神世界事件の刑事裁判(杉本明枝の公判記録)

(最終更新日時:2012年4月3日 22:30)


  1. 杉本(吉田)明枝 初公判(7/14)

  2. 杉本(吉田)明枝 第2回公判(8/31)

  3. 杉本(吉田)明枝 第3回公判(9/2)

  4. 杉本(吉田)明枝 第4回公判(9/21)

  5. 杉本(吉田)明枝 第5回公判(10/25)

  6. 杉本(吉田)明枝 第6回公判(10/27)

  7. 杉本(吉田)明枝 第7回公判(11/8)

  8. 杉本(吉田)明枝 第8回公判(12/6)

  9. 杉本(吉田)明枝 第9回公判(1/6)

  10. 杉本(吉田)明枝 第10回公判(2/14)

  11. 杉本(吉田)明枝 第11回公判(3/27)

  12. 杉本(吉田)明枝 第12回公判(4/16)



1、杉本明枝初公判
杉本明枝の初公判が行われた横浜地裁405号法廷。(TBSテレビより)。このニュース動画はここをクリックしてください。
 神世界関係サロンであるE2(イースクエア)の元経営者・杉本明枝は、2011年3月10日に逮捕されたのを皮切りにこれまで3度逮捕され、横浜地検から詐欺罪で3度起訴されていた。3件の起訴は併合審理されることとなり、その初公判が2011年7月14日(木)横浜地裁で行われた。
 「高温注意情報」が出された横浜は、気象台の発表では最高気温が32度であったが、ジリジリと太陽が照りつける日なたの気温は、汗が噴き出すほどの猛暑だった。裁判が行われる横浜地裁405号法廷は傍聴席の数が40席程度であり、多数のマスコミ関係者が優先的に席を確保することが予想され、一般傍聴者の席はかなり少ないのではと懸念された。
 傍聴券は抽選になることが予め知らされていたが、裁判所の様子を観察するためにも少し早めに地裁に着いた。杉本明枝の裁判が行われる405号法廷廊下掲示板記載事項は下記の通りだった。

横浜地方裁判所刑事第5部
合議C係 405号法廷
平成23年(わ)第458号等 詐欺
被告人 杉本明紀枝こと杉本明枝
平成23年7月14日 14:00〜15:30
裁判長 朝山芳史
裁判官 杉山正明
裁判官 山本美緒

 13時頃になると、男女を問わず、多くの人が次々と地裁ロビーに詰めかけ、にぎわっていた。13時15分頃から裁判所職員が抽選券配布の準備を始め、13時30分頃になると通行の邪魔にならないよう、廊下の端に2列に並ぶように声がかかった。その声に合わせて一斉に人が集まって並び始めた。列を作っていく際、知った顔がいないか、それぞれが探り合って並んでいく感じがした。直視する者、俯いて隠れるようにする者、いろいろだ。想像以上に人が並び、3列につめて並び直し、13時40分の抽選券配布終了を待った。定刻になると裁判所職員が抽選券を受け取った人が117名だったと発表した。13時40分の定刻を過ぎて到着する者もチラホラいたが、きっちり配布終了を伝えられていた。列に並んで待っている間、民事訴訟で被告代理人を務めている面々がその横を通り、エレベーター方向へ向かっていく姿が確認できた。杉本被告の弁護人として出廷するのだろう。E2と神世界の代理人はまだ分かるが、びびっとやみろくの代理人までいたことに驚いた。

 裁判所職員の説明では、本日の抽選で傍聴券がもらえるのは25名とのことだ。横浜地裁での傍聴券抽選は、東京地裁のようなコンピュータ抽選ではなく、「クジ」形式の抽選だった。多くの人は抽選に外れ、残念そうに引き上げていったが、ホールには抽選に外れ呆然と立ち尽くす人も多く、しばらく騒然としていた。これだけ世間の注目を集めている事件なのだから、次回からはもう少し大きな法廷を使ってほしいものだ。その後、傍聴券を獲得した人は405号法廷へ向かい、法廷前の廊下でも並んで待ったが、廊下にはマスコミ関係者も列をなしていて、ごった返していた。開廷前にテレビ撮影があるので、映りたくない人は撮影終了後に入るよう説明があったが、すぐに列に従ってぞろぞろと法廷内に入った。傍聴席スペースが東京地裁と違って狭いこともあり、ここでは奥から順に座っていく形になっていた。
 法廷に入って中の様子を見ると、撮影のためか法廷内には既に裁判官、書記官、検察官、弁護士がすでに着席していた。撮影終了後、残りの傍聴者が着席し、杉本被告が刑務官に連行されて入廷。傍聴席に背を向けていたので手錠を外すところは確認できなかったが、腰縄を外している様子は伺えた。被告の人権に配慮してか、そうした作業は目立たないようあっという間に行われた。弁護人席の前に、ベンチ型の被告人席があり、裁判官側に男性刑務官、傍聴席側に女性刑務官が座り、両刑務官に挟まれた形で杉本被告が着席した。
【弁護人席】(敬称略)

NHKテレビより(動画はここをクリック)
(前列) (後列)

尾崎幸廣
笠原静夫
大八木治夫
門西栄一

大森一志
清澤清一郎
谷地向ゆかり

 弁護人席には、先ほど廊下で見かけた面々がずらっと並んでいた(右記写真・氏名等)。杉本被告1名の裁判に、総勢7名もの弁護士を繰り出してきたのは???であるが、今回の裁判は神世界に対する初の刑事裁判なので、神世界側も必死なのだろう。彼らお得意の”てんびんの法則”には外れていると思われるが(笑)
 杉本被告の服装を見て驚いた。上はピンクのジャンパーのような上着、下は白のパンツ姿で、どこかに遊びに行くような服装だった。傍聴者の一人は、「杉本はピンクのジャンパーに白のパンツ姿というスポーティーな出で立ちで現れ、目を疑った。罪を問われている刑事裁判の法廷でピンクの服装はないだろう。刑事裁判を競技場とでも間違えているのか?? サロンでは『外見が大事』とか『T.P.O』等と言っていたのに裁判にピンクの服装で現れるとは!さすが常識にとらわれない団体のすることだ。時折、長くおろしたままの髪をかきあげてみたり、何度も襟を気にしたり、”反省はしない”という神世界の教えにふさわしい態度だった」と言っていた。
 逮捕される直前にTV局が杉本被告を撮影した映像では、随分ふっくらした顔立ちであったが、この日の初公判に出廷した被告は、”クリスマス会見”の時よりやや細くなったように見えた。3/10の逮捕から4カ月経過しているので、その間の拘置所生活によって”強制的ダイエットに成功”したようだ。

14:00開廷
 定刻になり、杉本明枝に対する詐欺事犯の公判が開始された。この裁判を担当する朝山芳史裁判長は、裁判員裁判で初の死刑判決(2010年11月)を出した裁判長だ。朝山裁判長は死刑判決を与えた被告に対し、「控訴を勧めたい」と伝えたことが大きく報道されたが、あの発言は裁判員に対する精神的負担を軽くするためと思われる。杉本明枝に対する裁判は合議制で行われるため、朝山裁判長の他に2名の裁判官(1名は女性)が裁判官席に着席していた。

人定質問
 まず、朝山裁判長が被告人に対し、人違いでないことを確認するため、氏名、生年月日、職業、住居、本籍等を確認した(規則196条)。この中で杉本被告は、起訴後の2011年4月に吉田元警視と結婚し、杉本明枝から吉田明枝になったと答えた。また職業を尋ねられた際、「会社員です」と答えた。「会社員」という言葉に?と思ったが、下記「被告人の身上」を聞いて意味が分かった。

裁判概要
 人定質問の後、起訴状朗読。検察官からAさん(女性)、Bさん(女性)、Fさん(男性)について公訴事実が読み上げられた(詳細は下記「検察の起訴状朗読概要」
 これに対し、尾崎弁護人が「釈明を求める」と手を挙げた。
 「宗教活動を旨とすれば、有限会社E2が宗教組織か。教義はどのようなものか。共犯者とする者と各被害者は信者だったのか。悩みの原因を的確に特定し、確実に悩みを解決・治癒する能力などないとされているが、なぜ異なる○○(聞き取り不能)を用いられているのか。共謀したY田みか「ら」とは誰のことを指しているのか。事前共謀か現場共謀か。共謀の日時、場所、内容はどのようであったのか。欺もう文言は誰の発言か。悩みの原因を的確に特定して、解決する能力とは医学的な能力について問題にしているのか、宗教的能力を問題にしているのか。供養とはどのような行為なのか。供養をしなかったことを問題にしているのか、その値段が不適正だったことを問題にしているのか。神霊鑑定とは宗教行為か否か。祈願とは誰が誰に対して何を行うものなのか。経営コンサルタント能力の有無を問題としているのか」などAさん、Bさん、Fさんそれぞれの起訴状内容に対し、求釈明がなされた。朝山裁判長は検察官に「任意釈明はあるか」と問い、検察官は「任意釈明すべきことはない。冒頭陳述にて詳しく釈明する」と返答。裁判長は、「裁判所も(釈明を)求めない」と延べ、あっさり先へ進んだ。

黙秘権告知
黙秘権の告知(刑事訴訟法第291条第3項)
 これから、今朗読された事実についての審理を行いますが、審理に先立ち被告人に注意しておきます。被告人には黙秘権があります。従って、被告人は答えたくない質問に対しては答えを拒むことができるし、また、初めから終わりまで黙っていることもできます。もちろん、質問に答えたいときには答えても構いませんが、被告人がこの法廷で述べたことは、被告人に有利・不利を問わず証拠として用いられることがありますので、それを念頭に置いて答えて下さい。
 裁判長が「被告の釈明」と言うと、杉本被告が刑務官に付き添われ、証言台の前へ出た。裁判長より「まず、あなたに注意があります」という言葉があり、一瞬緊張感が走ったが、なんのことはない、黙秘権の告知であった(右記)。「あなたには黙秘権があります」という、TVや小説などで誰でも聞き覚えのあるその一連の言葉を、実際に裁判長の言葉として法廷で聞くと、重みのあるものに感じた。

罪状認否
 杉本被告は、「私はY田、三沢らと共謀して被害者に対する詐欺をしたことはない。神様の声を聞いて伝えただけ。被害者らも同じ神を信仰する信者。起訴状にある文言は述べていない。悩みや疾病の特定や治癒させる能力があるように書かれているが、私が病気を治す能力があるなどと考えていなかったはず。私たちは装ったことはない。誤認させたこともない。私も被害者らも神様が問題の原因を特定して解決してくれると信じて鑑定を行ったもので、欺もうしていない。警察の捜査協力をしてきたのに逮捕されたことは極めて心外」と弁護人から渡された文書を手に、証言台の前ではっきりとした口調で無罪を主張した。
 その後、尾崎弁護士が、「無罪である。E2は宗教活動を行う組織で、被告人も被害者らもいずれも信者で、公訴事実記載の祈願等は宗教行為として行われたものなので、欺もう行為ではなく、被害者らに錯誤もない。いずれの被害者らも被告人に病気等の原因を特定し解決する能力がないと認識していたので、錯誤に陥った事実はない。そもそも被告人は欺もう文言を述べていない。詐欺事犯ではない。検察官の完全なる誤りである」と述べた。

冒頭陳述
 その後、検察官からの冒頭陳述、証拠調べがあった。(詳細は下記「検察側冒頭陳述概要」
 弁護人は、甲号証のうち、E2の登記簿謄本(甲1)のみ全部同意、犯行現場である各サロン等の場所を記載した文書、具体的には、渋谷サロン(甲4)、青山サロン(甲5)、青山サロン(甲6)、寿司屋(甲7)、ウェスティン東京(甲8)を一部同意し、残りはすべて不同意。乙号証は留保した。
 そして、裁判所は同意部分のみ証拠として採用したが、残りの証拠はまだ撤回はしていない。その後、弁護人から冒頭陳述があり、笠原弁護士が書面を読み上げた。(詳細は下記「弁護側冒頭陳述概要」

 以上で審議は終了し、次回期日については追って指定するとされ、訴訟進行については、期日外で協議することになった。

(その後、次回期日は下記の通りと決定された。)

●2011年8月31日(水)午前9時40分
場所:横浜地方裁判所
事件名:詐欺 平成23年(わ)第458号等
抽選券配布場所:横浜地方裁判所1階中央待合いロビー
抽選券配布締め切り:午前9:40
開廷時刻:午前10:00

●2011年9月2日(金)午前9時40分
場所:横浜地方裁判所
事件名:詐欺 平成23年(わ)第458号等
抽選券配布場所:横浜地方裁判所1階中央待合いロビー
抽選券配布締め切り:午前9:40
開廷時刻:午前10:00


15:30閉廷

 裁判終了後、傍聴席にいた女性の中には、被告側弁護士とあいさつをしている女性たちがいたので、おそらく神世界関係者なのではないかと思われた。
 本日の初公判を傍聴して気づいたのは、一部の弁護人の態度が甚だよろしくなかった点だ。7名もの弁護士をずらっと並べたのはいいが、検察側が書面を読み上げている間、弁護人席前列の面々は非常にたるんでいた。法廷という真剣勝負の場で鼻を弄ったり、ふんぞり返ったような姿勢はいかがなものか。その態度は、”面倒だなー”とでも思っているのかのように見えた。法廷内には裁判官、検察官、傍聴者、弁護士がいるが、弁護人席前列に座っていた者の態度は、厳粛な法廷内で唯一異彩を放っていた。傍聴者の中には現役の神世界関係者も数名いたようだが、弁護士達のあの不真面目な態度を見て、どのように感じたのだろう。
 神世界新聞はこの先も発行されるのだろうが、次回9/1号の神世界新聞には今回の初公判をどのように捉えた記事が出るか、非常に楽しみだ。


検察の起訴状朗読概要

@視力低下のことで悩むAさんに対し、霊的なものが脳の右側に何かあるとして、従業員が先生(=杉本被告)の神霊鑑定を勧める。被告人は、神霊鑑定で、「子狐が3匹見えます。この狐の怒りを鎮めるには先祖御供養するしかない。しないと視力は回復しない。特に狐の霊は重い」と言い、200万請求。それ以外にも、「御霊光を受けないと入院ですよ」等と言われ、100万の御祈願、150万の昇魂祈願、御礼等で計650万を交付。罪名及び罰条、詐欺、刑法第246条1項、60条

A子宮内膜症で悩むBさんに対し、被告人は、「病気の原因は霊的なものであり、北朝鮮で祀っていた祠(ほこら)を放置しているので怒っている。蛇の霊が病気の原因だとし、御祈願を勧める。根本的な原因を取り除く必要があり、御祈願は一度に効果が上がる。手術はしない方がいい。実際に手術しなくて済んだ人がいる」等と言い、祈願料50万交付。罪名及び罰条、詐欺、刑法第246条1項、60条

B会社の業績不振に悩むFさんに対し、被告人は、「会社の場所は首切り場だったので、処刑された人の念が成仏できずにいる。無縁墓地に入っている先祖の霊が霊線によってつながっているので、特別御祈願をした方がいい。会社と自宅のお浄めをする必要がある」等と言い、計490万交付。罪名及び罰条、詐欺、刑法第246条1項、60条



検察側冒頭陳述概要

■被告人の身上
 H12 千手観音教会に通う
 H13 契約し、自宅拠点活動開始
 H15 E2設立
 H18 E2中止、びびっととうきょう従業員になり、現在に至る

■神霊能力取得
  悩みを特定、解決するする力はないのに、あるかのように装って神霊鑑定や御祈願を行った。

■売り上げの増加
 担当従業員による営業を行わせ、サロンへと誘導。御霊光取次ぎ等を行い、客に信じ込ませ、悩みを聞き出す。すごい先生がいるから鑑定に入るといいと勧める。客から得た情報をあらかじめ、被告人へ伝える。被告人が客と面談し、神霊鑑定や御祈願等を行う。それに対する御礼を求める、という一連の流れを説明した。

■被告人は従業員に対し、指示していた
 結婚、仕事、子育てで悩みを抱える30代の女性をターゲットにして、「スピリチュアルブームだから、興味がありそうな人に本屋で声をかけてみなさい」、「もっと神霊鑑定につないで、御礼をさせていかないと売り上げが上がらない」などと指示した。
 活動は、売り上げの増加を至上命題とする方針の下で行われた。一部宗教に対するマイナスイメージを回避するなどの目的で、『(神世界は)宗教ではなく会社です』と顧客に説明するよう指示した。ヒーリングなど宗教を連想させない言葉で被害者をだました。神霊鑑定と称して顧客の悩みを特定し『御祈願』という方法で解決する能力があるかのように装い、『鑑定料』や『御玉串』名目で現金を得る活動を繰り返した。
 『ここは信仰するところではなく結果が得られる所です』と説明するように指示したり、内部では『御霊光』と称する行為を勧誘等に際しては『ヒーリング』と呼ぶなど、宗教を連想させる用語を使わないように指示したりした。『お客さんを育ててどんどん私の鑑定に誘導しなさい』とか『御霊光しか受けない客は雑魚だわ。もっと私の神霊鑑定につないで、その後に御祈願や御礼をさせていかないと売り上げが上がらないわよ』と指示したり、鑑定への誘導に消極的な従業員を叱責したりした。こんないいことがあると話し、フォローするよう指示、御礼を勧めるよう指示した。フォローと称する対応は、被告人に報告させた。顧客が被告人の神霊鑑定を受けるよう従業員に誘導させた。

■Aさんに対する詐欺行為について
 アトピーが治った人がいると話し、E2を訪れるよう従業員が誘導。サロンを訪れると、目の疲れは霊的なものなので、原因を知りたければ鑑定へ入るといいと勧めた。鑑定を受けたAさんは通うのをやめればまた悪くなる不安から通い続けた。騙されていると知人に言われ、通うのをやめてみたところ、やめてもかわらないことに気づいた。

■Bさんに対する詐欺行為について
 Aさん同様に経緯を説明。魂のレベルが低いので低い霊が憑いていると言って不安をあおった等、持病を持つBさんに対する詐欺行為に対する説明があった。

■Fさんに対する詐欺行為について
 E2従業員が事前にFさんが山梨出身であることや、先祖の墓が浅草にあることなどを聞き出し、事前にその内容をfaxで被告人に伝えた。被告人は、青山のサロンで神霊鑑定と称してFさんと面談した際、Fさんの菩提寺が山梨と浅草にあるなどと言い当て、事前に被告人が従業員からこれらの情報を得ていたことを知らないFさんが驚いて声を上げたのに対し、『これは神様からのお言葉です』などと言ったため、Fさんは被告人には特殊な能力があるのだと信用した。Fさんはインターネットの情報で騙されたことに気づいた。

 検察官の冒頭陳述が終わると、裁判長が「弁護人、ご意見ございますか?」と言い、尾崎弁護士が何か答えたが、何を言っているのか聞き取れなかった。

 次に、検察官が証拠書類について読み上げていった。

 甲1号証:本店所在地、会社の目的、役員は被告人のみ記載
 甲4号証:犯行場所・渋谷サロンの所在地、貸主等
 甲5号証:犯行場所・青山サロン1305号の所在地、貸主等
 甲6号証:犯行場所・青山サロン2001号の所在地、貸主等
 甲7号証:犯行場所・寿司店の所在地等
 甲8号証:犯行場所・ウェスティンホテルの所在地等



(冒頭陳述を聞いた感想)

 以上のように、検察側の冒頭陳述は、組織としてどのような指示があったのか、どのようにして客を信じ込ませているのかが具体的にイメージすることができるように工夫されていた。検察の起訴状朗読や証拠調べは長い時間を要したが、それを聞いている間、杉本被告は検察の方を見据え、背筋は伸ばしていたが、時折、唇を噛み締めたり、ため息をついたり、苛立ちを抑えているのかのような表情、ふて腐れたような表情が見受けられたが、全体として杉本被告の態度は終始、堂々としており、”ふてぶてしい”という印象が強く感じられた。
 裁判官たちもその間、書類を凝視するのではなく、杉本被告のそうした様子や傍聴席の様子をよく見ていたのが印象的だった。裁判官は言葉のやり取りだけでなく、全体の印象を観察しているように見えた。



弁護側冒頭陳述概要

 E2は営利企業ではなく宗教組織である。人類救済するための宗教行為であり、神世界実現のための行為(御神業と呼んでいた)をしているにすぎない。
 杉本は2歳の頃、実兄が癌となり、父親が秋田の大舘の神様(先生)に相談した。父親も癌で亡くなり、被告人は検査しても原因不明の高熱に襲われた。大館の神様から「あなたの父が遣り残したことをやってほしい。先祖のお墓にコギツネがついている」等と言われ、12年を要して北海道、青森等でお墓探しをしてみつけた結果、発熱が治り、状態が良くなった。それに驚いた杉本は霊的なことを理解したいと思い、膨大な書物を読みあさった。
 平成12年に御神業に携わるようになった。「中村」と名乗る人が杉本の所を訪ねて来て、太陽神の話をした。書物から学んでいた杉本は太陽神が最高の神様と認識していたので、興味を抱き、御霊光を受け、神書を受け取った。その3時間後、発熱したり、アンモニア臭の強い尿が多量に出たりした。神書を読んで、御霊光による排泄だと思って翌日、中村に電話をし、山梨の千手観音教会を訪れた。会主と面談し、入会し、信者となる。「あなたは神様に選ばれた人。神事をする人だ。お手伝いをやってみなさい」と言われ、昔、大館の神様に言われたこともあり、活動を始めた。
 平成15年、 E2設立。神霊能力を授かる。神霊能力とは神様の声を聞くというものであり、共犯とされる者、被害者ともに信者であった。公訴事実記載の祈願等は宗教行為として行われたものなので、欺もう行為ではなく、被害者らに錯誤もない。いずれの被害者らも被告人に病気等の原因を特定し解決する能力がないと認識していたので、欺もうの事実はない。杉本の神霊能力に確信を持っており疑っていない。客は懇願して神霊鑑定を受けたのである。そもそも被告人は欺もう文言を述べていない。


(冒頭陳述を聞いた感想)

 神世界新聞でお馴染みの弁護士が相変わらず、「宗教団体による宗教活動」だと声高々に主張していた。傍聴席でそれを聞いていた多くの人たちは、どれだけ立ち上がって「ふざけるな!」と叫びたかったことでしょう。本当にハラワタ煮えくり返ります。傍聴者の中には全く関係ない純粋な傍聴者もいたと思いますが、あの弁護士の主張を客観的に納得、共感できた人がいたとは到底思えません。






2、杉本(吉田)明枝 第2回公判
(以下の第2回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた神世界事件被害者の方のレポートを基に構成しました)

