神世界事件の刑事裁判

8 斉藤亨、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子 第8回公判
 (斉藤亨の公判としては、第5回公判)

1 日時:平成24年3月27日(火)
  午前10時00分〜11時20分
2 場所:横浜地方裁判所第405号法廷
3 事件番号:平成23年(わ)第972号等
4 罪状:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
5 被告:佐野孝、淺原史利、淺原嘉子、斉藤亨
6 裁判長 朝山芳史
  裁判官 杉山正明
  裁判官 山本美緒
7 検事:大久保検事、前田検事
8 被告弁護人:尾崎幸廣弁護士、市河真吾弁護士
■■■■■■■冨田秀実弁護士
9 内容1:弁護人証拠請求
  内容2:証人Dの意見陳述
  内容3:検察官論告求刑
  内容4:弁護人意見陳述
  内容5:被告人最終陳述

裁判の経過
 2011年9月22日に始まった佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の3被告の裁判、そして2011年12月6日に始まった斉藤亨被告の裁判は、2012年3月27日(火)、結審することになった。
 これら4被告の裁判より早い、平成23年7月14日から審議されていた杉本明枝被告の裁判は、すでに2012年2月14日に結審しており、杉本明枝被告に対しては、懲役5年が求刑されている。

 一連の神世界事件関連裁判の特徴的な点は、公判途中で訴因変更がなされた点だ。2011年3月10日に杉本明枝ら神世界関係者が逮捕された際の容疑は「詐欺容疑」であり、杉本明枝被告が起訴された際も、当初の罪状は「詐欺」(刑法第246条他)だった。佐野孝、淺原史利、淺原嘉子の罪状も、起訴当時は詐欺の罪状だったが、横浜地検は公判途中の平成23年10月5日付けで訴因を詐欺から組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)に変更する申請を横浜地方裁判所に対して行った。申請を受けた横浜地方裁判所は、平成23年11月18日に行われた杉本明枝被告の公判に於いて、訴因変更を認め、佐野孝ら3被告についても順次訴因変更が認められた。
 詐欺罪と組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)とでは、処罰の重さが違う。詐欺罪の最高刑は懲役10年であるが、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の場合は「1年以上の有期懲役」となっている。「1年以上の有期懲役」という表現は、一見すると懲役10年より軽い刑罰のように思えるが、実際には「1年以上、最高15年の懲役に処すことができる」という意味であり、詐欺罪より重い刑罰となる。また組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の場合は犯罪収益の没収が法律上認められており、こうした組織犯罪の場合は資金源を絶ち、犯罪の再発防止が期待できる刑罰となっている。

 裁判所が、裁判の途中で被告等の訴因変更を認めたということは、「被告等が犯した犯罪は単純な詐欺ではなく、更に悪質な組織的詐欺である」ということを、その段階で裁判所が認めたのと同等であり、被告等が有罪になるであろうことは、訴因変更が認められた段階でほぼ確定的になったといえる。厚顔無恥の極みである神世界関係者も、ことここに至っては、自分たちの有罪を覚悟することとなり、これまでの全面否認から一転して罪を認め、情状酌量を求める戦法に作戦変更した。
 斉藤亨は逮捕状が出た後、約1カ月間にわたって逃亡していたため逮捕・起訴が他の被告より遅くなり、斉藤が起訴されたのは、他の被告の訴因変更があった後だったため、斉藤被告だけは、最初から組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で起訴された。斉藤の初公判が行われた平成23年11月6日午前に行われた杉本明枝の公判に於いて、まず杉本が組織的詐欺の起訴事実を全面的に認め、同日午後から行われた斉藤亨の初公判に於いても斉藤被告は組織的詐欺の起訴事実を認め、2日後の11月8日に行われた佐野・史利・嘉子被告の3名も相次いで組織的詐欺の起訴事実を認めた。取り調べ段階では否認もしくは黙秘を貫き、詐欺罪で起訴された公判に於いても当初は全面否認していた被告全員が、一転して起訴事実を認めるに至ったのは、裁判所が組織的詐欺への訴因変更を認めたことで、自分たちが有罪になることを察知したからに他ならない。罪を認める姿勢を裁判所に示すことで少しでも刑を軽くしようと目論み、一転して、”反省のポーズを示す作戦”に転じた被告らの心情には、被害者への謝罪の気持ちなど、微塵も含まれていない。
 被告等が起訴事実を認めたのは、真摯に「犯した罪の償いをしよう」という反省の思いからではなく、「自らの罪を少しでも軽くしよう」とする利己的な思いからでしかないことは、その後の公判廷に於ける被告等の証言を見れば明らかである。どこまでも狡猾な被告等である。

 杉本明枝の裁判は結審までに10回の公判が開かれ、平成24年2月14日に懲役5年が求刑され、4月16日に判決が出される予定になっている。平成23年11月6日に始まった斉藤亨の裁判は、第2回公判からは佐野・史利・嘉子被告の裁判と併合審議になり、この日、平成24年3月27日に行われた第8回公判で結審することになった(斉藤の裁判としては第5回に相当)。
 この日の公判では、被害者である証人Dさんが再び検察証人として出廷し、被告や神世界関係者が反省していると述べているのは実態が伴わず、虚偽であると具体的事例を上げて証言した。検察官も論告の中で、神世界関係者が毎回多数傍聴に押しかけていること、それらの者が裁判所内で被害者に接する態度についても言及し、被告や神世界が反省しているとは到底思われないと厳しく指摘した。神世界関係者が何を求めて毎回多数の傍聴動員をかけていたのか不明であるが、結果としてその行為は被告にとって不利な状況証拠となった訳で、神世界関係者の行為は、誠に愚かな行為であったと言わざるを得ない。
 検察官は、「(被告等は)相当期間の実刑に処し、矯正施設に於ける徹底した矯正教育が必要である」として、斉藤亨被告に10年、佐野孝被告に6年、淺原史利被告・淺原嘉子被告に4年の懲役刑を求刑した。



リストバンド方式
リストバンドの傍聴整理券(イメージ)
 この日の傍聴抽選券配布時間は、これまでより10分早くなり、9時30分が締切時間だったが、地裁に到着してみて、時間が早まった理由が分かった。なんと今回は、抽選システムの変更があり、リストバンド方式での傍聴整理券配布に変わっていた。この方式は、被告関係者と被害者などが一緒に列に並んで抽選時間を待つ必要がない。裁判所で傍聴抽選券をもらう列に並んだことがある人は分かると思うが、被告関係者と密着するような形で列に並ぶのは、かなりのストレスを感ずるものだ。前回、被害者が裁判所側に苦情を申し立てたことが功を奏したのかもしれない。
 傍聴希望者にリストバンドをつける作業に若干の時間を要するため、今回は集合時間が10分早まったようだ。リストバンドを付けてもらった後は、抽選結果の発表がされるまでは自由にしていられる。時間になると所定の場所へ抽選結果が貼り出されるので、受験生の合格発表のように、自分で結果を確認する。
 最初は、このリストバンドそのものが傍聴券になるのかと思ったが、このリストバンドの番号は抽選券であり、当選した人にはいつもと同じ「傍聴券」が渡される方式だったので、当選した人から傍聴券を融通してもらうことは可能だった。



地裁ロビーと傍聴席の様子
 この日の公判は、斉藤亨被告が「神世界解散声明」を出した直後の公判であり。神世界側がどのような態勢で傍聴に臨むのか、興味が持たれた。
 今回はこれまでのように傍聴希望者全員が列に並ぶことはなかったので、傍聴券を求めて何名ほどがリストバンドをつけてもらったかは、正確には把握できなかった。既にリストバンドをつけてもらった会員たちの多くがロビーの椅子に座っていたが、ぎっしりという訳ではなく、ざっと40〜50人程度。ロビー内で立っていたのが約15人、裁判所外でウロウロしていたのが約20〜30人、主要メンバーはほとんど姿が見えなかった。傍聴券を求めて駆り出された神世界側関係者は総勢100名程度はいたようだが、これまでよりは一気に減っていたようだ。
 今回は神世界代表取締役・日原易子の姿はなかった。前回の傍聴記に自分のことが書かれたので、”御出座”を取りやめたのだろうか? しかし和田夫妻やびびっと金庫番の女は今回も来ていた。和田夫妻は、以前は目立たないようにするためか、地裁内では別行動をとっていたが、今回はロビー内を連れ立って歩く姿も目撃された。どうせバレているのだからと開き直ったのかもしれない。「解散宣言」に名を連ねていた栗山悦子、佐野りら両名も来ていたが、顔をよく知っている被害者と廊下で顔を合わせても、申し訳ないの「も」の字もない、相変わらずの態度だった。次回、判決の時には、これら経営者に判決を聞いた感想を尋ねてみたいものだ。
 えんとらんすアカサカのI谷、経理責任者の「S藤局長」は、今回は来ていなかったようだ。前回、裁判所の廊下で被害者が謝罪を求めて彼女らに近づいたことがあったので、怖くなったのかもしれない。そのためか、今回はえんとらんす関係者の姿はあまりみかけなかった。
 傍聴席に入るために法廷前の廊下に並ぶ際、前回は日原を守る”警護隊”を仰せつかった「去勢された犬たち」の姿が目立っていたが、今回は日原が来ていないため、犬の姿はあまり見当たらなかった。
 エレベーターホールを挟んだ反対側には、被告人らの控室?があるようで、そちら側をガードするように、下記の”元自衛官”の男はうろうろしていた。びびっとの女達もエレベーターホールで見張り番をさせられていた。
 傍聴席に入ると空席がチラホラあり、今回も抽選に当たったのに傍聴せずに帰った者がいたようだ。被告らの醜態を見られたくなかったので、「帰らされた」のかもしれないが・・。他には、傍聴マニア風の見慣れない男性の姿もあった。
 平成24年1月10日の公判には車椅子に乗って出廷していた佐野孝被告であったが、この日の法廷では、被告席から証言台に移動する際などもごく普通に歩いていた。あの車椅子や杖は、”痛々しい姿”で情状酌量を狙っていたのか? 斉藤亨被告の膝上の「パー」は、今回も健在であったが、手の平を置く位置が若干膝より上の太腿の上辺りに移動していた。
 斉藤ら4被告の裁判が終わった後、別途行われた杉本明枝被告の裁判は、神世界関係者もすでに関心がないのか、傍聴席はガラガラで、杉本被告の直属の上司であった和田美和の姿もなかった。しかし杉本の情状証人として以前出廷し、”トンデモ証言”をした中年男(元スタッフ。その前は元自衛官とのこと)は毎回傍聴席に座っており、今回も来ていた。



●10:00開廷

●市河弁護士による証拠請求
■裁判長:(検察官に対し)ご意見は?
検察官:全て同意します。
■裁判長:それでは、いずれも採用いたします。

市河弁護人: 弁1号証は取調べ済み。弁1号証から説明していきます。資料作成報告書、平成23年10月13日付、弁護士笠原静夫。警察から開示された調書に添付されていた資料。証人Eさんに関する支払一覧表、写真一覧表、平成17年12月3日…で始まる書面、特別光魂祈願に始まる書面、スケジュール帳、平成23年5月9日付け調書添付資料8、スケジュール帳で資料9、証人Eさんがアカサカにおいて支払った内容及びその当時つけていたスケジュール帳、アカサカで特別光魂祈願、一切御祈願の説明文、写真台帳に関しての内容。

弁2号証、「お守り様拝授おめでとうございます」と題する書面。作成者はえんとらんすアカサカ。内容は、お守りを拝授するときの注意書き、説明書き。「自分だけのものです、清潔に心がけ、必ず首にかけてください、外す時も場所を決める、万が一誤って落とした場合についてのご連絡、等、神様御霊光をいただく、御玉串について…おあげしてください」との内容。

【あっ、そう〜。神様ごとだとはわかっていただろう、と主張したいのね。でもね、私の時も最初は「お守り様」だなんて言われてなくて、「初級許可証」だと言われていたの。後からだよ、「お守り様」と言われたの。あの注意書きは、途中から誰かが作ったのかな。あるときから突然出てきたなあ、そういえば。】

弁3号証、神書。作成者は主(す)。編集は千手観音教会。神世界の教義内容が書かれている。主(す)・作成者は明らかな通り、斉藤被告。

【いやいや、発行者が「千手観音教会」になっている赤い神書は、私も実物を見たことがありません。だって千手観音教会が神世界の前身だってこと、その頃徹底して隠されていて、スタッフだった私も知らなかったもの。裁判長〜。神書には、別バージョンがあるんですよー。】

