2008年12月30日、北海道大学は竹市幸子准教授の諭旨解雇処分を決定した。 (詳細はこの記事の末尾に掲載) |
まず最初に下記の写真をご覧頂きたい。
これは北大構内に数十カ所ある掲示板のうちの一つだ。掲示物の内容は、他の場所に設置されている掲示板もほぼ同様で、「ヒーリングサロンによる被害について」と題した神世界に対する注意を呼びかける文書が文学部、教育学部、経済学部、法学部・・・など多くの学部の掲示板に貼られていた。
北大がこうした掲示を行った背景には、北海道大学准教授の神世界事件への関与という事実があるのだが、一連の掲示物や下記のHP上の記述にも北大准教授が事件に関与している事実は一切触れられていない。
なお、このページで札幌サロンの運営に深く関与してきた北大准教授としてその責任を追及しているのは、右上に掲げた北海道大学電子科学研究所に属する准教授だ。この准教授に誘われてサロンに通い、友人を神世界に誘っていた文学部准教授のAは神世界事件への関与は少ないと思われるのでここでは対象にしていない。
クリックすると大きくなります(2008年4月撮影) |
掲示板に張り出されていた文書の内容は、以前、北大HPで公開された学生向けの文書(下記)とほぼ同じ内容だ。なお下記の文書は現在北大のHP上にリンクが示されていない。
クリックすると大きくなります(北大HPより) |
北大の調査
北海道大学当局は神世界被害者からの告発を受けて学内で調査を行い、告発の内容が事実であることは確認している。
しかし肝心の准教授は、”私は被害者だ。神世界に利用されていた”という趣旨のコメントを述べただけで、それ以上の聴取に応じようとせず、大学当局も准教授本人の口から事件に加害者として係わっていたという供述が得られないので、それ以上の処分ができないでいるのが現在の状況だ。
北海道大学では、「摂理」や「統一協会」など多数のカルトや宗教の勧誘を学生や職員が受ける被害がこれまでも相次いでいるおり、そこへ今回の神世界事件も加わったので大学当局も警戒感を高めており、北大学生相談室HPでの悪徳商法についての注意喚起や、こんな勧誘にご用心!という「日本脱カルト協会」作成の小冊子をごく最近全員に配布したり、クラス担任からも学生に対して注意喚起をするなど例年以上に対応を強化している。
神世界については冒頭で紹介したように、「神世界」という固有名詞を示してポスターでも周知を図っているが、肝心の准教授に対する処分は手つかずの状態だ。
”疑わしきは罰せず”というのが大学当局の姿勢であるようだが、そんなことで学生や職員の安全が守れると大学当局は思っているのだろうか?
大学としての社会規範、行動規範を忘れたのか?
私は、北海道大学はもう少しは良識を備えている大学だと思っていたが、私の考えが甘かったのか?
国立大学に対しては、他の社会組織、例えば企業や政府、地方自治体などに対するよりもはるかに高い社会規範、行動規範が期待されてきたはずだ。
大学は研究や勉強だけをしていればいいのではなく、教育であれ、研究であれ、あるいは不祥事への対応であれ、大学には常に社会を先導し、自らの活動についてきちんと説明することが要請されているはずだ。
今回の神世界問題のような不祥事が発生したとき、説明責任を果たさず、不透明な運営を続ける大学は、いずれ社会から不信感をもたれ、脱落していくだけだ。
私は北海道大学当局はもちろん、彼女が属する研究室、彼女の研究に資金を出していた各種組織及び団体などおよそ考えられる関係先には詳細な事実経過を文書で報告し善処を求めてきた。
北海道大学は上記のようなHPへの警告文、学内掲示板への警告文書掲示を行ったが、文書を送った被害者や詳細な被害内容を送付した私宛には何の回答もない。
北海道大学のある関係者からは一度だけ私にメールが来たが、それは私が直接文書を送った相手ではない。
北海道大学は北大准教授が神世界に関与していた問題に対し、このまま何の決着もつけずに闇に葬るつもりなのか?
そんなことで北大の学生や職員の安全は守れるのか?