 本日(2011年8月31日)横浜地裁で行われた杉本(吉田)明枝に対する第2回公判は午前10時から始まり、終了予定時刻は午後5時という長丁場の公判だ。本日の主な公判内容は、証人尋問が行われる予定とのことだ。なお今回の報告は、被告の氏名は旧姓の杉本明枝として報告する。
 本日の公判が行われる法廷は、1回目の405号法廷ではなく、401号法廷だった。本日の公判も傍聴希望者が多数になることが予測されたため、傍聴券は抽選になった。傍聴抽選券の配布締め切りは午前9時40分。本日の傍聴抽選券をもらうために、最終的に何人並んだかは確認できなかったが、本日も法廷に入ることができる人数は前回と同じく20数名とのことだった。横浜地裁での傍聴券抽選は東京地裁のコンピュータ抽選とは違い、番号札をもらって順番に棒を引き、棒の先に印が付いている人が傍聴券を貰えるという”アナログ”方式だ。

 抽選に当たり、傍聴券を受け取って401号法廷に入ると、杉本被告はすでに入廷していた。杉本被告の服装は初公判のときと同じと思われた。上は淡いピンクのパーカー、下は白いパンツ姿だった。杉本被告の弁護人は1回目と同じ面々だった。本日は法廷内の撮影はなかったのでテレビカメラはなかったが、「報道」の腕章を付けた若い女性記者が2名、取材に来ていた。
 杉本被告がいる場所に近い位置の傍聴席に着席した5〜6名の者がいたが、杉本被告はこれらの者と目配せをするような感じで視線を交わしていた。おそらくこれらの者は杉本被告の支援者なのだろう。休憩時間になったとき、「やはりまだ信じている人達が居るんだな〜」という目で、私(報告者)はしげしげとその人達の顔を見てしまった。

 公判は午前10時きっかりに始まった。まず、証人として出廷した被害者が裁判官の前に立ち、「嘘を付かず、正直に事実を述べる事」の宣誓をして着席。検察官がその証人の方へ質問を行った。
 サロンへ行くきっかけになった経緯、その後サロンを去るまでの経緯、その後警察に話をするまでの経緯、サロンでされた事、サロンで言われた事、それを言った人の名前、言われ方など、検察官は証人から細かく細かく聞き出していった。証拠も皆が見えるようにモニターに写しながら2時間にわたって検察側の証人尋問が行われた。午後0時になったところで午前中の公判は終了し、午後0時から13時30分まで1間半の休憩に入った。
 13時30分から公判が再開され、今度は証人に対する弁護側からの反対尋問が始まった。反対尋問は、「神様」という言葉や、「神書」とか「宗教」という認識に関する内容が主だった。御玉串と御礼に対する証人の認識や、誰に対してそれらを渡していたと思うか、当時は神様を信じていたのか、杉本の事を信じていたのか、告訴状はいつどんな内容で出したのか、告訴状は自分で出したのか誰かに言われたから出したのか、神霊鑑定で神様に聞いたのか等々の尋問が続いた。言われた日付けの前後確認や、おかしいと思った時期や出来事に関して弁護人は証人を問いただしていた。

 この日、反対尋問をしたのは被告弁護人の尾崎、笠原、門西の3名だが、傍聴していた多くの人達は、この3名の”超個性派”弁護士の下記のような言動に呆れていた。

●尾崎:話の切れが悪くだらだらと、質問も自分の意見の押し付けも入って訳分からなくなり、話はあさっての方向に。杉本も他の弁護士も少し呆れ顔。勿論裁判官からも、「質問を変えるように」とか、「もう終わりにしてください」いった注意が何度もされていた。
 (感想)何の質問をしたいのか方向ズレ過ぎ!棺桶に足突っ込んでるの?って聞きたい! こんなんでよく弁護士やってるよね! 

●笠原:声は必要以上にでかいは、内容は揚げ足取り。この人も直接の質問や提出陳述以外の質問したり・・・。それで裁判官に止められたりしていた。
 (感想)証人の発言に不満っぽく独り言のような事を必ず呟いていて不愉快極まり無し!

●門西:大した質問でも無いのに大げさな手振りと大きな声。
 (感想)うんざりな感じ。

 この3人の弁護士の尋問だけで3時間だった。裁判官からもまたまた、「もう良いでしょう」の声。傍聴席からの失笑もあり、ある意味、”個性派揃いの役者弁護人”達だった。

 トータル5時間を超える公判に対して被害者証人の方は、とても頑張っていた。思い出したくもない事、自分の悩みも全部、大勢の前で話していた。”役者3人”から発せられる、”答えられないような内容”、”支離滅裂な内容”の質問にも、なるべく答えようと一生懸命頑張っていた。この真摯な姿勢はきっと裁判所に届くだろう。
 本日の裁判に足を運んでいただいた皆様、大変さんお疲れ様でした。神世界に対する刑事裁判はまだまだ続きます。頑張りましょう。私(報告者)が通っていたサロンはE2とは違うけれど、サロンが違っても被害の内容は同じようなものであることがよく分かった。本日の裁判を傍聴して、神世界による被害が改めて身にも心にも染みた。


杉本(吉田)明枝に対する第2回公判詳報


日時:平成23年8月31日午前10時〜午後5時
場所:横浜地裁401号法廷
弁護人:(前列)尾崎、笠原、門西、大八木 (後列)谷地向、市河、清澤
内容:証人A(被害者)の証人尋問

スケジュール:10時〜12時05分 検察官主尋問(大久保検事)
       13時30分〜15時15分 弁護人反対尋問(尾崎、笠原)
       15時30分〜16時25分 弁護人反対尋問(笠原、門西)
       16時25分〜16時40分 証拠調べ等
決定事項:9月2日の被害者の証人尋問について、遮へい措置
証拠調べ:(弁護人書証同意のうえ)
     甲32 捜索差押調書(渋谷サロン)
     甲33 神霊鑑定予約申込表
     甲34 電話鑑定回答書
     甲35 神霊鑑定予約申込表(10月22日付)
     甲36 捜索差押調書(青山サロン)
     甲37 家系図(手書きのもの)
     甲38 被害者の神霊鑑定予約申込表

●午前の部
【証人尋問】
検察官主尋問(に対する証人Aの証言)(要約)
証人A:E2とかかわった時期はH16年2月ころ、G司に最初に誘われ、悩みの解決方法としてヒーリングを勧められた。
証人A:G司に「宗教なのか?」と聞いたら、「実際に結果が出るから宗教ではない」と言った。
証人A:宗教には気持ち悪いイメージを持っていたから宗教ならやらなかった。
証人A:G司は、ヒーリングについて、「最初は効果を感じないかもしれない。ヒーリングの後、発熱したり、お腹をこわしたりするかもしれない」と言った。
証人A:ヒーリング担当はY田みかだった。
証人A:Y田に悩みを話すと、「もし悩みを解決したいなら、悩みを解決できるE2にはすごい先生がいる。鑑定を受けると、すごい先生が解決方法を教えてくれる。予約しないと受けられない」と言われた。
証人A:予約して杉本の鑑定を受けた。
証人A:何か特別な能力があると思っていた。 証人A:鑑定中の杉本は、目を半開きにして斜め下を見て何かを読んでいるような様子、少し低めのトーンで話していた。
証人A:杉本は、「年収はおいくらなの?」と聞いてきた。
証人A:サロンに行くといつも、スタッフは、「目の輝きが違う。きれいになった。何かいいことありましたか?」と頻繁に言ってきた。
証人A:杉本は、「ここは実際に効果が得られる会社よ、宗教じゃないのよ」と言っていた。
証人A:個別に言われただけでなく、何人かいるところで、「ここは宗教ではない、会社で、神様と取引できるところ」と言っていた。
証人A:神様については、「呼び名は便宜上、神様と言っているけど、呼び方は何でもいい。へのへのもへ字と言ってもいいのよ」と言っていた。
証人A:杉本は、「右脳にコギツネと、毒を飲まされて死んだ男の先祖の霊がついているのが視力が悪いことや体調不良の原因だ」と言った。
証人A:御祈願料については、G司が、「100万でも200万でも多い方が早く効果がでる」と言っていた。
証人A:軽い男の霊から御祈願を始めて、重いコギツネの霊の御祈願を行った。
証人A:その後、「腎臓が固くなっているのは、生きた男の霊のせいだ」と言われ、御祈願した。
証人A:杉本に御祈願したのに効果がない気がすると言ったところ、杉本は、「効果はでていますよ、感じられていないだけ、それは感謝が足りないから、天秤でつりあうだけのお礼をしなければいけない」と言ったので、お礼を払った。
証人A:御祈願を受けても体調等が変わらなかったから、だんだん不安になった。
証人A:サロンには、Dさんという、スタッフになる前に同じ会社で働いていた人がいた(サロンで知り合った)
証人A:客同士の連絡交換は禁じられていた。
証人A:Dさんにサロンのことを聞いたら、後日、「サロンに行くのは止めた方がいいいよ。あなたは騙されているよ。サロンではお客さんからどうお金を出させるかばかり話していて人の幸せを考えてないよ」と言われた。

●午前の部は以上で終了(主尋問では淡々と時系列に沿って証言が行われた)。

●午後の部
弁護側反対尋問(要約)
尾崎弁護士による反対尋問
 総じて、自分の意見を押しつける尋問や、長々と演説して、質問事項がわからないような尋問が多く、裁判官からも注意されていた。40分くらい、いろいろと聞いていたが、実のある尋問は無し。他の弁護人も苦々しく見ていたように思う。

笠原弁護士による反対尋問
笠原弁護人:告訴の経緯について。いつ告訴状を出したのか。どのような告訴事実で出したのか。告訴状は誰が作ったのか。
証人A:刑事事件の前に民事でも警察に相談した。自分としては杉本さんだけを告訴しているというつもりで、その他の逮捕者(Y田、G司など)を告訴してくれと言ったことはない。自分は神世界の関係者を告訴するという意識だった。
笠原弁護人:警察、検察調書は何通くらい作ったのか。今日の尋問のための打ち合わせは何回くらい行ったのか。
証人A:調書は全部で5通くらい?尋問打ち合わせは4回くらい。
笠原弁護人:神世界とE2とはどういう関係と認識していたか。
証人A:E2は神世界の子会社と思っていた。
笠原弁護人:「神霊鑑定」「御霊光」はどういうものと認識していたか。
証人A:「神霊鑑定」という名前は、この時点ではあまり意識無かった。何かすごい力で答えを教えてもらえるものと思っていた。先生にすごい能力があると思っていた。
証人A:神様ではなく、先生個人に質問するものと思っていた。
証人A:御霊光は宇宙のエネルギーのようなもので、万人に注がれるものと思っていた。

(神書について)
証人A:神世界の教えが書かれているものと思っていた。神様のこと、御霊光のこと、天秤の法則などが書かれていた。1週間に1小節くらいのペースでゆっくり読んだ。何度も読んだ。
証人A:杉本さんが神書の内容に精通していたのも知っている。
笠原弁護人:霊の存在を信じていたか?
証人A:目に見えないものの存在はあるのではないかと思っていた。
証人A:そのような目に見えないものが人生に影響を与えていると聞いて怖くなった。
証人A:当初は、先生が神様とお取り次ぎをしているという認識はなかった。いつころからその認識ができたか覚えていない。
笠原弁護人:友人らを勧誘したね。
証人A:友人らを勧誘したことはある。6人勧誘した。最初の1人はサロンに通い出して1年くらいしたころ。最後の6人目は時期覚えていない。
証人A:「アレルギーが治る」、「きれいになれる」と言って誘った。だましている認識はなかった。

門西弁護士の反対尋問
(告訴と民事訴訟の経緯)
証人A:告訴前に民事訴訟提起している。民事の代理人弁護士が刑事の手続もしている。刑事で問題となっている以外のヒーリングなど合計1200万円を請求している。
門西弁護人:青山サロンに祭壇はなかったか?
証人A:よく覚えていない。
証人A:お水、お皿があった。掛け軸があった。手がたくさんある人の絵があった。千手観音と呼ぶかどうかは知らない。その部屋には10回くらい入っている。
門西弁護人:「神様」についての認識は?
証人A:全世界を司る大きなエネルギー。
証人A:「神様」というのは特に認識してない。
門西弁護人:あなたの検察調書には、「神様からのエネルギー」というような記載があるが。
証人A:・・・(メモできず。少しあやふやな供述になった印象)
門西弁護人:お守りを買っているね。
証人A:買っている。落としたらお浄めが必要と言われていた。汚れてしまったものをきれいにするため。宗教行為とは思っていなかった。
証人A:他の客にお取り次ぎをしたこともある。

左陪席裁判官の質問
■左陪席裁判官:もう一度確認するが、「神様」についての認識は。
証人A:「全世界を司るパワー」
■左陪席裁判官:いつからその認識があるのか。
証人A:サロンに通って1ヶ月ほどしてから。サロン辞めるまでずっとその認識。
■左陪席裁判官:「神様と取引する」とはどういう意味か。
証人A:神様が幸せをもたらしてくれることへの対価。お金を受け取るのは神様という認識。
■左陪席裁判官:神様は意志がある存在なのか。
証人A:わからない。

裁判長の質問
■裁判長:「ヒーリング」は別として、「御霊光」と聞くといかにも宗教的なものを連想してしまう。宗教とは思わなかったのか。
証人A:思わなかった。神書を読んでも宗教と思わなかった。営利団体で宗教ではないという説明を受け、信じていた。
■裁判長:「アレルギーが無くなる」と言って友人を誘ったようだが、実際にアレルギーが治った経験があるのか。
証人A:このとき、花粉症が出なかったので、効果があったと思っていた。



次回、第3回公判の予定
●2011年9月2日(金)午前9時40分
場所:横浜地方裁判所
事件名:詐欺 平成23年(わ)第458号等
抽選券配布場所:横浜地方裁判所1階中央待合いロビー
抽選券配布締め切り:午前9:40
開廷時刻:午前10:00





3、杉本(吉田)明枝 第3回公判
(以下の第3回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)

横浜地裁
 杉本明枝被告の裁判は、初公判から続けて傍聴しているが、傍聴者の中にはいつも会員(杉本被告の支援者?)らしき女性が多く来ているようだった。傍聴者の中には、吉田元警視らしき男性の姿もあった。
 弁護側の質問は、宗教性や、被害者が「信じて」いたことを強調するようなものだった。御祈願、御霊光の手順(祝詞を上げる、一礼三拍手など)や部屋の中の様子(千手観音の絵がある、水が供えてある)などを証人に説明させて、「宗教的なものだと認識していたはず」、「神世界の神様を信じていた」と言わんとしていた。
 証人の女性は、事件の経緯を明らかにするため、被害を受けるに至った当時の個人的な悩みも公開の法廷で述べたり、弁護人の厳しい質問を受けたりで、証人の負担は大きいと感じた。傍聴席には現役会員と思われる者がおり、法廷内のすぐ近くには杉本被告がいる前で、堂々と証言を続ける証人の勇気ある行動に頭が下がった。第3回公判では、B証人からの要請によって裁判所は証人の遮へい措置を取っており、証人が証言を行いやすいように配慮されていた。
 今後、検察側がどのような証拠を出してくるか、次回以降の公判を見守って行きたい。


杉本(吉田)明枝に対する第3回公判詳報


1 日時:平成23年9月2日(金)午前10時〜午後4時
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容:証人B(被害者)の尋問

●午前の部
検察官の主尋問(に対する証人Bの証言)(要約)
(1)サロンに通うきっかけ
証人B:S川Yミコから、E2のヒーリングサロンを紹介された。S川は、会社の同僚で友人。
証人B:S川から、ヒーリングを受けると体が楽になり、精神的に落ち着く、ヒーリングは1回3000円などと言われた。
証人B:自分は、当時、病気を患っていた。子宮の病気。お産の様な激痛に毎日苦しんでいた。S川にもその事を話していた。
証人B:少しでも楽になるのならと思い、軽い気持ちでヒーリングサロンに行くことにした。

(2)初めてのヒーリング
証人B:ヒーリングを初めて受けたのは、平成16年5月3日、千駄ヶ谷のマンションの一室(後の渋谷サロン)。
証人B:スタッフはY田美香とあと1人いた。
証人B:Y田から、ここはヒーリングサロン、皆色々な悩みを抱えているが、通っている内に楽になったり、病気が良くなったり、家族関係が良くなって行く旨説明される。Y田の対応は、すごく優しかった。
証人B:Y田に対し、子宮の病気で激痛に苦しんでいることを話す。
証人B:Y田から、病気の原因が必ずある、原因はここに通えば分かる、通ってくれれば病気が良くなると言われる。
証人B:Y田に対し、宗教かどうか聞いた。
証人B:Y田から、宗教ではなくて会社、お布施とかはない、ここは結果がいただけるから会社と言われた。
証人B:Y田による御霊光を受けた。痛みが少し楽になった気がした。その後、スタッフと会話して感想など聞かれた。
証人B:Y田から、これからも来てください、御霊光は本当に凄いんですよ、喘息とかアトピーとかあらゆる病気に効くと言われた。
証人B:Y田から、神霊鑑定も勧められた。病気には原因があるが、詳しい原因はスタッフでは分からない、凄い先生がいる、杉本先生、先生は神様の声を聞く力がある、原因を取り払うことができる、杉本先生の鑑定を受ければ子宮の病気の原因が分かり、治る、鑑定は3万円などと言われる。

(3)1回目の神霊鑑定
証人B:初めて神霊鑑定を受けたのは、平成16年5月8日、青山サロン(アクシア青山13階)。
証人B:すごく広い部屋、30畳くらい、綺麗で高級なヨーロッパ調の家具が置かれていた。
証人B:部屋の中に杉本が1人座っていた。風格あった。立派な先生と思った。
証人B:事前に申込書を書いていた。相談内容、病気のこと、異性関係のことなどを書いた。
証人B:申込書を見ながら杉本と会話をしていく。杉本は神様の声を聞いて話す。ゆっくり、堂々と、自身に満ちた顔で話す。杉本の言う事を本当だと思った。
証人B:杉本から、@亡父は突然死だったことから、死を受け入れられず、霊界に入れずにさまよっていること、A先祖の祠をほったらかしにしているから、先祖の霊が憑いていること、B魂レベルが低いので蛇の霊も憑いているので上げないといけないことを言われる。
証人B:先祖の祠とは何?どこにあるのですか?と質問したところ、後ろでメモを取っていたY田から「もう時間です。」と言われて答えのないまま時間切れで終了した。

(4)その後
証人B:サロンに通ってヒーリングを受け続ける。
証人B:スタッフからもう1回神霊鑑定を受けるよう勧められる。
証人B:当時、医者から子宮の摘出手術を勧められていた。副作用もあるし、女性として抵抗もあったので手術はしたくなかった。ヒーリングで治るなら治したいと思った。
証人B:スタッフは、体にメスを入れてはいけない、ここに通えば手術しなくて済むと言い、目の前で杉本先生に電話して予約を入れた。杉本先生は直ぐに神霊鑑定を受けた方が良いと言っていましたよと伝えられる。
証人B:事前の申込書を書いた。
⇒甲38を示す。
⇒相談内容:子宮の病気について、先祖の祠について

(5)2回目の神霊鑑定
証人B:2回目の神霊鑑定は、平成16年6月4日、青山サロン。
証人B:3万円支払った。
証人B:杉本から、@病気の原因は霊的なものである、A先祖の祠(北朝鮮にある)をほったらかしにしているから、先祖が怒って一番弱い立場にいる自分に祟っている、B小さな蛇の霊も憑いている、もっと大きな蛇が憑く人もいるのでまだマシだが、魂レベルが低いから蛇が憑く、C解決するには御霊光を沢山受けるか御祈願するかのどちらか必要、D御霊光の場合は何十回、時間が掛かるが、御祈願なら1回で良くなる、E手術しなくても治る、なるべくメスは入れない方が良い、霊的な問題をほおっておいて手術しても良くならないと言われる。

(6)御祈願(被害額50万円)
証人B:2回目の神霊鑑定後、お金がなかったので、直ぐには御祈願を申込まずにいた。時間が掛かっても御霊光を受けるしかないなと思っていた。
証人B:すると、S川が血相を変えて自宅まで来た。
証人B:S川から、杉本先生が、このままではさんの命が危ない、御祈願をしないと死ぬよ、さんを助けてあげなさいと言っていると言われる。
証人B:渋谷サロンのスタッフからも、命に関わることなので杉本先生の御祈願を受けた方が良い、早く痛みから解放されたいでしょ、子宮の病気が治ったという人もいると強く言われる。
証人B:そこで、御祈願をすることに決めた。
証人B:代金は50万円〜と言われたので、50万円にした。
証人B:50万円は生命保険の契約者貸付を利用して用意した。S川から借りた方が良いと言われた。
証人B:平成16年6月23日、青山サロン。50万円支払った。
証人B:杉本が蛇腹式の祝詞を読み上げた。自分は正座して手を合わせて黙って聞いていた。
証人B:杉本から、御祈願をしたので良くなって行きます、亡父は霊界へ行く、先祖の怒りも鎮まった、蛇の霊も取れたと言われる。

(7)その後(止めた経緯)
証人B:祭典(お茶会みたいなもの)の際に、2000万円使っている人や700万円使っているという人がいるのを知り、金を取られる所だと思う様になった。
証人B:御祈願後も体調良くならなかった。
証人B:家族に北朝鮮の先祖の祠のことを聞いたら、馬鹿言ってんじゃない、そんなのある訳ないと言われた。
証人B:子宮の病気は悪化し、最終的には摘出手術を受けた。4年位前の12月20日。
証人B:入院中、ニュース番組で杉本のインタビューを見た。詐欺ではないと言っているのを見て、騙したくせに、嘘じゃないかと思った。