【あれ、市河さん。書類をめくる手が震えているのは何故?】

弁4号証、祝詞。神世界で使われていたもの。「ももよろずのみたま(ももよろずの光魂)…」という文章から始まる祝詞。

弁5号証、光魂祝詞(みたまのりと)と言われていた祝詞。「みよのつかさにまします(神世の主神に在し坐す)」にはじまり、最後は「いっさいしゅじょうさいど(一切衆生済度)」という形で終わるもの。

【この2つは、佐野孝が考えたものだそうです。栗山悦子がそう言っていました。】

弁6号証、天空の御詞(おことば)、「うるわしのいわれのひもとせは(麗しのいわれの ひも歳は)よじょうのよしかのかみたまう(世情の佳香の神賜う)」にはじまり、最後が「その絶大なる大神力に歓喜しましょう」で終わるもの。

【これは、びびっととうきょうの和田美和が作ったやつね。】

弁7号証、資料作成報告書。作成者は弁護士笠原静夫。神世界大祭、第4回根本幽魂救済祈願と題する書面。平成19年12月9日付け調書添付資料43に当たる。神世界大祭、根本幽魂救済祈願式次第等の写し。式次第には、神世界大祭ご挨拶、終了のご挨拶、名簿拝読等の項目が載っている。以上が最近請求した書面のポイント。

次に今回新たに追加請求したもの。

弁8号証は弁1号証と同じもの、弁9号証は弁2号証と同じもの、弁10号証は弁3号証と同じもの、弁11号証は弁4号証と同じもの、弁12号証は弁5号証と同じもの、弁13号証は弁6号証と同じもの、弁14号証は弁6号証と同じもの。

新規のものは、弁15号証。第1回弁論事務手続調書。和解金調書。内容は、民事50部、神世界と被害者との間での民事訴訟、4つの事件が併合されていたが、和解が成立し、今回の被害者の方も含めて刑事に関しては示談成立している。合計の和解金額に関しては、総合計350,481,118円。

弁16号証、支払の明細、和解調書の支払に関する振込用紙。
弁17号証、同じく分割払い。
弁18号証、最終支払いの時の振込明細。
弁19号証、相手方弁護士からの領収書。
弁20号証、裁判外の和解書。平成24年1月30日付けで裁判外の被害者と和解成立。合計15,1505,728円の支払いが和解として成立した。
21号証、和解書。つい先日平成24年3月23日付け成立した裁判外の被害者との和解書。金額186,625,723円。

【裁判外の被害者に対しては、和解というか、仕方なく騙し取った分を返すことにします、だけでしょ。未だに誰からもお詫びの一言もないですけど。金だけ振り込めばオッケー、ってな失礼な態度で、和解と言われても。】

弁22号証、嘆願書。被告人斉藤亨の父親からの嘆願書。息子が今回行ったことに対するお詫びと、自分も宗教活動を辞めるということ、寛大な判決を求めたいということの嘆願。

【父親として本当に責任を感じていて、寛大な判決を求めたかったら、這ってでも出てこい。】

弁23号証、インターネットの解散宣言を掲載したもの。内容は神世界解散宣言と題し、今回の事件のお詫び、社会的責任の一端としてグループ会社解散したということ、返金を考えていること、神書も絶版にして、今後二度とこういうことはしないようにお詫びを申し上げる。

【インターネットに掲載?そんなのあったっけ??】
(後日、市河弁護人が3月22日にやっつけで作成したブログのことを指していたと判明)


弁24号証、現実に、解散に関する資料。(有)神世界の解散の登記履歴事項全部証明書。解散日付は3月8日。
弁25号証、解散決議が平成24年3月2日に行われたことを示す臨時株主総会議事録。

弁26号証、(有)えんとらんすアカサカの解散登記に関しての履歴事項全部証明書。
弁27号証、同じくアカサカの解散決議、臨時株主総会議事録で、平成23年12月31日議決。

弁28号証、えんとらんすグループのひとつである、(有)えんとらんすスリートウワンの解散登記に関する履歴事項全部証明書。平成23年12月31日決議解散、登記平成24年2月26日。
弁29号証、スリートウワンの臨時株主総会議事録。平成23年12月31日に、総会により解散議決した。

弁30号証、同じく、えんとらんすグループの関連会社であるえんとらんすわーるどヒルズの解散に関しての履歴事項全部証明書。平成23年12月末決議、登記平成24年1月20日。
弁31号証、わーるどヒルズに関しての解散に関する株主総会議事録。平成23年12月末に開催決議。

弁32号証、神世界グループの関連会社である(有)みろく(社名変更を一回しているが)、解散に関しての履歴事項全部証明書。平成24年3月9日決議、平成24年3月12日登記。
弁33号証、みろく解散決議に関する臨時株主総会議事録。平成24年3月9日付解散。

【あ、みろくは途中で社名変更してたんだ。宮入さん、ずるーい。】

弁34号証、神世界グループ会社である(有)びびっととうきょうの解散登記・履歴事項証明書。
解散決議平成24年3月9日、登記平成24年3月12日。
弁35号証、びびっととうきょうの解散決議に関しての臨時株主総会議事録。平成24年3月9日付で解散決議がなされた。

弁36号証、(有)イースクエアの解散に関する履歴事項全部証明書。解散は平成23年12月31日、登記は平成24年1月30日付。
弁37号証、イースクエアに関しての解散決議の臨時株主総会議事録。平成23年12月末解散決議。

【へー、みなさん慌てて解散決議、登記したのね。ところで、子会社は?栗山悦子のわーるどヒルズでは、スタッフ先生を独立させて、(株)京と(株)宮を立ち上げましたよね?それはその後どうなってるの?代表取締役になった、「先生」達は、今何処で何をしてるんですか?りらが代表取締役の(株)都は?自然食の販売事業は、そこの会社で始めるんですか?そういえば、びびっと福岡の桜裕(おうゆう)なんかは、神世界傘下から観音会傘下になったので、もちろん今もそのままバッチリ存続中よねー?】

弁38号証、退職願。作成者は佐野孝。宛先は有限会社神世界。内実は、今回の事件に関する反省と謝罪。(有)神世界に対しての退職願。平成24年1月25日付。

弁39号証、資料第10。御礼、証人Dさんの御礼文の写し。2006年5月29日付。「本日特別御祈願させていただき、橘教会長様から感極まるメッセージをいただき…」で始まる文で、最後に「ありがとうございました」で終わる内容。

弁40号証、資料第14。任意開示された調書の資料から。2009年7月20日付で証人Dさんのサインがなされているもの。アカサカに対する支払一覧。証人Dさんが通っていたときにいくら使っていたか、内容がわかる。

弁41号証、1月末に交わされた裁判外の和解に関しての支払金の振込ですが、分割して、つい昨日、平成24年3月26日に民事の151,505,728円を振込み、お支払いしたという内容。

以上が追加の弁号証です。

■裁判長:弁号証、お預かりします。
市河弁護人:原本、神書はこのままお渡ししますので。
(市河弁護人が裁判長に赤い表紙の神書を差し出す。裁判長はちょっぴり迷惑そうな表情。)

【その赤い神書は「千手観音教会」時代のもの。スタッフであった私をも含む、多くの被害者に対して隠し通されていたもの。それを証拠として提出するのは、フェアじゃねーぞー。】

■裁判長:それでは、被害者の証人Dさんから意見陳述の申し出がありましたので、意見を陳述してもらいます。



●証人Dの意見陳述
 証人Dさんが前に出て、立ったまま、非常によく通る明瞭な声で下記の陳述を行った。静まりかえった法廷内に、被告等に厳罰を求めるDさんの声が響き渡った。下記をお読みいただくと分かるが、陳述した内容は神世界という団体の実態を的確に指摘した内容であった。
 Dさんが陳述した内容には、法廷の外で被告関係者がどのようなことをしているかを述べた部分もあり、被告等が実際には反省などしていないことを数々の具体的事例で裁判所に強く印象づけた。
 Dさんが陳述している間、市河弁護人は顔を赤らめながらうつむいて聞いていた。途中、何度か顔を上げ、悔しそうな表情で証人Dさんを睨みつけていた。

 Dさんの了解を得られたので、Dさんが陳述した全文を下記に掲載する。

平成23年(わ)第972、1633号 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の親制等に関する法律違反
被告人 斉藤亨、佐野孝、淺原史利、淺原嘉子

意見陳述要旨


横浜地方裁判所第5刑事部 御中

1 はじめに
 私は、斉藤亨を教主とする神世界グループのえんとらんすアカサカで、病気などの悩みにつけこまれて、騙されて被害に遭いました。私の被害の内容と被害者としての気持ちは、証人として証言した通りですが、その後、傍聴を続けてきた中で、被害者としてどうしても述べておきたいことがありますので、意見陳述させていただきます。


2 被告人らの反省の態度について
 被告人らは、私が証言した後の公判で、組織的詐欺を認めました。このことを聞いた当初、私は耳を疑いました。というのも、被告人らは民事裁判でも3年以上にわたって詐欺行為を否認し続けていましたし、昨年の11月に発行された神世界新聞(fujiyaこと藤谷歩湖さんのホームページ「ヒーリングサロンによる被害 http://anticult.minibird.jp/salon/index.html 」で公開されています。)でも、今回の事件について弁護団が霊感商法というまやかしのタッチで描き出した虚構の事件だとか、神奈川県警に対してはなりふり構わず摘発ありきの捜査に動いたとか、弁護団に対しては不純な被害者弁護団を自称する紀藤弁護士一派とか、検察官に対しては無能なくせに功名心と出世欲だけは旺盛だとか、公判検事に対しては 捜査検事に勝るとも劣らない無能ぶりだとか、被害者の供述調書に対しても目を覆いたくなるほどの矛盾に満ちたもので読んでいて何が詐欺の被害者なのかと呆れるしか無い、などと、私たち被害者を馬鹿にするだけでなく、神奈川県警の方々、横浜地検の検察官の方々、弁護団の方々に対しても、誹謗中傷の限りを尽くす内容ばかりが記載されており、私自身も申し訳ない気持ちで、心を痛めていたからです。

 そこで私は、被告人等が本当に心から反省し、謝罪するのかどうかを見極めるために、できる限り傍聴を続けることにしました。私が被告人質問を傍聴した限りでは、被告人らが心から反省し、謝罪しているとは到底思えませんでした。
 例えば、詐欺を認めたといっても、被告人らの言い分は、伝え方が誤解を与えるような言動をしてしまってであるとか、自分自身にカがあるかのように思わせてしまったであるとか、被告人らより下の先生に勘違いをさせたなどという言い訳ばかりでした。未だに、神世界における神を信じていると述べているのと同じだと思います。
 実際に、公判中にも、被告人らが供述している際、御霊光を送る動作をしていた神世界関係者もおり、公判の中で何度も名前が出てきた神世界グループのびびっととうきょうの代表者である女性は、今でも系列の店舗等で、「神世界や御霊光はこれからも大丈夫だ」といった趣旨の発言ををしているとのことです。この裁判の傍聴に関しても、末端の信者を多数抽選に並ばせ、多数の傍聴券を得る一方で、実際の傍聴は確信犯的なコアメンバーにしかさせないようにして、末端信者には詐欺を認めていることを未だに隠し、報道が虚偽であると伝えているとのことです。
 また、私自身、裁判の傍聴を続けてきた中で、神世界関係者から睨み付けられたりして怖かったですし、裁判所からの帰宅途中に、裁判の傍聴席にいた神世界関係者から渋谷まで尾行されて、駅を降りてからもしつこくついてこられたため、神奈川県警の担当者の方に相談せざるを許なかったこともありました。
 教祖である斉藤亨は、組織的詐欺を認め、今後は神世界は活動もしないし、解散して財産も被害者の為に返金し謝罪していく、と法廷で述べています。ところが、裁判の傍聴に来ている神世界関係者のこのような態度からは、反省している様子も組織が解散したり収束に向かっている様子も感じられず、むしろ敵意むき出しの態度でした。被告人らも、裁判所の廊下で私たち被害者とすれ違った際には、裁判官の前とは異なり一言の謝罪も会釈さえもなく、無視する態度でした。これらの態度からすると、「神世界」という名前や形は変わったとしても、これまでと同様の活動が継続されるのではないか、この裁判が終わったら何か仕返しされるのではないか、といった不安は尽きません。
 さらに、被告人らは、被害者はごく一部に過ぎないなどとも述べておりましたが、とんでもないことです。
 まだ目が覚めない人達、神様が怖くて離れられない人達、自分が被害者だと名乗れない人達もたくさんいます。私が誘ってしまった一部の友人や従姉妹も、被害を名乗り出ることもできていない状況です。神世界が被害弁償をすると言い出してから、私はこれらの友人や従姉妹と再度連絡を取りましたが、未だに許してもらえていません。確かに、被害者として名乗り出ることができた方は、今回の刑事裁判をきっかけに被害弁償を受けられる見込みでができました。しかし、記録によれば、神世界の売上は180億円を超えているのですから、これまでに被害回復がなされたのはそのうちのごく一部にすぎません。また財産的被害が回復されたとしても、神世界の活動のために失われた時間や大事な人間関係は取り返しのつかないものです。
 神世界、被告人らが、本当に反省しているのであれば、刑事裁判における被害者だけでなく、これまでに神世界に誘い込まれた全ての被害者の方々や、私たち被害者のために尽力してくれた捜査関係者や弁護団の方々に対して、記者会見をして、公の場できちんと謝罪し、刑事裁判とは関係なく、今後も、被害弁償をきちんと続けるべきです。


