(2011年8月31日横浜地裁第405号法廷)

2、杉本(吉田)明枝 第2回公判
(以下の第2回公判に関する記事は、公判を傍聴していただいた神世界事件被害者の方のレポートを基に構成しました)



 本日(2011年8月31日)横浜地裁で行われた杉本(吉田)明枝に対する第2回公判は午前10時から始まり、終了予定時刻は午後5時という長丁場の公判だ。本日の主な公判内容は、証人尋問が行われる予定とのことだ。なお今回の報告は、被告の氏名は旧姓の杉本明枝として報告する。
 本日の公判が行われる法廷は、1回目の405号法廷ではなく、401号法廷だった。本日の公判も傍聴希望者が多数になることが予測されたため、傍聴券は抽選になった。傍聴抽選券の配布締め切りは午前9時40分。本日の傍聴抽選券をもらうために、最終的に何人並んだかは確認できなかったが、本日も法廷に入ることができる人数は前回と同じく20数名とのことだった。横浜地裁での傍聴券抽選は東京地裁のコンピュータ抽選とは違い、番号札をもらって順番に棒を引き、棒の先に印が付いている人が傍聴券を貰えるという”アナログ”方式だ。

 抽選に当たり、傍聴券を受け取って401号法廷に入ると、杉本被告はすでに入廷していた。杉本被告の服装は初公判のときと同じと思われた。上は淡いピンクのパーカー、下は白いパンツ姿だった。杉本被告の弁護人は1回目と同じ面々だった。本日は法廷内の撮影はなかったのでテレビカメラはなかったが、「報道」の腕章を付けた若い女性記者が2名、取材に来ていた。
 杉本被告がいる場所に近い位置の傍聴席に着席した5〜6名の者がいたが、杉本被告はこれらの者と目配せをするような感じで視線を交わしていた。おそらくこれらの者は杉本被告の支援者なのだろう。休憩時間になったとき、「やはりまだ信じている人達が居るんだな〜」という目で、私(報告者)はしげしげとその人達の顔を見てしまった。

 公判は午前10時きっかりに始まった。まず、証人として出廷した被害者が裁判官の前に立ち、「嘘を付かず、正直に事実を述べる事」の宣誓をして着席。検察官がその証人の方へ質問を行った。
 サロンへ行くきっかけになった経緯、その後サロンを去るまでの経緯、その後警察に話をするまでの経緯、サロンでされた事、サロンで言われた事、それを言った人の名前、言われ方など、検察官は証人から細かく細かく聞き出していった。証拠も皆が見えるようにモニターに写しながら2時間にわたって検察側の証人尋問が行われた。午後0時になったところで午前中の公判は終了し、午後0時から13時30分まで1間半の休憩に入った。
 13時30分から公判が再開され、今度は証人に対する弁護側からの反対尋問が始まった。反対尋問は、「神様」という言葉や、「神書」とか「宗教」という認識に関する内容が主だった。御玉串と御礼に対する証人の認識や、誰に対してそれらを渡していたと思うか、当時は神様を信じていたのか、杉本の事を信じていたのか、告訴状はいつどんな内容で出したのか、告訴状は自分で出したのか誰かに言われたから出したのか、神霊鑑定で神様に聞いたのか等々の尋問が続いた。言われた日付けの前後確認や、おかしいと思った時期や出来事に関して弁護人は証人を問いただしていた。

 この日、反対尋問をしたのは被告弁護人の尾崎、笠原、門西の3名だが、傍聴していた多くの人達は、この3名の”超個性派”弁護士の下記のような言動に呆れていた。

●尾崎:話の切れが悪くだらだらと、質問も自分の意見の押し付けも入って訳分からなくなり、話はあさっての方向に。杉本も他の弁護士も少し呆れ顔。勿論裁判官からも、「質問を変えるように」とか、「もう終わりにしてください」いった注意が何度もされていた。
 (感想)何の質問をしたいのか方向ズレ過ぎ!棺桶に足突っ込んでるの?って聞きたい! こんなんでよく弁護士やってるよね! 

●笠原:声は必要以上にでかいは、内容は揚げ足取り。この人も直接の質問や提出陳述以外の質問したり・・・。それで裁判官に止められたりしていた。
 (感想)証人の発言に不満っぽく独り言のような事を必ず呟いていて不愉快極まり無し!