●午後の部
証人Bへの弁護側反対尋問】
笠原弁護人の尋問(13時20分〜)
⇒以下の弁護人による一連の質問では、杉本は神の声を聞いて被害者に伝えたにすぎず、詐欺をしたわけではない、神様を信じていただけ、ということを言いたかったらしい。
笠原弁護人:神様、霊界に興味はあったか
証人B:はい。
笠原弁護人:神様はいると思ったか。神様とはあなたにとってどういうものか。
証人B:はい。神様は宇宙を作った方。神様は、一般的な形でいると思った。
笠原弁護人:あなたにとって宗教とは。
証人B:お祈りとか、拘束するものが宗教。
笠原弁護人:奇跡を起こすのは、神様か杉本先生か。
証人B:奇跡を起こすのが神様だとしても、杉本先生が間に入って、役割を果たしてくれる。杉本先生が奇跡を起こされる。
笠原弁護人:神世界は、宗教だと思ったか。
証人B:メニュー表にしたがってお金を払うことになっていたので、宗教とはまた違うと思った。
笠原弁護人:ヒーリングと御霊光は、同じか違うか。
証人B:同じ意味かどうかは分からない。
笠原弁護人:神書は読んだか。書いたのは誰か。
証人B:1回だけ読んだ。神の教え。書いたのは誰だか分からない。1回だけしか読んでいないので、よく覚えていない。
笠原弁護人:御霊光は、何回くらい受けたか。
証人B:御霊光と遠隔を合せて、50回くらい受けた。
笠原弁護人:御霊光を受けたら、どうなったか。
証人B:御霊光を受けたのと、話を聞いてもらうので、気持ちが楽になった。杉本の能力として、病気をなおしたりするということだったと思う。
⇒この後、サロンでの御霊光や儀式などについて、延々と聞く。
⇒御祈願の申込書のようなものを示す。
笠原弁護人:あなたは神世界に通う前に、ネットワークビジネス、連鎖販売取引をしていないか。
証人B:はい。
笠原弁護人:平成13年ころ、ニューウェイズジャパンで働いていたか。これはどんな会社か。
証人B:健康食品の会社です。
笠原弁護人:ダウンとして、200人位の組織を作ったか。
証人B:はい。
笠原弁護人:シナジーワールドワイド社、アクアサービス株式会社、有限会社YOとありますが、これらは何の会社か。ネットワークビジネスの会社か。
証人B:いいえ。水の代理店、○○の会社です。
笠原弁護人:紹介者であるN山さんや、K原さん、○○さん・・は、ネットワークビジネスの知り合いか。S川さんもか。
証人B:はい。
笠原弁護人:平成16年5月当時、あなたに180万の借金があったのはなぜか。
証人B:研修や経費で借金ができました。
笠原弁護人:民事訴訟や刑事告訴はどうなっているか。
証人B:民事訴訟については、今考えている。刑事告訴は、しているのかしていないのか、分からない。

門西弁護士の尋問(15時24分〜)
門西弁護人:平成21年夏ころに、刑事が来たということだが、その前に弁護士に相談したことはあるか。
証人B:特にない。
門西弁護人:神世界の一連の騒動については、テレビや新聞などでの報道を見たか。
証人B:見た。
門西弁護人:神世界では、信者と呼ばれていたか、会員と呼ばれていたか。
証人B:会員と呼ばれていたように思う。
門西弁護人:御霊光を発するのは、神か被告人か。
証人B:神様の御霊光を、杉本先生が会員に取次ぐ。

大八木弁護士の尋問
大八木弁護人:ヒーリングというのは、自分の意思で受けたのではないか。
証人B:はい?
大八木弁護人:悩みとして、男性運に恵まれなかったということだが、あなたは、主尋問で沢山の男性をヒーリングサロンに紹介したということだった。御霊光を受けた結果、男性運には恵まれたのではないか。
⇒法廷全体が笑いに包まれる。
証人B:紹介した方々は、ヒーリングに通う前からの知っている人だったので、御霊光を受けて男性運に恵まれたということはありません。
大八木弁護人:神霊鑑定を受けてお金をはらったということだが、何かをしてもらったら、御礼をするのが常識ではないか。
証人B:御礼としていくら払うのが常識かというのがあると思います。

裁判長の尋問
■裁判長:神世界の前に、占いなどを受けてお金を使ったことは?
証人B:5回くらい。
■裁判長:E2以外で、ヒーリングを受けたことはあるか。
証人B:一度だけ。S川さんに連れられて受けたことがある。払ったのは1000円位。

【証拠調べ】
弁1 検察官異議なし。
弁2 検察官意見留保。弁護人(尾崎)、被告人質問で示して、関連性立証する。
弁3 検察官同意。

15時50分閉廷

この日の公判を傍聴しての感想
 反対尋問がほとんど無意味と思われるものだったこともあり、概ね立証に成功したという印象を受けた。



 下記の、「やや日刊カルト新聞」(2011年9月2日号)にも第3回公判の様子が掲載されています。
 


吉田(杉本)明枝被告に対する次回以降の公判予定
●2011年9月21日(水)被害者の証言等
2011年10月12日(水)(中止)
●2011年10月14日(金)(佐野被告らの公判に変更)
●2011年10月25日(火)
●2011年10月27日(木)

場所:横浜地方裁判所
事件名:詐欺 平成23年(わ)第458号等
開廷時刻:午前10:00
傍聴券が抽選になるかについては、期日が近づいてきた段階で確認します。

佐野孝被告らに対する初公判予定
●2011年9月22日(木)
場所:場所:横浜地方裁判所405号法廷
開廷時刻:午後1:30
傍聴券は抽選になるものと思われます。期日が近づいてきた段階で確認します。






4、杉本(吉田)明枝 第4回公判
(以下の第4回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)

台風15号の影響で多数の帰宅困難者
(写真は9/21夕刻の渋谷駅)
 台風15号が刻々と関東地方に近づいてくる状況ではあったが、杉本(吉田)明枝に対する第4回公判は、予定通り2011年9月21日(水)、横浜地裁で行われた。裁判が終わった時刻は台風15号が最も関東地方に接近した時刻と重なったため、交通機関は次々とストップし、裁判を傍聴した人の中には、横浜駅で5時間近くも足止めされてしまった人もいた。
 この日の証人尋問の様子は下記の通りだが、傍聴席には神世界側と思われる人(女性が多かった)が多数つめかけていた。法廷内では、杉本被告が腕組みをしたまま、憮然とした表情で笠原弁護人に時折何か伝えたりしていたのが印象的だった。
 午後から行われた、笠原弁護人の反対尋問の中には、事件との関連性が乏しい質問も多かったように思われた。
 なお、当初予定されていた医師の尋問は撤回された。これは、弁護側が検察側作成の医師の調書の証拠提出についてほぼ同意するに至ったため、医師を直接尋問する必要がなくなったことによる。

1 日時:平成23年9月21日(水)午前10時〜午後4時
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容:証人F(被害者)への尋問(午前主尋問、午後反対尋問)

●午前の部
 検察官の主尋問(に対する証人Fの証言・要約)
 【大久保検事による主尋問の概要】
(1)導入
 証人Fの仕事や、家族の状況について概要が述べられた。証人Fは被害にあった当時、事業があまりうまく行かなかったり、親族を相次いで亡くすなどしていた。この導入部分で述べられた内容には、プライバシーに係わる内容が多いので、詳細については割愛する。

(2)勧誘された経緯
証人F:E2はM澤から紹介された。M澤によれば、「うまくいくかどうか、見てくれるところがある」という話だった。それを聞いて、最初は占いかと思った。M澤に「占いか?」と聞いたら、「占いではない。言い当てるだけでなく、もし良くないことが起きるとしても、軌道修正してくれる。なので占いではない」という話だった。
 M澤自身も悩みがあったときにそれが解消できず、いろんな所に行ってみたがそれでもダメだった時に、妻からの紹介で初めてE2に出向いたら、ズバズバ言い当てられて解決した、という話だった。値段は1時間3万円とのこと。予約が必要で、予約申込表の書き方等はM澤に教えてもらった。自分が見てもらいたいこととして予約申込表に書いたのは、事業の今後、家族のことなどだった。
大久保検事:甲40(神霊鑑定予約申込表)を示す。
大久保検事:これは証人F自身が書いたのか?宗教じゃないか?と尋ねたか。
証人F:尋ねた。「神霊」という言葉が引っかかった。M澤の答えは、「宗教ではない。有限会社E2という会社。領収証も出せる」という話だった。
大久保検事:宗教と最初から分かっていたらどうだったか?
証人F:関わらなかったと思う。マイナスイメージがあったから。M澤との話の中で、親近感を覚えた出来事があった。それは、雑談の中で、有限会社E2が山梨の会社の系列会社だと聞かされたから。というのも、私自身の先祖も山梨であり、菩提寺も山梨にあるから。
大久保検事:そのことはM澤に伝えたのか。
証人F:雑談の中で伝えた記憶がある。その時点ではM澤に対する不信感はまったくなかった。

(3)1回目の神霊鑑定
証人F:時期は平成16年4月中頃。場所は青山サロンと呼ばれていたハイタワーマンションの13階の記憶。非常に高級感があり、高貴な印象だった。カルト的なうさんくさい印象とは真逆だった。そのとき、神霊鑑定予約申込表を持参した。事前にファックスで送っていたが、原本は自分で持っていた。その原本が警察に提出したもの。
 鑑定で杉本から言われたのは、大きく2点。1点目は、土地建物がある場所は元は首切り場で、汚れていること。2点目は、無縁墓地があり、先祖の霊が苦しんでいる、ということ。
大久保検事:1点目については、地縛霊がいると言われなかったか。
証人F:はい。言われました。それらのため、今の運や、会社の業績に悪影響を与えている、という話だった。
大久保検事:何か驚いたことはあったか。
証人F:あった。菩提寺が浅草と山梨にあると断言され、そのとおりだったので非常に驚いた。
大久保検事:杉本には事前に菩提寺について話していたのか。
証人F:話していないし、申込表にも書いていない。
大久保検事:その瞬間の心境は。
証人F:「えっ」と声を上げて、背筋がぞくぞくしたことを今でも鮮明に覚えている。
大久保検事:杉本がそのことを言ったときのことばの調子は、普段とは違ったか。
証人F:違った。まったく。
大久保検事:どんな調子だったか。
証人F:目をつぶって、うつむき加減で、頭上の何かと会話をしている様子。それで、低い声で言う、という感じだった。
大久保検事:言い当てられて、杉本はどんな人だと思ったか。
証人F:すごい能力を持っている人だと思った。
大久保検事:今でもそう思っているか。
証人F:まったく思っていない。
大久保検事:なぜか。
証人F:今回の件で、捜査員から示された物を見たから。
大久保検事:それは誰が何をしたことを示すものか。
証人F:1回目の鑑定の前に、M澤が菩提寺について報告した報告書。
大久保検事:甲41(2004/4/14付けFAX文書)を示す
大久保検事:菩提寺のことも書いてあるね。
証人F:はい。
大久保検事:甲42(2004/4/14付けFAX文書)を示す
証人F:これを見たとき、初めから知ってたんだ、と思った。
大久保検事:杉本は、菩提寺を言い当てたとき、誰かから聞いた、という話し方をしたか。
証人F:していない。
大久保検事:このことを知っていたら、杉本の能力を信じたか。
証人F:信じなかった。鑑定では、解決方法として、まず本来であれば、退去した方がよい、と言われた。ただし、退去するのは、100%無理な話だった。というのも、自宅兼会社は借金の抵当にとられていたから。そのことを杉本に伝えたところ、「お浄めをした方がいい」と言われた。「お浄め」をするのは、地縛霊が憑依している(自宅兼会社の)土地建物。「お浄め」の金額や時期、方法については、この時点では具体的な話はなかった。ネットでやろうとしていた会社の会社名についても、具体的には聞けなかった。というのも、1時間の時間制限のため時間切れになったから。御霊光を受け続けた方がいい、とも言われた。神様とつながるために、受け続けた方がいい、という話。高熱が出たり下痢が出たりすることがあるが、それは「排せつ」なので薬は飲むな、という話もあった。実際には、体調に変化はなかった。神書や御守り様も買った。それは杉本を信じたから。

(4)2回目の神霊鑑定
証人F:2回目もすぐに受けた。1回目の数日後だと思う。このときも申込表書いた。書いたのは、新規事業の会社名はどうしたらよいか、お浄めについて、金額等の詳細はどうか、等。
大久保検事:甲43(神霊鑑定予約申込表)を示す
証人F:これも、原本を自分で持っていて、警察に任意提出した。杉本から神書を読んだか確認された。その時点で、ある程度読んでいた。杉本によれば、神書に書いてあることは、そのとおりで、やればよくなる、などと言われた。
■裁判長:何が良くなるのか。
証人F:そのとおりに行動すれば、うまくいく、ということ。
大久保検事:すべてがうまくいくとは言われなかったか。
証人F:言われた。そのほかに、目先のことを変えるのではなく、根本原因を解決しなさい、と言われた。具体的には、地縛霊と先祖の供養をしなさい、ということ。
大久保検事:先祖の霊の状態については、何と言われたか。
証人F:非常に苦しんでいる、あなたとは霊線でつながってるので、だから現世のあなたも苦しいんだ、と言われた。
大久保検事:霊の数については何と言われたか。
証人F:1つ2つではなく、たくさんと言われた。そのそれぞれと、霊線でつながっているということだった。
大久保検事:どうすれば良いという話だったか。
証人F:特別祈願で、霊界に返す必要がある、という話。
大久保検事:地縛霊については。
証人F:土地建物をお浄めする必要がある。やらなければすべてこのまま悪いまま。やったらすべて良くなりますよ、と言われた。具体的には、新規事業も、会社の業績も、子どもの受験も、(未入居の)テナントも、うまくいく、という話。
大久保検事:値段は。
証人F:先祖の霊は、200万円以上、最高で7000万円くらい、という話。
大久保検事:お浄めは。
証人F:200万円以上と言われた。
大久保検事:それを聞いてどう思ったか。
証人F:数千万という話が出てきたので、払えないけど、何とかしないと、という気持ちだった。
大久保検事:すぐに用意できる状況だったか。
証人F:自転車操業なので、会社個人ともに、余力のない状態だった。
大久保検事:いくらまでなら、と言ったか。
証人F:はい。500万までなら、と言った。
大久保検事:どうやって工面するつもりだったか。
証人F:事業資金として借りることを考えていた。
大久保検事:それで杉本の返事は。
証人F:10万円(税込み10万5000円)の御額も買う話もしており、それも含めて、
大久保検事:500万円で全部やりましょう、という話になった。
大久保検事:このときも普通に話すのか、先ほどの仕草をしていたのか。
証人F:仕草をしていた。
大久保検事:特別祈願とかの話をしたときはどうだったか。
証人F:そのときもしていた。
大久保検事:だからあなたは信じたのか。
証人F:はい。
大久保検事:特別祈願やお浄めをしなかったらどうなると思ったか。
証人F:しなきゃ悪いまま、すれば良い方向になると思ってた。
大久保検事:あなたは、杉本から言われたことを申込表にメモしていたか。
証人F:していた。
大久保検事:甲43(神霊鑑定予約申込表)の裏面を示す
証人F:これがそのときその場でメモした内容。
大久保検事:1回目のときは。
証人F:そのときも、持参したメモの裏面に殴り書きした。
大久保検事:甲40(神霊鑑定予約申込表)の裏面を示す
証人F:これも自分がそのときに書いた内容。
大久保検事:赤ペンでの書き込みもあるが、これは違うときに書いたのか。
証人F:この日に書いたという記憶。
■裁判長:同じ時に書いたのか。
証人F:はい。特に注意点は色を変えて書いた。

(5)特別祈願
大久保検事:500万円は、700万円の残債の返済とともに借り換えたのか。
証人F:はい。○○○○支店で借り換えた。
大久保検事:(甲21添付の資料3「金銭消費貸借契約書」を示す)1250万円借入の契約書だが、あなたの名前がありますね。
証人F:はい。
大久保検事:特別祈願とお浄めは、別々にやったのか、それともどっちが先か。
証人F:別々にやった。特別祈願が先。
大久保検事:その前に誰か紹介されたか。
証人F:された。
大久保検事:誰から誰を紹介されたか。
証人F:M澤から、神奈川県警の吉田澄雄を紹介された。
大久保検事:吉田からは何か言われたか。
証人F:神奈川県警警視の名刺をもらった。公安畑で、悪徳集団、カルト宗教の取締をしている。ここはそういうところとは違うので、安心しなさい、と言われた。
大久保検事:それで信じたのか。
証人F:はい。
大久保検事:特別祈願はいつしたのか。
証人F:2回目の鑑定の1月後くらい。
大久保検事:(甲44「予約表(サロンからの押収物)」を示す)5/19に「F様」とあるが、このときか。
証人F:はい。
大久保検事:場所は。
証人F:青山サロン。
大久保検事:この日は500万円全部払ったのか。
証人F:スタッフに全部渡した。
大久保検事:内訳は。
証人F:御額10万円と、その消費税5000円は500万円とは別に払った。その他の内訳は分からない。
大久保検事:特別祈願では、具体的には何をしたのか。
証人F:杉本が祝詞をあげて、祈願をした。
大久保検事:その後、杉本からは何と言われたか。
証人F:これですべての霊が霊界に入れましたよ。おめでとうございます。と言われた。
大久保検事:霊界に入れなかった霊がいるとは言われたか。
証人F:言われなかった。
大久保検事:領収書はもらったか。
証人F:もらった。
大久保検事:領収書には金額が書いてあったか。
証人F:書いてあった。内訳は覚えていない。
大久保検事:(甲21添付の資料5の1〜3「領収書」を示す)
証人F:これらがそのときもらった領収書に間違いありません。

(6)お浄め
大久保検事:お浄めは青山サロンでやったのか。
証人F:いいえ、その場所(土地建物)でやった。
大久保検事:お浄めについては、家族に話したか。
証人F:話した。
大久保検事:それまで家族には話していたか。
証人F:はっきり覚えていないが、この頃には話していた。
大久保検事:家族は賛成していたか、反対していたか。
証人F:反対していた。騙されている、と言われて、強く反対された。
大久保検事:でも、あなたは効果があった、と信じていたね。
証人F:はい。
大久保検事:何があったのか。
証人F:空きテナントに入居者が来た。
大久保検事:それはいつ。
証人F:特別祈願の1週間後くらい。
大久保検事:今でもそのおかげと思っているか。
証人F:いいえ、思っていない。
大久保検事:なぜ。
証人F:捜査官から、実はテナントの入居は特別祈願の前に決まっていた、と教えられたから。
大久保検事:テナントの入居について、御礼はしたのか。
証人F:した。
大久保検事:いくらしたか。
証人F:10万〜30万くらい?
大久保検事:最初10万、その後50万では。
証人F:はい。
大久保検事:お浄めは、杉本が1回来てすぐできたのか。
証人F:いいえ。
大久保検事:いつできたのか。
証人F:4回来て、4回目でできた。
大久保検事:3回目はなぜできなかったのか。
証人F:3回目は、家族が不在の予定だったのに帰宅してきて、お浄めの様子をビデオカメラで撮影しようとしたから。
大久保検事:杉本からは何と言われたか。
証人F:家族の○さんが反対しているのは、○さん自身のせいではない。○さんに地縛霊が憑依していて、それが邪魔をしている。と言われた。それで、○をお浄めしてほしいといったが、無駄だと言われた。「重大決心をしてください。やらなかったらこのままですよ。」と言われた。

(プライベイトな内容であるため一部割愛)

大久保検事:お浄めを実施できたのはいつか。
証人F:その約1月後だと思う。
大久保検事:当日、誰が来たか。
証人F:杉本、M澤、Y田の3人。
大久保検事:杉本は何かコメントしていたか。
証人F:「空気が非常に悪い。ここに来るといつもそうだけど頭が痛くなる。」などと言っていた。
大久保検事:会社については。
証人F:具体的に指を指して、ここが首切りの処刑場でしたとか、行き倒れの子どもがいたとか、処刑された胴体が積み上がってるとか。
大久保検事:どこがどうだと言われたか。
証人F:駐車場が処刑場。***に行き倒れの子どもがいて、風呂場に胴が積み上げられている、という話。
大久保検事:そのときの杉本の動作は。
証人F:このときは普通のもの言いで、特に動作はなかったと思う。
大久保検事:あなたには何か見えたか。
証人F:全く見えませんでした。
大久保検事:M澤やY田には見えていたのか。
証人F:特に、覚えていない。
大久保検事:その後、お浄めをしたのですね。
証人F:はい。
大久保検事:どこでやったのか。
証人F:会社、居住部、すべての部屋で。
大久保検事:具体的には何をするのか。
証人F:白米と日本酒と塩を、各部屋にまいていた。その後、杉本が祝詞をあげた。
大久保検事:杉本は何か言っていたか。
証人F:「これで空気が良くなりましたね。頭が痛いのも取れました。」などと言っていた。
大久保検事:あなたは何か変化を感じたか。
証人F:特に変化はなかった。
大久保検事:それについて杉本は。
証人F:「Fさんはずっと住んでたので麻痺してたんでしょう。変わったのは分かりませんか。」「おめでとうございます。よくなりました。これでFさんも年収2000万円くらいにはなりますよ。」などと言われた。当時の年収は700万円くらい。
大久保検事:年収について、あとこれをしたら、とか、条件は言われなかったか。
証人F:特になかった。「あなた次第」と言われた覚えもない。
大久保検事:実は霊は取り除けていない、とか、定期的にお浄めをする必要がある、とか言われなかったか。
証人F:言われなかった。
大久保検事:それでどう思ったか。
証人F:これでネット事業もうまくいくと思った。
大久保検事:実際はどうだったか。
証人F:ネット事業には着手できなかった。
大久保検事:業績については。
証人F:6月期末だが、最初の4半期は業績はよかった。前年同期比何割かアップだった。
大久保検事:その後は。
証人F:最初だけで、また失墜した。