3 最後に
 今回、多くの被害者、捜査関係者、弁護団、「ヒーリングサロンによる被害」のサイトにより神世界の実態を暴き、被害者を支援し続けてくれたfujiyaこと藤谷歩湖さんなどのご尽力により、組織的詐欺罪により立件されるに至りましたが、私自身、騙され失った時間や人間関係は戻っておりませんし、多くの被害者も同様です。
 神世界による詐欺は人の弱みにつけこんでそれを巧みに利用する極めて悪質なものです。有り余る騙し取った資産で多少の被害弁償をした程度で、その罪が許されるものではありません。また、反省しているとも到底いえませんし、また同様の被害が繰り返される不安も大いにありますので、被告人や神世界関係者に自分たちの犯した過ちとその悪質さを自覚させるためにも、被害者としては厳しい実刑判決を下していただくことを、強く希望します。

平成24年3月27日
神世界被害者を代表して
証人D


【悔しいよねー、市河さん。でもね、あなた、刑事事件の被害者に対してよくもまあ、論告求刑前に「いろいろ話さないでくれ」とか、「実刑にならないように陳述書を書いてくれ」とか、恥も外聞もなく言えましたね。しかも買収しようとしていたなんて!(怒)ついでに言っときますけど、どうせなら、せめて億単位でお願いしてみせなさいよ。50万円でどうだ、だなんて、どこまで被害者をバカにしてるんだ! ということは、残党会員達には、1枚数万円〜数十万円程度で陳述書を書かせているのかな?何枚集まりました?】

■裁判長:書面を提出していただけますか?
証人D:はい。(裁判官に手渡す)
■裁判長:あの、弁護人から何かあります?証人Dさんにお尋ねになることございませんか?
市河弁護人:(消え入りそうな声で)ないです。
【そりゃ、市河さん、何も言えないわなー。】
■裁判長:それでは検察官…(検察官の論告求刑に続く)




●前田検察官による論告求刑(要約)

 各被害者は単に悩みの相談にのってもらうだけで多額の金額を支払うことはなく、本件一連の犯行は、解決することができないこともあるかもしれないとの説明がたまたま不十分であったとか、たまたま解決することができなかったとかいうものではない。組織として多額の利益を得るために、各責任者が重要な役割を分担し、悩みにつけ込み、その悩みを確実に解決できるかのように信じ込ませることで、極めて多額の違法な利益を得ていたことは明らかである。

*被告人らが弄した虚言
 被告らが有すると称する神霊能力なる能力を用いても、
 @悩みの原因を的確に確実に特定し、すべて確実に解決できることはできないこと
 A他に解決方法がないと言うことにより不安を煽り、かえって解決を遅らせたり、困難にしてしまうかもしれないこと
を分かりながら、より多額の利益を得るために神霊能力を用いれば悩みを確実に解決できるかのように装い、信用させた。少額の利益を得て、単に悩みの相談にのっていた中で、“たまたま不適切なものが混じってしまってもやむを得ない”というものではないことは明らかである。
 多額の利益を得るために、“確実に解決できる”と虚言を弄し続けていたのである

*民事訴訟
 極めて多額の示談をしたことからも、いかに多数の人に損害を与えていたかは明らかである

*被告人らに神霊能力なる能力が本当にあるのか
 神霊能力に関する極めて支離滅裂で曖昧模糊とした相互に矛盾する不合理な説明を聞くにつけ、益々疑わしい。
 百歩譲って仮に、神霊能力なる能力を有するとの被告人らの主張を前提としても、
 @現に各被害者の悩みが解決しなかったという事実
 A最高責任者である被告人斉藤が金儲けの手段として神霊能力の活用を思いついた経緯
 B神世界の奇跡の大前提とされ、いかなる病気をも治癒するとされていた御霊光を受けながら、重篤な病気に陥り、死亡または重い後遺症が残った者が複数存在する事実
 Cこれらの事案が発生した理由について、被告人の誰一人として合理的に説明することができない。
 被告人斉藤にいたっては、未だに整理できないと述べた

*株式投資
 被告人斉藤は、株式投資による資金獲得を推奨し、実際に試みたが、失敗して巨額の損失を出した

*神霊能力開発講座
 @神霊能力開発講座及び神霊講習の内容は、神霊能力によって得られたとするメッセージの内容が正しいかどうかの答え合わせを行わない等、およそ他人の悩みの原因を的確に特定し、確実に解決しうるような能力の獲得をめざすものと思える内容ではない
 A人手不足を解消するために神霊鑑定士を次々に誕生させていったと認められる
 B神霊能力なる能力を用いても、確実に相談者の悩みを解決できるわけではないことは客観的に明白であり、経緯からしてそのことを被告人らが分かっていたことも明らかである
 従って被告人らは神霊能力なる能力によって、他人の悩みの原因を的確に特定し、これを確実に解決することなどできないと認識しながら、組織として、神霊能力を有する者の言葉に従って多額の金員を支払えば、祈願や供養によって確実に悩みを解決できるかのような嘘をつき、各被害者に信じさせて多額の現金を騙し取ったことは疑いの余地はない


*情状関係について
 本件一連の犯行は、被告人斉藤を最高責任者とする神世界グループにおいて、顧客を誤信させて金銭を獲得するためのシステムに則り、巧妙な手口で、組織的に反復継続されたものであり、その犯行態様は極めて悪質である。
 すなわち神世界グループでは、被告人斉藤が、「教主」と呼ばれる最高責任者であり、斉藤が書いた神書また各種祭典においてなされた斉藤の指示に従って行動することが必達(もしかしたら至達かも?)のものとして共有され、できるだけ多くの金を集めることが、神世界グループ傘下団体の経営者が必達すべき主要な目標とされていた。
 神世界グループにおいては、人を集めることも重要な活動とされていたが、人を集めること自体が集金の手段であったから、活動の終局的な目的は、金を集めることであった。

 被告人斉藤は、各種祭典において、「うちは宗教ではない。これは商売ですからビジネスです。企業ですから利益のい人は私にとってゼロなのです。だから価値のない人を連れてくるなと思います。私の言いなりで動いている人のところには奇跡がある。迷ってる人のところには不吉なことが起こります。売上げを上げることに執念を燃やします」と述べ、売上げの悪い経営者を冷遇、ついには他の傘下会社に吸収させる形で消滅させ、経営者間の競争心を煽る等、より多くの金を集めるシステムを構築していた。

 “宗教ではなく、企業である”という斉藤の発言は、神書の記載や他の発言とも相まって、いわゆる新興宗教に対する一般人のマイナスイメージを回避するとともに、金を払えばその分の奇跡を確実に得ることができると思わせる仕組みを有しており、集金に直結する説明となっていた。

 E2及びえんとらんすアカサカにおける具体的な活動は、被告人斉藤の指示に従い、顧客を誤信させて金銭を獲得するための巧妙な手口で行われていた。
@従業員による集客として、街頭で「ヒーリングを受けてみないか」と声をかけて比較的安価な御霊光の取り次ぎに勧誘。サロンと称する活動拠点に顧客を誘導し、ヒーリングを受けさせる
A従業員が顧客の容姿に良い変化があったかのように言ったり、顧客が良いと感じたことのすべてがヒーリングの効果であったかのように言うことを繰り返す。顧客にヒーリングの積極的な効果を信じ込ませるとともに、嘘やかなり誇張の入ったエピソードを“奇跡の話”として紹介し、顧客の誤信を強める
B次の段階へのステップとして、会話の中で顧客の悩みを聞き出し、鑑定によって悩みの原因を的確に特定して解決方法を示す特別の能力がある者として被告人史利等や共犯者杉本明枝を紹介し、同人らの神霊鑑定を受けることを勧める
C被告人史利が顧客と面談する等して、顧客の悩みの原因が霊的なものであるかのように断言し、その解決のためには、嘉子らが行う御祈願や史利らが提示する方法による他なく、指示通りの金を支払って御祈願等を行えば、確実に悩みを解決できるかのごとく信用させ、顧客に高額なお玉串と称する代金を支払わせることを繰り返していた
Dその後のトラブル回避と顧客の不満・不安を解消するため、従業員に”フォロー”と称する対応を指示していた
E「離れたら大変なことになる」等と述べ、離れようとする客を脅して御霊光や御礼名目で継続して金を支払わせていた
 このようにE2及びえんとらんすアカサカにおける具体的活動は、顧客を誤信させるためのシステムになっており、巧妙な手口で組織的に反復継続して行われていたものであり、犯行態様は極めて悪質である。


 被告らが顧客に対して、「宗教ではなく、有限会社である」と言っていた理由は、被告人斉藤が供述した通り「宗教と言っただけで引いてしまうのはもったいないから、入口は宗教色を消して、あるいは薄めていた」というものである。他の被告人等も概ね同種の供述をしており、それ自体が看板を偽って人を欺いて金を集めていたということである。
 現に被害者は口を揃えて、「当初から宗教だと言われていれば係わることはなかった」と述べていることが明らかなように、極めて卑劣かつ悪質な行為であることは論を待たない。
 被告人らは、「当初は分からなくても、しばらく活動の内容を見ていれば、宗教であることは分かったはずだ」と言わんばかりの供述をしているが、このようなことは少なくとも人を欺いた当人が発すべき言葉ではない。

⇒その通り!

 被告人らは、一旦獲得した顧客を逃がさないためには手段を選ばず、神世界を離れたら確実に不幸になるかのように繰り返し言うなどして脅すことさえしていたのであるから、被告人らの活動を目の当たりにしても、神世界から離れられなかった被害者に何らの落ち度もない。
 被告人らが被害者に対して、「宗教が嫌だったのであれば、宗教とわかった段階で神世界から離れればよかった」とでも言わんばかりの供述をすることは、被告人らの虚言に翻弄された被害者を愚弄するものであり、決して許されるものではない。

⇒はい、許しません。神様と被害者に対するこの冒涜は、死刑に値します。
 あんたには一生、懺悔なんて無理。幻聴に始まり、幻聴で終わる人生だ


*重い譴責(けんせき)を負うべきであることについて
 @神世界グループの拡大
 Aグループの中での生き残り
 Bえんとらんすアカサカの拡大
 C自らの地位向上
 のため、神世界グループの中で重要な地位にあった被告らは強固な犯意に基づき、各犯行に及んだもので、重い譴責を負うべきである。  本件一連の犯行は、被告人斉藤亨を頂点とし、神世界活動の一環として、より多くの金を集めるために行われたものである。被告人斉藤は、各経営者及び責任者に対し、自己の指示に従って行動することが必達のものとして共有させていたことから、責任が共犯者の中でもとりわけ重いことは言うまでもない。
 その意味において、被告人佐野・史利・嘉子が、斉藤に比べてやや従属的な立場にあったことは否めない。

 被告人佐野・史利・嘉子は、上納金の多寡でグループ内の地位が決する状態において、
 @初代神霊鑑定士佐野の面目を保ち、被告人斉藤に次ぐ地位を維持すること
 Aえんとらんすアカサカの拡大
 B被告人史利らにおいては、自らの地位向上のために血眼になって、顧客からの集金を行い、その結果、神世界グループ内部で重要な地位を保っていた
 C被告人佐野は、初代の神霊鑑定士であり、神世界グループのナンバー2の地位にある者として、ミーティング等の場で史利・嘉子を厳しく叱責指導。本来、顧客の自由意思に基づいて行われるはずの御祈願に売り上げノルマを設定する等、えんとらんすアカサカの生き残りのため、本件同様の行為を繰り返えさせていた
 D被告人佐野の指示を受けた被告人史利及び嘉子は、えんとらんすアカサカの取締役及び神霊鑑定士として、佐野から設定されたノルマを達成するため、高額な御祈願に誘導するようスタッフに指示し、高額な御祈願に顧客を誘導、本件同様の行為を繰り返していた

