに返すことができなかったのは、当時雇っていた顧問弁護士の誤った判断のためである。
  
  
• 美術品や宝飾品、世界救世教教祖の肉筆を買ったのは、総本部や美術館を建設するためであり、私利私欲のためではない。
  

と述べるなど、第一審の公判で組織的詐欺の事実を認めた被告とは思えない返答に終始していた。私は斉藤の証言を聞きながら、そのあまりにもデタラメな証言内容に、怒りを通り越して思わず吹き出してしまった。その場その場で自分に都合の良いように証言を変える斉藤亨という男は、真正の詐欺師なのだろう。
　神世界の教えのどこに、「お金を返してほしい人にはお金を返すという教え」があるのか？その教えに沿って過去に金を返したことがあったか？私は今回の事件前にも何人もの被害者が神世界経営者に直接返金を求めたり、裁判を起こしたのを知っているが、神世界側がそのような教えに従って返金した事例があったことなど一度として聞いたことがない。いつ、誰に金を返したのだ？
　総本部や美術館を建てるという話など、斉藤被告が逮捕される以前には神世界幹部と言えども誰一人としてそのような話を聞いた者はいない。そういうのを”とってつけたウソ”というのだ。

　更に斉藤被告は第一審で下された懲役５年の判決は重すぎるとして減刑を願い出ていた。
　減刑の根拠として示したのが被害者への返金で、私はこれまで被害者にしっかり返金をしており、今後も返金をしていく予定なので、私の刑は減刑されて然るべきだとする証言を繰り返した。 　しかしこの斉藤被告の証言は根本的に間違っている。返金した金は元々被害者の金であり、本来の持ち主である被害者に返金されて当然のものでしかないのだ。
　コンビニで万引きが発覚した犯人が、「じゃー返せばいいんだろう！」と言って万引きした商品を返しても罪が消えないのと同じで、斉藤被告が被害者に金を返したことで罪状が軽くなることなど許されることではない。斉藤被告を始めとした神世界関係者が被害者の前で謝罪するなど、誠意をもった対応を被告等がしているのであればともかく、彼らは全くそのような反省の態度を示してはいない。反省どころが、未だに隠れて以前と同じ活動を続けているのが実態だ。

　しかし厚顔無恥な被告側はこれまでに返金した事実、これから返金する予定を前面に押し出し、裁判所に減刑を願い出ている。
　神世界関係者からはこれまでと同様、斉藤被告の刑を軽くしてほしいとする嘆願書が束になって提出されていることであろう。

　被害者が声を上げずに黙っていると、こうした被告側の声ばかりが裁判官に届き、裁判官が誤った判断を下す危険性も皆無ではない。
　12/6（木）に下される高裁判決が不当な判決とならないよう、被害者の皆さん、被害者家族の皆さんは東京高等裁判所第１０刑事部に意見書を送っていただきたい。
　意見書を送ったことで送った人が不利益を被る心配はありません。