(7)その他
大久保検事:平成17年1月、年初に、杉本に質問したか。
証人F:した。
大久保検事:どのように質問したか。
証人F:先生から言われた年収2000万には届きそうにないがどうでしょう、と質問した。
大久保検事:杉本の答えは。
証人F:「実は、このときまでにあなたが車に飛び込んで亡くなるところだったのを、助けられました。そのこととチャラになりました。」
大久保検事:このときは先ほどの仕草をしていたのか。
証人F:していた。それでまた信じた。
大久保検事:2000万になるとは言ってないとか、あなたの努力が足りないとか、言われなかったか。
証人F:言われなかった。
大久保検事:あなたは怠けてたのか。
証人F:怠けてない。
大久保検事:そもそも、別の願いに御玉串を振り返るとか、事前に言われていなかったか。
証人F:言われていない。
大久保検事:杉本には追及しなかったのか。
証人F:しなかった。
大久保検事:なぜしなかったのか。
証人F:神書にも、疑ってはいけない、言われたとおり素直にやれ、と書いてあるから。
大久保検事:いつまでE2と関わってたか。
証人F:平成19年春頃まで。
大久保検事:平成17年8月頃、家系図を見られたか。
証人F:はい。
大久保検事:どうして見られたのか。
証人F:急に、杉本から直接電話があって、今から家系図を持って来なさいと言われたから。
大久保検事:見られてどうだったか。
証人F:私の4代前の先祖の生まれ変わりが、私だと言われた。
大久保検事:家系図には、4代前の先祖について何と書かれていたか。
証人F:投身自殺したと書かれていた。
大久保検事:それでどう思ったか。
証人F:自分も投身自殺するのかと思った。
大久保検事:その先祖とあなたと共通点はあったか。
証人F:経済的に困窮して自殺したと、両親から聞かされていたので、あったと思う。
大久保検事:それで杉本からは。
証人F:その先祖が、入水自殺して、寒いから早く迎えに来てくれと言ってると言われた。
大久保検事:場所は。
証人F:鳴門海峡。家系図に金比羅参りに行く途中と書いてあったので、そうかなと思った。
大久保検事:その他に、お詫びが必要とか、天下分け目の御祈願が必要とか、蛇に取り憑かれている、とか言われたか。
証人F:はい。
大久保検事:お金は余裕あったのか。
証人F:苦しかった。神書に天秤の法則が書かれていたが、そのせいかと思っていた。
大久保検事:あなたは、結果が出ていないことについて、誰かから何か言われていたか。
証人F:御礼をしたり人を連れてきたりしたら、天秤が釣り合いますよ、とは言われていた。
大久保検事:誰に言われていたか。
証人F:杉本や、スタッフにも言われていた。御礼や人を連れてくるのが足りない、と。
大久保検事:お金には限度があるね。
証人F:はい。なので人を連れてくる努力をしていた。奇跡の話をしたり。
大久保検事:必死だったのか。
証人F:はい。
大久保検事:奇跡の話は、ありのままを伝えていたのか。
証人F:いいえ、いいことを書いていた。
大久保検事:悪いことを書いたら御神業的には。
証人F:神書には良くない、と書かれている。
大久保検事:誇張していたのか。
証人F:していた。
大久保検事:それで天秤は。
証人F:それでも釣り合っているとは言われなかった。
大久保検事:平成19年初頭頃、ネットのサイトを見たね。
証人F:はい。
大久保検事:どんなことが書かれてたか。
証人F:fujiyaさんのサイト。神世界に対する批判が書かれていた。
大久保検事:それを見て最初はどう思ったか。
証人F:嘘ばかりだと思った。腹が立った。
大久保検事:その後は。
証人F:気になったのですべて見た。そうしたら騙されてると思うようになった。
大久保検事:すぐにE2から離れられたのか。
証人F:できなかった。
大久保検事:なぜか。
証人F:もっと悪くなる、という恐怖心があった。
大久保検事:そのことは誰から言われていたか。
証人F:神書にも書いてあるし、杉本や、スタッフからも聞いたことがある。御礼が足りないとか、よく説教されていた。御霊光や御祈願で、今が維持できている、離れると悪くなっていく、と言われている。
大久保検事:その心境を御守りとからめて言うとどうか。
証人F:御守りはぶら下げていることで神様と繋がるもの。外すのは躊躇が非常にあって、怖かった。
大久保検事:E2から離れた後、急に体調が悪くなったとか、悪いことが次々に起こったことは。
証人F:なかった。



●午後の部
被告弁護人(笠原)による反対尋問(に対する証人Fの証言・要約)

1 日時:平成23年9月21日(水)13:30〜14:45,15:05から16:00頃まで

【傍聴席の様子】
 この日は台風15号の接近で、悪天候が予想されたにも係わらず、多くの傍聴希望者が地裁に詰めかけ、傍聴券配布には席数の倍以上と思われる人が並んでいた。傍聴席に入って満席の傍聴者を眺めてみると、傍聴席の多くは「神世界側?」と思われる人達が座っていた。報道席には4席ほどの空席があった。

【笠原弁護人による反対尋問の概要】
(1)告訴について
笠原弁護人:告訴日は平成19年12月20日であり、平成19年12月9日付の員面調書があるが、告訴前に何度か警察に行ったのか?
証人F:はい
笠原弁護人:平成19年12月20日、神世界の施設に大規模捜索があったことは知ってるか?
証人F:はい
笠原弁護人:その捜索の被疑事実は、証人が告訴した事実であることは知っているか?
証人F:はい
笠原弁護人:被疑事実の内容は?
証人F:490万円の件です
笠原弁護人:平成19年12月に、弁護士を立てて、2000万円の損害賠償請求をしましたよね?
証人F:はい 
笠原弁護人:(弁4の添付資料1「支払状況報告書」を示す)これを警察から示されたことは?
証人F:あります
笠原弁護人:このうち、御玉串、お浄めと特別祈願を告訴したの?
証人F:はい
笠原弁護人:他にもあるが、この2つだけを告訴したの?
証人F:金額が大きいものだけ告訴した
笠原弁護人:他にも計600万円の御玉串料があるが(3枚目H18.5.18?)、なぜこれらを告訴しなかったの?
証人F:490万円の件が今回の発端だから
笠原弁護人:490万円は、あなたの判断で告訴したのか?
証人F:私の意思です
笠原弁護人:告訴手続は誰がやったの?
証人F:私自身でやりました
笠原弁護人:平成19年12月中に弁護士を立てて損害賠償をやっているが、告訴について弁護士を立てていない理由は?
証人F:特にない
笠原弁護人:弁6(通知書)を示す=神世界被害対策弁護団の弁護士が作成した神世界とびびっととうきょう宛の通知書
笠原弁護人:この通知後に告訴しているが、告訴に弁護士が関与していないのはなぜ?
証人F:弁護士費用が掛かるから
笠原弁護人:平成23年5月に、M澤が逮捕・勾留されたことは知っているか?
証人F:はい
笠原弁護人:平成19年12月20日は、杉本だけでなく、M澤も告訴したの?
証人F:いいえ。杉本のみ
笠原弁護人:M澤が逮捕・勾留されたのは、なぜか知ってるか?
証人F:知らない
笠原弁護人:今回の尋問前に、検察官と何回か打ち合わせをしたか?
証人F:3回した
笠原弁護人:検面調書は示されたか?
証人F:いいえ
笠原弁護人:検面調書の内容は正しいと思うか?
証人F:はい

(2)資産について
(この後、被害者Fの資産等の状況についてやり取りがあったが、裁判の趣旨とは食い違うものであるため割愛)
■裁判長:主尋問から離れる質問です
笠原弁護人:後で出てくるんですが、分かりました。

(3)勧誘の経緯(M澤との出会い・やり取りが中心)
(この後、M澤と出会った経緯などについてやり取りあったが、裁判内容とはあまり関係がないので一部割愛)
笠原弁護人:1回目の神霊鑑定までの間に、M澤とやり取りはあった?
証人F:何回がやり取りした
笠原弁護人:M澤から予約申込表のファックスが来たとき、M澤に神霊鑑定について尋ねた?
証人F:はい
笠原弁護人:M澤は何て言ってた?
■裁判長:M澤があなたに説明した神霊鑑定の内容は、どういうものでしたか?
証人F:質問事項がうまく行くかの見立てと軌道修正をしてくれると
■裁判長:M澤に神霊鑑定とは何か尋ねた?
証人F:その時でなく、△△△の時に話を聞いていたので、1回目の鑑定までに質問したことはない
■裁判長:占いでないとM澤に言われたそうだが、具体的にどうやって杉本が軌道修正をしてくれるとM澤は言っていたのか?
証人F:覚えてない。
笠原弁護人:甲40の検察官調書で、あなたは「神に尋ねて道を示してくれる、それが神霊鑑定だ、とM澤が言った」と述べているが、こういう説明を受けたのでは?
証人F:・・・・
笠原弁護人:1回目の鑑定前、M澤と何回かやり取りをしているが、神書が話題になったことは?
証人F:ある。これを読めば全て理解できると言われた
笠原弁護人:M澤は神書を信じていると思うか?
証人F:そう思う
笠原弁護人:1回目の鑑定前に、M澤から「お守様」の話を聞いたことがあるか?
証人F:プラスのエネルギーがもらえるという説明を受けた
笠原弁護人:「御霊光」の話は?
証人F:プラスのエネルギーがもらえると聞いた。これらを聞いたのは、杉本に会う前。
笠原弁護人:甲40(神霊鑑定予約申込表)を示す
笠原弁護人:紹介者の欄には、M澤・S宮とあるが、このS宮は△△△の?
証人F:そうです
笠原弁護人:S宮もE2の紹介者だったのでは?
証人F:ちがう
笠原弁護人:なぜS宮を書いたの?
証人F:E2に良い印象を持ってもらうため。数が多いほうが良いと思ったから。
笠原弁護人:S宮がE2の関係者だと知っていたから書いたのでは?
証人F:・・・分かりません
笠原弁護人:平成16年3月ころ、あなたは神を信じてた?
証人F:信じてたことはない
笠原弁護人:神が人の人生に影響を与えるという考えはなかったのか?
証人F:神うんぬんではなく、何かに頼りたいという感情
笠原弁護人:あなたは、人知を超えたものの力を信じるのか?
証人F:とにかく良くなりたいという一念だけ
笠原弁護人:何かにとにかく頼りたいということ?
証人F:どうなんでしょう
笠原弁護人:霊は信じてた?
証人F:心霊スポットとかは信じてない
笠原弁護人:甲40に「神霊」と書いてあったのに、あえて申し込んだのか?
証人F:M澤に宗教でないと言われたので

(4)1回目の鑑定(平成16年4月15日)
笠原弁護人:1回目の神霊鑑定の部屋の様子は?
証人F:長方形の部屋。左がたが窓、右がた中心に大きい額、鑑定後を受けたのは、左上の隅にテーブルがあり、そこで杉本と
笠原弁護人:額の前に祭壇やテーブルはなかったか?
証人F:なかった
笠原弁護人:掛け軸はなかった?
証人F:殴り書きみたいな、じろじろ見るのがはばかられるような字が書いあった
笠原弁護人:観音様の掛け軸はなかった?
証人F:記憶にない
笠原弁護人:全部で(青山サロンに)何回行ったの?
証人F:3回くらい
笠原弁護人:20階に引っ越してからも、掛け軸があったのでは?
証人F:その頃は、表参道サロンに行くように言われたので
笠原弁護人:玉串袋を何回もあげてるよね?どんな風にあげてたの?
証人F:13階では、御額や掛け軸の前にあげていた
笠原弁護人:その掛け軸や御額を神様と呼んでたんじゃないの?
証人F:はい、神様と呼んでました。手を合わせ、おじぎをして玉串をあげてました
笠原弁護人:1回目の神霊鑑定のときも、玉串をあげてない?
証人F:スタッフにあげたが、神様にあげたかどうかは覚えてない
笠原弁護人:1回目の鑑定で、杉本が言った解決策は?
証人F:できれば自宅の土地を出た方が良いと言われた
証人F:私が出れないと言ったところ、特別祈願とお浄めが必要だと言われた 
笠原弁護人:そうじゃなくて、まず神様とつながることが一番先、と言われたのでは?
証人F:順番は覚えてないが、甲40の裏面にメモしてあることを言われた
笠原弁護人:甲40の2枚目の裏面を示す
証人F:上から順に書いたと思うので、その順で言われたと思う。
証人F:だから、特別祈願とお浄めの話の後、神様とつながる話をされたと思う
笠原弁護人:杉本の話を聞いてどう思ったか?
証人F:立て続けに身内が死に、事業もうまくいかず、自分の立場上、先祖の霊を供養しなければと思った
笠原弁護人:先祖の供養と、事業がうまくいかないことはどうつながると思ったのか?
証人F:先祖の霊が成仏してないから、色々うまくいかない、成仏すれば、軌道修正できると思った
笠原弁護人:なぜ先祖と事業等を結びつけて考えたのか?
■裁判長:あなたは元々は霊とか信じていなかった。しかし、杉本に言われて信じたんですよね?それはなぜですか?
証人F:立て続けに身内が死に、会社の業績もいつまでも上がらない、その上、杉本に菩提寺を言い当てられて、すごい能力だと思い、信じた
笠原弁護人:平成19年12月9日付検面調書で、あなたは、神霊鑑定を信じた理由を、サロンに高級感があったこと、M澤の経験談をきいたこと、家族から浮遊霊の話を聞いたこと、であると述べているが?
証人F:それもある
笠原弁護人:1回目の鑑定結果を家族に話したら何て言ってましたか?
証人F:帰宅後すぐ、首切り場で自縛霊がいる話を伝えたところ、家族の者は、数年前にいたバイトの子が、同じようなことを言っていたが、その子から内緒にしてくれと言われていたので、今まで言わなかった、と言われた。
笠原弁護人:弁1(神書)を示す
笠原弁護人:平成16年4月15日の前に、神書と御守様を買うつもりだったか?
証人F:100%買うというつもりではなかった。存在は知っていたが、一応買うつもりということ。そのことは、M澤に伝えた。
笠原弁護人:甲41を示す(平成16年4月14日付M澤杉本の報告書)
笠原弁護人:なぜ神書と御守様を買おうと思ったの?
証人F:M澤の体験談を聞いたから
笠原弁護人:平成16年4月15日に神書を買って帰ってから、読んだか?
証人F:当日か翌日かは分からないが読んだ。その後、数回読んだ。
笠原弁護人:どんな印象をもったか?
証人F:天秤の法則で釣り合うんだ、御霊光によりプラスのエネルギーが充満するのだ、と思った。
笠原弁護人:M澤から、神書を読めばE2のことが分かると言われたよね?
証人F:はい
笠原弁護人:警察や検察に神書の感想を話したことは?
証人F:記憶にない
笠原弁護人:警察や検察に嘘をついたことはあるか?
証人F:故意での嘘はない
笠原弁護人:平成19年12月9日付検面調書の17ページには、「その日のうちに読んだ・・・どんどん引き込まれ、信じれば救われると思った」とあるが?
証人F:(メモできず)
笠原弁護人:1回目の鑑定は時間切れになったとのことだが?
証人F:杉本から△△△株の公開は難しいと言われたが、ネット販売の社名の件やお浄め等の件については、聞けずに終わった
笠原弁護人:甲43(神霊鑑定予約申込表)を示す=2回目の鑑定分の申込表
笠原弁護人:これは平成16年4月15日中に作ったのか?
証人F:15日中ではないと思うが、よく覚えてない
笠原弁護人:自分で作ったのか?
証人F:1人で作ったと思う
笠原弁護人:これは直接送ったのか?それともM澤経由か?
証人F:覚えてない
笠原弁護人:(質問事項の)1項目は、ネット販売の社名についてだよね?
証人F:はい
笠原弁護人:2項目は、お浄めの金額等についてだよね?
証人F:はい
笠原弁護人:お浄めのところに「どうしても」と挿入されてるが、これを書いたのはあなただよね?
証人F:はい
笠原弁護人:2項目に「どういうことを神様にしたら良いか」という質問を書いているが、どういう意味?
証人F:この時点で神書を読んでいるので、どうやったら良くなるか、ということ
笠原弁護人:3項目に、「出て行く覚悟も決断しました」とあるが、これはどういう意味?
証人F:出て行くための方法を聞いたということ
笠原弁護人:4項目に「・・・永遠にするために、すべきことを教えて欲しい」とありますが、誰に教えて欲しいということ?
証人F:杉本です
笠原弁護人:神様じゃないの?
証人F:いえ
笠原弁護人:5項目の文中に「本日」はとありますが、これはいつですか?
証人F:文章からすると、色紙を3枚もらった日と解釈できます。
笠原弁護人:そうすると、これを書いたのは4月15日ということですか?
証人F:文章からはそう推察されます。

(5)2回目の鑑定(平成16年4月19日)
笠原弁護人:平成16年4月19日の2回目の鑑定は、1回目と同じ場所?
証人F:はい
笠原弁護人:お礼として玉串3万円あげたよね?
証人F:はい
笠原弁護人:神に向かってあなた自身があげたのでは?
証人F:記憶にない。鑑定のインパクトが強いので。
笠原弁護人:あなたは力・気・楽の色紙を3枚買っているが、持ち帰ってからどうした?
証人F:言われたとおりの場所に、額に入れて飾った
笠原弁護人:2回目の鑑定の結果、お浄めと特別御祈願をすることにしたのか?
証人F:はい
笠原弁護人:代金は、御額も合わせて500万ということか?
証人F:はい
笠原弁護人:500万円はすぐに準備に入ったのか?500万円の支払に代わる他の方法を杉本に尋ねなかったのか?甲43には「500万円払えなかったら、どうしたら良いか教えて欲しい」というようなことが書いてあるが。
証人F:尋ねなかった
笠原弁護人:お金を準備することを選択したのか?
証人F:はい
笠原弁護人:納得したのか?
証人F:用立てられる金額だったので。
笠原弁護人:テナントの募集条件は?
証人F:賃料月32万、保証金10ヶ月分
笠原弁護人:テナントがすぐ決まれば、どの位の収入になるのか?
証人F:32万円×月数
笠原弁護人:弁4(テナントの募集広告)を示す
笠原弁護人:神様の力によって、テナントがスムーズに決まれば500万円の玉串は割りに合うと思わなかったか?
証人F:キャッシュは入ってくるが、プラスに転じるわけではない。会社が資金ショートしているので、そうは思わない。
笠原弁護人:2回目の鑑定時、特別御祈願があったが、御祈願文は書いた?
証人F:書いてない
笠原弁護人:玉串はあげた?
証人F:あげた
笠原弁護人:誰があげた?
証人F:記憶にない
笠原弁護人:どういう形で特別御祈願が進んだか言ってみて?
証人F:玉串をあげる杉本が祝詞をあげる
笠原弁護人:一礼・三拍手はしなかった?
証人F:覚えてない
笠原弁護人:杉本は何に向かって祝詞を?
証人F:掛け軸だか御額だか
笠原弁護人:祝詞の間、あなたは何をしてたの?
証人F:頭を床にこすり付けてた
笠原弁護人:掛け軸か額に向かって平伏していたんですね?
証人F:はい

(6)お浄め(平成16年6月24日に実施)
笠原弁護人:Y田はどういう人?
証人F:3、4歳下で、やせ型の女性スタッフ
笠原弁護人:お浄め後の感想は?
証人F:杉本から空気が良くなったなどと言われたが、全く実感がなかった
笠原弁護人:空気が良くなったと言ったのは、あなたではないか?
証人F:違います
笠原弁護人:弁4の添付資料9(M澤が書いたメモ)を示す
笠原弁護人:ここには、「証人F氏 空気がきれいになった」と書かれているが?
証人F:言ってません
笠原弁護人:あなたはE2に何人紹介したの?
証人F:30分3千円の普通のヒーリングには5、6人連れて行ったが、1回きり。
笠原弁護人:札幌や大阪でも何かしたのでは?
証人F:奇跡の話を伝道師として話に行った

(この後、事件との関連性が乏しいと思われるプライベイトな内容なので一部割愛)

笠原弁護人:弁4の添付資料41(?)3頁152番を示す
笠原弁護人:これはどんなご祈願?
証人F:100万円が最高額で「改造」という効果があるということ
笠原弁護人:天下を分ける御祈願、は一定の人だけできるものでは?
証人F:月1回の祭典に出てる人のみと思っている。
笠原弁護人:パンフレットを見たことは?
証人F:А4のチラシを見た。金額ごとに効果が書いてあった。
笠原弁護人:スタッフ用と思わなかった?
証人F:いいえ。祭典はスタッフは出ないので、スタッフ用じゃないと思う。
笠原弁護人:弁4の添付資料21の2枚目を示す
笠原弁護人:ここには、スタッフ用だと書いてあるが?
証人F:スタッフ用ではないと思う。
笠原弁護人:弁4の添付資料21の3枚目を示す
笠原弁護人:「会主様へ」とあるが、これは誰?
証人F:一番上の人という認識を持っていた
笠原弁護人:びびっととうきょうの会主ではないか?
証人F:そうです
笠原弁護人:ここに拠点とおして表参道と書いてあり、人名に丸が付いているが?
証人F:私が書いたのでないから、知らない
笠原弁護人:札幌、福岡、福島とあるが、この時に東京のスタッフは参加してないの?
証人F:覚えてない
笠原弁護人:平成16、17年ころ、青山サロンのスタッフで、O平、Y田、G司、H、という女性はいたか?
証人F:いた
笠原弁護人:一般のスタッフとは違うのか?
証人F:はい
笠原弁護人:この人達は、神や杉本の能力を信じてた?
証人F:そう思う。

(プライベイトな内容であるため一部割愛)

大久保検事:お客同士の連絡は自由だったか?
証人F:平成16年当初は、客同士の連絡を禁止することはなかった
証人F:ただ、時期ははっきりは分からないが、表参道サロンができた平成17年12月下旬頃の前後に、客同士の連絡が禁じられるようになった。表参道にはその旨の張り紙がしてあったので分かった。
大久保検事:(杉本が能力を得た経緯について質問)
証人F:私がE2に関わって中盤くらいのころ、杉本がどうやって能力を得たかを教えてくれた。
証人F:杉本は、「私も元々お客で、杉本家の墓守だったが、あるとき腹に激痛が走り、トイレに行ったところ血の塊が出て、その後、能力を授かった」と言っていた。拳大の血の塊だったと言っていた。
大久保検事:「排泄」と混同してないか?
証人F:してないと思う。
大久保検事:杉本が、何か講座を受けたからそういう能力を得たと言ってたことはないか?
証人F:ない。
大久保検事:M澤を今日見かけたか?
証人F:はい
■裁判長:M澤が傍聴席にいるか確認してもらってもいいですか?
笠原弁護人:どういう趣旨か?
大久保検事:弁護人側はM澤を人証請求するといっており、他の証人の尋問は聞かせないのが通常だから、もし聞いているなら証言の信用性に影響するから。
■裁判長:じゃ、証人見てください。
証人F:(傍聴席のM澤を指差して)います
■裁判長:指は指さなくていいです
笠原弁護人:弁6(通知書)を示す
笠原弁護人:表参道サロンがE2から離れたのは知ってるよね?
証人F:はい
笠原弁護人:弁7(奇跡コンテスト申込用紙)を示す
笠原弁護人:トウレキ、って何?
証人F:神世界で使っていた暦だから、よく分からない
笠原弁護人:どんなコンテストだったの? 
証人F:そこに書いてあるとおりだが、結局順位とかは決めなかったと思う
■左陪席裁判官:御額って何?
証人F:神様自体と言われた
■左陪席裁判官:実際に払ったのは500万5千円か?
証人F:はい
■左陪席裁判官:1つの封筒で払ったのか?
証人F:いいえ。5千円は自分の財布から出して、払った。よく覚えていないが、言われるままに3つに分けたような気もする
■裁判長:お浄めは4回目でできたということだったが、1回目・2回目はなぜダメだったの?
証人F:そのときは家族はいなかったが、杉本が1、2分で、今日はダメだ、やめましょう、といって流れた。
■裁判長:1回目と2回目はいつごろか?
証人F:分からない
■裁判長:3回目のどれくらい前かも分からないか?
証人F:はい
■裁判長:3回目は全く行われなかったのか?
証人F:はい