 被告人らはE2などの傘下法人において、本件以前にも顧客からのクレームでトラブルが生じていたことを知っていたが、それに取り合うことなく、金を得るために一連の本件犯行に及んだ。
 度重なるクレームや民事訴訟の提起も物ともせず、同様の行為を繰り返しており、その犯意は極めて強固である。

 被告人佐野においては、神霊鑑定の中止や被害者への返金を被告人斉藤に具申したことがあったようだが、結局、斉藤の指示に従ったのでこの点を重視すべきではない。

 被告人らは本件詐取金を含めた売り上げの中から、本件当時(平成18年頃)、被告人斉藤は月額約3000万円、被告人佐野は月額約600万円、被告人史利及び嘉子は月額約110万円、と極めて多額の利益を得ていた。
 そして、平成13年から19年12月までの利得総額については、被告人斉藤は約16億3千万円、被告人佐野は約2億4千万円、被告人史利及び嘉子は約6千万円と莫大な金額に及んでいる。

*被害者らは被告人の厳重な処罰を望んでいることについて
 被告人斉藤について、本件の直接被害は、被害者5名から現金合計1340万円を詐取したもので、これ自体も極めて多額な金額であり、被害結果は極めて重大である。
 被告人佐野・史利・嘉子について、本件の直接被害は、被害者2名から現金約150万円を詐取したもので、これ自体も軽視すべき金額ではなく、被害結果は重大である。
 被害者は、借金までして作った金を騙し取られ、適切な治療の機会を奪われて長期間激痛に苦しめられたり、サロンに友人を紹介したことでその友人を失うなどしており、経済的損失はもちろん、肉体的・精神的苦痛も著しいものがある。
 被害者等に対して、既に被害弁償がなされているが、被害者は、返金されたからと言って被告人の刑を減免してよいとは述べていない。
 被害者Dさんは、「被告等は裁判所内で顔を合わせても謝罪の言葉はおろか、会釈の一つもなく、全く反省の態度が見られないので、厳重に処罰てほしい」と述べており、その被害感情は極めて厳しい。

*犯行後の事情も悪質であることについて
 @被告人らは、自己の行為が詐欺に該当する行為であることを当初から認識していながら、平成19年12月のE2に対する強制捜査実施後も、被害者に対する被害弁償等を一切行わず、逮捕後は否認または黙秘を貫き、供述書への署名も拒否し、被告人斉藤以外は、当法廷においても当初否認していた
 A強制捜査後、被害弁償等の措置を講じなかった理由として、神霊からは被害弁償を行うよう伝えられていたが、当時の弁護人から被害弁償に反対されたからであると述べた。
 当時の被告等の供述を前提にすれば、神霊の言葉が何より優先されるはずなのに、弁護人の言葉を優先したというのは、極めて不自然な行為である。
 このことは神霊能力など存在しなかった事の証左か、当時の弁護人に責任を転嫁しているかのいずれかであり、いずれにしてもこの点について被告に酌量すべき点はない
 B捜査機関を信用できなかったので、捜査段階では黙秘または否認をしたかのような供述をしたが、公判に至っても否認を続けたことの説明にはなっていない
 C当時の弁護団から指導を受けたことを捜査段階で黙秘または否認を貫いたことの理由としていたが、黙秘または否認が自己の意思や神霊の意志に反するものであることを認識しているのであれば、弁護人を解任して新たな弁護人を選任すれば良いだけなので、何ら合理的な説明にはなっていない
 要するに被告人等は、刑事責任を免れようとして不合理な弁解に固執したのであり、そのために被害者は公判廷での証言を余儀なくされ、多大な心理的負担を負ったのであるから、犯行後の事情も悪質である

*各被告人に再犯の恐れが極めて高いことについて
被告人斉藤
 @逮捕状が出てから約1ヶ月間逃走する等、早期の事案の真相解明を妨げ、刑事司法の遂行を害したものであり、強い批判に値する
 A実父は、情状証人として出廷できないほど体調に不安があり、斉藤を逃走させた吉田澄雄が稼動する神世界関連団体のトップであることをさておいても、到底適切な監督を期待することはできない
 B神世界グループを解散すると述べたが、斉藤保釈後の公判においても、神世界グループの現役会員と目される者が毎回多数傍聴していること、被告人史利をはじめ、未だに御霊光を受けたり、お玉串を支払っている者がいるという事実からすれば、裁判を有利に進めるためだけに、形だけ解散することにしている可能性も否定しきれない
 C高級ブランド品や貴金属を多数購入しており、これは各種祭典で被告人自身が他の経営者に述べている通り、要するに私腹を肥やして贅沢な生活をするためと認められる。しかし斉藤は、「美術館建設に伴って展示するためのものだ」、「祭典において主要な人が身につけるためだ」、「ブランドの力を使って海外に展開をするためだ」等と述べ、自己の過去の発言と矛盾する供述をしており、反省の情は認められない
 D「御霊光の効果は100%であると信じていたが、現在は間違っていたと思う」等と供述しているが、御霊光を受けながら重篤な症状に陥り、そのまま死亡、または重い後遺症が残ったりした事件が起こった当時は、「御霊光の効果を信じていた」等と述べ、結局、どのようにしてそれが間違いだと思うに至ったか、そのような事件があったのにどうして御霊光が万能であると信じていたのかについては、「整理がつかないままでいた」と供述するのみであり、何ら合理的な説明をしていない
 Eそのような状況でありながら、自らを神の媒体である等と称しており、単に自らの行為を詐欺であると認め、被害者に返金して本件を優位に進めようとしているだけである。本件について反省し自己の行為を顧みていないのであり、被告人斉藤が再犯に至る可能性は高い

被告人佐野
 @妻りらは、平成19年12月の捜査当時、お金をすぐに返さなければいけないと神様の意思を頂いていると佐野から相談を受けていたにも係わらず、結局、返金がなされなかったことについて佐野に何ら質問する等していない。その上、りらの母(栗山悦子)は、えんとらんすグループの一法人、(有)えんとらんすわーるどヒルズの代表取締役として、神世界グループの中でもそれなりに重要な地位にある。神霊鑑定士として神霊鑑定を行っており、栗山悦子が今後神世界といかなる係わりを持つのか不明であることからすれば、同人等を介して被告人佐野が神世界と係わりを持つ可能性も否定できず、佐野りらが被告人を適切に監督することは困難である
 A神霊能力の獲得経緯について、「突然授かる。人出不足の際に私が神霊にお伺いを立てると、神霊がスタッフの中から神霊能力を授かる人を決めてくれる。神霊能力開発講座の受講申込みをした段階で神霊が神霊能力を授けてくれる」等、場当たり的な説明に終始している
 B自らは神霊の言葉が正しいかどうか、事ある毎に確認していたと言いながら、神霊能力開発講座において答え合わせをしていなかったことについては、何ら合理的な説明をすることはできていない
 C被告人佐野の母が、自ら寄稿してもいない奇跡体験をねつ造されて神世界の会報に掲載されたと供述していることについて、「自分が添削したかもしれないし、そうではないかもしれない」等、曖昧な供述をしているが、その真偽について十分に検討する時間的余裕はあったがそれをしておらず、本件について真摯に向き合っていない
⇒お母さん、悲しんでいると思いませんか?
 D「売り上げを伸ばすことは大事であったが、トラブルは起こさないように指導していた」等、供述しているが、トラブルが起こることは分かっていながらその原因を解明することなく、特に被告人嘉子はスタッフを厳しく叱責し、売り上げを伸ばすよう指導し、ミーティングの場に於いて、本来、顧客の自由意思で行うはずである御祈願にノルマを設定して売り上げを伸ばすように指示していることと矛盾している
⇒史利もひどいもんでしたよ、検事さん。あいつはヤクザまがいでしたから!
 E被害者Dに対する言動は、売り上げよりもトラブル回避を重視していたものとは到底認められない。これらの点について被告人佐野は何ら合理的な説明をしていない。このように不十分な反省の態度の被告人佐野が再犯に及ぶ可能性は極めて大きい

被告人史利
 @情状証人として出廷し、犯行当時えんとらんすアカサカで日向晶子という名前で神霊鑑定士として稼働していた小塚麻衣子は、「私は詐欺をしたことはないと思っている。被告人史利や嘉子が、被害者Eさんを誤解させるような発言をしたとは認識していない」と自己弁護や、被告人史利や嘉子の認識とは背理する供述をしている。小塚は今後、被告人史利や嘉子をサポートしていきたい等と述べているが、えんとらんすアカサカを離れての交際はないと述べており、適切な監督者となり得ないことは確かである
 A被害者Eさんに対し、「医学界では気圧の変化が子宮に影響を与えることは証明されている」等と述べ、被告人嘉子の高額な御祈願に誘導し、“気圧の変化が子宮に与える影響” は医学的に間違っているにも係わらず、神霊から聞いたことをそのまま伝えただけだと答弁し、自分自身の誤りについて真摯に向き合おうとしていない
 Bお玉串について、「浄財であるという認識だった」と供述しているが、神世界グループにおいては、お玉串は奇跡に対する対価との共通認識ではなかったかと追及されるや、「そのような説明もしていた」と述べる等、場当たり的で曖昧な供述をしている
 C神霊能力を有する自分の言葉に従って多額の金員を支払えば、祈願や供養等によって確実に悩みを解決することができるかのような嘘をつき、各被害者にこれを信じさせ、多額の現金を騙し取った自らの詐欺行為の悪質性を直視することなく、自らを正当化することに汲々とするその態度からは真摯な反省の態度は見られない
 D「今後、神世界とは係わることはない」と供述するも、「一番最近に御霊光を受けたのは一週間前であり、今後も御霊光と祈願はしていきたいと思っている」とも供述。「神世界と係わらずに御霊光を受け、御祈願をする具体的な方法については分からない」と供述していることから、「今後神世界とは係わることはない」といった供述自体疑わしいものがあり、再犯率は極めて高い

被告人嘉子
 @「各被害者に病気を治癒する能力が出なかったのは、私達人間に力があると思わせてしまい、私達人間が神様の邪魔をしたからである」等と供述する一方、御霊光の効果について弁護人の質問では「万能ではないと思っている」と供述。検察官からの反対質問では「今でも万能であると思っている」等と供述を変遷させている
 Aいかなる病気も治癒されるとされていた御霊光を受けながら重篤な症状に陥り、その後、死亡、または重い後遺症が残った者が複数名あった事実についての説明は一切していない
⇒責任者たるもの、説明できなくてどーするっ!
 B“より多くの金を集めること”が、神世界グループ傘下団体の経営者が必達すべきとされており、そのために若い女性をターゲットとして新規顧客の勧誘に努めていたことは周知の事実であるにも係わらず、「人を集めることの方がメインだから、あまり売り上げに固執することはどうかと思っていた」とか、「若い女性の方がヒーリングとかに興味があるだろうと思って話をしていた」等と述べ、自己の行為を正当化しようとする姿勢に終始しており、反省の情は認められない
 C公判で事実を認めるに至った事由について、被害者の話を聞いたからと供述しているが、公判開始前から供述調書を読んでいたにも係わらず、「徐々に間違っていることに気がついたが、いつ間違っているという確信に至ったのか覚えていない」等と極めて曖昧な供述をしており、本件に真摯に向き合っているとは言い難い。場当たり的にその場しのぎの回答をしているだけであり、真摯な反省態度の情は認められず、再犯の虞は極めて高い

 以上の事情に鑑みれば、被告人等の刑事責任は極めて重大であるから、
 @被害者等に一応の被害弁償がなされていること
 A被告人等が一応事実を認めたこと
 B被告人等には前科がないこと
 など被告人等にとって有利な事情を最大限考慮したとしても、相当期間の実刑に処し、矯正施設に於ける徹底した矯正教育が必要である。
 そこで求刑だが、以上、諸般の事情を考慮し、相当控除を適用の上、

