(2011年10月25日横浜地裁第405号法廷)
5、杉本(吉田)明枝 第5回公判
(以下の第5回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた方のレポートを基に構成しました)
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第5回公判の様子を報じた神奈川新聞 |
1 日時:平成23年10月25日(火)午前10時〜午後2時15分頃
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 内容:訴因変更手続、元E2スタッフGの証人尋問
2011年10月25日(火)に行われた杉本(吉田)明枝の第5回公判は、主として元E2スタッフのGに対する証人尋問が行われた。
この日の尋問では、杉本、佐野の言葉をメモしたものが顕出され、「お金が全て」、「お金様々」などと、到底宗教団体とは言えない神世界の実態が明らかになった。
杉本は、辞めたとはいえ、元部下であるG証人を、”鬼の形相”でにらみ続けていた。この鬼の形相を見れば、現在でも神世界に残っている信者も、杉本が宗教家などではないことがよく分かったのではないかと思った。
弁護人は、反対尋問で質問し忘れたところを、再反対尋問で質問しようとしたが、裁判長に却下されてしまい、間抜けであった。
(1)訴因変更請求について
弁護人が、訴因変更にかかる証拠開示が、金曜日の夕方に連絡を受け、月曜日だったため、証拠の検討ができず、意見を述べられないと主張。裁判所は、訴因変更の許否の意見くらいはできるのではないかと述べたが、結局、次回の10月27日には意見を述べるように述べて、訴因変更請求に対する決定は留保された。
(2)検察官主尋問、再主尋問要旨(主として証人Gの証言を記録した)
●E2とのかかわり
証人G:平成14年夏頃、美容師の仕事をしており、路上で杉本に声を掛けたところ、逆に手相を見せてと言われて勧誘された。
証人G:当時、腰痛で悩んでおり、病院や整体に通ったが、特別の病名はない状態であった。腰痛がよくなればと思ってヒーリングを受けた。
証人G:杉本のヒーリングを受けたがよくはならなかったので、結果が出ないことを杉本に言ったところ、「本来あなたは倒れるべき人間で、ここに来なければ入院して再起できなかったところだった」と言われた。
証人G:平成14年12月頃、自宅をお取引所として開設。
証人G:平成15年夏頃、杉本に神霊能力がついたと告げられた。
証人G:平成17年秋、E2を離れてみろくに移ったが、平成20年5月にみろくも辞めた。
証人G:みろくを辞めたのは、仕事の労働環境が悪くて大変だったから。
証人G:朝10時から夜10時まで、その後ミーティングもあった。休みは週1回。年末年始はない。神が良くしてくれると思ったが、家族関係も悪化するし、つらいことばかりなので辞めた。
証人G:神世界を辞めるにあたっては、運命が元に戻ると不安であった。不安は辞めてからも続いているし、この裁判の出廷も不安だ。
● 宗教性、神書
証人G:杉本と出会った当初から宗教ではないかと疑問に思ったので、杉本に質問したら、「宗教ではありません。」と言われた。E2が会社になったあとは、「宗教ではありません。会社です」と言われた。私(証人G)も、客にこのように説明した。
証人G:宗教だという説明を受けたことはない。宗教法人にするという話しも聞いたことがない。
証人G:客から宗教ではないかと聞かれても、宗教ではない、会社ですと説明した。
証人G:神書をよく読むようにいわれた。神書は正しいことが書いてあり、独自に解釈してはいけないと言われた。
証人G:神書は教主斉藤亨が書いたと聞いている。
証人G:神書を読んでも宗教ではないと信じていた。
証人G:人を連れてくること、御礼をすること、御玉串をすることなどの神様と取引をすることによって、結果をもらえると説明された。
●E2の組織
証人G:平成14年頃は新宿区落合にあった。当初はスタッフは私(証人G)のみ。その後、Y田、M沢、O平らが加入した。
証人G:スタッフは、営業中心の「外のスタッフ」、接客、取り次ぎ、料理などを中心とする「中のスタッフ」と区別していた。私(証人G)は外のスタッフだった。
証人G:E2では、杉本の右腕のような人はおらず、「チーフ」と呼ばれるスタッフも、何かを決める権限はなかった。決めるのは全て杉本だった。
●勧誘など
証人G:御霊光をヒーリングと呼んでいたのは、御霊光と呼ぶと宗教と誤解されるから。
証人G:直ぐに効果が実感できない方には、少しづつ感じるようになると思うので、続けてくださいと述べていた。