16:00頃閉廷

 裁判が終わり帰途についたが、台風15号は関東地方に再接近しており、裁判所の外は暴風雨が吹き荒れていた。電車が不通になり、”帰宅困難者”の仲間入りを余儀なくされた人も多かった。




地検が訴因変更請求

 横浜地検は、これまで詐欺罪(刑法246条)で起訴されていた杉本(吉田)明枝被告を、詐欺罪よりも刑罰が重い、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)(平成11年法律第136号第2章第3条13)に訴因変更するよう横浜地裁に申請した。
 杉本被告は斉藤亨の指揮の下、組織的に一連の詐欺行為を働いてきたのであるから、単なる詐欺罪で裁かれるべきではなく、地検が訴因変更請求を行ったのは極めて妥当な判断と思われる。この訴因変更請求は2011年10月5日付けて行われ、同じく詐欺罪で公判中の、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3被告についても同様の訴因変更請求がなされた。
 横浜地検の堀嗣亜貴次席検事は「事案の実態に即して罪名を変更した」と説明している。






5、杉本(吉田)明枝 第5回公判
(以下の第5回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)

第5回公判の様子を報じた神奈川新聞
1 日時:平成23年10月25日(火)午前10時〜午後2時15分頃
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容:訴因変更手続、元E2スタッフGの証人尋問

 2011年10月25日(火)に行われた杉本(吉田)明枝の第5回公判は、主として元E2スタッフのGに対する証人尋問が行われた。
 この日の尋問では、杉本、佐野の言葉をメモしたものが顕出され、「お金が全て」、「お金様々」などと、到底宗教団体とは言えない神世界の実態が明らかになった。
 杉本は、辞めたとはいえ、元部下であるG証人を、”鬼の形相”でにらみ続けていた。この鬼の形相を見れば、現在でも神世界に残っている信者も、杉本が宗教家などではないことがよく分かったのではないかと思った。
 弁護人は、反対尋問で質問し忘れたところを、再反対尋問で質問しようとしたが、裁判長に却下されてしまい、間抜けであった。

(1)訴因変更請求について
 弁護人が、訴因変更にかかる証拠開示が、金曜日の夕方に連絡を受け、月曜日だったため、証拠の検討ができず、意見を述べられないと主張。裁判所は、訴因変更の許否の意見くらいはできるのではないかと述べたが、結局、次回の10月27日には意見を述べるように述べて、訴因変更請求に対する決定は留保された。

(2)検察官主尋問、再主尋問要旨(主として証人Gの証言を記録した)
●E2とのかかわり
証人G:平成14年夏頃、美容師の仕事をしており、路上で杉本に声を掛けたところ、逆に手相を見せてと言われて勧誘された。
証人G:当時、腰痛で悩んでおり、病院や整体に通ったが、特別の病名はない状態であった。腰痛がよくなればと思ってヒーリングを受けた。
証人G:杉本のヒーリングを受けたがよくはならなかったので、結果が出ないことを杉本に言ったところ、「本来あなたは倒れるべき人間で、ここに来なければ入院して再起できなかったところだった」と言われた。
証人G:平成14年12月頃、自宅をお取引所として開設。
証人G:平成15年夏頃、杉本に神霊能力がついたと告げられた。
証人G:平成17年秋、E2を離れてみろくに移ったが、平成20年5月にみろくも辞めた。
証人G:みろくを辞めたのは、仕事の労働環境が悪くて大変だったから。
証人G:朝10時から夜10時まで、その後ミーティングもあった。休みは週1回。年末年始はない。神が良くしてくれると思ったが、家族関係も悪化するし、つらいことばかりなので辞めた。
証人G:神世界を辞めるにあたっては、運命が元に戻ると不安であった。不安は辞めてからも続いているし、この裁判の出廷も不安だ。

● 宗教性、神書
証人G:杉本と出会った当初から宗教ではないかと疑問に思ったので、杉本に質問したら、「宗教ではありません。」と言われた。E2が会社になったあとは、「宗教ではありません。会社です」と言われた。私(証人G)も、客にこのように説明した。
証人G:宗教だという説明を受けたことはない。宗教法人にするという話しも聞いたことがない。
証人G:客から宗教ではないかと聞かれても、宗教ではない、会社ですと説明した。
証人G:神書をよく読むようにいわれた。神書は正しいことが書いてあり、独自に解釈してはいけないと言われた。
証人G:神書は教主斉藤亨が書いたと聞いている。
証人G:神書を読んでも宗教ではないと信じていた。
証人G:人を連れてくること、御礼をすること、御玉串をすることなどの神様と取引をすることによって、結果をもらえると説明された。

●E2の組織
証人G:平成14年頃は新宿区落合にあった。当初はスタッフは私(証人G)のみ。その後、Y田、M沢、O平らが加入した。
証人G:スタッフは、営業中心の「外のスタッフ」、接客、取り次ぎ、料理などを中心とする「中のスタッフ」と区別していた。私(証人G)は外のスタッフだった。
証人G:E2では、杉本の右腕のような人はおらず、「チーフ」と呼ばれるスタッフも、何かを決める権限はなかった。決めるのは全て杉本だった。

●勧誘など
証人G:御霊光をヒーリングと呼んでいたのは、御霊光と呼ぶと宗教と誤解されるから。
証人G:直ぐに効果が実感できない方には、少しづつ感じるようになると思うので、続けてくださいと述べていた。
証人G:杉本の神霊鑑定、祈願、供養につなげるように言われていた。
証人G:効果がないなどの客からのクレームがあると、杉本に報告し、杉本の神霊鑑定を受けさせるように指示されていた。
証人G:勧誘は、主に30〜40代の主婦、感じの良いきれいな方をつれてくるように言われていた。理由は、30代40代の主婦は、悩みを抱えていることが多く、取引をする要素があるから。
証人G:男性は使えない。男性は理屈で考えるので、話しても無駄。女性は感性があるので繋がりやすい。
証人G:とにかく、人を集めるように杉本から指示されていた。
証人G:杉本からは、「思考をなくせ、判断してはいけない、言われたとおりに動くように」と指示されていた。

●杉本の神霊能力について
証人G:杉本と出会った当初は、杉本には神霊能力があるとは言っていなかった。
証人G:平成15年始めころ、杉本から「今日から神霊鑑定士になりました」などと、神霊能力があると、ミーティングで聞かされた。
証人G:私(証人G)は、すぐには信じられなかった。また、神霊の言葉として言いつつ、杉本の主観を述べていると思うこともあった。これは、杉本が、スタッフを自分の支配下のもとコントロールしたいからだろうと思った。
証人G:杉本は、高額の御玉串を払い、神霊鑑定講習を受けて、神霊能力を付けたと言っていた。
証人G:杉本の神霊能力について、お客には、江原や細木よりも、もっとすごい、全てが分かる先生がいると説明していた。
証人G:杉本の神霊鑑定の前の、客が何を求めているかをよく聞いておくように言われた。

●神霊鑑定講習について
証人G:みろくのM入から言われて、平成18年春頃から、神霊鑑定講習を5回受けた。講師は佐野孝。
証人G:講習では、人の名前から、年齢、容姿、仕事など、感じたことを伝えるように言われた。答え合わせはされなかった。
検察官が神霊鑑定講習の内容を記載したメモを示す。
メモには、「分かるんだと自信を持つ」、「全部分かると思い込む」、「女優になる」、「神霊能力を一部授かった自分だと思うこと」、「自分の思考はとらなければならない」などの記載があった。
証人G:講習後も、霊が見えることはなかった。

●E2の活動
証人G:杉本は、E2の目標について、「人をたくさん連れてくること、数字をあげること」と会う毎に言っていた。
証人G:杉本は、神霊能力がついて、青山に移った後、売上げにすごく執着するようになった。
証人G:御霊光をたまに受けに来る客については「雑魚だ」と言っていた。
証人G:神霊鑑定は、数字をつくるためのものと杉本は言っていた。鑑定は入り口です。
証人G:杉本は、自分のことを、四天王のひとりだと言っていた。
検察官が、証人Gの平成15年の手帳を示す。
「年間300億以上の大企業にさせる」、「今は1000万円の売上げ(月に)」、「もともとの運命を10万から20万円で変えてもらおうなんて甘い」、「先生を呼ぶ重要さが分かっていない。神様をお呼びすること」、「世の中は全て金で動いている。全てお金が必要である」との記載があった。
証人G:鑑定料を払ったお客が、鑑定を受けないで帰っても、鑑定料は返さなかった。
証人G:杉本から、今年どれだけ教主様のことを実行できるかで運命が決まる。
証人G:杉本は、四天王との関係で、負けたくないと言っていた。吸収されたくないと言っていた。

●佐野の指導について
証人G:杉本の指示で発展拡大のための佐野の指導を受けた。
その際のメモを検察官が示す。
「しっかり目標(数字)をもって、それだけに専念する。」、「考える時間があるうちは暇だ」、「お金様々」、「お客様には余計なことは言わない」、「売上げすべて、とにかく」などとの記載があった。
証人G:「本来いくらだけど、あなたはいくらでいいです」と説明するように指導された。

(3)門西弁護士の反対尋問
 さしたる内容はなく、手抜きの尋問であった。ただし、検事が主尋問で示したメモの中に、「300億円以上の宗教団体が30〜50ある」、「他の宗教とは訳が違う」の記載を示し、「これは、神世界が宗教であることを前提とする表現ではないか」との指摘がなされた。これに対し、証人Gは、「他の宗教と違って、うちは会社です」と説明していた。

(4)裁判官の質問
証人G:私(証人G)は、自分が詐欺をやったとは思っていない。外のスタッフだったので、内のことはよく分からない。
証人G:今、杉本の行為が詐欺かどうかについては、半分半分の思い。

14:15頃閉廷






6、杉本(吉田)明枝 第6回公判
(以下の第6回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)

1 日時:平成23年10月27日(木)午前10時〜午後?時頃
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容:元E2スタッフHの証人尋問

 2011年10月27日(木)に行われた杉本(吉田)明枝の第6回公判は、元E2スタッフのHに対する証人尋問が行われた。
 検察側は証人作成の報告書やメモ、ノートなどの同一性や記載内容の意味の確認のために証人申請したようで、 その点の立証はできていたと思われる。弁護側の反対尋問に対して証人は、「自分も他のスタッフも神様や杉本の能力を信じており嘘は言っていない」と述べるなど、証言を後退させたり、証言が曖昧になったりする場面もあった。
 前回(10/25)の公判で、弁護側は訴因変更請求に対する意見を今回の公判で述べるとしていたが、弁護側は、「現時点ではまだ意見を述べられない」という内容の意見書を提出した。
 尾崎弁護士がその概要を読み上げていたが、その理由の要旨は次のような内容だった。
 @記録全部が開示されたわけではなく閲覧謄写が未了のため、証拠関係の検討ができていない。
 Aこれまで5回の公判は単純詐欺として審理されており、検察側もこれまでに訴因変更には消極的な素振りを見せていた。
 B開示された証拠が、仮に起訴時点で存在していた証拠であれば問題。
 C訴因変更前後の事実は、法定刑も異なり、保釈条件にも影響する。

 弁護側はこうした意見を述べていたが、裁判所としては次回公判(11/8)で、訴因変更の許否について決定するようだ。


●午前の部
●主尋問(大久保検事)(主として証人Hの証言を記録)
証人H:私はかつてE2の従業員であり、その前は客だった。
証人H:平成15年春頃より客、同年8月頃〜スタッフ。
証人H:スタッフ時代は給料を得ており、E2以外からの収入はなかった。
証人H:スタッフの給料は、生活に十分といえる程ではなかった。
証人H:給料は十分ではないが、スタッフとして働くことで運命が変わる、などと言われていた。
証人H:神様の手足になることが、御神業、神様との取引になる。杉本からの指導でそう言われていた。

証人H:働き始めた当初、杉本から「神様に莫大な借金があります。」と言われた。
証人H:金額は正確には覚えていないが、数百万単位だったと思う。
証人H:杉本は神霊能力で神様に聞いたらしい。
証人H:天秤の法則に関して、完全に釣り合っていない、と言われた。
証人H:釣り合わないとよくならない、子どもにも悪くなる、などと杉本から聞いていた。
証人H:ほとんどのスタッフもそうだと思う。

証人H:平成15年8月頃にE2のスタッフだったのは証人G、O田、M澤、K合とか。スタッフは4〜5人。
証人H:当時は青山の13Fにいた。
証人H:E2では、御霊光を受けに来る人のことを「お客様」と呼んでいた。「会員」とは呼んでいない。
証人H:平成17年秋頃、13Fから20Fに移った頃、サロンの外で働くようになり、仕事量は減った。
証人H:中で働いていたときは、毎日サロンで接客していた。
証人H:外のときは週1〜2回しかサロンにいかない。お客様への取り次ぎもしない。それでE2と距離ができた。

証人H:その後、いつの間にか「深沢」のスタッフに変わった。E2がびびっとに合併されたと後で知った。
証人H:「深沢」とはびびっとのサロン。正式な説明もなく変えられた。
証人H:吸収合併されたと思っている。それでますます距離が開いた。
証人H:しかし、すぐには関係切れず、サロンで祭典の手伝いや、祭典への参加はしていた。
証人H:その頃は給与はほとんどなかった。
証人H:神様から離れることが怖かったんだと思う。
証人H:天秤が釣り合っていない、といつも言われていたから。
証人H:天国と地獄の蜘蛛の糸のようなイメージ。地獄に転落する、という恐怖感が常にあった。
証人H:神様と離れると落ちていくと言われていた。スタッフは皆、当時思っていたと思う。
証人H:もともと、天秤の話は神霊鑑定で相談したらそう言われた。
証人H:辞めるときでもまだ釣り合ってないと思っていた。
証人H:平成17年秋頃、スタッフはかなり増えてた。M田代理、M本チーフ、N取チーフ、M川など。
証人H:この当時のスタッフは20人くらいはいたと思う(お手伝いも含めて)。
証人H:中のスタッフはお客様への取り次ぎ、御祈願の準備、神霊鑑定の案内をしていた。
証人H:外のスタッフは営業をしてくる。

証人H:E2で偉いのは杉本のみ。中間的な人はいない。判断、決定するのはすべて杉本。
証人H:「チーフ」には判断権限はない。杉本の言い分を伝えるだけ。
証人H:スタッフは「自分の意思、人間力は必要ない」自分の考えや感情は関係ない、神様にすべて任せろ、と常に言われていた。
証人H:神書は大事なもの。すべて、一言一句正しく伝える。自分の言葉で解釈してはいけない、と言われていた。
証人H:杉本の言葉も正しく伝えるようにいわれていた。
証人H:疑問を持ったり不安をもったりするのは御神業の邪魔と言われた。
証人H:杉本には質問もできない。
証人H:御玉串をあげないと「ただで神様を使うな」と言われてた。
証人H:お客様への対応、立ち居振る舞い等、とても厳しく指導されてた。
証人H:当時、ビジネスマナー等も教えてもらったので、杉本には恨みはない。むしろ感謝している。
証人H:お客様には杉本の指示どおりに伝えていた。

証人H:神書の中の間違いは聞いたことがない。
証人H:神書は教主様が書いたと聞いていた。
証人H:教主様が誰かは知らなかったが、今はインターネット等で見て、齋藤という人だと分かった。
証人H:お客様へ説明した内容は、杉本からチェックされていた。杉本に報告すると、指示を受けていた。
証人H:お客様からクレームを受けたこともあるが、杉本へ必ず報告していた。すぐに報告していた。

証人H:E2全体の活動目標を言われていた。
証人H:御神業の拡大、発展、そのためには人と金を集めなさい、と毎日、かなり聞いていた。
証人H:その他の目標は覚えていない。
証人H:杉本からの個別指導や、ミーティングがあった。
証人H:杉本ではなくより上の人の指示を聞いたこともある。メモに書いた。
⇒甲65のメモ・・・日原先生、天水、等の記載がある。
証人H:杉本にミーティングで言われたことを書いたと思う。
証人H:「8/26 400万借金」未納金がある、と杉本に神霊鑑定で言われ書いた。
証人H:杉本は大きい手帳を見ながら話していたので、上の人の話を伝えていると思った。
⇒甲95、96(ノート)
証人H:書かれているのは杉本の字だと思う。なので杉本のノートだと思う。
⇒甲68添付資料1・・・杉本の字で「場合によっては命さえも保障はない」
証人H:そのような話を聞いたことはある。
⇒「教主様の言うとおりにやってない人は売上伸びていない」などとも書かれている。
証人H:日輪祭は、祭典ということしか分からない。毎月25日、杉本は砧のマンションに行っていた。
証人H:自分が車を運転して送っていたので分かる。自分は中には入らず、車で待機して待っていた。
証人H:毎月1、18日は杉本は山梨に行っていた。祭典があった。何度も車で送っていた。

証人H:お客様から「宗教か」と尋ねられたことはときどきあった。
証人H:そのとき、「うちは宗教ではない」と答えてた。
証人H:「宗教法人ではない。有限会社。神様の奇跡が商品。御玉串をあげれば必ず奇跡をいただける。」とか。
証人H:スタッフは自分で考えて話したらいけないのですべて杉本の指示。
証人H:「神社仏閣のようにタダでもいいわけではない。税金も払っている。」などとも言っていた。
証人H:「実は宗教」とか「宗教法人にいずれなる」などという話は聞いていない。
証人H:今は宗教だと主張していることはネットで見た。
証人H:今さら、なぜ宗教と言っているのかがわからない。
証人H:初めの頃は、「ヒーリング」と言ってた。宗教を連想させないようにするため。これも杉本の指示。
証人H:「取り次ぎ」と「ヒーリング」は同じ。
証人H:「ヒーリング」の効果は目に見えるものではない。受けた分必ずプラスの運気が得られる。それだけ運気がよくなる。結果は必ず出る。結果に関して、「何か変化ありましたか」などと聞いていた。
証人H:「表情が明るくなった」とか。よい結果が出てると話しかけるように指導していた。
証人H:スタッフには、効果があるかどうか判断する能力はなかった。
証人H:気になることがあれば、杉本の神霊鑑定にご案内していた。
証人H:例えば、ちょうど電車が来た、ちょうど信号が青に変わった、といった答えでも、「間が良くなりましたね」と答えていた。
これも杉本の指示。
証人H:「排せつ」という言葉はE2で使われていた。御霊光で体の中の毒素が排せつされる、ということ。
証人H:例えば、熱が出たり、おなかが痛くなったりブツブツが出たりとか。
証人H:慌てて病院に行ったり薬を飲んだりするな、サロンに連れて行くように、と言われていた。
証人H:薬も毒素である、と神書に書かれている。
証人H:よく話を聞く、よく観察して聞くように言われていた。
証人H:聞いたことはすべて杉本に報告していた。悩みや気になったことがあると神霊鑑定に誘導していた。
証人H:御霊光だけでなく、神霊鑑定につなげて御祈願に誘導していた。御祈願を重視していたと思う。
証人H:御霊光は前提、と聞いていたと思う。

証人H:杉本のことは、客には神霊能力のあるすごい人、悩みも分かるしその解決方法も分かるすごい人、と言っていた。これも杉本の指導。
証人H:杉本には神霊能力がある、どうやって神霊能力を獲得したかは知らない。
証人H:杉本の神霊鑑定には、100回以上立ち会っていた。筆記は当初なかった。
証人H:筆記をするようになったのは客とのトラブルがあったからだと思う。
証人H:T木T江とのトラブルがきっかけだと思う。
証人H:T木T江は、平成16年春頃から来ていた客。あまり長くはいなかったと思う。
証人H:平成17年1月〜2月頃、急に来なくなった。詳しくは分からないが、杉本にも報告されていた。
証人H:当初、杉本が対応していたが、途中から弁護士が介入。
証人H:その後訴訟になった。証人名義の陳述書が出ていた。
証人H:その陳述書は捜査段階で見たが、内容はかなり変なものだった。
証人H:神霊鑑定は1時間と決まっていた。筆記に入る人以外のスタッフが知らせる。
証人H:神霊鑑定中、杉本は斜め上を向いて、考えている様子。
証人H:ポツポツとメモを取ったり、空間を目で追うような仕草もしていた。口調も普段とは違う。
証人H:なので、鑑定をしているときは杉本の様子を見れば分かる。
証人H:結果を告げるときはゆっくり、自信満々に断言していた。「たぶん」「思う」といったことは言っていないと思う。「〜ですね。」という断定調。
証人H:鑑定で話す内容は、だんだん変わってきていたと思う。霊的なししょうを言うことが多くなった。
証人H:当初は多くなかったが、平成17年頃になると家系図をもって鑑定に入ることも多くなった。
証人H:神霊能力が上がったということで、鑑定料も上がった。
証人H:平成17年春頃ではないか(同年秋頃には外のスタッフになっていたから。)。
霊的なししょうは、聞いた限りはいくつか、狐の霊、蛇霊、竜、霊界に入れていない、お客様の親族の霊
証人H:それ以外は大体そのあたり。
証人H:解決方法は御祈願以外にはない、と言われていた。
証人H:手術をして、病巣を取り除いても、霊的には無駄だと言っていた。
証人H:手術は人間力。神様しかできないのが奇跡。
証人H:御祈願をすれば瞬時に変わる。良い結果が出る、と言われた。
証人H:御祈願や供養の御玉串の額は、杉本が神霊鑑定で神様に伺って決めていた。スタッフが決めることはない。
証人H:そのときの杉本の言い方は、例えばスタッフに言うときは「そうですねー。100万くらいですかね。」とか。
証人H:客に対しては「100万くらいは必要ですね。」とか。
証人H:その場合、100万でも50万でもできた。50万分の結果は出る、とされていた。
証人H:神霊鑑定の客は、御祈願に誘導されていた。
証人H:霊的なものは人間にはどうすることもできない。祈願、供養するしかない、とも言っていた。
証人H:「ならないかもしれない」、「分からない」、と言った覚えはない。杉本が言っているのも聞いたことはない。
証人H:高額の御玉串になったこともある。霊的なししょうの時は高かった。
証人H:ためらう客には、お金に執着するとダメ。握ってるとダメ、ということも言っていた。
証人H:業績が上がらないとか、努力しないと変わらない、と事前に言ったことはない。
証人H:御祈願、御供養に立ち会ったことはある。杉本が祝詞をあげるのが主な行為。
証人H:杉本が客に対してうまくいったかどうか説明していた。杉本は「おめでとうございます。」と言っていた。
証人H:霊について「霊界に入れました」とか、「とれました」とか、「だいぶ軽くなりました」などと言っていた。
証人H:「だいぶ軽くなりました」という場合はまだ続ける必要がある、ということ。
証人H:自分でも99%努力して、1%神様にお願いする、と言っていた。事前には言わない。
証人H:例えば、相談に来る人には結婚したい女性とかが多いが、化粧をがんばるとか、出会うところに出て行く努力とか、当たり前のこと。