被告人斉藤亨を懲役10年
被告人佐野孝を懲役6年
被告人淺原史利及び淺原嘉子をそれぞれ懲役4年


 に処するのを相当とする。




■弁護人意見陳述

☆はじめに(市河弁護人の最終弁論を記録した傍聴者より)

 弁護人による最終弁論こそが、被告弁護人としての一番大事な仕事であり、裁判の最大の見せ場であるというのに、市河弁護人の最終弁論は、小声で早口、しかも何を言っているのかわからないという、非常にお粗末なパフォーマンスに過ぎませんでした。あんな読み上げ方をしたのは、自信のなさの表れですね。見事なまでのやっつけ仕事に拍手を送ります。
 傍聴席でメモをとっている最中、今回はなかなかポイントがつかめず、メモを取るのに大変苦労しました。弁護人は、重要なことはぼかし、意味のないことをさも意味があるかのように、論理的でないことをさも論理的であるかのように長々と述べただけでした。
 弁解のしようのない事実は認め、適所盛り込みながら、肝心な矛盾点はすっ飛ばし、堂々と開き直って、「被告人らはそんなに悪くない、しかも反省している、返金している、解散もした、だから執行猶予付きでヨロシク」、要はそれだけのことでした。
 下記の市河弁護人が述べた内容は中身がなく、掲載に値しないものですが、どれほど中身がないかを知っていただくために、敢えて文字起こしを行いました。



●市河弁護人による陳述

(…の通りだが、…ので、適宜省略しながら…)

被告人らは起訴事実に…ではない。しかしながら以下の通りの事情があるので、寛大な…を求める。

●組織的…について。宗教団体神世界について
被告人らが属していた宗教団体神世界の前身は、千手観音教会という宗教団体であり、被告人斉藤亨が創始したもの。父親の影響で世界救世教に入信していた被告人斉藤が、28歳のときに父親の神様の啓示による千手観音の御神体を描くようになり、29歳の時に実家に祀るようになった。
その後、昭和62年9月3日に御神体を移し、宗教団体千手観音教会を設立した。最初の出発点の時には、当初会員20数名程の少数であった。千手観音教会は、世界救世教の影響を受けたのち、のちに御霊光と呼ばれるようになる宗教的、儀礼的行為を中核に、神様からの奇跡、…ことを特徴とする宗教であった。
当時は山梨を中心に活動する団体であったが、徐々に会員が増加し、御玉串を…千手観音教会においては、御霊光を取り次ぐという行為を被告人らスタッフが会員に対して行い、お客様に対し御祈願する、神様に対する奇跡の対価として御玉串をおあげする、祭典等の儀式や祝詞を奏上する、姓名鑑定、方位鑑定などの宗教的行為が行われていた。

平成11年頃、被告人斉藤は、長年の宗教活動で蓄積されていた教え、神様からの啓示等を教義としてまとめ、『神書』を出版した。
更に同時期、被告人斉藤は、税務調査による修正申告したことをきっかけに、経理を明確にして税金を納めるため、平成12年(有)千手観音教会事業部を設立し、後に(有)神世界に社名変更した。
また同時に斉藤は活動について、やる気のある会員に任せ、経営者として独自に活動するようにし、会員の中から経営者を募った。約50人ほど集まった経営者らは、独自の取次所で御霊光等を行い、のちの経営者の中には刑事事件被告人である杉本明枝も関わっている。
平成13年、被告人斉藤は経営者を精査し、会社化の活動をすすめ、これを受け、被告人佐野孝、被告人淺原嘉子は、千手観音教会時代からの会員だった被告人淺原史利を誘い、同年(有)えんとらんすアカサカを設立し、同時期、他の神世界グループの会社としては(有)みろく、(有)びびっととうきょうなどが設立された。

●神霊能力、神霊鑑定について
最初の出発点、平成12年頃、被告人佐野孝は神がかりとなり、その悩みを斉藤に相談したところ、自己の経験から、「それは神霊ないし神様からのメッセージを受けている」として、御霊光取次の際に神霊からのメッセージを聞いてそれが…なことを知った。これが神霊能力、神霊鑑定のはじまりである。
しかしながら、佐野の精神不調から、神霊鑑定の活動は中断された。
その後、佐野は静養を続け、回復してきたところ、再度神霊鑑定を再開し、神世界活動の重要なものとして位置付けられていった。

●定義について
ここで神世界および被告人らが理解していた神霊能力は、神霊または神様からのメッセージを受け取る能力であり、神霊鑑定とはそのメッセージを相談者に伝える宗教的行為である。
事前に相談者から家系図や…を場合とそうでない場合があった。

●偽網行為、詐欺との関係について
本来の神霊能力、神霊鑑定は、以上の内容を有するものである。そして神様の御意志として問題解決を図る手段として、次に御祈願などという宗教的行為をすすめられることがある。
御祈願とは、相談者が御祈願内容を書き、神様に御玉串をおあげし、祝詞を奏上する宗教的儀礼的行為である。そして神世界教義によれば、相談者は御祈願し、神様と取引をして、神様から奇跡、結果をいただくという宗教的行為がされている。
つまり、神霊鑑定御祈願において、…に問題解決の原因や確実な解決を与えるのは神様であり、神霊鑑定師自身ではなかった。
本件で指摘された子宮筋腫のケースで言えば、神霊鑑定師の意志に子宮筋腫の原因を特定、発見し、それを確実に治癒させる能力、本件で偽網行為の対象とされる神霊能力はなく、本来の神霊能力、神霊鑑定とは異なる。
神霊鑑定師が凄い先生だと吹聴され、特別な力、神様より地位、能力があるかのような言動と、相談者の神霊鑑定師に対する信頼が、本件…となる。
つまり神様の存在と、神様の奇跡を…は偽網ではなく、神霊鑑定師自身が有するとされた神様の…奇跡能力で…である。
また、本来の神霊能力ではなく、神霊鑑定師自身の意志でされる神霊能力が、神様の…奇跡の偽網行為の対象とされる神霊能力は存在しないという認識、故意は被告人にあったことは、被告人質問でも明白である。
更に、本来の神世界の教義からすれば、御祈願御玉串をおあげすれば神様と取引ができるわけである…ところ、現実の活動ではその説明が十分に…、神世界全体で御霊光御祈願をすれば、100%奇跡が起こるかのような言動等が、…偽網による詐欺行為を組織的に増長する…は否めないところ、被告人らは…については、現在十分に反省している。

●神霊能力開発講座について
平成14年頃から、被告人佐野が…であり、神霊鑑定師を増やしたいという被告人斉藤の意向をふまえ、佐野の神様からの…と一致、史利らは、神霊能力開発講座を開催し、神世界幹部等から希望者を募り、同講座を実施した。
同講座の内容については、よくわからない、答え合わせ等をしていないなどにより、参加者の中には神霊能力を受けたとは思わない…ところである。
しかしこの講座での史利の指導は、思い浮かぶことを伝えるなど、具体的な技術解説や指導するものではなく、また、一定のパターンで相談内容に原因を当てはめる、御祈願に誘導する、…開発をする、等の指導ではない。本件に問われている偽網行為に直結する具体的直接的な言動はなかった。すなわち同講座の開催が、直接的な偽網行為の手段、あるいは具体的な組織的行動と…することはできない。

●宗教ではないとの言動および…について
既に関係各職から…あるが、神世界の…は、会社化し拡大活動する際に、「ここは宗教ではない、会社である」などの言動を行って…行っていた。
検察は、この点が組織的に活動を当初から詐欺を意図的に行っていた事情とするかのようである。被害者も宗教でないということを信じて入会したので、最初から宗教であると知っていたら入会しなかった旨を述べ、あたかも宗教でない旨の言動が詐欺の偽網行為の一種かのような印象を与えている。
しかしながら、そもそも被告人らの公判での供述によれば、神世界の教義は…既存の宗教とは異なる超宗教である、神様をオーナーとする会社である、宗教と言う言葉の持つマイナスのイメージから御霊光を受けてもらえないという事情から、…として宗教として…であり、自己の宗教性を秘匿して、詐欺を企てるための…として用いられたのではない。
実際神世界に継続的に通うと、御霊光との説明、神書購入、御祈願における儀式、祭典等により、神世界の活動が実質宗教活動であることは容易に判明することであり、宗教性の秘匿は形式的な言葉的な認識であったに過ぎない。同様に御霊光をヒーリング、取次所をサロン等と言い換えていたのも、宗教性を言葉上薄め、会員を入りやすくするためであったにすぎない。
このように宗教ではないとの言動は、厳密な意味で詐欺の偽網行為、偽網集団ではない。もっともそれが社会的に一種の「看板の偽り」と非難されることはもっともであり、これは神世界及び被告人らが、自己の宗教活動及び言動を社会常識に反しないようにする意志が乏しかったことを意味するものであり、この点をふまえて被告らは反省の自覚を深めている。

(…に関しては、意見があったようだが、省略)。

●被告人斉藤の…
本件の事件で、売上重視の経営指導が組織的にあったことは明白である。この売上重視が神霊鑑定、御祈願による高額な御玉串をあげさせることを強く…促進させ、組織的な本件…について、被告人ら特に斉藤の責任は重いものである。
しかしながら斉藤は公判で述べたように、御玉串の収入は神世界の活動、宗教施設、美術館開設等のために使おうとしていたのであり、神世界全体や幹部の私利私欲のためだけに売り上げを伸ばすことを考えていた訳ではない。もっとも贅沢をしていると誤解されるような行為、例えばブランド品や…については、宗教的指導者たるもの、個人的、論理的に…なものではない。
結果的に、救い、奇跡の拡大という目的と、その目的の活動資金が…てしまったが、被告人らが神世界、千手観音教会の活動を始めた時は、最初から売上があったのではなく、救い、奇跡を広めるという宗教的信条、善意、…あったこと、被害事実はもちろんであるが、…によって奇跡得た、救われた事実も被告人らの量刑に適用されるものと思われる。

●トラブル防止の…について
佐野の公判での供述等により、…神霊鑑定の事件が、本件事件前に生じ、高額な御玉串の返金を求められたが和解したことが問題となり、神世界全体としてトラブルのリスク…改善、ないし廃止や返金が佐野から提案されたが、その後、本件事件が発生した刑事事件として捜査が入るまで、具体的に神霊鑑定の廃止や返金に向けた対策がとられなかった。
このことは後述するように斉藤も売り上げ低下と自己の宗教活動の否定を恐れたことが一つの原因であるが、
組織が拡大し、各会社の経営に直接タッチすることは困難であった。
当時の弁護士の…ことも量刑に当たって考慮すべきである。



各被告人の共通情状について

●示談と被害回復について
本件事件に共通の被害者は2名で、対象となる被害金額は、被害者Dさんについては金100万円、被害者Eさんについては50万円であり、合計150万円であって決して少なくない金額である。
しかしながら、継続していた民事裁判上の和解示談が成立し、刑事被害金、民事請求金額、慰謝料、弁護士費用、遅延損害費用を含む被害者Dさんに対しては金○○万円が支払われ、被害者Eさんに対しては○○万円が支払われ、刑事的民事的被害は回復している。
もとより、金銭的被害回復だけで被害者の神世界、被告人らに裏切られた心情、失った時間等について全て慰謝できるわけではない。被告人らは心より反省した…を伝え、以後の活動について過ちを被害者のみならず、一般会員にも伝え、…するよう、神世界という組織を解散解体して贖罪するよう思っている。
なお、被告人らは民事裁判上の和解で、合計金350,481,718円、裁判外の和解で合計151,505,728円を被害者らに支払っており、更に別の裁判外の和解で概ね186,825,723円を被害者らに支払う予定である。
すなわち被告人らは、刑事民事の被害者等との間で総計金688,813,129円の和解が成立し、そのうち金501,987,446円が支払済みである。
このように被告人らおよび神世界グループ全体が…する社会的責任を既に果たしている。
また、これらの原資は、弁護人が預かった被告人担保…から…されている。

●再犯予防と会社組織の解散について
神世界の被告人らは、今後神世界の宗教活動を一切しないことを誓っており、社会的責任の一環として、(有)神世界を含むグループ会社(有)えんとらんすアカサカ、(有)えんとらんすスリートウワン、(有)わーるどヒルズ、(有)みろく、(有)びびっととうきょう、(有)イースクエアなどを解散した。
今後被告人らは、清算解体作業を進め、可能な限り…と考えている。
よって被告人らに今後同様に詐欺を行うことはできず、再犯のおそれは全くない。