証人G:杉本の神霊鑑定、祈願、供養につなげるように言われていた。
証人G:効果がないなどの客からのクレームがあると、杉本に報告し、杉本の神霊鑑定を受けさせるように指示されていた。
証人G:勧誘は、主に30〜40代の主婦、感じの良いきれいな方をつれてくるように言われていた。理由は、30代40代の主婦は、悩みを抱えていることが多く、取引をする要素があるから。
証人G:男性は使えない。男性は理屈で考えるので、話しても無駄。女性は感性があるので繋がりやすい。
証人G:とにかく、人を集めるように杉本から指示されていた。
証人G:杉本からは、「思考をなくせ、判断してはいけない、言われたとおりに動くように」と指示されていた。
●杉本の神霊能力について
証人G:杉本と出会った当初は、杉本には神霊能力があるとは言っていなかった。
証人G:平成15年始めころ、杉本から「今日から神霊鑑定士になりました」などと、神霊能力があると、ミーティングで聞かされた。
証人G:私(証人G)は、すぐには信じられなかった。また、神霊の言葉として言いつつ、杉本の主観を述べていると思うこともあった。これは、杉本が、スタッフを自分の支配下のもとコントロールしたいからだろうと思った。
証人G:杉本は、高額の御玉串を払い、神霊鑑定講習を受けて、神霊能力を付けたと言っていた。
証人G:杉本の神霊能力について、お客には、江原や細木よりも、もっとすごい、全てが分かる先生がいると説明していた。
証人G:杉本の神霊鑑定の前の、客が何を求めているかをよく聞いておくように言われた。
●神霊鑑定講習について
証人G:みろくのM入から言われて、平成18年春頃から、神霊鑑定講習を5回受けた。講師は佐野孝。
証人G:講習では、人の名前から、年齢、容姿、仕事など、感じたことを伝えるように言われた。答え合わせはされなかった。
→検察官が神霊鑑定講習の内容を記載したメモを示す。
→メモには、「分かるんだと自信を持つ」、「全部分かると思い込む」、「女優になる」、「神霊能力を一部授かった自分だと思うこと」、「自分の思考はとらなければならない」などの記載があった。
証人G:講習後も、霊が見えることはなかった。
●E2の活動
証人G:杉本は、E2の目標について、「人をたくさん連れてくること、数字をあげること」と会う毎に言っていた。
証人G:杉本は、神霊能力がついて、青山に移った後、売上げにすごく執着するようになった。
証人G:御霊光をたまに受けに来る客については「雑魚だ」と言っていた。
証人G:神霊鑑定は、数字をつくるためのものと杉本は言っていた。鑑定は入り口です。
証人G:杉本は、自分のことを、四天王のひとりだと言っていた。
→検察官が、証人Gの平成15年の手帳を示す。
→「年間300億以上の大企業にさせる」、「今は1000万円の売上げ(月に)」、「もともとの運命を10万から20万円で変えてもらおうなんて甘い」、「先生を呼ぶ重要さが分かっていない。神様をお呼びすること」、「世の中は全て金で動いている。全てお金が必要である」との記載があった。
証人G:鑑定料を払ったお客が、鑑定を受けないで帰っても、鑑定料は返さなかった。
証人G:杉本から、今年どれだけ教主様のことを実行できるかで運命が決まる。
証人G:杉本は、四天王との関係で、負けたくないと言っていた。吸収されたくないと言っていた。
●佐野の指導について
証人G:杉本の指示で発展拡大のための佐野の指導を受けた。
→その際のメモを検察官が示す。
→「しっかり目標(数字)をもって、それだけに専念する。」、「考える時間があるうちは暇だ」、「お金様々」、「お客様には余計なことは言わない」、「売上げすべて、とにかく」などとの記載があった。
証人G:「本来いくらだけど、あなたはいくらでいいです」と説明するように指導された。
(3)門西弁護士の反対尋問
さしたる内容はなく、手抜きの尋問であった。ただし、検事が主尋問で示したメモの中に、「300億円以上の宗教団体が30〜50ある」、「他の宗教とは訳が違う」の記載を示し、「これは、神世界が宗教であることを前提とする表現ではないか」との指摘がなされた。これに対し、証人Gは、「他の宗教と違って、うちは会社です」と説明していた。
(4)裁判官の質問
証人G:私(証人G)は、自分が詐欺をやったとは思っていない。外のスタッフだったので、内のことはよく分からない。
証人G:今、杉本の行為が詐欺かどうかについては、半分半分の思い。
14:15頃閉廷
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