証人H:お客様からのクレームを杉本が受けているのを見たことはある。
証人H:このとき、杉本は、「神様は今回違うことで結果を出した」などと説明したこともあると思う。
証人H:神様の優先順位は、健康、経済、人間関係の順、と言われていた。
証人H:たとえば業績をよくしようと祈願したが、健康の方に御玉串が使われてしまったとか。神様にお任せ、などと言っていた。
証人H:事前にはそのような説明は杉本もスタッフもしていない。
証人H:御礼は先払いということもあった。
証人H:御祈願と同等金額をさせるようになった。これは事前には説明していない。
証人H:本心から、心からしていない場合、御玉串が神様に届かず、預り金になっている、ということもあった。これも事前には説明していない。
証人H:預り金になっているか、天秤が釣り合っているかは、杉本にしか分からない。
証人H:クレームの人には、もし御祈願を受けなければもっとトラブルになっていた、大難を小難にしてくれた、と言っていた。
証人H:このようなことも事前に説明していなかった。もし事前に言っていたら、やめた人もいただろう。
証人H:当時はいろいろ詮索すること自体タブー、御神業の邪魔になる、と言われていた。
証人H:分からない時はスタッフとしては杉本の神霊鑑定につなぐようにしていた。
証人H:引き続き神様とつながるように、御霊光に誘導していた。
証人H:外のスタッフには、連れてくるのは子どものいる主婦や華があるようなきれいな女性で、男は老人はいらない、と言われていた。
証人H:男は頭が固いから、主婦は井戸端会議をして広まるから、という理由。
証人H:主婦は結婚や子どもについて悩みが多いから、とも言われていた。

証人H:T内さんのことは知っている。ヒーリングもした。
証人H:あまり口数は多くない人だったが、聞いたことがあれば、杉本には報告していたはず。
証人H:排せつの効果も説明していたと思う。
証人H:T内さんと杉本と一緒に「鮨勘」に行ったと思う。よくお客様と行っていた。
証人H:そこで昇魂祈願の話をしたか詳しくは覚えていないが、昇魂祈願の話をするときは、魂のレベルが上がると言っていた。
証人H:Y口さんのことは、顔は思い出せないが知っている。S川さんが連れてきた。S川さんは今は先生になっている。
⇒甲58の添付資料、甲86の添付資料・・・報告書を作って、杉本に報告していた。
⇒甲86の資料2・・・Y口の神霊鑑定を筆記したもの(記憶はないが字は証人のもの)
証人H:筆記は一言一句していたのではない。大体正確とは思う。
証人H:被害者Fさんの家でお浄めをしたことはある。そこは処刑場だったからお浄めした。
証人H:家族の人の反対があり、何回か行ってようやくできた。
証人H:具体的には塩や米をまく。自分も塩をまいた。杉本の指示で、指示された場所にまいていた。
証人H:杉本から、「しっかりしていないと霊的なものを背負う」と言われていたので怖かった。
証人H:現場で指を指して、ここにいる、と言っていた。背負うといわれていたので、怖かった。
証人H:実際には何も見えなかった。
証人H:E2では客同士の名刺交換、客とスタッフの接触は禁じられていた。スタッフ同氏の接触も禁じられていた。
証人H:御神業の邪魔になると言われていた。
証人H:御神業を受けて排せつしていたが後に死んだ人の話は聞いたことがない。


●午後の部
●反対尋問等(弁護人笠原ほか)
証人H:検事との証人テストは3回くらい。
証人H:杉本から最後に神霊鑑定受けた時期はあまり覚えていない。
証人H:神霊鑑定は10回くらい受けた。
証人H:被害者Fさんの件で強制捜査があった平成19年12月20日頃より後に神霊鑑定をうけたかどうかは覚えていない。

弁護人:平成21年夏頃、千駄ヶ谷で受けたのではないか?
証人H:それが鑑定だったかは不明。
弁護人:吉田澄夫も一緒だったのでは?
証人H:記憶がない。会った気はするが日時は不明。
弁護人:その時に御玉串を神様におあげするように言われなかったか?
証人H:その可能性はある。

証人H:T内さんの件で逮捕、勾留された。
証人H:逮捕事実(杉本等と共謀して650万円詐取した)は否認した。弁録、勾留質問でも否認。
証人H:現在も、自分は嘘をついていないと考えている。経験や認識に反する事実をT内さんに述べたことはない。
証人H:当時は、杉本が嘘をついているという認識はなく、ありのままを話していたと思っていた。
証人H:T内さんの件では最終的にどういう処分になったかは分からない。釈放された。
証人H:不起訴処分の報道については、新聞を見ていないので知らない。
証人H:Y口さんの件で再逮捕された。
証人H:この逮捕事実(杉本等と共謀して50万円詐取した)も否認したと思う。
証人H:勾留質問でも明確に否認したと思う。
証人H:現在でも自分は嘘はついていないという認識。
証人H:Y口さんの事件当時の認識も、自分の認識と違う事実を言ったという認識はなかった。
証人H:終局処分がどうなったかは分からない。
証人H:起訴状に杉本さんと共謀したと書かれていることは知っている。
証人H:杉本と意思を通じたという認識はなかった。
証人H:杉本と知り合ったきっかけは、同じ仕事仲間だった証人Gから紹介され、杉本の神霊鑑定に入った。
証人H:当時、証人Gとは理容仲間。エステの仕事で、証人Gから商品を仕入れていた。
証人H:場所は証人Gのサロン、都立大の近く。平成15年頃。
証人H:サロンは、証人Gの事務所に一部屋、お取り次ぎをする部屋があった。
証人H:杉本も証人Gのサロンに来て、そこで杉本から神霊鑑定を受けた。
証人H:鑑定を受けることになった理由は、当時、5人目の子どもを妊娠しており、生活に困っていたところ、証人Gに相談したら、ちょうど杉本が来るから相談したら、と言われたから。
証人H:スタッフになるまで、証人Gのサロンでヒーリングを受けると赤ちゃんのためにもなる、と言われていたので、
週1、2回定期的に通っていた。
証人H:御玉串は1回3000円くらいあげていた。
証人H:部屋に掛け軸はあった。御軸と呼んでいた。

弁護人:取り次ぎの時に掛け軸にお参りしていたか?
証人H:していなかった。

証人H:御霊光について、証人Gからは「プラスのパワー、運気が上がる」と言われていた。
証人H:効果としては、何となく胎児が動いていたように感じていた。証人Gからも言われていた。
証人H:御守り様は、子どもが生まれる前、証人Gのサロンで買ったと思う。
証人H:自分も取り次ぎができる、という説明だった。
証人H:その後、自分でも、子どもに取り次ぎをしていた。
証人H:最後の子どもは平成15年6月に生まれた。命名したのは杉本。
証人H:ヒーリングはいつも証人Gがしていた。

弁護人:命名は、杉本に頼んで神様にしてもらったのでは?
証人H:そうです。
証人H:神書も、子どもが生まれる前、証人Gのところで買ったと思う。
証人H:証人Gによると、事前回の法則が書かれているという話だった。
証人H:神書は数え切れないほど読んだ。信じていた。神世界の神様の存在も信じていた。
証人H:神様は、当時は自然界の法則を司っていると思っていた。
証人H:神様との取引、神様の手足となって働くことは、御神業と釣り合う。天秤の法則。
証人H:御神業の拡大、発展のために働いた。
証人H:平成15年8月にE2のスタッフになったきっかけは、子どもが生まれて大変な時期で、証人Gに勧められたから。
弁護人:杉本にスタッフにするようにお願いしたのか?
証人H:覚えていない。
弁護人:検察官の調書では、証人Gの紹介で、杉本がスタッフに誘ってくれた、とあるが、そのような経過でいいか?
証人H:はい。

証人H:平成16〜17年当時、青山サロンでの御霊光の部屋は決まっていた。祭壇があったかは分からないが、御玉串を置く場所はあった。
証人H:御軸、御額ともにあった。御軸には文字が書かれていて、途中で変わったと思う。観音様の御軸もあった。
証人H:それらは「神様」とか「御神体」と呼んでいた。
証人H:その部屋に入ったお客様の中に、「宗教じゃないの」と言って立ち去る人がいたかどうかは記憶していない。
証人H:宗教かどうか、聞かれることはあった。

弁護人:神霊とは?
証人H:人間でなく、人間でないことができる。神様の言葉。
弁護人:神霊能力とは?
証人H:神様の言葉を聞くことができる能力。
弁護人:神霊鑑定とは?
証人H:神霊能力を使って、神様の言葉をお客様に伝えること。
弁護人:平成16〜17年頃、杉本に神霊能力が備わっていると信じていたのか?
証人H:はい。

証人H:その当時、神霊鑑定の部屋は御霊光がされていた部屋と同じ。御霊光は、神霊鑑定の部屋とは別にリビングでもやっていた。
証人H:神霊鑑定の部屋は、祭壇があり、その上にさんぼう、御軸があった。御軸には観音様と文字があった。
証人H:神霊鑑定に出す御玉串は鑑定料という認識。
弁護人:御玉串とはどういうものか、神書に書かれている。
証人H:御玉串は、基本的にスタッフに渡す。
証人H:御玉串をあげる際の作法は、お辞儀。一礼三拍手。
証人H:御祈願は、お客様の望みを神様に伝え、望みどおりに変えていただくもの。

⇒弁8号証の資料3(証人作成の手帳)
証人H:見覚えある。杉本からの指導内容を書き留めたものだと思う。
証人H:御玉串をあげる手順はこれでいいか、杉本にも確認してもらっていた。
証人H:祝詞は、天津祝詞を杉本が奏上する。

弁護人:参拝の栞は見たことあるか?
証人H:見たことはあるが、中まで見たことはない。
⇒弁2号証(参拝の栞)
証人H:杉本が持っていたのを見たことがある。どういうものなのか聞いたことはない。
弁護人:奇跡とは何か?
証人H:身の周りでよいこと、特にあり得ないようなことが起こったとき、御霊光の効果としてとらえる。

証人H:祭典には毎月ではないが、自分も参加していた。
証人H:祭典では、まず祝詞をあげて、次に神書拝読、その後会主のことばがある。

弁護人:その場所には大きな掛け軸とかがあるね。それも御神体ですか?
証人H:そうです。
弁護人:他の祭典には出席していたか?
証人H:E2、びびっとの祭典には出ていた。毎月あった。
弁護人:宗教活動をしているという意識はなかったか?
証人H:当時はなかった。
弁護人:もう離婚したようだが、○○さんという人と一緒に生活していたね?
証人H:はい。
弁護人:○○さんにE2で御霊光を受けさせたことはないか?
証人H:E2に連れて行ったことはない。御霊光の取り次ぎをしたことはあるが、嫌がられた。

証人H:プラチナカードは子どものために買った。平成16〜17年頃。御額と同じ絵が描かれている。
証人H:御霊光が出ているカード。自分も持っている。

弁護人:最後に取り次ぎをしたのはいつか?
証人H:覚えていない。
弁護人:証人が客に断定的な言い方をしたことはあるか?
証人H:当時はあまりしてなかったと思う。
弁護人:杉本はどうか?
証人H:悩みについて、神霊能力で「これが原因ですね」と言っていた。
弁護人:捜査段階では、杉本も断定的な言い方はしていない、と述べていたね。
証人H:はい。
弁護人:それが事実だったのではないですか?
証人H:はい。
弁護人:鮨勘で、T内さんに昇魂祈願で魂のレベルをあげなければいけない、といった話はしたのか?
証人H:そういう話はしていていもおかしくない。覚えていない。「低級霊」という言葉は使っていないと思う。断定的に言ったかは覚えていない。
弁護人:平成16年6月頃、Y口さんに対応したのか?
証人H:「カオルさん」という名前で対応していた。S川さん、O平さん、HRさんほかのスタッフがいたと思う。
⇒甲86の資料1、2(メモ)
証人H:正確に記載されていると思う。資料2は、O平さんが作成したものだと思う。中身は分からないが、日報なのでおそらく書かれているようなやりとりがあったのだと思う。
弁護人:「首に縄をつけて連れてきました」とあるが、S川が熱心にY口を誘っていたというのが実態ではないか?
証人H:S川さんは当時はお客様だが、そう思う。
⇒弁3号証の資料4(H16.6.22付け報告書)
証人H:私の字だと思う。「霊魂祈願は50万でやらせていただきたい」とあるが、これはY口さんが自分で申し出たもの。その旨杉本にも報告した。
⇒甲38(平成16年6月4日付け神霊鑑定予約申込書、Y口さんに関するもの)
証人H:ファイルがあって情報共有されていた。見た覚えはあまりない。
弁護人:手書き部分に、努力99%、霊的な部分1%とあるが、御祈願も霊的な部分に対応するということでY口さんに接していたね?
証人H:はい。当時はそうでした。
弁護人:検察官の主尋問でY口さんへの御祈願への誘導について杉本の指示だと証言したが、その具体的な内容は?
証人H:覚えていない。
弁護人:平成23年4月9日付け調書に記載があるが、検察官には答えていたのでは?
証人H:今は覚えていない。
弁護人:要するに何が何でも御祈願、ということではなくて、Y口さんの判断を尊重するように、というのが杉本の指示だったのでは?
証人H:そうかもしれません。
弁護人:それが実態だった?
証人H:はい。
⇒弁8資料2(身魂祈願、御祈願など杉本から教わった内容がメモされたもの)
弁護人:この指導に従って、お客様に案内していた?
証人H:はい。
弁護人:御神業で、何が何でも金集めしろとは杉本から言われていないでしょう?
証人H:そうは言われていない。「人とお金を集めなさい」とは言われていた。
弁護人:「少しでもお金もったいないと思ったらやらないこと」との記載もある。そういう人には勧めないように言われていたのでは?
証人H:そうです。

証人H:証人Gさんは、青山サロンができてからは外のスタッフとして人を集めていた。
証人H:証人Gが平成16〜17年当時、杉本の神霊能力に疑いをもっていたかどうかは分からない。
証人H:証人Gが杉本の神霊鑑定を筆記していたことはあまりないと思う。
証人H:平成16〜18年頃、O平やM澤が神様の存在を疑っているというそぶりはなかった。
証人H:活動をやめた理由は、収入が少なく、生活できなかったから。当時、保険の仕事もしていた。
証人H:E2がびびっとに吸収されて人間関係の問題もあった。

●再主尋問(大久保検事)
大久保検事:あなたは、お客さんに杉本のことをどう説明していたか?
証人H:神霊能力があるすごい人、解決方法も教えてくれる、とか。
大久保検事:「もしかしたら」とか「かもしれない」という言い方はしていたか?
証人H:そうは言っていないと思う。
大久保検事:杉本が「〜ですね」と伝えていたことは間違いないか?
証人H:はい。
大久保検事:杉本が「〜だと思う」という言い方をしていたことはあるか?
証人H:そういう言い方は聞いていないと思う。
大久保検事:Y口さんの件について、杉本から御祈願に誘導するようにと言われた明確な記憶はあるのか?
証人H:ない。
大久保検事:取調時も、「おそらくこう思う」という話を述べたのではないのか?
証人H:はい。
⇒弁8号証の資料4
大久保検事:5万以上とあるが、誰が参加するのか?
証人H:スタッフもお客様も参加する。
大久保検事:もったいないという気持ちがあってはいけないというのは、なければ祈願しなくていい、という意味か?
証人H:きっちりしなさい、という意味。
証人H:鑑定は御祈願につなげないと意味がない。100万単位で変わる。
証人H:当時は疑うことはなかった。
証人H:祈願文についても、杉本の指示で書き直させられることがあった。
証人H:杉本と一緒にご飯を食べたことがある。そのとき、杉本はお酒も飲んでいた。
大久保検事:杉本の好きなつまみは?
証人H:・・・
■裁判官:反対尋問に出ていないので止めるように。(下記、注参照)
大久保検事:宗教でない、と言っていたのは嘘にあたるのではないか?
証人H:今の対応はおかしいと思う。

●再反対尋問(弁護人笠原)
笠原弁護人:「つながる」という言葉はE2ではどういう意味か?
証人H:神様とつながること。
笠原弁護人:御祈願には「誘導」と言っていたのでは?
証人H:はい。
笠原弁護人:神書にも「誘導」という言葉が出てくるね?
証人H:はい。
証人H:杉本が書き換えさせたのは、願いごとの内容ではなく形式。
証人H:お浄めで被害者Fさんの自宅に行ったが、入ると寒気がした。当時は霊的なものが原因だと思っていた。
証人H:頭痛があったかは覚えていない。具合が悪くなった。
証人H:M澤さんは吐いたりもしていた。
証人H:お浄めが終わった後、すっきりした気分になった。M澤、被害者Fさんもそう。
証人H:御霊光や遠隔を受けていた。地縛霊に取り憑かれないように、まじめにやっていた。

●再々主尋問(大久保検事)
証人H:被害者Fさん宅のお浄めの時以外に、そのような気分になったことはない。
証人H:背負うよ、ということは杉本から何度も言われていた。

●補充尋問(裁判長)
証人H:逮捕された際の弁護人は、知り合いから笠原弁護士を紹介された。笠原弁護士に尾崎弁護士を紹介された。


(注)裁判官が検事の尋問を止めさせた理由
 再主尋問では反対尋問に現れた事項およびこれに関連する事項について行うとされており(刑事訴訟規則199条の7第1項)、自己の主張を支持する新たな事項については、裁判長の許可がなければ尋問できない(同条第3項、199条の5第1項)とされています。そのため、上記のようなやりとりがなされたものです。


次回(第7回)公判予定
公判日時:2011年11月8日(火)10:00開廷
場所:横浜地方裁判所(第5刑事部)
抽選券配布締め切り:午前9時30分(横浜地裁ロビー)
事件番号:平成23年(わ)第458号等(詐欺)
被告人:杉本(吉田)明枝






7、杉本(吉田)明枝 第7回公判

訴因変更が認められたことを報じた
神奈川新聞(2011.11.8)
1 日時:平成23年11月8日(火)午前10時〜午前10時25分頃
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容:訴因変更に関する事項

午前10時頃開廷

訴因変更手続き
検察官:訴因変更請求
弁護人:時機に遅れたものとして却下を求める。
■裁判所:訴因変更請求を許可する。

検察官:訴因変更書を朗読。(組織犯罪処罰法3条1項9号、刑法60条)

変更後の訴因についての罪状認否
杉本被告:人をあやめて詐欺をした行為はございません。
市河弁護人:開示された証拠をまだ検討していないので(被告の)罪状認否は留保してほしい。
杉本被告:詐欺の部分については訴因変更前と同様とし、組織性の部分は意見を留保します。
市河弁護人:意見を留保する。

証拠調手続
検察官:追加の冒頭陳述、追加の証拠調請求(甲97以下)
弁護人:まだ検討不十分なので、証拠意見は次回までに述べる。
検察官:前回の尋問で使用した甲94から甲96(ノート等)を証拠調請求。
弁護人:書証について同意、物について異議なし。
検察官:甲94を持参していなかったため、取調べは次回に。
弁護人:弁8を証拠調請求。
検察官:同意。
■裁判所:採用。
弁護人:弁8の要旨を告知。

次回期日 おって指定。
10時25分頃閉廷







8、杉本(吉田)明枝 第8回公判

傍聴抽選券(上)と傍聴券(下)
 2011年12月6日(火)午前10時から、杉本明枝に対する第8回公判が横浜地裁で行われた。この日の午後1時30分からは、同じ横浜地裁で神世界教祖・斉藤亨の初公判も行われるため、午前・午後の公判を続けて傍聴しようとする人も多く、午前9時40分の傍聴抽選券配布締切時間までに列に並んだ人は83名だった。一般傍聴席の数は33席だったので、当選確率はほぼ40%となった。
 横浜地裁での抽選は、最近は従来の棒を引き抜く方式からコンピュータによる抽選方式に変わっており、時間までに並んだ者には、右記傍聴整理券が配布される。この整理券が抽選券にもなっており、整理券に記載された番号をコンピュータによる抽選で選別し、当選者には傍聴券が手渡される仕組みになっていた。
 ロビーに詰めかけた人々の顔ぶれをよく見ると、各系列の神世界関係者が多数見受けられた。
 神世界側は、民事訴訟の原告に対して「和解したい」と一方的に文書を送りつけたり、11/25に行われた吉田澄雄の初公判では、あっさり罪を認めるなどしており、一連の神世界関係裁判の流れを見ていて、被告等が有罪になることは確実と判断し、同じ有罪になるのならば刑を少しでも軽くしてもらおうと、”反省の態度”を裁判所に見せる作戦に切り替えたようだ。こうした神世界側の目論見が明白であるだけに、この日の公判で杉本被告が控訴内容を認める公算はかなり高いと思われた。そうなれば、午後から行われる斉藤亨の初公判でも、斉藤被告が控訴内容を認める可能性が極めて高くなる。
 公判終了後、すぐに裁判内容の速報を掲示板にアップできるように、私の携帯には昨晩のうちから、「本日(2011年12月6日)行われた杉本(吉田)明枝の第8回公判で、被告杉本明枝はこれまでとは態度を一転させ、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の起訴内容を認める発言をした。これにより、本日午後に行われる神世界教祖・斉藤亨の初公判において、斉藤被告が罪状を認める可能性も出てきた。」という「案文」が既に用意してあった。


1 日時:平成23年12月6日(火)午前10時〜午前10時28分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容1:訴因変更に伴う被告人の認否
  内容2:追加証拠調べ等

午前10時頃開廷

■裁判長:では被告人、前へ出てください。
■裁判長:前回、訴因変更された「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反」という起訴事実について、あなたは、「詐欺をした覚えはない」、「それ以外の点については意見を留保する」ということだったが、改めて今日、変更された訴因について意見を述べることはありますか?
杉本被告:はい。
■裁判長:では述べてください。
杉本被告:事実は認めます。しかし、詐欺をする目的のために宗教活動を行っていた訳ではありません。
■裁判長:起訴状に「控訴事実」として掲げられている事実については行ったということですね?
杉本被告:はい。
■裁判長:神世界の組織として行ったということも認めるということですね?
杉本被告:はい。
■裁判長:それでは弁護人のご意見を伺います。
尾崎弁護人:被告人と同じです。
■裁判長:控訴事実は認めるのですね?
尾崎弁護人:はい、争いません。
■裁判長:では、そういうことで。