「疑わしきは罰せず」という大義名分に隠れ、何も処分をしないのは大学当局の怠慢でしかない。
本腰を入れて調べようとすればいくらでも関係者の証言は得られる。
現在の状態では、北大がこの問題に関して十分な調査・対策を施し、社会に対する説明責任を果たしたとは到底思われない。
准教授が係わった神世界事件とその被害
私の手元には、北大准教授が深くサロンの運営に係わってきたことによってどれほど多くの被害が札幌で生じているかを示す詳細な資料がある。
札幌サロンの売上げを記録した資料(右図)を見ると、1年間で約7,300万円の売り上げがあったことが記録されている。
この売上げの詳細な内訳も入手しており、御祈願と呼ばれる高額な支払いをした個人別の記録を見ると、いかに荒唐無稽な理由付けで客から多額の金を詐取してきたかがよくわかる。
札幌サロンは、わーるどヒルズの中で稼ぎ頭だった。その過激な売り上げ向上に大きな力を発揮してきたのが准教授だ。
なぜそのような断定ができるか? それは下記に紹介する被害者の声を聞いてもらえば分かる。いずれも札幌サロンで神世界被害に遭った女性達の声だ。
大学生協などの動き
大学生協という組織は大学当局とは別の基軸で活動している団体だ。
北大生協も今回の神世界事件には強い関心を示しており、独自の注意喚起を学生や職員向けに行う予定をしている。
2008年5月7日に入った情報では、北大生協は独自に下記のチラシを作成し、手始めに大学周辺の一般住宅約1,000戸に戸別配布を行ったとのことだ。
神世界事件に対してはこれまでも各地で色々な活動が行われてきたが、今回のように一般住宅にまで大量のビラ配布を行った活動は初めてだ。
通常は大学生協といえば大学内だけで活動している印象が強いが、札幌というきわめて神世界被害が色濃く広がっている地域にあっては、こうした活動こそが、”地域に密着した有益な活動”と言える。
北大生協のこうした活動は大きく評価されてよく、今後同じような動きが他の地域にも拡大されることを期待したい。北大生協には今後も機会を見つけてビラ配布を継続していただくようお願いしている。
こうした動きに触発されて北大当局も准教授に対する処分問題に重い腰を上げてくれることを願いたい。
他の地域に於いてもビラ作成などに関して当方に協力要請等があればいつでもお手伝いさせていただくので連絡願いたい。
(拡大図) |
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北大周辺地域に1,000枚配布された神世界被害等への注意喚起ビラ クリックすると大きくなります(2008年5月撮影) |
被害の防止に向けて
神世界は神奈川県警の現職警視や多数の警察官、芸能人、著名なスポーツ選手、国立大学准教授など、多数の著名人を広告塔として使用し、あたかも神世界が社会的に認知された安全な団体であるかのように装って活動を続けてきた。
被害者が深く神世界を信ずるに至った背景には、「現職警視も通っている」、「大学准教授も積極的にサロンを勧めている」といったように、社会的地位を持った者がサロンにいたことが信用するに至った大きな要素となっている。
神奈川県警の警視はすでに懲戒免職処分となっているが、北大准教授に対しては何らの処分も行われていない。
このまま准教授が北大や研究施設に存続し続けることは学生や職員をその毒牙に晒すことと等しい。
被害を防止するには関係機関がこの問題の重要性を認識し、准教授に対し社会的責任を取らせることが絶対に必要である。
すでに下記の官庁、緒団体、マスコミには見本として示したような内容の文書を送付し事件の詳細を伝えてある。
これを受けて何らかの対応をとったところもあるが、未だ有効な被害防止策をとっていないところも多い。
2008年4月を迎え、すでに多数の新入生が北大に入学している。
神世界事件はすでに終わった事件ではない。現在も各地のサロンは営業を続けている。准教授はこちらの呼びかけにも一切応答せず、まだ強く神世界を信じて活動を継続している。
准教授に対する処分を行わず、准教授をこのまま放置することは北大当局が危険な分子を学内に放し飼いにしているのと同じことだ。然るべき処分を急がねば大学当局がその責任を追及されることになるのではないか。
新たな被害が発生する前に手を打つことが絶対に必要だ。
准教授の神世界への係わりを告発した文書を送付した機関
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準教授個人への呼びかけ
被害者からの一方的な意見だけを聞くのではなく、准教授本人からも意見を聞かなければ公正な判断はできないので、私は直接准教授にメールを送り彼女からの回答を待った。
メールは彼女の個人アドレスと北大で彼女が使用しているアドレスの両方に送り、いずれのメールも相手側に届いていることが確認されている。
しかし、准教授から一切の応答はない。
私は北海道内のマスコミ各局にも協力を依頼し、記者が再三准教授への直接インタビュー、電話インタビューを試みたが、そのほとんどに彼女は応答しなかった。
唯一彼女の応答が得られたのは、HTB(北海道放送)が2008.01.08、「イチオシ!」という番組で報道したものだけだった。これは記者による電話インタビューに彼女が応答したものだが、しどろもどろになってあやふやな応答を繰り返すだけの彼女の様子に不信感は増すばかりであった。あれは、准教授という社会的地位のある者の回答、態度とは到底思えない恥ずかしいものでしかない。