各被告人の個別情状について。

●被告人斉藤亨について
被告人斉藤は、宗教団体神世界の教祖、トップであり、本件の組織的詐欺を受け、金銭トラブルの…あった神霊鑑定の推進、売上重視の指導、神霊鑑定による金銭トラブル積極的保護策を怠ったこと、佐野からの返金の提案を拒否し続けたことなど、責任は重大である。
しかしながら被告人は、第1回公判から起訴事実を認め自白している。また、上記自己の刑事責任について率直に認め、反省の弁を公判でも供述している。
更に斉藤は、若年から父親の強い影響を受け宗教活動の道に入り、神世界の前身である千手観音教会を設立し、人々を救うため善意の気持ちから宗教活動を始めたものであり、組織的詐欺を意図として宗教活動を始めたわけでも、有限会社…でもない。御霊光にしても、神霊能力、神霊鑑定にしても、自己の宗教的信条と経験的確信から始まっていたものであり、…でもある。
現に千手観音教会時代、被告人斉藤は自ら会員の健康等の悩みを救うため、神手かざし、御霊光を1日30人行っており、私利私欲のために行っていたものではない。
もちろん自己が書いた神書の内容にある「薬毒」などの教えを守って健康を害し死亡したりする会員が生じたことも、どうしてそうなったのか悩みも持っていたし、神書の…口頭では説明もしていた。
確かに佐野からの返金等の提案を拒否したことは事実であるが、当時の弁護士の言葉を信用し、自己の宗教活動の全否定をすることに恐れを抱いていたのであり、この点は人間の心の弱さとして十分に理解できるところである。
…遅れたにせよ、被害者に返金している。更に斉藤は返金が遅れたことに対する後悔、反省、被害者に対する謝罪の意を表していることも、公判での態度から明白である。

組織の解散の主導…について。
更に斉藤は、宗教団体神世界…明確にするために、(有)神世界、(有)みろく、(有)びびっととうきょう等を主導的に解散させ、申し出のある会員からの返金もできる限り対応し、更に神書の絶版と神世界宗教活動を停止した。神世界を…教祖を辞め、宗教活動から引退することを表明している。もちろん斉藤は自己の宗教活動の中核であった御霊光や神書の教えについても不十分で、100%の奇跡結果生じないと、素直に謝りを認めている。

父親の嘆願。
斉藤の父親は病床の中、斉藤を宗教活動に引き入れた責任を痛感し、今後監督していきたい旨、自己が運営する宗教団体観音会も解散することを表明し、寛大な刑を嘆願している。
斉藤も父親に対し…を深めている。
前科前歴もない。

●被告人佐野孝について
神世界での活動、神霊鑑定について。
被告人佐野は、平成3年頃から、自己のあざの悩みを解消するために、前身である千手観音教会に通い始め、何度か続けていくうちに、熱心に千手観音教会に通い続けるようになった。
平成7年頃にスタッフとなった。
そういった中で当時の千手観音教会の教えであった…がよくないなどのことが会員の中で…たなか、佐野の子供が高熱等から重症を負う事態が生じた。また他の会員でも健康を害して…たが、教え自体が誤りであったとは当時思わなかった。むしろ斉藤から自己の行いが足りないのではないかと言われ、佐野は悩むようになった。
こういった経緯のなか、平成12年頃、佐野は突然神がかり状態になり、何かが乗り移って勝手に話す、観音様や霊的なものが見える、幻聴に悩まされるようになった。
佐野は斉藤に相談したところ、斉藤からは「神霊能力ではないか、人が幸福になるようになるとよい」と説明を受け、更に神様にお伺いをしたところ同じような説明を受け、斉藤から「具体的に教えていただけるようになるとよい」と言われたことから神霊鑑定が始まった。
つまり神霊鑑定は、佐野に身についた神霊能力に着目した斉藤の指導により始まることになったのである。
佐野は始めた当初は、神霊鑑定の方法は、相談者と対面で話して、相談者は神様の…、体の自由がきかなくなり、神様の言葉がスラスラと出てくるようになった。
しかし佐野は1日中神様からの声が聞こえ、見えないものが見えるということから精神的に…を覚え、一度神霊鑑定をやめることになった。静養ののち、斉藤のすすめから再開することになった。この際には精神的に不安定ではない状況の中で再開できるようになった。
平成13年、斉藤の指導により、(有)えんとらんすアカサカを設立した。
その後、佐野はアメリカに布教活動することになったが、神霊鑑定について淺原史利、淺原嘉子に神様の啓示から、出来るようになったということを受け、両夫妻に継承することになった。この経緯については省略させていただく。

神霊鑑定師を増やせないか神世界関係者から問い合わせがあり、佐野は神様からの啓示を受け、佐野はアメリカに行ったが、結局帰国することとなり、その後一時期神世界の活動を離れたが、復帰することになって、杉本昭枝被告の民事のトラブルの相談を受けるようになった。
その際、佐野は、神様からの啓示により神霊鑑定そのものの廃止を斉藤に何度となく…たが、斉藤からは…た。

佐野はえんとらんすアカサカ経営の指導を始め、平成18年3月には同社を3つの会社に分社化した。
すなわち、えんとらんすアカサカ、スリートウワン、わーるどヒルズの中で、佐野はえんとらんすグループの代表的な地位となった。
佐野は神世界斉藤の売上重視の経営指導を受け、えんとらんすアカサカの経営者であった史利や嘉子に対して売上を上げるよう指示指導していたが、現実に売上が激増することはなかった。
佐野は、売上が低いところは他の会社に吸収されると言われていたので、なんとかそれを防ぐため、事件当時売上を上げるよう具体的な数字を挙げ、スタッフミーティング、スタッフに対しての指導を行っていた。
また、佐野は平成18年春頃から、被告人淺原夫妻の多忙、集中的な…ために、アカサカのスタッフであった小塚麻衣子、証人Cに神霊講習を行った。小塚は神霊能力、神霊鑑定に自信を持っていたが、証人Cは確信を持っていなかったとのことである。

佐野は、訴因変更前までは起訴事実について否認ないし黙秘していたが、組織的詐欺訴因変更後、起訴事実を認め、自白に転じている。
そもそも否認していた理由は、当時斉藤をはじめ神世界全体として、詐欺にあたらない、返金すると詐欺を認めたことになる、全ての活動が詐欺扱い否定される、一度押収された…が還付された際、当時の弁護士に対して警察官は、捜査終了不起訴の見込みを期待させるにもかかわらず、強制捜査に踏み切り、警察に対し不審を持っていた。当時の弁護士から指導などによる。
しかし、佐野は平成19年強制捜査以降、神霊鑑定の廃止と返金を神様からの啓示を受けて、神世界を…何度と主張したが拒否され、神様のメッセージと、神様の媒体とされていた斉藤の言葉に挟まり思い悩んでいたところ、斉藤にも逮捕状が出たことに、やはり神様の意思に反したのが…至ったのであると確信し、自白に…たが、当時の弁護団では返金についての反対意見が出ていたため、被告人全員一致の意志統一、特に斉藤の逮捕起訴後、反対派の弁護士の辞任に伴い、訴因変更後、自白の方向転換がなされた。

佐野は起訴事実を認め、詐欺の可能性のある神霊鑑定を、えんとらんすグループの代表として始めたことに対し、後悔と反省していることは公判での供述、態度から明らかである。
被害者、スタッフ、…に対し、金銭的、精神的被害等、迷惑をかけたことについて謝罪の意思を表明している。
前述した通り、被害総額150万円はもちろん、民事請求金額の慰謝料、弁護士費用、遅延損害金も含めて支払いが成立している。否認の撤回と返金および示談の指導的役割を果たしたのは佐野本人であり、このことは量刑にあたって最大限考慮されるべき。

実権なきナンバー2について。
佐野は、インターネット等メディアでは、神世界ナンバー2と言われていた。これは、佐野は神霊鑑定を始めた者であり、神霊鑑定師として…斉藤が特別視されていたことから…。
しかしながら、神霊的宗教的には高く評価されても、会社の経営、神世界より大きな発言権は小さく、神霊鑑定の…ですら、神世界全体から聞き入れてもらえなかったことは、先ほどの…から明らかである。また、佐野が代表したえんとらんすグループの売上は、他の会社と比較して高いものではなかった。
つまり霊的、宗教的力はともかく、経済的、経営的能力については、佐野は高かったわけではない。
よって佐野は宗教団体神世界の経営、運営面、内部においては…ではない。いわば実権なきナンバー2というものであった。
なお、杉本の民事トラブル以降の対応策としては、杉本を他の会社に移させる、各会社に誓約書を書かせて責任を自覚させ、トラブル…防止を…ではないが、神霊鑑定…できなかったことは事実。これは単に発言権が弱かったことを意味するものである。

神世界との決別。
佐野は、「神世界の宗教活動は辞める」と決意し、(有)えんとらんすアカサカを解散し、(有)神世界も退職した。また神世界の教義は、御霊光の絶対的…考えを改めている。
更に被害者はもちろん、当時の活動を信じていた会員の信頼を裏切ったことについても、反省の気持ちを表明している。

今後の生活について。
佐野の性格は非常に真面目であり、収入は神世界の御玉串の他、妻の…に援助等に使っていたくらいで、自己の贅沢に使ったことはなく、日々宗教活動に没頭し、私生活に…もなかった。
佐野は悩みを…あるが、妻である…今後とも神世界活動においては新しい宗教をたてるということもないと…。
更に佐野には前科前歴はない。よって被告佐野には再犯のおそれはない。

●被告人淺原史利について
史利は平成9年頃、妻に誘われ、千手観音教会で御霊光受け始め、長年…たが、痛みがなくなったため、奇跡を確信するようになり、定期的に通うようになった。
平成13年頃、佐野に誘われ、(有)えんとらんすアカサカを…し、後に同社の代表取締役に就任。当初は…規模の会社だった山梨の赤坂台を中心に御霊光の…たが、東京に進出し、品川、永田町、青山等にサロン、取次所を設立した。
平成14年頃、史利および嘉子は佐野から、神様から能力を授かっていると知らされ、神霊鑑定を行うようになった。史利は最初、確信を持っていなかったが、鑑定結果が当たっていたことが判明して以来、自分は神霊鑑定ができるとの確信をもつようになった。
更に佐野から開発講座を行ってほしいと、これを承諾し、講座を開催した。佐野から神様から悩み…一種のインスピレーションを磨くものであり、具体的な…指導…ではない。わからないという人には、フォローアップ講座を行っていた。
なお、神霊能力開発講座にあたって誓約書いるが、これは参加者が…今後…責任自覚…ではない。史利らの責任…。

史利は、被害者Dさんに対する詐欺について、当時スタッフだった証人Cさんに…について、神霊鑑定で出すよう指示した。…発言等にあいまって、自分自身に奇跡を起こす力がないにも関わらず、被害者の子宮筋腫が御祈願によって…ように誤解させて詐欺に及んでいる。
しかしながら史利は御霊光や御祈願による奇跡を当時信じていたにせよ、少なくとも奇跡結果生じれば…よいという…的な偽網錯誤の…は容易に推測できるし、他方、被害者の言動を見ても、御霊光についての信仰心があったことは間違いない。
すなわち被告人は最初から明確な意図や、100万円獲得の動機で詐欺行為に及んだわけではないし、被害者の…についても、神様についての存在と神世界の教義について100%…わけでもない。

史利は被害者Eさんに対する詐欺について、子宮に関する先祖の霊についても、御祈願すれば確実に良くなると奇跡をないにも関わらずあるかのように装い、被害者に誤解させ詐欺に及んでいる。
しかしながら史利は、当時の本来の神霊能力、神霊鑑定に対する宗教的な…から、…積極的に詐欺を働こうとしていたのではなく、自主的な認識であったことは容易に推測できる。
更に史利は神世界の売上重視の指導について、売上を上げることに熱心ではなかった、えんとらんすグループの売上が良くないと佐野から強く言われることもあり、…行為も意欲的…とは言い難いものである。
また、史利は御霊光による奇跡体験や、妻に誘われ神世界およびえんとらんすアカサカに…たのであって、金銭獲得目的で宗教活動を始めたのではない。
訴因変更前は否認していたものの、起訴変更後の起訴事実には自白に転じている。その理由は事実関係がわからないということで詐欺をしたとは思っていなかった、
逮捕後当時の弁護士を通じて、…協力したにも関らず、強制捜査に至ったので、警察に不信感を持っていたことから否認していたが、公判での審議が進行するにつれて事実関係が明確になり、詐欺と言われても仕方がないと思うようになった、佐野が返金を強く主張し、…神様の…信したことから自己の過ちを再認識して自白に至ったものである。すなわち真実を…した贖罪意識を覚醒させたのであり、この…には十分…である。
また被害者らに対し、…100%確実な奇跡を与えるかのような言動で誤信させたことに対し、反省の…のみならず自己の宗教活動全般について…反省深く…。
史利はアカサカの代表取締役の地位にあったものの、えんとらんすグループでは佐野の次に位置したのは嘉子であり、史利の実際の地位は高くなかった。
史利に前科前歴はない。
史利は、神世界の宗教活動をしないと決意し、現実にえんとらんすアカサカを解散し、その清算返金手続きに…。また妻である嘉子も自分が夫を神世界に巻き込んだことについて反省しており、夫婦ともに神世界し、反省謝罪…。