⇒この後、訴因変更に伴う書類上の記載事項変更についてのやりとりが検事、裁判長、弁護人間で行われ、双方が変更内容を確認した。

検事による追加証拠請求
検事:では、甲94号証から甲165号証までについて追加請求します。
検事:甲94・95・96号証は、杉本被告人が使っていたノートに関する証拠請求
検事:証拠物について被告人に示したいと思います。
■裁判長:はい。それでは被告人、前へ出てください。
⇒杉本被告は被告人席から立ち上がり、男女2名の刑務官に伴われて証言台の前まで移動した。杉本被告は眼鏡をしていた。
検事:それではまず95号証、黒色の表紙のノートブックを示します。これは見えますか?
杉本被告:はい。
検事:これはあなたが使っていたノートで、あなたが記載したものですか?
杉本被告:はい。
検事:96号証。茶色の表紙のノートブックを示します。
検事:こちらも見えますか、中も見てください。これはあなが使っていたノートですか?
杉本被告:はい。
■裁判長:はい、それでは席に戻ってください。

⇒杉本被告は被告人席に戻る。杉本被告の服装はこの日もこれまでと同じピンクのジャンパーに白のパンツ姿だ。罪状を認めたためか、表情は淡々としており、以前見せていた挑戦的な態度は見られなかった。その後も、検事による証拠の説明が淡々と続けられて行った。

●「録取」とは?
 今回、下記の検事が述べた証拠に関する説明の中で「録取(ろくしゅ)」という言葉が繰り返し出てきますが、録取とは次のような意味です。

【録取】
 被告人・被疑者・参考人などの供述を聞き取って作成した書面。一定の条件のもとに証拠能力が認められる。供述調書。

●97〜100号証は(有)神世界の登記簿謄本に関するもの・・・・
●101〜103号証は(有)E2の商業登記登記簿謄本・・・・
●104〜108号証は(有)えんとらんすアカサカの商業登記登記簿謄本・・・・
●109号証は、神世界の前進である千手観音教会当時、平成3年頃からの会員であったW田F子さんの検察官に対する供述調書でありまして、供述内容としては、千手観音教会当時には職員会議と呼ばれる幹部会議があって自分も出席していたこと、職員会議の出席者のうちわけ、斉藤亨の職員会議に於ける幹部に対する指示等の発言内容、(有)千手観音教会事業部へと法人化された頃の斉藤亨の指示内容、平成14年に(有)神世界へと商号変更した後も定期的に幹部会議が行われ、売り上げによって幹部の席順が決まるなど、売り上げによって幹部の扱いを変えていたことや、会議に於いて斉藤亨らから売り上げの増加や売り上げ目標必達の指示がなされていたこと、平成15年頃からは同様の幹部会議が毎月1回下旬頃に日輪祭という名称で行われるようになったことなどが供述されています。
●110号証は、(有)神世界のために使用されていたグランドテラス501号室で押収された、ファイル在中書類の写しを添付した報告書で、日輪祭等の祭典、複数回分の出席者が記載された進行表をコピーしたものです。
●111号証は、被告人と千手観音教会事業部や神世界、また(有)びびっととうきょうとの間に於ける神世界傘下としての契約書の写しを添付した報告書で、杉本被告人から神世界等への上納金の割合等が決められている内容が記載されています。
●112号証。証拠物である書類の写しを添付した報告書で、びびっととうきょうとの業務提携後に於けるE2の売り上げの上納先やその使途等に関する記載があります。
●113号証。E2から神世界に対する上納金の金額を算出した報告書であります。
●114号証、115号証。これは同様にえんとらんすアカサカと神世界との契約状況、上納の内訳等に関する報告書です。
いずれも傘下団体から神世界に上納がなされていたことの証拠です。
●116号証。神世界で使用するグランドテラスで押収したパソコンのデータを印字して添付した報告書で、平成13年から平成19年までの傘下団体等の毎月の売上金額と神世界への上納金の額等を一覧表にまとめたデータが発見され、それを印字して資料にして添付したもの。
●117号証及び118号証は証拠物の写しを添付した報告書で、グランドテラスで押収した平成16年1月から平成18年12月までに各月に傘下団体が提出していた売上報告書です。
●119号証。証拠物の写しを添付した報告書で、グランドテラスで押収した平成18年1月から平成19年にかけての営業日報など。
●120号証から126号証は冒頭陳述でも述べた、ある幹部の間に生まれた男児の病状などに関する意見と、治療経緯等に関する山梨県中央児童相談所長の回答や大学病院長の回答。身障者手帳申請に関する障害者相談所長回答、出産時の状況に関する回答と症状です(この男児には重い後遺症が残った)。
●127号証から131号証。同じく冒頭陳述で述べた男児について、高熱を発した後に引きつけを起こすなどして呼吸停止に至るなどして、救急搬送したものの急性脳炎等により死亡した事故等に関する病院の回答、診療歴。亡くなった男児の父親の叔母の方の検察官に対する供述調書。この亡くなった男児の父親の叔母の供述調書には、淺原嘉子からの電話で男児が病院に運ばれて危篤である旨聞いたこと、同女(嘉子)から男児の母親が千手観音教会のことを病院で話さないように病院まで行って口止めをすることを指示されたこと、その指示は佐野孝の指示である旨言われたこと、病院に駆けつけたところ甥である男児の父親らから千手観音教会の教えを守って男児に薬を与えたり医師の治療を受けさせたりしていなかった旨聞いたこと、佐野は毒素の排泄であっていいことだから薬を飲まない方がいい、病院も行かない方がいい、男児が危篤になった後、嘉子を通じて熱が出るのがいいと思っているからこうなるんだ病院に連れて行かなかったお前の責任だ等と叱責されたことなどが述べられている。
●132号証〜135号証。別の男児について、高熱を出し、高熱を発した後引きつけを起こし呼吸停止に至り、救急搬送をしたものの死亡した事案に関する死亡届け、死亡報告書を添付した証拠物。
●136号証〜143号証。関西方面の幹部会員であった女性が、平成10年8月に癌に罹患していることが判明し、御霊光の取り次ぎを受けるなどしたものの、翌年2月に死亡した事案に関する当該女性の通院履歴、死亡届け、戸籍謄本。
●144号証及び145号証。平成8年秋頃から千手観音教会に通い始めたある会員が、糖尿病の治療を受けていたにも係わらず、薬は毒であって使い続ければ命の危険もあるから使ってはならないという神書の記載を信じ、インシュリンの使用をしなくなるなどした結果、神世界教会の中で御霊光の取り次ぎを受けていたときに意識不明となってそのまま死亡した事案に関する当該会員の娘さんの検察官に対する供述調書。
 概要としては、当時、斉藤亨や日原易子等が「神手かざし」と呼ばれる行為で御霊光というものを客に取り次ぐという業務を行っていた。これらの千手観音教会の幹部等は御霊光を取り次いでもらうことで健康になるよと言っていたこと。斉藤亨が薬を使用したその毒素が大量に体内に蓄積されると生命に危険がある等と言っていたため、母がインシュリン注射を打たなくなり、病院にも通わなくなったこと。母が会う度に痩せていき、歩くのさえおっくうそうになっていったこと、母は千手観音教会に通っていた3年間で500万円くらいを千手観音教会に使っていたこと、母は亡くなる少し前頃にも「遠隔神手かざし」を受けていたが、様態がますます悪化していったこと、亡くなる直前、母のたっての頼みで教会に連れて行き、日原易子等の神手かざしを受けさせたが、その途中で、「救急車!救急車!」という声が聞こえて騒がしくなり、母の様子を見たら意識不明の状態になっていたこと、斉藤亨の父が慌ただしく出入り、斉藤亨自身もその場にいたが、呆然とした表情でただ歩き回っていたこと、そのような騒ぎの中、救急車が到着するまでに職員が千手観音教会の看板に白いテープを貼って文字を隠していたこと、斉藤亨の父が、「インシュリンを止めろとか、病院に行くなとは言っていないですからね」、「これを受け取っておいてください」等と言いながら金が入っていると思われる封筒を渡そうとしたが父は受け取りを断ったことが明記されている。
●146号証。平成5年頃から千手観音教会の会員となり、平成14年頃からはえんとらんすアカサカの職員として働いていたものの、平成15年に職員を辞めた方の検察官に対する供述調書。先ほど述べた幹部間に生まれた男児の職員やその他職員の男児等が亡くなった経緯について一部直接目の前で容体の急変を見ていた経緯があるので、その内容等が添付されている。
●147〜150号証は、平成18年頃に脱会するまで約15年にわたって職員等として活動していた人の検察官に対する供述調書である。幹部や職員の子供が亡くなった経緯について当初は何か大変なことが起こったらしいという以上の情報を得ることができず、後々になってからある程度の経緯や状況を知ることができたことなどが録取されている。御霊光を受けさせても自分の長女の先天的な疾患が治ることはなかったこと、自分の胃痛の際に斉藤亨の父から御霊光の取り次ぎを受け、その際に、「原因は胃ではなくて十二指腸だな。大丈夫」等と言われたが、痛みが治まらなかったため医師の診察を受けたところ胃潰瘍と診断され、薬を飲んだらすぐに治ったこと等が録取されている。
●151号証は平成12年当時の斉藤享の手帳の写しを添付した報告書であり、2月11日の欄には神世界教会で御霊光を受けていた時に亡くなった会員についての記載がある。
●152号証は証拠物等を基に神霊能力開発講座の実施状況を精査した報告書であり、神霊鑑定の位置づけを記載した斉藤享ノートの写し、神霊鑑定に関する???亨発言の簡易訳、杉本被告人が受講料や御礼を支払った際の領収書の写し、神霊能力の使用は全て自分の責任であってえんとらんすアカサカには何ら責任ない旨の杉本被告人の署名入りの誓約書の写し等が添付されている。
●153及び154号証は、元会員の方の検察官に対する供述調書等であり、平成14年頃から15年頃にかけて神霊能力開発講座を受講した際の状況について、講師が淺原史利であったこと、講座の内容、淺原史利から、「神霊は答え合わせをしてはなりません。鑑定する人によって答えはいくつもあるのです」等と言われたこと、同じく淺原から、「これで皆さん神霊鑑定ができるようになりました」等と言われたが、本当に神霊能力を獲得したかどうかのテスト等の確認は全くしなかったこと、御礼として250万円の支払いを要求されたこと、実際には神霊能力を得ることはできなかったので、神霊鑑定を行うことはなかった事などが録取されている。
●155号証。同じく元会員で神霊鑑定講座を受けていないのに「能力を授かっている」と言われた人の検察官に対する供述調書で、佐野孝から「あなたはすでに神霊能力を授かっています」等と言われたけれども、何ら神霊能力と言われる特別な能力を獲得したことはなかったことが録取されている。
●156号証は平成10年頃から千手観音教会に通うようになった方の供述調書で、神霊能力開発講座を受講した際の状況について、講座の内容、講座後に神霊能力を授かっていると言われ、御礼として180万円の支払いを要求されたこと、神霊能力を獲得したことなどなかったこと、平成14年から15年にかけての冬、9カ月であった次男が高熱を発し、何度も遠隔で御霊光の取り次ぎを受けたのに熱は下がらず、高熱が出てから3日目に電話をかけて相談したところ、淺原史利から、「熱が下がらないのなら御祈願したらどうか」等と言われたこと、結局病院に連れていったところ重篤な肺炎であり、放っておいたら命が危険な状態だった旨告げられたこと、そのまま入院したら回復に向かい無事に退院することができたこと等が録取されている。
●157号証。同じく元会員の方の検察官に対する供述調書で、神霊開発講座の内容、受講後に神霊能力が授かった旨を告げられ、御礼として400万円を請求されたこと。神霊能力が授かっていないのではないかと不安があったこと、神霊能力については自己責任である旨の誓約書を書かされたこと、一緒に講座を受講した姉、妹、従姉妹と同じテーマについて神霊鑑定をしてみたところ答えがバラバラだったこと、そのことを淺原史利に相談したら、「人によって見方が違うから神霊の答えはずれることもあり得る」と言われたこと、自分が知る限りでは講座を受講した後、神霊能力を獲得したと言っていた人がいないこと、能力を得たとは思えないまま神霊鑑定を行っていたこと等が録取されている。
●158〜160号証は、平成13年11月頃からえんとらんすアカサカに通うようになった方の検察官に対する供述調書で、佐野孝と淺原嘉子が講師となっての神霊開発講座の内容、事前に淺原嘉子からどうやって講座をやったらいいか等と相談されたこと、淺原の講座を受講したが神霊能力を獲得することはなかったこと等が録取されている。
●161号証。平成10年夏頃からえんとらんすアカサカのサロンに通うようになった方の検察官に対する供述調書で、平成14年秋か冬頃には淺原嘉子が神霊能力を授けていただいたとして神霊鑑定を行うようになったこと、その頃、自分が淺原嘉子に対して拉致被害者のその後について神霊能力で分からないか尋ねたところ、淺原嘉子は困った顔をして少し悩んだ後、「試すようなことをしてはいけない」等と言って結局答えなかった。その頃、淺原嘉子が、「佐野先生から電話があって神霊の練習をさせられました。佐野先生は電話で私に『私は何をしているでしょうか』等と聞いてくるので、『分かりません』と答えると、『お前には聞いていない。神様からの答えを聞いているんだ。分からない等と言っている場合ではない』と怒られてしまいました。もう本当にいやになってしまいます」と話していた。同じ頃、カウンセリングを終えた淺原嘉子は、「カウンセリングで言ったことが当たっているか不安である。霊など見えない」と言っていたこと、淺原嘉子に言われて神霊能力開発講座を受けたが、答え合わせを行うことも正解に導くなど具体的な説明がなかったため神霊能力を得たとは思えなかった、講座受講後に神霊能力を獲得したことを前提に60万円を払うように要求されたこと等が録取されている。
●162号証。幹部の母の検察官に対する供述調書で、「自分は千手観音教会の神様なるものを信じたことはなく、商品を購入したことはない。従って千手観音教会の神様なるものから奇跡を起こしてもらったことなどなく感謝したことなどないから、奇跡の体験や感謝の気持ちを書いた体験談を寄稿したことなどない。捜査官・検察官から平成8年3月18日発行の会報を見せられたが、そこに掲載された体験談を寄稿した人の住所は当時から自分が住んでいるところであり、電話番号も当時から住んでいる自宅の電話番号である。名前は下の名前の漢字が違うが同じ読み方をすることはできるし、他に親戚でそのような名前の者はいないので自分のことだと思う。体験談の内容も私や家族しか知らない事情が書かれているが、自分がこのような投稿などしたことなどない。投稿内容には額を持ち帰って参拝している等と書いてあるが、額を買ったこと等なく、額を飾って拝んだこともない。幹部をしていた息子が額のような物を持ち帰って手渡してきたことはあったが、2階のタンス近くにこっそり隠して最終的には息子に引き取らせた。体験談の中では自分の義母が夢の中で観音様を見たり、その後耳が良くなったことなどが書いてあるが、そのようなこともなかった。それ以外にも夫が体調を崩した時間や病状が違うなど事実と違う記載が数多くある。なぜこのようなことが私の投稿として掲載されているのか不思議で仕方がない」旨録取されている。
●163及び164号証は神世界名義及び斉藤亨名義での証券取引の状況を内容とする報告書で、利益を得ている部分がある反面、保有株式の中には上場廃止になっているものもある他、評価損が出て、時価評価が取得価格を大幅に下回っている状況等について報告がなされている。

検事:以上であります。

■裁判長:従前示された検察官の証拠について弁護人の意見は?
尾崎弁護人:すべて同意します。
■裁判長:あの、そうおっしゃっても、すでに証人を調べている部分があり、そのうち必要ない調書部分もありますよね?(と裁判長は困った様子)
尾崎弁護人:はい。それも同意致します。(裁判長に言われたことの意味が分かっていない様子)
■裁判長:はぁ?同意されてもーー?(裁判長は呆れた様子)
■裁判長:すでに証人を調べていますのでーーー(しばらくの間、裁判長は思案を続ける)
■裁判長:それでは、意見を変更して同意されるということだけでなく、???は別々??でー(口ごもっているため聞き取れず)
尾崎弁護人:はい。
■裁判長:それから弁護人が従前請求されていた証人がありますよね?
■裁判長:3名の方を証人申請されていますが?
尾崎弁護人:はい。それにつきましてはM澤F男を情状証人として採用していただきたく・・
■裁判長:情状証人と言っても、どのような情状で?
尾崎弁護人:はい、この団体の性格及び被告人の活動状況、宗教活動など・・
■裁判長:趣旨は変更するということですね?
尾崎弁護人:はい、残りの二人については撤回します。
■裁判長:証言などの時間は?
尾崎弁護人:はい、1時間以内でー
■裁判長:じゃ、60分で。
■裁判長:検察官、M澤証人については?
検事:はい、然るべく。時間は半分程度で。
■裁判長:それではM澤証人を採用します。
■裁判長:次回の被告人質問に要する時間は?
尾崎弁護人:はい、1時間程度いただきたいと思います。
■裁判長:検察官は?
検事:はい、同程度いただきたいと思います。
■裁判長:では、本日はここまでとします。
■裁判長:では被告人立ってください。
■裁判長:今日はこれで終わりますが、次回は平成24年1月6日(金)午前10時から。そのときにM澤証人とあなたへの質問を行います。

10:28閉廷









9、杉本(吉田)明枝 第9回公判

 2012年1月6日(金)午前10時より、横浜地裁第405号法定に於いて、本年初の神世界関係の裁判が行われた。以下にその抜粋を掲載した。

【被告人質問】
(弁護人から)
弁護人:「宗教ではない」と事件当時話したことはあるのか
杉本被告:ある。既存の宗教は拝んでお願いするところ。ここは既存の宗教を超えた宗教。神様と取引するところ。
弁護人:そのようにスタッフや客に説明したのか
杉本被告:丁寧に分かるまでやるべきだった。していなかった。
弁護人:御霊光、神霊鑑定、御祈願は営利活動なのか
杉本被告:元々はそうではないが、信者を広げろということでお金が前に行って順序が逆になってしまった。
・・・
弁護人:今びびっとの従業員だが
杉本被告:やめるつもり。しばらく自分を見つめ直したい。神様はすばらしいので個人としての信仰は続けるが、専業主婦としてやっていく。
弁護人:神世界の人とは接触しないのか
杉本被告:はい

(検察官から)
検察官:宗教と言われればサロンに行かなかったという人もいる
杉本被告:詐欺と言われても仕方ない。神様から奇跡を頂いて結果を頂くことが大事。
隠すつもりはなかった。
検察官:あなた自身、悩みを特定したり解決したるする能力はない
杉本被告:はい
検察官:神霊にはそのような能力はある
杉本被告:はい
検察官:あなたは神霊からメッセージを受け取る能力はあるんですか
杉本被告:はい
検察官:被害者の方には神霊のメッセージを伝えたのか
杉本被告:はい
検察官:今回あなたは何が悪かったと思うか
杉本被告:結果を頂くためにすべきこと、どのように歩んでゆくべきか、その点を私やスタッフがフォローすることが欠落していた。神様に対してお玉串を上げる所、私が全面に出て、私が奇跡を出すのだと誤解された。私に問題があり、神様が奇跡を出さなかった。
検察官:神霊のメッセージは解決法も教授してくれるのか
杉本被告:鑑定で出た内容に対して、神書で説明・・・・。経過を見て、神様に結果を頂けるように誘導していかなければならなかった。
・・・
検察官:斉藤亨さんを今でも信仰しているのか
杉本被告:元々人を信仰しているわけではない
検察官:斉藤亨に特別な能力があるとは思っているのか
杉本被告:御霊光の媒介者として存在している
検察官:佐野孝に特別な能力があると思っているのか
杉本被告:神霊能力はあると思う
検察官:浅原は
杉本被告:あると思う
検察官:途中で猪突猛進の姿勢になっていったとのことだが
杉本被告:私たちの特徴として、拡大といったら前のめりになってしまって、数字!売り上げ!と前のめりになって、どこかで狂ったんじゃないかなと思う
検察官:弁護人からの質問で「奇跡、人、金の順序を間違ってしまった」と答えたのは、お金を獲得することが第一に来ていたと言うことなのか
杉本被告:はい
検察官:順序を間違えていたのは誰か
杉本被告:
検察官:斉藤亨は
杉本被告:分からない
・・・
検察官:何が悪かったと思うか
杉本被告:御神業の本筋を外れて、売り上げ先行の前のめりになった形が一番問題だったと思う。その人の立場に立って掘り下げたりする配慮が欠けていて、被害者の方にも神様にも申し訳ないと思います。



【情状証人の証言】
 この日の公判には、杉本被告の情状証人も出廷して証言を行ったが、その証言内容は????なものであった。
 杉本被告本人が組織的詐欺を全面的に認めているにも係わらず、情状証人として出廷した関係者は、「私は今日、杉本先生が詐欺なんかやってないということを明らかにするために来ました!」と述べるなど、全くもって被告が置かれている状況を理解していない様子であった。傍聴していた被害者の間からは、「なんでこんな者を情状証人として出したのだろう?」とか、「こんな頭がおかしいのしか、もう残っていないのか?」などの囁きが聞こえた。











10、杉本(吉田)明枝 第10回公判

 2012年2月14日(金)午前10時より、横浜地裁第405号法定に於いて、杉本明枝被告の第10回公判が行われた。この日の裁判の傍聴記録はまだ入手していないので、とりあえず、マスコミ各社が報道した内容を転載した。


●神世界事件で懲役5年求刑 元サロン経営者に
(2012/2/14 11:48 日本経済新聞)

 山梨県甲斐市の有限会社神世界グループによる霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われた元ヒーリングサロン経営者、吉田(旧姓杉本)明枝被告(48)の公判が14日、横浜地裁(朝山芳史裁判長)であり、検察側は「悩みに付け込んで多額の金をだまし取り悪質」として懲役5年を求刑した。

 弁護側は最終弁論で執行猶予付き判決を求め、吉田被告は「ご迷惑を掛け申し訳ない。神世界と離れて歩んでいきたい」と涙ながらに話して結審した。判決は4月16日。

 検察側は論告で「被告が2001〜07年ごろに得た利益は計約2億円と莫大。表面上は詐欺を認めているが真摯な反省は見られない」とした。

 起訴状によると、「教祖」と呼ばれるグループトップの斉藤亨被告(54)=同罪で公判中=らと共謀。近視に悩む女性に「子ギツネの霊が右脳に取りついている」と嘘を言うなどし、04〜05年にサロンの客だった男女3人から祈願料名目などで計約1190万円をだまし取ったとしている。

