神世界事件 最高裁が上告棄却の決定

(最終更新日時:2013年6月6日 14:50)


最高裁が斉藤亨被告の上告を棄却する決定(2013年6月4日)
最高裁判所(千代田区隼町)

 組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われ、第一審の横浜地裁では懲役5年、2012年12月6日に行われた控訴審(東京高裁)では懲役4年6月の実刑判決を受けた神世界「教祖」・斉藤亨被告(55)は控訴審判決を不服として最高裁に上告していた。
 控訴審判決から約6カ月後の2013年6月4日(火)、最高裁は斉藤被告の上告を棄却する決定をした。この決定により、斉藤被告を懲役4年6月の実刑とした第二審判決が確定する。
 最高裁の決定に対して不服がある場合は決定から3日以内に「異議申し立て」を行うことができる(刑訴法414条・386条2項・385条2項、422条1項、55条1項)。斉藤被告が3日以内に異議申し立てをしなかった場合は6月7日(金)に懲役4年6月の刑が確定する。3日以内に異議申し立てをしたところで最高裁は直ちに申し立てを棄却するのが通例なので、異議申し立てによって斉藤被告が実刑判決を免れることはあり得ない。実質的には6月4日に最高裁が下した「上告棄却」の決定によって斉藤被告の実刑は確定したと考えて良い。

 判決が確定した段階で斉藤被告は検察官から呼び出しを受け(484条)、いずれかの刑務所に収監されることになる。斉藤被告には逮捕後身柄を拘束されて取り調べを受けていた期間(未決勾留日数)があり、その中から90日間が刑に参入されることになっているので、懲役4年6月の実刑であるが実際には4年3月の間、刑務所に収監される。

 ライブドア事件で逮捕・起訴されたホリエモンは懲役2年6月の実刑判決を受け、2011年6月20日に長野刑務所に収監された。彼の刑期満了日は2013年12月19日となるが、実際には2013年3月27日に仮釈放になった。刑期の約4分の1を残して仮釈放されたことから”4ピン”という刑務所用語が盛んに報道された。4ピンとは「全服役期間の4分の1を仮釈放期間にする」、5ピンとは「全服役期間の5分の1を仮釈放期間にする」という意味だそうだ。ホリエモンは刑務所内で衛生係として高齢受刑者の世話をするなど積極的に働いていたので仮釈放を得ることができたようだ。ホリエモンが収監されていた長野刑務所での刑務作業は下記URLにて参照できる。
http://www.moj.go.jp/KYOUSEI/KEIMUSAGYO/sagyo/sisetu_nagano.html

 集団生活が苦手な斉藤亨被告が刑務所内で模範囚となり、刑期満了までに仮釈放になる可能性はいかがなものであろうか?
 以下に最高裁が斉藤被告の上告を棄却する決定をしたことを報じたマスコミの記事を掲載しておく。


山梨日日新聞(2013年6月6日)




北海道から九州まで、共同通信系各紙が報じた紙面(2013年6月6日)





日本経済新聞(2013年6月5日)

●神世界「教祖」の実刑確定へ 霊感商法巡り最高裁決定

 神世界グループの霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われた「教祖」の斉藤亨被告(55)の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は5日までに、被告側の上告を棄却する決定をした。懲役4年6月とした二審・東京高裁判決が確定する。決定は4日付。

 一審・横浜地裁判決は「グループの最高責任者として詐欺のシステムを構築し、巨額の利得を得た」として懲役5年としたが、二審判決は一部の被害者と和解したことなどを重視し、懲役4年6月に刑を軽くした。

 一、二審判決によると、斉藤被告はグループ幹部らと共謀。2004〜06年、「祈願すれば悩み事が解決する」などと嘘を言い、5人から計1340万円をだまし取った。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0504T_V00C13A6CC1000/



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