●被告人淺原嘉子について
嘉子は平成9年10月頃、知人の紹介から千手観音教会に通うようになった。
御霊光を受けてお小水が増えたことから継続的に通うことになったが、もともと子供の流産、健康状態という悩みを抱えていたところ、通い続けるうちに体調が良くなっていった。
平成10年頃スタッフとなり、平成13年頃、斉藤から有限会社設立をすすめられ、史利を誘って(有)えんとらんすアカサカを設立した。
佐野が渡米後は、責任者として教会長と呼ばれるようになったが、佐野が復帰したのちはアカサカのナンバー2的な地位にあった。
なお、神霊能力開発講座…えんとらんすアカサカの…。

被害者証人Dさんに対する詐欺については、嘉子は、100万円の御祈願に加担している。100万円という金額が…Dさんが十分理解しているか不安に思っていたが、特に説明せず、御祈願の儀式、つまり祝詞をあげている。…あるが、神霊鑑定師とされていた人物はえんとらんすアカサカでは限られていたのであり、自身を含む詐欺の対象となる…加担していたことについて、少なくとも…は容易に推測できる。
被害者Eさんに対する詐欺については、嘉子は直接の関与はないものの、…行為、…史利の…はあったのであるから、最適な言動による…は明白である。
しかしながら嘉子は、神世界をめぐる指導に少なからず疑問を持っていたのであり、積極的な売上を上げろという…であり、教祖の考えを絶対視する…主義的な神世界の雰囲気の中、会員の自主性を尊重するなど、所謂少数異端的な…。…千手観音教会、神世界…しても、金銭獲得のためでなく、健康等の悩みを解消である救われたい気持ちからであり、御神業の拡大、すなわち宗教的信条から…である。
すなわち嘉子は当初から詐欺を積極的に意図して神世界の活動を始めたわけではなく、売上重視の指導…だったわけである。
嘉子も史利同様に訴因変更前はが変更後は自白に転じている。理由は、史利と同じ。
嘉子は、自己の奇跡体験から、御霊光を絶対であると強く認識していたが、被害者をはじめ奇跡結果をいただいていない人たちを見て、今では御霊光の絶対性、万能性に疑問を持ちはじめ、自分が行っていた活動のどこがあいまいだったか反省を込めているし、被害者に対する贖罪の意を表明している。

今後の生活等について。
嘉子は拘留中に父親を亡くし、本件について非常に親不孝をしたと非常に後悔している。
嘉子の性格は、Dさんが御祈願後に話しこみ、御礼したことや、情状証人の証言からも、温和で、且つはっきりとした人柄の良さがうかがわれるし、売上重視に疑問を持っていたことからもある程度の善意が見て取れる。
今後、神世界の宗教活動から離れて生活をすることを誓っているし、この通り前科前歴もない。よって再犯の恐れはなく、更生の余地は十分あるというべきである。

●総括
以上の通り被告人らは自己の罪を認め、反省し、被害者等に対する謝罪を深め、刑事民事問わず被害弁償を行い、神世界に限らず会社を解体している。
また、各被告人は、それぞれの立場での責任を痛感していると同時に、…教義等についても反省し、…認めている。
更に各被告人は長期にわたる拘留、インターネット掲示板やマスコミ報道により、事実上制裁を十分受けている。
会社の清算を通じた返金…詐欺…被告人らには責任を遂行することが…適している。
よって被告人らには社会的…なすことがふさわしいものであり、執行猶予付きの寛大なる判決を…。
…以下は省略。

以上の、市河弁護人が行った最終陳述については、下記に傍聴者の”わかりやすい”感想がありますので、併せてご覧ください。




■被告人最終陳述
⇒弁護人から、「被告人の最終陳述の順番は、斉藤被告から行わせてほしい」と裁判長に申し出があり、裁判長はそれを認めた。

■裁判長:被告人は、事件に対して最終的に言いたいことがあれば述べなさい。まず斉藤被告から。
斉藤被告:陳述書をしたためて参りましたので・・
■裁判長:では、読んでください
斉藤被告:最終陳述書。今回の神世界をめぐる組織詐欺としての刑事事件、民事上の損害賠償事件について、被害者の方、一般会員の方、その御家族、関係者の方に対し、誠に申し訳なく思っており、社会的責任として、神世界を解散し、教祖をやめ被害弁償返金等を行っておりますが、もちろんこれだけで、被害を受けた方の心の傷が癒え、失った時間が戻るわけではありません。可能であるならば、被害者一人一人の方に、私はお会いして、心からのお詫びを申し上げたいと思っております。人々に救いを与えることを目的に、千手観音教会、神世界の活動を始めましたが、目的とは逆の結果を持たらした点について、宗教家としては慚愧に堪えず、神様の意思に反することだったと感じております。このような事態になったことは、私自身の傲慢さに起因しますが、宗教活動自体、どんなに善意から始めても、人に不幸をもたらしてしまっては、無意味であること。社会常識と適合しなければいけないこと、過ちについては率直に認めなければならないことについて、深く自戒しなければならないと思います。私はこのような事件を起こしてしまったことを一生忘れず、二度とこのようなことを起こしません。最後に、被害者の方に対し、心より、陳謝します。申し訳ありませんでした。平成24年3月27日。被告人・斉藤亨。

■裁判長:では次に佐野被告前へ。言いたいことがあれば言いなさい。
佐野被告:被害者の方に誠に申し訳なく思っております。私の指導力不足、そして私の言動の愚かさを反省しております。今後は神世界の活動を行いません。本当に申し訳ありませんでした。

■裁判長:では次に淺原史利
史利被告:私の言動により刑事事件の被害者の方みならず、民事事件で被害を受けられた方、裁判外で被害を訴えている方々に、深く反省し、謝罪申し上げたいと思います。大変申し訳ございませんでした。今後は自分の心境としては、私に奇跡を下さった神様を信仰することはあっても、神世界の活動を供にすることはなく、自分を律して、今後はこのようなことが絶対にないようにしていきたいと思っています。被害者の方に誠に申し訳なく、謝罪申し上げます。申し訳ございませんでした。以上です。

■裁判長:では淺原嘉子被告
嘉子被告:大変申し訳ないと思っております。心より反省しております。本当に申し訳ありませんでした。

■裁判長:判決の言い渡しは、5月1日(火)の午後1時30分から行います。

●11:32閉廷



(傍聴者が見た市河弁護人の最終陳述感想)

☆嘘の大前提からのはじまり(無理のある宗教性の主張)
 初っ端から、「宗教団体神世界」などという前提を当たり前のように持ち出すなんて、オイオイオイ。あんなに隠してきた「千手観音教会」のことも、宗教団体だったって。あんなに「宗教ではない」と言ってきた事実があるのに、市河弁護人は恥ずかしげもなく「宗教的儀礼的行為を行う宗教であった」と言い切りました。スゲー。姓名鑑定や方位鑑定までもが「宗教的行為」だったなんて、無理ありすぎ。
 そして斉藤亨がこの活動を始めたのはそもそも父親のせい、更に父親が入信していた世界救世教のせいなんですって。それにしても28歳、29歳になってもまともな仕事もできずに実家でブラブラしていた亨って、ほんと情けない奴ですね。
 亨の書いた1兆円の価値があるという『神書』、内容の半分は亨がテキトーに考えたことにすぎないことや、亨自身、1回しか通読していないことなど、都合の悪いことには一切触れない市河さんでした。

☆不正な税務申告をしていた団体
 税務署から調査され、脱税分を修正申告した過去は恥ずべきことだし、税理士のアドバイスのもとで仕方なく有限会社化したのに、色々と偉そうによく言うわ。
 金儲けが楽しくなり、人を使うことを思いついた斉藤亨の経営者募集作戦で、しょーもない会社がたくさんできたちゃったのよね。

☆幻聴は統合失調症の症状
 神霊能力、神霊鑑定のはじまりなんて、そもそも頭のおかしかった斉藤亨自身の幻聴と、そんな斉藤のそばにいておかしくなっちゃった佐野の幻聴によるもの。佐野の「神がかり状態」なんて、要するに、佐野の頭がおかしくなって暴れながら訳わかんないこと喚いていただけじゃない。低級霊が憑いただけだったんじゃないのー?
 そんな弱い佐野を徹底的に利用した斉藤の罪は、精神病を抱えた者同士仕方がないわねぇと許される程度のものではありません。

☆神霊能力も神霊鑑定も、そもそも偽物(だってはじまりは、精神病の症状から)
 「本来の神霊能力、神霊鑑定は正しいし、神様は正しいけれど、今回問題になっている神霊鑑定師たちが悪かっただけである」という理論も、神霊能力開発講座についての弁解も、グダグダ長いだけで、全く無意味です。

☆嘘つきは神世界のはじまり
 宗教ではないと言ってきたことに対する言い訳、あたかも検察がおかしな指摘をしているかのような言いぶりには、呆れてものが言えません。看板を偽って、最初から人を二重に騙しておきながらよく言うわ!そんな騙しが通用するなら、暴力団が麻薬を「健康になるサプリメントです」とか言って売れることになるでしょうが。
 「超宗教」なんて言葉は、公判で初めて聞きましたからね。極めつけは、「でも、中に入ったら宗教だってわかったはずだ」って。どこまで失礼な奴らなんだ。「体に入れているうちに麻薬だってわかったはずだ」って言ってるのと同じことだー!(怒)

☆幹部が贅沢をし、栄耀栄華することが目的だった神世界
 売上重視だった事実は弁解のしようがないから認め、私利私欲のためだけの贅沢三昧については「誤解されるような行為」と苦し紛れの弁解。ブランド品購入も御神業のためって、笑っちゃいます。奇跡だ救いだとか綺麗事並べても、私利私欲のためだったことがバレちゃった「今の結果が全て」なんだから、もう諦めなさい。

☆平成17年の杉本の民事トラブル
 以前、杉本が民事トラブルを起こした後に適切な対応ができなかったことまでも、さりげなく当時の弁護士のせいにしちゃうとはお見事。神世界は、子会社であった杉本の会社から法外な額のロイヤリティを吸い上げておいて、そのやり方に一切口出せなかったなんて、都合のいい言い訳。
 あのときもっとはやく反省していれば、こんなことにならなかったのにね。

☆被害回復はごく一部でしかない
 示談と被害金支払いは、これまでさんざん無回答で引き延ばし続けてきた被告側が、最近になって慌てて交渉してきたもの。市河さんの血迷った一連の行動は記憶に新しいところですね。何言っているのかわからないような小声で早口で陳述読み上げているくせに、「慰謝料」のところだけは随分大きな声で強調しましたけど、全員に払ってないでしょ、慰謝料。それに、慰謝料が支払われたといっても原告の方々の苦しみは、そんなちっぽけな金額で回復できるものではありません。
 被害者に支払った合計金額が大きいようにみえても、それは神世界が荒稼ぎした分のほんの僅かな一部に過ぎません。どうせなら、過去の決算書を公表してからモノを言え。あ、売上過小申告して隠し財産もあることだし、そもそも決算書自体、信頼できないものでしたか。おーい、経理担当者、反論してみろ。

☆軽いノリ、”Kaisan”
 会社を”Kaisan”したからといって、反省しているなど、全く説得力なしです。そんなことで、「再犯のおそれは全くない」と自信たっぷりに言われましても。