 吉田被告は当初、詐欺罪で起訴され、昨年7月の初公判で無罪を主張。昨年12月、検察側がより法定刑の重い組織犯罪処罰法違反罪に訴因変更した後の罪状認否で一転して起訴内容を認めた。〔共同〕

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E6E2E3918DE3E6E2E0E0E2E3E09191E2E2E2E2

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●系列会社元役員に懲役5年求刑=「神世界」霊感商法−横浜地裁
(時事通信 2012/02/14-12:06)

 有限会社「神世界」(山梨県甲斐市)グループの霊感商法事件で、顧客から祈願料名目で現金をだまし取ったとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われたグループ系列会社元役員吉田(旧姓杉本)明枝被告(48)の論告求刑公判が14日、横浜地裁(朝山芳史裁判長)であり、検察側は懲役5年を求刑した。判決は4月16日。
 吉田被告は当初詐欺罪で起訴され、昨年7月の初公判では起訴内容を否認。しかし同12月に組織犯罪処罰法違反罪に訴因変更された際に、一転して起訴内容を認めた。
 検察側は論告で、同グループについて「悩みを確実に解決できるかのように顧客に信じ込ませるため、組織として各責任者が重要な役割を分担し、多額の違法な利益を得ていた」と指摘。同被告については「グループ内で重要な地位にあり、会社の拡大、自らの地位向上のため従業員を手足として使った。実行犯として重い刑責を負うべきだ」とした。
 弁護側は最終弁論で、「深く反省し、被害者との示談が成立するなど賠償責任を果たしている」などと述べ、執行猶予付き判決を求めた。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012021400046

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●「神世界」霊感商法事件:サロン元経営者に懲役5年を求刑、地裁公判/横浜
(神奈川新聞 2012年2月14日)

 有限会社「神世界」グループ(山梨県甲斐市)による霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われたグループ傘下のサロン元経営者吉田明枝被告(48)の論告公判が14日、横浜地裁で開かれ、検察側は懲役5年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。判決言い渡しは4月16日。

 検察側は「神霊能力があるかのように装い、顧客をだまして現金をだまし取る巧妙な手口で詐欺を繰り返した」とグループの組織性をあらためて主張。その上で「被告はサロンの拡大、自らの地位向上のために積極的に顧客をだましており、刑事責任は重い」とした。

 一方、弁護側は「宗教活動すべてが詐欺だったわけではない。被害者とは、被害額を超える金額で示談が成立しており、深く反省もしている」とした。被告は最終意見陳述で「ご迷惑をお掛けしてすみません。神世界とは離れて歩んでいきます」と述べた。

 起訴状によると、被告はグループ統括者らと共謀し、2004年5月ごろから05年12月ごろまでの間、東京都港区のサロンなどで、経営会社の業績不振に悩む男性ら3人から「祈願料」などの名目で現金計1190万円を支払わせた、とされる。

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1202140040/

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●神世界事件 元社長に懲役5年求刑
(2012年2月15日 読売新聞)

 有限会社「神世界」グループによる霊感商法詐欺事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)に問われた系列会社「イースクェア」元社長、吉田明枝被告(48)の公判が14日、横浜地裁(朝山芳史裁判長)であり、検察側は論告で「巧妙な手口で組織的に詐欺を繰り返した」と懲役5年を求刑し、結審した。判決は4月16日。

 検察側は論告で「指示通りの金を払って御祈願などを行えば確実に悩みを解決できると信用させ、高額な代金を支払わせることを繰り返していた」と主張。「グループ内での地位向上のため従業員を手足として使い、被害者の経済的損失はもちろん肉体的・精神的苦痛も著しい」と指摘した。

 弁護側は「(被告に)感謝している客もおり、すべてが詐欺ではなかった。被害者らへの賠償責任も果たしている」として執行猶予付き判決を求めた。吉田被告は「神世界をやめて歩んでいきます」と述べた。

 起訴状によると、吉田被告は病気に悩む女性ら3人に対し、「子ギツネが右脳に取り付いている。御祈願が必要」などと言って、組織的に計1190万円をだまし取ったとされる。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20120215-OYT8T00053.htm

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●神世界霊感商法:元サロン経営者、懲役5年求刑 /神奈川
(毎日新聞 2012年2月15日 神奈川版)

 有限会社「神(しん)世界」グループ(山梨県甲斐市)による霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われた元サロン経営者の吉田(旧姓・杉本)明枝被告(48)に対し、検察側は14日、横浜地裁(朝山芳史裁判長)の公判で懲役5年を求刑した。一方、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は4月16日に言い渡される。

 検察側は論告で「グループの中でもそれなりに重要な地位にあった被告は、実行犯として重い刑事責任を負うべきだ」と指摘。これに対し、弁護側は「民事訴訟も和解し、賠償責任を果たしている」と情状酌量を求めた。吉田被告は最終意見陳述で「ご迷惑をおかけしました。神世界を離れて歩んでいきます」と涙を見せた。
 起訴状によると、吉田被告は04〜05年、「あなたの会社は首切り場だった所にある。お清めが必要」などとうそを言い、祈願代名目などで顧客3人から計1190万円をだまし取ったとしている。【山田麻未】

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20120215ddlk14040274000c.html








11、杉本(吉田)明枝 第11回公判

 杉本明枝被告の追加審議(11:40〜12:00)
 2012年3月27日(火)に行われた、斉藤亨被告ら4被告に対する裁判の後、すでに結審している杉本明枝被告の追加審議があり、証拠調べと杉本被告の陳述等が行われた。
 被害者が傍聴席に入ると、杉本被告は、じーっと被害者をにらみつけ、”ふてぶてしいオーラ”を発していた。
 追加審議は20分ほどで終了したが、その内容は下記の通りだ。


■裁判長:では、弁論を再開します。弁護人からどうぞ。

■証拠調べ請求
市河弁護人:
弁11号証〜弁17号証:民事原告との和解及び裁判外の和解に関する文書
弁18号証:これは解散宣言をインターネットで公開したもので、「神世界解散宣言」と題したもので、本件被告人である吉田(杉本)明枝を含めて、神世界が解散する旨を公示したものである。
【市河弁護人は、裁判でこれを言いたかったので、急遽、あのブログを作り、ひっそり公開した訳だ。】
弁19号証〜弁32号証(神世界及びえんとらんすアカサカ、えんとらんすスリートゥー1、えんとらんすわーるどヒルズ、みろく、E2、びびっととうきょう各社の解散登記関係書類)
弁33号証:杉本被告が(有)びびっととうきょうに対して退職を申し出た書面。
弁34号証:被告人・斉藤亨の被告人供述調書で、被告人杉本は組織の中の一員であり末端に過ぎなかったことを証明するもの
弁35号証:被告人・佐野孝の被告人供述調書で、佐野に比較すれば杉本は末端に過ぎなかったことを証明するもの
弁36号証:被告人・淺原史利の被告人供述調書で、神霊能力開発講座に杉本が参加し、それをきっかけとして杉本が神霊鑑定を行うようになったことを証明するもので、杉本の神霊鑑定は被告の積極的な意思で行ったのではなく、神世界の指導によって行われたものであることを証明するものである
弁37号証:被告人・淺原嘉子の被告人供述調書で、会社は違うが、被告人・杉本と同じように嘉子被告も組織の中では、あまり重要な地位を占めてはいなかったことを証明するものである
弁38号証:裁判外で和解した人との和解調書。以上です。

■裁判長:検察官、ご意見は?
(検察官からは特に意見なし)
市河弁護人:今回の証拠提出に関連して補充の弁論があります
■裁判長:ではどうぞ
⇒市河弁護人が、「被告は反省している」、「被害弁済をしている」、「すでに組織を解散し、今後活動は行わない」など”取り留めのない言い訳”が、くどくどと述べられ、被告に執行猶予付き判決を求めた。
■裁判長:被告からは、前回すでに最終陳述を聞いているが、今回新たに述べたいことはあるか?
杉本被告:皆様にご迷惑をおかけしまして、金銭的な弁済は済んでおりますが、○*△×%#*・・・、人々にお詫びをして行かなければいけないと思っています。
■裁判長:判決は前回伝えた通り、4月16日の午後1時30分から行います。


(傍聴者が見た杉本被告の印象)

 杉本被告が、傍聴席に向かって睨みをきかせる姿は、まだ自分が女王様だと勘違いしているようにしか見えず、その手に鞭を持たせたらとてもよく似合いそうだった。あの顔で睨まれていたE2の客はさぞや恐ろしかったことだろう。“何見てんのよっ!”と言わんばかりのその顔で、『反省してます』と言ったところで何の効果もなく、捨てられないプライドのために自滅の道まっしぐらでしかない。
 どんな言葉で取り繕おうとも、そのふてぶてしさ極まりない姿からは、会社経営者のけの字も思い当たらないし、救いの宗教活動をしていたとは到底思える訳もない。
 心と言葉と行動がまったく一致していないと言うべきか、自分の心にものすごく素直と言うべきか、見ている方が恥ずかしくなるような醜態だった。


(傍聴者が見た杉本裁判の印象)

 市河さ〜ん。斉藤、佐野、史利、嘉子が、揃って「杉本は組織の一員であり、末端に過ぎなかった」と供述したことを今回証拠として請求しましたが、そんなことで情状酌量を求めようなんて、どーなのよ(呆)。
 その理論でいくと、杉本が退職願を出した先である、びびっとの経営者にこそ責任が及ばなきゃだめってことにならないかしら?大丈夫??
 そりゃあ、確かに佐野に比べれば杉本の地位は低かったでしょうけど、杉本は自分で「私は四天王の一人だ」って言っていたそうですし、毎月の陽神祭でも、エラッそ〜に後から人を押しのけて最前列に並んでいましたよ。あの姿から「末端に過ぎなかった」と今更言われましてもねえ。
 それから、神霊能力開発講座は神世界の指導によって行われたものだから、それによって神霊鑑定を行うようになった杉本には責任はないと主張するならば、それじゃあ一体誰が責任取るのよ?「神世界の指導」って、人格なき法人にぼんやりと罪をなすりつけて終わり?
 あれー?そういえば法人の代表取締役は、誰でしたっけ?陽龍様は、あんなに「私が教主様をお守りする」って言っていたのに、未だ何もしないのねえ。まさか、斉藤亨は教祖様だからもう守る対象ではない、これからは孫である「現教主様をお守りするんです」ってことー?

 びびっとの弁護士さ〜ん。和田から巨額の報酬受け取ってるんだから、市河さんにばっかり仕事させたらお気の毒ですよ。








12、杉本(吉田)明枝 第12回公判(判決)


TV TOKYOニュースより
 第12回公判の詳細な内容が把握できるまでの間、マスコミが報じた記事を下記に掲載します。


●神世界元幹部の女に判決
(2012年4月16日 NHK横浜放送局)

 山梨県の有限会社、「神世界」グループをめぐる霊感商法事件で、客から祈とう料などの名目で現金を騙し取った罪に問われたグループの元幹部の女に対し、横浜地方裁判所は、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。

 山梨県甲斐市にある神世界グループの元幹部で、東京・港区のサロンの元経営者、吉田明枝被告(48)は、平成16年からの2年間に、サロンを訪れた客3人から現金あわせて1190万円をだまし取ったとして、組織犯罪処罰法の詐欺の罪に問われています。吉田被告は「地縛霊が取りついて運気が落ちている」などといって祈とう料などの名目で現金を受け取ったとされ、裁判では「神様の声を伝えただけで、だますつもりはなかった」などと主張し、検察が懲役5年を求刑していました。16日の判決で横浜地方裁判所の朝山芳史裁判長は「健康問題や仕事の悩みにつけ込んで、多額の現金をだまし取った巧妙かつ悪質な犯行で、被害は重大だ」と指摘しました。一方で「被害者との間で和解が成立している上、グループも解散しており、再び犯行に及ぶ可能性は低い」として、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

http://www.nhk.or.jp/yokohama-news/20120416185853_02.html

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●神世界事件:元サロン経営者に有罪判決 横浜地裁
(毎日新聞 2012年04月16日 20時23分)

 有限会社「神(しん)世界」(山梨県甲斐市)グループの霊感商法事件で、横浜地裁は16日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)に問われた元サロン経営者、吉田(旧姓・杉本)明枝被告(48)に懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)の判決を言い渡した。朝山芳史裁判長は「健康や事業の悩みに付け込んで現金を詐取した巧妙、悪質な犯行。組織性も高い」と指摘した。

 判決によると、吉田被告はグループトップの斉藤亨被告(54)=公判中=らと共謀して04〜05年、「あなたの会社は首切り場だった所にあり、お清めが必要」などとうそを言い、祈願代名目などで客3人から計1190万円をだまし取った。

 吉田被告はグループのサロン運営会社「E2(イー・スクエア)」の元社長で、神霊能力を持つ「神霊鑑定師」を自称。客から悩み事を聞き、「原因は霊的なもの」と断言して祈願を勧めていた。

 朝山裁判長は「主導的かつ積極的に犯行を実行し、高額の利得を得た」と指摘する一方、民事訴訟で被害者と和解していることなどを考慮し執行猶予を付けた。【山下俊輔】

http://mainichi.jp/select/news/20120417k0000m040077000c.html

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●「神世界」系列の元社長に懲役3年・猶予5年
(2012年4月16日19時40分 読売新聞)

 有限会社「神世界」(山梨県甲斐市)グループによる霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)に問われた系列会社「イースクェア」(東京都港区)の元社長吉田明枝被告(48)(旧姓・杉本、同千代田区)の判決が16日、横浜地裁であった。

 朝山芳史裁判長は「主導的かつ積極的に犯行を実行したが、和解を成立させるなど酌むべき事情もある」と述べ、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。

 判決は「犯行は巧妙かつ悪質で組織性も高い。被害結果は重大」と指摘する一方、同グループの会社が全て解散したことなどから「再び同種の犯行に及ぶ可能性は低い」とした。

 判決によると、吉田被告は2004年5月〜05年12月頃、同グループで「教祖」と呼ばれていた斉藤亨被告(54)らと共謀し、病気に悩む女性ら3人に対し、「御祈願をすれば悩み事が解決する」などとうそを言い、組織的に計1190万円をだまし取った。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120416-OYT1T00949.htm

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●元サロン経営の女に有罪 神世界事件「巧妙で悪質」
(産経ニュース 2012.4.16 16:36)

 山梨県甲斐市の有限会社神世界グループによる霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われた元ヒーリングサロン経営、吉田(旧姓杉本)明枝被告(48)に、横浜地裁は16日、「被害者の悩みに付け込んで多額の現金を詐取した巧妙で悪質な犯行だ」として懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。

 朝山芳史裁判長は判決理由で「被害者は貯金を取り崩したり、借金したりして工面した金をだまし取られた上、悩みは解決せず、多大な苦痛を受けた」と指摘。「被告の責任は重いが、手口を考案したトップの指示に従っただけで謝罪している」と述べた。

 判決によると、「教祖」と呼ばれたグループトップの斉藤亨被告(54)=同罪で公判中=らと共謀。平成16〜17年にサロンの客だった男女3人から祈願料名目などで計約1190万円をだまし取った。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120416/trl12041616380003-n1.htm

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●系列会社元役員に有罪=「神世界」霊感商法−横浜地裁
(時事ドットコム 2012/04/16-15:42)

 有限会社「神世界」(山梨県甲斐市)グループの霊感商法事件で、顧客から祈願料名目で現金をだまし取ったとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われた系列会社元役員吉田(旧姓杉本)明枝被告(48)の判決公判が16日、横浜地裁であり、朝山芳史裁判長は懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。
 朝山裁判長は「被害者らの悩み事につけ込み、巧妙で悪質。犯行を主導し高額の利得を得た」と批判する一方、大部分の被害者に和解金が支払われたことなどを執行猶予の理由とした

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012041600534

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●速報!神世界の霊感商法事件 -杉本明枝に有罪判決!!
(紀藤弁護士のブログより)

本日、神世界の霊感商法事件について、組織的詐欺に問われた杉本明枝に対し、先ほど、横浜地裁で、1時30分に判決が出され、懲役3年、執行猶予5年(求刑5年)の判決が出されました。
執行猶予は5年が最長なので、実刑までのぎりぎりの判決であったことがわかります。

被害者への示談状況が評価されたのだと思いますが、他方、被害者に示談さえすれば、執行猶予判決が出されるということになると、全員の被害者が、賠償請求をするわけではありませんので、儲け得ということにもなり、非常に問題があります。

教祖斉藤亨への判決は、5月1日、午後1時30分に予定されています。
当日は、神世界被害対策弁護団において、正式な記者会見を行う予定としています。
また被害者の方で、まだ弁護団へ申告されていない方は、とにかく早めに、神世界被害対策弁護団まで、一報をお願いします。
神世界グループには、解散の動きがあり、急いでいただく方がいいと思います。

http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2012/04/--008b.html



神世界の組織的詐欺事件判決に関する声明

平成24年4月16日


東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
TEL 03-3515-6681
FAX 03-3515-6682
神世界被害対策弁護団
団 長 弁護士 紀 藤 正 樹
事務局長 弁護士 荻 上 守 生
外28名  


 当弁護団は、斉藤亨を頂点とする神世界グループによる組織的詐欺事件の被害者らの被害回復等を目的として結成された弁護団です。
 本日午後1時半から、横浜地方裁判所第405号法廷において、神世界グループの有限会社E2(イースクエア)の代表者である吉田(旧姓杉本)明枝に対する組織的詐欺被告事件の判決言い渡しがあり、同被告人に対し執行猶予付判決(懲役3年、執行猶予5年)が言い渡されました。
 しかし、上記判決の量刑は不当に軽く、この点は到底容認できません。当弁護団は、横浜地方検察庁に対しては、速やかに控訴するよう求めるとともに、控訴審では、実刑判決が言い渡されるべきであることについて意見を表明します。以下、その理由を述べます。

  1. 本件は、神世界グループの幹部である被告人らが、「癒し」、あるいは、「ヒーリング」という耳当たりのいい宣伝文句により一般市民をヒーリングサロンに勧誘し、真実は宗教団体である神世界の資金獲得を目的としているにもかかわらず、その目的及び宗教団体であることを殊更に秘し、被害者の抱える悩みや問題点の原因が、体に溜まっている毒素や先祖の因縁であって、御霊光・御祈願をしなければ病気等の被害者の悩みが解決しないなどと虚偽の事実を断定的に述べて、被害者らの不安感・恐怖感を煽り、御祈願や御礼など様々な名目で多額の金銭を騙し取ったという事案です。その被害者は多数に上り、被害金額は、現在判明しているだけでも合計180億円という巨額のものとなっています。
     被告人吉田明枝は、この神世界グループによる組織的詐欺において、同グループ内の有限会社E2の代表者であり、同グループの幹部として重要な役割を担っただけでなく、本件の被害者に対して直接、「神霊鑑定」を行うなどと称して、被害者の病気などの悩みにつけ込み、霊的なものが原因であるなどと虚偽の事実を述べて、不安感、恐怖心を煽り、その旨誤信させて高額な金員を支払わせるという詐欺の実行行為を行った者でもあり、その責任は極めて重大です。

  2. これに対し、横浜地裁は、有限会社E2を含む世界グループが解散を宣言し、会社を清算中であり再犯可能性が低いこと、一部の被害者との間で示談が成立していること、刑事事件の被害者以外の被害者にも被害弁償をしていること、等を被告人に有利な事情として挙げ、懲役5年の検察官の求刑に対し、執行猶予付判決を言い渡しました。
     しかしながら、被告人は当初、公訴事実を否認していたのであり、本件犯行を認めて反省の弁を述べるようになったのも、教祖である斉藤亨が逮捕され、組織的詐欺を認めざるを得なくなったからに過ぎません。むしろ、公判での、被害者や証人を睨み付けるなどの態度や、「騙すつもりは無かったが被害者に誤解を与えてしまった」などという供述内容からは、真に反省している様子は全く窺われません。
     また、神世界グループは平成24年3月22日に解散を宣言して、会社としては清算手続を取ってはいるものの、被告人の公判に動員されて傍聴する信者の態度や被告人の供述内容、同グループ内の各会社が解散をする前の平成24年1月末頃に相次いで商号変更をしていた事実等からすると、同グループは今後も同様の違法活動を継続しようと志向していたことが窺われ、再犯のおそれは極めて大きいと言わざるを得ません。そもそも、組織的詐欺行為を業務内容としてきた会社を解散するのは当然のことであって、これを被告人に有利な事情として斟酌されるべきではありません。
     さらに、神世界グループによる組織的詐欺の被害実態が前記のとおり少なくとも180億円を超えるものであることからすれば、同グループが行った合計約5億円の被害弁償や、今後弁済を約した約1億6600万円は、被害全体の4%にも満たないものであり、実際には多数の被害について被害弁償がなされておらず、組織的詐欺による違法収益はいまだ被告人らの懐に留まっているものと評価するべきです。
     加えて、神世界グループによる組織的詐欺活動は、単に経済的被害をもたらしただけでなく、適切な医療を受ける機会を奪い、幼児2名、成人2名を死亡させ、えんとらんすグループのトップである佐野孝の実子で斉藤亨の養子に重度の後遺障害を残すなど、人の生命、身体への重大な侵害をも伴い、人生そのものを狂わせてしまうものでした。その手口も、藁にもすがりたいような悩みを抱えた被害者に対して宗教性を秘匿して言葉巧みに近づき、その悩みにつけ込み利用していたもので極めて悪質です。これらの事情からすれば、表面的な反省の態度や経済的な被害のごくわずかを被害弁償したという程度でその刑事責任が軽減されるべきではないことは明らかです。
     このような極めて悪質な組織的詐欺事件において、組織的詐欺行為によって得た巨額の資金によって、ごく一部の被害者に対してなされた弁済を過度に評価して、重大な役割を果たした幹部信者である被告人吉田明枝に対し、執行猶予付判決を与えることは、深刻な被害実態への配慮が不十分である点で極めて不当であるだけでなく、統一協会(世界基督教統一神霊協会)をはじめとする同種の霊感商法を行っている団体の違法行為の抑止的効果を薄れさせ、あるいはかえって助長することにつながりかねず、今後の日本社会に対する悪影響をもたらすものである点においても、後世に禍根を残しかねない極めて不当な判決であると言わざるを得ません。
     神世界グループによる組織的詐欺の悪質さ、被害実態及び被告人吉田明枝の果たした役割、責任の重さからすれば、求刑の懲役5年を下回る判決が下されることは到底許されず、実刑判決が下されなければならないと思料します。


以上




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