●門西:大した質問でも無いのに大げさな手振りと大きな声。
 (感想)うんざりな感じ。

 この3人の弁護士の尋問だけで3時間だった。裁判官からもまたまた、「もう良いでしょう」の声。傍聴席からの失笑もあり、ある意味、”個性派揃いの役者弁護人”達だった。

 トータル5時間を超える公判に対して被害者証人の方は、とても頑張っていた。思い出したくもない事、自分の悩みも全部、大勢の前で話していた。”役者3人”から発せられる、”答えられないような内容”、”支離滅裂な内容”の質問にも、なるべく答えようと一生懸命頑張っていた。この真摯な姿勢はきっと裁判所に届くだろう。
 本日の裁判に足を運んでいただいた皆様、大変さんお疲れ様でした。神世界に対する刑事裁判はまだまだ続きます。頑張りましょう。私(報告者)が通っていたサロンはE2とは違うけれど、サロンが違っても被害の内容は同じようなものであることがよく分かった。本日の裁判を傍聴して、神世界による被害が改めて身にも心にも染みた。


杉本(吉田)明枝に対する第2回公判詳報


日時:平成23年8月31日午前10時〜午後5時
場所:横浜地裁401号法廷
弁護人:(前列)尾崎、笠原、門西、大八木 (後列)谷地向、市河、清澤
内容:証人A(被害者)の証人尋問

スケジュール:10時〜12時05分 検察官主尋問(大久保検事)
       13時30分〜15時15分 弁護人反対尋問(尾崎、笠原)
       15時30分〜16時25分 弁護人反対尋問(笠原、門西)
       16時25分〜16時40分 証拠調べ等
決定事項:9月2日の被害者の証人尋問について、遮へい措置
証拠調べ:(弁護人書証同意のうえ)
     甲32 捜索差押調書(渋谷サロン)
     甲33 神霊鑑定予約申込表
     甲34 電話鑑定回答書
     甲35 神霊鑑定予約申込表(10月22日付)
     甲36 捜索差押調書(青山サロン)
     甲37 家系図(手書きのもの)
     甲38 被害者の神霊鑑定予約申込表

●午前の部
【証人尋問】
検察官主尋問(に対する証人Aの証言)(要約)
証人A:E2とかかわった時期はH16年2月ころ、G司に最初に誘われ、悩みの解決方法としてヒーリングを勧められた。
証人A:G司に「宗教なのか?」と聞いたら、「実際に結果が出るから宗教ではない」と言った。
証人A:宗教には気持ち悪いイメージを持っていたから宗教ならやらなかった。
証人A:G司は、ヒーリングについて、「最初は効果を感じないかもしれない。ヒーリングの後、発熱したり、お腹をこわしたりするかもしれない」と言った。
証人A:ヒーリング担当はY田みかだった。
証人A:Y田に悩みを話すと、「もし悩みを解決したいなら、悩みを解決できるE2にはすごい先生がいる。鑑定を受けると、すごい先生が解決方法を教えてくれる。予約しないと受けられない」と言われた。
証人A:予約して杉本の鑑定を受けた。
証人A:何か特別な能力があると思っていた。 証人A:鑑定中の杉本は、目を半開きにして斜め下を見て何かを読んでいるような様子、少し低めのトーンで話していた。
証人A:杉本は、「年収はおいくらなの?」と聞いてきた。
証人A:サロンに行くといつも、スタッフは、「目の輝きが違う。きれいになった。何かいいことありましたか?」と頻繁に言ってきた。
証人A:杉本は、「ここは実際に効果が得られる会社よ、宗教じゃないのよ」と言っていた。
証人A:個別に言われただけでなく、何人かいるところで、「ここは宗教ではない、会社で、神様と取引できるところ」と言っていた。
証人A:神様については、「呼び名は便宜上、神様と言っているけど、呼び方は何でもいい。へのへのもへ字と言ってもいいのよ」と言っていた。
証人A:杉本は、「右脳にコギツネと、毒を飲まされて死んだ男の先祖の霊がついているのが視力が悪いことや体調不良の原因だ」と言った。
証人A:御祈願料については、G司が、「100万でも200万でも多い方が早く効果がでる」と言っていた。
証人A:軽い男の霊から御祈願を始めて、重いコギツネの霊の御祈願を行った。
証人A:その後、「腎臓が固くなっているのは、生きた男の霊のせいだ」と言われ、御祈願した。
証人A:杉本に御祈願したのに効果がない気がすると言ったところ、杉本は、「効果はでていますよ、感じられていないだけ、それは感謝が足りないから、天秤でつりあうだけのお礼をしなければいけない」と言ったので、お礼を払った。
証人A:御祈願を受けても体調等が変わらなかったから、だんだん不安になった。
証人A:サロンには、Dさんという、スタッフになる前に同じ会社で働いていた人がいた(サロンで知り合った)
証人A:客同士の連絡交換は禁じられていた。
証人A:Dさんにサロンのことを聞いたら、後日、「サロンに行くのは止めた方がいいいよ。あなたは騙されているよ。サロンではお客さんからどうお金を出させるかばかり話していて人の幸せを考えてないよ」と言われた。