☆お粗末な個別情状

●人間的に心の弱い教祖様
 斉藤亨は、最初から起訴事実を認めて自白した、ってそれ、ただ単に拘留に耐えられなくて、根を上げただけなんじゃないの?集団生活に耐えられなくて学校を中退したように。逮捕状出て逃げまわったことについては、すっかりスルーかい!
 キチガイの幻覚が、多くの人を巻き込んで迷惑をかけたことを反省するでもなく、他の宗教団体に責任を押し付けたり、はじまりが善意であったかのようなこと言って誤魔化すなよ〜。死者まで出したことに対して、なんでだろう〜?で済ませるのかよ〜。
 そして一番ウケたのは、「(亨の)人間の心の弱さだったんだから、仕方ないじゃない、理解してよ」ってところ。本当に吹き出してしまった。教祖様なのに?神様と同じ魂をお持ちのお方なのに?こんな人間的に心の弱い、しょぼいおっさんが、よくもまあ、「人類は私を通してのみ、救われるのである」と言い切っていたもんだ。昨年(平成23年)11月1日発行の神世界新聞をご覧くださいな。「『創造者の方』に、何があってもついていきます」と心に決めた人は、今どうしてるの?そういった会員の心のケアは、この先、誰がどうしてあげるの?
 結局被害者には返金したんからもうオッケーでしょ、っていうのは、万引きが見つかったあとで、ちゃんと返したんだからいいでしょ、と主張することと同じ。ふてぶてしいにも程があります。
 そんなバカ息子の行いを、父親として本当に申し訳なく思うのなら、這ってでも出てこい、じいさん。病院での治療を否定し、死者を出しておきながら、自分は去年から入院してまだそこにいるんですか。ウドの大木のようなとっつあん坊やの監督や更生指導など、あなたに出来る筈などないです。

●情けないナンバー2
 佐野のことは、決して庇うわけではありませんが、なんだか気の毒な、哀れな男だなーと思いました。一番斉藤にいいように利用されて…。異常な環境下でこき使われているうちに実子が障害児になったら、そりゃ頭おかしくもなるわ。ヨメさん選びも間違っちゃったしね、2回も。
 ひどい仕打ちの見返りにもらった立派な肩書きを掲げて、あんなに自分の優秀さを強調していたのに、弁護人からは「経営者としての能力なし」って言われちゃってますよ。「実権なきナンバー2」って。「霊的には高かった」ってフォローは、お願いして言ってもらったの?そこにはまだこだわるのねえ。
 佐野が代表していたえんとらんすグループの売上は、「他の会社と比較して高いものではなかった」そうですが、それは「えんとらんすより高い売上を上げていた会社の経営者のほうが罪は重いんです」ってことね、市河さん。それはつまり、びびっととみろくのことで、オッケー?
 ついでに、心の弱い佐野の幻聴から始まったに過ぎない神霊能力に対して、未だに自信を持っている小塚麻衣子って、なんだかなー。

●何でも人のせいにするえんとらんすの代表者たち
 佐野も史利も嘉子も、完全否認から一転して自白に転じた経緯と理由は全て人のせいですか。当時の弁護士から反対されていたから、逮捕も起訴もないと言われていたから、警察に騙されたから不信感をいだいてしまったから、云々。
 佐野は、神様からの言葉よりも斉藤亨と弁護士の言うことをきいたのよね?そんな会主様を、天野先生や教会長は、妻りらと、栗山は一体どう思っていたのか、そこのところ、どーなのよ。

 ああ、だんだんアホらしくなってきました。

●代表取締役、天野先生
 史利が行った被害者に対しての言動と、利用した元スタッフに対しての言動とその言い訳は、バカバカしくて、脱力。天野先生、そんな弁護(じゃなくて弁解だ)してもらって、自分で聞いていて恥ずかしくないの?
 被害者DさんとEさんに、ちゃんと謝罪したのですか?せめて刑事事件のこのお二方のところへは、直接出向いて頭下げる必要あるんじゃないのー?まだ収監されるまでに時間はありますよ。
 あれ程スタッフやお客様に偉そうなことを上から目線で言っていたくせに、このザマは何だ。

 そうそう、肝心な罪を認めないのは、そこを認めると罪がもっと重くなるとわかっているからよね。
 平成17年に杉本が起こした民事トラブルをきっかけに、神霊鑑定はやっぱりマズイと本気で気付いたものの、荒稼ぎできる絶好の手段を捨てるわけにはいかず、「そうだ、経営者が直接訴えられないようにさえすればいいんだ、そうだ、使い捨てのスタッフを使おう!スタッフに責任をなすりつけられるようにしよう!」ということになって、証人Cを騙して利用し、被害者Dさんに金額だけ伝えさせるように思いついたんですよね。その時は、うまいこと思いついた!とでも思ってたんでしょうねえー。まあ、これだと普通、被害者Dさんは「100万円支払ったのは、証人Cからそう言われたからです」と答えますものね。そして、「被害者に金を出せと言ったのは、従業員であって、私たちではない、私たちは知らない、責任は従業員にある」とすっとぼけられますものね。

 市河弁護人はそんな史利のことを、妻・嘉子に誘われて入った、とか、アカサカの代表取締役の地位にあったものの地位は嘉子の方が高かった、とか、しょーもない言い訳で庇うことしかできないのですか。

●大神霊教会教会長、経営者橘先生
 では、地位の高かった嘉子に責任を負わせるのかというと、今度は、「嘉子はアカサカのナンバー2だった」と逃げるんですよね。あれ?アカサカのナンバー1は誰?そうか、「実権なきナンバー2」の会主様ね。じゃあ、アカサカの責任者は、一体だあ〜れ?市河さん、論理が破綻してますよー。

 嘉子は「教会長」というお姫様の座を守ることに必死で、戦略なきヒステリックな売上指導でスタッフをこき使い、スタッフやお客様を捕まえては「あの人は精神病」というのが大得意でした。他人の自主性を尊重?笑わせないでほしい。だいたい、被害者Eさんのこと、「面識ない」なんて言っているけど、嘘。さんざん私に悪口を言っていました。「○○(Eさんの職業)の人って、自分が女の子ってところだけで勝負しようとしている。ニコニコ笑顔でさえいればいいって考えなのよ。Cさんもそうですからね、私にはわかるのよ。○○の仕事の人って、みんなそういうところがあって甘い。ここは厳しいですからね、私はそんな甘えはないですからね。そんなことでは神様救ってくれませんよ」って。で、そんな嘉子は今どれだけ自分に厳しいのでしょう?
 御霊光の絶対性について、公判できちんと語れないで何が「大神霊教会教会長」で「経営者」なのですか。
 他人の人生やその家族をさんざん貶めてきた彼女の父親の死を情状に出されたところで、何も響きません。
 温和で人柄が良いなら、何故彼女を恨む元スタッフやお客様が多数存在するのでしょう。あの性格を叩きなおすためには、更生施設に入れることが適切です。それにしても、元スタッフだった彼女の実姉は、何故情状証人として出てこなかったのでしょうね。

 こんな被告人らに、寛大なる執行猶予付きの判決など、有り得ません。

 公判を傍聴できなかった被害者の方々、これが実態です。
 「被告人らは心から反省しており、再犯の可能性はない」と主張する弁護人の意見は正しいと思われますか?








■杉本明枝被告の追加審議(11:40〜12:00)
 以上で斉藤亨ら4被告に対する裁判は終わったのだが、この日は意外なことに、すでに結審している杉本明枝被告の追加審議があり、証拠調べと杉本被告の陳述等が行われた。
 被害者が傍聴席に入ると、杉本被告は、じーっと被害者をにらみつけ、”ふてぶてしいオーラ”を発していた。
 追加審議は20分ほどで終了したが、その内容は下記の通りだ。下記も含めて、この日の公判は午前中で全て終わった。
 この記事は、取り敢えずこの位置に置いておくが、一定の期間が経過した後は、杉本明枝被告の公判記録の方へ移動させる予定。


■裁判長:では、弁論を再開します。弁護人からどうぞ。

■証拠調べ請求
市河弁護人:
弁11号証〜弁17号証:民事原告との和解及び裁判外の和解に関する文書
弁18号証:これは解散宣言をインターネットで公開したもので、「神世界解散宣言」と題したもので、本件被告人である吉田(杉本)明枝を含めて、神世界が解散する旨を公示したものである。
【市河弁護人は、裁判でこれを言いたかったので、急遽、あのブログを作り、ひっそり公開した訳だ。】
弁19号証〜弁32号証(神世界及びえんとらんすアカサカ、えんとらんすスリートゥー1、えんとらんすわーるどヒルズ、みろく、E2、びびっととうきょう各社の解散登記関係書類)
弁33号証:杉本被告が(有)びびっととうきょうに対して退職を申し出た書面。
弁34号証:被告人・斉藤亨の被告人供述調書で、被告人杉本は組織の中の一員であり末端に過ぎなかったことを証明するもの
弁35号証:被告人・佐野孝の被告人供述調書で、佐野に比較すれば杉本は末端に過ぎなかったことを証明するもの
弁36号証:被告人・淺原史利の被告人供述調書で、神霊能力開発講座に杉本が参加し、それをきっかけとして杉本が神霊鑑定を行うようになったことを証明するもので、杉本の神霊鑑定は被告の積極的な意思で行ったのではなく、神世界の指導によって行われたものであることを証明するものである
弁37号証:被告人・淺原嘉子の被告人供述調書で、会社は違うが、被告人・杉本と同じように嘉子被告も組織の中では、あまり重要な地位を占めてはいなかったことを証明するものである
弁38号証:裁判外で和解した人との和解調書。以上です。

■裁判長:検察官、ご意見は?
(検察官からは特に意見なし)
市河弁護人:今回の証拠提出に関連して補充の弁論があります
■裁判長:ではどうぞ
⇒市河弁護人が、「被告は反省している」、「被害弁済をしている」、「すでに組織を解散し、今後活動は行わない」など”取り留めのない言い訳”が、くどくどと述べられ、被告に執行猶予付き判決を求めた。
■裁判長:被告からは、前回すでに最終陳述を聞いているが、今回新たに述べたいことはあるか?
杉本被告:皆様にご迷惑をおかけしまして、金銭的な弁済は済んでおりますが、○*△×%#*・・・、人々にお詫びをして行かなければいけないと思っています。
■裁判長:判決は前回伝えた通り、4月16日の午後1時30分から行います。


(傍聴者が見た杉本被告の印象)

 杉本被告が、傍聴席に向かって睨みをきかせる姿は、まだ自分が女王様だと勘違いしているようにしか見えず、その手に鞭を持たせたらとてもよく似合いそうだった。あの顔で睨まれていたE2の客はさぞや恐ろしかったことだろう。“何見てんのよっ!”と言わんばかりのその顔で、『反省してます』と言ったところで何の効果もなく、捨てられないプライドのために自滅の道まっしぐらでしかない。
 どんな言葉で取り繕おうとも、そのふてぶてしさ極まりない姿からは、会社経営者のけの字も思い当たらないし、救いの宗教活動をしていたとは到底思える訳もない。
 心と言葉と行動がまったく一致していないと言うべきか、自分の心にものすごく素直と言うべきか、見ている方が恥ずかしくなるような醜態だった。


(傍聴者が見た杉本裁判の印象)

 市河さ〜ん。斉藤、佐野、史利、嘉子が、揃って「杉本は組織の一員であり、末端に過ぎなかった」と供述したことを今回証拠として請求しましたが、そんなことで情状酌量を求めようなんて、どーなのよ(呆)。
 その理論でいくと、杉本が退職願を出した先である、びびっとの経営者にこそ責任が及ばなきゃだめってことにならないかしら?大丈夫??
 そりゃあ、確かに佐野に比べれば杉本の地位は低かったでしょうけど、杉本は自分で「私は四天王の一人だ」って言っていたそうですし、毎月の陽神祭でも、エラッそ〜に後から人を押しのけて最前列に並んでいましたよ。あの姿から「末端に過ぎなかった」と今更言われましてもねえ。
 それから、神霊能力開発講座は神世界の指導によって行われたものだから、それによって神霊鑑定を行うようになった杉本には責任はないと主張するならば、それじゃあ一体誰が責任取るのよ?「神世界の指導」って、人格なき法人にぼんやりと罪をなすりつけて終わり?
 あれー?そういえば法人の代表取締役は、誰でしたっけ?陽龍様は、あんなに「私が教主様をお守りする」って言っていたのに、未だ何もしないのねえ。まさか、斉藤亨は教祖様だからもう守る対象ではない、これからは孫である「現教主様をお守りするんです」ってことー?

 びびっとの弁護士さ〜ん。和田から巨額の報酬受け取ってるんだから、市河さんにばっかり仕事させたらお気の毒ですよ。



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