(fujiyaから准教授へのメール) 家族を新興宗教から守ろう http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9575/ ■■■■ anti_cult2004@yahoo.co.jp +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ |
準教授に関するマスコミ報道
准教授が神世界サロンの運営にどのように関与していたのかについて、マスコミでは下記のように報道されている。
准教授がサロンの運営に深く関与していたことは明白な事実だか、准教授自身は「私も被害者だ」、「マンションを乗っ取られた」などとたわけた発言をしており、それをそのまま掲載したマスコミもあるが、准教授を被害者と表現している報道は状況を正しく伝えているとは言えない。
HTB(北海道放送)が2008年1月8日に放送したイチオシ!という報道番組の中で流されている准教授に関する報道、そして准教授のあわてた様子が准教授の神世界関与の全てを物語っていると言えるだろう。
北海道大学准教授の神世界関与を報じたニュース | |
2007.12.25カナコロ |
2007.12.26北海道新聞 |
2007.12.26 STV NEWS |
2008.01.08HTBいちおし! |
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再三にわたる北海道大学当局への申し入れ
北海道大学に対してはこれまで何度も准教授に対して然るべき調査を行うこと、そして妥当な処分を行うように申し入れてきた。
しかし2008年12月に入っても特段の動きはなかった。
その少し前の2008年8月頃、一部の被害者の元へ大学当局から、「准教授が客に配布した名刺などの証拠が入手できないか」といった問い合わせがあった。
その話を聞いて私も複数の関係者に依頼して准教授の名刺を保管している人がいないかを探していたがなかなか見つからなかった。
11月になって、ある被害者が准教授から受け取った名刺を所有していることが分かり、それを提供してもらうことができた。それを証拠として突きつける形で12月10日に再び下記のメールを北海道大学に送付した。
(2008年12月10日に北海道大学に送付したメール) +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ 家族を新興宗教から守ろう http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9575/ ■■■■ anti_cult2004@yahoo.co.jp +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ |
突然の記者会見
北海道大学から私に対しては何の連絡もなかったが、2008年も押し詰まった12月30日になって大学当局は突然記者会見を開いた。
記者会見した逸見勝亮(へんみまさあき)副学長は、竹市幸子(小山幸子)准教授の諭旨解雇処分を発表した。
併せて北海道大学のHPに処分内容を知らせる文書(下記)が掲載された。
この記者会見に臨席していた北海道大学電子科学研究所所長・笹木敬司氏は竹市幸子准教授の直属の上司で以前私が申し入れをしていた人物だ。
これを受けてマスコミ各紙・各局は一斉に准教授に対する処分決定を報道した。
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審査結果通知書によると、「12/30から2週間の弁明の機会を付与する」とある。
准教授はこれまで一貫して、「自分はサロンの運営に係わっていない。客を勧誘したこともない」と主張しており、今回もその主張を繰り返すなどして助命嘆願を願い出る可能性がある。
2009年1月13日が弁明期間満了日となる。その日まで彼女の動向を注意深く観察する必要がある。
大学当局が彼女の虚言による弁明を誤信し処分を撤回することのないよう、彼女が勧誘した客を特定し、証言を得る準備をしている。
1月13日以降に最終結果が出るだろう。
諭旨解雇で退職
2009年1月13日を過ぎても准教授が最終的にどのような処分となったかの情報はなかなか出てこなかった。北海道大学に対しては私から直接メールで問い合わせをしていたがそれに対しても何ら回答はなかった。
そんなとき、仕事上で以前からつきあいのあった某大学のA氏から私のところへこの件で連絡があった。
それによると、この北大准教授は昨年12月30日に退職届けを大学側に提出、届けを受けた北大は規則に則って退職手続きを行い、彼女の諭旨解雇が決定。彼女は1月中旬に研究室を去ったとのことだった。
時間はかかったが、北大当局としては霊感商法に係わった准教授を追放する処分を実行した。
諭旨解雇なので彼女には退職金が支払われており、国民の税金からこのような者に退職金が支払われたことは残念である。
公職にあった者が神世界事件関与の責任をとって辞めざるを得ない現状を神世界側はどう考えているのか?
神世界側はこの件に関し一言の説明もしていない。