●午前の部は以上で終了(主尋問では淡々と時系列に沿って証言が行われた)。

●午後の部
弁護側反対尋問(要約)
尾崎弁護士による反対尋問
 総じて、自分の意見を押しつける尋問や、長々と演説して、質問事項がわからないような尋問が多く、裁判官からも注意されていた。40分くらい、いろいろと聞いていたが、実のある尋問は無し。他の弁護人も苦々しく見ていたように思う。

笠原弁護士による反対尋問
笠原弁護人:告訴の経緯について。いつ告訴状を出したのか。どのような告訴事実で出したのか。告訴状は誰が作ったのか。
証人A:刑事事件の前に民事でも警察に相談した。自分としては杉本さんだけを告訴しているというつもりで、その他の逮捕者(Y田、G司など)を告訴してくれと言ったことはない。自分は神世界の関係者を告訴するという意識だった。
笠原弁護人:警察、検察調書は何通くらい作ったのか。今日の尋問のための打ち合わせは何回くらい行ったのか。
証人A:調書は全部で5通くらい?尋問打ち合わせは4回くらい。
笠原弁護人:神世界とE2とはどういう関係と認識していたか。
証人A:E2は神世界の子会社と思っていた。
笠原弁護人:「神霊鑑定」「御霊光」はどういうものと認識していたか。
証人A:「神霊鑑定」という名前は、この時点ではあまり意識無かった。何かすごい力で答えを教えてもらえるものと思っていた。先生にすごい能力があると思っていた。
証人A:神様ではなく、先生個人に質問するものと思っていた。
証人A:御霊光は宇宙のエネルギーのようなもので、万人に注がれるものと思っていた。

(神書について)
証人A:神世界の教えが書かれているものと思っていた。神様のこと、御霊光のこと、天秤の法則などが書かれていた。1週間に1小節くらいのペースでゆっくり読んだ。何度も読んだ。
証人A:杉本さんが神書の内容に精通していたのも知っている。
笠原弁護人:霊の存在を信じていたか?
証人A:目に見えないものの存在はあるのではないかと思っていた。
証人A:そのような目に見えないものが人生に影響を与えていると聞いて怖くなった。
証人A:当初は、先生が神様とお取り次ぎをしているという認識はなかった。いつころからその認識ができたか覚えていない。
笠原弁護人:友人らを勧誘したね。
証人A:友人らを勧誘したことはある。6人勧誘した。最初の1人はサロンに通い出して1年くらいしたころ。最後の6人目は時期覚えていない。
証人A:「アレルギーが治る」、「きれいになれる」と言って誘った。だましている認識はなかった。

門西弁護士の反対尋問
(告訴と民事訴訟の経緯)
証人A:告訴前に民事訴訟提起している。民事の代理人弁護士が刑事の手続もしている。刑事で問題となっている以外のヒーリングなど合計1200万円を請求している。
門西弁護人:青山サロンに祭壇はなかったか?
証人A:よく覚えていない。
証人A:お水、お皿があった。掛け軸があった。手がたくさんある人の絵があった。千手観音と呼ぶかどうかは知らない。その部屋には10回くらい入っている。
門西弁護人:「神様」についての認識は?
証人A:全世界を司る大きなエネルギー。
証人A:「神様」というのは特に認識してない。
門西弁護人:あなたの検察調書には、「神様からのエネルギー」というような記載があるが。
証人A:・・・(メモできず。少しあやふやな供述になった印象)
門西弁護人:お守りを買っているね。
証人A:買っている。落としたらお浄めが必要と言われていた。汚れてしまったものをきれいにするため。宗教行為とは思っていなかった。
証人A:他の客にお取り次ぎをしたこともある。

左陪席裁判官の質問
■左陪席裁判官:もう一度確認するが、「神様」についての認識は。
証人A:「全世界を司るパワー」
■左陪席裁判官:いつからその認識があるのか。
証人A:サロンに通って1ヶ月ほどしてから。サロン辞めるまでずっとその認識。
■左陪席裁判官:「神様と取引する」とはどういう意味か。
証人A:神様が幸せをもたらしてくれることへの対価。お金を受け取るのは神様という認識。
■左陪席裁判官:神様は意志がある存在なのか。
証人A:わからない。

裁判長の質問
■裁判長:「ヒーリング」は別として、「御霊光」と聞くといかにも宗教的なものを連想してしまう。宗教とは思わなかったのか。
証人A:思わなかった。神書を読んでも宗教と思わなかった。営利団体で宗教ではないという説明を受け、信じていた。
■裁判長:「アレルギーが無くなる」と言って友人を誘ったようだが、実際にアレルギーが治った経験があるのか。
証人A:このとき、花粉症が出なかったので、効果があったと思っていた。



次回、第3回公判の予定
●2011年9月2日(金)午前9時40分
場所:横浜地方裁判所
事件名:詐欺 平成23年(わ)第458号等
抽選券配布場所:横浜地方裁判所1階中央待合いロビー
抽選券配布締め切り:午前9:40
開廷時刻:午前10:00


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